JP2001073065A - 耐焼戻脆性に優れた高強度低Crフェライト系耐熱鋼 - Google Patents
耐焼戻脆性に優れた高強度低Crフェライト系耐熱鋼Info
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Abstract
抑制され、400℃〜625℃といった高温でのクリー
プ強度が安定して高く、既存低Cr耐熱鋼と同等以上の
良好な靱性、溶接性および耐食性を有するする低Crフ
ェライト耐熱鋼の提供。 【解決手段】重量%で、C:0.01〜0.25%、C
r:0.5〜3%、V:0.05〜0.5%、Mo:
0.05〜2.5%、N:0.01%以下、Ti:0〜
0.5%、P:0.03%以下およびS:0.015%
以下を含み、焼きならし、焼入後の組織が、下部ベイナ
イト単相組織であるか、または20体積%以上の下部ベ
イナイト組織を含み、残りがマルテンサイト組織または
上部ベイナイト組織の1方または双方を含む混合組織で
ある耐熱鋼。
Description
力などの分野で使用される熱交換器や配管用鋼管、耐熱
バルブおよび接続継手などに好適な焼戻脆化および40
0℃以上の高温における長時間使用時のクリープ脆化を
抑制した低Crフェライト系耐熱鋼に関する。
は“オーステナイト系耐熱鋼”と“フェライト系耐熱
鋼”に大別され、温度、圧力等の使用環境と経済性を考
慮してどちらかの鋼種を適宜選択して使用される。
のCrを含んでおり、必要に応じてW、Mo、Niおよ
びCo等の合金元素を含有させた鋼で、組織はδ-フェ
ライト、焼戻マルテンサイトまたは焼戻ベイナイト組織
である。
イト鋼は、Crを含有しているため炭素鋼に比べて耐酸
化性、高温耐食性および高温強度に優れている。また、
熱膨張係数が小さいく、靱性、溶接性および熱伝導性に
も優れている。さらに、低Cr耐熱鋼は、オーステナイ
ト系ステンレス鋼や高Crフェライト鋼に比べて安価で
るあるという利点がある。
ライト耐熱鋼の代表例としては、JISで規格化されて
いるSTBA20(0.5Cr-0.5Mo)、STBA22(1.0C
r-0.5Mo)、STBA23(1.25Cr-0.5Mo)、STBA2
4(2.25Cr-1.0Mo)、STBA25(5.0Cr-0.5Mo)等があ
る。
イト系耐熱鋼や高Crフェライト系耐熱鋼に比べて高温
強度に劣っている。
素であるV、Nb、TiおよびTaを添加した低Crフ
ェライト鋼が、特開昭55-6458号公報、特開昭57-131349
号公報、特公昭61-16419号公報、特公昭61-34501号公報
等により数多く提案されている。
として、タービン用材料である1Cr-1Mo-0.25V鋼や高速
増殖炉用構造材料である2.25Cr-1Mo-Nb鋼等がよく知ら
れている。
Crフェライト系耐熱鋼の高強度化には以下のような問
題が生ずる場合がある。
半は、焼きならし時にはマトリックス中に固溶している
が、焼ならし後の所定の温度での焼戻しにより微細な炭
窒化物が析出して、強化される。しかし、炭窒化物は粒
内に高密度に析出するため、粒内のみが強化されて旧オ
ーステナイト粒界が相対的に弱くなる。そのため、焼戻
後や長時間の使用中に衝撃破面遷移温度が50℃以上も
上昇する、いわゆる焼戻脆化が生じる。
S、SbおよびSn等の不純物量を低減することにより
抑えられると考えられている。しかしながら、V、Nb
およびTi等により粒内が析出強化されている場合に
は、たとえ粒界偏析元素を低減しても、粒内強度が粒界
強度を上回っている。さらに、析出物を微細分散させる
と、焼戻し時の残留応力の緩和が起こりにくくなるた
め、残留応力の不均一分布が生じ、脆化領域である粒界
で割れが生じやすくなる。
焼戻し脆化を発生させることなく高めることができれ
ば、下記のような利点が得られる。
使用環境で、高温強度が必要とされる用途にはオーステ
ナイト系ステンレス鋼あるいは高Crフェライト系鋼が
使用されていたが、そのような用途にも安価な低Crフ
ェライト系鋼の使用が可能となり、低Crフェライト系
鋼の特性、例えば優れた溶接性を生かすことができる。
ることが可能となり、それにより熱伝導性が向上し、プ
ラントの熱効率が改善されるとともに、プラントの起
動、停止に伴う熱疲労負荷を軽減することができる。
クト化と製造コストの低減ができる。
脆化および長時間使用時のクリープ脆化が抑制され、か
つ実用ボイラの使用温度である400℃〜625℃とい
った高温でのクリープ強度が安定して高く、既存低Cr
耐熱鋼と同等以上の良好な靱性、溶接性および耐食性を
有するするCr含有量が3%以下の析出硬化型の低Cr
フェライト系耐熱鋼を提供することにある。
通りである。
r:0.5〜3%、V:0.02〜0.5%、Mo:
0.01〜2.5%、Ti:0〜0.05%、N:0.
01%以下、P:0.03%以下およびS:0.015
%以下を含み、金属組織が、下部ベイナイト単相組織で
あるか、または20体積%以上の下部ベイナイト組織を
含み、残りがマルテンサイト組織または上部ベイナイト
組織の1方または双方を含む混合組織である耐焼戻脆性
に優れた高強度低Crフェライト系耐熱鋼。
強化型の低Crフェライト耐熱鋼について、焼戻脆化お
よび長時間使用時のクリープ脆化を防止するため、化学
組成と組織について種々実験、検討した。特に、透過電
子顕微鏡の観察により炭窒化物の析出形態、下部組織中
のマルテンサイト組織と上部または下部ベイナイト組織
の体積比を求め、焼戻脆化感受性およびクリープ強度と
の関係を系統的に調査した。その結果、次のような知見
を得た。
し前および焼戻し後ともに、靱性は最も不芳となるので
フェライトを含む組織は避けなければならない。
ベイナイト単相組織の場合にも、靱性が不芳となる。
比で20%以上の下部ベイナイト組織を含み、残りがマ
ルテンサイト組織または上部ベイナイト組織の一方また
は双方を含む混合組織である場合に、焼戻後の靱性値が
最も良好であり、且つ高温で長時間に渡って安定な組織
となる。
V、NbおよびTiを主成分とする炭化物及び窒化物で
ある。これらの析出物は、焼入後の組織が下部ベイナイ
ト単相組織、または体積比で20%以上の下部ベイナイ
トを含み、残りがマルテンサイト組織または上部ベイナ
イト組織の一方または双方を含む混合組織である場合に
は、均一に分布するので、焼戻し脆性が生じにくくな
る。
焼戻後これらの析出物がラス界面に沿って列状に配列
し、高強度化への寄与が小さくなる。一方、マルテンサ
イトの比率が高くなると、これらの析出物が微細化し、
かつ高密度に析出するため、焼戻後も、残留応力が十分
に緩和されない。その結果、焼戻脆化感受性が高くな
る。
善される。しかしながら、Moが析出すると、その効果
は消滅するため、Moを固溶状態で維持する必要があ
る。Vを含まない鋼の場合には、MoはMo2C炭化物
として析出してしまい、固溶Mo量は確保できない。一
方、Vを添加すると、VCが優先析出するためMo2C
は析出しなくなる。その結果、固溶状態のMoが多く残
り、焼戻脆化感受性が低下する。
低下する。ただし、N量が0.004%を超える場合に
は、微量のTiを添加してTiNとして固溶N量を低減
することにより焼戻脆化が抑えられる。
よび化学組成を限定した理由を詳しく説明する。なお、
以下に示す化学組成の%はすべて重量%を意味する。
は、せん断変形によって、オーステナイト組織からフェ
ライト結晶構造に変化する合金元素の拡散を伴わない無
拡散変態の一種である。ただし、ベイナイト変態ではC
原子の拡散が生ずるため、変態と同時にセメンタイトが
析出し、ベイナイト組織はフェライトとセメンタイトの
混合組織となっている。
の差異から、下部ベイナイトと上部ベイナイトに分けら
れる。このうち、下部ベイナイト組織はベイナイト粒内
に比較的細かいセメンタイトが均一分散した組織であ
る。
中、下部ベイナイト組織が20体積%以上を占める場合
に、焼入れ後の破面遷移温度と焼戻し後の破面遷移温度
の差(△T)は最大でも40℃以下に抑えられる。一
方、下部ベイナイト組織が20%未満になると△Tは4
0℃を超える場合があるので、焼入後の下部ベイナイト
組織は20体積%以上とした。したがって、下部ベイナ
イトが100%の単層組織でもよく、混合組織でもよ
い。混合組織にする場合は、下記のような組織にする必
要がある。 混合組織:混合組織にする場合は、20体積%以上の下
部ベイナイトを含み、残りがマルテンサイト組織または
上部ベイナイト組織の1方または双方を含む混合組織と
することにより、焼戻し脆性の発生を防止することがで
きる。
面に比較的粗大なセメンタイトが板状に存在する。この
上部ベイナイトが、80体積%未満の場合は△Tが最大
でも40℃以下に抑えられるが、80%以上になると△
Tは40℃を超える場合がある。従って、下部ベイナイ
ト組織と上部ベイナイト組織が混合した場合でも、上部
ベイナイト組織の体積率を80%未満とする必要があ
る。
態によって生じた組織であり、ベイナイト変態のような
Cの拡散は伴わない。したがって、焼入後の組織は、高
密度の転位を含んだラス状の組織、または自己焼戻によ
りマルテンサイト粒内に微細なセメンタイトが分布した
組織となる。このマルテンサイトが、80体積%未満の
場合はΔTが最大でも40℃以下に抑えられるが、80
%以上になると△Tは40℃を超える場合がある。従っ
て、下部ベイナイト組織とマルテンサイト組織が混合し
た場合でも、マルテンサイト組織の体積率を80%未満
とする必要がある。
ト組織およびマルテンサイトの混合組織にする場合で
も、△Tを最大でも40℃以下に抑えるためには、上部
ベイナイトとマルテンサイトの合計量を80体積%未満
にする必要がある。
び焼戻材から薄膜試料を作成し、透過電子顕微鏡で10
000倍で観察して各組織の体積を下記の方法で求め、
10視野の平均値とする。
た材料で、各組織の面積比を求め、それをそのまま体積
比とする。面積比はそのまま体積比になるからである。
なお、面積比はミクロ写真で面積を直接測定することが
できる。一般的には体積比を求めるには焼入れ材を用い
るが、焼戻し材を用いてもよい。すなわち、多数の材料
の観察を重ねた結果、焼戻し材でも各組織の判別が可能
であり、焼入れ材および焼戻し材から求められる体積比
はほとんど一致することを確認した。
こなう。
粒内に特定の方向に並んで析出している領域 上部ベイナイト組織:板状のセメンタイトがベイナイト
粒界面や旧オーステナイト粒界に沿って板状に析出して
いる領域 マルテンサイト組織:転位が高密度に含まれたラス状組
織または紡錘状のセメンタイトがマルテンサイト粒内に
均一分散している領域 2)焼戻し材の場合 焼戻し下部ベイナイト組織: 透過電子顕微鏡を用いて10000倍で観察した場合、
直径0.5μm以 上の析出物が粒内のラス内部と粒界に析出している領域 焼戻し上部ベイナイト組織:直径0.5μm以上の析出
物が粒内のラス界面と粒界に析出している領域 焼戻しマルテンサイト組織:直径0.5μm以上の析出
物が粒界ののみ析出している領域 なお、上記直径0.5μm以上の析出物とは、M23C
6型、M7C3型およびM6C型の炭化物の中で特に粗大化
したもののことである。
である場合に、旧オーステナイト粒界を核にして析出す
る。フェライト組織の析出は、焼戻後のみならず焼入ま
まの靱性にも悪影響を与えるため、フェライト組織の析
出は押さえなければならない。フェライト組織は、透過
電子顕微鏡で観察すれば、焼入れ材、焼戻し材共に極め
て転位密度の低い領域として確認できる。
応じて以下に示す熱処理を施せばよい。
の連続冷却変態線図に示されるフェライトノーズにかか
らず、ベイナイトノーズを経由するような冷却速度を選
べばよい。また、ベイナイトノーズの位置によって混合
組織化が可能となる。例えば、マルテンサイトとの混合
組織とするためには、ベイナイトノーズの先端を経由す
るような冷却速度を選べばよい。一方、上部ベイナイト
の混合組織とするには、フェライトノーズにわずかに接
するような冷却速度を選ぶ。下部ベイナイト+上部ベイ
ナイト+マルテンサイトの混合組織とするには、MS点
直上で数分保持した後MS点以下に焼入れすればよい。
寄与するとともに、それ自体がオーステナイト安定化元
素として組織を安定化する。また、組成にに応じてマル
テンサイト、下部ベイナイト、上部ベイナイトのバラン
ス制御のためにも重要となる。
出量が不十分である上に、焼入性が低下して強度と靱性
を損なう。一方、0.25%を超えると炭化物が過剰に
析出し、鋼が著しく硬化して加工性と溶接性を損なう。
したがって、C含有量の範囲は0.01〜0.25%と
した。望ましくは、0.05〜0.15%である。
元素である。Cr含有量が0.5%未満ではこれらの効
果が得られない。一方、3%以上では、経済性が低下し
て低Crフェライト鋼の利点が少なくなる。したがっ
て、Cr含有量の範囲は0.5%以上、3%以下とし
た。
すなわち、VはCと結合して微細なVCを形成して高強
度化に大きく寄与する。さらに、フリーCを固定するた
め、耐焼戻脆性に効果のあるMoは炭化物として析出せ
ず、固溶Mo量が確保される。
析出量が少なく、上記の効果が得られない。一方、0.
5%を超え過剰に含有させると、VCが粗大化して、か
えって強度と靱性を損なう。したがって、V含有量は
0.02〜0.5%とした。望ましくは0.05〜0.
25%である。
耐焼戻脆性を著しく改善する。しかし、Mo含有量が
0.01%未満ではこの効果は得られない。一方、2.
5%を超えるとその効果が飽和するとともに、かえって
溶接性と靱性を損なう。したがって、Mo含有量の範囲
は、0.01〜2.5%とした。望ましくは0.05〜
1.5%で、さらに望ましくは0.1〜1%である。
場合、例えば0.006%を超える場合に含有させるの
がよく、固溶Nを固定し焼戻脆化の抑制に有効である。
含有させる場合は0.002%以上がよい。さらに、溶
接部など局部的に加熱されて結晶粒の粗大化が問題とな
る場合には、Tiを含有させることで粗大化が防止でき
る。しかし、0.05%を超えて含有させると、かえっ
て靱性を劣化させるため、Ti含有量の上限は0.05
%とするのが好ましい。望ましくは0.03%以下で、
さらに望ましくは0.02%以下である。
形成し、クリープ強度の向上、結晶粒微細化による靱性
改善に寄与する。しかしながら、固溶Nは焼戻脆化を助
長するので、N含有量が0.01%を超えて多量になる
と靱性が著しく劣化する。望ましくは0.006%以下
である。
下 P、Sは不可避不純物元素であり、いずれも焼戻脆化を
助長する。このため、可能な限り低くすることが望まし
い。Pの許容上限は0.03%、Sの許容上限は0.0
15%である。望ましいPの上限は0.015%、Sの
上限は0.005%である。
する必要があるが、さらに、次に述べるような合金元素
を選択的に含有させることができる。
し、クリープ強度の向上に寄与する。時に、MX中でV
とNbが相互固溶すると、MXが微細になるとともに、
粗大化が抑制されて長時間クリープ強度の低下を防止す
る。さらに、結晶粒を微細化し、靱性の改善にも有効で
ある。しかし、Nb含有量が0.002%未満では上記
効果が得られない。一方、0.2%を超えると鋼を著し
く硬化させて靱性、溶接性および加工性を損なう。した
がって、Nb含有量の範囲は0.002〜0.2%とす
るのがよい。望ましくは0.005〜0.1%である。
善に有効である。しかし、Ta含有量が0.002%未
満では上記効果が得られない。一方、0.2%を超える
と鋼を著しく硬化させて靱性、溶接性および加工性を損
なう。したがって、Ta含有量の範囲は0.002〜
0.2%とするのがよい。望ましくは0.005〜0.
03%である。
焼戻脆化改善効果も有する。しかし、W含有量が0.0
2%未満ではこの効果は得られない。一方、5%を超え
るとその効果が飽和するとともに、粗大な析出物が析出
して溶接性と靱性を損なう。したがって、W含有量の範
囲は0.02〜5%とするのがよい。望ましくは、2.
5%以下である。
効な元素である。しかし、B含有量が0.0001%以
下ではこの効果が得られない。一方、0.01%を超え
ると、旧オーステナイト粒界上への粗大炭化物の析出を
促進するため、強度や靱性低下の原因となる。したがっ
て、B含有量の範囲は0.0001〜0.01%とする
のがよい。
化作用を有する。しかし、Co含有量が0.01%未満
ではこの効果が得られない。一方、0.5%を超えると
高温クリープ強度を低下させる。また、経済性の点から
も過剰添加は好ましくない。したがって、Co含有量は
0.01〜0.5%とするのがよい。望ましくは0.2
%以下である。
善に寄与する。しかし、Ni含有量が0.01%未満で
はこの効果が得られない。一方、0.5%を超えると高
温クリープ強度や靱性を劣化させる。また、経済性の点
からも過剰添加は好ましくない。したがって、Ni含有
量は0.01〜0.5%とするのがよい。望ましくは
0.2%以下である。
性の向上に寄与する。しかし、Cu含有量が0.01%
未満ではこの効果は得られない。一方、0.5%を超え
ると高温クリープ強度や靱性を劣化させる。したがっ
て、Cu含有量は0.01〜0.5%とするのがよい。
望ましくは0.2%以下である。
し、Al含有量が0.001%未満では脱酸効果が得ら
れない。一方、0.05%を超えるとクリープ強度と加
工性を損なう。したがって、Al含有量の範囲は0.0
01〜0.05%とするのがよい。望ましくは0.01
5%以下である。
る。しかし、Siは焼戻脆化を助長し、Si含有量が
0.5%を超えると、焼戻後の靱性が著しく劣化する。
したがって、Si含有量の上限は0.5%とするのがよ
い。望ましくは0.3%以下である。
を向上させる。さらには、焼入性を向上させる。しか
し、1%を超えて含有させると、焼入後の靱性を著しく
劣化させる。したがって、Mn含有量の上限は1%とす
るのがよい。望ましくは0.8%以下である。
間加工後の鋼をAc3点以上で焼きならしをおこなった
後、水冷または空冷による焼入れが望ましい。これをA
c1点以下で焼戻をしてもよく、また焼入材をそのまま
焼戻なしで製品に供してもよい。さらに、溶接HAZ部
についても、本発明例で規定する組織を有していれば、
母材に匹敵する強度および耐焼戻脆化特性を有する。
なわれる応力緩和熱処理(SR)時のSR脆化感受性を
も低減する効果もあり、溶接が必要な部材としても好適
である。
0kg真空溶解炉で溶解し、鍛造して得たインゴットを
1200〜1000℃で鍛造、圧延して厚さ20mmの
鋼板とした。これら鋼板に、Ac3温度以上で焼きなら
しを施した後、焼入れ後の組織を変化させるため、焼入
れ温度および冷却速度を下記の範囲内で種々変化させて
焼入を施した。なお、冷却速度は、炉冷、空冷、油冷お
よび水冷等により変化させた。
度:0.02〜2℃/秒
子顕微鏡観察用の薄膜試料を作製し、透過電子顕微鏡観
察を用いて鋼中のマルテンサイト、下部ベイナイト、上
部ベイナイト、およびフェライトの体積率を測定した。
体積率は、透過電子顕微鏡10000倍の倍率で10視
野の観察をおこない、それらの平均値を求めた。
衝撃試験片を作製した。
度以下の温度範囲内で温度と保持時間を種々変化させて
焼戻し処理をおこない、シャルピー衝撃試験片を作成し
た。
5(mm)、2mmノッチのJIS4号試験片とした。
験をおこない、延性−脆性破面遷移温度vTsを求め、
焼入れ材の破面遷移温度vTsと焼戻し材の破面遷移温
度vTsとの差△Tを求め、焼戻し脆化感受性の評価指
標とした。なお、焼戻し材の破面遷移温度は、靱性劣化
が最も著しい(vTsが最大値となる)焼戻し条件で焼
戻した材料(焼戻し脆化材)のものである。
℃の場合は焼戻脆性が良好、△T>40℃の場合は耐焼
戻脆性が不芳と評価した。
板を、750または770℃の範囲の温度で焼戻処理を
実施し、常温引張強度を所定の値に揃えたのち、クリー
プ試験をおこなった。クリープ試験は直径6mm、GL
が30mmの試験片を用い、500℃で最長10000
hの試験をおこない、回帰計算により500℃×800
0hの平均クリープ破断強度を求めた。
4鋼が本発明鋼である。また、A〜P鋼および1´〜5
´鋼が比較鋼である。比較鋼の1´〜5´鋼は化学組成
は本発明例で規定する範囲内にあるが下部ベイナイトの
体積率が本発明で規定する範囲外にある比較鋼である。
ベイナイトを20〜100%含む組織の本発明鋼におい
ては、全て△Tはいずれも40℃以下に抑えられてい
る。このため、焼戻後の靱性値も良好である。さらに、
500℃×8000h時間のクリープ強度は245MP
a以上と、高温強度も良好である。
イナイト量と焼戻脆化感受性の指標ΔTとの関係を図に
示したものである。図1から明らかなように下部ベイナ
イト比率と△Tには一義的な関係があり、下部ベイナイ
ト比率20%以上の場合には、△Tは40℃以下であ
り、耐焼戻脆性が良好である。
い比較鋼においては、耐焼戻脆性、焼戻後の靱性、高温
強度のいずれかが不芳であることが分かる。
耐クリープ脆化に優れ、400℃以上の高温でのクリー
プ強度が高く、高温で長時間曝される構造材、さらには
溶接や加工後の残留応力除去熱処理が必要な構造材、ま
たは構造部材に好適で、優れた効果を発揮する。
図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.01〜0.25%、C
r:0.5〜3%、V:0.02〜0.5%、Mo:
0.01〜2.5%、Ti:0〜0.05%、N:0.
01%以下、P:0.03%以下およびS:0.015
%以下を含み、金属組織が、下部ベイナイト単相組織で
あるか、または20体積%以上の下部ベイナイト組織を
含み、残りがマルテンサイト組織または上部ベイナイト
組織の1方または双方を含む混合組織であることを特徴
とする耐焼戻脆性に優れた高強度低Crフェライト系耐
熱鋼。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP24420899A JP3470650B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 耐焼戻脆性に優れた高強度低Crフェライト系耐熱鋼 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24420899A JP3470650B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 耐焼戻脆性に優れた高強度低Crフェライト系耐熱鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001073065A true JP2001073065A (ja) | 2001-03-21 |
JP3470650B2 JP3470650B2 (ja) | 2003-11-25 |
Family
ID=17115381
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24420899A Expired - Lifetime JP3470650B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 耐焼戻脆性に優れた高強度低Crフェライト系耐熱鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3470650B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1637615A1 (en) * | 2004-09-16 | 2006-03-22 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Heat-resisting steel, heat treatment method for heat-resisting steel and high-temperature steam turbine rotor |
-
1999
- 1999-08-31 JP JP24420899A patent/JP3470650B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1637615A1 (en) * | 2004-09-16 | 2006-03-22 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Heat-resisting steel, heat treatment method for heat-resisting steel and high-temperature steam turbine rotor |
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---|---|
JP3470650B2 (ja) | 2003-11-25 |
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