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JP2001043792A - 電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示器 - Google Patents

電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示器

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Publication number
JP2001043792A
JP2001043792A JP24915199A JP24915199A JP2001043792A JP 2001043792 A JP2001043792 A JP 2001043792A JP 24915199 A JP24915199 A JP 24915199A JP 24915199 A JP24915199 A JP 24915199A JP 2001043792 A JP2001043792 A JP 2001043792A
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JP
Japan
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carbon
emitter
forming
cathode conductor
electron emission
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JP24915199A
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Shigeo Ito
茂生 伊藤
Tatsuo Yamaura
辰雄 山浦
Gentaro Tanaka
源太郎 田中
Hirokazu Takanashi
浩和 高梨
Yasuo Tanabe
泰雄 田辺
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Original Assignee
Futaba Corp
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Publication date
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノパ
ーティクル、ナノカプセル及びカーボンナノホーンの中
の少なくとも一つを有するカーボン材料を用いて、廉価
にして、低電圧駆動で高効率な電子放出を可能にするこ
と。 【解決手段】 絶縁基板101、カソード導体102及
びカーボンナノチューブを含むペースト状カーボン層を
積層形成した後、乾燥、焼成する。次に、カーボン層に
刃で筋入れを行うことにより、筋の壁部302からカー
ボンナノチューブが露出したエミッタ301を形成す
る。その後、リブ状ゲート電極404を形成することに
より電子放出源が完成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出する電
子放出源の製造方法、これによって製造した電子放出源
及び前記電子放出源を使用した蛍光発光型表示器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電界の作用によって電子を放出する電界
電子放出源は、熱エネルギーを利用する電子源(熱電子
放出源)に比べ、省エネルギーで長寿命化が可能等、優
れた点が多い。現在よく使われている電界電子放出源の
材料としては、シリコン等の半導体、タングステン、モ
リブデンなどの金属、ダイヤモンドライクカーボン(D
LC;Diamond−Like Carbon)等が
知られている。
【0003】電界放出現象は、金属または半導体表面の
印加電界を10V/m程度にするとトンネル効果によ
り障壁を通過して常温でも真空中に電子放出が行われる
現象である。このため、電子を放出する電子放出材料に
よって形成された電子放出素子へ引出し電極(以下ゲー
ト電極という)から、いかに高い電界を印加できるかが
その引き出し電流を決定する。
【0004】一方、電子放出素子が鋭利な先端を持つほ
ど、該電子放出素子に印加される電界強度が高くなるこ
とが知られている。このためには、前記の半導体や金属
等の電子放出部の先端を鋭利な針状に加工することが必
要となる。しかしながら、前記半導体や金属等の先端を
鋭利な針状に加工することは容易でなく又、高解像度の
露光装置等、大規模な装置が必要になるため極めて高価
になるという問題がある。また、カソード導体とゲート
電極間電圧(引出し電圧)が10数V以下で電子を放出
させることは困難であり、低消費電力化に限界があると
いう問題がある。
【0005】以上の点から、最近、カーボンナノチュー
ブが電子放出材料として注目されつつある。カーボンナ
ノチューブはその外径が1〜数10nmと微細で、形状
的には低電圧で電子放出を行わせるのに十分な構造形態
を持ち、その材料であるカーボンは化学的に安定、機械
的にも強靱であるという特徴を持つため、電子放出材料
としては、理想的な材料である。したがって、例えば、
特開平10−31954号公報に記載されているよう
に、カーボンナノチューブを含むペースト材料をカソー
ド導体上、あるいは前記カソード導体上に被着された抵
抗層上に印刷後、焼成してエミッタを形成し、その上方
にリブ状ゲート電極等のゲート電極を配置することによ
って電子放出源を形成することができる。
【0006】また、前記電子放出源に対向するように蛍
光体を被着したアノード電極を設けて、これらを真空気
密容器内に配設することによって蛍光発光型表示器を形
成すれば、カソード導体に対して、前記ゲート電極及び
アノード電極を所定の正電位に駆動することによって、
前記カーボンナノチューブからの放出電子により前記蛍
光体を励起発光表示させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の電子放出源
の製造方法においては、カーボンナノチューブを含むカ
ーボン材料をペースト化し、このペースト材料を印刷形
成後、乾燥、焼成するにすぎないため、前記カーボン材
料をペースト化するための溶剤に含まれる成分が焼成後
も残存し、これがカーボンナノチューブの表面を覆った
状態でエミッタが形成されるため、前記エミッタの仕事
関数が高くなってしまう。よって、低電圧での電子放出
が困難になり又、電子放出効率が低いという問題があっ
た。
【0008】この問題を解決する方法として、エミッタ
表面をエッチング処理することにより、前記焼成後に残
存する溶剤成分等を除去する方法も考えられるが、電子
放出源の構造上、十分なエッチング処理を施すには限界
があり又、エッチング処理工程の付加によりコストアッ
プするという問題があった。
【0009】また、カーボンナノチューブ以外にも微少
なカーボン材料としてフラーレン、ナノパーティクル、
ナノカプセルあるいはカーボンナノホーン等が注目され
ているが、これらのペースト材料を用いてエミッタを形
成した場合にも、前記同様に、前記溶剤に含まれる成分
がカーボンナノチューブの表面を覆った状態でエミッタ
が形成され、廉価にして低電圧で高効率に電子放出を生
じさせることが困難であるという問題があった。したが
って、前記方法で得られた電子放出源を蛍光発光型表示
器に使用した場合に、廉価にして低電圧の駆動では高輝
度な発光表示を得ることが困難であるという問題があっ
た。
【0010】本発明は、前記問題点に鑑み成されたもの
で、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノパーティ
クル、ナノカプセル及びカーボンナノホーンの中の少な
くとも一つを有するカーボン材料を用いて、廉価にし
て、低電圧駆動で高効率な電子放出を可能にすることを
課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、絶縁基
板と、前記絶縁基板上に形成されたカソード導体と、前
記カソード導体に電気的に接続して形成されたエミッタ
と、前記エミッタから離間して配設されたゲート電極と
を備えて成る電子放出源の製造方法において、前記絶縁
基板に前記カソード導体を被着する工程と、前記カソー
ド導体に、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノパ
ーティクル、ナノカプセル及びカーボンナノホーンの中
の少なくとも一つを有するカーボン材料を含むペースト
材料を被着してカーボン層を形成する工程と、前記カー
ボン層内に複数の壁部を形成することにより前記カーボ
ン層を形成するカーボン材料の内部及び新鮮面を露出さ
せて前記エミッタを形成する工程と、前記エミッタから
離間する位置に前記ゲート電極を形成する工程とを備え
て成ることを特徴とする電子放出源の製造方法が提供さ
れる。
【0012】また、本発明によれば、絶縁基板と、前記
絶縁基板上に形成されたカソード導体と、前記カソード
導体に電気的に接続して形成されたエミッタと、前記エ
ミッタから離間して配設されたゲート電極を備えて成る
電子放出源の製造方法において、前記絶縁基板に前記カ
ソード導体を被着する工程と、前記カソード導体に抵抗
層を被着する工程と、前記抵抗層に、カーボンナノチュ
ーブ、フラーレン、ナノパーティクル、ナノカプセル及
びカーボンナノホーンの中の少なくとも一つを有するカ
ーボン材料を含むペースト材料を被着してカーボン層を
形成する工程と、前記カーボン層内に複数の壁部を形成
することにより前記カーボン層を形成するカーボン材料
の内部及び新鮮面を露出させて前記エミッタを形成する
工程と、前記エミッタから離間する位置に前記ゲート電
極を形成する工程とを備えて成ることを特徴とする電子
放出源の製造方法が提供される。
【0013】ここで、前記カーボン層内に複数の壁部を
形成することにより前記カーボン層を形成するカーボン
材料を露出させて前記エミッタを形成する工程は、機械
的、熱的又は電気的処理によって前記エミッタに筋又は
亀裂を形成する工程を採用することができる。さらに、
本発明によれば、カソード導体とゲート電極間にエミッ
タを配設し、前記カソード導体とゲート電極間に電圧を
印加することにより前記エミッタから電子を放出する電
子放出源において、前記エミッタは、カーボンナノチュ
ーブ、フラーレン、ナノパーティクル、ナノカプセル及
びカーボンナノホーンの中の少なくとも一つを有するカ
ーボン材料を、直接又は抵抗層を介して前記カソード導
体に被着されると共に、その内側に複数の壁部を有し、
前記壁部からカーボン材料が露出して成ることを特徴と
する電子放出源が提供される。
【0014】また、本発明によれば、電子放出源及び蛍
光体が被着されたアノード電極を真空気密容器内に配設
し、前記電子放出源から放出される電子を前記蛍光体に
射突させることにより発光表示を行う蛍光発光型表示器
において、電子放出源として、前記電子放出源を使用し
たことを特徴とする蛍光発光型表示器が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施の形態について説明する。尚、各図において同一部分
には同一符号を付している。図1乃至図4は、本発明の
第1の実施の形態に係る電子放出源の製造方法を説明す
るための側断面図である。
【0016】先ず、図1において、硼珪酸ガラス等の絶
縁基板101上に、銀ペーストをスクリーン印刷により
形成し、焼成することによって、カソード導体102を
被着形成する。次に、図2に示すように、カーボンナノ
チューブを有するカーボン材料を含むペースト材料を、
スクリーン印刷によりカソード導体102上に塗布し
て、カーボンナノチューブを有するカーボン層201を
形成する。尚、前記カーボンナノチューブを含むペース
ト材料としては、例えば、アーク放電法によって生成し
たカーボンナノチューブを含むカーボン材料を有機溶剤
中に混入し、これを超音波によって良く分散させて印刷
性の良いペーストに仕上げたものを使用することができ
る。その後、カーボン層201を乾燥、焼成することに
よって、カーボン層201の有機溶剤を蒸発させて、カ
ーボン層201をカソード導体201に被着形成する。
【0017】次に、厚みが数μm程度の先端部を有する
刃あるいは針等の先端が鋭利な部材を用いて、カーボン
層201の表面から複数の筋入れを行うことにより、筋
を形成する。これにより、図3に示すように、その内側
に複数の筋を有し、前記筋の両側に形成された壁部30
2から露出するカーボンナノチューブを備えたエミッタ
301が形成され、絶縁基板101、カソード導体10
2及びエミッタ301が積層されたエミッタ基板303
が完成する。前記露出したカーボンナノチューブは、前
記溶剤に含まれる成分等によって覆われておらず、カー
ボンナノチューブ自身がむき出しの状態になり、エミッ
タ301内部のカーボン材料の新鮮な面が露出する。
尚、前記筋入れによって、カーボン層201を削り取っ
たカスや剥離物が生じるが、これを粘着テープ、エアブ
ロー又は、所定の溶液中に前記基板を載置して超音波洗
浄により除去する除去工程を設けることにより、前記カ
スや剥離物を除去する。
【0018】その後、図4に示すように、エミッタ基板
303上で各エミッタ301間の凹部内に、接着剤40
3、ガラス製絶縁層(リブ)402及びゲート電極40
1を積層被着することにより、リブ状ゲート電極404
を形成し、これにより電界放出型の電子放出源が完成す
る。尚、リブ状ゲート電極404の形成方法としては、
例えば、転写用基板(図示せず)上に、ゲート電極40
1を形成した後、ゲート電極401上に絶縁性リブ40
2を積層形成し、さらに絶縁性リブ402上に接着剤4
03を積層被着し、これらを、図4に示す位置に位置合
わせを行って転写するようにしてもよい。
【0019】このようにして得られた電子放出源におい
ては、カソード導体102とゲート電極401間に所定
の電圧を印加することにより、エミッタ301の上部表
面に形成されたカーボンナノチューブ及び壁部302か
ら露出したカーボンナノチューブに電界の集中が生じ
る。したがって、電子放出の開始電圧が低くなり、低電
圧で高効率に電子放出を生じさせることが可能になる。
尚、本第1の実施の形態においては、エミッタ301表
面に筋入れを行って壁部302を形成するための処理
を、リブ状ゲート電極404を形成する前に行うように
したが、リブ状ゲート電極404を形成した後に行うよ
うにしてもよい。
【0020】図5は、本発明の第2の実施の形態に係る
電子放出源の製造方法を説明するための側断面図であ
る。本第2の実施の形態と前記第1の実施の形態との相
違点は、前記第1の実施の形態が、絶縁基板101上に
カソード導体102を被着形成すると共にカソード導体
102にエミッタ301を直接被着形成しているのに対
し、本第2の実施の形態においては、絶縁基板101上
にカソード導体102を被着形成し、カソード導体10
2に抵抗層501を被着形成し、抵抗層501にエミッ
タ301を被着形成するようにしている点であり、その
他は同一である。前記のように、カソード導体102と
エミッタ301間に、抵抗層501を設けることによ
り、電子放出の安定化や、ゲート電極401とエミッタ
301が短絡した際の過電流の発生防止が可能になる。
【0021】図6及び図7は、本発明の第3の実施の形
態に係る電子放出源の製造方法を説明するための側断面
図である。先ず、図6において、硼珪酸ガラス等の絶縁
基板101上に、導電性金属のペースト材料を被着形成
してカソード導体601を形成する。このとき、カソー
ド導体601のペースト材料として、絶縁基板101の
熱膨張係数が大きく異なる導電性材料(例えば、Ag、
Al、C)を所定の粒子径に調整したペースト材料を使
用して、これを絶縁基板101上にスクリーン印刷した
後、焼成することによって、カソード導体601を被着
形成する。
【0022】次に、カーボンナノチューブを含むペース
ト材料を、スクリーン印刷によりカソード導体601上
に塗布することによりカーボン層201を形成し、その
後、カーボン層201を乾燥させることによって、カー
ボン層201とカソード導体601とを一体化する。
【0023】次に、400度C〜500度C程度で大気
焼成を行うことにより熱的処理を行う。熱的処理として
は、ヒータによる加熱やレーザ照射による加熱等の方法
を採用することができる。このとき、絶縁基板101と
カソード導体601の熱膨張係数が大きく異なるため、
カソード導体601に複数の亀裂が形成され、カソード
導体601と一体になったカーボン層201にも複数の
亀裂が形成される。これにより、その内側に複数の亀裂
を有し、前記亀裂の両側に形成された壁部702からカ
ーボンナノチューブ自身が露出したエミッタ701が形
成される。尚、カソード導体601は、前記複数の亀裂
以外の部分で連続しているため導電性が劣化する恐れは
ない。以上のようにして、エミッタ基板703が完成す
る。
【0024】その後、前記第1の実施の形態と同様にし
て、エミッタ基板703上で各エミッタ701間の凹部
内に、リブ状ゲート電極を形成し、これにより電界放出
型の電子放出源が完成する。尚、本第3の実施の形態に
おいても、前記第2の実施の形態と同様に、カソード導
体601とエミッタ701間に、抵抗層を設けるように
してもよい。この場合には、絶縁基板101と前記抵抗
層の熱膨張係数が大きく異なる材料(例えば、RuO
等)を選定して使用する。
【0025】図8は、本発明の第4の実施の形態に係る
電子放出源の製造方法を説明するための側断面図であ
る。本第4の実施の形態においては、カーボンナノチュ
ーブを含むカーボン材料の粉末を有機樹脂溶液に分散さ
せたペースト材料をカソード導体に塗布後、乾燥、焼成
を行うことにより熱的処理を行う。これにより、前記ペ
ースト材料に含まれる大きな有機材料の粒子間間隙の膨
張、縮小が不均一に起こって複数の亀裂が発生し、前記
亀裂の両側に形成された壁部にカーボンナノチューブ自
身が露出する。
【0026】即ち、図8において、硼珪酸ガラス等の絶
縁基板101上に、銀ペーストをスクリーン印刷により
形成し、焼成することによって、カソード導体102を
被着形成する。次に、カーボンナノチューブを含むカー
ボン材料の粉末を有機樹脂溶液に分散させたペースト材
料を、スクリーン印刷によりカソード導体102上に塗
布して、カーボンナノチューブを有するカーボン層を形
成する。
【0027】その後、絶縁基板101、カソード導体1
02及びカーボン層が積層された基板全体を乾燥させた
後、熱的処理を行って焼成し、カーボン層に含まれる有
機材料を燃焼除去して、エミッタ801をカソード導体
102に被着形成する。このとき、カーボン層に含まれ
る比較的大きな有機材料の粒子間間隙の膨張、縮小が不
均一に起こり、カーボン層は、その全域にわたって複数
の亀裂が生じた状態で固まる。したがって、内側に複数
の亀裂を有するエミッタ801が形成され、前記亀裂の
両側に形成された壁部803からは、カーボンナノチュ
ーブ自身が露出する。これにより、絶縁基板101、カ
ソード導体102及びエミッタ801が積層されたエミ
ッタ基板802が完成する。
【0028】その後、前記第1の実施の形態と同様にし
て、エミッタ基板802上で各エミッタ801間の凹部
内に、リブ状ゲート電極を形成し、これにより電界放出
型の電子放出源が完成する。本第4の実施の形態におい
ても、前記第2の実施の形態と同様に、カソード導体1
02とエミッタ801間に、抵抗層を設けるようにして
もよい。尚、前記各実施の形態においては、ゲート電極
として、リブ状ゲート電極を形成するようにするように
したが、メッシュ状のゲート電極をエミッタから所定距
離離間して対面する位置に形成するようにしてもよい。
【0029】また、前記各実施の形態においては、エミ
ッタの材料としてカーボンナノチューブを有するカーボ
ン材料を使用したが、フラーレン、ナノパーティクル、
ナノカプセルあるいはカーボンナノホーンを含むカーボ
ン材料を使用することも可能である。即ち、ペースト状
のカーボン材料として、単層又は多層のカーボンナノチ
ューブ、フラーレン、ナノパーティクル、ナノカプセル
及びカーボンナノホーンの中、少なくとも一つを有する
カーボン材料を含むペースト材料を使用することが可能
である。この場合にも、エミッタから露出したカーボン
ナノチューブ、フラーレン、ナノパーティクル、ナノカ
プセル又はカーボンナノホーンに電界の集中が生じるた
め、電子放出の開始電圧が低くなり、低電圧で高効率に
電子放出を生じさせることが可能になる。
【0030】さらに、前記各実施の形態においては、ゲ
ート電極をカソード導体の上方に配設する立体構造の電
子放出源の例で説明したが、カソード導体とゲート電極
の双方をエミッタ基板上の同一平面上に配設することに
より、平面的な電子放出源を構成することも可能であ
る。さらにまた、前記各実施の形態においては、カーボ
ンナノチューブ自身を露出するために、刃や針等の先鋭
部材を用いた機械的処理あるいはレーザ等による熱的処
理を施すようにしたが、カーボン層に高電圧を印加する
等の電気的処理を施すことによって、焼成されたカーボ
ン層に亀裂を形成し、これによって前記亀裂の壁部から
カーボンナノチューブ自身が露出したエミッタを形成す
るようにしてもよい。また、前記各実施の形態において
は、線状の筋や亀裂を形成して前記筋や亀裂の両側に壁
部を形成することにより、前記溶剤成分等に覆われない
新鮮面があらわれたカーボンナノチューブを前記壁部か
ら露出するように形成したが、必ずしも線状である必要
はなく、その平面図が円形状や多角形状の凹部を形成し
て、前記凹部の壁部からカーボンナノチューブ自身を露
出させるようにしてもよい。
【0031】次に、以上のようにして製造した電子放出
源を使用して、蛍光発光型表示器を形成する。図9は、
本発明の実施の形態に係る蛍光発光型表示器の一部切欠
き側面図であり、前記第1の実施の形態によって製造し
た電子放出源を使用した蛍光発光型表示器の例である。
【0032】図9において、蛍光発光型表示器は、硼珪
酸ガラスによって形成された背面基板としての絶縁基板
101、硼珪酸ガラスによって形成された透光性の前面
基板としての絶縁基板901、及び、絶縁基板101、
901の周囲を封着するシールガラス904とを有し、
その内部が真空状態に保持された真空気密容器を備えて
いる。
【0033】また、前述したように、絶縁基板101の
内面上には、カソード導体102、カソード導体102
に連続して形成されたエミッタ301が積層被着されて
いる。さらに、絶縁基板101の内面上にはエミッタ3
01間の凹部内に、ゲート電極401及び絶縁性リブ4
02によって形成されたリブ状ゲート電極404が被着
されている。一方、絶縁基板901の内面上には、アノ
ード電極902及びアノード電極902に被着された蛍
光体903が積層配設されている。
【0034】尚、文字やグラフィック等を表示する形式
の蛍光発光型表示器の場合には、カソード導体102、
アノード電極902及びゲート電極401は、各々、マ
トリクス状に形成する、あるいは、特定の電極をベタ状
に形成して他の電極をマトリクス状に形成する等、適宜
目的に応じたパターンに形成する。また、大画面表示装
置の画素用発光素子として使用する蛍光発光型表示器の
場合にも、前記各電極のパターンを適宜選定して形成す
る。
【0035】上記構成の蛍光発光型表示器において、カ
ソード導体102、ゲート電極401及びアノード電極
902に所定電圧の駆動信号を供給することにより蛍光
体903が発光し、各電極の形成パターンや駆動信号に
応じて、文字やグラフィック等の発光表示、あるいは発
光素子としての発光表示を行わせることができる。この
とき、エミッタ301の表面に露出したカーボンナノチ
ューブ等に電界集中が生じるため、低電圧駆動により、
高輝度で高品位な発光表示を得ることが可能になる。
【0036】以上述べたように本発明の実施の形態に係
る電子放出源の製造方法は、絶縁基板と、前記絶縁基板
上に形成されたカソード導体と、前記カソード導体に電
気的に接続して形成されたエミッタとを有するエミッタ
基板を備えると共に、前記エミッタから離間して配設さ
れたゲート電極を備えて成る電子放出源の製造方法にお
いて、絶縁基板101にカソード導体102、601を
被着する工程と、カーボンナノチューブ、フラーレン、
ナノパーティクル、ナノカプセル及びカーボンナノホー
ンの中の少なくとも一つを有するカーボン材料を含むペ
ースト材料をカソード導体102、601に被着してカ
ーボン層201を形成する工程と、焼成されたカーボン
層201内部に壁部302、702、803を形成する
ことにより、カーボン材料の内部を露出させてエミッタ
301、701、801を形成する工程と、前記エミッ
タから離間する位置に前記ゲート電極を形成する工程と
を備えている。したがって、前記カーボン材料の表面が
溶媒成分等によって覆われている場合でも、カーボンナ
ノチューブ等の電界放出材料が壁部302、702、8
03に露出し、前記電子放出材料に電界集中が生じるた
め、低電圧で高効率に電子放出を生じる電子放出源を製
造することが可能になる。
【0037】また、前記製造工程中、カソード導体10
2を被着する工程とカーボン層201を形成する工程の
間に、RuO系の抵抗材料等によって形成した抵抗層
501をカソード導体102に被着する工程を付加する
ようにしてもよい。即ち、絶縁基板101にカソード導
体102を被着する工程と、カソード導体102に抵抗
層501を被着する工程と、抵抗層501にカーボンナ
ノチューブ、フラーレン、ナノパーティクル、ナノカプ
セル及びカーボンナノホーンの中の少なくとも一つを有
するカーボン層201を被着形成する工程とを備えるよ
うにしてもよい。これにより、前記のように低電圧で高
効率に電子放出を生じる電子放出源を製造することが可
能になるだけでなく、電子放出の安定化や電極短絡時の
過電流防止が可能な電子放出源の製造方法が提供され
る。
【0038】ここで、カーボン層201を構成するカー
ボン材料の内部を露出させてエミッタ301、701、
801を形成する工程は、機械的、熱的又は電気的処理
によりエミッタ301、701、801に筋や亀裂等の
凹部を形成して、前記凹部の壁部302、702、80
3からカーボンナノチューブ等の電子放出材料を露出さ
せる工程が使用できる。
【0039】また、本発明の実施の形態に係る電子放出
源は、カソード導体とゲート電極間にエミッタを配設
し、前記カソード導体とゲート電極間に電圧を印加する
ことにより前記エミッタから電子を放出する電子放出源
において、エミッタ301、701、801は、カーボ
ンナノチューブ、フラーレン、ナノパーティクル、ナノ
カプセル及びカーボンナノホーンの中の少なくとも一つ
を有するカーボン材料を、直接又は抵抗層501を介し
てカソード導体102に被着されると共に、その内側に
複数の壁部302、702、803を有し、壁部30
2、702、803から電子放出材料が露出して成るこ
とを特徴としている。したがって、エミッタ301、7
01、801から露出したカーボンナノチューブ等の電
子放出材料に電界の集中が生じるため、電子放出の開始
電圧が低くなり、低電圧で高効率に電子放出を生じさせ
ることが可能になる。
【0040】さらに、本発明の実施の形態に係る蛍光発
光型表示器は、電子放出源及び蛍光体が被着されたアノ
ード電極を真空気密容器内に配設し、前記電子放出源か
ら放出される電子を前記蛍光体に射突させることにより
発光表示を行う蛍光発光型表示器において、電子放出源
として、前記電子放出源を使用したことを特徴としてい
る。したがって、エミッタ301、701、801の表
面や壁部302、702、803に露出したカーボンナ
ノチューブ等の電子放出材料に電界集中が生じるため、
低電圧駆動により、高輝度で高品位な発光表示を得るこ
とが可能になる。
【0041】
【実施例】図10は、本発明の第1の実施例に係る電子
放出源の製造方法を説明するための図で、前記第1の実
施の形態によって製造したエミッタの顕微鏡写真で、エ
ミッタの上側から見た平面写真である。また、図11
は、その拡大写真である。図10及び図11からわかる
ように、複数の線状のカーボンナノチューブが筋の壁部
から露出している。
【0042】また、図12は、本発明の第2の実施例に
係る電子放出源の製造方法を説明するための図で、前記
第3の実施の形態によって製造したエミッタの顕微鏡写
真で、エミッタの上側から見た平面写真である。図12
からわかるように、複数の線状のカーボンナノチューブ
自身が亀裂の壁部から露出している。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、カーボンナノチュー
ブ、フラーレン、ナノカプセル及びカーボンナノホーン
の中の少なくとも一つを有するカーボン材料を用いて、
廉価にして、低電圧で高効率な電子放出源の製造方法を
提供することが可能になる。これにより、電子放出特性
の優れた電子放出源を提供することが可能になる。ま
た、低電圧駆動が可能で、高輝度で高品位な蛍光発光型
表示器を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図で、絶縁基板にカ
ソード導体を被着する工程を示す図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図で、カーボン層を
形成する工程を示す図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図で、エミッタを形
成する工程を示す図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図で、ゲート電極を
形成する工程を示す図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図で、絶縁基板にカ
ソード導体及びカーボン層を形成する工程を示す図であ
る。
【図7】 本発明の第3の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図で、エミッタを形
成する工程を示す図である。
【図8】 本発明の第4の実施の形態に係る電子放出源
の製造方法を説明するための側断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態に係る蛍光発光型表示器
の一部切欠き側面図である。
【図10】 本発明の第1の実施例に係る電子放出源の
製造方法によるエミッタの顕微鏡写真である。
【図11】 図10を拡大した顕微鏡写真である。
【図12】 本発明の第2の実施例に係る電子放出源の
製造方法によるエミッタの顕微鏡写真である。
【符号の説明】
101、901・・・真空気密容器を構成する絶縁基板 102、601・・・カソード導体 201・・・カーボン層 301、701、801・・・エミッタ 302、702、803・・・壁部 303、502、703、802・・・エミッタ基板 401・・・ゲート電極 402・・・絶縁性リブ 404・・・リブ状ゲート電極 501・・・抵抗層 902・・・アノード電極 903・・・蛍光体 904・・・真空気密容器を構成するシールガラス
フロントページの続き (72)発明者 田中 源太郎 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式 会社内 (72)発明者 高梨 浩和 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式 会社内 (72)発明者 田辺 泰雄 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式 会社内 Fターム(参考) 5C031 DD09 DD19 5C036 EF01 EF06 EG02 EG12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成され
    たカソード導体と、前記カソード導体に電気的に接続し
    て形成されたエミッタと、前記エミッタから離間して配
    設されたゲート電極とを備えて成る電子放出源の製造方
    法において、 前記絶縁基板に前記カソード導体を被着する工程と、 前記カソード導体に、カーボンナノチューブ、フラーレ
    ン、ナノパーティクル、ナノカプセル及びカーボンナノ
    ホーンの中の少なくとも一つを有するカーボン材料を含
    むペースト材料を被着してカーボン層を形成する工程
    と、 前記カーボン層内に複数の壁部を形成することにより前
    記カーボン層を形成するカーボン材料を露出させて前記
    エミッタを形成する工程と、 前記エミッタから離間する位置に前記ゲート電極を形成
    する工程とを備えて成ることを特徴とする電子放出源の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成され
    たカソード導体と、前記カソード導体に電気的に接続し
    て形成されたエミッタと、前記エミッタから離間して配
    設されたゲート電極を備えて成る電子放出源の製造方法
    において、 前記絶縁基板に前記カソード導体を被着する工程と、 前記カソード導体に抵抗層を被着する工程と、 前記抵抗層に、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナ
    ノパーティクル、ナノカプセル及びカーボンナノホーン
    の中の少なくとも一つを有するカーボン材料を含むペー
    スト材料を被着してカーボン層を形成する工程と、 前記カーボン層内に複数の壁部を形成することにより前
    記カーボン層を形成するカーボン材料を露出させて前記
    エミッタを形成する工程と、 前記エミッタから離間する位置に前記ゲート電極を形成
    する工程とを備えて成ることを特徴とする電子放出源の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記カーボン層内に複数の壁部を形成す
    ることにより前記カーボン層を形成するカーボン材料を
    露出させて前記エミッタを形成する工程は、機械的、熱
    的又は電気的処理によって前記エミッタに筋又は亀裂を
    形成する工程であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の電子放出源の製造方法。
  4. 【請求項4】 カソード導体とゲート電極間にエミッタ
    を配設し、前記カソード導体とゲート電極間に電圧を印
    加することにより前記エミッタから電子を放出する電子
    放出源において、 前記エミッタは、カーボンナノチューブ、フラーレン、
    ナノパーティクル、ナノカプセル及びカーボンナノホー
    ンの中の少なくとも一つを有するカーボン材料を、直接
    又は抵抗層を介して前記カソード導体に被着されると共
    に、その内側に複数の壁部を有し、前記壁部からカーボ
    ン材料が露出して成ることを特徴とする電子放出源。
  5. 【請求項5】 電子放出源及び蛍光体が被着されたアノ
    ード電極を真空気密容器内に配設し、前記電子放出源か
    ら放出される電子を前記蛍光体に射突させることにより
    発光表示を行う蛍光発光型表示器において、前記電子放
    出源として、請求項4記載の電子放出源を使用したこと
    を特徴とする蛍光発光型表示器。
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