[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2000234158A - 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

缶胴用アルミニウム合金板の製造方法

Info

Publication number
JP2000234158A
JP2000234158A JP3090699A JP3090699A JP2000234158A JP 2000234158 A JP2000234158 A JP 2000234158A JP 3090699 A JP3090699 A JP 3090699A JP 3090699 A JP3090699 A JP 3090699A JP 2000234158 A JP2000234158 A JP 2000234158A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
range
hot rolling
rate
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3090699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3871462B2 (ja
Inventor
Akira Hibino
旭 日比野
Masafumi Mizouchi
政文 溝内
Naoyuki Sakuma
尚幸 佐久間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sky Aluminium Co Ltd
Original Assignee
Sky Aluminium Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sky Aluminium Co Ltd filed Critical Sky Aluminium Co Ltd
Priority to JP03090699A priority Critical patent/JP3871462B2/ja
Publication of JP2000234158A publication Critical patent/JP2000234158A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3871462B2 publication Critical patent/JP3871462B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 DI缶胴用材料として、低耳率とフランジ成
形性、しごき性、強度が安定して優れたAl合金板の製
造方法を提供する。 【解決手段】 Al−Mg−Mn系合金を鋳造後、均質
化処理を施し、さらに熱間圧延にあたり、開始温度35
0〜580℃、熱間圧延中途の板厚20〜200mmの
段階で表面から50μmの深さまでの領域に30%以上
の再結晶を生じさせ、かつ熱間圧延中途の板厚が20m
m以上の段階から熱間圧延終了までにおいて、総熱間圧
延率98%以下、その間の各パスの圧延温度220〜4
50℃、各パス歪み速度2〜350/sec、各パス間
滞留時間10分以内として、各パスの再結晶率を1〜8
0%の範囲内に制御し、さらに熱延終了温度200〜3
30℃、終了板厚1.0〜7.0mmとし、熱延終了直
後の熱延板の室温までの平均冷却速度を100℃/時間
以下として、室温で再結晶率95%以下、耐力70MP
a以上の熱延板を得、さらに2〜60%の1次冷間圧延
後、連続焼鈍もしくはバッチ焼鈍を施してから、50%
以上の最終冷間圧延を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はDI加工(絞り−
しごき加工)による2ピースアルミニウム缶用の缶胴、
すなわちDI缶胴に用いられるAl−Mg−Mn系アル
ミニウム合金板の製造方法に関し、特に深絞り耳が低く
かつ塗装焼付後の強度が高く、しかもDI加工時の成形
性および塗装焼付後の成形性に優れたDI缶胴用アルミ
ニウム合金板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に2ピースアルミニウム缶の製造工
程としては、缶胴素材に対して深絞り加工およびしごき
加工によるDI成形を施して缶胴形状とした後、所定の
サイズにトリミングを施して脱脂・洗浄処理を行ない、
さらに塗装および印刷を行なって焼付け(ベーキング)
を行ない、その後、缶胴縁部に対してネッキング加工、
フランジング加工を行ない、その後、別に成形した缶蓋
(缶エンド)と合せてシーミング加工を行なって缶とす
るのが通常である。
【0003】このようにして製造されるDI缶の素材
(缶胴材)としては、従来からAl−Mg−Mn系合金
であるJIS 3004合金の硬質板が広く用いられて
いる。この3004合金は、しごき加工性に優れてい
て、強度を高めるために高圧延率で冷間圧延を施した場
合でも比較的良好な成形性を示すところから、DI缶胴
材として好適であるとされている。
【0004】このようなDI缶胴用の3004合金硬質
板の製造方法としては、DC鋳造法などによって鋳造
後、鋳塊に対し均質化処理を施し、さらに熱間圧延およ
び冷間圧延を施して所定の板厚とし、かつその過程にお
ける冷間圧延前あるいは冷間圧延中途において中間焼鈍
を施す方法が一般的である。
【0005】ところでDI缶胴については、主として材
料コスト低減、軽量化の目的から、より薄肉化を図るこ
とが強く望まれている。そしてこのように薄肉化を図る
ためには、薄肉化に伴なって生じる缶の座屈強度低下の
問題を回避するため、材料の高強度化を図ることが不可
欠である。
【0006】またDI缶胴用材料については、上述のよ
うな薄肉化を図るための高強度化の要請ばかりではな
く、DI成形時における耳率が低いことが強く望まれ
る。すなわち、DI成形時の耳率が低いことは、DI成
形時の歩留りの向上と、缶胴の耳切れに起因する缶胴破
断の防止の点から必要とされている。さらに、DI缶製
造時におけるフランジ成形性(口拡げ性)、しごき性
(缶切れ性)も重要であり、これらの耳率、フランジ成
形性、しごき性、および強度を缶胴材に要求される主要
4要素と称することができ、これらの4要素をバランス
良く向上させることが強く望まれている。特に耳率は、
これらの4要素のうちでもその制御が難しく、したがっ
てこれらの4要素のバランスの改善には、耳率の適切な
制御が極めて重要な課題となっている。
【0007】ここで、従来一般の熱間圧延方式として
は、粗圧延機、仕上圧延機としてそれぞれリバーシング
・ミル、リバーシング・ウォームミルを適用するか、あ
るいは粗圧延および仕上圧延兼用の圧延機としてリバー
シング・ミルを用いることが多いが、これらの熱間圧延
方式では、一般に耳率を改善しようとすれば、特にフラ
ンジ成形性の低下を招く問題が生じ、また逆にフランジ
成形性を向上させようとすれば耳率を抑えることが困難
となり、例えば絞り比1.9において耳率を3%以下に
抑えることは困難となる。
【0008】一方、耳率を改善するための缶胴材製造方
法として、既に特開平5−317914号では、冷間圧
延中途において2回焼鈍を行なう方法が提案されている
が、このように冷間圧延中途において2回焼鈍を行なっ
た場合、最終冷間圧延の圧延率を大きくとれないため、
強度不足が生じやすいという問題があるほか、焼鈍を2
回行なうために製造コストの上昇を招き、さらには製缶
時の材料の加工硬化量が大きくなってフランジ成形性が
悪化する問題もある。
【0009】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たものであって、缶胴材として望まれる諸要求を充分に
満足し得る材料、すなわち薄肉化を図った場合でも強度
とフランジ成形性、しごき性に優れ、しかも深絞りにお
ける材料の耳率が確実かつ安定して低い缶胴用アルミニ
ウム合金板を製造し得る方法を提供することを基本的な
目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するべく、本願発明者等が種々実験・検討を重ねた結
果、熱間圧延における材料の再結晶、特に熱間圧延中途
以降における各圧延パスでの再結晶状態を厳密に制御
し、かつ得られた熱間圧延板に対し1次冷間圧延を施し
てから中間焼鈍を行なうことによって、前述の課題を解
決し得ることを見出し、この発明をなすに至ったのであ
る。
【0011】具体的には、請求項1の発明の缶胴用アル
ミニウム合金板の製造方法は、Mg0.5〜2.0%
(重量%、以下同じ)、Mn0.5〜2.0%、Fe
0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、
さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単
独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアル
ミニウム合金を鋳造した後、520〜630℃の範囲内
の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらに熱間圧
延を行なうにあたり、(1) 350〜580℃の範囲
内の温度で熱間圧延を開始し、(2) 熱間圧延中途の
板厚が20〜200mmの範囲内の段階で、表面から5
0μmの深さまでの領域に再結晶率30%以上の再結晶
を少なくとも1回生じさせ、(3) 熱間圧延中途の板
厚が20mm以上の段階から熱間圧延終了までの間の総
熱間圧延率を98%以下とし、かつその間における各圧
延パスでの圧延温度を220〜450℃の範囲内とする
とともに各圧延パスでの歪み速度を2〜350/sec
の範囲内とし、しかも各圧延パス間の材料滞留時間を1
0分以内として、熱間圧延中途の板厚が20mm以上の
段階から熱延終了までの間の各圧延パス(但し最終パス
を除く)における次パス開始直前までの再結晶率を1〜
80%の範囲内に制御し、(4) 熱間圧延の終了温度
を200〜330℃の範囲内、終了板厚を1.0〜7.
0mmの範囲内とし、(5) 熱間圧延終了直後の20
0〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速
度を100℃/hr以下とし、(6) 以上の(1)〜
(5)により、熱間圧延終了後の室温に冷却された状態
での再結晶率を95%以下、耐力を70MPa以上に制
御し、その後、熱間圧延板に対して、2〜60%の範囲
内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さらに1〜100
℃/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範
囲内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保
持を行なって、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速
度で冷却する連続焼鈍を施し、その後さらに50%以上
の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とするもの
である。
【0012】また請求項2の発明の缶胴用アルミニウム
合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金として、M
g0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.
1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、かつ
Cu0.05〜0.5%、Cr0.05〜0.3%、Z
n0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含
有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のT
iを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組
合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
るアルミニウム合金を用い、請求項1で規定するプロセ
ス条件と同様の条件の均質化処理−熱間圧延−1次冷間
圧延−連続焼鈍−最終冷間圧延のプロセスで製造するも
のである。
【0013】さらに請求項3の発明の缶胴用アルミニウ
ム合金板の製造方法は、素材合金として請求項1で規定
する合金と同じアルミニウム合金を用い、かつ均質化処
理−熱間圧延−1次冷間圧延を請求項1で規定する条件
で行ない、その後の焼鈍として、0.1℃/秒以下の平
均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の温度
に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平均冷
却速度で冷却するバッチ焼鈍を施し、その後請求項1の
方法と同様に50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行な
うものである。
【0014】そしてまた請求項4の発明の缶胴用アルミ
ニウム合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金とし
て請求項2で規定する成分組成と同じ成分組成の合金を
用い、請求項3で規定するプロセスで製造するものであ
る。
【0015】なお、以上の請求項1〜4の方法におい
て、50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なった後に
は、さらに80〜200℃の範囲内の温度で0.1〜2
4時間保持する最終焼鈍を施しても良く、これを規定し
たのが請求項5の発明である。
【0016】
【発明の実施の形態】先ずこの発明の方法において用い
られるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について
説明する。
【0017】Mg:Mgの添加は、Mgそれ自体の固溶
による強度向上に効果があり、またMgの固溶に伴なっ
て加工硬化量の増大による強度向上が期待でき、さらに
はSiとの共存によるMg2Siの時効析出による強度
向上も期待でき、したがってMgは缶胴材として必要な
強度を得るためには不可欠の元素である。またMgは、
加工時の転位の増殖作用があるため、再結晶粒を微細化
させるためにも有効である。但しMg量が0.5%未満
では上述の効果が少なく、一方2.0%を越えれば、高
強度は容易に得られるものの、DI加工時の変形抵抗が
大きくなって絞り性やしごき性を悪くする。したがって
Mg量は0.5〜2.0%の範囲内とした。
【0018】Mn:Mnは強度および成形性の向上に寄
与する有効な元素である。特にこの発明で目的としてい
る用途である缶胴材ではDI成形時にしごき加工が加え
られるため、とりわけMnは重要となる。アルミニウム
板のしごき加工においては通常エマルジョンタイプの潤
滑剤が用いられているが、Mn系晶出物が少ない場合に
は同程度の強度を有していてもエマルジョンタイプ潤滑
剤だけでは潤滑能が不足し、ゴーリングと称される擦り
疵や焼付きなどの外観不良が発生するおそれがある。ゴ
ーリングは晶出物の大きさ、量、種類に影響されること
が知られており、その晶出物を形成するためにMnは不
可欠な元素である。Mn量が0.5%未満ではMn系化
合物による固体潤滑的な効果が得られず、一方Mn量が
2.0%を越えればAl6Mnの初晶巨大金属間化合物
が発生し、著しく成形性を損なう。そこでMn量は0.
5〜2.0%の範囲内とした。
【0019】Fe:Feは、Mnの晶出や析出を促進し
て、アルミニウム基地中のMn固溶量やMn系金属間化
合物の分散状態を制御するために必要な元素である。適
切な化合物分散状態を得るためには、Mn添加量に応じ
てFeを添加することが必要である。Fe量が0.1%
未満では適切な化合物分散状態を得ることが困難であ
り、一方Fe量が0.7%を越えれば、Mn添加に伴な
って初晶巨大金属間化合物が発生しやすくなり、成形性
を著しく損なう。そこでFe量の範囲は0.1〜0.7
%とした。
【0020】Si:Siの添加は、Mg2Si系化合物
の析出による時効硬化を通じて缶胴材の強度向上に寄与
する。またSiは、Al−Mn−Fe−Si系金属間化
合物を生成して、Mn系金属間化合物の分散状態を制御
するために必要な元素である。Si量が0.05%未満
では上記の効果が得られず、一方0.5%を越えれば時
効硬化により材料が硬くなりすぎて成形性を阻害する。
そこでSi量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0021】Ti,B:通常のアルミニウム合金におい
ては、鋳塊結晶粒微細化のためにTi、あるいはTiお
よびBを微量添加することが行なわれており、この発明
においても、必要に応じて微量のTiを単独で、あるい
はBと組合せて添加しても良い。但しTi量が0.00
5%未満ではその効果が得られず、0.20%を越えれ
ば巨大なAl−Ti系金属間化合物が晶出して成形性を
阻害するため、Tiを添加する場合のTi量は0.00
5〜0.20%の範囲内とした。またTiとともにBを
添加すれば鋳塊結晶粒微細化の効果が向上するが、Ti
と併せてBを添加する場合、B量が0.0001%未満
ではその効果がなく、0.05%を越えればTi−B系
の粗大粒子が混入して成形性を害することから、Tiと
ともにBを添加する場合のB量は0.0001〜0.0
5%の範囲内とした。
【0022】Cu,Cr,Zn:これらはいずれも強度
向上に寄与する元素であり、必要に応じてこれらのうち
から選ばれた1種または2種以上が添加される。これら
の各元素についてさらに説明する。
【0023】Cu:Cuは、焼鈍時にアルミニウム基地
中に溶体化させておき、塗装焼付処理時にAl−Cu−
Mg系析出物として析出することによる析出硬化を利用
した強度向上に寄与する。Cu量が0.05%未満では
その効果が得られず、一方Cuを0.5%を越えて添加
した場合には、時効硬化は容易に得られるものの、硬く
なりすぎて成形性を阻害し、また耐食性も劣化する。そ
こでCu量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0024】Cr;Crも強度向上に効果的な元素であ
るが、0.05%未満ではその効果が少なく、0.3%
を越えれば巨大晶出物生成によって成形性の低下を招く
ため、好ましくない。そこでCr量の範囲は0.05〜
0.3%とした。
【0025】Zn:Znの添加はAl−Mg−Zn系粒
子の時効析出による強度向上に寄与するが、0.05%
未満ではその効果が得られず、0.5%を越えれば、強
度への寄与については問題がないが、耐食性を劣化させ
る。そこでZn量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0026】以上の各元素の残部はAlと不可避不純物
とすれば良い。
【0027】次にこの発明における製造プロセスを、そ
の作用とともに説明する。
【0028】先ず前述のような合金組成を有するアルミ
ニウム合金鋳塊を常法に従ってDC鋳造法(半連続鋳造
法)などにより鋳造する。次いでその鋳塊に対して均質
化処理を施して、鋳塊の偏析を均質化するとともにMn
系の第2相粒子サイズと分布を最適化する。均質化処理
温度が520℃未満では均質化の効果が不充分であり、
一方630℃を越えれば共晶融解のおそれがある。均質
化処理は1時間未満では均質化が不充分となる。したが
って均質化処理は520〜630℃の範囲内の温度で1
時間以上行なう必要がある。なお均質化処理時間の上限
は特に規制しないが、経済性を考慮して通常は48時間
以下にすることが好ましい。
【0029】均質化処理を施したスラブに対しては、熱
間圧延を行なう。缶胴材の製造工程中において、熱間圧
延は、再結晶挙動の制御を通じて耳率の制御に重要な影
響を及ぼす。そこでこの発明では、熱間圧延開始温度や
熱間圧延終了温度のみならず、少なくとも板厚が20m
m以降の段階での各圧延パスの条件などを厳密に細かく
規定することによって、再結晶挙動を厳密に制御してい
る。以下に熱間圧延工程における各条件についてさらに
詳細に説明する。
【0030】(1) 熱間圧延開始温度を350〜58
0℃の範囲内とする。
【0031】熱間圧延の開始温度は、熱間圧延中の材料
の回復および再結晶の挙動に強い影響を及ぼし、特に最
終板の深絞り耳を低くするために必要なキューブ方位の
結晶組織(キューブ方位の結晶粒の集合体を以下キュー
ブバンドと称する)の形成に重要な役割を果たしてい
る。熱間圧延開始温度が350℃未満では圧延集合組織
を発達させ易いが、熱間圧延中に板のエッジ割れが生じ
やすくなり、一方580℃を越えた高温で熱間圧延を開
始すれば、キューブバンドの形成は容易となるものの、
板の表面品質が低下する。したがって熱間圧延開始温度
は350〜580℃の範囲内とする必要がある。
【0032】(2) 熱間圧延中途の板厚が20〜20
0mmの範囲内の段階で、表面から50μmの深さまで
の領域(表層領域)に30%以上の再結晶率で少なくと
も1回の再結晶を生じさせる。
【0033】熱間圧延中途における板厚が20〜200
mmの範囲内の段階での表層領域の回復や再結晶は、最
終板の耳率にはそれほど大きな影響を与えないが、表面
品質、エッジ割れの改善に影響があり、この表層領域で
30%以上の再結晶を少なくとも1回以上生じさせてお
くことにより、最終板の表面品質の向上とエッジ割れの
防止に有効となり、ひいてはフランジ成形性、しごき性
の向上に寄与する。ここで、30%以上の再結晶が生じ
た領域が表面から50μm未満の浅い領域に過ぎない場
合や、表面から50μmの深さの領域の再結晶率が30
%未満の場合には、上記の効果を充分に得ることができ
ない。
【0034】(3) 熱間圧延中途の板厚が少なくとも
20mm以上の段階から熱間圧延終了までの間におい
て、圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス開
始直前までの再結晶率を1〜80%の範囲内に制御す
る。そしてこのように板厚が20mm以上の段階以降の
各圧延パスにおいて1〜80%の再結晶率を確保するた
めに、熱間圧延中途の板厚が20mm以上の段階から熱
間圧延終了までの間の総熱間圧延率を98%以下とし、
かつその間における各圧延パスでの圧延温度を220〜
450℃の範囲内とするとともに、その間における各圧
延パスでの歪み速度を2〜350/secの範囲内と
し、しかも各圧延パス間での材料滞留時間を10分以内
とする。
【0035】少なくとも板厚が20mm以上の段階以降
の各圧延パスにおける圧延中の再結晶率は、集合組織の
制御に重要な影響を及ぼし、その間の各圧延パスにおけ
る再結晶率を1〜80%の範囲内、望ましくは5〜40
%の範囲内に制御することによって、熱間圧延終了後の
材料のキューブ方位密度を高め、最終板の45°耳を低
くして低耳率を達成することが可能となる。なおここで
規定している各圧延パスにおける再結晶率は、その圧延
パスの開始から次パスでの圧延が開始される直前までに
生じる再結晶を体積率で表したものである。ここで、板
厚が20mmの段階以降の各圧延パスのうち、1パスで
も再結晶率が80%を越えたりあるいは1%未満となれ
ば、熱間圧延終了後のキューブ方位結晶粒の密度が低下
し、最終板の45°耳が高くなってしまう。また板厚が
20mmより厚い段階における各圧延パスにおける再結
晶率は、最終板の耳率には大きな影響を与えない。但
し、板厚が20mmよりも大きい段階から各圧延パスの
再結晶率を前述のように制御しても特に不都合を招くこ
とはなく、そこでこの発明では、熱間圧延中途の板厚が
20mm以上の段階から後の各圧延パスにおける再結晶
率を規定している。
【0036】上述のように板厚が20mm以上の段階以
降の各圧延パスにおける再結晶率を1〜80%、好まし
くは5〜40%の範囲内に制御するためには、圧延温度
と、各圧延パスの歪み速度と、各圧延パス間の材料滞留
時間を適切に制御する必要がある。すなわち、板厚が2
0mm以上の段階以降において、先ず圧延温度を220
〜450℃の範囲内とし、また各圧延パスの歪み速度を
2〜350/sの範囲内とし、さらに各圧延パス間にお
ける滞留時間(前の圧延パスにおける圧延終了から次の
圧延パスにおける圧延開始までの時間)を10分以内と
する必要がある。ここで、板厚が20mm以上の段階以
降での圧延温度が220℃未満では、前述の再結晶率の
下限を確保することが困難となるばかりでなく、圧延中
に板のエッジ割れが生じるおそれがあり、一方450℃
を越えれば再結晶率が上限を越えるおそれがある。また
各圧延パスにおける歪み速度が2/sec未満となれ
ば、前述の再結晶率の下限を確保することが困難となる
ばかりでなく、生産性も著しく低下してしまい、一方各
圧延パスにおける歪み速度が350/secを越えれ
ば、表面品質が低下してしまうおそれがある。さらに各
圧延パスの間における材料の滞留時間が10分を越えれ
ば、その滞留時間中に再結晶が進行して、各圧延パスで
の再結晶率が上限を越えてしまうおそれがあり、また生
産性も著しく低下してしまう。
【0037】(4) 熱間圧延終了温度を200〜33
0℃の範囲内とし、かつ熱間圧延終了時の板厚を1.0
〜7.0mmの範囲内とする。
【0038】熱間圧延の終了温度(上がり温度)が20
0℃未満では、表面品質が低下するばかりでなく、第2
相粒子周辺での再結晶核生成密度が増加して、その後の
再結晶でキューブ方位以外の再結晶粒が多くなり、低耳
率制御に不利となる。一方熱間圧延終了温度が330℃
を越えれば、熱間圧延終了後室温まで冷却した状態での
再結晶率を95%以下、耐力を70MPa以上とするこ
とが困難となってしまう。また熱間圧延終了時の板厚
(上がり板厚)が1.0mm未満では、熱間圧延機にお
ける板厚精度の制御が困難となり、一方熱間圧延終了板
厚が7.0mmを越えれば、焼鈍後の最終的な冷間圧延
において圧延率が高くなり過ぎ、高強度は容易に得られ
るものの、45°耳が高くなって、耳率が大きくなって
しまう。
【0039】(5) 熱間圧延終了直後の200〜33
0℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を10
0℃/時間以下とする。
【0040】熱間圧延終了直後の上り材(コイル)の2
00〜330℃の範囲内の温度から室温までの冷却過
程、特に100℃までの冷却過程は、キューブ方位再結
晶粒の核生成が生じる過程であり、この間の冷却速度が
100℃/時間を越える場合には、キューブ方位再結晶
粒の核生成が不充分となり、最終板の低耳率制御に不利
となる。なお熱間圧延終了直後の220〜330℃の範
囲内の温度から室温までの平均冷却速度の下限は特に限
定しないが、1℃/時間以上とすることが好ましい。そ
の間の冷却速度が1℃/時間未満の場合は、ほぼ完全に
再結晶してしまい、室温まで冷却した状態での再結晶率
を95%以下、耐力値を70MPa以上とすることが困
難となるおそれがある。
【0041】(6) 室温まで冷却した状態での熱間圧
延上がり板(熱延板)の再結晶率を95%以下、耐力値
を70MPa以上とする。このことは、熱延板を完全再
結晶状態とはさせずに、部分再結晶状態とすることを意
味する。
【0042】熱間圧延上り板の室温まで冷却した状態で
の再結晶率と耐力値の規制は、この発明の方法において
重要なポイントであり、これらの値は最終板の低耳率制
御と外観欠陥に大きな影響を及ぼす。すなわち、熱間圧
延上りの200〜330℃の範囲内の温度から室温まで
冷却する間に自己焼鈍が進んで、再結晶率が95%を越
えてしまった場合(すなわち完全再結晶状態もしくはそ
れに近い再結晶状態)、あるいは耐力値が70MPaを
下廻ってしまった場合には、その後の1次冷間圧延と焼
鈍によりキューブ方位の再結晶組織を拡大させる効果が
得られなくなり、そのため最終板を低耳率に制御するこ
とが困難となり、また同時に最終板の結晶粒の粗大化を
招いて製缶時の肌荒れやフローライン等の外観欠陥が発
生しやすくなる。したがって室温まで冷却した状態での
再結晶率を95%以下、耐力値を70MPa以上に規制
する必要がある。そしてこの範囲内でも特に再結晶率は
75%以下、耐力値は90MPa以上が好ましい。なお
このように室温まで冷却した状態での再結晶率には、主
として熱間圧延終了温度と、熱間圧延終了温度からの室
温までの冷却速度、さらには合金の成分組成が影響を与
えるから、これらを相互の関係のもとに適切に調整する
ことによって室温での再結晶率を95%以下に制御する
ことができ、また室温まで冷却した状態での耐力値に
は、上述ような再結晶率と合金成分組成が影響を与える
から、前記同様に熱間圧延終了温度、室温までの冷却速
度、合金の成分組成を相互の関係のもとに適切に調整す
ることによって70MPa以上に制御することができ
る。
【0043】以上の(1)〜(6)の条件を満たすよう
にして得られた部分再結晶状態の熱延板に対しては、圧
延率が2〜60%の範囲内の1次冷間圧延を施す。この
ように部分再結晶状態の熱延板に対し1次冷間圧延を施
して熱延板に歪みを与えることにより、その後の焼鈍で
キューブ方位の再結晶粒の生成、成長を促進させるとと
もにキューブ方位以外の再結晶粒の生成、成長を抑制す
る効果が得られる。
【0044】ここで、熱延板に対する1次冷間圧延の圧
延率が2%未満では、歪み量不足によりキューブ方位の
再結晶粒の生成、成長を加速する効果およびキューブ方
位以外の再結晶粒の生成、成長を抑制する効果が不充分
となり、一方圧延率が60%を越えれば、導入された多
量の歪によりキューブ方位の再結晶粒も壊されてしまう
ため、キユーブ方位再結晶粒組織を充分に得ることが困
難となり、最終板の耳率低減効果が得られなくなる。し
たがって熱延板に対する1次冷間圧延における圧延率は
2〜60%の範囲内とした。ここで、特にこの発明にお
いては、1次冷間圧延の圧延率が2〜60%という広い
範囲で許容されることが重要であり、このような広い範
囲内で1次冷間圧延率を最適に調整することによって、
最終板における低耳率のみならず、前述の缶胴材に要求
される4要素のバランスを向上させることが可能となっ
た。なおこのように1次冷間圧延率に広い範囲が許容さ
れるようになったのは、既に述べたように熱間圧延条件
を厳密に規制して、耳率制御に有利となるように熱間圧
延工程での再結晶状態を適切に制御したことによるので
ある。
【0045】前述のように熱延板に対して圧延率2〜6
0%の1次冷間圧延を施した後には、連続焼鈍(CA
L)もしくはバッチ焼鈍によって中間焼鈍を施す。この
中間焼鈍は、材料を完全に再結晶させ、最終冷間圧延後
の最終板の耳率を低くするために必要な工程である。
【0046】1次冷間圧延後の中間焼鈍に連続焼鈍を適
用する場合、その連続焼鈍は、1〜100℃/秒の範囲
内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に
加熱し、保持なしもしくは10分以下の保持の後、1〜
100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する条件と
する。ここで、平均昇温速度、平均冷却速度が1℃/秒
未満では、連続焼鈍(CAL)方式においては生産性の
著しい低下を招き、また100℃/秒を越える平均昇温
速度、平均冷却速度はキューブ方位の再結晶粒の形成に
不利となる。また加熱到達温度が330℃未満では再結
晶が生じにくく、一方620℃を越える高温では共晶融
解が生じるおそれがある。さらに330〜620℃に1
0分を越えて保持することは、連続焼鈍の生産性を阻害
する。
【0047】一方、一次冷間圧延後の中間焼鈍としてバ
ッチ焼鈍を適用する場合、平均昇温速度0.1℃/秒以
下で250〜500℃の範囲内の温度に加熱し、その範
囲内の温度で0.5時間以上保持し、平均冷却速度0.
1℃/秒以下で冷却する。ここで、平均昇温速度および
平均冷却速度が0.1℃/秒を越えれば、バッチ焼鈍方
式では熱延板コイル全体を均一に加熱もしくは冷却でき
なくなる問題が生じる。また加熱保持温度が250℃未
満では完全に再結晶させることが困難となり、一方50
0℃を越える高温では再結晶核が粗大となって、製缶時
に肌荒れやフローラインなどの表面欠陥が発生しやすく
なる。また加熱保持の時間が0.5時間未満では完全に
再結晶させることが困難であり、また熱延板のコイルの
全体を均一に加熱することが困難となる。なおバッチ焼
鈍の場合の加熱保持時間の上限は特に定めないが、通常
は経済性の観点から、24時間以内とする。
【0048】以上のように、連続焼鈍もしくはバッチ焼
鈍による中間焼鈍を施した後には、最終板厚としかつ必
要な強度を得るために、50%以上の圧延率で、最終冷
間圧延を施す。ここで、最終冷間圧延の圧延率が50%
未満では、加工硬化による強度上昇が少なく、缶胴材用
の最終板に必要な強度を得ることが困難である。
【0049】最終冷間圧延後の板は、これを最終板とし
てそのままDI成形に供しても良いが、最終冷間圧延後
の板に必要に応じて80〜200℃の範囲内の温度で
0.5〜24時間の最終焼鈍を行なっても良い。この最
終焼鈍は、延性の回復による成形性の向上を目的とした
ものであるが、その温度が80℃未満では成形性の向上
効果が充分に得られず、一方200℃を越えれば軟化に
よる強度低下が大きくなり、また焼鈍時間が0.5時間
未満では成形性向上効果を充分に得ることができず、さ
らに焼鈍時間が24時間を越えれば、成形性向上効果が
飽和し、生産性、経済性を損なうだけである。なお積極
的に最終焼鈍を行なわない場合でも、最終冷間圧延を高
速で行なうことにより発生する加工熱を利用して、前記
同様な焼鈍効果を得ることができる。
【0050】
【実施例】表1に示す合金記号A〜Fの各合金につい
て、常法に従ってDC鋳造法によりスラブに鋳塊した。
その後、均質化処理を施した後、熱間圧延を施した。熱
間圧延の詳細な条件を表2〜表4の製造番号1〜7に示
す。さらに室温まで冷却した後の熱延板に対し、1次冷
間圧延を施した後、中間焼鈍として連続焼鈍もしくはバ
ッチ焼鈍を施し、その後最終冷間圧延を行なった。なお
最終冷間圧延後には、製造番号1,3,5の場合を除い
て最終焼鈍を施した。1次冷間圧延後の詳細な条件を表
5の製造番号1〜7に示す。
【0051】以上のようにして得られた缶胴用のアルミ
ニウム合金板について、元板の機械的性質(引張強さT
S、耐力YS、伸びEL)および塗装焼付(ベーキン
グ)を想定した200℃×20分の熱処理を行なった後
の機械的性質を調べた。また元板については、ポンチ径
48mm、ブランク径93mm、クリアランス30%の
条件にてカップ深絞り試験を行なって耳率を調べた。こ
こで、強度については、塗装焼付(ベーキング)後の耐
力として、250MPa以上の値が必要であり、また耳
率については、3%を越えれば製缶中のトラブルが発生
しやすくなることが知られている。
【0052】さらにDI缶成形性評価として、缶切れ性
(しごき性)、口拡げ性(フランジ成形性)、シーミン
グ性、および外観欠陥について調べた。ここで、缶切れ
性については苛酷なしごき加工を連続10,000缶行
なったときの缶破断の発生状況を調べ、また口拡げ性に
ついては4段ネッキング加工後のフランジ成形性を調
べ、さらにシーミング性については4段ネッキング加工
後のシーミング加工性を調べ、そしてまた外観欠陥につ
いては、DI缶の缶胴壁の圧延方向に沿ったフローライ
ン状の外観欠陥およびDI方向の縦筋の発生状況を調
べ、それぞれ1〜5の5段階で相対評価した。これらの
結果を表6に示す。なお表6においてDI缶成形性につ
いての5段階評価においては、数字が大きいほど良好で
あり、“3”のランク以上で合格と評価した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】表1〜表6において、製造番号1〜5はい
ずれもこの発明で規定する成分組成範囲内の合金につい
て、この発明で規定する製造プロセス条件を満足して製
造したものであり、この場合は表5に示すように、いず
れも耳率が3%を確実に下廻って充分な低耳率を達成で
き、かつベーキング後の耐力が250MPa以上で充分
な強度を有しており、しかもDI缶成形性、特にしごき
性、フランジ成形性も優れていることが明らかである。
【0060】一方製造番号6は、合金の成分組成はこの
発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件がこ
の発明で規定する範囲から外れたものである。すなわち
製造番号6のプロセスでは、熱間圧延中途の板厚25m
mの段階から2パス目の再結晶率が91%と大きくなっ
てこの発明で規定する1〜80%の範囲を越え、かつ熱
間圧延上り温度が340℃であって、この発明で規定す
る200〜330℃の範囲を越え、さらに熱間圧延終了
後の室温まで冷却した状態での再結晶率が100%であ
って、この発明の再結晶率上限95%を越えるととも
に、耐力値が66MPaとこの発明で規定する下限70
MPaを下廻っており、この場合は最終板の耳率が5.
7%と高く、さらには缶切れ性(しごき性)にも劣って
いた。
【0061】また製造番号7は、Mgが0.45%とこ
の発明で規定する範囲を外れた合金Fを用いた例であ
り、この場合はベーキング後の強度が低く、また耳率も
高く、DI成形性に劣っていた。
【0062】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明の方法によれば、DI缶胴用材料として要求され
る4要素、すなわち耳率とフランジ成形性、しごき性、
強度のバランスが優れたアルミニウム合金板を確実かつ
安定して得ることができる。特にこの発明の方法の場
合、熱間圧延条件を細かく制御することにより、低耳率
を確保しながらも中間焼鈍を挟んでの2回の冷間圧延の
うちの1次の冷間圧延の圧延率を広い範囲で調整するこ
とが可能となり、そのため低耳率と高い強度とを同時か
つ容易に得ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 684 684C 685 685Z 686 686B 691 691B 691C 691A 692 692A 694 694B 694A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg0.5〜2.0%(重量%、以下同
    じ)、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、
    Si0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて
    0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0
    001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAl
    および不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造
    した後、520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上
    の均質化処理を施し、さらに熱間圧延を行なうにあた
    り、(1) 350〜580℃の範囲内の温度で熱間圧
    延を開始し、(2) 熱間圧延中途の板厚が20〜20
    0mmの範囲内の段階で、表面から50μmの深さまで
    の領域に再結晶率30%以上の再結晶を少なくとも1回
    生じさせ、(3) 熱間圧延中途の板厚が20mm以上
    の段階から熱間圧延終了までの間の総熱間圧延率を98
    %以下とし、かつその間における各圧延パスでの圧延温
    度を220〜450℃の範囲内とするとともに各圧延パ
    スでの歪み速度を2〜350/secの範囲内とし、し
    かも各圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、
    熱間圧延中途の板厚が20mm以上の段階から熱延終了
    までの間の各圧延パス(但し最終パスを除く)における
    次パス開始直前までの再結晶率を1〜80%の範囲内に
    制御し、(4) 熱間圧延の終了温度を200〜330
    ℃の範囲内、終了板厚を1.0〜7.0mmの範囲内と
    し、(5) 熱間圧延終了直後の200〜330℃の範
    囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/h
    r以下とし、(6) 以上の(1)〜(5)により、熱
    間圧延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を9
    5%以下、耐力を70MPa以上に制御し、 その後、熱間圧延板に対して、2〜60%の範囲内の圧
    延率で1次冷間圧延を行ない、さらに1〜100℃/秒
    の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の
    温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保持を行
    なって、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷
    却する連続焼鈍を施し、その後さらに50%以上の圧延
    率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用ア
    ルミニウム合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
    2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
    5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.
    05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種
    または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.00
    5〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜
    0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、
    520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化
    処理を施し、さらに熱間圧延を行なうにあたり、(1)
    350〜580℃の範囲内の温度で熱間圧延を開始
    し、(2) 熱間圧延中途の板厚が20〜200mmの
    範囲内の段階で、表面から50μmの深さまでの領域に
    再結晶率30%以上の再結晶を少なくとも1回生じさ
    せ、(3) 熱間圧延中途の板厚が20mm以上の段階
    から熱間圧延終了までの間の総熱間圧延率を98%以下
    とし、かつその間における各圧延パスでの圧延温度を2
    20〜450℃の範囲内とするとともに各圧延パスでの
    歪み速度を2〜350/secの範囲内とし、しかも各
    圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間圧
    延中途の板厚が20mm以上の段階から熱延終了までの
    間の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス
    開始直前までの再結晶率を1〜80%の範囲内に制御
    し、(4) 熱間圧延の終了温度を200〜330℃の
    範囲内、終了板厚を1.0〜7.0mmの範囲内とし、
    (5) 熱間圧延終了直後の200〜330℃の範囲内
    の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以
    下とし、(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間圧
    延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を95%
    以下、耐力を70MPa以上に制御し、 その後、熱間圧延板に対して、2〜60%の範囲内の圧
    延率で1次冷間圧延を行ない、さらに1〜100℃/秒
    の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の
    温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保持を行
    なって、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷
    却する連続焼鈍を施し、その後さらに50%以上の圧延
    率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用ア
    ルミニウム合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
    2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
    5%を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.2
    0%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%
    のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純
    物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、520〜6
    30℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施
    し、さらに熱間圧延を行なうにあたり、(1) 350
    〜580℃の範囲内の温度で熱間圧延を開始し、(2)
    熱間圧延中途の板厚が20〜200mmの範囲内の段
    階で、表面から50μmの深さまでの領域に再結晶率3
    0%以上の再結晶を少なくとも1回生じさせ、(3)
    熱間圧延中途の板厚が20mm以上の段階から熱間圧延
    終了までの間の総熱間圧延率を98%以下とし、かつそ
    の間における各圧延パスでの圧延温度を220〜450
    ℃の範囲内とするとともに各圧延パスでの歪み速度を2
    〜350/secの範囲内とし、しかも各圧延パス間の
    材料滞留時間を10分以内として、熱間圧延中途の板厚
    が20mm以上の段階から熱延終了までの間の各圧延パ
    ス(但し最終パスを除く)における次パス開始直前まで
    の再結晶率を1〜80%の範囲内に制御し、(4) 熱
    間圧延の終了温度を200〜330℃の範囲内、終了板
    厚を1.0〜7.0mmの範囲内とし、(5) 熱間圧
    延終了直後の200〜330℃の範囲内の温度から室温
    までの平均冷却速度を100℃/hr以下とし、(6)
    以上の(1)〜(5)により、熱間圧延終了後の室温
    に冷却された状態での再結晶率を95%以下、耐力を7
    0MPa以上に制御し、 その後、熱間圧延板に対して、2〜60%の範囲内の圧
    延率で1次冷間圧延を行ない、さらに0.1℃/秒以下
    の平均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の
    温度に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平
    均冷却速度で冷却するバッチ焼鈍を施し、その後さらに
    50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴
    とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜
    2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.
    5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.
    05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種
    または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.00
    5〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜
    0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、
    520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化
    処理を施し、さらに熱間圧延を行なうにあたり、(1)
    350〜580℃の範囲内の温度で熱間圧延を開始
    し、(2) 熱間圧延中途の板厚が20〜200mmの
    範囲内の段階で、表面から50μmの深さまでの領域に
    再結晶率30%以上の再結晶を少なくとも1回生じさ
    せ、(3) 熱間圧延中途の板厚が20mm以上の段階
    から熱間圧延終了までの間の総熱間圧延率を98%以下
    とし、かつその間における各圧延パスでの圧延温度を2
    20〜450℃の範囲内とするとともに各圧延パスでの
    歪み速度を2〜350/secの範囲内とし、しかも各
    圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間圧
    延中途の板厚が20mm以上の段階から熱延終了までの
    間の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス
    開始直前までの再結晶率を1〜80%の範囲内に制御
    し、(4) 熱間圧延の終了温度を200〜330℃の
    範囲内、終了板厚を1.0〜7.0mmの範囲内とし、
    (5) 熱間圧延終了直後の200〜330℃の範囲内
    の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以
    下とし、(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間圧
    延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を95%
    以下、耐力を70MPa以上に制御し、 その後、熱間圧延板に対して、2〜60%の範囲内の圧
    延率で1次冷間圧延を行ない、さらに0.1℃/秒以下
    の平均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の
    温度に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平
    均冷却速度で冷却するバッチ焼鈍を施し、その後さらに
    50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴
    とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの請求項に記載
    の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、 前記最終冷間圧延を行なった後、さらに80〜200℃
    の範囲内の温度で0.1〜24時間保持する最終焼鈍を
    施すことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製
    造方法。
JP03090699A 1999-02-09 1999-02-09 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 Expired - Fee Related JP3871462B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03090699A JP3871462B2 (ja) 1999-02-09 1999-02-09 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03090699A JP3871462B2 (ja) 1999-02-09 1999-02-09 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000234158A true JP2000234158A (ja) 2000-08-29
JP3871462B2 JP3871462B2 (ja) 2007-01-24

Family

ID=12316771

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03090699A Expired - Fee Related JP3871462B2 (ja) 1999-02-09 1999-02-09 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3871462B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006152371A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Furukawa Sky Kk 鋳造割れ性に優れた食缶用アルミニウム合金
JP2011084775A (ja) * 2009-10-15 2011-04-28 Mitsubishi Alum Co Ltd 再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2012172192A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Mitsubishi Alum Co Ltd 耳率が低い缶ボディ用アルミニウム合金板の製造方法および耳率が低いボトル型飲料缶用アルミニウム合金板の製造方法
JP2015045076A (ja) * 2013-08-29 2015-03-12 三菱アルミニウム株式会社 表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板
JP2017160521A (ja) * 2016-03-11 2017-09-14 三菱アルミニウム株式会社 異方性とネック成形性に優れた飲料缶ボディ用、および異方性とボトルネック成形性に優れたボトル缶ボディ用アルミニウム合金板の製造方法
JP2017161541A (ja) * 2017-04-21 2017-09-14 三菱アルミニウム株式会社 表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法
CN114990397A (zh) * 2022-06-13 2022-09-02 昆明理工大学 一种基于冷变形和固溶时效的强化zl201铝合金的方法
CN118002618A (zh) * 2024-01-31 2024-05-10 北京弥天科技有限公司 一种铝合金带的热轧方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006152371A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Furukawa Sky Kk 鋳造割れ性に優れた食缶用アルミニウム合金
JP2011084775A (ja) * 2009-10-15 2011-04-28 Mitsubishi Alum Co Ltd 再絞り成形性に優れた缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2012172192A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Mitsubishi Alum Co Ltd 耳率が低い缶ボディ用アルミニウム合金板の製造方法および耳率が低いボトル型飲料缶用アルミニウム合金板の製造方法
JP2015045076A (ja) * 2013-08-29 2015-03-12 三菱アルミニウム株式会社 表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板
JP2017160521A (ja) * 2016-03-11 2017-09-14 三菱アルミニウム株式会社 異方性とネック成形性に優れた飲料缶ボディ用、および異方性とボトルネック成形性に優れたボトル缶ボディ用アルミニウム合金板の製造方法
JP2017161541A (ja) * 2017-04-21 2017-09-14 三菱アルミニウム株式会社 表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法
CN114990397A (zh) * 2022-06-13 2022-09-02 昆明理工大学 一种基于冷变形和固溶时效的强化zl201铝合金的方法
CN114990397B (zh) * 2022-06-13 2023-09-26 昆明理工大学 一种基于冷变形和固溶时效的强化zl201铝合金的方法
CN118002618A (zh) * 2024-01-31 2024-05-10 北京弥天科技有限公司 一种铝合金带的热轧方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3871462B2 (ja) 2007-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4901757B2 (ja) アルミニウム合金板、及びその製造方法
JP2011202273A (ja) ボトル缶用アルミニウム合金冷延板
JPH10152762A (ja) Di加工性に優れるアルミニウム合金硬質板の製造方法
JP3600022B2 (ja) 深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方法
JP3871462B2 (ja) 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
JP3644818B2 (ja) 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
JP4257135B2 (ja) 缶胴用アルミニウム合金硬質板
JPS626740B2 (ja)
JP2921820B2 (ja) 冷間予成形可能な超塑性成形用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP3644819B2 (ja) 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
JP3871473B2 (ja) 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
JP2004238657A (ja) アウタパネル用アルミニウム合金板の製造方法
JP2933501B2 (ja) Di缶底成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP2005076041A (ja) 缶胴用アルミニウム合金硬質板の製造方法
JPH05331588A (ja) フランジ成形性に優れた成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP3713614B2 (ja) 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
JPH0860283A (ja) Di缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH10330897A (ja) 深絞り成形用アルミニウム基合金板の製造方法
JPH05345963A (ja) 高成形性アルミニウム合金板の製造方法
JPS63125645A (ja) 微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法
JPH06228696A (ja) Di缶胴用アルミニウム合金板
JP4034904B2 (ja) アルミニウム缶胴材用熱間圧延板およびそれを用いた缶胴用板材
JP2956038B2 (ja) ひずみ模様の抑制に優れた絞りカップ用Al合金板とその製造方法
EP4306668B1 (en) Method of producing aluminum can sheet
JP2891620B2 (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060516

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091027

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121027

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121027

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151027

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees