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JP2000216545A - セラミック多層配線基板の製造方法 - Google Patents

セラミック多層配線基板の製造方法

Info

Publication number
JP2000216545A
JP2000216545A JP1833499A JP1833499A JP2000216545A JP 2000216545 A JP2000216545 A JP 2000216545A JP 1833499 A JP1833499 A JP 1833499A JP 1833499 A JP1833499 A JP 1833499A JP 2000216545 A JP2000216545 A JP 2000216545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
sheet
manufacturing
wiring board
ceramic multilayer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP1833499A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Sugaya
康博 菅谷
Osamu Inoue
修 井上
Junichi Kato
純一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP1833499A priority Critical patent/JP2000216545A/ja
Publication of JP2000216545A publication Critical patent/JP2000216545A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】低抵抗で形成の容易なセラミック多層配線基板
の製造方法の提供。 【解決手段】加熱により発泡して粘着性が失われる粘着
面30Aを有する転写シート30上に配線層2A、2B
を形成し、転写シート付配線層2A、2Bをセラミック
グリーンシート10A、10Bに接着させたうえで、加
熱処理により粘着面30aの粘着性を低下させて、配線
層2A、2Bから転写シート30を剥離する。そして、
配線パターン2A、2Bが形成されたグリーンシート1
0A、10Bを、所望枚数積層したウエデ、その両面も
しくは片面に拘束シート4を積層配置する。作製したグ
リーンシート積層体を焼成処理し、その後、拘束シート
4を取り除く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッドI
C,マルチチップモジュール、チップサイズパッケージ
等に用いるセラミック多層配線基板の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、低温焼結ガラスセラミック多層配
線基板の開発によって、使用できる導体材料に金、銀、
銅、銀パラジウムまたはそれらの混合物が用いられるよ
うになった。このセラミック多層配線基板は、配線抵抗
が小さな低融点の金属を、回路用配線材料として用いる
ことができる。但し、通常上記グリーンシートは焼成に
よって10〜20%収縮する際に、必ずしも均一には収
縮しないため寸法精度の低下が生じており歩留まりを下
げていた。
【0003】このような収縮率のばらつきは、特許27
85544号に示されるように、セラミックグリーンシ
ートの上面及び下面に難焼結性のセラミックグリーンシ
ートを積層し、焼成することによって厚み方向のみ収縮
させ、X−Y平面にはほぼ無収縮にする事で低減できる
事が知られている。
【0004】一方、特開平10−242644号で示さ
れているZ(厚さ)方向に荷重を加えながら焼結する手
法では、X−Y方向に無収縮に焼結させることは困難で
ある。なぜなら、高温化で無収縮になるように荷重を加
えることは困難で、重しとガラスセラミックが反応して
しまう。また、反応を防止するため、ZrO2等のしき粉
をバッファーとして介在させると、拘束力が働かないと
いう問題が生じるためである。
【0005】このようなX−Y平面無収縮となる製造方
法では、セラミック多層配線基板の表層や内層に設けら
れる配線層として一般に導体ペーストが用いられてい
る。導体ペーストは、焼成時に焼結収縮することで配線
層として機能する材料であるのに対して、この製法で
は、上述したように、X−Y平面にはほぼ無収縮とな
る。そのため、この製法において、配線層材料として導
体ペーストを用いると、焼成時において、導体ペースト
の焼結収縮が不十分となる結果、導体抵抗値がどうして
も大きくなってしまう問題が生じていた。
【0006】さらには、低抵抗で且つファインライン化
に伴うマイグレーションの問題を考慮すると、配線に用
いる金属は銅が望ましく、上述した無収縮工法では、酸
化銅ペーストを用いた場合が報告されている。しかしな
がら、無収縮工法において酸化銅ペーストを用いて配線
層を形成すると、酸化銅ペーストが脱バインダー後の水
素、窒素の還元雰囲気で体積収縮が生じ、その後に焼成
されることになるために、配線の導体抵抗値がどうして
も大きくなっていた。
【0007】このような問題を解決するために、従来か
ら、上述のX−Y方向無収縮となる製造方法において、
焼結収縮のない金属導体膜を用いてセラミック多層配線
基板の配線層を構成することも提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼結収
縮のない金属導体膜をグリーンシート上に転写すること
が実際には容易でないという課題があった。
【0009】本発明は、低抵抗で、かつ、配線層の形成
の容易なセラミック多層配線基板の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、実質的に空孔を有さない導体からなる配線
層が表層および/または内層に形成されたセラミック多
層配線基板の製造方法であって、加熱処理により発泡し
て粘着性が低下する粘着剤を含有する転写シートを用意
したうえで、この転写シートの粘着面上に、実質的に空
孔を有さない導体からなる配線層をパターン形成し、前
記転写シート付配線層をセラミックグリーンシートに接
着させたうえで、加熱処理により前記粘着面の粘着性を
低下させて、前記配線層から前記転写シートを剥離し、
前記配線パターンが形成されたグリーンシートを、所望
枚数積層し、このグリーンシート積層体の両面もしくは
片面に、前記グリーンシートの焼結温度で実質的に焼結
収縮を示さない無機組成物を主成分とする拘束シートを
積層配置し、作製したグリーンシート積層体を焼成処理
し、その後、前記拘束シートを取り除くことに特徴を有
している。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、実質的に空孔を有さない導体からなる配線層が表層
および/または内層に形成されたセラミック多層配線基
板の製造方法であって、加熱処理により発泡して粘着性
が低下する粘着剤を含有する転写シートを用意したうえ
で、この転写シートの粘着面上に、実質的に空孔を有さ
ない導体からなる配線層をパターン形成し、前記転写シ
ート付配線層をセラミックグリーンシートに接着させた
うえで、加熱処理により前記粘着面の粘着性を低下させ
て、前記配線層から前記転写シートを剥離し、前記配線
パターンが形成されたグリーンシートを、所望枚数積層
し、このグリーンシート積層体の両面もしくは片面に、
前記グリーンシートの焼結温度で実質的に焼結収縮を示
さない無機組成物を主成分とする拘束シートを積層配置
し、作製したグリーンシート積層体を焼成処理し、その
後、前記拘束シートを取り除くことに特徴を有してお
り、これにより次のような作用を有する。
【0012】すなわち、実質的に空孔を有さない導体
は、ペースト体から構成することができないので、キャ
スティング法等のパターン形成方法は採用できない。そ
こで、このような導体を用いた配線層の形成では、本発
明のように、一旦、転写シート上に配線としてパターン
形成したのち、セラミックグリーンシートに転写するこ
とで、精度の高いパターニングが可能となる。
【0013】しかしながら、ここで問題となるのは、こ
のような転写方法では精度の高いパターニングが容易で
はないという点である。すなわち、実質的に空孔を有さ
ない導体はセラミックグリーンシートに対して十分な接
着力を発揮できるとは限らない。そのため、転写後に、
転写シートを剥がす際において、セラミックグリーンシ
ート上に形成した配線層の一部が転写シート側に付着し
て一緒に剥がれてしまい、これにより配線層が破損する
ことが多々生じる。
【0014】これに対して、本発明では、加熱処理によ
り発泡して粘着性が低下する粘着剤を含有する転写シー
トを設けている。したがって、転写後に、加熱処理する
ことで、粘着面の粘着性を、セラミックグリーンシート
に対する配線層の接着力よりも十分に低くすることが可
能とになる。そのため、この状態で、配線層から転写シ
ートを剥離すれば、セラミックグリーンシート上に形成
した配線層の一部が転写シート側に付着して一緒に剥が
れるといったことは起きず、形成精度の高い配線層を形
成することができる。
【0015】なお、前記導体としては、請求項2に記載
したように、金属箔を用いるのが好ましい。さらには、
金属箔は、請求項3に記載したように、表面を粗化処理
したものを用いるのが好ましく、そうすれば、セラミッ
クグリーンシートに対する導体、すなわち配線層の接着
力がさらに高まるという作用を発揮できる。
【0016】また、請求項4に記載したように、前記セ
ラミックグリーンシートの配線層形成面に、ガラス接着
層を形成し、このガラス接着層上に、前記転写シート付
配線層を接着することが好ましく、そうすれば、配線層
とセラミックグリーンシートとの間の接着力がさらに高
まるという作用を発揮できる。
【0017】また、配線層は、請求項5に記載したよう
にエッチング法や、請求項9に記載したように、メッキ
法により形成するのが好ましい。さらには、エッチング
により配線層を形成する場合においては、エッチング用
マスクを、請求項6に記載したようにフォトリソグラフ
ィー法や、請求項7に記載したように印刷法により形成
するのが好ましい。
【0018】特に、請求項7に記載したように、印刷法
により、エッチング用マスクを形成する場合には、エッ
チング用マスク形成時に、エッチング用マスクの下層に
配置される転写シートが各種溶剤に浸されるいった処理
を施す必要がなくなる。そのため、転写シート上の接着
剤が各種溶剤に溶けて、粘着力が低下するといった不都
合が生じなくなる。転写シートは、加熱発泡によりシー
トの粘着力を低下させる工程を施すまで、シートの粘着
力を維持して、転写シート上に形成した配線層を保持す
る必要がある。そうしなければ、転写シート上に配線層
を形成することも、形成した配線層をセラミックグリー
ンシート上に転写することもできなくなる。そのため、
印刷法により、エッチング用マスクを形成することで、
転写シート上の接着剤の粘着力低下を未然に防止するこ
とが可能となれば、形成精度の高い配線層を確実に形成
することができるようになる。
【0019】なお、印刷法によりエッチング用マスクを
形成する場合には、請求項8に記載したように、前記エ
ッチング用マスクとして無機粉末と有機樹脂(有機バイ
ンダー)とをマスク材料にするのが好ましい。なぜな
ら、無機粉末と有機樹脂との適当な比率の組み合わせに
よりエッチング後の水洗い時にマスクを自動的に除去す
ることが可能となり、マスクを除去する工程を省くこと
ができるためである。また、エッチング用マスクの除去
を水洗により行うことにより、マスクの除去に溶剤を用
いる必要がなくなるので、転写シートの接着剤が、マス
ク除去用の溶剤に溶けて、その粘着力が低下するといっ
た不都合も生じなくなり、その分、さらに高精度な配線
パターンの形成が可能となる。
【0020】請求項9に記載したように、前記エッチン
グ用マスクとして、前記セラミックグリーンシートの主
成分と実質的に同成分の材料を含有したものを用いると
ともに、当該エッチング用マスクを前記配線層を形成し
た後も残存させた状態で前記セラミックグリーンシート
を積層するのが好ましく、そうすれば、セラミックグリ
ーンシートに対する導体、すなわち配線層の接着力がさ
らに高まるという作用を発揮できる。
【0021】さらには、請求項10に記載したように、
メッキ法により前記配線層をパターン形成するのが好ま
しく、そうすれば、配線層を容易にしかも接着力高く形
成することができる。
【0022】さらには、本発明の請求項11に記載した
ように、前記配線層を易エッチング性金属箔表面にパタ
ーン形成したのち、この易エッチング性金属箔付配線層
を前記転写シートに圧着し、さらに、エッチングによっ
て前記易エッチング性金属箔を選択的に取り除くこと
で、転写シート上に配線層を形成するのが好ましく、そ
うすれば、さらに、形成精度の高い配線層を形成するこ
とができるという作用を発揮できる。
【0023】以下、本発明の実施の形態を図面を参照し
て説明する。
【0024】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】図1は、本発明の第1の実施の形態におけ
るセラミック多層配線基板を示す断面模式図である。図
1に示すように、本実施の形態におけるセラミック多層
配線基板は、複数枚積層配置された内部基板層1A、…
と、積層配置された内部基板層1A、…の両面もしくは
片面(図では両面)にそれぞれ一枚ずつ積層配置された
外部基板層1Bと、各内部基板層1Aの層間に配置され
た内部配線層2Aと、外部基板層1Bの表面に配置され
た外部配線層2Bと、内部基板層1Aや外部基板層1B
を貫通して内部配線層2Aどうしや、内部配線層2Aと
外部配線層2Bとを電気的に接続する接続ヴィア3とを
備えている。なお、符号4は、後述する製造工程におい
てのみ、外部側基板層1Bの外側に配置される拘束シー
トである。
【0026】内部基板層1A、外部基板層1Bはガラス
セラミックを含むセラミックを主成分としている。内部
配線層2Aおよび外部配線層2Bは、空孔率1%以下で
あって、実質的に空孔を有さない導体から構成されてい
る。具体的には例えば、金属箔から内部、外部配線層2
A、2Bは構成されている。拘束シート4は、内部、外
部基板層1A、1Bの焼成が行われる際における焼成温
度において、実質的に焼結収縮を生じない無機組成物を
主成分とするシートであり、このセラミック多層配線基
板の焼成前に、セラミック多層配線基板の外層用グリー
ンシート(焼成により外部基板層1Bとなる)の両面も
しくは片面に積層配置されるが、焼成完了後、全部除去
されるものである。
【0027】次に、本実施の形態のセラミック多層配線
基板の製造方法を説明する。
【0028】まず、セラミック多層配線基板の材料とし
て、以下のものを準備する。ここでいうセラミックと
は、無機絶縁物の総称でありガラスセラミックを含む。
【0029】・内部基板層1A、外部基板層1Bとなる
内層用グリーンシート10Aおよび外層用グリーンシー
ト10B ・接続ヴィア3用の導体ペースト11 内層用、外層用グリーンシート10A、10Bは次のよ
うにして作製する。すなわち、無機粉末と有機バインダ
ーとを十分に混合、混練してスラリーを作製したのち、
このスラリーを、ドクターブレード法等によってシート
状に成形する。このシートは、ポリエチレン系樹脂やポ
リエステル系樹脂、紙等のベースフィルム上に形成す
る。そして、形成したシートを乾燥させることで、内層
用、外層用グリーンシート10A、10Bを作製する。
【0030】内層用、外層用グリーンシート10A、1
0Bとなるセラミック材料は特に限定されず、放熱性や
強度、焼結温度、コストなどに応じて適宜決定すればよ
いが、一般に広く用いられているアルミナや、ガラスセ
ラミックやBi−Ca−Nb−O材料のような配線金属の
融点より低温で焼結されるセラミック材料を用いること
ができる。特に、ガラスセラミックは、焼成温度が90
0℃程度と低く、低抵抗で低融点のAgあるいはCuを配
線材料に用いることができるので望ましい。ガラスセラ
ミックに用いられるセラミック成分としては、アルミ
ナ、シリカ、ムライト、フォルステライト等が挙げら
れ、ガラス成分としては、結晶化ガラス系でも、非結晶
化ガラス系でも用いることができる。具体的には結晶化
ガラス系として、ほう珪酸ガラスが一例として挙げら
れ、非結晶化ガラス系では、ほう珪酸鉛系やほう珪酸カ
ルシウム系などのほう珪酸塩系ガラス、例えば珪酸塩ガ
ラスやアルミノ珪酸塩ガラスなどが一例として挙げられ
る。
【0031】また、内層用、外層用グリーンシート10
A、10Bに含有させる有機バインダーとしては、エチ
ルセルロース系、ポリビニルアルコール(PVA)系、
ポリビニルブチラール系(PVB)を用いてもよいが、
配線金属に卑金属を用いる場合は熱分解温度の低いアク
リル樹脂が望ましい。特に、メタクリル酸系アクリル樹
脂は、低温でモノマー分解が進行しやすく、不活性雰囲
気において脱バインダーを行うのに好適である。
【0032】内層用、外層用グリーンシート10A、1
0Bを作製する具体的な方法はドクターブレード法に限
定されるものではなく、その他、カレンダー法、ロール
コーター法などを採用することができる。また、これら
グリーンシート10A、10Bを保持するベースフィル
ムとしては、例えばポリエチレン系樹脂やポリエステル
系樹脂、紙などが使用できる。
【0033】このようにして作製した内層用、外層用グ
リーンシート10A、10Bに接続ヴィア3を充填する
孔を加工する。孔の加工方法としては、例えばパンチン
グやドリル加工などが採用できる。そして、ヴィア孔加
工を施した内層用、外層用グリーンシート10A、10
Bに導体ペースト11を充填することによって、接続ヴ
ィア3を形成する。
【0034】接続ヴィア3用の導体ペースト11は、そ
れに用いる金属粉末及び無機粉末と、有機バインダーと
溶剤からなる有機ビヒクルを十分に混合・混練して作製
する。ここでの有機バインダーの仕様は、上述した内層
用、外層用グリーンシート10A、10Bと同様であ
る。有機ビヒクルを構成する溶剤としてはテルピネオー
ルなどのアルコール類や、ケトン類などが使用できる。
また、適宜、可塑剤や界面活性剤を添加してもよい。ま
た、導体ペースト11の混練方法としては特に限定はな
く、例えば3本ロールミルやボールミルなどが使用でき
る。
【0035】次に、所定温度(例えば120℃以上)に
加熱すると発泡して粘着性が低下する粘着剤(例えば、
スチレン系石油樹脂)を含有する転写シート30を用意
する。そして、この転写シート30の粘着面30a上
に、内部、外部配線層2A、2B(後に内層用、外層用
グリーンシート10A、10Bの表面に転写する)を形
成する。ここでいう金属導体とは、空孔率1%以下の固
体としての金属が一例として挙げられる。しかしなが
ら、金属粉末ペーストを焼成することによって得られる
焼結体は、ほぼ100%に緻密化されたものを除き、基
本的にここでいう導体には含まれない。
【0036】内部、外部配線層2A、2Bに用いられる
金属導体及び上述した接続ヴィア3用の導体ペースト1
1の金属成分は特に限定されず、導体配線の金属成分、
基板の作製方法や使用状態に応じて適宜選択すればよい
が、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Niもしくはそれらの合
金であることが好ましく、特に、低抵抗なAg、Cuが好
ましい。
【0037】形成方法としては、予め、転写シート30
上にマスク(図示省略)を形成しておいて、薄膜法、あ
るいはメッキ法によって金属導体層を形成し、さらに、
形成した金属導体層上に内部、外部配線層2A、2Bを
形成してもよいが、膜形成面が粘着面30aであるた
め、メッキ法が望ましい。
【0038】その他の形成方法としては、転写シート3
0上に金属導体層を形成した後、その上にエッチング用
マスク13を形成し、エッチング工程を経て配線パター
ンを形成する方法が挙げられる。
【0039】内部、外部配線層2A、2Bとなる金属導
体層としては、特に限られるものではなく、例えば蒸着
法やスパッタリング法など薄膜プロセスによる金属導体
膜が挙げられるが、特に金属箔が、簡略な工程及びコス
トの面から好ましい。金属箔を転写シート30上に形成
する方法は特に限定はないが、より強固に密着させるた
めには、長時間、熱圧着させるのが好ましい。転写シー
ト30が含有する粘着剤の接着力を最大限に引き出すに
は室温ではなく、40〜50℃で加熱して圧着すること
が好ましい。
【0040】ここで用いる金属箔は、内部配線層2Aと
して用いられるものは両面に、外部配線層2Bとして用
いられるものは少なくとも、外層用グリーンシート10
Bに転写される側の面は粗化されていることが好まし
い。
【0041】上述したエッチング用マスク13の形成方
法には、露光によりレジストを形成するフォトリソグラ
フィー法と、印刷法(オフセット印刷、グラビア印刷、
スクリーン印刷等)とがある。フォトリソグラフィー法
はファインパターン配線を形成するのに適している。こ
の方法を用いる場合は、転写シート30が現像液に浸積
する工程が必要となるが、転写シート30の裏面には化
学的に安定なベースフィルムを貼付しておけば、現像液
の影響を受けにくくなる。フォトリソグラフィー法で用
いるレジストの除去にあたっては、例えば転写シート3
0の粘着剤にとって比較的非溶性であるエタノール等の
溶剤から適宜選択されたものを用いればよい。
【0042】印刷法により、エッチング用マスク13を
形成する場合には、エッチング用マスク13の形成時
に、エッチング用マスク13の下層に配置される転写シ
ート30が各種溶剤に浸されるいった処理を施す必要が
なくなる。そのため、転写シート30上の接着剤が各種
薬溶剤に溶けて、その粘着力が低下するといった不都合
が生じなくなる。転写シート30は、加熱発泡によりシ
ートの粘着力を低下させる工程(後述する)を施すま
で、シートの粘着力を維持して、転写シート30上に形
成する内部、外部配線層2A、2Bを保持する必要があ
る。そうしなければ、転写シート30上に内部、外部配
線層2A、2Bを形成することも、形成した内部、外部
配線層2A、2Bを内層用、外層用グリーンシート10
A、10B上に転写することもできなくなるためであ
る。そのため、印刷法により、エッチング用マスク13
を形成して、転写シート30上の接着剤の粘着力低下を
未然に防止できれば、形成精度の高い内層用、外層用配
線パターン2A、2Bを確実に形成することができるよ
うになる。
【0043】エッチング方法は、ドライエッチング法で
も、湿式のエッチング法でも適宜使い分ければよい。湿
式のエッチング法の場合のエッチング液としては、例え
ば金属導体層がCuの場合は、塩化第2鉄水溶液を用い
ればよい。このエッチング液によって転写シート30の
機能が劣化することはない。図2は、印刷法を用いた場
合における転写シート30に対するエッチング用マスク
13の形成、エッチング工程、および転写工程を示した
模式図である。
【0044】まず、図2(a)に示すように、上述した
転写シート30の上に金属導体層12を形成し、更にそ
の上に、図2(b)に示すように、エッチング用マスク
13を形成する。エッチング用マスク13を構成する材
料は、内部、外部配線層2A、2Bのエッチング液に対
して不溶であれば、特に限定されるものではない。しか
る後に、図2(c)に示すように、これらをエッチング
液に浸積して内部、外部配線層2A、2Bのパターン形
成を行い、十分に水洗浄した後、乾燥させる。しかる
後、図2(d)に示すように、エッチング用マスク13を
除去したのち、転写シート付内部、外部配線層2A、2
Bを、内層用、外層用グリーンシート10A、10Bに
転写する。そして、図2(e)に示すように、転写シー
ト30のみ取り除く。ここで、無機粉末(例えばアルミ
ナ)と、有機樹脂(例えば、アクリルバインダー)とか
ら構成されるエッチング用マスク13を用いた場合、有
機樹脂の比率を低くすることによって、エッチング時は
マスクとして働き、水洗時に容易に除去することができ
る。また、エッチング用マスク13の除去を水洗により
行うことにより、マスクの除去に溶剤を用いる必要がな
くなるので、転写シート30の接着剤が、マスク除去用
の溶剤に溶けて、その粘着力が低下するといった不都合
も生じなくなる。
【0045】転写および転写シート30の除去方法の一
例は次の通りである。すなわち、まず、転写シート付内
部、外部配線層2A、2Bを、内層用、外層用グリーン
シート10A、10B上に熱圧着させる。熱圧着温度
は、転写シート30の剥離温度以下の範囲に於いて、内
層用、外層用グリーンシート10A、10Bを構成して
いる有機バインダーに考慮して決められる。例えば、ア
クリル樹脂バインダーを用いた内層用、外層用グリーン
シート10A、10Bであれば、80℃近傍で熱圧着す
ることが好ましい。
【0046】このようにして転写シート付内部、外部配
線層2A、2Bを内層用、外層用グリーンシート10
A、10Bに熱圧着したのち、これらグリーンシート1
0A、10Bをホットプレート等により転写シート30
の剥離温度まで加熱することで、粘着面30Aの粘着性
を消失させたのち、転写シート30のみを除去すること
により、内部、外部配線層2A、2Bは、内層用、外層
用グリーンシート10A、10Bに転写される。このと
き、加熱により粘着面30aの粘着性はほぼ完全に消失
した状態で、転写シート30を剥離するので、内部、外
部配線層2A、2Bの一部が、転写シート30共々グリ
ーンシート10A、10B表面から剥離することは起き
ない。そのため、形成精度の高い内部、外部配線層2
A、2Bが形成される。
【0047】次に、これら内部、外部配線層2A、2B
が形成された内層用、外層用グリーンシート10A、1
0Bを積層したのち、このグリーンシート積層体の両面
あるいは片面に、拘束シート4を積層配置して熱圧着す
る。拘束シート4としては、内層用、外層用グリーンシ
ート10A、10Bの焼成時に焼結しない無機組成物を
含んだグリーンシートから構成する。
【0048】以上の作製順序は必要に応じて変更、一部
省略してもかまわない。得られたグリーンシート積層体
を加熱炉内で脱バインダー処理し、その後焼成処理を施
し、拘束シート4を除去することで本実施の形態におけ
るセラミック多層配線基板を得る。
【0049】熱処理の雰囲気は、内部、外部配線層2
A、2Bを構成する導体の種類によって異なり、導体が
Au,Ag、Pd等のように大気中で酸化されないものを
用いる場合は、大気、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素
あるいはそれらの混合ガスなど目的に応じ何でも使用で
きるが、Cu、Ni等のように大気中では酸化されるもの
を用いる場合は、不活性雰囲気、例えば、窒素、水素、
水蒸気、二酸化炭素あるいはそれらの混合ガスといった
ものに限定される。
【0050】なお、上述した説明では、内部、外部配線
層2A、2B形成後にエッチング用マスク13を除去し
ていた。しかしながら、内層用、外層用グリーンシート
10A、10Bの主成分(例えば、ガラスセラミック)
と同じ成分を有する材料からエッチング用マスク13’
を構成しておけば、図2(f)に示すよう、エッチング
用マスク13’を除去することなく残存させた状態で、
内部、外部配線層2A、2Bを内層用、外層用グリーン
シート10A、10Bに転写してもよい。そうすれば、
残存させたエッチング用マスク13’が、内部、外部配
線層2A、2Bと内層用、外層用グリーンシート10
A、10Bとの間に介装されることになり、この残存エ
ッチング用マスク13’が接着層の役割を果たし、内
部、外部配線層2A、2Bの接着強度が高まることにな
る。図3にエッチング用マスク13’を残存させた状態
で焼成したセラミック多層配線基板の構成を示す。
【0051】本実施の形態において、拘束シート4を積
層して焼結させることによって、焼成収縮が主として面
に垂直方向に生じ、X−Y方向にはほぼ無収縮であるた
め内部、外部配線層2A、2Bとの同時焼成によるクラ
ック等が生じないようにすることができる。
【0052】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは次の点であ
る。すなわち、上述した第1の実施の形態では、内部、
外部配線層2A、2Bあるいはこれら配線層2A、2B
上に残存配置されたエッチング用マスク13’が内部、
外部基板層1A、1Bに直接、接しているのに対して、
本実施の形態では、内部、外部配線2A、2Bあるいは
これら配線層2A、2B上に残存配置させたエッチング
用マスク13’と内部、外部基板層1A、1Bとの間
に、ガラス粉末と有機バインダーとからなるガラス接着
層31を介在させていることである。本実施の形態にお
いて、第1の実施の形態と同様のものについては、同一
符号を付与し、それらの説明は省略する。また、特に説
明のないものについては、第1の実施の形態と同じとす
る。すなわち、図3の断面模式図に示すように、本実施
の形態におけるセラミック多層配線基板は、ガラスセラ
ミックを含むセラミックからなる内部、外部基板層1
A、1Bと、層間または層上に配置された金属導体から
なる内部、外部配線層2A、2Bと、内部、外部配線層
2A、2B上に残存配置させたエッチング用マスク1
3’と、エッチング用マスク13’と内部、外部基板層
1A、1Bとの間に介装配置されたガラス接着層31
と、内部、外部基板層、エッチング用マスク13’、お
よびガラス接着層31を貫通して内部、外部配線層2
A、2Bどうしを電気的に接続する接続ヴィア3とを備
えている。
【0053】なお、拘束シート4は、後述する製造工程
において、内層用、外層用グリーンシート10A、10
B(内部、外部基板層1A、1Bとなる)の焼成が行わ
れる際における焼成温度において、実質的に焼結収縮を
生じない無機組成物を主成分とするものであり、実施の
形態1の時と同様である。次に、本実施の形態における
セラミック多層配線基板の製造方法について説明する。
【0054】本実施の形態に於ける金属導体セラミック
多層配線基板の製造方法は、上述した第1の実施の形態
に於ける説明に於いて、内層用、外層用セラミックグリ
ーンシート10A、10B上にガラス接着層31を形成
した後、内部、外部配線層2A、2B及びエッチング用
マスク13’を転写するように変更したものである。
【0055】本実施の形態に於ける 各部材の材質につ
いては、ガラス接着層31がガラスグリーンシートであ
ること以外は、第1の実施の形態と同じである。また、
ガラス接着層31を構成する材料としては、例えば、内
層用、外層用グリーンシート10A、10Bの焼成温度
が900℃の場合、軟化点温度が900℃以下の、ほう
珪酸鉛ガラスや、さらには軟化点温度が500℃以下の
アルカリ金属ガラスが等が挙げられる。後者の場合、内
部、外部基板層1A、1Bと内部、外部配線層2A、2
Bとの間で強い接着強度が得られるので好ましい。
【0056】(実施例)次に具体的実施例により本発明
を説明する。以下に説明する実施例1〜5は、上述した
第1または第2の実施の形態におけるセラミック多層配
線基板の具体的実施例について、 ・内部、外部基板層1A、1Bや、内部、外部配線層2
A、2Bや、内部、外部基板層1A、1Bと内部、外部
配線層2A、2Bとの間の中間層(ガラス接着層31、
エッチング用マスク13’等)といった部材の材料を変
化させた試料、 ・内部、外部配線層2A、2Bとなる導体材料の作製方
法を変化させた試料、 ・内部、外部配線層2A、2Bの形成方法を変化させた
試料、等を作製して、これらセラミック多層配線基板と
しての性能を比較したものである。各実施例の試料のう
ち、内部、外部基板層1A、1Bと内部、外部配線層2
A、2Bの中間層(ガラス接着層31、エッチング用マ
スク13’等)が存在しないものが第1の実施の形態に
対応するものであり、またこの中間層を備えるものが第
2の実施の形態に対応するものである。
【0057】なお、本発明の効果を確認するため、上記
試料と合わせて、本発明の対象外である試料も作製し
て、上記試料とともに比較をしている。本発明の対象外
であるか否かの区別は、各実施例の結果を示す比較表中
の「実比」欄で、本発明の実施例に対応するものについ
ては、「実」と記し、本発明の対象外であり、比較例と
してかがげたものについては、「比」と記すことによっ
て行っている。
【0058】また、実施例1及び2においては、低電気
抵抗の特徴を生かせるAgまたはCuからなる内部、外部
配線層2A、2Bを用いる場合を中心として本発明の具
体的実施例を示す。AgまたはCuは融点が低いため、低
温で焼結できるセラミック材料を選択する必要性があ
り、このため、実施例1〜2については、グリーンシー
ト等の材料となるセラミック材料として、ガラス−アル
ミナ混合系のガラスセラミックを選んだが、実施例3に
示すように本発明はこれに限定されるものではない。さ
らには、内部、外部配線層2A、2Bとしては、図5に
示すシート抵抗測定用配線パターン21を形成した。
【0059】(実施例1)まず、本実施例品であるNo.
5〜11試料について説明する。
【0060】No.5試料 配線にCu導体を用いて以下の方法にて作製した。ま
ず、Cu粉末、融着用ガラス粉末にアクリル系樹脂とテ
ルピネオールを3本ロールで十分に混合、混練し、接続
ヴィア3用導電ペーストを作製した。
【0061】次に、ガラスーアルミナ混合の基板層用粉
末(焼結温度900℃)とバインダーとしてアクリル系
樹脂、可塑剤としてベンジルブチルフタレート、溶剤と
してトルエンをボールミルで十分に混合、混練した後、
脱泡し、得られたスラリーを表面に離型処理を施したベ
ースフィルム(ポリフェニルサルファイド)上にドクタ
ーブレード法で成形し、厚み200μmの内層用、外層
用グリーンシート10A、10Bを作製した。
【0062】次に、これら内層用、外層用グリーンシー
ト10A、10Bの所定箇所に0.2mmφのヴィア孔
をパンチングにより穿孔し、このヴィア孔に導体ペース
トを充填して接続ヴィア3を形成した。
【0063】一方、配線層2A、2Bの形成においては
以下のように行った。すなわち、粘着剤(スチレン系石
油樹脂)を含有することで熱剥離機能を有する転写シー
ト(剥離温度120℃)30の粘着面30a上に、厚み
18μmのCu箔を圧着した。しかる後、このCu箔上
に、フォトリソグラフィー法により内部、外部配線層2
A、2Bに対応したレジストパターンを形成した。な
お、レジストは、エタノールに溶融する感光樹脂を選択
した。しかる後、エッチング処理を行い、内部、外部配
線層2A、2B以外の不要なCu箔を除去した。そし
て、レジストパターンをエタノール浸漬により剥離させ
ることで、内部、外部配線層2A、2Bを形成した。
【0064】そして、内部、外部配線層2A、2Bの両
端位置と接続用ヴィア3の位置とが一致するように、転
写シート付内部、外部配線層2A、2Bを内層用、外層
用グリーンシート10A、10B上に圧着したうえで、
ホットプレートにより130℃に加熱して転写シート3
0のみを剥離させることで、内層用、外層用グリーンシ
ート10A、10B上に内部配線層2A、2Bを形成し
た。
【0065】次に、これら内層用、外層用グリーンシー
ト10A、10Bを、内部、外部配線層2A、2Bの両
端位置と接続用ヴィア3の位置とが一致するように積層
した。
【0066】さらに、アルミナからなる拘束シート4を
内層用、外層用グリーンシート10A、10Bと同じバ
インダー、可塑剤を用いて作製し、内層用、外層用グリ
ーンシート10A、10Bのグリーンシート積層体の両
面を挟む形で熱圧着した。
【0067】得られたグリーンシート積層体は、加熱炉
内の酸素20ppmを含む窒素中650℃で脱バインダ
ー処理したのち、窒素中900℃、保持時間10分で焼
成を行った。焼成後は、その焼結体の両面に付着してい
る拘束シート4を洗浄により落とし、セラミック多層配
線基板を得た。
【0068】No.6試料 基本的には、上述したNo.5試料と同様の方法でセラミ
ック多層配線基板を作製するのであるが、内層用、外層
用グリーンシート10A、10Bの表面にガラス接着層
31を形成したうえで、このガラス接着層31上に、内
部、外部配線層2A、2Bを形成する点が異なってい
る。
【0069】No.7試料 No.5試料では、フォトリソグラフィー法とエッチング
法とを実施することで、転写シート30上に内部、外部
配線層2A、2Bを形成していたが、この試料は、印刷
法とエッチング法を実施することによりCu箔からなる
内部、外部配線層2A、2Bを転写シート30上に形成
している点が異なっている。また、印刷法による内部、
外部配線層2A、2Bの形成において用いるエッチング
用マスク13’の材料として軟化点温度850℃のガラ
スペーストを用い、さらには、このエッチング用マスク
13’を残存配置した状態で、内部、外部配線層2A、
2Bを、内層用、外層用グリーンシート10A、10B
に転写した。その他の製法はNo.5試料と同様である。
【0070】No.8試料 基本的には、No.7試料と同様の製法により、セラミッ
ク多層配線基板を作製したのであるが、この試料では、
マスクの有機樹脂成分を少なくしてエッチング後の水洗
時に自動的にマスクが除去されるようにした。この方式
で内部、外部配線層2A、2Bを形成した。
【0071】No.9試料 基本的には、No.7試料と同様の製法により、セラミッ
ク多層配線基板を作製したのであるが、この試料では、
エッチング用マスク13’の材料として、軟化点温度が
625℃と低いアルカリ金属含有ガラス粉末及びアクリ
ル樹脂バインダーからなるガラスペーストを選択してる
点が異なっている。なお、本試料においても、このエッ
チング用マスク13’は、残存させておいた。
【0072】No.10試料 基本的には、No.7と同様の製法により、セラミック多
層配線基板を作製しているのであるが、この試料では、
内部、外部配線層2A、2Bを、Ag箔から作製してい
る点が異なっている。なお、本試料においても、このエ
ッチング用マスク13’は、残存させておいた。また、
Ag箔から内部、外部配線層2A、2Bを構成している
ので、焼成雰囲気を大気とした。
【0073】No.11試料 内層用、外層用グリーンシート10A、10Bの作製
は、No.5試料と同様である。本試料は、内部、外部配
線層2A、2Bの作製方法が異なっている。
【0074】すなわち、Cu膜からなる内部、外部配線
層2A、2Bを予め、図示しないアルミ箔(請求項にお
ける易エッチング性金属箔の一例に相当する)上に形成
しておく。具体的には、アルミ箔上にメッキ法にてCu
膜を形成した。その後、フォトリソグラフィー法を用い
て内部、外部配線層2A、2Bを形成した。次に、アル
ミ箔付内部、外部配線層2A、2Bを転写シート30に
圧着した。しかる後に、内部、外部配線層2A、2B
を、希塩酸エッチング液に浸積させ、アルミ箔部分のみ
を取り除いて、転写シート付内部、外部配線層2A、2
Bを形成した。
【0075】このようにして形成した転写シート付内
部、外部配線層2A、2Bを用いて、外層用、内層用グ
リーンシート10A、10Bに内部、外部配線層2A、
2Bを転写形成する方法はNo.5試料と同様である。
【0076】次に比較例であるNo.1〜4試料、および
No.12〜14試料を説明する。
【0077】No.1試料 内層用、外層用グリーンシート10A、10Bの作製
は、No.5試料と同様である。本試料は、内部、外部配
線層2A、2Bの作製方法が異なっている。
【0078】すなわち、Cu膜からなる内部、外部配線
層2A、2Bを予め、図示しないアルミ箔上に形成して
おく。具体的には、アルミ箔上にメッキ法にてCu膜を
形成した後、フォトリソグラフィー法を用いて内部、外
部配線層2A、2Bを形成した。
【0079】次に、アルミ箔付内部、外部配線層2A、
2Bを内層用、外層用グリーンシート10A、10Bに
直接圧着した。このとき、内部、外部配線層2A、2B
の両端位置と各グリーンシート10A、10Bの接続用
ヴィア3との位置が一致するように位置決めした。しか
る後に、内層用、外層用グリーンシート10A、10B
共々、希塩酸エッチング液に浸積させ、アルミ箔部分の
みを取り除いて、これら内層用、外層用グリーンシート
10A、10B上に内部、外部配線層2A、2Bを転写
形成した。
【0080】No.2試料 内層用、外層用グリーンシート10A、10Bの作製
は、No.5試料と同様である。本試料は、内部、外部配
線層2A、2Bの作製方法が異なっている。
【0081】すなわち、厚み18μmのAg箔を、離型
処理を施したベースフィルム(ポリフェニルサルファイ
ド)からなる転写シート(加熱により発泡する粘着剤を
用いていない点で本発明と相違している)上に圧着し
た。そして、ガラスペーストからなり、かつ内部、外部
配線層2A、2Bに対応した形状を有するエッチング用
マスクをスクリーン印刷によりAg箔上に形成した後、
エッチングを行うことで、転写シートに内部、外部配線
層2A、2Bをパターン形成した。しかる後に、エッチ
ング用マスクをエタノールの浸積により剥離させた。
【0082】そして、内部、外部配線層2A、2Bの両
端位置と接続用ヴィア3の位置とが一致するように、転
写シート付内部、外部配線層2A、2Bを内層用、外層
用グリーンシート10A、10B上に圧着したうえで、
転写シートのみを剥離させることで、内層用、外層用グ
リーンシート10A、10B上に内部配線層2A、2B
を形成した。また、Ag箔から内部、外部配線層2A、
2Bを構成しているので、焼成雰囲気を大気とした。
【0083】No.3試料 基本的には、No.2試料と同様の製法でセラミック多層
配線基板を作製するのであるが、転写シートとして、粘
着シート(加熱により発泡する粘着剤を用いていない点
で本発明と相違している)を用いる点で異なっている。
【0084】No.4試料 基本的には、No.2試料と同様の製法でセラミック多層
配線基板を作製するのであるが、転写シートとして、熱
可塑性樹脂(加熱により発泡する粘着剤を用いていない
点で本発明と相違している)を用いる点で異なってい
る。
【0085】No.12試料 基本的には、No.7試料と同様の製法でセラミック多層
配線基板を作製するのであるが、拘束シート4を積層配
置することなく、焼成する点で異なっている。
【0086】No.13試料 内層用、外層用グリーンシート10A、10Bの作製
は、No.5試料と同様である。本試料は、内部、外部配
線層2A、2Bの作製方法が異なっている。
【0087】すなわち、加熱により発泡して粘着性が消
失する粘着面30aを有する転写シート30(本実施例
品と同じ)上に、Agペーストからなる内部、外部配線
層2A、2Bを、スクリーン印刷により形成したのち、
この転写シート付内部、外部配線層2A、2Bを、No.
5試料と同様の方法により内層用、外層用グリーンシー
ト10A、10Bに転写した。また、Agペーストから
内部、外部配線層2A、2Bを構成しているので、焼成
雰囲気を大気とした。
【0088】No.14試料 基本的には、No.13試料と同様の方法によりセラミ
ック多層配線基板を作製するが、Cuペーストを用いる
点が異なっている。
【0089】こうして得られた各試料の、内部、外部配
線層2A、2Bの転写状態や、外観及び断面を検査し、
また、表面に露出して接続ヴィア3を通じて内部配線層
2Aのシート抵抗値を4端子法を用いて測定した。その
結果を表1に示す。実験値は、配線パターンの導体厚み
が15μmとして換算し直したものである。
【0090】
【表1】
【0091】平面方向の収縮を拘束する拘束シート4を
用いない比較例試料No.12では、試料全ては、強制
的な収縮が内部、外部配線層2A、2B(Cu箔)に働
くため、撓み、一部断線も生じていた。一方、その他の
試料は、アルミナからなる拘束シート4を配置している
ので、基板の面内収縮は、0.1%以下であり、内層
用、外層用グリーンシート10A、10B上に形成した
内部配線層2A、2Bの、断線、撓み、亀裂等は発生し
なかった。また、これらの内部配線層2A、2Bは、焼
成後の断面でみると、導体と基板の密着性は良好であ
る。No.1とNo.11試料とを比較すると、内層用、外
層用グリーンシート10A、10B上にCu箔からなる
内部、外部配線層2A、2Bが転写される段階までは共
に問題はないが、焼成後は、No.1試料のみ基板の誘電
特性が著しく劣化していた。これは、アルミナ・ガラス
からなる内層用、外層用グリーンシート10A、10B
が希塩酸エッチング液に浸積される際にガラス等が溶出
し焼結性が劣化したためと考えられる。このように、エ
ッチング液の種類によっては、内層用、外層用グリーン
シート10A、10Bの浸積は致命傷となるため、転写
シート30を用いた工法は有効であることがわかる。
【0092】No.2からNo.5の実施例試料を比較する
と、微細な配線層2A、2Bを内層用、外層用グリーン
シート10A、10B上に転写するためには、転写時に
粘着剤が発泡して粘着性が失われる特殊な機能を有する
ものでないと、内層用、外層用グリーンシート10A、
10B上に、内部、外部配線層2A、2Bを形成できな
いことがわかる。
【0093】試料No.5からNo.9により、転写シート
30上の内部、外部配線層2A、2B形成方法はリソグ
ラフィー法及び印刷法いずれでも可能であり、且つ内
部、外部配線層2A、2Bが内層用、外層用グリーンシ
ート10A、10Bに対して、良好に転写されているこ
とも確認できた。これらCu箔を用いた試料では、内部
配線層2Bのシート抵抗値は1.5mΩと低抵抗な値が
得られた。接続ヴィアと内層配線の接着性、及び断面で
みた箔とグリーンシートとの層間も問題はない。No.1
0試料では、Ag箔を用いても、Cu箔を用いた場合とほ
ぼ同等の結果が得られることがわかる。
【0094】一方、内部配線層2Aを導電ペーストを用
いたスクリーン印刷で熱剥離機能を有する転写シート上
に形成した比較用試料であるNo.13、14試料では、
内層用グリーンシート10A、10Bとの融着性を得る
ために含まれるガラス成分によりシート抵抗値は、やや
高くなる。更に、配線層2A、2Bとグリーンシートと
の間の層間には隙間が生じる場合があった。
【0095】このように、熱剥離機能を有する転写シー
ト30上に内部、外部配線層2A、2Bを形成して、面
内無収縮工法で内層配線を形成する方法を採用すること
により、低抵抗な良好な内層配線を基板と同時焼成で提
供することができる。
【0096】また、本実施例では金属箔を用いた例を述
べたが、メッキ法による例えばCuメッキ膜を用いて
も、あるいはマスクを形成して直接、転写シート30上
にメッキ法にて配線層2A、2Bの形成を行っても、グ
リーンシート上に問題なく配線パターンが形成されるこ
とが確認された。
【0097】さらには、本実施例では、アルミ箔を用い
た例を示したが、他の金属箔を用いても構わないのはい
うまでもない。
【0098】(実施例2)本発明の製法により、外部配
線層2Bを形成した場合の結果を表2に示す。
【0099】本実施例では、試料は何れも、配線層2
A、2BにCu箔を用いて以下の方法にて作製した。
【0100】No.15試料 まず、Cu粉末、融着用ガラス粉末にアクリル系樹脂と
テルピネオールを3本ロールで十分に混合、混練し、接
続ヴィア用導電ペーストを作製した。次に、ガラスーア
ルミナ混合の基板層用粉末(焼結温度900℃)とバイ
ンダーとしてアクリル系樹脂、可塑剤としてベンジルブ
チルフタレート、溶剤としてトルエンをボールミルで十
分に混合、混練した後、脱泡し、得られたスラリーを表
面に離型処理を施したベースフィルム(ポリフェニルサ
ルファイド)上にドクターブレード法で成形し、厚み2
00μmの内層用、外層用グリーンシート10A、10
Bを作製した。
【0101】次に、これらのグリーンシート10A、1
0Bの所定箇所に0.2mmφのヴィア孔をパンチング
により穿孔し、このヴィア孔に導体ペーストを充填し
た。
【0102】次に、実施例1で用いた転写シート30と
同様の転写シート30の上に厚み18μmのCu箔を圧
着した。この試料では、表面が平滑なCu箔(表面粗さ
0.2μm以下)を用いた。そして、形成したCu膜上
に、ファインライン性を実現しやすいオフセット印刷法
を用いて内層用、外層用配線層2A、2Bに対応したエ
ッチング用マスク13’を形成した。エッチング用マス
ク13’は、アクリル樹脂バインダーと、低軟化点ガラ
ス(軟化点温度625℃)とを含むガラスペーストで構
成した。
【0103】しかる後に、エッチング処理を行い、内
部、外部配線層2A、2B以外の不要なCu箔を除去す
ことで、内部、外部配線層2A、2Bを形成した。な
お、エッチング用マスク13は、除去することなく、接
着層として残存させておく。
【0104】なお、実施例2で形成した内部、外部配線
層2A、2Bは、図5のシート抵抗測定用配線パターン
21と同じであるが、最小線幅は50μmで線間の最小
幅は50μmとした。さらに接着強度測定用に2mm角
のパターンも形成した。
【0105】そして、内部、外部配線層2A、2Bの両
端位置と接続用ヴィア3の位置とが一致するように、転
写シート付内部、外部配線層2A、2Bを内層用、外層
用グリーンシート10A、10B上に圧着したうえで、
ホットプレートにより130℃に加熱して転写シート3
0のみを剥離させることで、内層用、外層用グリーンシ
ート10A、10B上に内部配線層2A、2Bを形成し
た。
【0106】次に、これら内層用、外層用グリーンシー
ト10A、10Bを、内部、外部配線層2A、2Bの両
端位置と接続用ヴィア3の位置とが一致するように積層
した。
【0107】さらに、アルミナからなる拘束シート4を
に内層用、外層用グリーンシート10A、10Bと同じ
バインダー、可塑剤を用いて作製し、これらのグリーン
シート積層体の両面を挟む形で熱圧着した。
【0108】得られたグリーンシート積層体は、加熱炉
内の酸素20ppmを含む窒素中650℃で脱バインダ
ー処理し、焼成は窒素中900℃、保持時間10分で行
った。焼成後は、その焼結体の両面に付着している拘束
シート4を洗浄により除去し、セラミック多層配線基板
を得た。
【0109】No.16試料 基本的には、No.15試料と同様の方法でセラミック多
層配線基板を作製したが、内部、外部配線層2A、2B
となるCu箔として、表面を粗化処理したものを用いた
点が異なっている。
【0110】No.17試料 基本的には、No.16試料と同様の方法でセラミック多
層配線基板を作製したが、エッチング用マスク13を、
軟化点温度が850℃のガラスを含んだガラスペースト
から構成している点が異なっている。
【0111】No.18試料 基本的には、No.16試料と同様の方法でセラミック多
層配線基板を作製したが、外部配線層2Bの形成方法だ
けが異なっている。すなわち、外層用グリーンシート1
0Bの表面に625℃の軟化点温度を有するガラスから
なるガラス接着層31を形成したのち、このガラス接着
層31上に転写シート30を用いて外部配線層2Bを転
写した。
【0112】No.19試料 基本的には、No.18試料と同様の方法でセラミック多
層配線基板を作製したが、ガラス接着層31に対してフ
ォトリソグラフィー法により外部配線層3Bを形成して
いる点が異なっている。なお、レジストはエタノールに
溶融する感光樹脂を用いた。
【0113】No.20試料 内層用、外層用グリーンシート10A、10Bの作製
は、No.16試料と同様である。本試料は、内部、外部
配線層2A、2Bの作製方法が異なっている。
【0114】すなわち、Cu膜からなる内部、外部配線
層2A、2Bを予め、図示しないアルミ箔上に形成して
おく。具体的には、アルミ箔上にメッキ法にてCu膜を
形成した。その後、フォトリソグラフィー法を用いて内
部、外部配線層2A、2Bを形成した。次に、アルミ箔
付内部、外部配線層2A、2Bを転写シート30に圧着
した。しかる後に、内部、外部配線層2A、2Bを、希
塩酸エッチング液に浸積させ、アルミ箔部分のみを取り
除いて、転写シート付内部、外部配線層2A、2Bを形
成した。
【0115】このようにして形成した転写シート付内
部、外部配線層2A、2Bを用いて、外層用、内層用グ
リーンシート10A、10Bに内部、外部配線層2A、
2Bを転写形成する方法はNo.16試料と同様である。
【0116】No.21試料 基本的には、No.15試料と同様の方法でセラミック多
層配線基板を作製しているが、内部、外部配線層2A、
2Bの作製方法が異なっている。すなわち、この試料
は、内層用、外層用グリーンシート10A、10Bに、
スクリーン印刷法により、Cuペーストからなる内部、
外部配線層2A、2Bを直接形成している。
【0117】こうして得られた各試料の外観及び断面を
検査し、さらには、表面に露出している接続ヴィア3を
通じて、外部配線層2Bと接続ヴィア3との接続性、及
び外部配線層2Bのシート抵抗値を4端子法を用いて測
定した。更に、2mm角の電極につきハンダ濡れ性を確
認し、そのハンダ付け後、1mmφのCu線を使用して
接着強度を測定した。その結果を表2に示す。尚、測定
値は、1mm角の面積の場合に換算した値を記してい
る。
【0118】
【表2】
【0119】試料全ては、最外層にいずれも拘束シート
4を配置したうえで、焼成処理しているので、基板の面
内収縮は、0.1%以下であり、内部、外部配線層2
A、2Bの、断線、撓み、亀裂等は発生しなかった。
【0120】一方、No.15試料と、No.16試料とを
比較することによって、Cu箔表面を粗化させること
は、接着強度を得る上で有効であることがわかる。同様
に、No.16試料と、No.17試料とを比較することに
よって、接着層として残存させるエッチング用マスク1
3’は、軟化点温度が850℃のガラスを主成分として
構成するより、軟化点温度が625℃と比較的低軟化点
のガラスを主成分として構成しておく方が、焼成後、よ
り強固な接着層として機能していることがわかる。
【0121】更にNo.16試料とNo.18試料とを比較
することにより、外部基板層1Aと外部配線層2Bとの
間の接着性は、配線部分だけを覆うガラス層であるエッ
チング用マスク13’よりも、基板面積全体を覆うガラ
ス接着層31の方がより接着強度を向上させる上で有効
であることがわかる。
【0122】なお、No.19試料では、内部、外部配線
層2A、2Bの形成にフォトリソグラフィー法を用いて
いるが、この方法でも配線形成、グリーンシートへの転
写性及び外部基板層1Bと外部配線層2Bとの間の接着
性は十分得られていることがわかる。
【0123】なお、No.19試料では、更なるファイン
ラインを想定してフォトリソグラフィー法を用いている
が、この方法でも外部基板層1Bと外部配線層2Bとの
間の接着性は十分得られていることがわかる。さらに
は、これらCu箔からなる配線層とセラミックグリーン
シートとの同時焼成による本実施例品(No.15〜20
試料)の接着性は、Cuガラスペーストを用いた比較例
(No.21試料)と比較しても良好であるあることがわ
かる。
【0124】また、本実施例品(No.15〜20試料)
でも外部配線層2B上でのショートは見られず、ファイ
ンライン性は得られていた。これらの外部配線層2B
は、焼成後の断面でみた配線導体と外部基板層1Bとの
間の密着性も良好であった。これは、脱バインダー時に
ペーストのようにガスを出す成分がないためと考えられ
る。
【0125】外部配線層2BとしてCu箔を用いた本実
施例品(No.15〜20試料)では、1.5mΩ/□と
低抵抗な値が得られた。また、接続ヴィア3と外部配線
層2Bとの間の接着性、及び断面でみた外部配線層2B
と外部基板層1Bとの間の層間も問題はない。
【0126】一方、外部配線層2Bを導電ペーストを用
いたスクリーン印刷で形成した比較例品(No.21)の
場合は、外部配線層2Bと外部基板層1Bとの間の融着
性を得るために含まれるガラス成分によりシート抵抗値
は、やや高くなる。更に、外部配線層2Bと外部基板層
1Bとの間の層間には隙間が生じる場合があった。
【0127】このように、熱剥離機能を有する転写シー
ト30上に、内部、外部配線層2A、2Bを形成し、そ
れらを内層用、外層用グリーンシート10A、10B上
に転写すること、及び面内無収縮工法で外部配線層2B
を形成したグリーンシート積層体を焼成することによ
り、接着強度があり、ファインライン性を有する低抵抗
で良好な外部配線層2Bを、基板と同時焼成で提供する
ことができた。
【0128】なお、蒸着法等薄膜プロセスで形成された
表層電極及びメッキプロセスで形成された外部、内部配
線層2A、2B、あるいはAg箔等を用いた外部、内部
配線層2A、2Bであっても、良好な接着強度及び低電
気抵抗が確認できた。
【0129】(実施例3)内部、外部配線層2A、2B
の材料中の金属成分及び、内層用、外層用グリーンシー
ト10A、10Bの材料について、実施例1〜2におい
て用いられたものと違うものを用いた場合の効果につい
て確認した結果を以下に述べる。
【0130】実施例1,2と同様の方法で、導電ペース
トがAg−Pdからなり、基板組成がBa−Nd−Ti−O
からなる内層用、外層用グリーンシート10A、10B
を作製した。接続ヴィア3にはAg−Pdペーストを用
い、Ba−Nd−Tiからなる内層用、外層用グリーンシ
ート10A、10Bの所定箇所に0.2mmφのヴィア
孔をパンチングにより穿孔し、このヴィア孔にAg−P
dペーストを充填して接続用ヴィア3を形成した。
【0131】内層用、外層用グリーンシート10A、1
0B上に形成する内部、外部配線層2A、2Bは、次の
ように作製する。すなわち、熱剥離機能を有する転写シ
ート30にAg−Pd箔を圧着した後、印刷法にて内部、
外部配線層2A、2Bを形成した。エッチング用マスク
13は、実施例1,2で用いた低軟化点ガラスペースト
を用いた。
【0132】内部、外部配線層2A、2Bの位置合わせ
は、両端位置と接続用ヴィア3の位置とが一致するよう
にした。しかる後に、接続ヴィア3を備えた内層用、外
層用グリーンシート10A、10Bどうしを、内部、外
部配線層2A、2Bの両端位置と接続用ヴィア3の位置
とが一致するように積層した。
【0133】次に、マグネシアからなる拘束シート4を
内層用、外層用グリーンシート10A、10Bと同じバ
インダー、可塑剤を用いて作製し、上述したグリーンシ
ート積層体の両面を挟む形で熱圧着した。
【0134】得られたグリーンシート積層体は、加熱炉
内の大気中600℃で脱バインダー処理し、焼成は窒素
中1200℃、保持時間1時間で行った。焼成後は、そ
の焼結体の両面に付着している拘束シート4を洗浄によ
り除去とし、セラミック多層配線基板を得た。こうして
得られたセラミック多層配線基板の外観及び断面を検査
し、また、表面に露出している接続ヴィア3を通じて内
部配線層2Aのシート抵抗値を4端子法を用いて測定し
た。シート抵抗値は、10mΩ/□であり、ほぼ使用し
たAg−Pd組成の導体抵抗から換算した値とほぼ等し
かった。内部、外部配線層2A、2Bと内部、外部基板
層1A、1Bとの間の接着性も断面観察から問題ないこ
とが確認された。この結果より、実施例1,2において
用いられたものと違うものを用いた場合の効果が確認さ
れた。
【0135】
【発明の効果】以上説明したところから明らかなよう
に、本発明は、低電気抵抗なファインライン性を有した
金属導体からなるセラミック多層配線基板及びその製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のセラミック多層配
線基板の構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態のセラミック多層配線基板の
製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】実施の形態1の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のセラミック多層配
線基板の構成を示す断面図である。
【図5】シート抵抗測定用配線パターンの構成を記す平
面図である。
【符号の説明】
1A 内部基板層 1B 外部基板層
2A 内部配線層 2B 外部配線層 3 接続ヴィア
4 拘束シート 10A 内層用グリーンシート 10B 外層用グリー
ンシート 11 導体ペースト 12 金属導体層 13 エッチング用マスク 20A ガラス接着層
30 転写シート 30a 粘着面 31 ガラス接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 純一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E343 AA23 BB67 DD02 DD56 DD64 5E346 CC16 DD13 DD44 EE08 EE13 EE19 EE29 FF18 GG06 GG09 GG18 GG19 GG22

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に空孔を有さない導体からなる配
    線層が表層および/または内層に形成されたセラミック
    多層配線基板の製造方法であって、 加熱処理により発泡して粘着性が低下する接着剤を含有
    する転写シートを用意したうえで、この転写シートの粘
    着面上に、実質的に空孔を有さない導体からなる配線層
    をパターン形成し、 前記転写シート付配線層をセラミックグリーンシートに
    接着させたうえで、加熱処理により前記粘着面の粘着性
    を低下させて、前記配線層から前記転写シートを剥離
    し、 前記配線パターンが形成されたグリーンシートを、所望
    枚数積層し、このグリーンシート積層体の両面もしくは
    片面に、前記グリーンシートの焼結温度で実質的に焼結
    収縮を示さない無機組成物を主成分とする拘束シートを
    積層配置し、 作製したグリーンシート積層体を焼成処理し、その後、
    前記拘束シートを取り除くことを特徴とするセラミック
    多層配線基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセラミック多層配線基板
    の製造方法であって、 前記導体として金属箔を用いることを特徴とするセラミ
    ック多層配線基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のセラミック多層配線基板
    の製造方法であって、 表面が粗化処理された金属箔を前記導体として用いるこ
    とを特徴とするセラミック多層配線基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか記載のセラ
    ミック多層配線基板の製造方法であって、 前記セラミックグリーンシートの配線層形成面に、ガラ
    ス接着層を形成し、このガラス接着層に、前記転写シー
    ト付配線層を接着することを特徴とするセラミック多層
    配線基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか記載のセラ
    ミック多層配線基板の製造方法であって、 エッチング法により前記配線層をパターン形成すること
    を特徴とするセラミック多層配線基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のセラミック多層配線基板
    の製造方法であって、 エッチング用マスクをフォトリソグラフィー法により形
    成することを特徴とするセラミック多層配線基板の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のセラミック多層配線基板
    の製造方法であって、 前記エッチング用マスクを印刷法により形成することを
    特徴とするセラミック多層配線基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のセラミック多層配線基板
    の製造方法であって、 前記エッチング用マスクを無機粉末と有機樹脂とをマス
    ク材料にした印刷法により形成することを特徴とするセ
    ラミック多層配線基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8記載のセラミック多層
    配線基板の製造方法であって、 前記エッチング用マスクとして、前記セラミックグリー
    ンシートの主成分と実質的に同成分の材料を含有したも
    のを用いるとともに、当該エッチング用マスクを前記配
    線層を形成した後も残存させた状態で前記セラミックグ
    リーンシートを積層することを特徴とするセラミック多
    層配線基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし4のいずれか記載のセ
    ラミック多層配線基板の製造方法であって、 メッキ法により前記配線層をパターン形成することを特
    徴とするセラミック多層配線基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし4のいずれか記載のセ
    ラミック多層配線基板の製造方法であって、 前記配線層を易エッチング性金属箔表面にパターン形成
    したのち、この易エッチング性金属箔付配線層を前記転
    写シートの粘着面に圧着させ、さらに、エッチングによ
    って前記易エッチング性金属箔を選択的に取り除くこと
    で、転写シート上に配線層を形成することを特徴とする
    セラミック多層配線基板の製造方法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100918863B1 (ko) * 2006-07-05 2009-09-28 가부시키가이샤 히타치세이사쿠쇼 기판에의 도전패턴 형성장치 및 도전패턴 형성방법

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