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JP2000282178A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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Publication number
JP2000282178A
JP2000282178A JP11169735A JP16973599A JP2000282178A JP 2000282178 A JP2000282178 A JP 2000282178A JP 11169735 A JP11169735 A JP 11169735A JP 16973599 A JP16973599 A JP 16973599A JP 2000282178 A JP2000282178 A JP 2000282178A
Authority
JP
Japan
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weight
less
rolling
content
rolling bearing
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP11169735A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromichi Takemura
浩道 武村
Kazuo Sekino
和雄 関野
Shigeru Okita
滋 沖田
Yasuo Murakami
保夫 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP11169735A priority Critical patent/JP2000282178A/ja
Priority to US09/420,836 priority patent/US6342109B1/en
Priority to DE19950813A priority patent/DE19950813C2/de
Publication of JP2000282178A publication Critical patent/JP2000282178A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/58Raceways; Race rings
    • F16C33/62Selection of substances
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2204/00Metallic materials; Alloys
    • F16C2204/60Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • F16C2204/66High carbon steel, i.e. carbon content above 0.8 wt%, e.g. through-hardenable steel
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16C2204/00Metallic materials; Alloys
    • F16C2204/60Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • F16C2204/70Ferrous alloys, e.g. steel alloys with chromium as the next major constituent
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2240/00Specified values or numerical ranges of parameters; Relations between them
    • F16C2240/40Linear dimensions, e.g. length, radius, thickness, gap
    • F16C2240/54Surface roughness
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S384/00Bearings
    • Y10S384/90Cooling or heating
    • Y10S384/913Metallic compounds

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】トラクション係数が高く異物が混入している潤
滑下で使用される場合でも、剥離寿命の長い転がり軸受
を提供する。 【解決手段】転がり軸受を構成する内輪および外輪用の
鉄鋼材料として、炭素(C)の含有率が0.65重量%
以上1.10重量%以下であり、クロム(Cr)の含有
率が2.0重量%以上6.0重量%以下であるものを使
用する。この鉄鋼材料で形成した後に、焼入れ、焼き戻
し、研磨仕上げを施して、内輪および外輪の軌道面に5
nm以上300nm以下の厚さのクロム酸化膜(Cr2
3 )を形成する。トラクション係数が高く水が混入し
ている潤滑下で使用する場合には、粒径が50nm以上
300nm以下であるモリブデン炭化物および/または
バナジウム炭化物の微細粒子をマトリックス中に分布さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の自動変速
機用転がり軸受として好適な、トラクション係数が高く
異物が混入している潤滑下で使用される場合でも剥離寿
命が長い転がり軸受、および水の混入が考えられて潤滑
油膜の形成が困難となりやすい自動車のエンジン補機用
としても剥離寿命が長い転がり軸受、さらにはトラクシ
ョン係数が高く異物および水が混入している潤滑下で使
用される場合でも剥離寿命が長い転がり軸受に関する。
また、高温高荷重で高接線力が作用するトロイダル無断
変速機の部品及び軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の転がり軸受を構成する内輪、外
輪、および転動体としては、高炭素クロム鋼(特にSU
J2鋼)を用いて所定形状に形成された後、焼入れ、焼
き戻しが施されて表面の硬さがHRC62程度に、残留オ
ーステナイト量が10体積%程度になっているものが一
般的である。
【0003】一方、自動車の自動変速機は、トルクコン
バーター、歯車機構、油圧機構、湿式クラッチ等を内蔵
する装置であり、これらの機構を円滑に作動させて動力
を伝達するために、自動変速機用の転がり軸受にはトラ
クション係数の高い潤滑油(自動変速機油:ATF)が
使用される。したがって、上記従来の転がり軸受を使用
した場合には、自動変速機の作動中に、軌道輪の軌道面
と転動体の転動面との間に生じる接線力が増大するた
め、潤滑膜が破壊されやすくなり、軌道面や転動面に早
期剥離が生じる恐れがある。
【0004】また、自動変速機に取り付けられている転
がり軸受では、軸受内部の潤滑油に金属の切粉、削り
屑、バリ、および摩耗粉等が混入することが避けられな
い。上記従来の転がり軸受をこのような異物混入潤滑下
で使用すると、異物が軌道輪の軌道面や転動体の転動面
に圧痕を生じさせ、この圧痕を起点としてフレーキング
(うろこ状の剥離)が発生するため、転がり軸受の寿命
が著しく低下するという問題がある。
【0005】軌道面の早期剥離を防止するための従来技
術としては、例えば特開平4−28845号公報に、合
金成分としてCを0.65〜0.90重量%、Siを
0.15〜0.50重量%、Mnを0.15〜1.0重
量%、Crを2.0〜5.0重量%を含有する鉄鋼材料
を用いて転がり軸受の軌道輪を形成することが開示され
ている。この技術は、高速回転で振動や衝撃荷重が加わ
る環境下で使用される転がり軸受に関するものである。
そして、このような使用環境下で軌道面に早期剥離が生
じる原因は、最大剪断応力が発生する位置にCが拡散、
固着して、硬くて脆い白層が生じることにあり、C濃度
が低く、Cr濃度が高い前記組成の鉄鋼材料を用いるこ
とにより前記白層が生じ難くなって、軌道面の早期剥離
が防止されると記載されている。
【0006】異物混入潤滑下での寿命を長くするための
従来技術としては、例えば特公平6−11899号公報
に、合金成分としてCを0.4〜0.8重量%、Siを
0.3〜1.2重量%、Mnを1.0重量%以下、Cr
を4.0〜8.0重量%、Moを0.1〜1.0重量%
含有する鉄鋼材料を軸受鋼として用い、浸炭または浸炭
窒化処理を行うことで表面に面積比で20〜35%の炭
化物または炭窒化物を形成することが開示されている。
この技術では、使用する鉄鋼材料の組成の特定により基
地の靱性と焼き戻し軟化抵抗を高めるとともに、表面に
微細なM236やM7 3 型の炭化物または炭窒化物を
分散析出させて表層を強化することにより、異物混入潤
滑下での寿命を長くできると記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
自動変速機用の転がり軸受のように、トラクション係数
が高く異物が混入している潤滑下で使用される転がり軸
受の場合には、前記従来技術の適用では剥離寿命の延長
効果が期待できない。なお、特公平6−11899号公
報に記載された異物混入潤滑下での寿命を長くする方法
では、設備コストの高い浸炭または浸炭窒化処理を行う
必要があるため、製造コストが高くなるという問題点が
ある。
【0008】また、トラクション係数が高い潤滑条件で
あってしかも高温環境下で使用される転がり軸受の場合
には、使用中に急激な温度差があると、軸受周りの空間
で結露が生じて、水滴が潤滑油内に混入することがあ
る。また、水洗浄等で自動変速機に残留した水が潤滑油
内に混入することもある。このようなトラクション係数
が高く水が混入している潤滑下で使用される転がり軸受
の場合には、軌道面や転動面に潤滑油膜が形成され難
く、形成されても前述のように接線力の増大によって破
壊され易くなるため、前記従来技術の適用では剥離寿命
の延長効果が期待できない。
【0009】一方、特公平7−110988号公報に
は、トランスミッションやエンジン用として求められる
寿命の長い転がり軸受として、軌道輪と転動体との少な
くとも一つが、C:0.3〜0.6重量%、Cr:3〜
14重量%を少なくとも含む合金鋼からなり、且つ浸炭
または浸炭窒化そして硬化熱処理が施されてなる表面層
部を有し、表面層部に存在する微細炭化物量が20〜5
0vol%であり、表面層部内の残留オーステナイト量
が10〜25vol%であることを特徴とする転がり軸
受が開示されている。この転がり軸受は、タービン油に
異物が混入している潤滑下等で使用される場合には従来
の軸受よりも寿命が長くなるが、トラクション係数が高
く異物および水が混入している潤滑下で使用される場合
の寿命に関しては改善の余地がある。
【0010】本発明は、このような従来技術の問題点に
着目してなされたものであり、トラクション係数が高く
異物が混入している潤滑下、およびトラクション係数が
高く水が混入している潤滑下で使用される場合でも、剥
離寿命の長い転がり軸受を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、転がり軸受を構成する内輪、外輪、およ
び転動体のうちの少なくともいずれかは、炭素(C)の
含有率が0.55重量%以上1.10重量%以下であ
り、クロム(Cr)の含有率が2.0重量%以上9.0
重量%以下である鉄鋼材料で形成された後に、焼入れ、
焼き戻し、研磨仕上げが施されることにより得られ、軌
道輪の軌道面および/または転動体の転動面に5nm以
上300nm以下の厚さのクロム酸化膜(Cr2 3
を有するものであることを特徴とする転がり軸受を提供
する。
【0012】トラクション係数が高い潤滑条件下で軌道
面や転動面に早期剥離が生じる原因は、前述のように接
線力の増大に伴って潤滑膜が破壊される際に、潤滑油に
含まれる水分が分解して水素が発生し、この水素が軌道
面や転動面に侵入することにある。本発明の転がり軸受
によれば、軌道面や転動面に設けたクロム酸化膜(Cr
2 3 )によりこの水素の侵入が防止されるため、トラ
クション係数が高い潤滑条件下で軌道面や転動面に早期
剥離が生じることが防止される。
【0013】クロム酸化膜(Cr2 3 )の厚さが5n
m未満では、水素の侵入防止作用が実質的に得られな
い。クロム酸化膜(Cr2 3 )の厚さが300nmを
超えると、クロム酸化膜の組織が粗くなって水素の侵入
防止作用が低減する。クロム酸化膜の厚さの好適な範囲
は20nm以上200nm以下である。この厚さの範囲
では、特に緻密な組織のクロム酸化膜が得られるため、
上述のような軌道面や転動面に対する水素の侵入をより
効果的に防止できる。
【0014】なお、特開平4−28845号公報に記載
の技術では、軌道面に数nmの不動態膜(FeCr
4 )が形成されるが、このような不動態膜では、上述
のような軌道面や転動面に対する水素の侵入を十分に防
止することはできない。本発明の転がり軸受は、転がり
軸受を構成する内輪、外輪、および転動体のうちの少な
くともいずれかが前記構成を満たしていれば、従来の転
がり軸受と比べてトラクション係数が高い潤滑下での剥
離寿命を長くできるが、特に回転輪となる軌道輪(内輪
または外輪)が前記構成を満たしていることが好まし
い。
【0015】本発明の転がり軸受において、軌道輪の軌
道面および/または転動体の転動面の残留オーステナイ
ト量が15体積%以上25体積%以下であると、トラク
ション係数が高いだけでなく異物が混入している潤滑下
であっても、剥離寿命を著しく長くすることができるた
め好ましい。本発明の転がり軸受において、内輪、外
輪、および転動体のうちの少なくともいずれかは、炭素
(C)の含有率が0.55重量%以上1.10重量%以
下であり、クロム(Cr)の含有率が2.0重量%以上
9.0重量%以下であり、モリブデン(Mo)を1.1
重量%以上4.0重量%以下の含有率でおよび/または
バナジウム(V)を0.3重量%以上2.0重量%以下
の含有率で含む鉄鋼材料で形成された後に、焼入れ、焼
き戻し、研磨仕上げが施されることにより得られ、粒径
が50nm以上300nm以下であるモリブデン炭化物
および/またはバナジウム炭化物の微細粒子がマトリッ
クス中に分布しているとともに、軌道輪の軌道面および
/または転動体の転動面に5nm以上300nm以下の
厚さのクロム酸化膜(Cr2 3 )を有するものである
ことが好ましい。
【0016】この転がり軸受によれば、潤滑油膜が形成
され難い環境下で使用されることにより、軌道面および
/または転動面に設けたクロム酸化膜(Cr2 3 )が
破壊された場合でも、マトリックス中に分布している微
細な炭化物粒子が侵入しようとする水素を吸着する。こ
れにより、トラクション係数が高く水が混入している潤
滑下であっても、上述のような軌道面や転動面に対する
水素の侵入を防止できるため、軌道面や転動面に早期剥
離が生じることが防止される。
【0017】この微細な炭化物粒子の分布は、素材の段
階で1100〜1250℃に保持する溶体化処理を行っ
て、モリブデンおよび/またはバナジウムの微細な炭化
物を析出させることにより得られる。なお、この微細な
炭化物の析出によって、鉄鋼材料のマトリックスに溶け
込んでいる炭素量が減少する。そのため、このような微
細な炭化物粒子がマトリックス中に分布している鉄鋼材
料で形成された軸受構成部材は、マトリックスの疲労時
に、炭素拡散による組織変化の発生が遅延される。その
結果、この転がり軸受の耐摩耗性は高くなり、潤滑油膜
が形成され難い環境下で使用された場合に焼付きを防止
することができる。
【0018】このモリブデン炭化物および/またはバナ
ジウム炭化物の微細粒子は、軌道面および/または転動
面に10μm2 あたり10個以上の割合で存在するよう
に、マトリックス中に分布していることが好ましい。な
お、本発明の転がり軸受は、以下に示す〜の転がり
軸受を好ましい形態として含むものである。 転がり軸受を構成する内輪、外輪、および転動体のう
ちの少なくともいずれかは、炭素(C)の含有率が0.
65重量%以上1.10重量%以下であり、クロム(C
r)の含有率が2.0重量%以上6.0重量%以下であ
る鉄鋼材料で形成された後に、焼入れ、焼き戻し、研磨
仕上げが施されることにより得られ、軌道輪(内輪およ
び/または外輪)の軌道面および/または転動体の転動
面に5nm以上300nm以下の厚さのクロム酸化膜
(Cr2 3 )を有するものであることを特徴とする転
がり軸受。
【0019】この転がり軸受は、トラクション係数が高
い潤滑下での剥離寿命を長くできる転がり軸受として特
に好ましいものである。 転がり軸受を構成する内輪、外輪、および転動体のう
ちの少なくともいずれかは、炭素(C)の含有率が0.
65重量%以上0.95重量%以下であり、珪素(S
i)の含有率が0.05重量%以上0.60重量%以下
であり、マンガン(Mn)の含有率が0.2重量%以上
1.5重量%以下であり、クロム(Cr)の含有率が
3.0重量%以上6.0重量%以下である鉄鋼材料で形
成された後に、焼入れ、焼き戻し、研磨仕上げが施され
ることにより得られ、軌道輪の軌道面および/または転
動体の転動面の残留オーステナイト量は15体積%以上
25体積%以下であり、前記軌道面および/または転動
面に20nm以上200nm以下の厚さのクロム酸化膜
(Cr2 3 )を有するものであることを特徴とする転
がり軸受。
【0020】この転がり軸受によれば、組織が緻密なク
ロム酸化膜の存在によりトラクション係数が高い潤滑下
での剥離寿命を特に長くできるだけでなく、残留オース
テナイト量が15体積%以上25体積%以下であること
により、異物が混入している潤滑下での剥離寿命を著し
く長くすることができる。すなわち、この転がり軸受
は、トラクション係数が高く異物が混入している潤滑下
で使用する転がり軸受として特に好ましいものである。 転がり軸受を構成する内輪、外輪、および転動体のう
ちの少なくともいずれかは、炭素(C)の含有率が0.
55重量%以上0.90重量%以下であり、クロム(C
r)の含有率が4.0重量%以上9.0重量%以下(好
ましくは5.0重量%以上9.0重量%以下)であり、
1.1重量%以上4.0重量%以下(好ましくは1.1
重量%以上3.0重量%以下)のモリブデン(Mo)お
よび/または0.3重量%以上2.0重量%以下のバナ
ジウム(V)を含む鉄鋼材料で形成された後に、焼入
れ、焼き戻し、研磨仕上げが施されることにより得ら
れ、粒径が50nm以上300nm以下であるモリブデ
ン炭化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子が
マトリックス中に分布しているとともに、軌道輪の軌道
面および/または転動体の転動面に5nm以上300n
m以下の厚さのクロム酸化膜(Cr2 3 )を有するも
のであることを特徴とする転がり軸受。
【0021】この転がり軸受は、トラクション係数が高
く水が混入している潤滑下での剥離寿命を長くできる転
がり軸受として特に好ましいものである。次に、使用す
る鉄鋼材料に含有させる各合金成分の作用および含有率
について説明する。 [C:0.55〜1.10重量%]炭素(C)は硬さを
付与する元素である。その含有率が0.55重量%未満
であると、転がり軸受として要求されるHRC58以上の
硬さを得ることが困難になる。また、炭素の含有率が
1.10重量%を超えると、巨大炭化物が生成し易くな
って疲労寿命や衝撃荷重が低下する場合がある。以上の
ことから、炭素の含有率は0.55重量%以上1.10
重量%以下とする。
【0022】なお、上記の転がり軸受では、炭素の含
有率を0.65重量%以上1.10重量%以下としてい
る。上記の転がり軸受では、炭素の含有率を0.65
重量%以上0.95重量%以下としている。炭素の含有
率が0.65重量%以上であると、HRC58以上の硬さ
を安定的に得ることができる。また、炭素の含有率が
0.95重量%以下であると、巨大炭化物の生成がより
安定的に抑えられる。
【0023】また、上記の転がり軸受では、炭素の含
有率を0.55重量%以上0.90重量%以下としてい
る。の転がり軸受では、合金成分としてCrとMoお
よび/またはVとが添加された鉄鋼材料を使用している
ため、炭素量が多くなるとオーステナイト域が狭くなっ
て、熱処理時に中心部に炭素が濃化して偏析する恐れが
ある。そして、この偏析部分がオーバーヒートして、内
部に割れが発生し易くなる。したがって、の転がり軸
受の場合には、炭素の含有率の上限を0.90重量%と
することが好ましい。 [Cr:2.0〜9.0重量%]クロム(Cr)は焼入
れ性を向上させ、且つ炭化物の球状化を促進させるとと
もに、クロム酸化膜(Cr2 3 )を生成させる元素で
ある。クロム酸化膜の厚さを5nm以上とするために
は、クロムの含有率を2.0重量%以上にする必要があ
る。また、クロムの含有率が9.0を超えると、被切削
性が著しく劣化するため、生産性が低下する。以上のこ
とから、クロムの含有率は2.0重量%以上9.0重量
%以下とする。
【0024】なお、上記の転がり軸受では、クロムの
含有率を2.0重量%以上6.0重量%以下としてい
る。上記の転がり軸受では、クロムの含有率を3.0
重量%以上6.0重量%以下としている。クロムの含有
率を6.0重量%以下とすることにより、被切削性が特
に良好となる。クロムの含有率を3.0重量%以上とす
ることにより、得られるクロム酸化膜がより緻密で強固
なものとなって、水素を遮断する効果が高くなる。
【0025】また、上記の転がり軸受では、クロムの
含有率を4.0重量%以上9.0重量%以下、好ましく
は5.0重量%以上9.0重量%以下としている。クロ
ムの含有率を4.0重量%以上(好ましくは5.0重量
%以上)とすることにより、得られるクロム酸化膜がよ
り緻密で強固なものとなって、破壊され難くなり、水素
を遮断する効果がより高くなる。 [Mo:1.1〜4.0重量%]モリブデン(Mo)
は、鋼に焼き戻し軟化抵抗を付与するとともに、炭素と
結合してモリブデン炭化物を形成する元素である。粒径
が50nm以上300nm以下である微細なモリブデン
炭化物粒子を、マトリックス中に安定的に析出・分布さ
せるためには、モリブデンの含有率を1.1重量%以上
とする必要がある。この微細なモリブデン炭化物粒子の
存在により、表面硬度が高くなって耐摩耗性が良好とな
るとともに、上述の水素を侵入させない作用が得られ
る。
【0026】一方、モリブデンを4.0重量%を超えて
含有させると、このような効果が飽和するばかりでな
く、加工性が劣化する恐れが有る。以上のことから、モ
リブデンの含有率は1.1重量%以上4.0重量%以
下、好ましくは1.1重量%以上3.0重量%以下とす
る。 [V:0.3〜2.0重量%]バナジウム(V)は結晶
粒界に析出して結晶粒の粗大化を抑制するとともに、炭
素と結合して微細なバナジウム炭化物を形成する元素で
ある。粒径が50nm以上300nm以下である微細な
バナジウム炭化物粒子を、マトリックス中に安定的に析
出・分布させるためには、バナジウムの含有率を0.3
重量%以上とする必要がある。この微細なバナジウム炭
化物粒子の存在により、表面硬度が高くなって耐摩耗性
が良好になるとともに、上述の水素を侵入させない作用
が得られる。
【0027】一方、バナジウムの含有率が2.0重量%
を超えると、バナジウム炭化物が結晶粒界に析出して、
加工性や種々の機械的性質が劣化する恐れがある。以上
のことから、バナジウムの含有率は0.3重量%以上
2.0重量%以下とする。なお、モリブデンを含有させ
ずにバナジウムのみを含有させる場合には、バナジウム
の含有率を0.5重量%以上2.0重量%以下とするこ
とが好ましい。 [Si:0.05〜0.60重量%]珪素(Si)は組
織変化の遅延および焼入れ性を向上させる元素である
が、その含有率が0.05重量%未満では上記効果が十
分には得られず、0.60重量%を超えると加工性が著
しく低下する。以上のことから、珪素の含有率は0.0
5重量%以上0.60重量%以下とすることが好まし
い。 [Mn:0.2〜1.5重量%]マンガン(Mn)は焼
入れ性を向上させる元素であるが、その含有率が0.2
重量%未満では焼入れ性が不十分であり、1.5重量%
を超えると加工性が低下する。以上のことから、マンガ
ンの含有率は0.2重量%以上1.5重量%以下とする
ことが好ましい。 [P,S,Oについて]リン(P)は転がり寿命や靱性
を低下させる元素であるため、その含有率を0.02重
量%以下とすることが好ましい。硫黄(S)は被切削性
を向上させる元素であるが、マンガンと結合して転がり
寿命を低下させる硫化物系介在物を形成するため、その
含有率を0.02重量%以下とすることが好ましい。酸
素(O)は鋼中に酸化物系介在物を生成し、転がり寿命
を低下させる元素であるため、その含有率を0.001
0重量%以下とすることが好ましい。
【0028】本発明はまた、転がり軸受を構成する内
輪、外輪、および転動体のうちの少なくともいずれか
は、炭素(C)の含有率が0.10重量%以上0.55
重量%以下であり、クロム(Cr)の含有率が5.0重
量%以上14.0重量%以下である鉄鋼材料で形成され
た後に、浸炭または浸炭窒化、焼入れ、焼き戻し、研磨
仕上げが施されることにより得られ、浸炭または浸炭窒
化後の表面炭素濃度が0.7重量%以上1.2重量%以
下であり、軌道輪の軌道面および/または転動体の転動
面の残留オーステナイト量は25体積%以上50体積%
以下であり、軌道輪の軌道面および/または転動体の転
動面に5nm以上300nm以下の厚さのクロム酸化膜
(Cr2 3 )を有することを特徴とする転がり軸受を
提供する。
【0029】前述のように、転がり軸受を異物が混入し
ている潤滑下で使用すると、異物により軌道輪の軌道面
や転動体の転動面に圧痕が生じる。この圧痕のエッジ部
に応力が集中することによってマイクロクラックが生
じ、早期剥離の原因となる。この転がり軸受によれば、
軌道輪の軌道面および/または転動体の転動面の残留オ
ーステナイト量を25体積%以上50体積%以下とする
ことにより、以下の作用が生じて、前記圧痕のエッジ部
に対する応力集中が低減される。その結果、異物が混入
している潤滑下での使用の際に、軌道輪の軌道面および
転動体の転動面の早期剥離が防止される。
【0030】すなわち、オーステナイト組織は軟らかい
(例えばHv300程度の硬さである)が、表面に残留
したオーステナイトは、加工等のエネルギ付与に誘起さ
れてマルテンサイトに変態して硬化する。そして、残留
オーステナイト量が25体積%以上50体積%以下であ
る軌道面または転動面には、相手面(転動面または軌道
面)との転がり接触時に、表面に加わる変形エネルギに
よって前記変態が生じる。その過程において、前記圧痕
のエッジ部に対する応力集中が緩和される。
【0031】この転がり軸受はまた、軌道輪の軌道面お
よび/または転動体の転動面に5nm以上300nm以
下の厚さのクロム酸化膜(Cr2 3 )を有しているた
め、前述のように、トラクション係数が高い潤滑条件下
で軌道面や転動面に早期剥離が生じる原因となっている
水素の侵入が防止される。その結果、トラクション係数
が高い潤滑条件下で軌道面や転動面に早期剥離が生じる
ことが防止される。
【0032】また、この転がり軸受における、使用する
鉄鋼材料の炭素(C)の含有率とクロム(Cr)の含有
率、表面炭素濃度の限定理由は以下の通りである。 [表面炭素濃度:0.7〜1.2重量%]転がり軸受と
して要求されるHRC58以上の表面硬さを得るために
は、表面炭素濃度を0.7重量%以上とする必要があ
る。表面炭素濃度が1.2重量%を超えると、巨大炭化
物が生成し易くなる。巨大炭化物が生成している部分は
割れ起点になり易い。
【0033】なお、浸炭窒化処理を行う場合には、表面
窒素濃度を0.05重量%以上0.50重量%以下とす
ることが好ましい。表面窒素濃度が0.05重量%以上
であると焼き戻し抵抗性が高くなって、微細な炭窒化物
が分散析出し易くなる。その結果、表面の脆性割れ強度
が高くなる。また、表面窒素濃度が0.50重量%を超
えると、耐摩耗性は向上するが、研磨加工が困難にな
り、脆性割れ強度が低下する。
【0034】また、浸炭または浸炭窒化処理時には、材
料内部に拡散性水素の侵入が生じるが、浸炭または浸炭
窒化処理後に真空炉内での加熱を行うことにより、材料
中の拡散性水素を0.1ppm以下にして脆性を高くす
ることができる。 [C:0.10〜0.55重量%]炭素(C)は硬さを
付与する元素である。この転がり軸受では、浸炭または
浸炭窒化処理により、表面炭素濃度を0.7重量%以上
1.2重量%以下にしているが、使用する鉄鋼材料中の
C含有率が0.10重量%未満であると、表面炭素濃度
を前記範囲とするための浸炭または浸炭窒化処理に時間
がかかる。また、鉄鋼材料中のC含有率が0.55重量
%を超えると、芯部での靱性が低下して耐衝撃性が悪く
なる場合がある。 [Cr:5.0〜14.0重量%]クロム(Cr)は焼
入れ性を向上させ、且つ炭化物の球状化を促進させると
ともに、クロム酸化膜(Cr2 3 )を生成させる元素
である。この転がり軸受では、クロム酸化膜の厚さを5
nm以上とするためにクロムの含有率を5.0重量%以
上にする必要がある。また、クロムの含有率が14.0
を超えると、被切削性が著しく劣化するとともに、10
μm以上の巨大クロム炭化物が生成し易くなる。巨大ク
ロム炭化物が生成すると、生成されるクロム酸化膜が不
均一になるため、クロム酸化膜が破壊され易くなる。
【0035】以上のことから、この転がり軸受によれ
ば、トラクション係数が高く、異物が混入している潤滑
下での剥離寿命が長くなる。また、この転がり軸受で
は、使用する鉄鋼材料中に、Siを以下の範囲で含有し
ていることが好ましく、Mnを前述の範囲で含有してい
ることが好ましい。さらに、Oの含有率は、前述のよう
に0.0010重量%以下とすることが好ましく、Sお
よびPの含有率は、前述のように0.02重量%以下と
することが好ましい。 [Si:0.10〜1.40重量%]前述のように、珪
素(Si)は、組織変化の遅延および焼入れ性を向上さ
せる元素であるが、この転がり軸受では、使用する鉄鋼
材料中の炭素(C)の含有率が0.10〜0.55重量
%であるため、Siの含有率が0.10重量%未満では
上記効果が十分には得られない。また、炭素(C)の含
有率が低いため冷間加工性が改善されることから、Si
含有率が0.60重量%を超えても良好な加工性が得ら
れるが、1.40重量%を超えると加工性が低下する。
したがって、珪素の含有率は0.10重量%以上1.4
0重量%以下とすることが好ましい。
【0036】本発明はまた、転がり軸受を構成する内
輪、外輪、および転動体のうちの少なくともいずれか
は、炭素(C)の含有率が0.10重量%以上0.55
重量%以下であり、クロム(Cr)の含有率が5.0重
量%以上14.0重量%以下であり、モリブデン(M
o)を0.5重量%以上4.0重量%以下の含有率でお
よび/またはバナジウム(V)を0.3重量%以上2.
0重量%以下の含有率で含む鉄鋼材料で形成された後
に、浸炭または浸炭窒化、焼入れ、焼き戻し、研磨仕上
げが施されることにより得られ、粒径が50nm以上5
00nm以下であるモリブデン炭化物および/またはバ
ナジウム炭化物の微細粒子がマトリックス中に分布して
おり、浸炭または浸炭窒化後の表面炭素濃度が0.7重
量%以上1.2重量%以下であり、軌道輪の軌道面およ
び/または転動体の転動面の残留オーステナイト量は2
5体積%以上50体積%以下であり、軌道輪の軌道面お
よび/または転動体の転動面に5nm以上300nm以
下の厚さのクロム酸化膜(Cr2 3 )を有することを
特徴とする転がり軸受を提供する。
【0037】この転がり軸受によれば、潤滑油膜が形成
され難い環境下で使用されることにより、軌道面および
/または転動面に設けたクロム酸化膜(Cr2 3 )が
破壊された場合でも、マトリックス中に分布しているモ
リブデン炭化物および/またはバナジウムの微細な炭化
物粒子が、侵入しようとする水素を吸着する。これによ
り、トラクション係数が高く水が混入している潤滑下で
あっても、上述のような軌道面や転動面に対する水素の
侵入を防止できるため、軌道面や転動面に早期剥離が生
じることが防止される。
【0038】この微細な炭化物粒子の分布は前述の方法
で得られ、前述のように、マトリックス中にこの分布を
有する鉄鋼材料で形成された軸受構成部材は、マトリッ
クスの疲労時に、炭素拡散による組織変化の発生が遅延
される。その結果、この転がり軸受の耐摩耗性は高くな
り、潤滑油膜が形成され難い環境下で使用された場合に
焼付きを防止することができる。また、前述のように、
このモリブデン炭化物および/またはバナジウム炭化物
の微細粒子は、軌道面および/または転動面に10μm
2 あたり10個以上の割合で存在するように、マトリッ
クス中に分布していることが好ましい。
【0039】ただし、この転がり軸受では、モリブデン
炭化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子の粒
径の範囲を50nm以上500nm以下とする。マトリ
ックス中のモリブデン炭化物および/またはバナジウム
炭化物粒子は、浸炭または浸炭窒化処理時に成長する。
この転がり軸受では、前記炭化物の微細粒子の粒径が3
00nmを超えても500nm以下であれば、上述の水
素吸着作用および耐摩耗性を向上する効果が得られる。
【0040】また、この転がり軸受によれば、軌道輪の
軌道面および/または転動体の転動面の残留オーステナ
イト量を25体積%以上50体積%以下とすることによ
り、前述の作用が生じて、前記圧痕のエッジ部に対する
応力集中が低減される。その結果、異物が混入している
潤滑下での使用の際に、軌道輪の軌道面および転動体の
転動面の早期剥離が防止される。また、このように残留
オーステナイト量を高くすることに伴って生じる硬さの
低下を、マトリックス中に分布している前記モリブデン
炭化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子によ
って補うことができる。
【0041】また、この転がり軸受における、使用する
鉄鋼材料のモリブデン(Mo)の含有率の限定理由は以
下の通りであり、バナジウム(V)の含有率の限定理由
は前述と同様である。 [Mo:0.5〜4.0重量%]前述のように、モリブ
デン(Mo)は、鋼に焼き戻し軟化抵抗を付与するとと
もに、炭素と結合してモリブデン炭化物を形成する元素
である。使用する鉄鋼材料中の炭素(C)の含有率が
0.25〜0.55重量%の場合には、粒径が50nm
以上500nm以下である微細なモリブデン炭化物粒子
をマトリックス中に安定的に析出・分布させるために、
Moの含有率を1.1重量%以上とすることが好まし
い。
【0042】ただし、使用する鉄鋼材料中の炭素(C)
の含有率が0.10〜0.20重量%の場合には、微細
なモリブデン炭化物粒子の析出によりマトリックス中の
C濃度が低くなる傾向にある。これを抑制するため、M
oの含有率を1.1重量%よりも少なく(例えば0.5
重量%程度に)することが好ましい。一方、モリブデン
を4.0重量%を超えて含有させると、このような効果
が飽和するばかりでなく、加工性が劣化する恐れが有
る。これらの点を考慮して、この転がり軸受(C:0.
10〜0.55重量%)では、使用する鉄鋼材料中のモ
リブデン(Mo)の含有率を0.5重量%以上4.0重
量%以下とする。
【0043】以上のことから、この転がり軸受によれ
ば、トラクション係数が高く、異物および水が混入して
いる潤滑下での剥離寿命が長くなる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 [第1実施形態]先ず、炭素(C)、珪素(Si)、マ
ンガン(Mn)、およびクロム(Cr)を下記の表1に
示す各含有率(重量%)で含有し、リン(P)および硫
黄(S)の含有率は0.02重量%以下であり、酸素
(O)の含有率は0.0010重量%以下であり、残部
が鉄(Fe)である組成の鉄鋼材料を用い、深溝玉軸受
(JIS品番6206:外径62mm、内径30mm、
幅16mm)の内輪および外輪を形成した。
【0045】次に、形成された内輪および外輪に対し
て、焼入れ、焼き戻しを施すことにより、表面の硬度
(HRC)および残留オーステナイト量(γR )を下記の
表1に示す値にした。次に、アルミナ系砥石またはCB
N砥石を用い、高速回転で軌道面を研磨加工することに
より、軌道面の粗さを0.01〜0.04μmRaとし
た。この研磨加工後に軌道面に形成されているクロム酸
化膜(Cr2 3 )を測定した。その値を下記の表1に
併せて示す。
【0046】
【表1】
【0047】転動体としては、高炭素クロム軸受鋼2種
(SUJ2)により直径3/8インチの玉を形成し、焼
入れ、焼き戻しを施すことにより、表面の硬度(HRC)
を62に、残留オーステナイト量(γR )を10体積%
に、軌道面の粗さを0.003〜0.010μmRaに
したものを用いた。このようにして得られた内輪および
外輪(実施例1〜9および比較例1〜6)と、上述の転
動体とからなる転がり軸受を、図1に示す試験機に取り
付けてトラクション係数が高い潤滑下での剥離寿命を調
べる試験を行った。
【0048】この試験機は、転がり軸受1が取り付けら
れたハウジング2の全体と、軸3の基端部31以外の部
分とが囲い部材4で覆われており、この囲い部材4内の
上部に、転がり軸受1の内部に潤滑油を供給する給油ノ
ズル5が設置されている。給油ノズル5には、配管61
を通して油タンク6から潤滑油が供給されるようになっ
ている。囲い部材4内に落ちた潤滑油は廃油管62から
油タンク6に戻されるようになっている。配管61の上
流側には、潤滑油中の異物を取り除くフィルター63が
取り付けられるようになっている。また、囲い部材4の
上部には、ハウジング2を介して転がり軸受1に負荷を
与える負荷レバー7が設けてある。
【0049】潤滑油としては、2円筒試験機を用いて、
周速度4.1m/s、すべり率5%の条件で測定した最
大トラクション係数(μ)が、40℃で0.09、10
0℃で0.07であり、動粘度が40℃で30.8cS
t、100℃で5.31cStである市販のトラクショ
ン油を用いた。試験条件は、試験荷重Fr580kgf
(JIS規格でのP/C=0.3)、試験温度100
℃、回転速度3900rpm、内輪回転とした。
【0050】先ず、油タンク6の潤滑油1リットルに、
硬さがHv 530であって大きさが44〜74μmであ
るスチールビーズを0.01g入れて、フィルター63
を通さずに、囲い部材4内の転がり軸受1に油タンク6
内の潤滑油を供給しながら3分間回転させた。すなわ
ち、トラクション係数が高く異物が混入された潤滑下で
転がり軸受1を回転させることにより、軌道面および/
または転動面に初期圧痕を設けた。
【0051】次に、この試験機から転がり軸受1を取り
外して洗浄し、外輪および転動体は圧痕の付いていない
新しいものに交換し、内輪はそのまま初期圧痕の付いた
ものを使用して試験機に取付けた。この状態で、フィル
ター63を配管61に取り付けて、囲い部材4内の転が
り軸受1に異物が混入されていない潤滑油を供給しなが
ら回転させた。回転試験中に軸受に生じる振動を測定
し、回転中の振動値が初期振動値の5倍となった時点で
試験を中断して、フレーキングが生じているかどうかを
調べた。各実施例および比較例とも10個の試験用軸受
についてこの試験を行った。
【0052】試験を中断した場合にはその時点までの回
転時間を評価時間(剥離寿命)とした。計算寿命が16
0時間であるため200時間まで試験を行い、200時
間回転しても振動値が初期振動値の5倍とならなかった
ものについては、200時間回転後にフレーキングが生
じているかどうかを調べて、評価時間を200時間とし
た。これらの結果を下記の表2に示す。また、これらの
結果から得られた、クロム酸化物の厚さと評価時間(L
10寿命)との関係を図2にグラフで示す。
【0053】
【表2】
【0054】この表から分かるように、実施例1〜6
は、使用した鉄鋼材料が本発明の範囲にあり、厚さ5n
m以上300nm以下のクロム酸化膜を有することか
ら、クロム酸化膜による水素侵入防止作用が得られたた
め、比較例1〜6よりも著しく評価時間が長くなった。
しかしながら、残留オーステナイト量が15体積%未満
であるため、10個の試験体のうち2〜5個に剥離が生
じていた。
【0055】これらのうち実施例3,5は、クロム酸化
膜の厚さが好ましい範囲(20nm以上200nm以
下)であることから、緻密なクロム酸化膜による高い水
素侵入防止作用が得られたため、クロム酸化膜の厚さが
好ましい範囲から外れる実施例1,2,4,6よりも評
価寿命が長くなった。また、実施例1,2,4,6につ
いては、剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査した
ところ、微小亀裂ととも白色組織変化が確認された。実
施例3,5については、外輪軌道面に初期圧痕を起点と
する剥離が生じていた。
【0056】実施例7〜9は、使用した鉄鋼材料が本発
明の範囲にあり、厚さ20nm以上200nm以下のク
ロム酸化膜を有し、残留オーステナイト量が15体積%
以上25体積%以下であるため、評価時間が200時間
であって、10個の試験体の全てに剥離は生じていなか
った。すなわち、クロム酸化膜による水素侵入防止作用
が十分に得られ、高い残留オーステナイト量により初期
圧痕の広がりが防止されたことにより、剥離寿命が著し
く長くなった。
【0057】比較例1は、使用した鉄鋼材料が本発明の
範囲から外れるSUJ2鋼であり、クロム酸化膜も1n
mと薄く、残留オーステナイト量も8体積%と少なかっ
たため、評価時間が計算寿命の1/6と短くなり、10
個の試験体の全てに剥離が生じていた。剥離が生じた内
輪断面のミクロ組織を調査したところ、微小亀裂ととも
に白色組織変化が確認された。
【0058】比較例2は、クロム酸化膜は10nmであ
ったが、使用した鉄鋼材料の炭素含有率が大きいため表
面に巨大な炭化物が生じており、クロム酸化膜が部分的
に破壊されていた。剥離が生じた内輪断面のミクロ組織
を調査したところ、微小亀裂ととも白色組織変化が確認
された。比較例3は、クロム酸化膜は15nmであった
が、使用した鉄鋼材料の炭素含有率が小さいため軌道面
の硬さが不十分であり、軌道面の塑性変形によって剥離
寿命が短くなった。
【0059】比較例4は、使用した鉄鋼材料のSi含有
率が低いため、研磨加工時の研削抵抗が小さくなって研
磨面の熱発生が抑えられた。そのため、クロム酸化膜の
厚さが4nmと薄くなり、クロム酸化膜による水素侵入
防止作用が実質的に得られなかった。比較例5は、使用
した鉄鋼材料のMn含有率が低いため、研磨加工時の研
削抵抗が小さくなって研磨面の熱発生が抑えられた。そ
のため、クロム酸化膜の厚さが2nmと薄くなり、クロ
ム酸化膜による水素侵入防止作用が実質的に得られなか
った。
【0060】比較例6は、使用した鉄鋼材料は本発明の
範囲にあるが、クロム酸化膜の厚さが500nmと厚す
ぎたため、クロム酸化膜の組織が粗くなって、クロム酸
化膜による水素侵入防止作用が実質的に得られなかっ
た。以上のことから、内輪および外輪について、使用し
た鉄鋼材料が本発明の範囲にあり、軌道面に厚さ5nm
以上300nm以下のクロム酸化膜を有するものであれ
ば、クロム酸化膜による水素侵入防止作用が得られて、
トラクション係数が高い潤滑下での剥離寿命を長くでき
ることが分かる。また、トラクション係数が高く異物が
混入している潤滑下では、残留オーステナイト量を15
体積%以上25体積%以下とすることによって、初期圧
痕の広がりを抑えて剥離寿命を著しく長くできることが
分かる。 [第2実施形態]先ず、炭素(C)、珪素(Si)、マ
ンガン(Mn)、クロム(Cr)、およびモリブデン
(Mo)、バナジウム(V)を下記の表3に示す各含有
率(重量%)で含有し、リン(P)および硫黄(S)の
含有率は0.02重量%以下であって、酸素(O)の含
有率は0.0010重量%以下であり、残部が鉄(F
e)である組成の鉄鋼材料を用い、深溝玉軸受(JIS
品番6206:外径62mm、内径30mm、幅16m
m)の内輪および外輪を形成した。
【0061】なお、比較例15以外については、素材の
段階で、無酸化雰囲気で1100〜1250℃に保持す
る溶体化処理を行うことにより、マトリックス中にM
o,V炭化物の微細粒子を析出・分布させた後に、切削
することにより内輪および外輪を形成した。次に、この
内輪および外輪に対して、焼入れ、焼き戻しを施すこと
により、表面の硬度(HRC)および残留オーステナイト
量(γR )を下記の表3に示す値にした。比較例15に
ついては、溶体化処理を行わず、焼入れ、焼き戻しのみ
を施した。
【0062】次に、アルミナ系砥石またはCBN砥石を
用い、高速回転で軌道面を研磨加工することにより、軌
道面の粗さを0.01〜0.04μmRaとした。この
研磨加工後に、軌道面に形成されているクロム酸化膜
(Cr2 3 )を測定した。その値を下記の表3に併せ
て示す。また、マトリックス中に分布しているモリブデ
ン炭化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子を
透過型電子顕微鏡で観察し、その炭化物粒を画像解析処
理することによって、平均粒径と個数を確認した。この
平均粒径の値も下記の表3に併せて示す。
【0063】
【表3】
【0064】転動体としては、高炭素クロム軸受鋼2種
(SUJ2)により直径3/8インチの玉を形成し、焼
入れ、焼き戻しを施すことにより、表面の硬度(HRC)
を63に、残留オーステナイト量(γR )を10体積%
に、軌道面の粗さを0.003〜0.010μmRaに
したものを用いた。このようにして得られた内輪および
外輪(実施例11〜19および比較例11〜16)と、
上述の転動体とからなる転がり軸受を、第1実施形態で
説明した図1の試験機に取り付けて、トラクション係数
が高く水が混入された潤滑下での剥離寿命を調べる試験
を行った。
【0065】潤滑油としては、2円筒試験機を用いて、
周速度4.1m/s、すべり率5%の条件で測定した最
大トラクション係数(μ)が、40℃で0.09、10
0℃で0.07であり、動粘度が40℃で30.8cS
t、100℃で5.31cStである市販のトラクショ
ン油を用いた。この潤滑油に水道水を5体積%混合した
ものを、油タンク6内に入れた。潤滑油の循環は、最初
からフィルター63を配管61に取り付けて行った。こ
れにより、囲い部材4内の転がり軸受1に、異物の混入
はないが水を含む潤滑油が供給されるようにした。
【0066】試験条件は、試験荷重Fr580kgf
(JIS規格でのP/C=0.3)、試験温度100
℃、回転速度3900rpm、内輪回転とした。油タン
ク6内の潤滑油を供給しながら転がり軸受1を回転させ
て、回転試験中に軸受に生じる振動を測定し、回転中の
振動値が初期振動値の5倍となった時点で試験を中断し
て、フレーキングが生じているかどうかを調べた。各実
施例および比較例とも10個の試験用軸受についてこの
試験を行った。
【0067】試験を中断した場合にはその時点までの回
転時間を評価時間(剥離寿命)とした。計算寿命が16
0時間であるため200時間まで試験を行い、200時
間回転しても振動値が初期振動値の5倍とならなかった
ものについては、200時間回転後にフレーキングが生
じているかどうかを調べて、評価時間を200時間とし
た。これらの結果を下記の表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】この表から分かるように、実施例11〜1
9は、使用した鉄鋼材料が本発明の範囲にあり、厚さ5
nm以上300nm以下のクロム酸化膜を有するととも
に、粒径50nm以上300nm以下のMn炭化物およ
び/またはV炭化物の微細粒子がマトリックス中に分布
していることから、比較例11〜16と比較して著しく
剥離寿命が長くなった。
【0070】特に、実施例12〜15,17,19は、
クロム酸化膜の厚さが20nm以上200nm以下(好
ましい範囲)であり、Mn炭化物および/またはV炭化
物の粒径が50nm以上250nm以下(好ましい範
囲)であるため、試験時間が200時間を経過しても、
10個の試験体の全てに剥離が生じていなかった。すな
わち、クロム酸化膜とMn炭化物および/またはV炭化
物の微細粒子による水素侵入防止作用の両方が十分に得
られたことにより、剥離寿命が著しく長くなったと考え
られる。
【0071】これに対して、実施例11,16,18の
評価時間(L10寿命)は、比較例11〜16よりは長
寿命であったが、計算寿命よりは短くなった。実施例1
1では、剥離は内輪に集中して発生し、10個中3個に
内部起点型の剥離が生じていた。剥離が生じた内輪断面
のミクロ組織を調査したところ、微小亀裂ととも白色組
織変化が確認された。この結果は、クロム酸化膜の厚さ
が比較的薄く(好ましい範囲から外れる)、炭化物の粒
径も比較的大きい(好ましい範囲から外れる)ことか
ら、実施例12〜15,17,19と比較して水素侵入
防止作用が小さくなったためと考えられる。
【0072】実施例16では、剥離は内輪に集中して発
生し、10個中3個に内部起点型の剥離が生じていた。
剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したところ、
白色組織変化が負荷圏全域に確認された。この結果は、
クロム酸化膜の厚さが比較的厚く(好ましい範囲から外
れる)、緻密でなかったことから、実施例12〜15,
17,19と比較して水素侵入防止作用が小さくなった
ためと考えられる。
【0073】実施例18では、10個中2個に焼付きが
生じた。この結果は、使用した鉄鋼材料のバナジウムの
含有率が0.3重量%と低く、モリブデンは含有されて
いないことから、バナジウム炭化物およびモリブデン炭
化物の合計析出量が少なく、潤滑油膜が破壊されやすい
水混入潤滑下で充分な耐摩耗性が得られなかったためと
考えられる。
【0074】比較例11は、使用した鉄鋼材料が本発明
の範囲から外れるSUJ2鋼であって、クロム酸化膜も
1nmと薄く、バナジウム炭化物およびモリブデン炭化
物の粒径が大きい。そのため、評価時間が計算寿命の1
/6と短くなり、10個の試験体の全てに剥離が生じて
いた。剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したと
ころ、微小亀裂とともに白色組織変化が確認された。
【0075】比較例12では、クロム酸化膜は51nm
であったが、使用した鉄鋼材料の炭素含有率が小さいた
め軌道面の硬さが不十分(HRC55)となり、剪断応
力の作用により軌道面に塑性変形が生じて、剥離寿命が
短くなった。比較例13では、クロム酸化膜は25nm
であったが、使用した鉄鋼材料の炭素含有率が大きいた
め表面に巨大な炭化物が生じており、クロム酸化膜が部
分的に破損されていた。その結果、剥離寿命が短くなっ
た。剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したとこ
ろ、微小亀裂ととも白色組織変化が確認された。
【0076】比較例14では、クロム酸化膜は105n
mであったが、使用した鉄鋼材料のモリブデン含有率が
本発明の範囲から外れているとともに、炭化物の粒径も
500nmと大きかった。そのため、水混入により潤滑
油膜形成が困難となる環境下では、モリブデン炭化物に
よる水素吸着作用が小さくなり、剥離寿命が短くなっ
た。
【0077】比較例15では、モリブデンおよびバナジ
ウムのいずれをも含有しない鉄鋼材料を用いたため、こ
れらの炭化物の析出が生じていない。また、クロム酸化
膜の厚さも薄かった。そのため、クロム酸化膜による水
素侵入防止作用が不十分であり、モリブデン炭化物また
はバナジウム炭化物による水素吸着作用も得られなかっ
た。その結果、剥離寿命が短くなった。
【0078】比較例16では、バナジウム炭化物の析出
による水素吸着作用は得られたが、クロム酸化膜の厚さ
が薄いためクロム酸化膜による水素侵入防止作用が不十
分であった。その結果、剥離寿命が短くなった。以上の
ことから、内輪および外輪について、使用した鉄鋼材料
が本発明の範囲にあり、粒径が50nm以上300nm
以下であるモリブデン炭化物および/またはバナジウム
炭化物の微細粒子がマトリックス中に分布しているとと
もに、軌道面に厚さ5nm以上300nm以下のクロム
酸化膜を有するものであれば、クロム酸化膜による水素
侵入防止作用と炭化物の微細粒子による水素吸着作用が
十分に得られて、トラクション係数が高く水が混入して
いる潤滑下での剥離寿命を長くできることが分かる。 [第3実施形態]先ず、炭素(C)、珪素(Si)、マ
ンガン(Mn)、クロム(Cr)、およびモリブデン
(Mo)、バナジウム(V)を下記の表5に示す各含有
率(重量%)で含有し、リン(P)および硫黄(S)の
含有率は0.02重量%以下であって、酸素(O)の含
有率は0.0010重量%以下であり、残部が鉄(F
e)である組成の鉄鋼材料を用い、深溝玉軸受(JIS
品番6206:外径62mm、内径30mm、幅16m
m)の内輪および外輪を形成した。なお、比較例21以
外については、素材の段階で、無酸化雰囲気で1100
〜1250℃に保持する溶体化処理を行うことにより、
マトリックス中にMo,V炭化物の微細粒子を析出・分
布させた後に、切削することにより内輪および外輪を形
成した。
【0079】次に、比較例21以外については、温度8
80〜960℃、吸熱型ガス+エンリッチガス+アンモ
ニアガスの雰囲気で5〜10時間熱処理する浸炭窒化処
理を行った後、放冷した。次に、吸熱型ガスの雰囲気で
温度840〜1050℃に0.5〜1時間加熱した後
に、油焼入れを行った。次に、大気中で温度160〜2
00℃に2時間保持した後に冷却する焼き戻しを行っ
た。比較例21では、溶体化処理および浸炭窒化処理を
行わず、840℃での焼入れおよび180℃での焼き戻
しのみを行った。
【0080】これらの熱処理によって、表面の硬度(H
RC)、表面炭素濃度(表面C)、および残留オーステナ
イト量(γR )は表5に示す値となった。次に、アルミ
ナ系砥石またはCBN砥石を用い、高速回転で軌道面を
研磨加工することにより、軌道面の粗さを0.01〜
0.04μmRaとした。この研磨加工後に、軌道面に
形成されているクロム酸化膜(Cr2 3 )を測定し
た。その値を下記の表5に併せて示す。
【0081】また、マトリックス中に分布しているモリ
ブデン炭化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒
子を透過型電子顕微鏡で観察し、その炭化物粒を画像解
析処理することによって、平均粒径と個数を確認した。
この平均粒径の値も下記の表5に併せて示す。
【0082】
【表5】
【0083】転動体としては、高炭素クロム軸受鋼2種
(SUJ2)により直径3/8インチの玉を形成し、焼
入れ、焼き戻しを施すことにより、表面の硬度(HRC)
を62に、残留オーステナイト量(γR )を10体積%
に、軌道面の粗さを0.003〜0.010μmRaに
したものを用いた。このようにして得られた内輪および
外輪(実施例21〜29および比較例21〜26)と、
上述の転動体とからなる転がり軸受を、第1実施形態で
説明した図1の試験機に取り付けて、トラクション係数
が高く異物および水が混入された潤滑下での剥離寿命を
調べる試験を行った。
【0084】潤滑油としては、2円筒試験機を用いて、
周速度4.1m/s、すべり率5%の条件で測定した最
大トラクション係数(μ)が、40℃で0.09、10
0℃で0.07であり、動粘度が40℃で30.8cS
t、100℃で5.31cStである市販のトラクショ
ン油を用いた。試験条件は、試験荷重Fr580kgf
(JIS規格でのP/C=0.3)、試験温度80℃、
回転速度3900rpm、内輪回転とした。
【0085】先ず、油タンク6の潤滑油1リットルに、
硬さがHv 500であって大きさが74〜147μmで
あるステンレス粉を0.005g入れて攪拌し、フィル
ター63を通さずに、囲い部材4内の転がり軸受1に油
タンク6内の潤滑油を供給しながら3分間回転させた。
すなわち、トラクション係数が高く異物が混入された潤
滑下で転がり軸受1を回転させることにより、軌道面お
よび/または転動面に初期圧痕を設けた。
【0086】次に、この試験機から転がり軸受1を取り
外して洗浄し、内輪および転動体は圧痕の付いていない
新しいものに交換し、外輪はそのまま初期圧痕の付いた
ものを使用して試験機に取付けた。この状態で、フィル
ター63を配管61に取り付けて、油タンク6内の潤滑
油に水道水を1時間に5ccの速度で滴下しながら、転
がり軸受1を回転させた。これにより、囲い部材4内の
転がり軸受1に、異物の混入はないが水を含む潤滑油が
供給される。
【0087】回転試験中に軸受に生じる振動を測定し、
回転中の振動値が初期振動値の5倍となった時点で試験
を中断して、フレーキングが生じているかどうかを調べ
た。各実施例および比較例とも10個の試験用軸受につ
いてこの試験を行った。試験を中断した場合にはその時
点までの回転時間を評価時間(剥離寿命)とした。計算
寿命が160時間であるため200時間まで試験を行
い、200時間回転しても振動値が初期振動値の5倍と
ならなかったものについては、200時間回転後にフレ
ーキングが生じているかどうかを調べて、評価時間を2
00時間とした。これらの結果を下記の表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】この表から分かるように、実施例21〜2
9は、使用した鉄鋼材料が本発明の範囲にあり、厚さ5
nm以上300nm以下のクロム酸化膜を有するととも
に、粒径50nm以上500nm以下のMn炭化物およ
び/またはV炭化物の微細粒子がマトリックス中に分布
していることから、比較例21〜26と比較して著しく
剥離寿命が長くなった。
【0090】特に、実施例22,24,25,27,2
9は、試験時間が200時間を経過しても、10個の試
験体の全てに剥離が生じていなかった。これは、クロム
酸化膜の厚さが8nm〜255nmであるため緻密で破
壊され難いことに加えて、Mn炭化物および/またはV
炭化物の粒径が60nm〜435nmであることに起因
する。すなわち、クロム酸化膜が破壊されたとしても、
Mn炭化物および/またはV炭化物の微細粒子による水
素侵入防止作用が十分に得られるため、トラクション係
数が高く水が混入している潤滑下での剥離寿命が著しく
長くなった。
【0091】これに対して、実施例21,23,26,
28の評価時間(L10寿命)は、計算寿命以上ではあ
ったが200時間未満であった。実施例21では、異物
混入潤滑下での回転時に外輪の軌道面に生じた圧痕を起
点とした剥離は発生していなかった。剥離は内輪に集中
して発生しており、10個中3個に内部起点型の剥離が
生じていた。剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査
したところ、微小亀裂ととも白色組織変化が確認され
た。この結果は、クロム酸化膜の厚さが5nmと比較的
薄いことから、実施例22,24,25,27,29と
比較して水素侵入防止作用が小さくなったためと考えら
れる。
【0092】実施例23では、剥離は内輪に集中して発
生し、10個中2個に内部起点型の剥離が生じていた。
剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したところ、
白色組織変化が負荷圏全域に確認された。この結果は、
クロム酸化膜の厚さが300nmと比較的厚く、緻密で
なかったことから、クロム酸化膜が部分的に破壊され
て、実施例22,24,25,27,29と比較して水
素侵入防止作用が小さくなったためと考えられる。
【0093】実施例26では、剥離は内輪に集中して発
生し、10個中2個に内部起点型の剥離が生じていた。
剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したところ、
微小亀裂とともに白色組織変化が確認された。この結果
は、クロム酸化膜が90nmと比較的薄く、バナジウム
炭化物およびモリブデン炭化物の粒径も50nmと比較
的小さかったことから、実施例22,24,25,2
7,29と比較して、水素侵入防止作用が小さくなった
ためと考えられる。
【0094】実施例28では、剥離は内輪に集中して発
生し、10個中3個に内部起点型の剥離が生じていた。
剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したところ、
微小亀裂とともに白色組織変化が確認された。この結果
は、クロム酸化膜が8nmと比較的薄く、バナジウム炭
化物およびモリブデン炭化物の粒径が500nmと比較
的大きかったことから、実施例22,24,25,2
7,29と比較して、水素侵入防止作用が小さくなった
ためと考えられる。
【0095】比較例21は、使用した鉄鋼材料が本発明
の範囲から外れるSUJ2鋼であって、クロム酸化膜も
1nmと薄く、バナジウム炭化物およびモリブデン炭化
物の粒径が大きい。そのため、評価時間が計算寿命の1
/12と短くなり、10個の試験体の全てに剥離が生じ
ていた。剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査した
ところ、微小亀裂とともに白色組織変化が確認された。
この内部起点型剥離とともに、圧痕起点による表面起点
剥離も生じていた。
【0096】比較例22では、クロム酸化膜は51nm
であったが、使用した鉄鋼材料の炭素含有率が小さく、
表面C濃度も0.60%と低いため、軌道面の硬さが不
十分(HRC55)となり、剪断応力の作用により軌道
面に塑性変形が生じた。その結果、10個の試験体の全
ての内輪に内部起点型の剥離が生じて、剥離寿命が短く
なった。
【0097】比較例23では、クロム酸化膜は25nm
であったが、使用した鉄鋼材料の炭素含有率が大きく表
面C濃度も1.55と高いため、表面に10μmを超え
る巨大な炭化物が生じており、クロム酸化膜が部分的に
破壊されていた。その結果、10個の試験体の全ての内
輪に内部起点型の剥離が生じて、剥離寿命が短くなっ
た。剥離が生じた内輪断面のミクロ組織を調査したとこ
ろ、微小亀裂ととも白色組織変化が確認された。
【0098】比較例24では、クロム酸化膜が2nmと
薄く膜が緻密でなかったため、クロム酸化膜による水素
侵入防止作用が小さかった。これに加えて、バナジウム
炭化物およびモリブデン炭化物の粒径が500nmと比
較的大きかったことから、クロム酸化膜の破壊が生じた
後のバナジウム炭化物およびモリブデン炭化物による水
素吸着作用も小さくなった。その結果、10個の試験体
の全ての内輪に内部起点型の剥離が生じて、剥離寿命が
短くなった。
【0099】比較例25では、使用した鉄鋼材料のクロ
ム含有率が18.0%と高かったため、10μmを超え
る巨大クロム炭化物が生じた。その結果、クロム酸化膜
は、厚さは100nmと十分であったが、均一性が悪い
ため直ぐに破壊が生じた。比較例26では、モリブデン
およびバナジウムの炭化物微粒子がマトリックス中に分
布されていない。また、クロム酸化膜の厚さは100n
mで十分であったが、残留オーステナイト量が10%と
小さい。これらのことに起因して、10個の試験体の全
ての内輪に圧痕起点による表面起点剥離が生じて、剥離
寿命が短くなった。
【0100】以上のことから、内輪および外輪につい
て、使用した鉄鋼材料が本発明の請求項5の範囲にあ
り、粒径が50nm以上500nm以下であるモリブデ
ン炭化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子が
マトリックス中に分布しており、軌道面に厚さ5nm以
上300nm以下のクロム酸化膜を有し、残留オーステ
ナイト量が25体積%以上50体積%以下で、表面炭素
濃度が0.7重量%以上1.2重量%以下あれば、クロ
ム酸化膜による水素侵入防止作用とクロム酸化膜の破壊
後の炭化物微細粒子による水素吸着作用が十分に得られ
て、トラクション係数が高く異物および水が混入してい
る潤滑下での剥離寿命を長くできることが分かる。特
に、使用した鉄鋼材料中のCrの含有率が10重量%以
上14重量%以下であると、トラクション係数が高く異
物および水が混入している潤滑下での剥離寿命の大幅な
向上が期待できる。
【0101】なお、この第3実施形態で行った浸炭窒化
処理に代えて浸炭処理を行った場合でも、上記と同様の
効果が得られることを確認した。この浸炭処理は、温度
880〜960℃、吸熱型ガス+エンリッチガスの雰囲
気で10〜15時間熱処理することにより行い、その後
の焼入れ、焼き戻し条件は上記浸炭窒化処理後の焼入
れ、焼き戻しと同じにした。
【0102】また、使用する鉄鋼材料中のクロム含有率
が高い場合には、クロム炭化物が表面に形成されるた
め、浸炭または浸炭窒化処理時に、表面に対する炭素の
侵入・拡散が抑制されて十分な浸炭が行われ難くなる傾
向がある。このような場合には、真空浸炭、プラズマ浸
炭、アセチレン浸炭等を行うことによって、より良好な
浸炭特性を得ることができる。
【0103】また、上記各実施形態では深溝玉軸受を用
いて試験を行っているが、滑りが大きく潤滑条件が劣化
しやすい円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、アンギュラ軸受
の場合でも同様の効果が期待できる。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の転がり軸
受によれば、トラクション係数が高い潤滑下で使用され
る場合でも、剥離寿命を長くすることができる。特に、
請求項2の転がり軸受によれば、トラクション係数が高
く異物が混入している潤滑下で使用される場合でも、剥
離寿命を長くすることができる。
【0105】特に、請求項3の転がり軸受によれば、ト
ラクション係数が高く水が混入している潤滑下で使用さ
れる場合でも、剥離寿命を長くすることができる。特
に、請求項4の転がり軸受によれば、トラクション係数
が高く異物が混入している潤滑下で使用される場合で
も、剥離寿命を長くすることができる。特に、請求項5
の転がり軸受によれば、トラクション係数が高く、異物
および水が混入している潤滑下で使用される場合でも、
剥離寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態で剥離寿命試験に使用した試験機を示
す概略構成図である。
【図2】実施形態での試験結果から得られた、クロム酸
化物の厚さと評価時間(L10寿命)との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 転がり軸受 2 ハウジング 3 軸 4 囲い部材 5 給油ノズル 6 油タンク 7 負荷レバー 31 軸の基端部 61 配管 62 廃油管 63 フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖田 滋 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 村上 保夫 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA01 BA10 BA70 DA03 DA11 EA03 FA31 GA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転がり軸受を構成する内輪、外輪、およ
    び転動体のうちの少なくともいずれかは、 炭素(C)の含有率が0.55重量%以上1.10重量
    %以下であり、クロム(Cr)の含有率が2.0重量%
    以上9.0重量%以下である鉄鋼材料で形成された後
    に、焼入れ、焼き戻し、研磨仕上げが施されることによ
    り得られ、 軌道輪の軌道面および/または転動体の転動面に5nm
    以上300nm以下の厚さのクロム酸化膜(Cr
    2 3 )を有するものであることを特徴とする転がり軸
    受。
  2. 【請求項2】 軌道輪の軌道面および/または転動体の
    転動面の残留オーステナイト量は15体積%以上25体
    積%以下であることを特徴とする請求項1記載の転がり
    軸受。
  3. 【請求項3】 転がり軸受を構成する内輪、外輪、およ
    び転動体のうちの少なくともいずれかは、 炭素(C)の含有率が0.55重量%以上1.10重量
    %以下であり、クロム(Cr)の含有率が2.0重量%
    以上9.0重量%以下であり、モリブデン(Mo)を
    1.1重量%以上4.0重量%以下の含有率でおよび/
    またはバナジウム(V)を0.3重量%以上2.0重量
    %以下の含有率で含む鉄鋼材料で形成された後に焼入
    れ、焼き戻し、研磨仕上げが施されることにより得ら
    れ、 粒径が50nm以上300nm以下であるモリブデン炭
    化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子がマト
    リックス中に分布しているとともに、軌道輪の軌道面お
    よび/または転動体の転動面に5nm以上300nm以
    下の厚さのクロム酸化膜(Cr2 3 )を有するもので
    あることを特徴とする転がり軸受。
  4. 【請求項4】 転がり軸受を構成する内輪、外輪、およ
    び転動体のうちの少なくともいずれかは、 炭素(C)の含有率が0.10重量%以上0.55重量
    %以下であり、クロム(Cr)の含有率が5.0重量%
    以上14.0重量%以下である鉄鋼材料で形成された後
    に、浸炭または浸炭窒化、焼入れ、焼き戻し、研磨仕上
    げが施されることにより得られ、 浸炭または浸炭窒化後の表面炭素濃度が0.7重量%以
    上1.2重量%以下であり、軌道輪の軌道面および/ま
    たは転動体の転動面の残留オーステナイト量は25体積
    %以上50体積%以下であり、軌道輪の軌道面および/
    または転動体の転動面に5nm以上300nm以下の厚
    さのクロム酸化膜(Cr2 3 )を有することを特徴と
    する転がり軸受。
  5. 【請求項5】 転がり軸受を構成する内輪、外輪、およ
    び転動体のうちの少なくともいずれかは、 炭素(C)の含有率が0.10重量%以上0.55重量
    %以下であり、クロム(Cr)の含有率が5.0重量%
    以上14.0重量%以下であり、モリブデン(Mo)を
    0.5重量%以上4.0重量%以下の含有率でおよび/
    またはバナジウム(V)を0.3重量%以上2.0重量
    %以下の含有率で含む鉄鋼材料で形成された後に、浸炭
    または浸炭窒化、焼入れ、焼き戻し、研磨仕上げが施さ
    れることにより得られ、 粒径が50nm以上500nm以下であるモリブデン炭
    化物および/またはバナジウム炭化物の微細粒子がマト
    リックス中に分布しており、浸炭または浸炭窒化後の表
    面炭素濃度が0.7重量%以上1.2重量%以下であ
    り、軌道輪の軌道面および/または転動体の転動面の残
    留オーステナイト量は25体積%以上50体積%以下で
    あり、軌道輪の軌道面および/または転動体の転動面に
    5nm以上300nm以下の厚さのクロム酸化膜(Cr
    2 3 )を有することを特徴とする転がり軸受。
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