JP2000267323A - 電子写真用感光体 - Google Patents
電子写真用感光体Info
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- JP2000267323A JP2000267323A JP11073702A JP7370299A JP2000267323A JP 2000267323 A JP2000267323 A JP 2000267323A JP 11073702 A JP11073702 A JP 11073702A JP 7370299 A JP7370299 A JP 7370299A JP 2000267323 A JP2000267323 A JP 2000267323A
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- Japan
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- titanium
- resin
- phthalocyanine
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- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 温湿度変化の影響を受けない下引き層と塗膜
欠陥のない均一な電荷発生層とを積層することで、安定
した電気特性を有し、地汚れや黒点等の画像欠陥が発生
せず、また繰り返し使用しても帯電電位の低下や残留電
位の上昇がない、耐久性に優れた電子写真用感光体を提
供する。 【解決手段】 導電性支持体上に下引き層と感光層とが
順次設けられてなる電子写真用感光体において、前記下
引き層が、有機金属化合物、バインダー樹脂および酸化
チタン顔料を含有し、かつ、前記感光層がチタニウム系
フタロシアニンを含有する。
欠陥のない均一な電荷発生層とを積層することで、安定
した電気特性を有し、地汚れや黒点等の画像欠陥が発生
せず、また繰り返し使用しても帯電電位の低下や残留電
位の上昇がない、耐久性に優れた電子写真用感光体を提
供する。 【解決手段】 導電性支持体上に下引き層と感光層とが
順次設けられてなる電子写真用感光体において、前記下
引き層が、有機金属化合物、バインダー樹脂および酸化
チタン顔料を含有し、かつ、前記感光層がチタニウム系
フタロシアニンを含有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体
(以下、単に「感光体」とも称する)に関し、詳しく
は、下引き層および感光層の改良に係る電子写真用感光
体に関する。
(以下、単に「感光体」とも称する)に関し、詳しく
は、下引き層および感光層の改良に係る電子写真用感光
体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用感光体は、基本的に導電性支
持体(以下、単に「支持体」と称する)上に感光層を設
けた構成であり、支持体と感光層との密着性や感光層の
塗布均一性の向上、支持体表面の欠陥の被覆、支持体か
ら感光層への電荷の注入防止等の目的のために、支持体
と感光層の間に、樹脂あるいは樹脂中に無機顔料を分散
させた下引き層を設けることが行われている。
持体(以下、単に「支持体」と称する)上に感光層を設
けた構成であり、支持体と感光層との密着性や感光層の
塗布均一性の向上、支持体表面の欠陥の被覆、支持体か
ら感光層への電荷の注入防止等の目的のために、支持体
と感光層の間に、樹脂あるいは樹脂中に無機顔料を分散
させた下引き層を設けることが行われている。
【0003】下引き層には、前述の性能が要求されると
同時に、下引き層を設けたことにより電子写真特性を劣
化させないことが必要であり、特に、繰り返し使用時や
使用環境の変化時に、帯電電位、残留電位および感度等
の電気特性が安定していることが必要とされる。
同時に、下引き層を設けたことにより電子写真特性を劣
化させないことが必要であり、特に、繰り返し使用時や
使用環境の変化時に、帯電電位、残留電位および感度等
の電気特性が安定していることが必要とされる。
【0004】また、レーザー光の干渉を防止するため、
あるいは下引き層の電気抵抗を調整するために、下引き
層に無機顔料を分散させる場合には、無機顔料の凝集に
よる凸凹欠陥やピンホール欠陥等のない、平滑な表面性
が要求される。
あるいは下引き層の電気抵抗を調整するために、下引き
層に無機顔料を分散させる場合には、無機顔料の凝集に
よる凸凹欠陥やピンホール欠陥等のない、平滑な表面性
が要求される。
【0005】一方、電子写真プロセスにおいて、電圧が
印加された帯電部材を直接感光体表面に接触させること
により感光体表面を均一に帯電させる、いわゆる接触帯
電方式を適用する場合には、下引き層が帯電電圧に対す
る耐電圧性を有し、電気的破壊による画像欠陥を発生さ
せないことが必要である。
印加された帯電部材を直接感光体表面に接触させること
により感光体表面を均一に帯電させる、いわゆる接触帯
電方式を適用する場合には、下引き層が帯電電圧に対す
る耐電圧性を有し、電気的破壊による画像欠陥を発生さ
せないことが必要である。
【0006】このような下引き層に用いられる樹脂とし
ては、例えば、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂等の
高分子材料が知られている。しかし、これらをそのまま
単独で用いると、電気絶縁性が高いために、感度低下や
残留電位の上昇を引き起こし、特に低温低湿環境下で使
用する場合には、下引き層の電気抵抗が著しく高くなっ
て、画像濃度の低下やゴースト(残像欠陥)の原因にな
る。また、支持体表面の欠陥を十分に被覆する目的で、
あるいは耐電圧を調整する目的で、下引き層の膜厚を厚
くした場合にも、同様に感度低下や残留電位の上昇が起
こり、実用上樹脂単独で使用することはできない。
ては、例えば、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂等の
高分子材料が知られている。しかし、これらをそのまま
単独で用いると、電気絶縁性が高いために、感度低下や
残留電位の上昇を引き起こし、特に低温低湿環境下で使
用する場合には、下引き層の電気抵抗が著しく高くなっ
て、画像濃度の低下やゴースト(残像欠陥)の原因にな
る。また、支持体表面の欠陥を十分に被覆する目的で、
あるいは耐電圧を調整する目的で、下引き層の膜厚を厚
くした場合にも、同様に感度低下や残留電位の上昇が起
こり、実用上樹脂単独で使用することはできない。
【0007】これらの問題の発生を防止し、下引き層の
電気抵抗を調整する方法として、下引き層に、例えばA
l、Ni等の金属粉末や、酸化インジウム、酸化スズ、
酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を含有させる方法、ポリ
ピロールやポリアニリン等の導電性ポリマーを含有させ
る方法、あるいはポリアミドに代表されるイオン導電性
樹脂を含有させる方法などが提案されている。
電気抵抗を調整する方法として、下引き層に、例えばA
l、Ni等の金属粉末や、酸化インジウム、酸化スズ、
酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を含有させる方法、ポリ
ピロールやポリアニリン等の導電性ポリマーを含有させ
る方法、あるいはポリアミドに代表されるイオン導電性
樹脂を含有させる方法などが提案されている。
【0008】しかしながら、金属粉末や導電性金属酸化
物を分散させる場合には、これらを微細化して均一に分
散させることが技術的に難しいために、粒子の凝集によ
る塗膜欠陥が発生しやすい。また、導電性ポリマーを用
いる場合には、溶解性や塗布液のポットライフ等に問題
が残されている。さらに、イオン導電性樹脂として溶剤
可溶性ポリアミド樹脂を用いる場合においては、他の樹
脂に比べて比較的電気抵抗が低いために初期の電気特性
は適度に調整できるが、吸湿性が非常に高いため、特に
大気中の湿度の影響を受けやすく、環境安定性が大きな
問題となる。
物を分散させる場合には、これらを微細化して均一に分
散させることが技術的に難しいために、粒子の凝集によ
る塗膜欠陥が発生しやすい。また、導電性ポリマーを用
いる場合には、溶解性や塗布液のポットライフ等に問題
が残されている。さらに、イオン導電性樹脂として溶剤
可溶性ポリアミド樹脂を用いる場合においては、他の樹
脂に比べて比較的電気抵抗が低いために初期の電気特性
は適度に調整できるが、吸湿性が非常に高いため、特に
大気中の湿度の影響を受けやすく、環境安定性が大きな
問題となる。
【0009】一方、支持体上に下引き層を介して感光層
を設ける層構成においては、感光層を浸漬塗布法、スプ
レー塗布法等により形成する場合が多いが、感光層用の
塗布液に用いる溶剤の種類によっては、下引き層を溶
解、変質させてしまうことがあり、電荷発生層の塗膜む
らに起因する電位むらや画像むらの原因となる。
を設ける層構成においては、感光層を浸漬塗布法、スプ
レー塗布法等により形成する場合が多いが、感光層用の
塗布液に用いる溶剤の種類によっては、下引き層を溶
解、変質させてしまうことがあり、電荷発生層の塗膜む
らに起因する電位むらや画像むらの原因となる。
【0010】他方、電子写真応用装置においては、近年
のデジタル化技術の発展に伴い、レーザープリンター、
レーザーファクシミリ、デジタル複写機等のデジタル方
式の記録装置が広く実用化されている。これらの装置の
多くは、半導体レーザー光を感光体に照射する潜像形成
方式を採用しているが、装置の小型化や低コスト化のた
めに750nm以上の長波長領域に発振波長を有する光
源が用いられるため、使用する感光体には、750〜8
50nmの長波長領域で高感度であることが要求され
る。このような光感度特性の要求から、近年、感光体に
用いられる光導電性材料としては、従来のSe、Cd
S、ZnO等の無機顔料の代わりに、スクエアリウム系
顔料、フタロシアニン系顔料、ピリリウム系顔料、ペリ
レン系顔料、アゾ系顔料等の有機材料が用いられてい
る。
のデジタル化技術の発展に伴い、レーザープリンター、
レーザーファクシミリ、デジタル複写機等のデジタル方
式の記録装置が広く実用化されている。これらの装置の
多くは、半導体レーザー光を感光体に照射する潜像形成
方式を採用しているが、装置の小型化や低コスト化のた
めに750nm以上の長波長領域に発振波長を有する光
源が用いられるため、使用する感光体には、750〜8
50nmの長波長領域で高感度であることが要求され
る。このような光感度特性の要求から、近年、感光体に
用いられる光導電性材料としては、従来のSe、Cd
S、ZnO等の無機顔料の代わりに、スクエアリウム系
顔料、フタロシアニン系顔料、ピリリウム系顔料、ペリ
レン系顔料、アゾ系顔料等の有機材料が用いられてい
る。
【0011】特にフタロシアニン系顔料は、比較的長波
長領域まで高感度特性を有すると共に、その中心金属や
結晶形の種類によって種々の光導電特性を発現するた
め、レーザー光を光源とする電子写真法において多く採
用されている。例えば、2価の金属フタロシアニンとし
ては、ε型銅フタロシアニン、γ型無金属フタロシアニ
ン等が挙げられ、また3価、4価の金属フタロシアニン
としては、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロ
アルミニウムフタロシアニンクロライド、チタニウムフ
タロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙
げられ、さらには、第IV族金属としてTi、Sn、Pb
を含有する各種フタロシアニンが挙げられる。また、こ
れらのフタロシアニンを、溶剤や溶剤蒸気処理、または
昇華処理を行うことにより高感度化したり、各種置換基
の導入や誘導体化によって、さらにはダイマー化やトリ
マー化等を行い、長波長化、高感度化する方法が報告さ
れている。
長領域まで高感度特性を有すると共に、その中心金属や
結晶形の種類によって種々の光導電特性を発現するた
め、レーザー光を光源とする電子写真法において多く採
用されている。例えば、2価の金属フタロシアニンとし
ては、ε型銅フタロシアニン、γ型無金属フタロシアニ
ン等が挙げられ、また3価、4価の金属フタロシアニン
としては、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロ
アルミニウムフタロシアニンクロライド、チタニウムフ
タロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙
げられ、さらには、第IV族金属としてTi、Sn、Pb
を含有する各種フタロシアニンが挙げられる。また、こ
れらのフタロシアニンを、溶剤や溶剤蒸気処理、または
昇華処理を行うことにより高感度化したり、各種置換基
の導入や誘導体化によって、さらにはダイマー化やトリ
マー化等を行い、長波長化、高感度化する方法が報告さ
れている。
【0012】しかしながら、従来報告されているフタロ
シアニンは、例えば、特開昭64−17066号公報に
提案されている、Cu−Kα特性X線を用いたX線回折
スペクトルにおいてブラッグ角2θ=9.6±0.2°
および27.3±0.2°に強いピークを示すもののよ
うな、結晶性のフタロシアニンに限られていた。この結
晶型フタロシアニンは強く凝集した塊状の粒子であり、
粒子間に多くの不純物を取りこんでいる場合が多く、ま
た結晶化する際に結晶成長するため粒子径が大きくな
り、これを用いて形成した電荷発生層は、分散性や塗布
均一性に問題があった。また、凝集粒子や残留不純物に
よって帯電低下や繰り返し疲労等の問題が発生したり、
光吸収特性が不十分であるために、電荷発生層のキャリ
ア発生効率の低下や電荷輸送層へのキャリア注入効率の
低下等が発生し、画像上地汚れや黒点等の欠陥が生じる
などの問題を有していた。
シアニンは、例えば、特開昭64−17066号公報に
提案されている、Cu−Kα特性X線を用いたX線回折
スペクトルにおいてブラッグ角2θ=9.6±0.2°
および27.3±0.2°に強いピークを示すもののよ
うな、結晶性のフタロシアニンに限られていた。この結
晶型フタロシアニンは強く凝集した塊状の粒子であり、
粒子間に多くの不純物を取りこんでいる場合が多く、ま
た結晶化する際に結晶成長するため粒子径が大きくな
り、これを用いて形成した電荷発生層は、分散性や塗布
均一性に問題があった。また、凝集粒子や残留不純物に
よって帯電低下や繰り返し疲労等の問題が発生したり、
光吸収特性が不十分であるために、電荷発生層のキャリ
ア発生効率の低下や電荷輸送層へのキャリア注入効率の
低下等が発生し、画像上地汚れや黒点等の欠陥が生じる
などの問題を有していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上述のような問題を解決し、温湿度変化の影響を受
けない下引き層を形成することで、安定した電気特性を
有する電子写真用感光体を提供することにある。
は、上述のような問題を解決し、温湿度変化の影響を受
けない下引き層を形成することで、安定した電気特性を
有する電子写真用感光体を提供することにある。
【0014】また、本発明の他の目的は、分散性が良好
な電荷発生層用顔料を用いることにより、塗膜欠陥のな
い均一な電荷発生層を形成することで、地汚れや黒点等
の画像欠陥が発生しない電子写真用感光体を提供するこ
とにある。
な電荷発生層用顔料を用いることにより、塗膜欠陥のな
い均一な電荷発生層を形成することで、地汚れや黒点等
の画像欠陥が発生しない電子写真用感光体を提供するこ
とにある。
【0015】また、本発明のさらに他の目的は、前述の
下引き層と電荷発生層とを積層することで、繰り返し使
用しても帯電電位の低下がなく、かつ、残留電位の上昇
がない、耐久性に優れた電子写真用感光体を提供するこ
とにある。
下引き層と電荷発生層とを積層することで、繰り返し使
用しても帯電電位の低下がなく、かつ、残留電位の上昇
がない、耐久性に優れた電子写真用感光体を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に下
引き層と感光層とが順次設けられてなる電子写真用感光
体において、前記下引き層が、有機金属化合物、バイン
ダー樹脂および酸化チタン顔料を含有し、かつ、前記感
光層がチタニウム系フタロシアニンを含有することを特
徴とするものである。
に、本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に下
引き層と感光層とが順次設けられてなる電子写真用感光
体において、前記下引き層が、有機金属化合物、バイン
ダー樹脂および酸化チタン顔料を含有し、かつ、前記感
光層がチタニウム系フタロシアニンを含有することを特
徴とするものである。
【0017】本発明においては、前記有機金属化合物
が、芳香族カルボン酸の金属錯体または金属塩であるこ
とが好ましい。
が、芳香族カルボン酸の金属錯体または金属塩であるこ
とが好ましい。
【0018】また、前記バインダー樹脂が、水酸基を有
するスチレン樹脂、これと異なる樹脂との共重合体およ
びこれらの誘導体からなる群のうちから選ばれることが
好ましい。
するスチレン樹脂、これと異なる樹脂との共重合体およ
びこれらの誘導体からなる群のうちから選ばれることが
好ましい。
【0019】さらに、前記酸化チタン顔料が、シラン系
カップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
カップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
【0020】本発明の感光体としては、前記感光層が、
電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型であり、前
記チタニウム系フタロシアニンが該電荷発生層に含有さ
れていることも好ましい。
電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型であり、前
記チタニウム系フタロシアニンが該電荷発生層に含有さ
れていることも好ましい。
【0021】また、前記感光層に含有されるチタニウム
系フタロシアニンが、中心核にオキシチタニウムまたは
ハロゲン化チタニウムを有し、かつ強いX線回折ピーク
を示さない非結晶性粒子であることが好ましい。
系フタロシアニンが、中心核にオキシチタニウムまたは
ハロゲン化チタニウムを有し、かつ強いX線回折ピーク
を示さない非結晶性粒子であることが好ましい。
【0022】さらにまた、前記チタニウム系フタロシア
ニンの含有する硫酸イオン濃度が2000ppm以下で
あることが好ましい。
ニンの含有する硫酸イオン濃度が2000ppm以下で
あることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳述する。感光体は、導電性基体上に感光層を設
けた構成を基本構造とし、一般に、感光層を、電荷発生
層と電荷輸送層との積層構造とする積層型感光体と、1
つの層で電荷発生および電荷輸送の機能を兼ね備えた単
層構造とする単層型感光体とがあるが、本発明において
はいずれの構造としてもよい。以下、積層型感光体を例
にとって、本発明の感光体について詳述する。
ついて詳述する。感光体は、導電性基体上に感光層を設
けた構成を基本構造とし、一般に、感光層を、電荷発生
層と電荷輸送層との積層構造とする積層型感光体と、1
つの層で電荷発生および電荷輸送の機能を兼ね備えた単
層構造とする単層型感光体とがあるが、本発明において
はいずれの構造としてもよい。以下、積層型感光体を例
にとって、本発明の感光体について詳述する。
【0024】本発明の感光体に使用する支持体として
は、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等
の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケ
ル、クロム、ステンレス、酸化スズ、酸化インジウム、
ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、ある
いは導電性付与剤を塗布、または浸漬させた紙、プラス
チック等が挙げられる。これらの支持体は、ドラム状、
シート状、プレート状等で使用するが、これらに限定さ
れるものではない。さらに、必要に応じて、支持体表面
を酸化処理、薬品処理、着色処理、あるいはサンドブラ
スト等により乱反射処理することもできる。
は、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等
の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケ
ル、クロム、ステンレス、酸化スズ、酸化インジウム、
ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、ある
いは導電性付与剤を塗布、または浸漬させた紙、プラス
チック等が挙げられる。これらの支持体は、ドラム状、
シート状、プレート状等で使用するが、これらに限定さ
れるものではない。さらに、必要に応じて、支持体表面
を酸化処理、薬品処理、着色処理、あるいはサンドブラ
スト等により乱反射処理することもできる。
【0025】次に、本発明における下引き層について説
明する。本発明の感光体の下引き層はバインダー樹脂を
用いて形成するが、かかるバインダー樹脂としては、下
記構造式(A)、 で示されるような水酸基を有するスチレン樹脂が好まし
い。または、これと異なる樹脂との共重合体、例えばメ
タクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ヒドロキシエチル
樹脂、アクリル酸ヒドロキシエチル樹脂、アクリル酸ブ
チル樹脂、スチレン樹脂、フェニルマレイド樹脂、マレ
イン酸樹脂、フマル酸樹脂等との共重合体や、スルホン
化、tert−ブチル化、スチレン化、アミノ化、臭素
化物等の誘導体を用いてもよい。
明する。本発明の感光体の下引き層はバインダー樹脂を
用いて形成するが、かかるバインダー樹脂としては、下
記構造式(A)、 で示されるような水酸基を有するスチレン樹脂が好まし
い。または、これと異なる樹脂との共重合体、例えばメ
タクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ヒドロキシエチル
樹脂、アクリル酸ヒドロキシエチル樹脂、アクリル酸ブ
チル樹脂、スチレン樹脂、フェニルマレイド樹脂、マレ
イン酸樹脂、フマル酸樹脂等との共重合体や、スルホン
化、tert−ブチル化、スチレン化、アミノ化、臭素
化物等の誘導体を用いてもよい。
【0026】また、本発明に係る下引き層には、有機金
属化合物を含有させる。かかる有機金属化合物として
は、芳香族カルボン酸の金属錯体または金属塩が好まし
い。芳香族カルボン酸としては、例えば、カルボキシル
基を有するベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳
香族環、またはカルバゾール等の芳香族複素環を挙げる
ことができ、これらは置換基として、基中に酸素原子を
有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル
基、あるいは水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原
子等を有していてもよい。また、前記芳香族カルボン酸
の金属錯体あるいは金属塩を形成する金属としては、特
に限定されないが、Al、Ni、Sn、Zn、Cr、C
o、Fe等が挙げられる。芳香族カルボン酸の金属錯体
の一例として、tert−ブチルサリチル酸ナトリウム
塩化亜鉛から合成されるビス(3,5−ジ−tert−
ブチルサリチル酸)亜鉛の構造式(B)を下記に示す。
属化合物を含有させる。かかる有機金属化合物として
は、芳香族カルボン酸の金属錯体または金属塩が好まし
い。芳香族カルボン酸としては、例えば、カルボキシル
基を有するベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳
香族環、またはカルバゾール等の芳香族複素環を挙げる
ことができ、これらは置換基として、基中に酸素原子を
有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル
基、あるいは水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原
子等を有していてもよい。また、前記芳香族カルボン酸
の金属錯体あるいは金属塩を形成する金属としては、特
に限定されないが、Al、Ni、Sn、Zn、Cr、C
o、Fe等が挙げられる。芳香族カルボン酸の金属錯体
の一例として、tert−ブチルサリチル酸ナトリウム
塩化亜鉛から合成されるビス(3,5−ジ−tert−
ブチルサリチル酸)亜鉛の構造式(B)を下記に示す。
【0027】下引き層の導電性を、ポリアニリンやポリ
ピロール等の導電性ポリマーを混合して調整する場合
や、ポリアミド樹脂等のイオン導電性樹脂を混合して調
整する場合には、湿度変化の影響を受けやすく、低湿環
境下では導電性が大幅に低下して感度低下を引き起こ
す。しかし、本発明の下引き層においては、前述の金属
塩の解離によって生成したイオンによる導電であるため
に、湿度などの影響を受けにくく、環境変化に対して安
定した電気特性を得ることができる。また、Al、Ni
等の金属粉末や、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜
鉛、カーボンブラック等の導電性無機顔料で導電性を調
整する場合には、粒子の凝集による塗膜欠陥が発生しや
すいが、本発明の下引き層は溶解型であるため、均一で
平滑な下引き層を形成することができる。さらに、本発
明の下引き層は、膜厚を例えば5〜10μmにした場合
でも感度の低下や残留電位の上昇が起こらないため、厚
膜化が可能である。このことにより、支持体の表面欠陥
を十分に被覆することができると同時に、高耐圧性にな
るため、接触帯電方式を適用した電子写真装置において
も絶縁破壊を防止できる。
ピロール等の導電性ポリマーを混合して調整する場合
や、ポリアミド樹脂等のイオン導電性樹脂を混合して調
整する場合には、湿度変化の影響を受けやすく、低湿環
境下では導電性が大幅に低下して感度低下を引き起こ
す。しかし、本発明の下引き層においては、前述の金属
塩の解離によって生成したイオンによる導電であるため
に、湿度などの影響を受けにくく、環境変化に対して安
定した電気特性を得ることができる。また、Al、Ni
等の金属粉末や、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜
鉛、カーボンブラック等の導電性無機顔料で導電性を調
整する場合には、粒子の凝集による塗膜欠陥が発生しや
すいが、本発明の下引き層は溶解型であるため、均一で
平滑な下引き層を形成することができる。さらに、本発
明の下引き層は、膜厚を例えば5〜10μmにした場合
でも感度の低下や残留電位の上昇が起こらないため、厚
膜化が可能である。このことにより、支持体の表面欠陥
を十分に被覆することができると同時に、高耐圧性にな
るため、接触帯電方式を適用した電子写真装置において
も絶縁破壊を防止できる。
【0028】尚、本発明における有機金属化合物のバイ
ンダー樹脂に対する添加量は、好ましくは0.1〜30
重量%であり、より好ましくは1〜10重量%である
が、下引き層として要求される電気抵抗やバインダー樹
脂との相溶性によって適宜決めることができる。
ンダー樹脂に対する添加量は、好ましくは0.1〜30
重量%であり、より好ましくは1〜10重量%である
が、下引き層として要求される電気抵抗やバインダー樹
脂との相溶性によって適宜決めることができる。
【0029】さらに、本発明に係る下引き層には、酸化
チタン顔料を含有させる。感光体をレーザー光を光源と
する電子写真装置に用いる場合には、光の入射光と反射
光の干渉によって生じる印字欠陥を防ぐ必要があるた
め、例えば金属酸化物、金属窒化物等の無機顔料を含有
させるのが望ましいが、中でも酸化チタン顔料が隠蔽
性、屈折率の点で有効である。
チタン顔料を含有させる。感光体をレーザー光を光源と
する電子写真装置に用いる場合には、光の入射光と反射
光の干渉によって生じる印字欠陥を防ぐ必要があるた
め、例えば金属酸化物、金属窒化物等の無機顔料を含有
させるのが望ましいが、中でも酸化チタン顔料が隠蔽
性、屈折率の点で有効である。
【0030】本発明における酸化チタン顔料としては、
シラン系カップリング剤で表面処理されたものを用いる
ことが好ましい。バインダー樹脂や溶剤によっては、顔
料の凝集による微小欠陥が発生する場合があるため、顔
料表面をシランカップリング剤で処理して、分散性を改
良する。本発明に用いるシランカップリング剤として
は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、β−3,4−エポキシ
シクロヘキシルトリメトキシシラン等を挙げることがで
きる。尚、酸化チタン顔料に対するかかるシランカップ
リング剤の処理量としては、0.5〜5重量%が好適で
ある。
シラン系カップリング剤で表面処理されたものを用いる
ことが好ましい。バインダー樹脂や溶剤によっては、顔
料の凝集による微小欠陥が発生する場合があるため、顔
料表面をシランカップリング剤で処理して、分散性を改
良する。本発明に用いるシランカップリング剤として
は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、β−3,4−エポキシ
シクロヘキシルトリメトキシシラン等を挙げることがで
きる。尚、酸化チタン顔料に対するかかるシランカップ
リング剤の処理量としては、0.5〜5重量%が好適で
ある。
【0031】また、酸化チタン顔料等の無機顔料の平均
粒径は、0.5μm以下が好ましい。0.5μmを超え
ると、粒子が凝集を起こしやすく、黒点や地汚れ等の画
像欠陥を引き起こす。レーザー光の散乱を起こさせるた
めには、光の波長(0.4〜0.8μm)の半分程度の
粒径が好ましいため、好適には粒径0.2〜0.4μm
程度の粒子を用いる。
粒径は、0.5μm以下が好ましい。0.5μmを超え
ると、粒子が凝集を起こしやすく、黒点や地汚れ等の画
像欠陥を引き起こす。レーザー光の散乱を起こさせるた
めには、光の波長(0.4〜0.8μm)の半分程度の
粒径が好ましいため、好適には粒径0.2〜0.4μm
程度の粒子を用いる。
【0032】本発明における酸化チタン顔料等の無機顔
料の添加量は、バインダー樹脂に対して50〜300重
量%が好ましい。50重量%未満では光の散乱効果が不
十分であり、一方300重量%を超えると、帯電低下に
よる画像不良が発生すると同時に、塗布液中の顔料の凝
集、沈降が起こりやすくなり、ポットライフに問題が生
じる。
料の添加量は、バインダー樹脂に対して50〜300重
量%が好ましい。50重量%未満では光の散乱効果が不
十分であり、一方300重量%を超えると、帯電低下に
よる画像不良が発生すると同時に、塗布液中の顔料の凝
集、沈降が起こりやすくなり、ポットライフに問題が生
じる。
【0033】尚、下引き層を形成した後に、感光層を浸
漬法やスプレー法で塗布する場合には、感光層塗布液に
用いる溶剤の種類によっては、下引き層を溶解、変質さ
せてしまうことがあるため、下引き層中には、水酸基と
架橋反応を起こす官能基を有する樹脂、例えばメラミン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネー
ト樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を混合する
か、あるいはフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、マレイン酸等の有機酸架橋剤を混合して、溶剤に不
溶化させることが好ましい。また、下引き層の可塑性を
調整する等の目的で、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ
ビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアク
リル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂を混合して
用いることもできる。
漬法やスプレー法で塗布する場合には、感光層塗布液に
用いる溶剤の種類によっては、下引き層を溶解、変質さ
せてしまうことがあるため、下引き層中には、水酸基と
架橋反応を起こす官能基を有する樹脂、例えばメラミン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネー
ト樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を混合する
か、あるいはフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、マレイン酸等の有機酸架橋剤を混合して、溶剤に不
溶化させることが好ましい。また、下引き層の可塑性を
調整する等の目的で、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ
ビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアク
リル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂を混合して
用いることもできる。
【0034】次に、本発明における電荷発生層について
説明する。本発明においては、電荷発生層に含有する光
導電材料として、チタニウム系フタロシアニン、好まし
くは、中心核にオキシチタニウムまたはハロゲン化チタ
ニウムを有し、かつ強いX線回折ピークを示さない非結
晶性のチタニウム系フタロシアニンを用いる。チタニウ
ム系フタロシアニンとは、チタニウム金属、酸素または
塩素(等)を中心核として含むフタロシアニンであり、
例えば、オキシチタニウムフタロシアニン(TiOP
c)や、チタンフタロシアニンジクロライド(TiCl
2Pc)、または前記フタロシアニン中のベンゼン環が
1つまたは2つ以上塩素化されたもの、さらにベンゼン
環の1つまたは2つ以上がtert−ブチル化された溶
剤可溶性のフタロシアニン等が挙げられる。また、前述
のフタロシアニンがダイマー化、トリマー化等されたも
のでもよい。
説明する。本発明においては、電荷発生層に含有する光
導電材料として、チタニウム系フタロシアニン、好まし
くは、中心核にオキシチタニウムまたはハロゲン化チタ
ニウムを有し、かつ強いX線回折ピークを示さない非結
晶性のチタニウム系フタロシアニンを用いる。チタニウ
ム系フタロシアニンとは、チタニウム金属、酸素または
塩素(等)を中心核として含むフタロシアニンであり、
例えば、オキシチタニウムフタロシアニン(TiOP
c)や、チタンフタロシアニンジクロライド(TiCl
2Pc)、または前記フタロシアニン中のベンゼン環が
1つまたは2つ以上塩素化されたもの、さらにベンゼン
環の1つまたは2つ以上がtert−ブチル化された溶
剤可溶性のフタロシアニン等が挙げられる。また、前述
のフタロシアニンがダイマー化、トリマー化等されたも
のでもよい。
【0035】フタロシアニンの合成方法は、フタロジニ
トリルと金属塩化物とを加熱融解または有機溶媒存在下
で加熱するフタロジニトリル法や、無水フタル酸を尿素
および金属塩化物と加熱融解または有機溶媒存在下で加
熱するワイラー法、シアノベンズアミドと金属塩とを高
温で反応させる方法、ジリチウムフタロシアニンと金属
塩とを反応させる方法等があるが、これらに限定される
ものではない。
トリルと金属塩化物とを加熱融解または有機溶媒存在下
で加熱するフタロジニトリル法や、無水フタル酸を尿素
および金属塩化物と加熱融解または有機溶媒存在下で加
熱するワイラー法、シアノベンズアミドと金属塩とを高
温で反応させる方法、ジリチウムフタロシアニンと金属
塩とを反応させる方法等があるが、これらに限定される
ものではない。
【0036】合成後のフタロシアニンは、アルカリ、メ
タノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケト
ン、テトラヒドロフラン、ピリジン、キノリン、トルエ
ン、キシレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、トリクロロプロパン、ジメチル
ホルムアミド等を用いて洗浄して未反応物やイオン性不
純物を除去したり、さらに昇華精製して用いることが好
ましい。また、95%以上の硫酸にフタロシアニンを溶
解または硫酸塩にしたものを氷水中に注いで再析出させ
るアシッドペースティング法にて化学処理する場合に
は、結晶中に残留する硫酸イオンが感光体の帯電特性や
感度特性を著しく劣化させるため、残留硫酸イオン濃度
が2000ppm以下であることが好ましく、より好適
には500ppm以下とする。
タノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケト
ン、テトラヒドロフラン、ピリジン、キノリン、トルエ
ン、キシレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、トリクロロプロパン、ジメチル
ホルムアミド等を用いて洗浄して未反応物やイオン性不
純物を除去したり、さらに昇華精製して用いることが好
ましい。また、95%以上の硫酸にフタロシアニンを溶
解または硫酸塩にしたものを氷水中に注いで再析出させ
るアシッドペースティング法にて化学処理する場合に
は、結晶中に残留する硫酸イオンが感光体の帯電特性や
感度特性を著しく劣化させるため、残留硫酸イオン濃度
が2000ppm以下であることが好ましく、より好適
には500ppm以下とする。
【0037】このようにして得られたフタロシアニン
は、粒子同士が強固に凝集して2次粒子を形成している
場合が多いため、そのままの状態で電荷発生層に含有さ
せた感光体においては、光吸収効率の低下によるキャリ
ア発生数の減少が起こり、感度低下等の問題が発生す
る。また、凝集粒子によって電荷発生層が不均一になる
ため、電荷輸送層へのキャリア注入効率も低下し、帯電
特性や繰り返し電位安定性の点でも問題が生ずる。これ
らを防止するために、例えばアシッドペースティング
法、アシッドスラリー法等の方法で粒子間の凝集を弱
め、次に機械的に粉砕することにより極めて微小な1次
粒子を得ることができる。粉砕装置としては、アトライ
ター、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジタ
ー、スタンプミル等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
は、粒子同士が強固に凝集して2次粒子を形成している
場合が多いため、そのままの状態で電荷発生層に含有さ
せた感光体においては、光吸収効率の低下によるキャリ
ア発生数の減少が起こり、感度低下等の問題が発生す
る。また、凝集粒子によって電荷発生層が不均一になる
ため、電荷輸送層へのキャリア注入効率も低下し、帯電
特性や繰り返し電位安定性の点でも問題が生ずる。これ
らを防止するために、例えばアシッドペースティング
法、アシッドスラリー法等の方法で粒子間の凝集を弱
め、次に機械的に粉砕することにより極めて微小な1次
粒子を得ることができる。粉砕装置としては、アトライ
ター、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジタ
ー、スタンプミル等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0038】かかる工程を経たフタロシアニンは、強い
X線回折ピークを示さない非結晶性のフタロシアニンで
あって、凝集粒子を含まないため、顔料の分散性に優
れ、塗膜欠陥のない均一な電荷発生層を形成することが
できる。加えて、凝集粒子間に残留する不純物がないた
め、帯電特性の劣化や繰り返し電位変動が生じない。
X線回折ピークを示さない非結晶性のフタロシアニンで
あって、凝集粒子を含まないため、顔料の分散性に優
れ、塗膜欠陥のない均一な電荷発生層を形成することが
できる。加えて、凝集粒子間に残留する不純物がないた
め、帯電特性の劣化や繰り返し電位変動が生じない。
【0039】電荷発生層に用いるバインダー樹脂として
は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルの共重合体、ポリビ
ニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等
を挙げることができる。これらのバインダー樹脂に対す
るフタロシアニンの混合量は30〜70重量%とするこ
とが好ましく、また、電荷発生層の膜厚は0.1〜2μ
m程度が適当である。
は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルの共重合体、ポリビ
ニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等
を挙げることができる。これらのバインダー樹脂に対す
るフタロシアニンの混合量は30〜70重量%とするこ
とが好ましく、また、電荷発生層の膜厚は0.1〜2μ
m程度が適当である。
【0040】電荷輸送層は、ヒドラゾン化合物、トリフ
ェニルアミン化合物、スチルベン化合物、エナミン化合
物、多環芳香族化合物、窒素含有複素環化合物等の電荷
輸送性物質を、これらの物質と相溶性のある樹脂、例え
ば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビ
ニルブチラール酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等と
共に適当な溶剤に溶解させ、これを電荷発生層上に厚さ
5〜40μm程度に塗布、乾燥して得ることができる。
本発明に用いる電荷輸送性物質の例を下記構造式(I−
1)〜(I−12)に、またバインダー樹脂としてのポ
リカーボネート樹脂の代表例を下記構造式(II−1)〜
(II−7)に、夫々示す。
ェニルアミン化合物、スチルベン化合物、エナミン化合
物、多環芳香族化合物、窒素含有複素環化合物等の電荷
輸送性物質を、これらの物質と相溶性のある樹脂、例え
ば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビ
ニルブチラール酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等と
共に適当な溶剤に溶解させ、これを電荷発生層上に厚さ
5〜40μm程度に塗布、乾燥して得ることができる。
本発明に用いる電荷輸送性物質の例を下記構造式(I−
1)〜(I−12)に、またバインダー樹脂としてのポ
リカーボネート樹脂の代表例を下記構造式(II−1)〜
(II−7)に、夫々示す。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】また、電荷輸送層には、光、熱、オゾン等
による劣化を防止する目的で、種々の酸化防止剤を添加
することができる。以下の構造式(III−1)〜(III−
45)に、かかる酸化防止剤の代表例を示す。尚、本発
明の電子写真用感光体は、上述のような、電荷発生層上
に電荷輸送層を形成してなる負帯電型積層構造に限定さ
れるものではなく、電荷発生物質と電荷輸送性物質およ
びバインダー樹脂を混合してなる正帯電型単層構造等に
も適用しうるものである。
による劣化を防止する目的で、種々の酸化防止剤を添加
することができる。以下の構造式(III−1)〜(III−
45)に、かかる酸化防止剤の代表例を示す。尚、本発
明の電子写真用感光体は、上述のような、電荷発生層上
に電荷輸送層を形成してなる負帯電型積層構造に限定さ
れるものではなく、電荷発生物質と電荷輸送性物質およ
びバインダー樹脂を混合してなる正帯電型単層構造等に
も適用しうるものである。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を詳述する。
尚、例中の「部」は重量部を示す。実施例1 水酸基を有するスチレン樹脂としてのp−ビニルフェノ
ールとスチレンの共重合体(リンカーCST:丸善石油
化学(株)製)15部と、ブチル化メラミン樹脂(ユー
バン21R:三井東圧化学(株)製)4部と、前記構造
式(B)で示されるビス(3,5−ジ−tert−ブチ
ルサリチル酸)亜鉛1部とをテトラヒドロフラン60部
に溶解した樹脂溶液、およびγ−アミノプロピルトリメ
トキシシランで表面処理した酸化チタン(富士チタン工
業(株)製、TA−200)20部をボールミルポット
に入れ、10mmφのアルミナボール充填して48時間
ボールミリング分散した。この塗布液を用いて外径30
mmφのアルミニウム円筒状支持体表面に浸漬塗布し、
140℃で60分間乾燥して膜厚10μmの下引き層を
形成した。
尚、例中の「部」は重量部を示す。実施例1 水酸基を有するスチレン樹脂としてのp−ビニルフェノ
ールとスチレンの共重合体(リンカーCST:丸善石油
化学(株)製)15部と、ブチル化メラミン樹脂(ユー
バン21R:三井東圧化学(株)製)4部と、前記構造
式(B)で示されるビス(3,5−ジ−tert−ブチ
ルサリチル酸)亜鉛1部とをテトラヒドロフラン60部
に溶解した樹脂溶液、およびγ−アミノプロピルトリメ
トキシシランで表面処理した酸化チタン(富士チタン工
業(株)製、TA−200)20部をボールミルポット
に入れ、10mmφのアルミナボール充填して48時間
ボールミリング分散した。この塗布液を用いて外径30
mmφのアルミニウム円筒状支持体表面に浸漬塗布し、
140℃で60分間乾燥して膜厚10μmの下引き層を
形成した。
【0052】一方、o−フタロジニトリル20.4部
と、四塩化チタン7.6部とをα−クロロナフタレン5
0部中で200℃にて2時間加熱反応させた後、水蒸気
蒸留で溶媒を除き、2%塩酸水溶液、次いで2%水酸化
ナトリウム水溶液で精製し、アセトン洗浄後乾燥して、
オキシチタニウムフタロシアニンを合成した。得られた
フタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部に少しず
つ溶解し、その混合物を約1時間5℃以下の温度を保ち
ながら攪拌した。続いて、硫酸溶液を高速攪拌した40
0部の氷水中にゆっくり添加し、析出した結晶を濾過し
た。結晶中の硫酸イオン濃度が500ppm以下になる
まで蒸留水で洗浄し、アセトンで精製した後乾燥してオ
キシチタニウムフタロシアニンを得た。さらに、このオ
キシチタニウムフタロシアニンをボールミリング処理し
て粉砕した。このようにして得られたオキシチタニウム
フタロシアニンは、0.2μm以下の微細な1次粒子か
らなり、図1のX線回折図に示すように強い回折ピーク
を示さなかった。
と、四塩化チタン7.6部とをα−クロロナフタレン5
0部中で200℃にて2時間加熱反応させた後、水蒸気
蒸留で溶媒を除き、2%塩酸水溶液、次いで2%水酸化
ナトリウム水溶液で精製し、アセトン洗浄後乾燥して、
オキシチタニウムフタロシアニンを合成した。得られた
フタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部に少しず
つ溶解し、その混合物を約1時間5℃以下の温度を保ち
ながら攪拌した。続いて、硫酸溶液を高速攪拌した40
0部の氷水中にゆっくり添加し、析出した結晶を濾過し
た。結晶中の硫酸イオン濃度が500ppm以下になる
まで蒸留水で洗浄し、アセトンで精製した後乾燥してオ
キシチタニウムフタロシアニンを得た。さらに、このオ
キシチタニウムフタロシアニンをボールミリング処理し
て粉砕した。このようにして得られたオキシチタニウム
フタロシアニンは、0.2μm以下の微細な1次粒子か
らなり、図1のX線回折図に示すように強い回折ピーク
を示さなかった。
【0053】次に、ポリビニルブチラール樹脂(積水化
学(株)製、エスレックBL−S)1部をテトラヒドロ
フラン98部で溶かした樹脂溶液と、前述の方法で得ら
れたオキシチタニウムフタロシアニン1部とを混合し、
下引き層の時と同様の方法でボールミリング処理した。
この分散液を用いて前述の下引き層の上に浸漬塗布した
後、100℃で10分間乾燥して、膜厚約0.4μmの
電荷発生層を形成した。
学(株)製、エスレックBL−S)1部をテトラヒドロ
フラン98部で溶かした樹脂溶液と、前述の方法で得ら
れたオキシチタニウムフタロシアニン1部とを混合し、
下引き層の時と同様の方法でボールミリング処理した。
この分散液を用いて前述の下引き層の上に浸漬塗布した
後、100℃で10分間乾燥して、膜厚約0.4μmの
電荷発生層を形成した。
【0054】更に、前記構造式(I−1)に示したヒド
ラゾン化合物5部と、前記構造式(I−2)に示したヒ
ドラゾン化合物5部と、前記構造式(II−4)に示した
ビスフェノールA型−ビフェニル共重合ポリカーボネー
ト(出光興産(株)製、タフゼット)10部と、前記構
造式(III−2)に示したヒンダードフェノール系化合
物1部とを、塩化メチレン79部に均一に溶解させ、こ
れを前述と同様の方法で電荷発生層上に塗布後、100
℃で30分間乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を形成
した。
ラゾン化合物5部と、前記構造式(I−2)に示したヒ
ドラゾン化合物5部と、前記構造式(II−4)に示した
ビスフェノールA型−ビフェニル共重合ポリカーボネー
ト(出光興産(株)製、タフゼット)10部と、前記構
造式(III−2)に示したヒンダードフェノール系化合
物1部とを、塩化メチレン79部に均一に溶解させ、こ
れを前述と同様の方法で電荷発生層上に塗布後、100
℃で30分間乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を形成
した。
【0055】実施例2 o−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6
部をα−クロロナフタレン50部中で200℃にて2時
間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸水溶
液で精製した後、乾燥して、チタニウムフタロシアニン
ジクロライドを合成した。次に、実施例1と同様の下引
き層上に、オキシチタニウムフタロシアニンの代わりに
得られたチタニウムフタロシアニンジクロライドを用い
て、実施例1と全く同じ方法で電荷発生層および電荷輸
送層を塗布して感光体を作製した。
部をα−クロロナフタレン50部中で200℃にて2時
間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸水溶
液で精製した後、乾燥して、チタニウムフタロシアニン
ジクロライドを合成した。次に、実施例1と同様の下引
き層上に、オキシチタニウムフタロシアニンの代わりに
得られたチタニウムフタロシアニンジクロライドを用い
て、実施例1と全く同じ方法で電荷発生層および電荷輸
送層を塗布して感光体を作製した。
【0056】実施例3 水酸基を有するスチレン樹脂としてのp−ビニルフェノ
ールとメタクリル酸メチルの共重合体(リンカーCM
M:丸善石油化学(株)製)18部と、トリメリット酸
2部と、下記構造式(C)、 で示されるビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチ
ル酸)クロム2部とをテトラヒドロフラン58部に溶解
した樹脂溶液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランで表面処理した酸化チタン(富士チタン
工業(株)製、TR−600)20部をボールミルポッ
トに入れ、10mmφのアルミナボール充填して48時
間ボールミリング分散した。この塗布液を用いて外径3
0mmφのアルミニウム円筒状支持体表面に浸漬塗布
し、140℃で60分間乾燥して膜厚15μmの下引き
層を形成した。この下引き層の上に、実施例1と全く同
様に電荷発生層および電荷輸送層を形成して、感光体を
作製した。
ールとメタクリル酸メチルの共重合体(リンカーCM
M:丸善石油化学(株)製)18部と、トリメリット酸
2部と、下記構造式(C)、 で示されるビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチ
ル酸)クロム2部とをテトラヒドロフラン58部に溶解
した樹脂溶液、およびγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランで表面処理した酸化チタン(富士チタン
工業(株)製、TR−600)20部をボールミルポッ
トに入れ、10mmφのアルミナボール充填して48時
間ボールミリング分散した。この塗布液を用いて外径3
0mmφのアルミニウム円筒状支持体表面に浸漬塗布
し、140℃で60分間乾燥して膜厚15μmの下引き
層を形成した。この下引き層の上に、実施例1と全く同
様に電荷発生層および電荷輸送層を形成して、感光体を
作製した。
【0057】実施例4 実施例1における下引き層で用いたγ−アミノプロピル
トリメトキシシランで表面処理した酸化チタンの代わり
に、表面処理されてない酸化チタン(富士チタン工業
(株)製、TA−200)を用いた以外は実施例1と同
様にして下引き層を作製した。次に、実施例1と同様に
電荷発生層および電荷輸送層を塗布して感光体を作製し
た。
トリメトキシシランで表面処理した酸化チタンの代わり
に、表面処理されてない酸化チタン(富士チタン工業
(株)製、TA−200)を用いた以外は実施例1と同
様にして下引き層を作製した。次に、実施例1と同様に
電荷発生層および電荷輸送層を塗布して感光体を作製し
た。
【0058】実施例5 o−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6
部をα−クロロナフタレン50部中で200℃にて2時
間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸水溶
液、次いで2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、アセ
トン洗浄後乾燥して、オキシチタニウムフタロシアニン
を合成した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン
は、1μm以上の結晶性凝集体からなり、図2のX線回
折図で示すように強い回折ピークを示した。このオキシ
チタニウムフタロシアニンを用いた以外は実施例1と同
様にして、下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を塗
布して感光体を作製した。
部をα−クロロナフタレン50部中で200℃にて2時
間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸水溶
液、次いで2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、アセ
トン洗浄後乾燥して、オキシチタニウムフタロシアニン
を合成した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン
は、1μm以上の結晶性凝集体からなり、図2のX線回
折図で示すように強い回折ピークを示した。このオキシ
チタニウムフタロシアニンを用いた以外は実施例1と同
様にして、下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を塗
布して感光体を作製した。
【0059】実施例6 実施例1におけるオキシチタニウムフタロシアニンの合
成工程において、結晶の蒸留水洗浄およびアセトン精製
を行わないオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以
外は、実施例1と同様にして電荷発生層用の塗布液を作
製した。ここで用いたオキシチタニウムフタロシアニン
結晶の硫酸イオン濃度は2500ppmであった。次
に、実施例1と同様にして下引き層を塗布した後、得ら
れた電荷発生層用塗布液を用いて電荷発生層を形成し、
さらに電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
成工程において、結晶の蒸留水洗浄およびアセトン精製
を行わないオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以
外は、実施例1と同様にして電荷発生層用の塗布液を作
製した。ここで用いたオキシチタニウムフタロシアニン
結晶の硫酸イオン濃度は2500ppmであった。次
に、実施例1と同様にして下引き層を塗布した後、得ら
れた電荷発生層用塗布液を用いて電荷発生層を形成し、
さらに電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
【0060】比較例1 実施例1における下引き層において、金属錯体を加えな
い以外は実施例1と同様にして下引き層を作製した後、
実施例1と同様にして電荷発生層および電荷輸送層を塗
布して感光体を作製した。
い以外は実施例1と同様にして下引き層を作製した後、
実施例1と同様にして電荷発生層および電荷輸送層を塗
布して感光体を作製した。
【0061】このようにして作製した感光体の電気特性
を、感光体プロセス試験機を用いて、以下の手順で評価
した。感光体を試験機に取り付けて、周速60mm/s
で回転させながら、コロトロンで感光体表面を−600
Vに帯電させ、光の無照射時の電位をもって暗部電位
(帯電位)とした。続いて、波長780nm、放射照度
2μW/cm2の光を照射し、0.2秒後の電位をもっ
て明部電位(残留電位)とした。このような帯電と露光
のサイクルを、温度23℃、相対湿度45%の環境下お
よび温度10℃、相対湿度20%の環境下で1万サイク
ル繰り返し、夫々、暗部電位と明部電位の変動量を測定
した。また、感光体をレーザービームプリンタに搭載
し、前述の環境下で初期の印字テストを行った。これら
の測定結果を、以下の表1および2に示す。尚、表中の
初期画像の評価は、良好なものを○、地かぶりまたは濃
度むらが発生しやや不良なものを△、濃度低下が生じ不
良なものを×とした。
を、感光体プロセス試験機を用いて、以下の手順で評価
した。感光体を試験機に取り付けて、周速60mm/s
で回転させながら、コロトロンで感光体表面を−600
Vに帯電させ、光の無照射時の電位をもって暗部電位
(帯電位)とした。続いて、波長780nm、放射照度
2μW/cm2の光を照射し、0.2秒後の電位をもっ
て明部電位(残留電位)とした。このような帯電と露光
のサイクルを、温度23℃、相対湿度45%の環境下お
よび温度10℃、相対湿度20%の環境下で1万サイク
ル繰り返し、夫々、暗部電位と明部電位の変動量を測定
した。また、感光体をレーザービームプリンタに搭載
し、前述の環境下で初期の印字テストを行った。これら
の測定結果を、以下の表1および2に示す。尚、表中の
初期画像の評価は、良好なものを○、地かぶりまたは濃
度むらが発生しやや不良なものを△、濃度低下が生じ不
良なものを×とした。
【0062】
【表1】 (測定環境:23℃/45%RH)
【0063】
【表2】 (測定環境:10℃/20%RH)
【0064】上記の表1および2の結果から明らかなよ
うに、実施例1〜6の感光体は1万サイクルの繰り返し
においても電位の変動がなく、また、実施例1〜3の感
光体においては、より良好な初期画像を得ることがで
き、非常に優れた性能であることがわかった。
うに、実施例1〜6の感光体は1万サイクルの繰り返し
においても電位の変動がなく、また、実施例1〜3の感
光体においては、より良好な初期画像を得ることがで
き、非常に優れた性能であることがわかった。
【0065】
【発明の効果】本発明の電子写真用感光体においては、
有機金属化合物、バインダー樹脂および酸化チタン顔料
を含有する下引き層を設けたことにより、帯電、残留電
位および感度が使用環境の変化の影響を受けず、安定し
た画質を得ることができる。また、下引き層の膜厚を厚
めに設定しても、残留電位が低く、繰り返し使用しても
電荷の蓄積がないため、下引き層の厚みによって支持体
の表面欠陥を十分に被覆することができ、支持体の表面
加工や洗浄にかけるコストを大幅に削除することができ
る。さらに、帯電電位に対して高い耐電圧性を有するた
め、特に接触帯電方式を用いる場合には、絶縁破壊によ
って生じる画像欠陥を防止することができる。
有機金属化合物、バインダー樹脂および酸化チタン顔料
を含有する下引き層を設けたことにより、帯電、残留電
位および感度が使用環境の変化の影響を受けず、安定し
た画質を得ることができる。また、下引き層の膜厚を厚
めに設定しても、残留電位が低く、繰り返し使用しても
電荷の蓄積がないため、下引き層の厚みによって支持体
の表面欠陥を十分に被覆することができ、支持体の表面
加工や洗浄にかけるコストを大幅に削除することができ
る。さらに、帯電電位に対して高い耐電圧性を有するた
め、特に接触帯電方式を用いる場合には、絶縁破壊によ
って生じる画像欠陥を防止することができる。
【0066】また、バインダー樹脂を水酸基を有する樹
脂とすることにより、支持体と感光層との密着性を強固
にするとともに、下引き層上に塗布形成する感光層を均
一にすることができる。
脂とすることにより、支持体と感光層との密着性を強固
にするとともに、下引き層上に塗布形成する感光層を均
一にすることができる。
【0067】さらに、下引き層に無機顔料を含有させる
ことによって、光を散乱させることができるため、光源
にレーザー光を用いる電子写真装置においても光の干渉
による画像不良を防止する効果がある。
ことによって、光を散乱させることができるため、光源
にレーザー光を用いる電子写真装置においても光の干渉
による画像不良を防止する効果がある。
【0068】さらにまた、電荷発生層に含有させるチタ
ニウム系フタロシアニンを、強いX線回折ピークを示さ
ず、非結晶性であって凝集粒子を含まないものとするこ
とにより、顔料の分散性に優れるため、塗膜欠陥のない
均一な電荷発生層を形成することができると同時に、高
感度で繰り返し電位安定性に優れた感光体を得ることが
できる。
ニウム系フタロシアニンを、強いX線回折ピークを示さ
ず、非結晶性であって凝集粒子を含まないものとするこ
とにより、顔料の分散性に優れるため、塗膜欠陥のない
均一な電荷発生層を形成することができると同時に、高
感度で繰り返し電位安定性に優れた感光体を得ることが
できる。
【図1】本発明の実施例に係るX線回折図である。
【図2】本発明の他の実施例に係るX線回折図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 導電性支持体上に下引き層と感光層とが
順次設けられてなる電子写真用感光体において、 前記下引き層が、有機金属化合物、バインダー樹脂およ
び酸化チタン顔料を含有し、かつ、前記感光層がチタニ
ウム系フタロシアニンを含有することを特徴とする電子
写真用感光体。 - 【請求項2】 前記有機金属化合物が、芳香族カルボン
酸の金属錯体または金属塩である請求項1記載の電子写
真用感光体。 - 【請求項3】 前記バインダー樹脂が、水酸基を有する
スチレン樹脂、これと異なる樹脂との共重合体およびこ
れらの誘導体からなる群のうちから選ばれる請求項1又
は2記載の電子写真用感光体。 - 【請求項4】 前記酸化チタン顔料が、シラン系カップ
リング剤で表面処理されている請求項1〜3のうちいず
れか一項記載の電子写真用感光体。 - 【請求項5】 前記感光層が、電荷発生層および電荷輸
送層からなる積層型であり、前記チタニウム系フタロシ
アニンが該電荷発生層に含有されている請求項1〜4の
うちいずれか一項記載の電子写真用感光体。 - 【請求項6】 前記チタニウム系フタロシアニンが、中
心核にオキシチタニウムまたはハロゲン化チタニウムを
有し、かつ強いX線回折ピークを示さない非結晶性粒子
である請求項5記載の電子写真用感光体。 - 【請求項7】 前記チタニウム系フタロシアニンの含有
する硫酸イオン濃度が2000ppm以下である請求項
5又は6記載の電子写真用感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11073702A JP2000267323A (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 電子写真用感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11073702A JP2000267323A (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 電子写真用感光体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000267323A true JP2000267323A (ja) | 2000-09-29 |
Family
ID=13525821
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11073702A Pending JP2000267323A (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 電子写真用感光体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000267323A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013097221A (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-20 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 有機感光体および画像形成装置 |
JP2014199400A (ja) * | 2013-03-13 | 2014-10-23 | 株式会社リコー | 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 |
JP2014209211A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-11-06 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
JP2015069062A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
JP2017211501A (ja) * | 2016-05-25 | 2017-11-30 | 株式会社リコー | 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ |
-
1999
- 1999-03-18 JP JP11073702A patent/JP2000267323A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013097221A (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-20 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 有機感光体および画像形成装置 |
JP2014199400A (ja) * | 2013-03-13 | 2014-10-23 | 株式会社リコー | 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 |
JP2014209211A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-11-06 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
JP2015069062A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
JP2017211501A (ja) * | 2016-05-25 | 2017-11-30 | 株式会社リコー | 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ |
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Date | Code | Title | Description |
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A977 | Report on retrieval |
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