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JP2001122689A - 単結晶引き上げ装置 - Google Patents

単結晶引き上げ装置

Info

Publication number
JP2001122689A
JP2001122689A JP29972999A JP29972999A JP2001122689A JP 2001122689 A JP2001122689 A JP 2001122689A JP 29972999 A JP29972999 A JP 29972999A JP 29972999 A JP29972999 A JP 29972999A JP 2001122689 A JP2001122689 A JP 2001122689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
crystal
pulling
crucible
defect
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29972999A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Nishimoto
学 西元
Masahiko Okui
正彦 奥井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP29972999A priority Critical patent/JP2001122689A/ja
Publication of JP2001122689A publication Critical patent/JP2001122689A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外散乱体や転位クラスター等と呼ばれるgr
own-in欠陥の密度の低い単結晶を育成することのできる
単結晶引き上げ装置を提供すること。 【解決手段】 溶融液3が充填される坩堝1、及び坩堝
1の周囲に配置されたヒータ2等を備え、引き上げられ
た単結晶を取り囲む逆円錐台側面形状あるいは円筒形状
の整流治具11が配設された単結晶引き上げ装置におい
て、整流治具11の内側下方に、リング状の熱遮蔽板1
2と熱遮蔽板12の下方に加熱手段13を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶引き上げ装置
に関し、より詳細には、半導体材料として使用されるシ
リコン単結晶を欠陥密度の少ない状態で引き上げるため
の単結晶引き上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】単結晶を成長させるには種々の方法があ
るが、その一つにチョクラルスキー法(以下、CZ法と
記す)と呼ばれる単結晶育成方法がある。図6は、CZ
法に用いられる単結晶引き上げ装置を模式的に示した断
面図であり、図中1は坩堝を示している。
【0003】この坩堝1は、有底円筒形状の石英製坩堝
1aと、この石英製坩堝1aの外側に嵌合された、同じ
く有底円筒形状の黒鉛製坩堝1bとから構成されてお
り、坩堝1は、図中の矢印方向に所定の速度で回転する
支持軸8に支持されている。この坩堝1の外側には、抵
抗加熱式のヒータ2、このヒータ2の外側には、保温筒
7が同心円状に配置されており、坩堝1内には、このヒ
ータ2により溶融させた結晶用原料の溶融液3が充填さ
れるようになっている。また、坩堝1の中心軸上には、
引き上げ棒あるいはワイヤー等からなる引き上げ軸4が
吊設されており、この引き上げ軸4の先に保持具4aを
介して、種結晶5が取り付けられるようになっている。
また、これら部材は、圧力の制御が可能な水冷式のチャ
ンバ9内に納められている。
【0004】上記した単結晶引き上げ装置を用いて単結
晶6を引き上げる方法について説明する。まず、チャン
バ9内を減圧し、次に不活性ガスを導入してチャンバ9
内を減圧の不活性ガス雰囲気とし、その後ヒータ2によ
り結晶用原料を溶融させ、しばらく放置して溶融液3中
のガスを十分に放出する。
【0005】次に、支持軸8と同一軸心で逆方向に、所
定の速度で引き上げ軸4を回転させながら、保持具4a
に取り付けられた種結晶5を降下させて溶融液3に着液
させ、種結晶5を溶融液3に馴染ませた後、種結晶5の
下端に単結晶6を成長させていく。
【0006】単結晶6の育成の際、まず単結晶6を無転
位化するためにシード絞り(6a)を行ない、その後、
ボディ部6cで必要な直径の単結晶6を得るためにショ
ルダー部6bを育成する。単結晶6が求める直径になっ
たところで肩変えを行ない、直径を一定にしてボディ部
6cを育成する。ボディ部6cを所定の長さまで育成す
ると、無転位の状態で単結晶6を溶融液3から切り離す
ためにティル絞りを行なう。その後、溶融液3から切り
離した単結晶6を、所定の条件で冷却する。このように
して得られた単結晶6から加工製造されたウエハは、種
々の半導体デバイスの基板材料として用いられる。
【0007】上述した工程を経て引き上げられたシリコ
ン単結晶中には、赤外散乱体(COP、FPD)や転位
クラスター等と呼称される欠陥が存在していることがあ
る。これら欠陥は、その後の熱処理により結晶内に新た
に形成されたものではなく、grown-in欠陥とも呼ばれ、
結晶引き上げ中に既に形成されていたものである。
【0008】図2は、単結晶育成時における引き上げ速
度と結晶欠陥の発生位置との一般的な関係を示した模式
図である。図2に示したように、熱処理誘起欠陥の一種
である酸化誘起積層欠陥(OSF :Oxidation-induced St
acking Fault)のリング領域の内側には、結晶育成後の
評価で観察されるgrown-in欠陥のうちの赤外散乱体が検
出され、リング領域の外側にはgrown-in欠陥のうちの転
位クラスターと呼ばれる欠陥が検出され、積層欠陥リン
グ(R-OSF )に近接する外側には酸素析出促進領域が存
在し、その外側には無欠陥領域が存在する。また、R-OS
F の発生領域は、単結晶育成中の引き上げ速度に依存し
ており、引き上げ速度を小さくしていくと、R-OSF が現
れる領域が結晶の外側から内側へと収縮していく。
【0009】上述したOSF は、酸化熱処理時に生じる格
子間型の転位ループであり、デバイスの活性領域である
ウエハ表面に生成、成長した場合には、リーク電流の原
因となり、デバイス特性を劣化させる欠陥となる。この
ため従来では、単結晶の育成時にR-OSF の位置を結晶の
外周側に移動させるように制御することにより、OSFの
高密度領域を外周側に押し出していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、最近、デバ
イスの製造工程が低温化してきたことや結晶が低酸素化
してきたことで、OSF によるデバイスへの悪影響が抑え
られ、OSF はあまりデバイス特性を劣化させる因子とし
ては大きな問題とはならなくなってきている。これに対
し、grown-in欠陥のうちの赤外散乱体は初期の酸化膜耐
圧特性を劣化させる因子であり、また転位クラスターは
デバイス特性を著しく劣化させる因子であり、これらgr
own-in欠陥の結晶内における密度を低減させることが最
近では重要課題となっている。
【0011】そのため、デバイス特性を劣化させる欠陥
がほとんど検出されない領域、すなわちR-OSF に近接す
る内側や、近接する外側に存在する無欠陥領域を利用す
ることによって、高品質のデバイスを得ようとしている
が、前記無欠陥領域が非常に狭い領域に限られているた
め、有効に利用することが難しいといった問題がある。
そこで、これら問題に対処するための提案がなされてい
る。
【0012】例えば、特開平8−330316号公報に
は、結晶育成条件の改良により転位クラスターが生成せ
ずに、R-OSF の外側領域のみが全面に拡がる結晶を育成
することができることが開示されている。しかしなが
ら、これは非常に限られた結晶育成条件、すなわち、あ
る温度勾配に対して非常に小さな範囲で限られた引き上
げ速度に制御することによって初めて達成できる可能性
があるもので、今後ますます結晶が大口径化し、大量生
産が要求されるシリコン単結晶の育成に対しては条件的
に極めて厳しいものがある。
【0013】また、特開平7−257991号公報、及
びJournal of Crystal Growth ,151 (1995)p.273-277
には引き上げ軸方向に関する温度勾配を大きくし、なお
かつ高速度で単結晶を引き上げることによって、R-OSF
を結晶の内側に消滅させて、R-OSF の外側領域を生成す
ることができることが開示されている。しかしながら、
結晶面内でのgrown-in欠陥の低減化については何ら考慮
されていないので、R-OSF を内側に収縮させたとして
も、R-OSF の外側領域には従来同様に転位クラスターが
存在しており、この転位クラスターがデバイス特性を大
幅に劣化させてしまうため、高品質のウエハを提供する
ことができることにはならない。
【0014】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
って、赤外散乱体や転位クラスター等と呼ばれるgrown-
in欠陥の密度の低い単結晶を育成することのできる単結
晶引き上げ装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】単結晶内部に発生するR-
OSF の発生領域は、結晶引き上げ速度や、結晶引き上げ
時の最高温部(融点〜1200℃)の温度領域で決定さ
れ、引き上げ時の最高温部での熱履歴に影響されること
が確認されている。前述の図2の説明から明らかなよう
に、単結晶育成の引き上げ速度を速くするとR-OSF が外
側へ連続的に拡大し、遅くなると収縮して小さくなり消
滅し、引き上げ速度の増減によってR-OSF の分布はV字
形状に分布することがわかる。従ってR-OSF に接して内
外の狭い領域に無欠陥領域が存在することから、R-OSF
のV字型分布状況の上開き角度をできるたげ拡大させ、
可能なら水平に近い状態にすれば、単結晶の径方向に無
欠陥領域を拡大させることができ、この時の引き上げ速
度を一定に維持して単結晶を引き上げることで、欠陥の
極めて少ない単結晶を得ることができると考えられる。
【0016】そこで、本発明者らは引き上げ中の単結晶
の外表面の冷却方法を種々変更し、単結晶中心部の温度
分布が異なる条件で単結晶を育成し、単結晶内部の温度
分布とその欠陥分布を調査したところ、R-OSF のV字を
広げる結果をもたらす引き上げ中の単結晶温度分布は、
単結晶中心部の温度が凝固直後(1412℃)から1250℃前
後までの冷却過程において、単結晶引き上げ軸に平行な
垂直方向の温度勾配が結晶中心部より外表面部が小さい
温度分布の場合に、R-OSF のV字角度が広がる結果を示
すことを知見した。単結晶内部の温度分布は実験的に把
握することは困難なため伝熱解析手法により評価した。
【0017】本発明者らは上記知見に基づき、単結晶の
径方向に赤外線散乱体欠陥や転位クラスター欠陥がない
領域をできるだけ拡大することを目的に、本発明は凝固
直後(1412℃)から1250℃前後までの冷却過程で、単結
晶引き上げ軸に平行な垂直方向の温度勾配が結晶中心部
より外表面部を小さくさせる手段として以下の単結晶引
き上げ装置を提供するものである。
【0018】本発明の単結晶引き上げ装置は、溶融液が
充填される坩堝、及び該坩堝の周囲に位置するヒータ等
を備え、下端部が前記坩堝に充填される溶融液面の直上
近傍に位置し、引き上げられた単結晶を取り囲む逆円錐
台側面形状あるいは円筒形状の整流治具が配設された単
結晶引き上げ装置において、リング状の熱遮蔽板が前記
整流治具の内側に配置され、前記熱遮蔽板の下方に加熱
手段が配設されていることを特徴としている。
【0019】本発明の単結晶引き上げ装置によれば、最
高温部における単結晶外周部からのチャンバへの放熱量
が小さくなり、結晶外表面部の温度勾配を結晶中心部の
温度勾配に対して同等、もしくはそれ以下とすることが
できる。これによりR-OSF のV字型分布を上開きもしく
は水平に近い状態に保つことができ、単結晶の径方向に
無欠陥領域を拡大することができる。
【0020】特に、リング状の熱遮蔽板の下方に加熱手
段を配置したことにより、結晶外表面部の温度勾配が異
なる様々な引き上げ装置であっても、加熱手段の出力を
調整することによって、結晶外表面部の温度勾配を結晶
中心部の温度勾配に対して同等、もしくはそれ以下の温
度勾配を容易に形成することができ、確実に欠陥密度の
低い単結晶を育成することができる。また、リング状の
熱遮蔽板はその設置位置よりも上方に位置する単結晶部
への加熱を防止することから、結晶成長方向全体の温度
勾配が小さくならず、無欠陥化できる育成速度を大きく
低下させことなく生産性を維持したまま単結晶を製造す
ることができる。
【0021】単結晶の高温領域において、結晶外表面部
の温度勾配を結晶中心部の温度勾配に対して同等、もし
くはそれ以下とすることで、R-OSFのV字型分布が広が
り無欠陥領域が拡大する理由については次のように考え
られる。
【0022】単結晶育成の引き上げ時の融液が凝固して
固体結晶に変化していく際には、ランダムな原子配列の
液相から原子が規則正しく整列する固相に移行するた
め、固液界面近傍の固相には、あるべき原子の欠けた空
孔や、余分のSi原子が原子の結晶格子配列の間に入り
込んだ格子間原子が大量に存在する。この凝固直後に
は、格子間原子よりも原子が欠けた状態の空孔の方が多
い。そして、引き上げにより凝固して単結晶になった部
分が固液界面から離れるにつれ、空孔や格子間原子は移
動や拡散、あるいは合体などによって消失し、整然とし
た原子配列となっていくが、さらに引き上げられて温度
が低下してくると移動や拡散の速度が減退し、多少は残
存することになる。
【0023】結晶凝固の過程で取り込まれた空孔と格子
間原子とは、高温の間かなり自由に結晶内を動き回るこ
とができ、その移動速度または拡散速度は、一般的に空
孔の方が格子間原子より速い。そして、上述のように凝
固直後では空孔の数の方が格子間原子の数より多い。こ
こで、高温の結晶中に存在し得る空孔や格子間原子の飽
和限界濃度は、いずれも温度が低いほど低下する。この
ため、これらはそれぞれ同じ量が存在していたとして
も、温度の低い方が実質的な濃度、すなわち化学ポテン
シャルは高く、温度の高い方が化学ポテンシャルは低い
ことになる。
【0024】育成中の単結晶には垂直方向に温度勾配が
あり、例えば垂直方向の一定距離を隔てた二つの位置で
の温度差、すなわち垂直方向の平均温度勾配として比較
した場合、通常は表面から熱が放散されるので、図3
(a)に模式的に示すように、結晶中心部の温度勾配
(Gc)の方が外表面部の温度勾配(GE)より小さい。
このような垂直引き上げ軸方向の温度勾配の状態は、引
き上げ速度が極端に変化しない限り、ほとんど変化しな
い。
【0025】垂直引き上げ軸方向の温度勾配が変化しな
ければ、空孔が固液界面方向へ拡散していく時間当たり
の量は同じであるので、引き上げ速度が速くなると過剰
の空孔が取り残された状態で温度が低下していき、これ
が結晶内に欠陥となって痕跡を残す結果となり、赤外線
散乱体欠陥の原因になると考えられる。一方、引き上げ
速度が遅くなると空孔の拡散消失は十分に進むが格子間
原子は空孔よりも拡散速度が遅いため、これが取り残さ
れたまま温度が低下して転位クラスターの原因となる。
このように、引き上げ速度が速い場合は赤外線散乱体が
主となり、引き上げ速度が遅い場合には転位クラスター
が主となる。
【0026】また、前述したとおり、単結晶の中心部よ
り外表面部の方が垂直軸方向の温度勾配は大きいことか
ら、温度勾配に基づく拡散が外表面部では中心部より速
く進み、空孔の方が拡散速度が速いので、引き上げ速度
が遅くなると格子間原子の濃度が相対的に大きくなり転
位クラスター欠陥が現れるようになる。この時点におい
て温度勾配の小さい中心部ではまだ空孔が相対的に多く
存在し、その結果、赤外線散乱体欠陥となって残存す
る。そして、これらの中間部には無欠陥領域が存在する
が、これは結晶格子を構成する原子が欠けた状態の空孔
と、原子が余分に存在する状態の格子間原子の数がバラ
ンスし、冷却が進むにつれてお互いに相補い合体して消
失することによって、完全な結晶格子である無欠陥領域
が形成されると考えられる。
【0027】このように無欠陥領域の生成原因が空孔と
格子間原子の数のバランスにあり、そのバランスは結晶
凝固直後の高温域での垂直方向の温度勾配に支配されて
いるとすれば、無欠陥領域の拡大には、図3(b)に示
すように単結晶の垂直軸方向の温度勾配が中心部と外表
面部において等しくなる条件、あるいは図3(c)に示
すように中心部よりも外表面部の温度勾配が小さい条件
で引き上げ速度を調整すればよいと考えられる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の単結晶引き上げ装
置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】図1は、本発明の単結晶引き上げ装置を模
式的に示した断面図である。ここでは、図6に示した従
来の単結晶引き上げ装置と同様の構成については、その
説明を省略する。
【0030】図中11は、整流治具を示している。整流
治具11は逆円錐台側面形状を有すると共に、引き上げ
られた単結晶6を取り囲むように位置し、坩堝1内の溶
融液面3aの直上近傍にその下端部が位置するように配
設される。通常、整流治具11の下端部と溶融液面3a
との距離は、15〜30mm程度が好ましい。
【0031】整流治具11の内側下方にはリング状の熱
遮蔽板12が配置され、熱遮蔽板12の下方には加熱手
段13が配置されている。加熱手段13は溶融液3の表
面近傍の引き上げられた単結晶を積極的に加熱し、その
出力を調整することにより、適切な温度勾配を形成す
る。この加熱手段13としては、例えば抵抗加熱式のグ
ラファイトヒータが望ましく、その形状は、特に限定さ
れないが、例えばリング状あるいは円筒状のヒータ形状
であれば、整流治具11の内面にはめ込み式として容易
に設置することができる。
【0032】熱遮蔽板12は溶融液3の表面近傍の引き
上げられた単結晶の上方(チャンバ9)への放射熱の発
散を抑制し、その設置位置よりも上方に位置する単結晶
6への加熱を防止する。この熱遮蔽板12の下面と溶融
液面3aとの距離は、余り距離が長いと結晶成長方向全
体の温度勾配が小さくなるため、無欠陥化できる育成速
度が遅くなり生産性が低下することから、250mm以
下が望ましく、熱遮蔽板12のリング幅は10mm以上
とし、その厚みは2mm〜150mmの範囲が好まし
い。
【0033】また、整流治具11および熱遮蔽板12の
内部に断熱材を挿入すれば、単結晶6への冷却が向上さ
れ、引き上げ速度の向上が期待できる。より好ましくは
熱遮蔽板12の設置位置よりも上側部分の整流治具11
に断熱材を内装することが望ましい。
【0034】
【実施例及び比較例】以下、実施例に係る単結晶引き上
げ装置について説明する。 (実施例1)図1に示した単結晶引き上げ装置を用い
て、坩堝1内に結晶用原料としてシリコン多結晶120
kgを充填し、その中に結晶中の電気抵抗率が10Ωc
m程度になるようにp型ドーパントのボロンを添加す
る。そしてチャンバ9内を約1300PaのAr雰囲気
にした後、ヒータ2のパワーを調整してすべての結晶用
原料を溶融した。
【0035】次に、ヒータ2のパワーを調整しながら、
ヒータ2の位置を調整し、その後、種結晶5の下端部を
溶融液3に浸漬し、坩堝1、及び引き上げ軸4を回転さ
せつつ直径が8インチの単結晶6を引き上げた。その
際、ボディ部6cの長さが100mmに達したところか
ら、単結晶6の引き上げ速度を徐々に下げていった。
【0036】単結晶6の引き上げ中はヒータ13の出力
は4kWとした。ヒータ13は、内径250mm、外径
400mm、厚み8mmのリング状の水平円盤形状の抵
抗加熱式ヒータを使用し、溶融液3表面から130mm
の高さの位置に配置した。また、熱遮蔽板12は、内径
250mm、外径430mm、厚み20mmのリング状
の水平円盤形状で、溶融液3表面から150mmの高さ
の位置に配置した。
【0037】図4は、実施例1によって得られた本発明
の単結晶、およびヒータ13、熱遮蔽板12を配置せず
に製造された従来の単結晶をそれぞれ縦割りにして、C
uを塗布し、次に900℃で熱処理し、そして各grown-
in欠陥領域を顕在化した後に、X線トポグラフ写真を撮
影した結果を示した模式図であり、(a)は従来の単結
晶の模式図、(b)は本発明の単結晶の模式図である。
【0038】これから明らかなように従来の単結晶と比
較して、本発明の単結晶ではR-OSFのV字が大きく開い
ていることがわかる。このように本発明によれば簡単に
無欠陥領域を単結晶水平方向により大きく広げることが
でき、無欠陥領域の拡大を達成することができる。 (実施例2)図1に示した単結晶引き上げ装置を用い
て、ヒータ13の出力を0kw、4kw、8kwと変化
させて、その他の条件は実施例1と同様にして、直径が
8インチの単結晶6をそれぞれ引き上げた。当然、引き
上げ速度も徐々に下げていった。
【0039】図5は、実施例2によって得られたそれぞ
れの単結晶を縦割りにして、Cuを塗布し、次に900
℃で熱処理をし、そして各grown-in欠陥領域を顕在化し
た後に、X線トポグラフ写真を撮影した結果を示した模
式図である。
【0040】図5から明らかなように、ヒータ13の出
力を増加させるほど、R-OSF のV字型分布を上開き分布
になり、ヒータ13の出力が8kwの場合、ほぼ水平に
近い分布に保つことができ、無欠陥領域を拡大できるこ
とがわかる。
【0041】実施例2において、ヒータ13の出力が8
kwの条件で無欠陥領域が形成される引き上げ速度で得
られた本発明の単結晶をウエーハに加工し、表面をセコ
エッチング後、光学顕微鏡観察して転位クラスター欠陥
の有無を観察したところ、ウエーハの面方向において転
位クラスター欠陥は観察されなかった。また、この単結
晶ウエーハおよび実施例1の従来の単結晶から作製され
た単結晶ウエーハについて、TZDBをそれぞれ調査したと
ころ、従来の単結晶ウエーハでは60%程度であったTZ
DBの良品率が、本発明の単結晶ウエーハでは95%以上
であった。このときのTZDBの良品率は、酸化膜厚が25
nm、電界8MV/cmを印加した場合の平均良品率を
求めた。
【0042】以上、直径が8インチの結晶についての
み、ここでは説明したが、本発明は原理的にはより径の
大きい結晶(例えば、直径12インチ以上)についても
有効である。また、結晶内部の温度勾配の改善によるウ
エハの高品質化を図るものであるので、融液流動状態に
影響を与える磁場印加引上げ(MCZ)法を適用する場
合についても、本発明の効果は期待できる。
【0043】
【本発明の効果】本発明の装置によれば、シリコン単結
晶の引き上げの際、単結晶内の垂直方向の温度勾配につ
いて結晶中心部より結晶外表面部の方を小さくすること
ができる。この装置を用い、引き上げ速度を適宜選ぶこ
とにより、デバイスの高集積度化ないしは微細化に対応
できる、grown-in欠陥のきわめて少ない単結晶を容易に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る単結晶引き上げ装置
を模式的に示した断面図である。
【図2】単結晶育成時における引き上げ速度と結晶欠陥
の発生位置との一般的な関係を示した模式図である。
【図3】(a)〜(c)は、単結晶面内の位置と温度分
布との関係を示した模式図である。
【図4】従来装置により育成された単結晶と本発明装置
により育成された単結晶における引き上げ速度と結晶欠
陥の発生位置との関係を示した模式図である。
【図5】加熱手段の出力を変えた場合における引き上げ
速度と結晶欠陥の発生位置との関係を示した模式図であ
る。
【図6】従来におけるCZ法に用いられる単結晶引き上
げ装置を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 坩堝 2 ヒータ 3 溶融液 4 引き上げ軸 4a 保持具 5 種結晶 7 保温筒 8 支持軸 9 チャンバ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融液が充填される坩堝、及び該坩堝の
    周囲に位置するヒータ等を備え、下端部が前記坩堝に充
    填される溶融液面の直上近傍に位置し、引き上げられた
    単結晶を取り囲む逆円錐台側面形状あるいは円筒形状の
    整流治具が配設された単結晶引き上げ装置において、リ
    ング状の熱遮蔽板が前記整流治具の内側に配置され、前
    記熱遮蔽板の下方に加熱手段が配設されていることを特
    徴とする単結晶引き上げ装置。
JP29972999A 1999-10-21 1999-10-21 単結晶引き上げ装置 Pending JP2001122689A (ja)

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