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JP2000219777A - 熱可塑性セルロース誘導体組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

熱可塑性セルロース誘導体組成物及びそれを用いた成形品

Info

Publication number
JP2000219777A
JP2000219777A JP11024174A JP2417499A JP2000219777A JP 2000219777 A JP2000219777 A JP 2000219777A JP 11024174 A JP11024174 A JP 11024174A JP 2417499 A JP2417499 A JP 2417499A JP 2000219777 A JP2000219777 A JP 2000219777A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose derivative
degree
aqueous solution
alkaline aqueous
substitution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11024174A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP11024174A priority Critical patent/JP2000219777A/ja
Publication of JP2000219777A publication Critical patent/JP2000219777A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 弱アルカリ水溶液溶解性と溶融成形加工性を
有することを特徴とする熱可塑性セルロース誘導体組成
物及びその成形品を提供することにある。 【解決手段】 アシル基置換度が1.8〜2.7であ
り、かつ、カルボキシアシル基置換度が0.3〜1.2
であるセルロース誘導体および可塑剤を主成分とし、弱
アルカリ水溶液に溶解することを特徴とする熱可塑性セ
ルロース誘導体組成物。該可塑剤が、水或いは弱アルカ
リ水溶液に溶解することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース誘導体
を利用した、農業用、包装用の熱可塑性樹脂シートや樹
脂積層紙などに使用できる樹脂組成物に関する。特に、
弱アルカリ水溶液溶解性と溶融成形加工性を有する熱可
塑性セルロース誘導体組成物及びその成形品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護に対する認識が深まるな
か、容器、包装材料に関するリサイクル運動が行政機関
のみならず製造業者、市民団体を巻き込んだ国民的な取
り組みとして、普及が進んでいる。また、紙製品につい
てもリサイクル運動の象徴として、回収率が50%を越
えるまでになった。今後回収率の一層の向上が望まれる
が、リサイクルに適さない合成樹脂ラミネート紙、粘着
紙等の紙製品もあり、再利用の妨げになっている。
【0003】これらリサイクルに適さない紙製品に関し
て、古紙の再生工程で使用される弱アルカリ性水溶液に
崩壊或いは溶解できる材料を選択することで、リサイク
ルを可能にしようとする試みもあるが、満足するものは
えられていない。特に、合成樹脂ラミネート紙について
は、溶融成形性を有する合成樹脂を溶融押出しで製品に
する場合が多く、既存の設備を利用しようとすると材料
の選択が大きく制限され、開発が遅れている。
【0004】ラミネート紙を既存の設備を利用しつつ製
造しかつリサイクル可能にする材料として、溶融成形加
工性があり、弱アルカリ水溶液に崩壊性或いは溶解性を
有することが必要であるが、これらを満足する可能性の
あるものとして、ポリビニルアルコールがあり、クラレ
(株)から上市されている。しかし、ポリビニルアルコ
ールには耐水性がなく、日用雑貨、産業資材等に幅広く
使用するには、適切な材料とは言えない。
【0005】一方、耐水性があり、弱アルカリ水溶液に
崩壊性或いは溶解性があるものとしては、セルロース類
をジカルボン酸で化学修飾した高分子材料が広く知られ
ている。酸性のカルボキシル基を有するセルロース誘導
体の幾つかは、水道水のような酸性或いは中性の水溶液
には溶解しないが、アルカリ性水溶液には溶解すること
が知られており、感光性樹脂バインダー、医薬用腸溶性
コーティング剤等として用いられてきたが、熱可塑性で
ないものが殆どで、溶融成形加工性を有していないのが
現状である。
【0006】例えば、無水酢酸と無水フタル酸でセルロ
ースをエステル化したセルロースアセテートフタレート
(C. J. Malm et al.、 Ind. Eng. Chem.、32、405(194
0))、無水フタル酸をヒドロキシアルキルアルキルセ
ルロース、ヒドロキシアルキルセルロースに化学修飾し
たもの(特公昭47−6436、特公昭51−4851
5)、或いは無水コハク酸をセルロースエーテルに化学
修飾したもの(特公昭48−19552)等多くの化合
物知られているが、溶融成形加工性を念頭に置いたもの
はない。
【0007】リサイクルとともに環境保護に適している
として、近年脚光を浴びているものに生分解性樹脂があ
り、農業、園芸用途向け或いはコンポスト向けのフィル
ム、シート、容器等への応用が期待されている。しか
し、古紙の再生工程における弱アルカリ水溶液に崩壊性
或いは溶解性を有しているものはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、弱アルカリ水溶液溶解性と溶融成形加工性を有する
ことを特徴とする熱可塑性セルロース誘導体組成物及び
その成形品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる現状に
鑑み、弱アルカリ水溶液に溶解性を有し、かつ溶融成形
加工性がある高分子材料として、弱酸性或いは中性では
溶解せず、弱アルカリ性水溶液に溶解するカルボキシル
基を導入することが可能な高分子が適当であると考え、
検討を進めた。
【0010】そこで、化学修飾しやすい水酸基を分子内
に有するセルロース並びにセルロース誘導体に着目し、
無水モノカルボン酸、無水ジカルボン酸等で種々のセル
ロース、セルロース誘導体類を化学修飾して、弱アルカ
リ水溶液溶解性と熱可塑性とを調査した。そのなかで、
セルロースを無水モノカルボン酸と無水ジカルボン酸で
化学修飾したものが、弱アルカリ水溶液溶解性と熱可塑
性とのバランスが比較的とれていたが、熱可塑性にやや
不足していた。そこで、適当な水溶性或いは弱アルカリ
水溶液に溶解する可塑剤を加えることで、熱可塑性を調
整した結果、上記目的を達成することが可能であること
を見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、「アシル基置換度が
1.8〜2.7であり、かつ、カルボキシアシル基置換
度が0.3〜1.2であるセルロース誘導体および可塑
剤を主成分とし、弱アルカリ水溶液に溶解することを特
徴とする熱可塑性セルロース誘導体組成物」である。な
お、ここで弱アルカリ水溶液に溶解するというのは、熱
可塑性セルロース誘導体組成物からなる厚さ50μmで
大きさ5cm角のフィルムを、50℃に加温した0.0
1規定の水酸化ナトリウム水溶液100cc中で1時間
撹拌した時に、完全に溶解し、透明な液となることを意
味する。
【0012】上記本発明において、可塑剤が、水溶性或
いは弱アルカリ水溶液に溶解するものであることが好ま
しい。
【0013】また、上記本発明において、該組成物中に
おれる、熱可塑性セルロース誘導体:可塑剤の重量割合
が60:40〜90:10の範囲であることが好まし
い。
【0014】また、本発明は、上記で説明した各熱可塑
性セルロース誘導体組成物を溶融押出法によりシート化
した成形品を態様として含む。
【0015】また、本発明は、上記で説明した各熱可塑
性セルロース誘導体組成物を溶融押出法によりシート化
した樹脂層および紙層を積層した積層体を態様として含
む。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明においては、弱アルカリ水
溶液に対する溶解性を、前記(1)の条件で溶解するこ
とと定義したが、このような弱アルカリ水溶液溶解性を
示す熱可塑性セルロース誘導体組成物は、実際の場面で
は、例えば、0.005〜0.2規定程度のNaOH水
溶液などの弱アルカリ水溶液に溶解して処理したり、回
収再使用、再利用したりすることができる。一例とし
て、本発明の熱可塑性セルロース誘導体組成物と紙の積
層物が、通常の古紙再生工程に混入された場合、樹脂分
がアルカリ水溶液に溶解し、パルプ分と分離することが
できる。
【0017】本発明の熱可塑性セルロース誘導体組成物
はセルロース誘導体と可塑剤を主成分とするが、このう
ち、セルロース誘導体については、セルロースの水酸基
とモノカルボン酸がエステル結合したアシル置換基と、
同じくセルロースの水酸基とジカルボン酸の片方のカル
ボキシル基がエステル結合し、残りが酸性のカルボキシ
ル基として存在するカルボキシアシル置換基を主に有し
ている。
【0018】本発明のセルロース誘導体を合成する際の
原料としては、針葉樹晒クラフトパルプや溶解パルプの
ようなセルロースパルプ、リンターが用いられるが、弱
アルカリ水溶液溶解性、熱可塑性等を調整するために、
メチル基、エチル基等を低置換度に有するアルキルセル
ロース、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等
を低置換度に有するヒドロキシアルキルセルロース、ヒ
ドロキシエチルメチル基、ヒドロキシエチルエチル基等
を低置換度に有するヒドロキシアルキルアルキルセルロ
ース、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等を低
置換度に有するカルボキシアルキルセルロースをはじめ
とする各種セルロース誘導体類を用いることもできる。
【0019】上記原料をアシル化するモノカルボン酸と
しては、反応性を考慮すると無水物が好ましく、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等が挙げられる。ま
た、上記原料をカルボキシアシル化するジカルボン酸と
しては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水トリメリ
ット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等が
挙げられる。
【0020】本発明のセルロース誘導体の合成について
は、モノカルボン酸によるエステル化とジカルボン酸に
よるモノエステル化とを同時に行う方法(1段階法)
と、モノカルボン酸によるエステル化を行った後に、ジ
カルボン酸によるモノエステル化を行う方法(2段階
法)があり、いずれの方法も可能である。1段階法の場
合、前記原料にモノカルボン酸とジカルボン酸を添加
し、適当な触媒を使用してアシル化とカルボキシアシル
化を同時に行うことができる。
【0021】次に、2段階法について説明する。前記原
料を予備処理した後、硫酸のような酸性触媒の存在下
で、無水酢酸のような無水モノカルボン酸を用いて公知
の方法でアシル化し、次いで中和と熟成を行い、精製し
て、中間生成物を得る。更に得られた中間生成物と無水
コハク酸のような無水ジカルボン酸を酢酸のような反応
溶媒に溶解し、酢酸ナトリウムのようなカルボン酸アル
カリ金属塩を触媒に用い、適当な反応温度で適当時間反
応させカルボキシアシル化する方法が挙げられる。或い
は上記中間生成物と無水ジカルボン酸をピリジンのよう
な反応溶媒に溶解し、適当な反応温度で適当時間反応さ
せカルボキシアシル化する方法も挙げられる。
【0022】前記した各方法により、モノカルボン酸の
アシル基とジカルボン酸のカルボキシアシル基を導入し
た後、未反応の水酸基を減らすために、更にモノカルボ
ン酸で再度アシル化を行うことも可能である。
【0023】セルロース誘導体の置換度に関しては、弱
アルカリ水溶液溶解性と溶融成形加工性を付与させる点
から、モノカルボン酸によるアシル基置換度が1.8〜
2.7であり、かつ、ジカルボン酸によるカルボキシア
シル基置換度が0.3〜1.2を有するものが使用され
る。モノカルボン酸によるアシル基置換度が1.8を下
回ると、可塑剤を配合しても十分な熱可塑性の付与がで
きず、またジカルボン酸によるカルボキシアシル基置換
度が0.3を下回ると十分な弱アルカリ水溶液溶解性を
付与できず、好ましくない。以下、上記した置換度を有
するセルロース誘導体を、本発明のセルロース誘導体と
略称することもある。
【0024】また、未反応の水酸基は、溶融成形加工中
にカルボキシアシル基における酸性のカルボンキシル基
とエステル反応を起こし、架橋し溶融粘度を高めたり、
ゲル化することも場合によっては生じるので、その際に
は、未反応の水酸基は可能性な限り少なくすることが好
ましく、置換度で0.2未満、更に好ましくは0.1未
満にすることが望ましい。
【0025】セルロース誘導体の平均重合度について
は、小さい程弱アルカリ水溶液溶解性が良好になるが、
機械的物性が低下し、また大きい程弱アルカリ水溶液溶
解性は低下するが、機械的物性が向上する傾向にあり、
弱アルカリ水溶液溶解性と熱可塑性のバランスを考える
と、70〜250の範囲が好ましい。
【0026】本発明の組成物中において、本発明のセル
ロース誘導体および可塑剤の合計重量に対してセルロー
ス誘導体が60〜90重量%が好ましく、60重量%未
満では強度が低下し、また90重量%を越えると、溶融
成形加工の場合は成形温度が高くなりすぎ、セルロース
誘導体及び可塑剤の熱安定性が低下して好ましくない。
【0027】従って、本発明のセルロース誘導体と可塑
剤の合計重量に対して、可塑剤は10〜40重量%であ
ることが好ましい。10重量%未満では、セルロース誘
導体に十分な溶融成形加工性を付与することができない
ため、溶融成形する場合は成形温度が高くなり、また、
40重量%を越えると、可塑剤の移行、強度の低下の問
題が生じてくるので好ましくない。
【0028】本発明に使用される可塑剤としては、可塑
剤の配合量が少ない場合は、この分野において通常用い
られている化合物を用いることが可能であり、例えばエ
チレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、ジ
エチルアジペート、ジエチルサクシネート、グリセリン
ジアセテート、グリセリントリアセテート等の脂肪族エ
ステル、ポリエチレンアジペートジオール、ポリエチレ
ンサクシネートジオール等の2塩基酸とグリコールから
なり平均分子量300〜3000の範囲のポリアルキレ
ンアルカノエートポリオール、ポリカプロラクトンジオ
ール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラク
トンテトラオール等で平均分子量300〜3000のポ
リカプロラクトンポリオール、平均分子量300〜30
00のポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0029】しかし、可塑剤の配合量が多い場合は、水
或いは弱アルカリ水溶液に溶解性の可塑剤を使用するこ
とが、組成物の弱アルカリ水溶液溶解性を維持する上で
好ましく、例えばエチレングリコール、グリセリン等の
多価アルコール、グリセリンモノアセテート、グリセリ
ンジアセテート、グリセリントリアセテート(トリアセ
チン)等の脂肪族エステル、平均分子量300〜300
0の範囲のポリエチレングリコール等が好ましく用いら
れる。
【0030】本発明の熱可塑性セルロース誘導体組成物
中には、本発明のセルロース誘導体と可塑剤からなる混
合物に相溶化が可能で、かつ水溶性或いは弱アルカリ水
溶液溶解性のいずれかの性質を持ち合わせている高分子
化合物を、物性を改良する目的で配合することは可能で
ある。この場合、配合可能な高分子化合物として、特定
置換度のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース
等セルロース誘導体、メチル澱粉、エチル澱粉、ヒドロ
キシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉等の澱粉誘導
体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、
ポリメチレンエチレンオキサイド等の合成高分子が挙げ
られる。これら重合物の平均分子量は、物性を改良する
目的から1〜10万程度が好ましい。配合量は、必要な
物性を付与しかつアルカリ水溶液溶解性と溶融成形加工
性に悪影響を与えないために、本発明のセルロース誘導
体と可塑剤の合計重量100部に対して5〜30重量部
の範囲であることが好ましい。
【0031】本発明には必要に応じて要求される性能を
損なわない範囲内で熱劣化防止、熱着色防止用の安定剤
として弱有機酸、フェノール化合物、エポキシ化合物、
フォスフェイト化合物、チオフォスフェイト化合物等を
単独または2種類以上混合して添加してもよい。また、
その他酸化チタン等の無機系光分解促進剤、有機酸系の
生分解促進剤、滑剤、帯電防止剤、潤滑剤等の添加剤を
配合することは何らさしつかえない。
【0032】本発明で用いられるセルロース誘導体、可
塑剤、高分子化合物及び添加剤の混合に際して、ニーダ
ー、2軸混練機、ロールミル、バンバリーミキサー等通
常使用されているものなら特に制限はなく用いられる。
なお、混合を容易にするために粉砕機により予めセルロ
ース誘導体の粒子を50メッシュより細かく粉砕してお
くことが好ましい。また、混練物は気泡等の混入をでき
るだけ少なくするために、ストランドダイ等を用いてス
トランドとし、その後ペレタイザーでペレットにしてお
くことが望ましい。
【0033】ペレットにしたセルロース誘導体組成物
は、押出成形、射出成形、ブロー成形等の溶融成形方法
により、フィルム、シート、容器等の製造に利用でき
る。また、メルトブロー、スパンボンド等の溶融紡糸方
法により、フィラメント、織布、不織布等の製造に利用
こともできる。一方、別の基材と組み合わせるて多層フ
ィルム、複合フィラメント等に複合化することも可能で
ある。溶融成形に先立ち、溶融時の加水分解、気泡発生
を防止するために、含水率を0.1%以下に乾燥するこ
とが好ましい。
【0034】本発明のセルロース誘導体組成物から製造
されるフィルム、シートは、10μm〜数mm程度の厚
みを有するものであるが、主に溶融押出成形により行わ
れる。即ち、前記したペレット状混練組成物を公知の押
出成形機において加熱溶融した後、Tダイ或いはリング
ダイから押出し、押出された溶融物を引取り装置、空気
圧等により延展させてシートを形成する。ここで、溶融
押出成形の際の温度は、ダイ内部の温度をいい、溶融押
出成形温度の設定については、セルロース誘導体、可塑
剤の熱安定性が低下し、熱分解、加水分解が顕著になら
ない程度で190〜240℃程度が好ましい。また、溶
融押出成形する樹脂の溶融押出成形温度における溶融粘
度は、剪断速度100sec-1において、1000〜5
0000ポイズ程度が好ましい。
【0035】溶融押出成形をはじめとする溶融成形方法
は現在ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート等の樹脂を用いて、種々の用途で使用され
ており、溶媒を必要とするキャスト法に比べ生産性の高
い方法である。
【0036】本発明で製造されるフィルムを紙からなる
支持体に積層するには、フィルムを溶融押出成形する際
に支持体上に押出す方法、フィルムを成形後に支持体と
ラミネートする方法等通常用いられている方法を使用す
ることができる。紙からなる支持体については、特に制
限なく、上質紙、コート紙等各種の紙を用いることがで
きる。
【0037】フィルムと紙からなる支持体の接着性が不
十分な場合は、両者の間に接着層を設けることができ
る。この場合接着層を構成する樹脂は、弱アルカリ水溶
液溶解性或いは水溶性を有していれば特に制限なく、酸
化澱粉、カチオン化澱粉等の多糖類、ゼラチン、カゼイ
ン等の蛋白質、ポリビニルアルコール系樹脂等の合成樹
脂等を単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用する
ことができる。このうち、ポリビニルアルコール系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂と澱粉系のブレンド等
のように水溶性或いは弱アルカリ水溶液溶解性に加えて
溶融成形加工性を有していれば、共押出しにより接着層
を設けると同時に弱アルカリ水溶液溶解性フィルムを紙
からなる基材上に積層することができる。
【0038】本発明のセルロース誘導体を溶融成形した
成形品は、弱アルカリ水溶液溶解性、溶融成形加工性と
ともに耐水性を有し、また極めて生産性が高い方法で得
ることが可能で、封筒、ボックステッシュ等の窓用フィ
ルム、各種カード類、紙ラミ用フィルムのような紙製品
と複合される用途をはじめとして、従来オレフィン系の
フィルム、シートが使用されてきた一般包材等の包装分
野、ビニルハウス用フィルム等の農業資材分野、結露防
止フィルム等の建材分野或いは機能性材料分野等におい
て、幅広く適用することができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明を更に詳
しく説明するが、本発明は、これらに限定されるもので
はない。
【0040】<実施例1>絶乾全重量割合で、針葉樹材
から製造された溶解パルプ13重量%、硫酸2重量%、
無水酢酸35重量%及び氷酢酸50重量%からなる混合
物を、36℃で3時間かけてセルロースのアセチル化を
行い、反応後反応物を酢酸カリウムで中和し、その後6
0℃で6時間加水分解し、精製、乾燥してアセチル基置
換度2.15、平均重合度120のセルロースアセテー
トフレークを得た。次に、絶乾全重量割合で、上記セル
ロースアセテートフレーク8重量%、酢酸ナトリウム7
重量%、無水コハク酸15重量%及び氷酢酸70重量%
からなる混合物を、60℃で10時間カルボキシアシル
化反応を行い、更に無水酢酸を前記混合物100重量部
に対し5重量部添加して3時間アセチル化を行った後、
メタノール溶液を用いて精製し、乾燥してアセチル基置
換度2.45、コハク酸のカルボキシアシル基置換度
0.50、平均重合度110のセルロース誘導体を得
た。
【0041】このセルロース誘導体フレークを粉砕機で
微粉末にし、セルロース誘導体70重量%と可塑剤とし
てトリアセチン30重量%とをヘンシェルミキサーで混
合した後、二軸混練機を用いて190℃で混練した。混
練された溶融物を、内径3mmのストランドダイを通し
てストランドとして吐出させ、冷却した後3mmにカッ
トし、更に80℃に加熱した熱風乾燥機中で10時間乾
燥させて乾燥ペレットを作成した。前記ペレットを、エ
クストルーダー型押出機に供給し、押出成形温度220
℃で、リップ巾0.70mmのTダイを通して吐出さ
せ、吐出させた溶融物を引取り装置により引取速度30
m/minで引取り、厚さ50μmのフィルムを製造し
た。得られたフィルムの弱アルカリ水溶液における溶解
性、耐水性、強度及びセルロース誘導体組成物の混練時
熱安定性は以下に示す方法で評価した。
【0042】<評価方法> (1)弱アルカリ水溶液溶解性 厚さ50μm、5cm角のフィルムを、50℃に加温し
た0.01規定NaOH水溶液100cc中で、スリワ
ンモーターで60回転/分で1時間撹拌して、溶解性を
4段階に評価した。(完全溶解、ほぼ溶解、一部溶解、
溶解せず) (2)耐水性 室温に放置した脱イオン水に1時間浸漬して、表面状態
から耐水性を4段階に評価した。(変化なし、僅かに変
化、一部変化、大きく変化) (3)強度 JIS−K−7127に準拠して、破断強度を測定し
た。 (4)セルロース誘導体組成物の混練時熱安定性 セルロース誘導体組成物をラボプラストミル混練用ニー
ダー((株)東洋精機製作所製)に投入し、220℃で
10分間混練した際のトルクの変化を測定して、混練時
におけるエステル化による架橋反応を3段階に評価し
た。(トルク変化なし、僅かに変化、大きく変化)
【0043】<実施例2>実施例1と同様にアセチル基
置換度2.15、フタル酸のカルボキシアシル基置換度
0.36のセルロース誘導体65重量%と平均分子量4
00のポリエチレングリコール35重量%をヘンシェル
で混合し、2軸混練機で混練し、ペレタイザーでペレッ
ト化した後、Tダイによりフィルム成形し厚さ50μm
のフィルムを作成した。得られたフィルムは、実施例1
と同様に評価した。
【0044】<比較例1>実施例1と同様にアセチル基
置換度2.55、コハク酸のカルボキシアシル基置換度
0.25のセルロース誘導体70重量%とトリアセチン
30重量%をヘンシェルで混合し、2軸混練機で混練
し、ペレタイザーでペレット化した後、Tダイによりフ
ィルム成形し、厚さ50μmのフィルムを作成した。得
られたフィルムは、実施例1と同様に評価した。
【0045】<比較例2>実施例1と同様にアセチル基
置換度2.35、フタル酸のカルボキシアシル基置換度
0.35のセルロース誘導体単独で、Tダイによりフィ
ルム成形することを試みたが、熱分解が激しくフィルム
を成形することができなかった。実施例、比較例に用い
たセルロースアセテートの酢化度、配合量、可塑剤の種
類、平均分子量、配合量及び得られたフィルムの弱アル
カリ崩壊性、耐水性、強度、セルロース誘導体組成物の
混練時熱安定性を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】表1から分かるように、本発明の弱アルカ
リ水溶液溶解性フィルムは、弱アルカリ水溶液で完全に
溶解し、耐水性、強度、混練時の熱安定性とも問題ない
範囲で優れた溶融成形加工性を有しているといえる。こ
れに対して、ジカルボン酸のカルボキシアシル基置換度
の低いセルロース誘導体組成物を用いたフィルムは、弱
アルカリ水溶液溶解性が悪く、また可塑剤を用いないと
フィルム成形時の熱安定性が不良で溶融成形加工性に劣
り、本目的には適さない。
【0048】
【発明の効果】本発明の熱可塑性セルロース誘導体組成
物は、弱アルカリ水溶液溶解性、溶融押出成形性に加え
て耐水性を有する材料を提供するという効果を奏する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA09 AA51 AC05 AC10 AE04 BB06 BC01 4F100 AJ06A BA02 CA04A DG10B GB01 GB15 JB06 JB09A JB16A JJ03 JK02 YY00A 4J002 AB021 CF032 CF192 CH012 EC046 EC056 EH046 EH056 FD022 FD026 GA01 GF00 GG02 GL00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アシル基置換度が1.8〜2.7であ
    り、かつ、カルボキシアシル基置換度が0.3〜1.2
    であるセルロース誘導体および可塑剤を主成分とし、弱
    アルカリ水溶液に溶解することを特徴とする熱可塑性セ
    ルロース誘導体組成物。
  2. 【請求項2】 該可塑剤が、水或いは弱アルカリ水溶液
    に溶解することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性
    セルロース誘導体組成物。
  3. 【請求項3】 前記組成物中の、該熱可塑性セルロース
    誘導体:可塑剤の重量割合が60:40〜90:10の
    範囲である請求項1または請求項2のいずれかに記載の
    熱可塑性セルロース誘導体組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    熱可塑性セルロース誘導体組成物を溶融押出法によりシ
    ート化した成形品。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    の熱可塑性セルロース誘導体組成物を溶融押出法により
    シート化した樹脂層および紙層を積層した積層体。
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