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JP2000308472A - 魚卵塊食品およびその製造方法 - Google Patents

魚卵塊食品およびその製造方法

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Publication number
JP2000308472A
JP2000308472A JP11120265A JP12026599A JP2000308472A JP 2000308472 A JP2000308472 A JP 2000308472A JP 11120265 A JP11120265 A JP 11120265A JP 12026599 A JP12026599 A JP 12026599A JP 2000308472 A JP2000308472 A JP 2000308472A
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egg
fish egg
food
collagen
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JP11120265A
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Yoichi Terao
洋一 寺尾
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Nitta Gelatin Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】卵嚢に包まれた本来の魚卵塊を加熱したものと
同様な風味、食感を有し、しかも、保形性に優れ、良好
な保存性を備える魚卵塊食品を、加工容易でしかも大量
生産可能な製造方法で提供する。 【解決手段】少なくともばら魚卵と結着剤とを含む混合
物が、コラーゲンケーシングに充填され加熱処理を施さ
れることにより成形されてなる魚卵塊食品であって、前
記ばら魚卵が生であり、前記結着剤として、前記ばら魚
卵に対して1.0〜7.0重量%の熱凝固性蛋白質と
0.5〜3.0重量%の冷時固化性多糖類とを含有して
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、破袋したばら魚卵
を成形加工した魚卵塊食品およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば、たらこ、すじこ、数の
子等の魚卵は、卵嚢に包まれている卵塊状の形態で食さ
れることが多く、卵塊状のものは商品価値も高い。しか
し、魚卵はその採集、加工作業の際に卵嚢が破れ易く、
魚卵の一部が、卵粒がばらばらになった、いわゆる「ば
らこ」や「きれこ」等のばら魚卵になることは、避けら
れないのが現状である。このようなばら魚卵は、商品価
値が著しく低下し、珍味加工食品等として利用されてい
る以外は、通常、殆どが廃棄されている。
【0003】そこで、従来から、ばら魚卵を有効に利用
する方法が種々検討されてきた。例えば、特開昭54−
8752号公報、特開昭50−70551号公報、特開
昭61−100172号公報には、魚卵の粒に魚肉や鶏
肉、魚肉すり身等の魚肉蛋白を加えて結着させたものを
ケーシングに充填したもの等が報告されている。しか
し、これらは、添加される魚肉蛋白の量が多いために蒲
鉾的な食感のものとなったり、ドライソーセージ風の珍
味的食感のものであったりと、本来の魚卵塊の風味、食
感とは全く異なる食品であった。しかも、これらに報告
のものは、いずれも脱水工程を要する等、工程が煩雑で
あり、大量生産には適さないという問題があった。
【0004】また、特開平6−153869号公報に
は、トランスグルタミナーゼの酵素作用によってばら状
生たらこに結着性を付与することを特徴とする成形性た
らこの製造方法が報告されている。しかし、この方法
は、蛋白凝固に要する反応時間が長いために大量生産に
は適さないと同時に、酵素反応に適する反応温度では雑
菌が増殖し易いため衛生面で問題を有し、保存性に問題
のあるものであった。
【0005】さらに、特開昭58−183070号公報
には、ばらこに粘着剤としてカゼインNaと多糖類とカ
ラギーナンとを混合し、これを薄皮に注入して得られる
明太子が報告されている。しかし、この明太子は、粘着
剤のゲル性に乏しいため、保形性に欠け、スライス性も
良くないものであった。しかも、これを改善すべく粘着
剤を増やすと、ぬるみ等が生じて食感が悪くなるという
問題があった。また、この明太子は、非加熱で得られる
ため、保存性が低く、しかもカラギーナンによる加熱冷
却後のゲル化効果も得られないものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、卵嚢に包まれた本来の魚卵塊を加熱したものと同様
な風味、食感を有し、しかも、保形性に優れ、良好な保
存性を備える魚卵塊食品を、加工容易でしかも大量生産
可能な製造方法で提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するべく鋭意検討を行った。その結果、特定量の熱
凝固性蛋白質と特定量の冷時固化性多糖類とをともに結
着剤として生のばら魚卵に混合して加熱することによ
り、熱凝固性蛋白質による加熱時の凝固効果と、冷時固
化性多糖類による加熱後冷却時のゲル化効果とを併せて
発揮し、脱水工程を要することなく水分を適度な量に調
整して本来の魚卵塊と同様な風味や食感を持たせること
ができるとともに、優れた保形性を与え、しかも、加熱
処理を施すことにより良好な保存性を付与することがで
きることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明にかかる魚卵塊食品は、
少なくともばら魚卵と結着剤とを含む混合物が、コラー
ゲンケーシングに充填され加熱処理を施されることによ
り成形されてなる魚卵塊食品であって、前記ばら魚卵が
生であり、前記結着剤として、前記ばら魚卵に対して
1.0〜7.0重量%の熱凝固性蛋白質と0.5〜3.
0重量%の冷時固化性多糖類とを含有していることを特
徴としている。
【0009】本発明にかかる魚卵塊食品の製造方法は、
少なくともばら魚卵と結着剤とを含む配合物を添加混合
し、この混合物をコラーゲンケーシングに充填した後、
加熱処理を施す魚卵塊食品の製造方法であって、前記ば
ら魚卵として生ばら魚卵を用い、前記結着剤として、前
記ばら魚卵に対して1.0〜7.0重量%の熱凝固性蛋
白質と0.5〜3.0%の冷時固化性多糖類とを添加す
ることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の一形態に
ついて詳しく説明する。本発明にかかる魚卵塊食品は、
ばら魚卵と結着剤との混合物をコラーゲンケーシングに
充填して、加熱処理を施すことにより、成形されるもの
である。本発明において原料として用いられるばら魚卵
は、破れた卵嚢から取り出された状態の生のばら魚卵
を、そのまま使用するものである。生のばら魚卵をその
まま使用することによって、得られる魚卵塊食品に本来
の魚卵塊により近い風味や食感を持たせることができ
る。本発明においては、生ばら魚卵に後述する結着剤を
混合したあと加熱することにより適度な水分量に調整す
ることができるので、原料を予め加熱しておく加熱工程
や水分調整のための脱水工程等のばら魚卵の前処理工程
を要することなく、生のままのばら魚卵を使用できるの
である。原料であるばら魚卵の前処理工程が必要ないこ
とは、工業的に大量生産するうえで非常に有利となる。
【0011】本発明においてばら魚卵に混合される結着
剤は、少なくとも、熱凝固性蛋白質と冷時固化性多糖類
とを含有してなるものである。熱凝固性蛋白質と冷時固
化性多糖類とを共存させることにより、熱凝固性蛋白質
による加熱時の凝固効果と、冷時固化性多糖類による加
熱後冷却時のゲル化効果とを併せて発揮し、脱水工程を
要することなく水分を適度な量に調整して本来の魚卵塊
と同様な風味や食感を持たせることができるとともに、
優れた保形性を付与することができるのである。また、
冷時固化性多糖類を含有させることにより、通常、魚卵
塊に生じる経時離水を抑制することができ、保存性を向
上させることができる。さらに、このような結着剤をば
ら魚卵に混合することによって、ケーシングへの充填適
性を向上させることもできる。
【0012】前記熱凝固性蛋白質としては、特に限定さ
れないが、具体的には、例えば、卵蛋白、ラクトアルブ
ミン、血漿蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白、畜肉・魚肉蛋白
等が挙げられ、これらのなかでも特に、卵蛋白、ラクト
アルブミンが好適に用いられる。これら例示の熱凝固性
蛋白質は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を
併用してもよい。
【0013】前記熱凝固性蛋白質の含有量は、用いるば
ら魚卵量に対して1.0〜7.0重量%であることが重
要である。熱凝固性蛋白質の含有量が1.0重量%未満
であると、離水が多く、十分な保形性が得られないと同
時に、食感もどろりとしたものとなりやすい。一方、熱
凝固性蛋白質の含有量が7.0重量%を越えると、ぱさ
ぱさとした食感となり、風味も本来の魚卵塊と異なるも
のとなりやすい。
【0014】前記冷時固化性多糖類としては、特に限定
されないが、具体的には、例えば、カラギーナン、寒
天、ジェランガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、
グルコマンナン、カードラン、ファーセレラン、でんぷ
ん等が挙げられ、これらのなかでも特に、カラギーナ
ン、寒天、ジェランガムが好適に用いられる。これら例
示の冷時固化性多糖類は、1種類のみを用いてもよい
し、2種類以上を併用してもよい。
【0015】前記冷時固化性多糖類の含有量は、用いる
ばら魚卵量に対して0.5〜3.0重量%であることが
重要である。冷時固化性多糖類の含有量が0.5重量%
未満であると、離水が多く、十分な保形性が得られない
と同時に、食感もぱさぱさとしたものとなりやすい。一
方、冷時固化性多糖類の含有量が用いるばら魚卵量に対
して3.0重量%を越えると、ぬるりとした食感とな
り、風味も本来の魚卵塊と異なるものとなりやすい。
【0016】本発明においてばら魚卵に混合される結着
剤は、前記熱凝固性蛋白質および冷時固化性多糖類のほ
かに、コラーゲン熱加水分解物をもさらに含有している
ことが好ましい。コラーゲン熱加水分解物を含有させる
ことによって、ばら魚卵と結着剤との混合物と、コラー
ゲンケーシングとの密着性を向上させることができる。
【0017】前記コラーゲン熱加水分解物としては、特
に限定されないが、具体的には、例えば、ゼラチン、皮
粉と称される物等が挙げられ、これらのなかでも特に、
ゼラチンが好適に用いられる。さらに、ゼラチンとして
は、JIS K 6503に準じて測定されたゼリー強
度が100ブルーム以上、好ましくは150〜300ブ
ルームのものが特に好適である。これら例示のコラーゲ
ン熱加水分解物は、1種類のみを用いてもよいし、2種
類以上を併用してもよい。
【0018】前記コラーゲン熱加水分解物の含有量は、
用いるばら魚卵量に対して0.05〜3.0重量%であ
ることが重要である。コラーゲン熱加水分解物の含有量
が0.05重量%未満であると、コラーゲンケーシング
との密着性を十分に発揮できず、一方、3.0重量%を
越えると、ぬるりとした食感となる。本発明で用いられ
る結着剤は、前記熱凝固性蛋白質、冷時固化性多糖類お
よびコラーゲン熱加水分解物のほかに、必要に応じて、
例えば、ローカストビーンガム、グアーガム等の食物繊
維類、キサンタンガム、塩化カリウム、重合リン酸塩等
の各種添加剤を含有するものであってもよい。
【0019】本発明において、前記ばら魚卵と結着剤と
の混合物は、コラーゲンケーシングに充填されている。
コラーゲンケーシングは、可食性のものであれば特に限
定されるものではなく、公知のコラーゲンケーシングを
用いることができ、具体的には、例えば、アンモニア凝
固法で成形した後、架橋剤を使用しないで得られるコラ
ーゲンケーシング、または、塩凝固法で成形した後、架
橋させて得られるコラーゲンケーシングが挙げられる。
このような塩凝固法による成形後架橋されたコラーゲン
ケーシングは、具体的には、牛皮の真皮をペースト化
し、これを円筒状に押し出した直後に飽和食塩水に接触
させて成形し、次いで、燻液等で処理して架橋させ、こ
れを水洗、中和した後、乾燥させ、必要に応じてさらに
シャーリング加工を施して、得ることができる。
【0020】本発明において用いられるコラーゲンケー
シングとしては、特に、アンモニア凝固法により成形
し、しかも架橋剤を使用しないで得られるコラーゲンケ
ーシングを用いることが好ましい。このようなコラーゲ
ンケーシングは、歯ごたえ等がより本物の卵嚢に近く、
卵嚢に包まれた本来の魚卵塊を加熱したものと同様な風
味、食感を有する魚卵塊食品を与えることができる。こ
のようなアンモニア凝固法による架橋なしのコラーゲン
ケーシングは、具体的には、牛皮の真皮をペースト化
し、3〜10%、pH2.0〜4.0のコラーゲン水溶
液を調製し、これを円筒状に押し出した直後にアンモニ
アガスに接触させて成形し、これを水洗、中和した後、
乾燥させ、必要に応じてさらにシャーリング加工を施し
て、得ることができる。
【0021】本発明にかかる魚卵塊食品は、ばら魚卵と
結着剤との混合物が充填されたコラーゲンケーシングに
加熱処理を施すことにより成形されるものである。この
ときの加熱処理の温度は、60〜90℃とすることが好
ましい。加熱処理の温度が60℃未満であると、結着剤
に含まれる熱凝固性蛋白質の凝固効果が十分に発揮でき
ないこととなり、一方、90℃を越えると、コラーゲン
ケーシングが熱により破れ易くなるので、好ましくな
い。また、加熱処理の方法は、特に限定されるものでな
く、例えば、ボイルや蒸煮等の方法で行うことができ
る。なお、本発明においては、加熱処理によって成形さ
れた魚卵塊食品をさらにオーブン等で高温焙煎すること
によって、例えば本物の焼きたらこのように、卵嚢に包
まれた魚卵塊を焼いたのと同様の風味や食感を付与する
こともできる。
【0022】本発明の魚卵塊食品の製造方法は、前述の
ように、少なくとも生ばら魚卵と前記結着剤とを含む配
合物を添加混合し、この混合物をコラーゲンケーシング
に充填した後、加熱処理を施すものである。本発明の製
造方法は、原料を予め加熱しておく加熱工程や水分調整
のための脱水工程等のばら魚卵の前処理工程を要するこ
とがなく、生のばら魚卵をそのまま使用できるので、工
業的な大量生産に適した方法であるといえる。
【0023】本発明における魚卵塊食品は、必要に応じ
て、染色することもできる。染色の手法としては、得ら
れた魚卵塊食品を加熱した着色料溶液に浸漬した後に水
洗する外浸法、あるいは、ばら魚卵に結着剤を添加する
際に着色料を一緒に添加し混合する内浸法、のいずれの
方法を採用してもよい。その際、着色料の種類や、外浸
の場合の溶液温度、溶液濃度、浸漬時間や、内浸の場合
の添加の濃度等は、所望する色調等により適宜調整すれ
ばよい。
【0024】本発明における魚卵塊食品は、必要に応じ
て、味付けすることもできる。味付けの手法としては、
例えば、醤油、マヨネーズ、各種エキス等を添加する方
法、青のり、梅肉等の他食品と混合する方法、あるいは
これらの方法の併用等が挙げられる。本発明の魚卵塊食
品は、保形性に優れるのでスライス加工が容易である。
したがって、そのまま食したり、焼く等の調理をして食
したりするほか、例えば、おにぎり、巻き寿司、サンド
イッチ、スパゲッティ等の惣菜の具材として、使用状況
にあわせて適宜所望の形状や大きさにスライスして用い
ることもできる。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係る実施例および比較例につ
いて説明するが、本発明は該実施例により何ら制限され
るものではない。以下の実施例および比較例で得られた
魚卵塊食品は、以下の方法にて評価した。
【0026】〔風味〕卵嚢に包まれたたらこを焼いたも
のと魚卵塊食品とについて、たらこ風味の違いを比較し
て評価した。 ◎:焼きたらこと同じ風味 ○:焼きたらことほぼ同じ風味 △:焼きたらこの風味がない ×:焼きたらこの風味がなく、異臭がする 〔保形性(スライス性)〕魚卵塊食品をスライサーにて
スライスした際の保形性を評価した。
【0027】 ◎:保形性があり、スライス時の変形もなく、切断面良
好 ○:保形性があり、スライス時の変形もなく、切断面ほ
ぼ良好 △:保形性がなく、スライス時に変形する ×:保形性がなく、スライス不可能 〔食感〕卵嚢に包まれたたらこを焼いたものと魚卵塊食
品とについて、食感の違いを比較して評価した。
【0028】 ◎:焼きたらこと同じ食感 ○:焼きたらことほぼ同じ食感 △:焼きたらこの食感と少し異なり、ぱさぱさ感、ぬる
り感、どろり感を多少感じる ×:焼きたらこの食感と異なり、ぱさぱさ感、ぬるり
感、どろり感がある。
【0029】〔ケーシングの食感〕卵嚢に包まれたたら
こを焼いたものと魚卵塊食品とについて、ケーシングの
食感と焼かれた卵嚢の食感との違いを比較して評価し
た。 ◎:焼かれた卵嚢と同じ食感 ○:焼かれた卵嚢とほぼ同じ食感 △:焼かれた卵嚢の食感と少し異なり、やや固い ×:焼かれた卵嚢の食感と異なり、固い 〔充填適性〕スタッファーで充填する時の作業性を評価
した。
【0030】 ◎:作業性に問題なし ○:作業性にほぼ問題なし △:作業性に問題があるが、機械充填可能 ×:作業性に問題があり、機械充填不可能 〔経時離水(保存性)〕魚卵塊食品を冷蔵庫にて10日
間保存した後の状態の変化を評価した。
【0031】 ◎:離水なく、風味も全く変化なし ○:離水、風味ともに殆ど変化なし △:離水があり、多少異臭を感じる ×:離水が多く、異臭を感じる 〔ケーシングとの密着性〕魚卵塊食品をスライサーにて
スライスした際の、ケーシングの剥がれ状態を評価し
た。
【0032】 ◎:ケーシングの剥がれは全くなし ○:ケーシングの剥がれは殆どなし △:ケーシングの剥がれあり ×:ケーシングの剥がれが多い 〔総合評価〕各評価項目の合計点を以下のように計算
し、その点数をもって判断した。
【0033】 各評価項目の点数/◎:3点、○:2点、△:1点、×:0点 総合評価の点数(各評価項目の合計点数)/◎:16〜20点 ○:11〜15点 △:6〜10点 ×:0〜5点 〔実施例1〕まず、アンモニア凝固法で成形された架橋
剤を使用していないコラーゲンケーシングを製造した。
すなわち、牛皮の真皮をグラインダーでペースト化し、
5.0%のコラーゲンペーストに調製し、これをエクス
トルーダーで円筒状に押し出し、直後にアンモニアガス
に接触させて成形した。そして、成形した円筒状のコラ
ーゲンを水洗、中和し、その後、コラーゲン筒に空気を
送り込みながら乾燥させて、コラーゲンケーシングを得
た。
【0034】次いで、卵嚢の破れた鱈の生ばら魚卵を洗
浄したもの3000gに、卵白(商品名「卵白−N」新
田ゼラチン(株)製)90g(ばら魚卵に対して3.0
重量%)と、カラギーナン(商品名「ニッタカラギーナ
ンK−18」新田ゼラチン(株)製)30g(ばら魚卵
に対して1.0重量%)とを添加し、縦型の攪拌機(品
川式万能攪拌機)にて混合して、混合物3120gを得
た。この混合物を前記で得たコラーゲンケーシング(商
品名「19D23」ニッタケーシングインク製)に充填
し、85℃で30分間蒸煮加熱を行った後、200℃で
10分間オーブンにて焙煎を行い、焼きたらこ風の魚卵
塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評価結果を表1に
示す。
【0035】〔実施例2〕卵嚢の破れた鱈の生ばら魚卵
を洗浄したものに、卵白とカラギーナンのほかに、ゼラ
チン(「300ブルームゼラチン」新田ゼラチン(株)
製)1.5g(ばら魚卵に対して0.05重量%)をさ
らに添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、焼き
たらこ風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評
価結果を表1に示す。
【0036】〔実施例3〕卵嚢の破れた鱈の生ばら魚卵
を洗浄したものに、卵白とカラギーナンのほかに、ゼラ
チン(「200ブルームゼラチン」新田ゼラチン(株)
製)9g(ばら魚卵に対して0.3重量%)をさらに添
加したこと以外は、実施例1と同様に行い、焼きたらこ
風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評価結果
を表1に示す。
【0037】〔実施例4〕卵嚢の破れた鱈の生ばら魚卵
を洗浄したものに、卵白とカラギーナンのほかに、ゼラ
チン(「100ブルームゼラチン」新田ゼラチン(株)
製)90g(ばら魚卵に対して3.0重量%)をさらに
添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、焼きたら
こ風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評価結
果を表1に示す。
【0038】〔実施例5〕卵嚢の破れた鱈の生ばら魚卵
を洗浄したものに、卵白とカラギーナンのほかに、ゼラ
チン(「80ブルームゼラチン」新田ゼラチン(株)
製)90g(ばら魚卵に対して3.0重量%)をさらに
添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、焼きたら
こ風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評価結
果を表1に示す。
【0039】〔実施例6〕卵白の代わりにラクトアルブ
ミン(商品名「ラクトアルブミン−N」新田ゼラチン
(株)製)150g(ばら魚卵に対して5.0重量%)
を用い、加熱処理を85℃で30分間のボイル加熱と
し、オーブンでの焙煎を行わないこと以外は、実施例1
と同様に行い、たらこ風の魚卵塊食品を得た。得られた
魚卵塊食品の評価結果を表1に示す。
【0040】〔実施例7〕カラギーナンの代わりに寒天
(商品名「FA−1136」新田ゼラチン(株)製)3
0g(ばら魚卵に対して1.0重量%)を用いたこと以
外は、実施例1と同様に行い、焼きたらこ風の魚卵塊食
品を得た。得られた魚卵塊食品の評価結果を表1に示
す。
【0041】〔実施例8および9〕卵白およびカラギー
ナンの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施
例1と同様に行い、焼きたらこ風の魚卵塊食品を得た。
得られた魚卵塊食品の評価結果を表1に示す。 〔実施例10〕まず、塩凝固法で成形され架橋剤を使用
したコラーゲンケーシングを製造した。すなわち、牛皮
の真皮をグラインダーでペースト化し、2.0%のコラ
ーゲンペーストに調製し、これをエクストルーダーで円
筒状に押し出し、直後に飽和食塩水に接触させて成形し
た。そして、成形した円筒状のコラーゲンを燻液で処理
して架橋させた。架橋させたコラーゲンを水洗、中和
し、その後、コラーゲン筒に空気を送り込みながら乾燥
させて、コラーゲンケーシングを得た。
【0042】次いで、塩凝固法で成形され架橋剤を使用
した前記のコラーゲンケーシングを用いたこと以外は、
実施例1と同様に行い、焼きたらこ風の魚卵塊食品を得
た。得られた魚卵塊食品の評価結果を表1に示す。 〔比較例1〕コラーゲンケーシングの代わりに、羊腸を
用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、焼きたらこ
風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評価結果
を表2に示す。
【0043】〔比較例2〕鱈の生ばら魚卵の代わりに、
卵嚢の破れた鱈の生ばら魚卵を洗浄後ボイル加熱したも
のを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、焼きた
らこ風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊食品の評価
結果を表2に示す。 〔比較例3〜10〕卵白およびカラギーナンの添加量を
表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行
い、焼きたらこ風の魚卵塊食品を得た。得られた魚卵塊
食品の評価結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1より明らかなように、実施例1および
実施例6〜9は、本発明の範囲の魚卵塊食品であるの
で、本来の魚卵塊を加熱したものと同様な風味、食感を
有し、しかも、保形性に優れ、経時離水が少なく良好な
保存性を備え、さらにケーシングへの充填適性、ケーシ
ングとの密着性も良好であった。実施例2〜5は、結着
剤としてゼラチンを含有する魚卵塊食品であるので、保
形性、および、ケーシングへの充填適性、ケーシングと
の密着性に、特に優れるものであった。
【0047】実施例10は、コーラーゲンケーシングと
して塩凝固法で成形した後架橋させたケーシングを用い
た魚卵塊食品であるので、ケーシングの食感がやや固い
ものの、保形性等には優れたものであった。これに対し
て、表2から明らかなように、比較例1は、ケーシング
として羊腸を用いた魚卵塊食品であるので、ケーシング
の食感が固く、スライス性、ケーシングとの密着性に劣
るものであった。
【0048】比較例2は、加熱したばら魚卵を原料とし
た魚卵塊食品であるので、たらこ本来の風味に乏しく、
しかも流動性に欠けケーシングへの充填適性にも劣るも
のであった。比較例3および4は、冷時固化性多糖類が
含まれていない魚卵塊食品であるので、ぱさぱさした食
感となり、しかも保形性が悪く、離水も生じるものであ
った。
【0049】比較例5および6は、熱凝固性蛋白質が含
まれていない魚卵塊食品であるので、どろりとした食感
となり、しかも保形性が悪く、離水が生じ、ケーシング
との密着性にも劣るものであった。比較例7は、熱凝固
性蛋白質が本発明の含有量範囲よりも少ない魚卵塊食品
であるので、保形性、ケーシングとの密着性が悪く、ど
ろりとした食感のものであった。
【0050】比較例8は、熱凝固性蛋白質が本発明の含
有量範囲よりも多い魚卵塊食品であるので、ぱさぱさし
た食感となり、しかも卵白臭がして風味に劣るものであ
った。比較例9は、冷時固化性多糖類が本発明の含有量
範囲よりも少ない魚卵塊食品であるので、ぱさぱさした
食感となり、しかも離水を生じ、保形性も低いものであ
った。
【0051】比較例10は、冷時固化性多糖類が本発明
の含有量範囲よりも多い魚卵塊食品であるので、ぬるり
とした食感となり、しかもカラギーナンの海藻臭がして
風味に劣るものであった。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、卵嚢に包まれた本来の
魚卵塊を加熱したものと同様な風味、食感を有し、しか
も、保形性に優れ、良好な保存性を備える魚卵塊食品
を、加工容易でしかも大量生産可能な製造方法で提供す
ることができる。本発明の魚卵塊食品は、加熱処理が施
されているので保存性に優れ、さらに、ケーシングの形
状やケーシングへの充填量を変更することにより所望の
形や大きさのものを一定して得ることができ、しかも、
常温にて良好な保形性を有しているのでスライス等の加
工も可能であり、種々の使用状況に応じて、幅広く利用
できるものである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともばら魚卵と結着剤とを含む混合
    物が、コラーゲンケーシングに充填され加熱処理を施さ
    れることにより成形されてなる魚卵塊食品であって、 前記ばら魚卵が生であり、前記結着剤として、前記ばら
    魚卵に対して1.0〜7.0重量%の熱凝固性蛋白質と
    0.5〜3.0重量%の冷時固化性多糖類とを含有して
    いることを特徴とする魚卵塊食品。
  2. 【請求項2】前記結着剤が、前記熱凝固性蛋白質と冷時
    固化性多糖類とのほかに、前記ばら魚卵に対して0.0
    5〜3.0重量%のコラーゲン熱加水分解物をもさらに
    含有している、請求項1に記載の魚卵塊食品。
  3. 【請求項3】前記熱凝固性蛋白質が、卵蛋白および/ま
    たはラクトアルブミンであり、前記冷時固化性多糖類
    が、カラギーナン、寒天、ジェランガムからなる群より
    選ばれる少なくとも1つであり、前記コラーゲン熱加水
    分解物がゼラチンである、請求項1または2に記載の魚
    卵塊食品。
  4. 【請求項4】前記コラーゲンケーシングが、アンモニア
    凝固法により成形され、しかも架橋剤を使用していない
    ものである、請求項1から3までのいずれかに記載の魚
    卵塊食品。
  5. 【請求項5】前記加熱処理が60〜90℃で施されてな
    る、請求項1から4までのいずれかに記載の魚卵塊食
    品。
  6. 【請求項6】少なくともばら魚卵と結着剤とを含む配合
    物を添加混合し、この混合物をコラーゲンケーシングに
    充填した後、加熱処理を施す魚卵塊食品の製造方法であ
    って、 前記ばら魚卵として生ばら魚卵を用い、前記結着剤とし
    て、前記ばら魚卵に対して1.0〜7.0重量%の熱凝
    固性蛋白質と0.5〜3.0%の冷時固化性多糖類とを
    添加することを特徴とする魚卵塊食品の製造方法。
  7. 【請求項7】前記結着剤として、前記熱凝固性蛋白質と
    冷時固化性多糖類とのほかに、前記ばら魚卵に対して
    0.05〜3.0重量%のコラーゲン熱加水分解物をも
    さらに添加する、請求項6に記載の魚卵塊食品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記熱凝固性蛋白質として、卵蛋白および
    /またはラクトアルブミンを用い、前記冷時固化性多糖
    類として、カラギーナン、寒天、ジェランガムからなる
    群より選ばれる少なくとも1つを用い、前記コラーゲン
    熱加水分解物としてゼラチンを用いる、請求項6または
    7に記載の魚卵塊食品の製造方法。
  9. 【請求項9】前記コラーゲンケーシングを、アンモニア
    凝固法により成形し、しかも架橋剤を使用しないで得
    る、請求項6から8までのいずれかに記載の魚卵塊食品
    の製造方法。
  10. 【請求項10】前記加熱処理を60〜90℃で施す、請
    求項6から9までのいずれかに記載の魚卵塊食品の製造
    方法。
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