JP2000353531A - 固体高分子型燃料電池用セパレータおよびその製造方法 - Google Patents
固体高分子型燃料電池用セパレータおよびその製造方法Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 良好な耐食性を有し、かつ比較的低いコスト
で作製できる固体高分子型燃料電池用セパレータを提供
する。 【解決手段】 高分子電解質膜に積層される正極または
負極に酸化剤または燃料を供給するための通路25を有
するセパレータ20は、、金属材料層21と、金属材料
層21を覆う保護層22とを備える。保護層22は、金
属窒化物を含有し、かつ保護層22におけるN含量は、
保護層の表面から内部にいくにしたがって減少してい
る。金属窒化物は、TiまたはCrの窒化物であること
が好ましい。
で作製できる固体高分子型燃料電池用セパレータを提供
する。 【解決手段】 高分子電解質膜に積層される正極または
負極に酸化剤または燃料を供給するための通路25を有
するセパレータ20は、、金属材料層21と、金属材料
層21を覆う保護層22とを備える。保護層22は、金
属窒化物を含有し、かつ保護層22におけるN含量は、
保護層の表面から内部にいくにしたがって減少してい
る。金属窒化物は、TiまたはCrの窒化物であること
が好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池用セパレ
ータおよびその製造方法に関し、特に、高分子電解質膜
を有する固体電解質型燃料電池である固体高分子型燃料
電池(PEFC)に使用するセパレータおよびその製造
方法に関する。
ータおよびその製造方法に関し、特に、高分子電解質膜
を有する固体電解質型燃料電池である固体高分子型燃料
電池(PEFC)に使用するセパレータおよびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素ガスを燃料とし、酸素ガスを酸化剤
とする固体高分子型燃料電池は、たとえば図1に示すよ
うなセル構造を有する。セル10において、高分子電解
質膜11の両側には、触媒が付与された負極(水素極)
12および正極(酸素極)13が設けられ、さらにそれ
らを挟むように、セパレータ14および15が設けられ
る。セパレータ14および15は、それぞれ、水素供給
用通路(溝)16および酸素供給用通路(溝)17を有
する。水素ガスおよび酸素ガスは、それぞれ外から供給
孔(図示省略)を介して通路16および17に導かれ、
それぞれ負極12および正極13に供給される。負極側
では、次式で示す反応が起こり、 H2→2H++2e- 正極では、次式で示す反応が起こり、 1/2O2+2H++2e-→H2O 全反応は、次式で表される。 H2+1/2O2→H2O 上で示すように、負極では、H+が生じるため、セパレ
ータは、耐酸性を有する必要がある。また、セパレータ
は、正極側において酸素に晒されるため、耐酸化性を有
する必要がある。このようにセパレータには、耐食性が
要求される。さらに、燃料電池の内部抵抗を低く抑える
ため、セパレータの電気抵抗は、低いことが望ましい。
加えて、寸法(特に厚み)の精度、平坦度(そりが少な
いこと)、気密性(ガスの透過防止)、加工性、強度、
軽量であること、低コスト等が、セパレータに要求され
る。
とする固体高分子型燃料電池は、たとえば図1に示すよ
うなセル構造を有する。セル10において、高分子電解
質膜11の両側には、触媒が付与された負極(水素極)
12および正極(酸素極)13が設けられ、さらにそれ
らを挟むように、セパレータ14および15が設けられ
る。セパレータ14および15は、それぞれ、水素供給
用通路(溝)16および酸素供給用通路(溝)17を有
する。水素ガスおよび酸素ガスは、それぞれ外から供給
孔(図示省略)を介して通路16および17に導かれ、
それぞれ負極12および正極13に供給される。負極側
では、次式で示す反応が起こり、 H2→2H++2e- 正極では、次式で示す反応が起こり、 1/2O2+2H++2e-→H2O 全反応は、次式で表される。 H2+1/2O2→H2O 上で示すように、負極では、H+が生じるため、セパレ
ータは、耐酸性を有する必要がある。また、セパレータ
は、正極側において酸素に晒されるため、耐酸化性を有
する必要がある。このようにセパレータには、耐食性が
要求される。さらに、燃料電池の内部抵抗を低く抑える
ため、セパレータの電気抵抗は、低いことが望ましい。
加えて、寸法(特に厚み)の精度、平坦度(そりが少な
いこと)、気密性(ガスの透過防止)、加工性、強度、
軽量であること、低コスト等が、セパレータに要求され
る。
【0003】従来、固体高分子型燃料電池用セパレータ
の材料として、黒鉛が有力であるとされてきた。しか
し、黒鉛は、次のような欠点を有している。黒鉛のセパ
レータは、切削加工により形成されるため、その加工費
は比較的高く、そのコストの低減にはある程度限界があ
る。自動車等の車両に搭載する燃料電池では、低コスト
であることが最も重要な課題の1つであるため、この点
で黒鉛のセパレータは不利である。また、黒鉛は脆く、
したがって、振動の多い用途、たとえば自動車等の車両
に搭載する燃料電池において、割れの発生が懸念され
る。黒鉛は、耐久性の点でも不利である。
の材料として、黒鉛が有力であるとされてきた。しか
し、黒鉛は、次のような欠点を有している。黒鉛のセパ
レータは、切削加工により形成されるため、その加工費
は比較的高く、そのコストの低減にはある程度限界があ
る。自動車等の車両に搭載する燃料電池では、低コスト
であることが最も重要な課題の1つであるため、この点
で黒鉛のセパレータは不利である。また、黒鉛は脆く、
したがって、振動の多い用途、たとえば自動車等の車両
に搭載する燃料電池において、割れの発生が懸念され
る。黒鉛は、耐久性の点でも不利である。
【0004】一方、通常の金属材料は、加工性、強度、
コストの点で有利であるが、耐食性に劣り、使用してい
る間にその電気抵抗が増加し、燃料電池の特性を劣化さ
せてしまう。
コストの点で有利であるが、耐食性に劣り、使用してい
る間にその電気抵抗が増加し、燃料電池の特性を劣化さ
せてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、上述した従来技術の課題に鑑み、以下の点を有する
固体高分子型燃料電池用セパレータを提供することであ
る。 (1)良好な耐食性。 (2)使用の間、電気抵抗の変化が少ない。 (3)良好な加工性。 (4)低コスト。 (5)高い疲労強度および良好な耐久性。
は、上述した従来技術の課題に鑑み、以下の点を有する
固体高分子型燃料電池用セパレータを提供することであ
る。 (1)良好な耐食性。 (2)使用の間、電気抵抗の変化が少ない。 (3)良好な加工性。 (4)低コスト。 (5)高い疲労強度および良好な耐久性。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によるセパレータ
は、高分子電解質膜に積層される正極または負極に酸化
剤または燃料を供給するための通路を有するセパレータ
であって、金属材料層と、金属材料層を覆う保護層とを
備える。保護層は、金属窒化物を含有し、かつ保護層に
おけるN含量は、保護層の表面から内部にいくにしたが
って減少している。
は、高分子電解質膜に積層される正極または負極に酸化
剤または燃料を供給するための通路を有するセパレータ
であって、金属材料層と、金属材料層を覆う保護層とを
備える。保護層は、金属窒化物を含有し、かつ保護層に
おけるN含量は、保護層の表面から内部にいくにしたが
って減少している。
【0007】本発明によるセパレータにおいて、金属窒
化物は、Ti、Ti合金、Cr、Cr合金、Zr、Zr
合金、Hf、Hf合金、V、V合金、Nb、Nb合金、
TaおよびTa合金の窒化物よりなる群から選ばれた少
なくとも1種とすることができる。
化物は、Ti、Ti合金、Cr、Cr合金、Zr、Zr
合金、Hf、Hf合金、V、V合金、Nb、Nb合金、
TaおよびTa合金の窒化物よりなる群から選ばれた少
なくとも1種とすることができる。
【0008】本発明によるセパレータにおいて、金属材
料は、Fe、Fe合金、Ni、Ni合金、Cr、Cr合
金、Cu、Cu合金、Al、Al合金、TiおよびTi
合金よりなる群から選ばれた少なくとも1種とすること
ができる。
料は、Fe、Fe合金、Ni、Ni合金、Cr、Cr合
金、Cu、Cu合金、Al、Al合金、TiおよびTi
合金よりなる群から選ばれた少なくとも1種とすること
ができる。
【0009】好ましい一つの態様において、金属窒化物
は、Tiの窒化物であり、かつ保護層は、Tiの窒化物
としてTiNおよびTi2Nの少なくとも1種を含む。
もう一つの好ましい態様において、金属窒化物は、Cr
の窒化物であり、かつ保護層は、Crの窒化物としてC
rN、Cr2N、CrN2およびCr(N3)3よりなる群
から選ばれた少なくとも1種を含む。
は、Tiの窒化物であり、かつ保護層は、Tiの窒化物
としてTiNおよびTi2Nの少なくとも1種を含む。
もう一つの好ましい態様において、金属窒化物は、Cr
の窒化物であり、かつ保護層は、Crの窒化物としてC
rN、Cr2N、CrN2およびCr(N3)3よりなる群
から選ばれた少なくとも1種を含む。
【0010】本発明により、金属材料がチタンからな
り、かつ保護層は、該チタンを窒化することにより形成
されたものであるセパレータを提供することができる。
り、かつ保護層は、該チタンを窒化することにより形成
されたものであるセパレータを提供することができる。
【0011】また、本発明により、金属材料は、第1の
金属を含み、金属窒化物は、第1の金属と異なる第2の
金属の窒化物であり、かつ金属窒化物は、第1の金属上
に堆積された第2の金属を窒化することにより形成され
たものであるセパレータを提供することができる。この
場合、第1の金属は、ステンレス鋼とすることができ、
かつ第2の金属は、Ti、Ti合金、CrおよびCr合
金よりなる群から選ばれた少なくとも1種とすることが
できる。かわりに、第1の金属は、アルミニウムとする
ことができ、かつ第2の金属は、Ti、Ti合金、Cr
およびCr合金よりなる群から選ばれた少なくとも1種
とすることができる。
金属を含み、金属窒化物は、第1の金属と異なる第2の
金属の窒化物であり、かつ金属窒化物は、第1の金属上
に堆積された第2の金属を窒化することにより形成され
たものであるセパレータを提供することができる。この
場合、第1の金属は、ステンレス鋼とすることができ、
かつ第2の金属は、Ti、Ti合金、CrおよびCr合
金よりなる群から選ばれた少なくとも1種とすることが
できる。かわりに、第1の金属は、アルミニウムとする
ことができ、かつ第2の金属は、Ti、Ti合金、Cr
およびCr合金よりなる群から選ばれた少なくとも1種
とすることができる。
【0012】本発明による1つの製造方法は、高分子電
解質膜に積層される正極または負極に酸化剤または燃料
を供給するための通路を有するセパレータの製造方法で
あって、通路を少なくとも有する形状に金属板を加工す
る工程と、加工された金属板の表面を窒化する工程とを
備える。
解質膜に積層される正極または負極に酸化剤または燃料
を供給するための通路を有するセパレータの製造方法で
あって、通路を少なくとも有する形状に金属板を加工す
る工程と、加工された金属板の表面を窒化する工程とを
備える。
【0013】本発明による好ましい製造方法において、
金属板は、TiまたはTi合金からなる。
金属板は、TiまたはTi合金からなる。
【0014】本発明によるもう1つの製造方法は、金属
板上にTi、Ti合金、Cr、Cr合金、Zr、Zr合
金、Hf、Hf合金、V、V合金、Nb、Nb合金、T
aおよびTa合金よりなる群から選ばれた少なくとも1
種の金属を堆積する工程と、堆積された金属を窒化する
工程とを備える。この場合、燃料または酸化剤を供給す
るための通路を少なくとも有するよう加工された金属板
を上記堆積工程に用いてもよいし、一方、上記堆積工程
の後、通路を少なくとも有する形状に金属板を加工して
もよい。
板上にTi、Ti合金、Cr、Cr合金、Zr、Zr合
金、Hf、Hf合金、V、V合金、Nb、Nb合金、T
aおよびTa合金よりなる群から選ばれた少なくとも1
種の金属を堆積する工程と、堆積された金属を窒化する
工程とを備える。この場合、燃料または酸化剤を供給す
るための通路を少なくとも有するよう加工された金属板
を上記堆積工程に用いてもよいし、一方、上記堆積工程
の後、通路を少なくとも有する形状に金属板を加工して
もよい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明によるセパレータは、下地
として金属を使用する。金属は、塑性加工等により、高
い精度で加工することができ、しかも、コストの低減に
寄与する。本発明では、この金属を金属窒化物を含む保
護層で覆う。窒化物は、セパレータの耐食性に寄与し、
使用の間の電気抵抗の上昇を効果的に阻止する。本発明
によるセパレータの保護層において、N含量(またはN
濃度)は保護層の表面から内部にいくにしたがって減少
している。すなわち、保護層において、金属窒化物の含
量または濃度は、表面から内部にいくにしたがって減少
している。このような組成を有する保護層は、下地の金
属との密着性がよく、下地から剥離しにくい。また、急
激な組成変化が抑制された保護膜は、高い疲労強度を有
し、使用中に亀裂が発生しにくく、良好な耐久性を有す
ることができる。
として金属を使用する。金属は、塑性加工等により、高
い精度で加工することができ、しかも、コストの低減に
寄与する。本発明では、この金属を金属窒化物を含む保
護層で覆う。窒化物は、セパレータの耐食性に寄与し、
使用の間の電気抵抗の上昇を効果的に阻止する。本発明
によるセパレータの保護層において、N含量(またはN
濃度)は保護層の表面から内部にいくにしたがって減少
している。すなわち、保護層において、金属窒化物の含
量または濃度は、表面から内部にいくにしたがって減少
している。このような組成を有する保護層は、下地の金
属との密着性がよく、下地から剥離しにくい。また、急
激な組成変化が抑制された保護膜は、高い疲労強度を有
し、使用中に亀裂が発生しにくく、良好な耐久性を有す
ることができる。
【0016】図2は、本発明によるセパレータの断面構
造の一例を示す。燃料ガスまたは酸化剤ガスのための通
路25を有するセパレータ20において、金属材料層2
1は、金属窒化物を主成分とする保護層22で覆われて
いる。保護層22において、Nまたは窒化物の含量また
は濃度は、図3(a)に示すように段階的に減少しても
よいし、図3(b)に示すように連続的に(単調に)減
少してもよい。特定的には、保護層22は、いわゆる傾
斜組成膜である。好ましい態様において、保護層の最表
面において、N含量または窒化物含量が最大である。好
ましい1つの態様において、保護層の最表面では、金属
の略全体が窒化されており、一方、内部では窒化物と金
属の複合材料層が形成され、保護層22と金属材料層2
1の境界領域では、窒化物は、ほとんど含まれなくな
る。複合材料層において、窒化物の濃度または体積率
は、内部にいくにしたがって減少し、金属の濃度または
体積率は、内部にいくにしたがって増加する。
造の一例を示す。燃料ガスまたは酸化剤ガスのための通
路25を有するセパレータ20において、金属材料層2
1は、金属窒化物を主成分とする保護層22で覆われて
いる。保護層22において、Nまたは窒化物の含量また
は濃度は、図3(a)に示すように段階的に減少しても
よいし、図3(b)に示すように連続的に(単調に)減
少してもよい。特定的には、保護層22は、いわゆる傾
斜組成膜である。好ましい態様において、保護層の最表
面において、N含量または窒化物含量が最大である。好
ましい1つの態様において、保護層の最表面では、金属
の略全体が窒化されており、一方、内部では窒化物と金
属の複合材料層が形成され、保護層22と金属材料層2
1の境界領域では、窒化物は、ほとんど含まれなくな
る。複合材料層において、窒化物の濃度または体積率
は、内部にいくにしたがって減少し、金属の濃度または
体積率は、内部にいくにしたがって増加する。
【0017】保護層22に含まれる金属種と金属材料層
21に含まれる金属種とは、同じでもよいし、異なって
いてもよい。両者が同じ場合、用意した金属材料をその
表面から窒化することにより、保護層を得ることができ
る。両者が異なる場合、たとえば、用意した金属材料上
に他の金属を堆積し、堆積された金属を窒化することに
より、保護層を得ることができる。両者が同じ例を図4
に示す。図4に示すセパレータ40において、金属材料
層41は、Tiからなる。保護層42は、Tiの窒化物
(TiN、Ti2N)を主成分とし、その表面はTiの
窒化物、特にTiNで占められる一方、内部は、Tiの
窒化物とTiとの複合体であり、N含量は、内部にいく
にしたがって減少する。セパレータ40の表面および裏
面には、それぞれ燃料および酸化剤のための通路45a
および45bが形成されている。両者が異なる例を図5
に示す。図5に示すセパレータ50において、金属材料
層51は、アルミニウムまたはステンレス鋼からなる。
保護層52は、Tiの窒化物(TiN、Ti2N)また
はCrの窒化物(CrN、Cr2N、CrN2、Cr(N
3)3)を主成分とし、その表面は窒化物で占められる一
方、内部は、窒化物とTiまたはCrとの複合体であ
り、N含量は、内部にいくにしたがって減少する。セパ
レータ50の表面および裏面には、それぞれ燃料および
酸化剤のための通路55aおよび55bが形成されてい
る。
21に含まれる金属種とは、同じでもよいし、異なって
いてもよい。両者が同じ場合、用意した金属材料をその
表面から窒化することにより、保護層を得ることができ
る。両者が異なる場合、たとえば、用意した金属材料上
に他の金属を堆積し、堆積された金属を窒化することに
より、保護層を得ることができる。両者が同じ例を図4
に示す。図4に示すセパレータ40において、金属材料
層41は、Tiからなる。保護層42は、Tiの窒化物
(TiN、Ti2N)を主成分とし、その表面はTiの
窒化物、特にTiNで占められる一方、内部は、Tiの
窒化物とTiとの複合体であり、N含量は、内部にいく
にしたがって減少する。セパレータ40の表面および裏
面には、それぞれ燃料および酸化剤のための通路45a
および45bが形成されている。両者が異なる例を図5
に示す。図5に示すセパレータ50において、金属材料
層51は、アルミニウムまたはステンレス鋼からなる。
保護層52は、Tiの窒化物(TiN、Ti2N)また
はCrの窒化物(CrN、Cr2N、CrN2、Cr(N
3)3)を主成分とし、その表面は窒化物で占められる一
方、内部は、窒化物とTiまたはCrとの複合体であ
り、N含量は、内部にいくにしたがって減少する。セパ
レータ50の表面および裏面には、それぞれ燃料および
酸化剤のための通路55aおよび55bが形成されてい
る。
【0018】また、本発明によるセパレータにおいて、
金属材料層は、1種の金属材料からなってもよいし、2
種以上の金属材料からなってもよい。図6は、複数種の
金属材料を使用した例を示す。セパレータ60におい
て、第1の金属材料61a上に第2の金属材料61bが
重ねられている。第2の金属材料61bが、窒化物を含
む保護層62で覆われる。たとえば、第1の金属材料を
AlまたはTiとし、第2の金属材料をステンレス鋼と
することができる。
金属材料層は、1種の金属材料からなってもよいし、2
種以上の金属材料からなってもよい。図6は、複数種の
金属材料を使用した例を示す。セパレータ60におい
て、第1の金属材料61a上に第2の金属材料61bが
重ねられている。第2の金属材料61bが、窒化物を含
む保護層62で覆われる。たとえば、第1の金属材料を
AlまたはTiとし、第2の金属材料をステンレス鋼と
することができる。
【0019】本発明によるセパレータにおいて、金属材
料層は、10-4Ω・cm以下の電気抵抗を有することが
好ましく、10-5Ω・cm以下がより好ましい。金属材
料は、たとえば、Fe、Fe合金、Ni、Ni合金、C
r、Cr合金、Cu、Cu合金、Al、Al合金、Ti
およびTi合金よりなる群から選ぶことができる。金属
材料層の厚みは、0.2〜2.0mmとすることがで
き、好ましくは、0.5〜1.0mmとすることができ
る。保護層の窒化物は、たとえば、Ti、Ti合金、C
r、Cr合金、Zr、Zr合金、Hf、Hf合金、V、
V合金、Nb、Nb合金、TaおよびTa合金の窒化物
よりなる群から選ぶことができる。特に、電気抵抗の低
い窒化物が好ましく、10〜1000×10-6の電気抵
抗を有する窒化物が好ましく、10〜500×10-6の
電気抵抗を有する窒化物がより好ましい。耐食性、低い
電気抵抗、低い成膜コストの観点から、Tiの窒化物
(TiNの電気抵抗は22〜130×10-6)およびC
rの窒化物(Crの電気抵抗は640×10-6)がより
好ましい。窒化物を含む保護層の厚みは、3〜500μ
mとすることができ、好ましくは、5〜50μmとする
ことができる。
料層は、10-4Ω・cm以下の電気抵抗を有することが
好ましく、10-5Ω・cm以下がより好ましい。金属材
料は、たとえば、Fe、Fe合金、Ni、Ni合金、C
r、Cr合金、Cu、Cu合金、Al、Al合金、Ti
およびTi合金よりなる群から選ぶことができる。金属
材料層の厚みは、0.2〜2.0mmとすることがで
き、好ましくは、0.5〜1.0mmとすることができ
る。保護層の窒化物は、たとえば、Ti、Ti合金、C
r、Cr合金、Zr、Zr合金、Hf、Hf合金、V、
V合金、Nb、Nb合金、TaおよびTa合金の窒化物
よりなる群から選ぶことができる。特に、電気抵抗の低
い窒化物が好ましく、10〜1000×10-6の電気抵
抗を有する窒化物が好ましく、10〜500×10-6の
電気抵抗を有する窒化物がより好ましい。耐食性、低い
電気抵抗、低い成膜コストの観点から、Tiの窒化物
(TiNの電気抵抗は22〜130×10-6)およびC
rの窒化物(Crの電気抵抗は640×10-6)がより
好ましい。窒化物を含む保護層の厚みは、3〜500μ
mとすることができ、好ましくは、5〜50μmとする
ことができる。
【0020】本発明によるセパレータは、たとえば、図
7(a)〜7(c)に示すような方法により製造するこ
とができる。まず、図7(a)に示すように燃料または
酸化剤の流路となる溝75および必要に応じて孔などの
その他の形状(図示せず)を有する金属板71を調製す
る。溝等の必要な形状は金属板をプレス加工することに
よって得ることができる。次いで、必要に応じて熱処理
等により歪みを除去し、さらに必要に応じてプラズマエ
ッチング等により金属板の表面を覆う酸化膜を除去す
る。次に図7(b)に示すように、加工された金属板7
1の清浄な表面から窒化処理を施す。窒化処理は、窒素
雰囲気下での加熱、プラズマ窒化法等の種々の窒化法に
より行なうことができる。特に、プラズマ窒化法は、ア
ンモニア分解ガスやシアン化合物を用いた窒化法より、
緻密な窒化膜を形成できる点で有利である。プラズマ窒
化法では、たとえば、0.1〜10Torrの窒素混合
ガス雰囲気下で、炉体を陽極、被処理物を陰極とし、数
百ボルトの直流電圧を両極間に印加する。その結果、グ
ロー放電が生じ、ネオンサインに似た柔らかい光が被処
理物を覆い、その際、イオン化されたガス成分が、高速
に加速され、被処理物に衝突し、加熱およびスパッタリ
ング作用等により、窒化が進行する。窒素混合雰囲気に
は、たとえば、N2:H3:CO2=1:1:0.07の
組成物を使用し、処理温度は、たとえば、500〜10
00℃である。窒化処理の結果、金属板71の表面が窒
化され、図7(c)に示すように、金属窒化物を主成分
とする保護膜72が形成される。
7(a)〜7(c)に示すような方法により製造するこ
とができる。まず、図7(a)に示すように燃料または
酸化剤の流路となる溝75および必要に応じて孔などの
その他の形状(図示せず)を有する金属板71を調製す
る。溝等の必要な形状は金属板をプレス加工することに
よって得ることができる。次いで、必要に応じて熱処理
等により歪みを除去し、さらに必要に応じてプラズマエ
ッチング等により金属板の表面を覆う酸化膜を除去す
る。次に図7(b)に示すように、加工された金属板7
1の清浄な表面から窒化処理を施す。窒化処理は、窒素
雰囲気下での加熱、プラズマ窒化法等の種々の窒化法に
より行なうことができる。特に、プラズマ窒化法は、ア
ンモニア分解ガスやシアン化合物を用いた窒化法より、
緻密な窒化膜を形成できる点で有利である。プラズマ窒
化法では、たとえば、0.1〜10Torrの窒素混合
ガス雰囲気下で、炉体を陽極、被処理物を陰極とし、数
百ボルトの直流電圧を両極間に印加する。その結果、グ
ロー放電が生じ、ネオンサインに似た柔らかい光が被処
理物を覆い、その際、イオン化されたガス成分が、高速
に加速され、被処理物に衝突し、加熱およびスパッタリ
ング作用等により、窒化が進行する。窒素混合雰囲気に
は、たとえば、N2:H3:CO2=1:1:0.07の
組成物を使用し、処理温度は、たとえば、500〜10
00℃である。窒化処理の結果、金属板71の表面が窒
化され、図7(c)に示すように、金属窒化物を主成分
とする保護膜72が形成される。
【0021】また、本発明によるセパレータは、図8
(a)〜(d)に示すような方法により製造してもよ
い。まず、図8(a)に示すように、表面が平坦な金属
板81を用意する。次いで、図8(b)に示すように、
金属板81上に金属層82を形成する。この工程は、ク
ラッド、溶射、PVD、CVD、電気めっき等のめっき
などにより行なうことができる。Ti層を形成する場
合、クラッド、溶射、PVD、CVDが好ましく、Cr
層を形成する場合、クラッド、溶射、PVD、CVD、
電気めっきが好ましい。Cr層の形成は、安価に行なえ
る電気めっきを利用できるので、有利である。次いで、
必要に応じて平滑化を行なった後、図8(c)に示すよ
うに、溝85などの必要な形状を有するよう金属板81
をプレス等により加工する。その後、必要に応じて熱処
理等により歪みを除去し、さらに必要に応じて金属層8
2の表面にできた酸化膜をプラズマエッチング等によっ
て除去する。次いで、窒化処理を行ない、図8(d)に
示すように、金属層を窒化して、保護層92を形成す
る。窒化は、上述と同様の方法により行なうことができ
る。このように、金属層を窒化することにより、良好な
耐食性を有する窒化膜を安価に得ることができる。
(a)〜(d)に示すような方法により製造してもよ
い。まず、図8(a)に示すように、表面が平坦な金属
板81を用意する。次いで、図8(b)に示すように、
金属板81上に金属層82を形成する。この工程は、ク
ラッド、溶射、PVD、CVD、電気めっき等のめっき
などにより行なうことができる。Ti層を形成する場
合、クラッド、溶射、PVD、CVDが好ましく、Cr
層を形成する場合、クラッド、溶射、PVD、CVD、
電気めっきが好ましい。Cr層の形成は、安価に行なえ
る電気めっきを利用できるので、有利である。次いで、
必要に応じて平滑化を行なった後、図8(c)に示すよ
うに、溝85などの必要な形状を有するよう金属板81
をプレス等により加工する。その後、必要に応じて熱処
理等により歪みを除去し、さらに必要に応じて金属層8
2の表面にできた酸化膜をプラズマエッチング等によっ
て除去する。次いで、窒化処理を行ない、図8(d)に
示すように、金属層を窒化して、保護層92を形成す
る。窒化は、上述と同様の方法により行なうことができ
る。このように、金属層を窒化することにより、良好な
耐食性を有する窒化膜を安価に得ることができる。
【0022】本発明によれば、0.2〜2.0mm、好
ましくは0.5〜1.0mmの厚みを有する比較的薄い
セパレータを提供できる。また、本発明によれば、10
0〜500cm2の面積、好ましくは200〜300c
m2の面積を有するセパレータを高い加工精度で提供で
きる。このようなセパレータは、400枚程度のセルを
有する燃料電池、特に自動車等の車両用の燃料電池に好
適である。
ましくは0.5〜1.0mmの厚みを有する比較的薄い
セパレータを提供できる。また、本発明によれば、10
0〜500cm2の面積、好ましくは200〜300c
m2の面積を有するセパレータを高い加工精度で提供で
きる。このようなセパレータは、400枚程度のセルを
有する燃料電池、特に自動車等の車両用の燃料電池に好
適である。
【0023】
【実施例】実施例1 圧延加工した厚み0.5mmのSUS430板(Fe−
18重量%Cr合金)を150mm×150mmのサイ
ズに切出し、プレス加工により溝つけを行なった。次い
で、その表面に電気めっきにより50μmの厚みのCr
層を形成した。クロムめっきには、150g/lの無水
クロム酸、2.0g/lの硫酸、および1.5g/lの
硫酸クロムを含有し、13.5のボーメ比重を有するめ
っき水溶液を用いた。溝つきSUS板をめっき浴につ
け、50℃の温度、10A/dm2の電流密度で電気め
っきを行なった。その後、CrめっきしたSUS430
板を窒化した。窒化処理では、1Torrの窒素混合ガ
ス雰囲気下で、炉体を陽極、SUS板を陰極とし、電極
間に300Vの直流電圧を印加した。この処理中、SU
S板は、600℃に加熱され、窒素混合ガスとして
N2:H3:CO2=1:1:0.07の組成物が使用さ
れた。この処理によりCr層が窒化され、保護皮膜を有
するセパレータが得られた。
18重量%Cr合金)を150mm×150mmのサイ
ズに切出し、プレス加工により溝つけを行なった。次い
で、その表面に電気めっきにより50μmの厚みのCr
層を形成した。クロムめっきには、150g/lの無水
クロム酸、2.0g/lの硫酸、および1.5g/lの
硫酸クロムを含有し、13.5のボーメ比重を有するめ
っき水溶液を用いた。溝つきSUS板をめっき浴につ
け、50℃の温度、10A/dm2の電流密度で電気め
っきを行なった。その後、CrめっきしたSUS430
板を窒化した。窒化処理では、1Torrの窒素混合ガ
ス雰囲気下で、炉体を陽極、SUS板を陰極とし、電極
間に300Vの直流電圧を印加した。この処理中、SU
S板は、600℃に加熱され、窒素混合ガスとして
N2:H3:CO2=1:1:0.07の組成物が使用さ
れた。この処理によりCr層が窒化され、保護皮膜を有
するセパレータが得られた。
【0024】次いで、SUS板を10mm角のサイズに
切出し、これを樹脂に埋め込み、研磨した後、その断面
のN濃度の分布をEPMA(エレクトロンプローブマイ
クロアナリシス)装置により測定した。その結果、図9
に示すように、Nの濃度は表面にいくほど高く、内部に
いくにしたがってN濃度は減少し、約20μmほどの深
さでNが検出されなくなった。窒化物として、表面に近
い部分にはCrNが多く検出され、内部では、Cr2N
が多く検出された。内部では、Crが残存していた。C
r窒化物を含有する皮膜の組織は緻密であった。また、
Crに近いSUS430の部分およびCrの部分は、再
結晶しており、それらの平均結晶粒径は約12μmであ
った。
切出し、これを樹脂に埋め込み、研磨した後、その断面
のN濃度の分布をEPMA(エレクトロンプローブマイ
クロアナリシス)装置により測定した。その結果、図9
に示すように、Nの濃度は表面にいくほど高く、内部に
いくにしたがってN濃度は減少し、約20μmほどの深
さでNが検出されなくなった。窒化物として、表面に近
い部分にはCrNが多く検出され、内部では、Cr2N
が多く検出された。内部では、Crが残存していた。C
r窒化物を含有する皮膜の組織は緻密であった。また、
Crに近いSUS430の部分およびCrの部分は、再
結晶しており、それらの平均結晶粒径は約12μmであ
った。
【0025】実施例2 圧延加工した厚み1.0mmのSUS310S板を15
0mm×150mmのサイズに切出し、その表面に溶射
により100μmの厚みのTi皮膜を形成した。次い
で、プレス加工により、表面を滑らかにするとともに、
溝付けを行なった。その後、N2:H3:CO2=1:
1:0.07の組成を有する雰囲気下で、Ti被覆され
たSUS板を973Kで5時間加熱して、表面に窒化膜
を形成し、セパレータを得た。実施例1と同様にEPM
Aにより断面方向のN濃度の分布を測定した結果、図1
0に示すように、表面から連続的にN濃度が低下し、約
50μmの深さでNがほぼ存在しなくなることが分かっ
た。表面に近い部分は、TiNが優勢であり、内部で
は、Ti2Nが検出された。図10に示すように表面に
いくほどN濃度が高い保護皮膜が得られた。SUS31
0Sの組織は、加工組織をほとんど有さない再結晶組織
であり、その平均結晶粒径は20μmであった。
0mm×150mmのサイズに切出し、その表面に溶射
により100μmの厚みのTi皮膜を形成した。次い
で、プレス加工により、表面を滑らかにするとともに、
溝付けを行なった。その後、N2:H3:CO2=1:
1:0.07の組成を有する雰囲気下で、Ti被覆され
たSUS板を973Kで5時間加熱して、表面に窒化膜
を形成し、セパレータを得た。実施例1と同様にEPM
Aにより断面方向のN濃度の分布を測定した結果、図1
0に示すように、表面から連続的にN濃度が低下し、約
50μmの深さでNがほぼ存在しなくなることが分かっ
た。表面に近い部分は、TiNが優勢であり、内部で
は、Ti2Nが検出された。図10に示すように表面に
いくほどN濃度が高い保護皮膜が得られた。SUS31
0Sの組織は、加工組織をほとんど有さない再結晶組織
であり、その平均結晶粒径は20μmであった。
【0026】比較例1 圧延加工した厚さ2mmのSUS304板を150mm
×150mmのサイズに切出した後、プレス加工により
溝つけを行ない、セパレータを得た。得られたセパレー
タにおいて、SUSは圧延加工組織を有していた。
×150mmのサイズに切出した後、プレス加工により
溝つけを行ない、セパレータを得た。得られたセパレー
タにおいて、SUSは圧延加工組織を有していた。
【0027】比較例2 圧延加工した厚さ0.5mmのSUS304板を150
mm×150mmのサイズに切出した後、プレス加工に
より溝つけを行なった。次いで、SUS板を真空チャン
バに設置し、排気後、真空下でその表面にイオンプレー
ティングを5時間施し、3μmの厚みのTiN膜を蒸着
し、セパレータを得た。EPMAにより表面からのN濃
度の分布を測定した結果、3μmの厚み全体にわたって
N濃度は均一であることが分かった。SUS304は、
圧延加工組織を有していた。
mm×150mmのサイズに切出した後、プレス加工に
より溝つけを行なった。次いで、SUS板を真空チャン
バに設置し、排気後、真空下でその表面にイオンプレー
ティングを5時間施し、3μmの厚みのTiN膜を蒸着
し、セパレータを得た。EPMAにより表面からのN濃
度の分布を測定した結果、3μmの厚み全体にわたって
N濃度は均一であることが分かった。SUS304は、
圧延加工組織を有していた。
【0028】比較例3 圧延加工した厚さ0.5mmのSUS310S板を15
0mm×150mmのサイズに切出した後、プレス加工
により溝つけを行なった。次いで、SUS板を真空チャ
ンバに設置し、5〜10Torrまで排気後、N2ガス
をチャンバ内に導入して2〜10Torrに調節した。
Tiターゲットを用いて反応性スパッタリングを10時
間行ない、SUS板表面に3μmの厚みのTiN膜を蒸
着し、セパレータを得た。EPMAにより表面からのN
濃度の分布を測定した結果、3μmの厚み全体にわたっ
てN濃度は均一であることが分かった。SUS310S
は、圧延加工組織を有していた。
0mm×150mmのサイズに切出した後、プレス加工
により溝つけを行なった。次いで、SUS板を真空チャ
ンバに設置し、5〜10Torrまで排気後、N2ガス
をチャンバ内に導入して2〜10Torrに調節した。
Tiターゲットを用いて反応性スパッタリングを10時
間行ない、SUS板表面に3μmの厚みのTiN膜を蒸
着し、セパレータを得た。EPMAにより表面からのN
濃度の分布を測定した結果、3μmの厚み全体にわたっ
てN濃度は均一であることが分かった。SUS310S
は、圧延加工組織を有していた。
【0029】実施例1および2、ならびに比較例1〜3
のセパレータをそれぞれ用いて固体高分子型燃料電池セ
ルを作製した。高分子電解質膜には、デュポン(du Pon
t)社製のナフィオン膜を使用し、電極にはカーボンブ
ラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混
合体を使用した。得られたセルサンプルについて連続出
力試験を行なった。比較例1のサンプルでは、出力中、
内部抵抗が徐々に増加し、5時間で約20%の出力低下
が生じ、0.5A/cm2の電流密度の場合、0.6V
の初期電圧が0.5Vに低下した。比較例2のサンプル
では、出力低下の程度が低かったが、連続100時間の
出力で0.6Vの初期電圧が0.5Vに低下した。比較
例3のサンプルでは、連続75時間で0.6Vの初期電
圧が0.5Vに低下した。比較例2および3のサンプル
では、試験終了後にセパレータを観察した結果、TiN
膜とSUS板との間に錆が生じていた。一方、実施例1
および2のサンプルでは、連続500時間の運転でも、
0.6Vの初期電圧は変化しなかった。試験終了後に各
実施例のセパレータを観察した結果、錆の発生はなく、
保護層は、十分にSUS板に密着していた。
のセパレータをそれぞれ用いて固体高分子型燃料電池セ
ルを作製した。高分子電解質膜には、デュポン(du Pon
t)社製のナフィオン膜を使用し、電極にはカーボンブ
ラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混
合体を使用した。得られたセルサンプルについて連続出
力試験を行なった。比較例1のサンプルでは、出力中、
内部抵抗が徐々に増加し、5時間で約20%の出力低下
が生じ、0.5A/cm2の電流密度の場合、0.6V
の初期電圧が0.5Vに低下した。比較例2のサンプル
では、出力低下の程度が低かったが、連続100時間の
出力で0.6Vの初期電圧が0.5Vに低下した。比較
例3のサンプルでは、連続75時間で0.6Vの初期電
圧が0.5Vに低下した。比較例2および3のサンプル
では、試験終了後にセパレータを観察した結果、TiN
膜とSUS板との間に錆が生じていた。一方、実施例1
および2のサンプルでは、連続500時間の運転でも、
0.6Vの初期電圧は変化しなかった。試験終了後に各
実施例のセパレータを観察した結果、錆の発生はなく、
保護層は、十分にSUS板に密着していた。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
良好な耐食性を有し、使用の間、電気抵抗の変化が少な
いセパレータを提供できる。本発明によるセパレータ
は、塑性加工等によって形成することができ、高い加工
精度で作製できる。本発明によるセパレータは、高い疲
労強度を有することができ、しかも長期にわたって少な
い劣化で使用できる良好な耐久性を有することができ
る。また、本発明によるセパレータは、低コストで提供
できる。本発明によるセパレータは、特に自動車等の車
両用燃料電池に好適である。
良好な耐食性を有し、使用の間、電気抵抗の変化が少な
いセパレータを提供できる。本発明によるセパレータ
は、塑性加工等によって形成することができ、高い加工
精度で作製できる。本発明によるセパレータは、高い疲
労強度を有することができ、しかも長期にわたって少な
い劣化で使用できる良好な耐久性を有することができ
る。また、本発明によるセパレータは、低コストで提供
できる。本発明によるセパレータは、特に自動車等の車
両用燃料電池に好適である。
【図1】固体高分子型燃料電池の構造の一例を模式的に
示す斜視図である。
示す斜視図である。
【図2】本発明によるセパレータの一例を示す概略断面
図である。
図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明によるセパレー
タの保護層ついて、表面からの深さとN含量との関係の
例を示す図である。
タの保護層ついて、表面からの深さとN含量との関係の
例を示す図である。
【図4】本発明によるセパレータのもう一つの例を示す
概略断面図である。
概略断面図である。
【図5】本発明によるセパレータのさらなる例を示す概
略断面図である。
略断面図である。
【図6】本発明によるセパレータのさらなる例を示す概
略断面図である。
略断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明によるセパレータの
製造方法の一例を示す概略断面図である。
製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明によるセパレータの
製造方法のもう一つの例を示す概略断面図である。
製造方法のもう一つの例を示す概略断面図である。
【図9】実施例1の保護層におけるN濃度分布を示す図
である。
である。
【図10】実施例2の保護層におけるN濃度分布を示す
図である。
図である。
11 高分子電解質膜 12 負極 13 正極 14、15、20、40、50、60 セパレータ 21、41、51、61a、61b 金属材料層 22、42、52、62、72、92 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 健史 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 Fターム(参考) 5H026 AA06 BB01 BB02 BB04 BB06 BB10 CC05 CX04 EE02 EE06 EE11
Claims (13)
- 【請求項1】 高分子電解質膜に積層される正極または
負極に酸化剤または燃料を供給するための通路を有する
セパレータであって、 金属材料層と、 前記金属材料層を覆う保護層とを備え、 前記保護層は、金属窒化物を含有し、かつ前記保護層に
おけるN含量は、前記保護層の表面から内部にいくにし
たがって減少していることを特徴とする、固体高分子型
燃料電池用セパレータ。 - 【請求項2】 前記金属窒化物は、Ti、Ti合金、C
r、Cr合金、Zr、Zr合金、Hf、Hf合金、V、
V合金、Nb、Nb合金、TaおよびTa合金の窒化物
よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特
徴とする、請求項1に記載のセパレータ。 - 【請求項3】 前記金属窒化物は、Tiの窒化物であ
り、かつ前記保護層は、前記Tiの窒化物としてTiN
およびTi2Nの少なくとも1種を含むことを特徴とす
る、請求項1に記載のセパレータ。 - 【請求項4】 前記金属窒化物は、Crの窒化物であ
り、かつ前記保護層は、前記Crの窒化物としてCr
N、Cr2N、CrN2およびCr(N3)3よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請
求項1に記載のセパレータ。 - 【請求項5】 前記金属材料がチタンからなり、かつ前
記保護層は、前記チタンを窒化することにより形成され
たものである、請求項1に記載のセパレータ。 - 【請求項6】 前記金属材料は、第1の金属を含み、 前記金属窒化物は、前記第1の金属と異なる第2の金属
の窒化物であり、かつ前記金属窒化物は、前記第1の金
属上に堆積された前記第2の金属を窒化することにより
形成されたものであることを特徴とする、請求項1〜4
のいずれか1項に記載のセパレータ。 - 【請求項7】 前記第1の金属は、ステンレス鋼であ
り、かつ前記第2の金属は、Ti、Ti合金、Crおよ
びCr合金よりなる群から選ばれた少なくとも1種であ
ることを特徴とする、請求項6に記載のセパレータ。 - 【請求項8】 前記第1の金属は、アルミニウムであ
り、かつ前記第2の金属は、Ti、Ti合金、Crおよ
びCr合金よりなる群から選ばれた少なくとも1種であ
ることを特徴とする、請求項6に記載のセパレータ。 - 【請求項9】 前記金属材料は、Fe、Fe合金、N
i、Ni合金、Cr、Cr合金、Cu、Cu合金、A
l、Al合金、TiおよびTi合金よりなる群から選ば
れた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1
〜4のいずれか1項に記載のセパレータ。 - 【請求項10】 高分子電解質膜に積層される正極また
は負極に酸化剤または燃料を供給するための通路を有す
るセパレータの製造方法であって、 前記通路を少なくとも有する形状に金属板を加工する工
程と、 前記加工された金属板の表面を窒化する工程とを備える
ことを特徴とする、固体高分子型燃料電池用セパレータ
の製造方法。 - 【請求項11】 前記金属板が、TiまたはTi合金か
らなることを特徴とする、請求項10に記載の製造方
法。 - 【請求項12】 高分子電解質膜に積層される正極また
は負極に酸化剤または燃料を供給するための通路を有す
るセパレータの製造方法であって、 金属板上にTi、Ti合金、Cr、Cr合金、Zr、Z
r合金、Hf、Hf合金、V、V合金、Nb、Nb合
金、TaおよびTa合金よりなる群から選ばれた少なく
とも1種の金属を堆積する工程と、 前記堆積された金属を窒化する工程とを備えることを特
徴とする、固体高分子型燃料電池用セパレータの製造方
法。 - 【請求項13】 前記堆積工程の後、前記通路を少なく
とも有する形状に前記金属板を加工する工程を備えるこ
とを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11161225A JP2000353531A (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | 固体高分子型燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11161225A JP2000353531A (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | 固体高分子型燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000353531A true JP2000353531A (ja) | 2000-12-19 |
Family
ID=15731016
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11161225A Withdrawn JP2000353531A (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | 固体高分子型燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000353531A (ja) |
Cited By (30)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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