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JP2000261046A - 熱電変換材料とその製造方法 - Google Patents

熱電変換材料とその製造方法

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Publication number
JP2000261046A
JP2000261046A JP11063099A JP6309999A JP2000261046A JP 2000261046 A JP2000261046 A JP 2000261046A JP 11063099 A JP11063099 A JP 11063099A JP 6309999 A JP6309999 A JP 6309999A JP 2000261046 A JP2000261046 A JP 2000261046A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric conversion
additive element
atomic
type semiconductor
conversion material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11063099A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiro Sadatomi
信裕 貞富
Osamu Yamashita
治 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP11063099A priority Critical patent/JP2000261046A/ja
Priority to US09/674,978 priority patent/US7002071B1/en
Priority to KR10-2000-7012611A priority patent/KR100419488B1/ko
Priority to CNB008005028A priority patent/CN100385694C/zh
Priority to CA002331533A priority patent/CA2331533A1/en
Priority to AU29415/00A priority patent/AU752619B2/en
Priority to EP00908000A priority patent/EP1083610A4/en
Publication of JP2000261046A publication Critical patent/JP2000261046A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Siに種々の添加元素を20原子%以下含有させ
た新規なSi系熱電変換材料が有する高いゼーベック係数
を有し、電気伝導度を損なうことなく、容易に製造でき
る構成や集積回路の製造方法と同方法で容易に製造でき
る構成からなる多結晶Si系熱電変換材料とその製造方法
の提供。 【解決手段】 シリコンやガラスなどの所要基板上に、
Siが主なSiリッチ層と添加元素が主な添加元素リッチ層
を成膜、積層し、さらに熱処理を加えて、積層方向及び
/又は各層にSiリッチ相の粒界に添加元素のリッチ相を
分散させた組織を生成することにより、ゼーベック係数
が極めて大きくかつ熱伝導率が小さくなり、熱電変換効
率を著しく高め、資源的に豊富なSiが主体で環境汚染が
極めて少なく、薄膜状の多結晶Si系熱電変換材料が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、Siに種々の添加
元素を20原子%以下含有させた新規な熱電変換材料に関
し、シリコンやガラスなどの所要基板上に、Siが主なSi
リッチ層と添加元素が主な添加元素リッチ層を成膜、積
層し、さらに熱処理を加えて、積層方向及び/又は各層
にSiリッチ相の粒界に添加元素のリッチ相を分散させた
組織を生成することにより、ゼーベック係数が極めて大
きくかつ熱伝導率が小さくなり、熱電変換効率を著しく
高め、資源的に豊富なSiが主体で環境汚染が極めて少な
いことを特徴とする薄膜状の多結晶Si系熱電変換材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換素子は、最近の産業界において
要求の高い熱エネルギーの有効利用の観点から実用化が
期待されているデバイスであり、例えば、廃熱を利用し
て電気エネルギーに変換するシステムや、屋外で簡単に
電気を得るための小型携帯用発電装置、ガス機器の炎セ
ンサー等、非常に広範囲の用途が検討されている。
【0003】この熱エネルギーから電気エネルギーへの変換
効率は、性能指数ZTの関数であり、ZTが高いほど高くな
る。この性能指数ZTは(1)式のように表されている。 ZT=α2σT/κ (1)式 ここで、αは熱電材料のゼーベック係数、σは電気伝導
率、κは熱伝導率、そしてTは熱電素子の高温側(TH)と
低温側(TL)の平均値で表した絶対温度である。
【0004】今までに知られている熱電変換材料であるFeSi
2、SiGe等のケイ化物は資源的に豊富であるが、前者は
性能指数(ZT)は0.2以下でその変換効率が低くかつ使用
温度範囲が非常に狭く、後者は資源的に乏しいGeの含有
量が20〜30at%程度でなければ熱伝導の低下は見られ
ず、またSiとGeは全律固溶の液相線と固相線の幅広い状
態をもち、溶解やZL法(Zone-Leveling)では組成を均一
に作製するのが困難で工業化し難い等の理由から汎用さ
れるには至っていない。
【0005】現在、最も高い性能指数を示すスクッテルダイ
ト型結晶構造を有するIrSb3を初め、BiTe、PbTe等のカ
ルコゲン系化合物は高効率の熱電変換能力を有すること
が知られているが、地球環境保全の観点からみれば、こ
れらの重金属系元素の使用は今後規制されていくことが
予想される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、Siは高いゼーベ
ック係数を有する反面、熱伝導率が非常に高いために、
高効率の熱電材料には適していないと考えられ、その熱
電特性の研究はキャリヤー濃度1018(Mm3)以下のSiに限
られていた。
【0007】ところが、発明者らは、Si単体に各種元素を添
加すること、例えば、Siに微量の3族あるいは5族元素と
少量のGeを複合添加することにより、熱伝導率を下げる
ことが可能で、従来から知られるSi-Ge系、Fe-Si系に比
べ、ゼーベック係数が同等以上、あるいは所定のキャリ
ヤー濃度で極めて高くなることを知見し、Si単体が有す
る本質的な長所を損ねることなく、熱電変換材料として
大きな性能指数を示し高性能化できることを知見した。
【0008】また、発明者らは、Siに種々元素を添加してP
型半導体とN型半導体を作製し、その添加量と熱電特性
の関係を調査検討した結果、添加量つまりキャリヤー濃
度が1018(M/m3)まではキャリヤーの増加と共にゼーベッ
ク係数は低下するが、1018〜1019(M/m3)にかけて極大値
を持つことを知見した。
【0009】この発明は、発明者らが知見したこの新規なSi
系熱電変換材料が有する高いゼーベック係数を有し、電
気伝導度を損なうことなく、容易に製造できる構成や集
積回路の製造方法と同方法で容易に製造できる構成から
なる多結晶Si系熱電変換材料とその製造方法の提供を目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、種々の添加
元素を添加したSi系熱電変換材料において、高いゼーベ
ック係数が得られる機構について鋭意調査したところ、
この新規なSi系材料は、図3に示すごとくSiが主体とな
るSiリッチ相の粒界に当該添加元素のリッチ相が形成さ
れた組織を有することを知見した。
【0011】さらに発明者らは、結晶組織の検討を加えたと
ころ、ゼーベック係数が高くなるのは、結晶粒界に添加
元素を凝集させ、そこでキャリヤーの伝導を大きくし、
結晶粒内のSiリッチ相で高いゼーベック係数が得られる
ことを知見し、ゼーベック係数を高く保ち、熱伝導率を
低下させる方法として、成分系以外に結晶組織の制御を
検討したところ、Siリッチ相と添加元素リッチ相を溶
解、凝固時の冷却速度を制御することによって、これら
の相が材料内に所要配置で分散した組織が得られること
を知見した。
【0012】そこで発明者らは、かかる組織、構造を有する
Si系熱電変換材料を簡単に実現できる構成や製造方法に
ついて鋭意検討した結果、SiまたはSiが主体となるSiリ
ッチ層と添加元素リッチ層とを例えば交互に成膜、積層
し、その後熱処理を加えることにより、積層厚み方向に
あるいは各層毎に図3と同等の組織が得られること、ま
た、Siと所要添加元素とのSiリッチ層、所要添加元素が
主体でSiも含有する添加元素リッチ層とを交互に成膜、
積層することにより、溶解、凝固時の冷却速度を制御し
て得た組織と同等構成が得られ、前記の高い性能指数を
有する材料が基板に成膜するだけの簡単な方法で得られ
ることを知見し、この発明を完成した。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明による熱電変換材料の特
徴である、Siが主体となるSiリッチ相の粒界に前記添加
元素のリッチ相が形成された組織について説明すると、
例えば、アーク溶解によりSi1-xGex(at%)溶湯を作製
し、その溶解後の冷却を急冷として作製すると、図2の
模式図に示すごとく、Siのみまたは添加元素を含むがほ
とんどがSiであり、Siが主体となるSiリッチ相と、この
Siリッチ相の粒界に添加元素が偏析した添加元素リッチ
相とが形成された組織が得られる。
【0014】また、Geに変えてPやBの添加元素の結晶粒界へ
の析出とn型とp型Siのキャリヤー濃度との関係を調査し
たところ、添加量とキャリヤー濃度との相関は一致して
増加することを確認し、Siリッチ相の粒界に前記添加元
素のリッチ相が形成された組織によって、結晶粒界に添
加元素を凝集させ、そこでキャリヤーの伝導を大きく
し、結晶粒内のSiリッチ相で高いゼーベック係数が得ら
れることを確認した。
【0015】さらに、このSi系熱電変換材料の熱伝導率は、
キャリヤー濃度を増加させるに従って小さくなることを
確認した。これは結晶中の添加元素による不純物の局在
フォノンの散乱によりκphが低下したためであると考え
られる。
【0016】この発明による熱電変換材料は、単結晶や多結
晶シリコン基板、ガラスやセラミックス基板、樹脂基板
など、あるいは樹脂膜、他の成膜上など、例えば熱電変
換素子を形成するのに利用できる公知のいずれの基板、
膜も使用でき、かかる基板、膜にSi層又はSiが主体とな
るSiリッチ層と、SiをP型半導体又はN型半導体となすた
めの単独又は複数の添加元素が主体となる添加元素リッ
チ層とが積層された構成、すなわち、基板上にSi層又は
Siリッチ層と添加元素リッチ層との積層体が形成された
構成を特徴としている。
【0017】例えば、図1Aに示す構成例は、結晶面が(111)
または(100)の単結晶シリコン基板上に、まず添加元素
リッチ層としてGe+Pの薄膜層を所要厚みに成膜し、次に
Siリッチ層としてSiのみの薄膜層を所要厚みに成膜し、
さらに上記のGe+Pの薄膜層とSiの薄膜層とを交互に積層
してある。
【0018】積層後に、例えば真空中で873K、1時間の熱処
理を施すと、図1Bに示すごとく、各薄膜層間で拡散が生
じ、Siが拡散してきたGe+P+ΔSiの薄膜層と、GeとPが拡
散してきたSi+ΔP+ΔGeの薄膜層が交互に積層された積
層体ができる。図1AでSiリッチ層がSi+P薄膜層の場合
は、熱処理後はSi+P層がSi+ΔGe+Pの薄膜層となる。
【0019】また、図2に示すごとく、添加元素リッチ層と
してGeとPが主体でSiも含むGe+P+Siの薄膜層を所要厚み
に成膜し、次にSiリッチ層としてSi+Geの薄膜層を所要
厚みに成膜し、さらに上記のGe+P+Siの薄膜層とSi+Geの
薄膜層とを交互に積層することにより、図1Bの熱処理後
の積層状態を実現することが可能である。
【0020】単結晶シリコン基板上に成膜、積層された図1B
または図2に示す積層体は、その厚み方向、すなわち積
層方向に図3に示すSiが主体となるSiリッチ相と、このS
iリッチ相の粒界に添加元素が偏析した添加元素リッチ
相とが形成された組織を具現化したことと同等であり、
拡散熱処理した場合には各薄膜層平面で見ても類似した
組織が形成されており、この積層体は、所要量のGeとP
を含有するSi系溶湯を急冷して得た図3と同等の組織を
有した熱電変換材料となる。
【0021】従って、上述のSi層又はSiリッチ層と添加元素
リッチ層の各厚みやその積層厚み比は、目的とするSi系
熱電変換材料の組成に応じて、これらが適宜分散するよ
うにSiリッチ層と添加元素リッチ層の各組成や厚みを選
定する必要が有り、Siリッチ層と添加元素リッチ層の各
組成を積層毎に変化させたり、積層パターンを上記の単
なる交互でない種々のパターンや種々の組成の組合せと
するなど、少なくとも図3に示す組織を積層方向に具現
化できれば、いずれの積層手段も採用可能である。
【0022】上述のごとく基板上に成膜、積層された熱電変
換材料は、この積層体全体で後述の組成となるように適
宜選定されており、また積層方向に図3に示す組織を形
成してあるため、目的とする熱電変換素子の温度勾配方
向が上記の積層方向となるように、当該Si系熱電変換材
料によるP型半導体、S型半導体、電極膜などを適宜のパ
ターンで成膜、積層することにより、容易に熱電変換素
子を得ることができる。
【0023】成膜、積層方法は、公知の蒸着、スパッタリン
グ、CVDなどの気相成長法、放電プラズマ処理法、添加
元素を含有するガスを用いたプラズマ処理法などいずれ
の成長、成膜方法も採用できる。また、後述するように
添加元素はいずれの元素も添加できるため、元素の種類
によって採用される手段が選択可能な場合から、限定さ
れるなど種々のケースが想定され、さらに、複合添加す
る場合の組み合せる元素によって選定した手段の処理条
件も種々異なるため、目的とする組成に応じて上記手
段、条件を適宜選定する必要がある。また熱処理方法
は、目的とする各層間に拡散を生じる条件であれば、い
ずれの温度条件、雰囲気、加熱方法も採用可能である。
【0024】この発明による熱電変換材料は、ダイヤモンド
型結晶構造を有する多結晶Si半導体中に各種不純物を添
加してキャリヤー濃度を調整することにより、Si単体が
有する本来的な長所を損ねることなく、電気抵抗を下げ
てゼーベック係数を向上させて、性能指数を飛躍的に高
めたP型半導体とN型半導体の高効率のSi系熱電変換材料
である。
【0025】ここで、熱電変換材料の用途を考慮すると、熱
源、使用箇所や形態、扱う電流、電圧の大小などの用途
に応じて異なる条件によって、ゼーベック係数、電気伝
導率、熱伝導率などの特性のいずれかに重きを置く必要
が生じるが、この発明の熱電変換材料は、選択元素の添
加量によりキャリヤー濃度を選定できる。
【0026】例えば、前述の添加元素αの元素を単独又は複
合して0.001原子%〜0.5原子%含有して、キャリヤー濃度
が1017〜1020(M/m3)であるP型半導体が得られ、また、
添加元素αを0.5原子%〜5.0原子%含有して、キャリヤー
濃度が1019〜1021(M/m3)であるP型半導体が得られる。
【0027】同様に、前述の添加元素βの元素を単独又は複
合して0.001原子%〜0.5原子%含有して、キャリヤー濃度
が1017〜1020(M/m3)であるN型半導体が得られ、また、
添加元素βを0.5原子%〜10原子%含有して、キャリヤー
濃度が1019〜1021(M/m3)であるN型半導体が得られる。
【0028】前述の添加元素αあるいは添加元素βの元素を
含有させて、キャリヤー濃度が1019〜1021(M/m3)となる
ように0.5〜5.0原子%添加したとき、高効率な熱電変換
素子が得られ、優れた熱電変換効率を有するが、その熱
伝導率が室温で50〜150W/m・K程度であり、熱伝導率を
低下させることができれば、さらに性能指数ZTを向上さ
せることが期待できる。
【0029】一般に、固体の熱伝導率はフォノンによる伝導
とキャリヤーによる伝導との和で与えられる。Si系半導
体の熱電変換材料の場合、キャリヤー濃度が小さいた
め、フォノンによる伝導が支配的となる。よって、熱伝
導率を下げるためにはフォノンの吸収または散乱を大き
くしてやる必要がある。フォノンの吸収または散乱を大
きくするためには、結晶粒径や結晶構造の規則性を乱し
てやることが効果的である。
【0030】そこで、Siへの添加元素について種々検討した
結果、Siに、3族元素と5族元素の各々を少なくとも1種
ずつ添加して、キャリヤー濃度を1019〜1021(M/m3)に制
御することにより、Si中のキャリヤー濃度を変えずに結
晶構造を乱してやることが可能で、熱伝導率を30〜90%
低下させ、室温で150W/m・K以下にすることができ、高
効率な熱電変換材料が得られることを知見した。
【0031】また、上記構成の熱電変換材料において、3族
元素を5族元素より0.3〜5原子%多く含有させるとP型半
導体が得られ、5族元素を3族元素より0.3〜5原子%多く
含有させるとN型半導体が得られる。
【0032】さらに、3族元素と5族元素以外で熱伝導率の低
下が達成できるか検討したところ、Siに、3‐5族化合物
半導体あるいは2‐6族化合物半導体を添加して、さらに
3族元素または5族元素の少なくとも1種を添加し、キャ
リヤー濃度を1019〜1021(M/m3)に制御することにより、
Si中のキャリヤー濃度を変えずに結晶構造を乱してやる
ことが可能で、熱伝導率が室温で150W/m・K以下にする
ことができ、高効率な熱電変換材料が得られる。
【0033】また、Siへの他の添加元素について種々検討し
た結果、SiにGe,C,Snの4族元素を0.1〜5原子%含有し、S
iの元素の一部を原子量の異なる4族元素に置換させてや
ることにより、結晶中のフォノンの散乱が大きくなり、
半導体の熱伝導率を20〜90%低下させ、室温で150W/m・K
以下にすることが可能であること、さらに3族元素を0.1
〜5.0原子%含有させてP型半導体となした熱電変換材
料、さらに5族元素を0.1〜10原子%含有させてN型半導体
となした熱電変換材料が得られる。
【0034】この発明の熱電変換材料において、以上の3族
元素や5族元素以外の元素で、同様にSiに添加可能であ
るかを調査したところ、P型、N型半導体になるものであ
れば、特に制限されるものはないが、あまりイオン半径
の異なる元素を添加すると、ほとんどが粒界相に析出し
てしまうので、イオン半径はSiのそれに比較的近い元素
が好ましく、P型半導体となすための添加元素αとし
て、また、N型半導体となすための添加元素βとして、
以下のグループの元素の単独又は複合添加が特に有効で
あることを確認した。
【0035】添加元素αとしては、添加元素A(Be,Mg,Ca,Sr,
Ba,Zn,Cd,Hg,B,Al,Ga,In,Tl)、遷移金属元素M1(M1;Y,M
o,Zr)の各群であり、添加元素βとしては、添加元素B
(N,P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te)、遷移金属元素M2(M2;Ti,V,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,P
t,Au、但しFeは10原子%以下)、希土類元素RE(RE;La,Ce,
Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Lu)の各群がある。
【0036】またさらに、P型半導体となすための添加元素
αとN型半導体となすための添加元素βを、各群より少
なくとも1種ずつ総量で0.002原子%〜20原子%含有し、例
えば、P型半導体を得るには、添加元素αの総量が添加
元素βのそれを超えてP型半導体となるのに必要量だけ
含有すれば、各群の組合せは任意に選定できる。
【0037】
【実施例】実施例1 Si(111)ウェーハを10-6Torrの真空チャンバー内に挿入
し、電子ビーム加熱にて表1に示す元素をA層とB層とし
てそれぞれ表1に示す厚みで交互に50回成膜、積層させ
た。
【0038】得られたSiウェーハ上の試料を5×15mm、10×1
0mm、外径10mmの形状に切断加工し、それぞれのゼーベ
ック係数、ホール係数(キャリヤー濃度と電気伝導率を
含む)、熱伝導率をSiウェーハと共に測定した。1100Kに
おける測定値と、性能指数(ZT=S2T/ρκ)を表2に示す。
【0039】ゼーベック係数は、昇温しながら高温部と低温
部の温度差を約6Kになるように設定し、試料の熱起電力
をデジタルマルチメーターで測定した後、温度差で割っ
た値として求めた。また、ホール係数の測定は、交流法
により行い、キャリヤー濃度と同時に四端子法により電
気抵抗を測定した。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法
により測定を行った。
【0040】実施例2 Si(111)ウェーハ基板を10-2Torrの真空チャンバー内に
挿入し、スパッタにて表3に示す元素をA層とB層として
それぞれ表1に示す厚みで交互に50回成膜、積層させ
た。
【0041】得られたSiウェーハ上の試料を5×15mm、10×1
0mm、外径10mmの形状に切断加工し、それぞれのゼーベ
ック係数、ホール係数(キャリヤー濃度と電気伝導率を
含む)、熱伝導率をSiウェーハと共に測定した。1100Kに
おける測定値と、性能指数(ZT=S2T/ρκ)を表4に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】この発明による熱電変換材料は、主体の
Siが地球環境、地球資源さらに安全性の点からも優れて
おり、しかも比重が小さく軽いために自動車用の熱電変
換素子として非常に好都合であり、またSiは耐食性に優
れているために、表面処理等が不要であるという利点が
ある。
【0047】この発明による熱電変換材料は、Siを主体に用
いることから、高価なGeを多量に含んだSi-Ge系材料よ
りも安価であり、Fe-Si系よりも高い性能指数が得られ
る。さらに、この発明に用いるSiは、半導体デバイス用
に比べてはるかに純度が低いために原料は比較的安価に
入手でき、単に成膜、積層する簡単な方法で生産でき、
生産性が良く品質が安定した安価な熱電変換材料が得ら
れる。
【0048】この発明による熱電変換材料は、キャリヤー濃
度の大きいところでゼーベック係数が大きく、電気抵抗
も小さいSiの特徴を活かし、且つ熱伝導率の大きい欠点
を大幅に低下させて、性能指数の大きな材料を得るのに
有効な方法である。また、添加元素の種類や量によりそ
の物性値を制御できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による熱電変換材料の積層状態を示す
説明図であり、Aは積層後、Bは熱処理後の状態を示す。
【図2】この発明による熱電変換材料の他の積層状態を
示す説明図である。
【図3】この発明による熱電変換材料の結晶組織を示す
模式説明図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板又は膜上に、Si層又はSiが主体とな
    るSiリッチ層と、SiをP型半導体又はN型半導体となすた
    めの単独又は複数の添加元素が主体となる添加元素リッ
    チ層とが積層されて形成された積層体からなり、全体組
    成が前記添加元素を0.001原子%〜20原子%含有するSiか
    らなる熱電変換材料。
  2. 【請求項2】 請求項1において、積層体に熱処理が施さ
    れた熱電変換材料。
  3. 【請求項3】 請求項1において、P型半導体となすため
    の添加元素(添加元素αという)とN型半導体となすため
    の添加元素(添加元素βという)を、各群より少なくとも
    1種ずつ総量で0.002原子%〜20原子%含有し、添加元素α
    またはβの総量が相対する添加元素βまたはαのそれを
    超えてP型半導体又はN型半導体となすために必要量だけ
    含有した熱電変換材料。
  4. 【請求項4】 請求項1において、P型半導体となすため
    の添加元素(添加元素α)は、添加元素A(Be,Mg,Ca,Sr,B
    a,Zn,Cd,Hg,B,Al,Ga,In,Tl)、遷移金属元素M1(M1;Y,Mo,
    Zr)の各群から選択する1種又は2種以上であり、N型半導
    体となすための添加元素(添加元素β)は、添加元素B(N,
    P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te)、遷移金属元素M 2(M2;Ti,V,Cr,M
    n,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,A
    u、但しFeは10原子%以下)、希土類元素RE(RE;La,Ce,Pr,
    Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Lu)の各群から選択す
    る1種又は2種以上である熱電変換材料。
  5. 【請求項5】 請求項1において、3‐5族化合物半導体あ
    るいは2‐6族化合物半導体を1〜10原子%、さらに添加元
    素A(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Hg,B,Al,Ga,In,Tl)または添
    加元素B(N,P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te)の少なくとも1種を1
    〜10原子%含有した熱電変換材料。
  6. 【請求項6】 請求項1において、Ge,C,Snの少なくとも1
    種を0.1〜5原子%と、添加元素A(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,
    Hg,B,Al,Ga,In,Tl)または添加元素B(N,P,As,Sb,Bi,O,S,
    Se,Te)の各添加元素群から単独又は複合して含有した熱
    電変換材料。
  7. 【請求項7】 基板又は膜上に、Si層又はSiが主体とな
    るSiリッチ層と、SiをP型半導体又はN型半導体となすた
    めの単独又は複数の添加元素が主体となる添加元素リッ
    チ層とを積層し、形成した積層体の全体組成を前記添加
    元素が0.001原子%〜20原子%含有するSi系材料となす熱
    電変換材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、積層後の積層体に熱処
    理を施す熱電変換材料の製造方法。
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