JP2001072416A - ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液、ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型酸化物薄膜 - Google Patents
ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液、ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型酸化物薄膜Info
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Abstract
る上に、特に塗布後のストリエーションの問題のないペ
ロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液と、この原料
溶液を用いるペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法及
びペロブスカイト型酸化物薄膜を提供する。 【解決手段】 Pbを含有するペロブスカイト型酸化物
薄膜を成膜するための原料溶液において、該溶液中にシ
リコーンを含有するペロブスカイト型酸化物薄膜形成用
原料溶液。この原料溶液を基板に塗布した後、焼成する
ペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法。この方法で形
成されたペロブスカイト型酸化物薄膜。
Description
光学的性質により各種の誘電体デバイスへの応用が期待
できる金属酸化物系のペロブスカイト型酸化物薄膜を、
ゾルゲル法等により形成するためのPbを含有するペロ
ブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液、このペロブス
カイト型酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型酸
化物薄膜に関する。
酸鉛(PZT)及びそれにランタンをドープした(PL
ZT:PbxLa1-x(ZryTi1-y)1-X/4O3)はその
高い誘電率、優れた強誘電特性から種々の誘電体デバイ
スへの応用が期待されている。これらの金属酸化物薄膜
の成膜法としては、スパッタリング法、MOCVD法な
どがあるが、比較的安価で簡便に薄膜を作製する手法と
して、有機金属溶液を基板に塗布するゾルゲル法があ
る。
水分解性の化合物、その部分加水分解物及び/又はその
部分重縮合物を含有する原料溶液を基板に塗布し、塗膜
を乾燥させた後、例えば空気中で約400℃に加熱して
金属酸化物の膜を形成し、さらにその金属酸化物の結晶
化温度以上(例えば、約700℃)で焼成して膜を結晶
化させることにより強誘電体薄膜を成膜する方法であ
る。
属分解(MOD)法がある。MOD法では、熱分解性の
有機金属化合物、例えば、金属のβ−ジケトン錯体(例
えば、金属アセチルアセトネート)やカルボン酸塩(例
えば、酢酸塩)を含有する原料溶液を基板に塗布し、例
えば空気中又は含酸素雰囲気中等で加熱して、塗膜中の
溶媒の蒸発及び金属化合物の熱分解を生じさせて金属酸
化物の膜を形成し、さらに結晶化温度以上で焼成して膜
を結晶化させる。従って、原料化合物の種類が異なるだ
けで、成膜操作はゾルゲル法とほぼ同様である。
作が同じであるので、両者を併用した方法も可能であ
る。即ち、原料溶液が加水分解性の金属化合物と熱分解
性の金属化合物の両方を含有していてもよく、その場合
には塗膜の加熱中に原料化合物の加水分解と熱分解が起
こり、金属酸化物が生成する。
D法、及びこれらを併用した方法を包含して「ゾルゲル
法等」と称す。
しているという利点に加えて、膜の組成制御が容易で、
成膜厚みが比較的均一であるという優れた特長を有す
る。従って、比較的平坦な基板上に強誘電体薄膜を形成
するのには最も有利な成膜法であると言える。
金属アルコキシド又は有機酸塩が一般に使用されてい
る。また、これらの有機金属原料を溶解する溶媒として
は、アルコール、カルボン酸、エステル、ケトン、エー
テル、シクロアルカン、芳香族系溶媒等の有機溶媒があ
るが、水溶液等の無機溶媒でも良い。また、溶液中の金
属原料を安定化させるために、β−ジケトン類、ケトン
酸類、ケトン酸のメチル,プロピル,ブチル等の低級ア
ルキルエステル類、オキシ酸類、オキシ酸類の低級アル
キルエステル類、オキシケトン類、α−アミノ酸類、ア
ルカノールアミン類等の安定化剤を配合する場合もあ
る。
準として、原料溶液塗布後のストリエーションの有無が
挙げられる。原料溶液の経時安定性、成膜後の酸化物特
性(例えばボイドが無く緻密化されていること、クラッ
クが生じないこと、低温で結晶化すること、表面モフォ
ロジーが良好である等)が良好な原料溶液であっても、
ストリエーションが生じるために薄膜形成用原料として
用い得ない場合があり、また、限定されたスピン条件で
塗布する必要があるために、工業生産に不適当である場
合がある。
情に鑑みてなされたものであって、経時安定性、成膜後
の酸化物特性が良好である上に、特に塗布後のストリエ
ーションの問題のないペロブスカイト型酸化物薄膜形成
用原料溶液と、この原料溶液を用いるペロブスカイト型
酸化物薄膜の形成方法及びペロブスカイト型酸化物薄膜
を提供することを目的とする。
型酸化物薄膜形成用原料溶液は、Pbを含有するペロブ
スカイト型酸化物薄膜を成膜するための原料溶液におい
て、該溶液中にシリコーンを含有することを特徴とす
る。
問題のないペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液
を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、原料溶液中にシリ
コーンを含有させることにより、ストリエーションが解
消されることを見出し、本発明を完成させた。
ションが解消することの作用機構の詳細は明らかではな
いが、シリコーンは化学的安定性が非常に高く、他の有
機物と反応しにくいこと、及び非常に低い表面張力を有
するため、ストリエーションが消滅するものと考えられ
る。
金属又は2以上の成分金属を含む金属化合物、その部分
加水分解物並びにその部分重縮合物よりなる群から選ば
れる1種又は2種以上の金属化合物を有機溶媒又は無機
溶媒中に含有する溶液からなる。
は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイル及びメチル水素シリコーンオイルよりなる群
から選ばれる1種又は2種以上、好ましくは、ポリジメ
チルシロキサン及び/又はジメチルシロキサン、或い
は、ポリアルキレンオキシド変性シリコーン、極性シリ
コーン、ヒドロキシタイプシリコーン、カチオンタイプ
シリコーン及び両性タイプシリコーンよりなる群から選
ばれる1種又は2種以上、好ましくは、ポリアルキレン
オキシド変性シリコーンが挙げられる。
ppm以下であることが好ましい。
用原料溶液は、特に、PbとZr及び/又はTiを含有
するペロブスカイト型酸化物薄膜を成膜するための原料
溶液として好適である。
成方法は、このような本発明の原料溶液を基板に塗布し
た後、焼成することを特徴とする。
このような本発明の酸化物薄膜の形成方法により形成さ
れたものである。
説明する。
(Si−O−Si)を骨格としており、天然には存在し
ないポリマーで、その骨格構造、重合度、側鎖の有機基
を変えることにより、無色透明なオイル状物、弾性を示
すゴム状物、加熱により硬化するレジンが得られる。特
に、シリコーンオイルの分子構造は次の通りであり、そ
の反応性により非反応性シリコーンと反応性シリコーン
とに大別される。
キル基、フェニル基、水素、アラルキル基、プロピル基
を介在したポリアルキレンオキシ基、ヒドロキシ基、第
四級アンモニウム基、ビニル基などを示す。) 非反応性シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロ
キサンベースの一般オイル(ポリジメチルシロキサン又
はジメチルシロキサン)と主な下記の特殊オイルがあ
る。
ー ・ジメチルシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポ
リマー ・フェニルメチルシロキサンホモポリマー ・フェニルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコ
ポリマー ・フェニルメチルシロキサンオリゴマー(1,1,5,
5−テトラフェニル−1,3,3,5−テトラメチルト
リシロキサン) ・フェニルメチルシロキサンオリゴマー(1,1,3,
5,5−ペンタフェニル1,3,5−トリメチルトリシ
ロキサン) ・テトラクロロフェニルシルセスキオキサン−ジメチル
シロキサンコポリマー 有機変性シリコーンオイル ・アルキルメチルシロキサンコポリマー(ポリオクチル
メチルシロキサン、ポリテトラデシルメチルシロキサ
ン、ポリオクタデシルメチルシロキサン) ・アルキルメチルシロキサン−アラルキルメチルシロキ
サンコポリマー(エチルメチル−2−フェニルプロピル
メチル、ヘキシルメチル−2−フェニルプロピルメチ
ル、デシルメチル−ブチル化アリロキシプロピルメチ
ル、ドデシルメチル−2−フェニルプロピルメチル) ・アルキルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポ
リマー(オクタデシルメチル−ジメチルシロキサン、ト
リアコンチルメチル−ジメチルシロキサン) ・ジアルキルシロキサンホモポリマー(ジシクロペンチ
ルシロキサン) フロロシリコーンオイル ・ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロ
キサン) ・3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン
−ジメチルシロキサンコポリマー ・ビス(トリデカフロロオクチル)テトラメチルシロキ
サン ・フロロカーボン−フロロシリコーングリース 親水性シリコーンオイル (1) ポリアルキレンオキシド変性シリコーン ・ジメチルシロキサン−エチレンオキシドブロックコポ
リマー ・ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチ
レンオキサイド)ブロックコポリマー (2) 極性シリコーン ・(N−ピロリドンプロピル)メチルシロキサン−ジメ
チルシロキサンコポリマー ・シアノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー (3) ヒドロキシ及びカチオンタイプシリコーン ・ヒドロキシシリコーン ・カチオニックシリコーン (4) 両性タイプシリコーン ・ドデシルメチルシロキサン−ヒドロキシポリアルキレ
ンオキシプロピルメチルシロキサンコポリマー 低温用シリコーンオイル ・ジエチルシリコーンオイル(トリエチルシロキシ末端
ポリジエチルシロキサン) ・分岐シリコーンオイル(トリエチルシロキシ末端ポリ
ジエチルシロキサン) また、主な反応性シリコーンオイルは次の通りである。
サン ・ビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー ・ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン ・ビニル末端トリクロロプロピルメチルシロキサン−ジ
メチルシロキサンコポリマー ・ビニル末端ジエチルシロキサン−ジメチルシロキサン
コポリマー ・ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリ
マー、トリメチルシロキシ基末端 ・ビニルガム(ジメチルシロキサン) ・ビニルQレジンディスパージョン ・ビニルメチルシロキサンホモポリマー ・ビニルT構造ポリマー ・ビニルメチルシロキサン三元ポリマー ・ビニルメトキシシロキサンホモポリマー <2> Hシリコーン ・H末端ポリジメチルシロキサン ・メチルHシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー ・ポリメチルHシロキサン ・ポリエチルHシロキサン ・ポリフェニル(ジメチルHシロキシ)シロキサンH末
端 ・メチルHシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポ
リマー ・メチルHシロキサン−オクチルメチルシロキサンコポ
リマー ・HシロキサンQレジン <3> シラノールシリコーン ・シラノール末端ポリジメチルシロキサン ・シラノール末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロ
キサンコポリマー ・シラノール末端ポリジフェニルシロキサン ・シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキ
サン <4> アミノシリコーン ・アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン ・アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー ・アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー ・アミノエチルアミノイソブチルメチルシロキサン−ジ
メチルシロキサンコポリマー ・アミノエチルアミノプロピルメトキシシロキサン−ジ
メチルシロキサンコポリマー ・(テトラメチルピペリジニル)オキシプロピルメチル
シロキサン <5> エポキシシリコーン ・エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキ
サン ・(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン
−ジメチルシロキサンコポリマー <6> カルビノールシリコーン ・カルビノール(ヒドロキシ)末端ポリジメチルシロキ
サン <7> メタクリレート・アクリレートシリコーン ・メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン ・アクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン ・(メタクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメ
チルシロキサンコポリマー ・(アクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチ
ルシロキサンコポリマー ・メタクリロキシプロピルT構造シロキサン <8> メルカプトシリコーン ・(メルカプトプロピル)メチルシロキサン−ジメチル
シロキサンコポリマー <9> クロロプロピルシリコーン ・(クロロプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロ
キサンコポリマー <10> カルボキシルシリコーン ・(カルボキシプロピル)ジメチル末端ポリジメチルシ
ロキサン ・コハク酸無水物末端ポリジメチルシロキサン <11> 加水分解性シリコーン ・クロル末端ポリジメチルシロキサン ・ジアセトキシメチル末端ポリジメチルシロキサン ・ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサン ・メトキシ末端ポリジメチルシロキサン ・メトキシメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポ
リマー(メトキシ末端分岐ポリマー) <12> マクロマー:片末端反応性シリコーン ・ビニル片末端 ・メタクリロキシ片末端 ・カルビノール片末端 ・エポキシ片末端 ・アリル−トリメチルシロキサン末端PEO ・メタクリロキシ−トリメチルシロキシ末端PEO ・カルボキシデシル片末端 <13> 反応性シリコーンエマルジョン ・シラノールエマルジョン ・ジアミノアルコキシシロキサンエマルジョン <14> 水系−シルセスキオキサンオリゴマー これらのシリコーンの中でも、常温で流動性のあるシリ
コーンオイル、例えば、25℃の粘度が10〜1000
0cSt程度のシリコーンオイルが取り扱い性の面で好
ましく、その中でも特に一般のシリコーンオイル(ポリ
ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン)、親水性シ
リコーンオイルが、入手性、溶解性、純度、コストの面
から適している。
のを用いても良く、原料溶液中でシリコーンを調製して
も良い。原料溶液中でシリコーンを調製する場合には、
次のようなシリコーン用触媒、修飾剤及び架橋剤を原料
溶液中に配合することができる。
トラメチル−シクロテトラシロキサン (2-2) 接着向上剤 ・アリルトリメトキシシラン (2-3) 特殊架橋剤 ・1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラキス
(ジメチルシロキシ)−ジシロキサン (2-4) ゲル硬度及び指触乾燥度調節用希釈剤 ・ポリジメチルシロキサン ・ポリオクチルメチルシロキサン (3) 縮合硬化シリコーン用架橋剤 (3-1) アセトキシタイプ架橋剤 ・ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン ・エチルトリアセトキシシラン ・メチルトリアセトキシシラン ・メチルトリアセトキシシラン−エチルトリアセトキシ
シラン混合物 ・ビニルトリアセトキシシラン (3-2) アルコキシタイプ架橋剤 ・ビス(トリエトキシシリル)エタン ・メチルトリエトキシシラン ・メチルトリメトキシシラン ・テラトエトキシシラン ・テトラ−n−プロポキシシラン ・ビニルトリメトキシシラン (3-3) オキシムタイプ架橋剤 ・メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン ・ビニルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン (3-4) フェノキシ(アセトン)タイプ架橋剤 ・ビニルトリイソプロペノキシシラン (3-5) アミノ及びベンゾアミドタイプ架橋剤 ・ビス(N−メチルベンゾアミド)エトキシメチルシラ
ン ・トリス(シクロヘキシルアミノ)メチルシラン このようなシリコーンの原料溶液中の含有量は1000
ppm以下とするのが好ましい。シリコーンの含有量が
1000ppmを超えるとSiを意図的に含有させない
場合では、ペロブスカイト酸化物薄膜にSiのドーピン
グ効果が認められる可能性があるため好ましくない。シ
リコーンの含有量が少な過ぎると十分なストリエーショ
ン防止効果が得られないため、シリコーンは特に、原料
溶液に対して1〜100ppm添加するのが好ましい。
薄膜は、Pbを含有する酸化物材料である。かかるペロ
ブスカイト型酸化物薄膜の例としては、PbとZr及び
/又はTiとからなるペロブスカイト型酸化物薄膜(チ
タン酸ジルコン酸鉛:PZT薄膜)が挙げられる。
含有させることができる。ドープ元素の例としては、C
a、Sr、Ba、Hf、Sn、Th、Y、Sm、Dy、
Ce、Bi、Sb、Nb、Ta、W、Mo、Cr、C
o、Ni、Fe、Cu、Si、Ge、U、Sc、V、P
r、Nd、Eu、Gd、Tb、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、Laなどが挙げられ、その含有量は薄膜中の
金属原子の原子分率で0.1以下とするのが好ましい。
ール、カルボン酸、エステル、ケトン、エーテル、シク
ロアルカン、芳香族系溶媒などが挙げられ、このうち、
アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、
2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロ
パノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−
メチル−2−ペンタノールなどのアルカノール類、シク
ロヘキサノールといったシクロアルカノール類、ならび
に2−メトキシエタノール、1−エトキシ−2−プロパ
ノールといったアルコキシアルコール類が使用できる。
酪酸、α−メチル酪酸、i−吉草酸、2−エチル酪酸、
2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3
−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペ
ンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン
酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペ
ンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2−エチルヘ
キサン酸、3−エチルヘキサン酸などが挙げられる。
酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢
酸tert−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミ
ル、酢酸sec−アミル、酢酸tert−アミル、酢酸
イソアミルなどが挙げられる。
エチルエトン、メチルイソブチルケトンが挙げられ、エ
ーテル系溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテルといった鎖式エーテル、並びにテトラヒドロフラ
ン、ジオキサンといった環式エーテルが挙げられる。ま
た、シクロアルカン系溶媒としては、シクロヘプタン、
シクロヘキサンなどが挙げられ、芳香族系溶媒として
は、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
媒に限らず、水、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニアの水溶
液等の無機溶媒であっても良い。
定化剤としてβ−ジケトン類を配合するのが好ましく、
安定化剤の配合により、原料溶液の加速分解速度、重縮
合速度が抑えられ、その保存安定性が改善される。この
場合、安定化剤としてのβ−ジケトン類の添加量は、原
料溶液中に存在する金属元素の合計原子数に対するβ−
ジケトン類の分子数で0.1〜5倍の量が好ましく、よ
り好ましくは0.2〜3倍である。β−ジケトン類は添
加量が多すぎると安定性の低下が危惧され、少なすぎる
とβ−ジケトン類の効果が十分に得られない。使用する
β−ジケトン類としては、アセチルアセトン、ベンゾイ
ルアセトン、ジベンゾイルアセトン、ジイソブチルメタ
ン、ジピバロイルメタン、3−メチルペンタン−2,4
−ジオン、2,2−ジメチルペンタン−3,5−ジオ
ン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、トリ
フルオロアセチルアセトン等が挙げられるが、これらの
中でも特に経済性、膜の緻密性、ハロゲン化物を含まな
い等の観点からアセチルアセトンが望ましい。
溶液の製造工程のどの段階で添加しても良いが、後述す
る共沸蒸留を行う場合には、この蒸留後に添加すること
が好ましい。また、金属アルコキシドの部分加水分解を
行う場合には、その前にβ−ジケトン類を添加しておく
方が、加水分解速度の制御が容易となることから好まし
い。なお、β−ジケトン類を添加した場合には、塗布後
の加水分解を促進させるために、原料溶液に少量の水を
添加しても良い。
用原料溶液は、シリコーンを配合すること以外は常法に
従って調製することができる。
2以上の成分金属を含む金属化合物、その部分加水分解
物並びにその部分重縮合物を用いることができるが、特
に好ましい金属化合物は、加水分解性又は熱分解性の有
機金属化合物である。例えば、アルコキシド、有機酸
塩、β−ジケトン錯体などが代表例であるが、金属錯体
については、アミン錯体をはじめとして、各種の他の錯
体も利用できる。ここでβ−ジケトンとしては、アセチ
ルアセトン(=2,4−ペンタンジオン)、ヘプタフル
オロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタ
ン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセト
ンなどが挙げられる。
を示すと、鉛化合物及びランタン化合物としては酢酸塩
(酢酸鉛、酢酸ランタン)などの有機酸塩並びにジイソ
プロポキシ鉛などのアルコキシドが挙げられる。チタン
化合物としては、テトラエトキシチタン、テトライソプ
ロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラi
−ブトキシチタン、テトラt−ブトキシチタン、ジメト
キシジイソプロポキシチタンなどのアルコキシドが好ま
しいが、有機酸塩又は有機金属錯体も使用できる。ジル
コニウム化合物は上記チタン化合物と同様である。
な1種類の金属を含有する化合物の他に、2種以上の成
分金属を含有する複合化した金属化合物であってもよ
い。かかる複合化金属化合物の例としては、PbO
2〔Ti(OC3H7)3〕2、PbO2〔Zr(OC4H9)
3〕2などが挙げられる。
チタンアルコキシドを、Zr原料化合物としてジルコニ
ウムアルコキシドを、また、Pb原料化合物として酢酸
鉛3水和物及び/又は酢酸鉛無水物をそれぞれ用いるこ
とが好ましい。
して使用する金属化合物を、有機溶媒又は無機溶媒に溶
解し、好ましくは、安定化剤としてβ−ジケトン類を添
加して、更にシリコーンを添加して、形成するペロブス
カイト型酸化物薄膜の複合金属酸化物(2以上の金属を
含有する酸化物)の前駆体を含有する原料溶液を調製す
る。
合は、成膜しようとするペロブスカイト型酸化物薄膜の
金属原子比とほぼ同じでよい。但し、一般に鉛化合物は
揮発性が高く、金属酸化物に変化させるための加熱中又
は結晶化のための焼成中に蒸発による鉛の欠損が起こる
ことがある。そのため、この欠損を見越して、鉛をやや
過剰(例えば、2〜20%過剰)に存在させても良い。
この鉛の欠損の程度は、鉛化合物の種類や成膜条件によ
って異なり、予め実験により求めることができる。
限されず、利用する塗布法や部分加水分解の有無によっ
ても異なるが、一般に金属酸化物換算の合計金属含有量
として0.1〜20重量%の範囲が好ましい。
は無機溶媒中に溶解させた溶液は、そのまま原料溶液と
してゾルゲル法等による成膜に使用することができる。
或いは、造膜を促進させるため、この溶液を加熱して、
加水分解性の金属化合物(例えば、アルコキシド)を部
分加水分解ないし部分重縮合させて成膜に使用してもよ
い。即ち、この場合には、原料溶液は、少なくとも一部
の金属化合物については、その部分加水分解物及び/又
は部分重縮合物を含有することになる。
を制御して、完全に加水分解が進行しないようにする。
完全に加水分解すると、原料溶液の安定性が著しく低下
し、ゲル化し易くなる上、均一な成膜も困難となる。加
熱条件としては、温度80〜200℃で、0.5〜50
時間程度が適当である。加水分解中に、加水分解物が−
M−O−結合(M=金属)により部分的に重縮合するこ
とがあるが、このような重縮合は部分的であれば許容さ
れる。
ボン酸塩の両者を含有する場合には、金属アルコキシド
と混合する前に、金属カルボン酸塩に付随する結晶水を
除去しておくことが好ましい。この結晶水の除去は、金
属カルボン酸だけをまず溶媒に溶解させ、この溶液を蒸
留して溶媒との共沸蒸留により脱水することにより実施
できる。従って、この場合の溶媒は水と共沸蒸留可能な
ものを使用する。金属カルボン酸塩の結晶水を除去せず
に金属アルコキシドと混合すると、金属アルコキシドの
加水分解が進行しすぎたり、その制御が困難となること
があり、部分加水分解後に沈殿を生ずることがある。
物薄膜形成用原料溶液によれば、従来のゾルゲル法等と
同様にして、本発明の方法に従って、次のような手順に
従ってペロブスカイト型酸化物薄膜を成膜することがで
きる。
膜形成用原料溶液を基板上に塗布する。塗布は、スピン
コーティングにより行うのが一般的であるが、ロール塗
布、噴霧、浸漬、カーテンフローコート、ドクターブレ
ードなど他の塗布法も適用可能である。塗布後、塗膜を
乾燥させ、溶媒を除去する。この乾燥温度は溶媒の種類
によっても異なるが、通常は80〜200℃程度であ
り、好ましくは100〜180℃の範囲でよい。但し、
原料溶液中の金属化合物を金属酸化物に転化させるため
の次工程の加熱の際の昇温中に、溶媒は除去されるの
で、塗膜の乾燥工程は必ずしも必要とされない。
加熱し、有機金属化合物を完全に加水分解又は熱分解さ
せて金属酸化物に転化させ、金属酸化物からなる膜を形
成する。この加熱は、一般に加水分解の必要なゾルゲル
法では水蒸気を含んでいる雰囲気、例えば、空気又は含
水蒸気雰囲気(例えば、水蒸気を含有する窒素雰囲気)
中で行われ、熱分解させるMOD法では含酸素雰囲気中
で行われる。加熱温度は、金属酸化物の種類によっても
異なるが、通常は150〜550℃の範囲であり、好ま
しくは、300〜450℃である。加熱時間は、加水分
解及び熱分解が完全に進行するように選択するが、通常
は1分ないし2時間程度である。
ロブスカイト型酸化物薄膜に必要な膜厚とすることは難
しい場合が多いので、必要に応じて、上記の塗布と(乾
燥と)仮焼を繰返して、所望の膜厚の金属酸化物の膜を
得る。こうして得られた膜は、非晶質であるか、結晶質
であっても結晶性が不十分であるので、分極性が低く、
強誘電体薄膜として利用できない。そのため、最後に結
晶化アニール工程として、その金属酸化物の結晶化温度
以上の温度で焼成して、ペロブスカイト型の結晶構造を
持つ結晶質の金属酸化物薄膜とする。なお、結晶化のた
めの焼成は、最後に一度で行うのではなく、各塗布した
塗膜ごとに、上記の仮焼に続けて行ってもよいが、高温
での焼成を何回も繰返す必要があるので、最後にまとめ
て行う方が経済的には有利である。
0〜800℃の範囲であり、例えば500〜750℃で
ある。従って、基板としては、この焼成温度に耐える程
度の耐熱性を有するものを使用する。結晶化のための焼
成(アニール)時間は、通常は1分から2時間程度であ
り、焼成雰囲気は特に制限されないが、通常は空気又は
酸素である。
形成に用いられる耐熱性の基板材料としては、シリコン
(単結晶又は多結晶)、白金、ニッケルなどの金属類、
酸化ルテニウム、酸化イリジウム、ルテニウム酸ストロ
ンチウム(SrRuO3)又はコバルト酸ランタンスト
ロンチウム((LaXSr1-X)CoO3)などのぺロブ
スカイト型導電性酸化物など、石英、窒化アルミニウ
ム、酸化チタンなどの無機化合物が挙げられる。キャパ
シター膜の場合には、基板は下部電極であり、下部電極
としては、例えば、Pt、Pt/Ti、Pt/Ta、R
u、RuO2、Ru/RuO2、RuO2/Ru、Ir、
IrO2、Ir/IrO2、Pt/Ir、Pt/Ir
O2、SrRuO3又は(LaXSr1-X)CoO3などの
ぺロブスカイト型導電性酸化物などとすることができる
(なお、「/」を用いた2層構造のものは「上層/下
層」として示してある。)。
スカイト型酸化物薄膜の膜厚は、誘導体デバイスの用途
によっても異なるが、通常は500〜4000Å程度が
好ましく、得られた強誘電体薄膜は、各種の誘導体デバ
イスに有用である。
り具体的に説明する。
合物は次の通りである。
物とを表1に示す溶媒に溶解し、結晶水を共沸脱水した
後(脱水後に酢酸鉛の沈殿が生じる場合があるが、沈殿
があっても良い)、更に、溶媒で希釈し(酢酸鉛は完全
に溶解しなくても良い)、次いで、ジルコニウムテトラ
n−ブトキシドとチタンテトライソプロポキシドを添加
して、金属原子比がPb/La/Zr/Ti=110/
1/52/48となるように調合した(この時点で金属
化合物が完全に溶解していなくても良い)。
(この時点で金属化合物は完全に溶解される)、安定化
剤としてアセチルアセトンを原料溶液中に存在する金属
元素の合計原子数に対して1倍の分子数となる量添加し
た。
更に溶媒を少量添加して濃度調整した後、表1に示すシ
リコーンを表1に示す量添加して(ただし、比較例1〜
4ではシリコーン添加せず)酸化物換算で5重量%濃度
の金属化合物を含有するゾルゲル液を得た。
iO2(5000Å)/Si(100)ウェーハの基板
上にスビンコート法により塗布し(3000rpm、1
5秒)、400℃で5分間空気中で仮焼した。この塗
布、仮焼を6回繰返して行った後、700℃で1分間酸
素雰囲気中で焼成して結晶化アニール処理して強誘電体
薄膜を形成した。
膜のペロブスカイト相への結晶化の有無を調べ、結果を
表1に示した。
各ゾルゲル液をPt(2000Å)/SiO2(500
0Å)/Si(100)ウェーハの基板上にスビンコー
ト法により塗布し(2000rpm,3000rpm,
4000rpm、15秒)、400℃で5分間空気中で
仮焼したもの(1回塗り)について光学顕微鏡で観察す
ることにより調べた。
り、成膜性や結晶化等に悪影響を及ぼすことなく、スト
リエーションを解消することができることがわかる。
時安定性、成膜後の酸化物特性が良好である上に、特に
塗布後のストリエーションの問題のないペロブスカイト
型酸化物薄膜形成用原料溶液により、高特性ペロブスカ
イト型酸化物薄膜が提供される。
Claims (10)
- 【請求項1】 Pbを含有するペロブスカイト型酸化物
薄膜を成膜するための原料溶液において、 該溶液中にシリコーンを含有することを特徴とするペロ
ブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。 - 【請求項2】 請求項1において、各成分金属又は2以
上の成分金属を含む金属化合物、その部分加水分解物並
びにその部分重縮合物よりなる群から選ばれる1種又は
2種以上の金属化合物を有機溶媒又は無機溶媒中に含有
する溶液からなることを特徴とするペロブスカイト型酸
化物薄膜形成用原料溶液。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、シリコーンが
ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーン
オイル及びメチル水素シリコーンオイルよりなる群から
選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするペロ
ブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。 - 【請求項4】 請求項3において、シリコーンがポリジ
メチルシロキサン及び/又はジメチルシロキサンである
ことを特徴とするペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原
料溶液。 - 【請求項5】 請求項3において、シリコーンがポリア
ルキレンオキシド変性シリコーン、極性シリコーン、ヒ
ドロキシタイプシリコーン、カチオンタイプシリコーン
及び両性タイプシリコーンよりなる群から選ばれる1種
又は2種以上であることを特徴とするペロブスカイト型
酸化物薄膜形成用原料溶液。 - 【請求項6】 請求項5において、シリコーンがポリア
ルキレンオキシド変性シリコーンであることを特徴とす
るペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液。 - 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項におい
て、シリコーンの含有量が1000ppm以下であるこ
とを特徴とするペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料
溶液。 - 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項におい
て、PbとZr及び/又はTiを含有するペロブスカイ
ト型酸化物薄膜を成膜するための原料溶液であることを
特徴とするペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶
液。 - 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載
される原料溶液を基板に塗布した後、焼成することを特
徴とするペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法。 - 【請求項10】 請求項9の方法で形成されたペロブス
カイト型酸化物薄膜。
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