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JP2000261044A - 熱電変換材料とその製造方法 - Google Patents

熱電変換材料とその製造方法

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Publication number
JP2000261044A
JP2000261044A JP11063088A JP6308899A JP2000261044A JP 2000261044 A JP2000261044 A JP 2000261044A JP 11063088 A JP11063088 A JP 11063088A JP 6308899 A JP6308899 A JP 6308899A JP 2000261044 A JP2000261044 A JP 2000261044A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric conversion
conversion material
atomic
type semiconductor
additive element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11063088A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiro Sadatomi
信裕 貞富
Osamu Yamashita
治 山下
Tsunekazu Saigo
恒和 西郷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP11063088A priority Critical patent/JP2000261044A/ja
Priority to US09/674,978 priority patent/US7002071B1/en
Priority to KR10-2000-7012611A priority patent/KR100419488B1/ko
Priority to CNB008005028A priority patent/CN100385694C/zh
Priority to CA002331533A priority patent/CA2331533A1/en
Priority to PCT/JP2000/001469 priority patent/WO2000054343A1/ja
Priority to AU29415/00A priority patent/AU752619B2/en
Priority to EP00908000A priority patent/EP1083610A4/en
Publication of JP2000261044A publication Critical patent/JP2000261044A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Siに種々の添加元素を20原子%以下含有させ
た新規なSi系熱電変換材料が有する高いゼーベック係数
を有し、電気伝導度を損なうことなく、熱伝導率をさら
に低下させて高性能化、あるいはさらにゼーベック係数
を向上させる。 【解決手段】 所要組成のSi系材料の粉末を得て、これ
を焼結し、Siリッチ相の粒界に添加元素のリッチ相を分
散させた組織となすことにより、ゼーベック係数が極め
て大きくかつ熱伝導率が小さくなり、熱電変換効率を著
しく高めることが可能で、資源的に豊富なSiが主体で環
境汚染が極めて少ない焼結体からなる多結晶Si系熱電変
換材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、Siに種々の添加
元素を20原子%以下含有させた焼結体からなる新規な熱
電変換材料に関し、所要組成のSi系材料の粉末を得て、
これを焼結し、Siリッチ相の粒界に添加元素のリッチ相
を分散させた組織となすことにより、ゼーベック係数が
極めて大きくかつ熱伝導率が小さくなり、熱電変換効率
を著しく高めることが可能で、資源的に豊富なSiが主体
で環境汚染が極めて少ないことを特徴とする焼結体から
なる多結晶Si系熱電変換材料に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換素子は、最近の産業界において
要求の高い熱エネルギーの有効利用の観点から実用化が
期待されているデバイスであり、例えば、廃熱を利用し
て電気エネルギーに変換するシステムや、屋外で簡単に
電気を得るための小型携帯用発電装置、ガス機器の炎セ
ンサー等、非常に広範囲の用途が検討されている。
【0003】この熱エネルギーから電気エネルギーへの変換
効率は、性能指数ZTの関数であり、ZTが高いほど高くな
る。この性能指数ZTは(1)式のように表されている。 ZT=α2σT/κ (1)式 ここで、αは熱電材料のゼーベック係数、σは電気伝導
率、κは熱伝導率、そしてTは熱電素子の高温側(TH)と
低温側(TL)の平均値で表した絶対温度である。
【0004】今までに知られている熱電変換材料であるFeSi
2、SiGe等のケイ化物は資源的に豊富であるが、前者は
性能指数(ZT)が0.2以下でその変換効率が低くかつ使用
温度範囲が非常に狭く、後者は資源的に乏しいGeの含有
量が20〜30at%程度でなければ熱伝導の低下は見られ
ず、またSiとGeは全律固溶の液相線と固相線の幅広い状
態をもち、溶解やZL法(Zone-Leveling)では組成を均一
に作製するのが困難で工業化し難い等の理由から汎用さ
れるには至っていない。
【0005】現在、最も高い性能指数を示すスクッテルダイ
ト型結晶構造を有するIrSb3を初め、BiTe、PbTe等のカ
ルコゲン系化合物は高効率の熱電変換能力を有すること
が知られているが、地球環境保全の観点からみれば、こ
れらの重金属系元素の使用は今後規制されていくことが
予想される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、Siは高いゼーベ
ック係数を有する反面、熱伝導率が非常に高いために、
高効率の熱電材料には適していないと考えられ、その熱
電特性の研究はキャリヤー濃度1018(Mm3)以下のSiに限
られていた。
【0007】ところが、発明者らは、Si単体に各種元素を添
加すること、例えば、Siに微量の3族あるいは5族元素と
少量のGeを複合添加することにより、熱伝導率を下げる
ことが可能で、従来から知られるSi-Ge系、Fe-Si系に比
べ、ゼーベック係数が同等以上、あるいは所定のキャリ
ヤー濃度で極めて高くなることを知見し、Si単体が有す
る本質的な長所を損ねることなく、熱電変換材料として
大きな性能指数を示し高性能化できることを知見した。
【0008】また、発明者らは、Siに種々元素を添加してP
型半導体とN型半導体を作製し、その添加量と熱電特性
の関係を調査検討した結果、添加量つまりキャリヤー濃
度が1018(M/m3)まではキャリヤーの増加と共にゼーベッ
ク係数は低下するが、1018〜1019(M/m3)にかけて極大値
を持つことを知見した。
【0009】この発明は、発明者らが知見したこの新規なSi
系熱電変換材料が有する高いゼーベック係数を有し、電
気伝導度を損なうことなく、熱伝導率をさらに低下させ
て高性能化、あるいはさらにゼーベック係数を向上させ
ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、種々の添加
元素を添加したSi系熱電変換材料において、高いゼーベ
ック係数が得られる機構について鋭意調査したところ、
この新規なSi系材料は、Siが主体となるSiリッチ相の粒
界に当該添加元素のリッチ相が形成された組織を有する
ことを知見した。
【0011】さらに発明者らは、結晶組織の検討を加えたと
ころ、ゼーベック係数が高くなるのは、結晶粒界に添加
元素を凝集させ、そこでキャリヤーの伝導が大きくなる
ため、結晶粒内のSiリッチ相で高いゼーベック係数が得
られることを知見した。
【0012】そこで発明者らは、ゼーベック係数を高く保
ち、熱伝導率を低下させる方法として、成分系以外に結
晶組織の制御を検討したところ、溶融凝固にて通常冷却
あるいは急冷して得られた原料を粉砕し、その粉砕粉を
例えばホットプレスまたはプラズマ焼結で成形、焼結す
ることにより、結晶粒径を1〜50μmと微細にでき、Siリ
ッチ相と添加元素リッチ相が材料内に所要配置で分散し
た構造を持ち、高い性能指数を有する材料が得られるこ
とを知見した。
【0013】すなわち、この発明は、Siに、P型半導体とな
すための添加元素(添加元素αという)又はN型半導体と
なすための添加元素(添加元素βという)を単独又は複合
にて0.001原子%〜20原子%含有するように溶解し、溶融
物を通常冷却あるいは急冷して得られた材料を粉末化
し、これを成形、焼結することにより、Siが主体となる
Siリッチ相の粒界に前記添加元素のリッチ相が形成され
た組織を有する焼結体からなる熱電変換材料を得ること
を特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明による熱電変換材料の特
徴である、Siが主体となるSiリッチ相の粒界に前記添加
元素のリッチ相が形成された組織について説明すると、
高純度Si(10N)へのGe(4N)の添加量を種々変えてアーク
溶解によりSi1-xGex溶湯(at%)を作製し、その溶解後の
冷却速度を50K/sec〜200K/secと急冷して試料用基板を
作製し、結晶組織をEPMAで観察したところ、x=0.03の場
合、図1Aに示すごとく、写真の黒いところは添加元素を
含むがほとんどがSiであり、Siが主体となるSiリッチ相
であって、写真の白いところが添加元素Geのリッチ相で
あり、Siリッチ相の粒界にGeのリッチ相が分散あるいは
多く形成された組織であることが分かる。
【0015】また、上記Si1-xGex溶湯にはPを微量ドープし
ていたが、このPのみを観察したところ、EPMA写真を図1
Bに示すごとく、白いところがドープしたPの存在箇所を
示し、上述した図1AのGeリッチ相が形成されたSiリッチ
相の粒界と同位置にPが偏析した組織であることが分か
る。
【0016】要するに、この発明による熱電変換材料の組織
は、図2の模式図に示すごとく、Siのみまたは添加元素
を含むがほとんどがSiであり、Siが主体となるSiリッチ
相と、このSiリッチ相の粒界に添加元素が偏析した添加
元素リッチ相とが形成された組織である。
【0017】なお、溶解後の冷却速度を50K/secで冷却して
試料用基板を作製し、その後基板を粉砕して、平均粒径
30μmの粉末となし、さらに1250〜1350℃で焼結して得
た、試料の結晶組織をEPMAで観察した結果、溶融凝固に
よる図1と同様組織であること、さらにSiリッチ相のサ
イズが10〜100μmと比較的小さいことを確認した。
【0018】また、Geに変えてPやBの添加元素の結晶粒界へ
の析出とn型とp型Siのキャリヤー濃度との関係を調査し
たところ、添加量とキャリヤー濃度との相関は一致して
増加することを確認し、Siリッチ相の粒界に前記添加元
素のリッチ相が形成された組織によって、結晶粒界に添
加元素を凝集させ、そこでキャリヤーの伝導を大きく
し、結晶粒内のSiリッチ相で高いゼーベック係数が得ら
れることを確認した。
【0019】さらに、このSi系熱電変換材料の熱伝導率は、
キャリヤー濃度を増加させるに従って小さくなることを
確認した。これは結晶中の添加元素による不純物の局在
フォノンの散乱によりκphが低下したためであると考え
られる。
【0020】焼結体からなるSi系熱電変換材料の特徴である
Siリッチ相の粒界にGeなどの添加元素のリッチ相が分
散、形成された組織は、焼結時に原料粉末粒子内の固溶
している添加元素の偏折が起こり形成されるものであ
り、また焼結用粉末自体の結晶組織を同様組織としてお
くことも有効で、これは溶製後の冷却速度の制御によっ
て得られ、急冷により結晶粒径は比較的小さく抑えら
れ、結晶粒界に適度なSi以外の添加元素の偏析が起こ
り、これによって高い電気伝導率にもかかわらず、高い
ゼーベック係数を示す材料、粉末が得られ、さらにこの
粉末を用いて焼結することにより、焼結時の添加元素の
偏折がより容易にかつ有効になり、高いゼーベック係数
を示す焼結体のSi系熱電変換材料が得られる。
【0021】この発明において、上記のごとく結晶粒界に適
度なSi以外の添加元素の偏析が少ない原料であっても、
これを粉砕し焼結することによって、焼結時に所要の偏
折が発生して、目的の組織を得ることができるため、Si
系溶解材の冷却速度は、特に限定されるものでない。
【0022】この発明によるSi系熱電変換材料は、Si系溶解
材を冷却して上述の組織を得るが、溶解方法としては、
アーク溶解法、高周波溶解法が量産に最適で好ましい。
また、Si系溶解材の冷却速度は、後述する添加元素の種
類や組合せ、添加量など、さらには採用する冷却方法並
びに得られる鋳塊、薄板、基板、リボンなどの形態によ
って、適宜選定される。
【0023】この発明において、Si系熱電変換材料を得るた
めの冷却方法としては、鋳塊のまま冷却する方法、ある
いは引き上げながら冷却する方法、例えば、公知の単結
晶シリコンを得るためのCZ法、FZ法を利用して、多結晶
シリコンが得られる条件で引上げ、冷却する方法が採用
できる。この引上げ法では比較的結晶粒径が大きくな
る。また、前述のZL法にて製造することも可能である。
【0024】さらに、Si系溶解材を浅いプレートに流し込み
冷却してより薄板を作製する方法や、公知のメルトクエ
ンチ法などのロール冷却法を利用して、所要厚みの薄板
が得られるよう冷却速度を制御するなど、いずれの方法
であっても採用できる。
【0025】例えば、Si系溶解材を浅いプレートに流し込み
冷却したり、プレートを水冷したり冷やし金を当てたり
するなどの方法の場合、例えば、50K/sec以上の冷却速
度で冷却させることが適当で、これにより結晶粒径は数
100μm以下に抑えられ、高いゼーベック係数が得られ
る。好ましい冷却速度は、50K/sec〜500K/secであり、
平均結晶粒径を10μm〜200μmにすることが可能であ
る。
【0026】この発明において、特に焼結用粉末自体の結晶
組織を図2の組織となして原料粉末に高いゼーベック係
数を付与した粉末を用いるには、溶製後の冷却速度を急
冷とすることが必要である。例えば、メルトクエンチな
どのロール冷却法、ガスアトマイズなどの噴霧法などい
ずれの方法であって採用できる。特にロール冷却法や噴
霧法では冷却速度が500K/sec〜1000K/sec程度と速く、
結晶粒径を1〜50μmと微細にでき、熱伝導率を低下させ
ることが可能である。
【0027】粉末の作製方法としては、鋳塊や薄板を公知の
スタンプミルやボールミルなどの公知の機械的粉砕する
などのほか、メルトクエンチで超急冷して得たリボンや
細片を粉砕したりして、平均粒径が10〜100μmの粉末に
するとよい、噴霧法では結晶粒径を1〜10μmと微細にで
き、かつ粉末粒径も3〜50μmと微細粉末が得られ、焼結
後の粒成長が少なく、焼結原料粉末として最適である。
【0028】この発明において、焼結方法は、Siの融点近傍
の1200〜1350℃程度で焼成できれば、いずれの方法でも
よく、圧縮成形してから焼結する通常焼成法、圧縮成形
しながら焼結するホットプレス、放電プラズマ焼結など
の公知の焼結手段を適宜選定できる。なお、選定した焼
結手段に応じて、真空又は不活性ガス中の雰囲気で、温
度は1200〜1350℃、焼結時間は0.5時間以上保持する好
適条件を適宜選定するとよい。
【0029】この発明による熱電変換材料は、焼結により、
ダイヤモンド型結晶構造を有する多結晶Si半導体中に各
種不純物を添加した組織となして、キャリヤー濃度を調
整することにより、Si単体が有する本来的な長所を損ね
ることなく、電気抵抗を下げてゼーベック係数を向上さ
せて、性能指数を飛躍的に高めたP型半導体とN型半導体
の高効率のSi系熱電変換材料である。
【0030】ここで、熱電変換材料の用途を考慮すると、熱
源、使用箇所や形態、扱う電流、電圧の大小などの用途
に応じて異なる条件によって、ゼーベック係数、電気伝
導率、熱伝導率などの特性のいずれかに重きを置く必要
が生じるが、この発明の熱電変換材料は、選択元素の添
加量によりキャリヤー濃度を選定できる。
【0031】例えば、前述の添加元素αの元素を単独又は複
合して0.001原子%〜0.5原子%含有して、キャリヤー濃度
が1017〜1020(M/m3)であるP型半導体が得られ、また、
添加元素αを0.5原子%〜5.0原子%含有して、キャリヤー
濃度が1019〜1021(M/m3)であるP型半導体が得られる。
【0032】同様に、前述の添加元素βの元素を単独又は複
合して0.001原子%〜0.5原子%含有して、キャリヤー濃度
が1017〜1020(M/m3)であるN型半導体が得られ、また、
添加元素βを0.5原子%〜10原子%含有して、キャリヤー
濃度が1019〜1021(M/m3)であるN型半導体が得られる。
【0033】前述の添加元素αあるいは添加元素βの元素を
含有させて、キャリヤー濃度が1019〜1021(M/m3)となる
ように0.5〜5.0原子%添加したとき、高効率な熱電変換
素子が得られ、優れた熱電変換効率を有するが、その熱
伝導率が室温で50〜150W/m・K程度であり、熱伝導率を
低下させることができれば、さらに性能指数ZTを向上さ
せることが期待できる。
【0034】一般に、固体の熱伝導率はフォノンによる伝導
とキャリヤーによる伝導との和で与えられる。Si系半導
体の熱電変換材料の場合、キャリヤー濃度が小さいた
め、フォノンによる伝導が支配的となる。よって、熱伝
導率を下げるためにはフォノンの吸収または散乱を大き
くしてやる必要がある。フォノンの吸収または散乱を大
きくするためには、結晶粒径や結晶構造の規則性を乱し
てやることが効果的である。
【0035】Siに、3族元素と5族元素の各々を少なくとも1
種ずつ添加して、キャリヤー濃度を1019〜1021(M/m3)に
制御することにより、Si中のキャリヤー濃度を変えずに
結晶構造を乱してやることが可能で、熱伝導率を30〜90
%低下させ、室温で150W/m・K以下にすることができ、高
効率な熱電変換材料が得られる。
【0036】また、上記構成の熱電変換材料において、3族
元素を5族元素より0.3〜5原子%多く含有させるとP型半
導体が得られ、5族元素を3族元素より0.3〜5原子%多く
含有させるとN型半導体が得られる。
【0037】さらに、3族元素と5族元素以外で熱伝導率の低
下が達成できるか検討したところ、Siに、3‐5族化合物
半導体あるいは2‐6族化合物半導体を添加して、さらに
3族元素または5族元素の少なくとも1種を添加し、キャ
リヤー濃度を1019〜1021(M/m3)に制御することにより、
Si中のキャリヤー濃度を変えずに結晶構造を乱してやる
ことが可能で、熱伝導率が室温で150W/m・K以下にする
ことができ、高効率な熱電変換材料が得られる。
【0038】また、Siへの他の添加元素について種々検討し
た結果、SiにGe,C,Snの4族元素を0.1〜5原子%含有し、S
iの元素の一部を原子量の異なる4族元素に置換させてや
ることにより、結晶中のフォノンの散乱が大きくなり、
半導体の熱伝導率を20〜90%低下させ、室温で150W/m・K
以下にすることが可能であること、さらに3族元素を0.1
〜5.0原子%含有させてP型半導体となした熱電変換材
料、さらに5族元素を0.1〜10原子%含有させてN型半導体
となした熱電変換材料が得られる。
【0039】この発明の熱電変換材料において、以上の3族
元素や5族元素以外の元素で、同様にSiに添加可能であ
るかを調査したところ、P型、N型半導体になるものであ
れば、特に制限されるものはないが、あまりイオン半径
の異なる元素を添加すると、ほとんどが粒界相に析出し
てしまうので、イオン半径はSiのそれに比較的近い元素
が好ましく、P型半導体となすための添加元素αとし
て、また、N型半導体となすための添加元素βとして、
以下のグループの元素の単独又は複合添加が特に有効で
あることを確認した。
【0040】添加元素αとしては、添加元素A(Be,Mg,Ca,Sr,
Ba,Zn,Cd,Hg,B,Al,Ga,In,Tl)、遷移金属元素M1(M1;Y,M
o,Zr)の各群であり、添加元素βとしては、添加元素B
(N,P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te)、遷移金属元素M2(M2;Ti,V,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,P
t,Au、但しFeは10原子%以下)、希土類元素RE(RE;La,Ce,
Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Lu)の各群がある。
【0041】またさらに、P型半導体となすための添加元素
αとN型半導体となすための添加元素βを、各群より少
なくとも1種ずつ総量で0.002原子%〜20原子%含有し、例
えば、P型半導体を得るには、添加元素αの総量が添加
元素βのそれを超えてP型半導体となるのに必要量だけ
含有すれば、各群の組合せは任意に選定できる。
【0042】
【実施例】実施例1 P型およびN型のSi熱電半導体を作製するために、高純度
Si(10N)と添加元素を表1に示すように配合した後、黒鉛
るつぼを用いて高周波溶解炉にて真空溶解した。溶解後
10mm厚みの鋳型に鋳込み、そのインゴットを砕いた後、
スタンプミルおよびボールミルにて平均結晶粒径1〜50
μmに粉砕した。ボールミルは湿式でキシレン溶媒を用
いた。
【0043】粉砕した原料粉末を1325K×1時間、1000kgf/cm
2、Ar中でホットプレスを行い焼結体を得た。得られた
焼結体試料を、5×5×15mm、10×10×2mm、外径10×2mm
の形状に切断加工し、それぞれのゼーベック係数、ホー
ル係数(キャリヤ濃度と電気伝導率を含む)、熱伝導率を
測定した。1100Kにおける測定値と、性能指数(ZT=S2T/
ρκ)を表2に示す。
【0044】ゼーベック係数は、昇温しながら高温部と低温
部の温度差を約6Kになるように設定し、試料の熱起電力
をデジタルマルチメーターで測定した後、温度差で割っ
た値として求めた。また、ホール係数の測定は、交流法
により行い、キャリヤ濃度と同時に四端子法により電気
抵抗を測定した。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法に
より測定を行った。
【0045】実施例2 P型およびN型のSi熱電半導体を作製するために、高純度
Si(10N)と添加元素を表3に示すように配合した後、黒鉛
るつぼを用いて高周波溶解炉で真空溶解した。溶解後10
mm厚みの鋳型に鋳込み、板状インゴットを得た。その後
インゴットを粉砕し、さらに、スタンプミルおよびジェ
ットミルにて平均結晶粒径1〜30μmに微粉砕した。ジェ
ットミルはN2ガスを用い、圧力は7kgf/cm2で行った。
【0046】微粉砕した原料粉末を5×5×15mm、10×10×2m
m、外径10×2mmの形状に2000kgf/cm2の圧力で圧縮成形
し、1325K×5時間、真空中で焼結を行った。得られた焼
結体のそれぞれのゼーベック係数、ホール係数(キャリ
ヤ濃度と電気伝導率を含む)、熱伝導率を実施例1と同方
法で測定した。1100Kにおける測定値と、性能指数(ZT=S
2T/ρκ)を表4に示す。
【0047】実施例3 P型およびN型のSi熱電半導体を作製するために、高純度
Si(10N)と添加元素を表5に示すように配合した後、黒鉛
るつぼを用いて高周波溶解炉で真空溶解した。溶解され
た溶湯は内径3mmのノズルから出湯し、その溶湯にArガ
スを30kgf/cm2で吹きつけて急冷し、平均粒径30〜100μ
mの球状のアトマイズ粉を得た。このアトマイズ粉の冷
却速度は500〜1000K/secであり、平均結晶粒径は1〜30
μmであった。
【0048】得られたアトマイズ粉をAr雰囲気中で放電プラ
ズマ焼結した。焼結条件は1325K×3分間で行った。焼結
体試料は、5×5×15mm、10×10×2mm、外径10×2mmの形
状に切断加工し、それぞれのゼーベック係数、ホール係
数(キャリヤ濃度と電気伝導率を含む)、熱伝導率を実施
例1と同方法で測定した。1100Kにおける測定値と、性能
指数(ZT=S2T/ρκ)を表6に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【発明の効果】この発明による熱電変換材料は、主体の
Siが地球環境、地球資源さらに安全性の点からも優れて
おり、しかも比重が小さく軽いために自動車用の熱電変
換素子として非常に好都合であり、またバルク状のSiは
耐食性に優れているために、表面処理等が不要であると
いう利点がある。
【0056】この発明による熱電変換材料は、Siを主体に用
いることから、高価なGeを多量に含んだSi-Ge系材料よ
りも安価であり、Fe-Si系よりも高い性能指数が得られ
る。さらに、この発明に用いるSiは、半導体デバイス用
に比べてはるかに純度が低いために原料は比較的安価に
入手でき、生産性が良く、品質が安定した安価な熱電変
換材料が得られる。
【0057】この発明による熱電変換材料は、キャリヤ濃度
の大きいところでゼーベック係数が大きく、電気抵抗も
小さいSiの特徴を活かし、且つ熱伝導率の大きい欠点を
大幅に低下させて、性能指数の大きな材料を得るのに有
効な方法である。また、添加元素の種類や量によりその
物性値を制御できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による熱電変換材料の結晶組織をEPMA
で観察した写真であり、Aは添加元素Geの偏折、Bは添加
元素Pの偏折を示す。
【図2】この発明による熱電変換材料の結晶組織を示す
模式説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西郷 恒和 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 4K020 AA21 AC07 AC09 BA02 BB29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siに、P型半導体又はN型半導体となすた
    めの添加元素を、単独又は複合にて0.001原子%〜20原子
    %含有し、Siが主体となるSiリッチ相の粒界に前記添加
    元素のリッチ相が形成された組織を有する焼結体からな
    る熱電変換材料。
  2. 【請求項2】 請求項1において、P型半導体となすため
    の添加元素(添加元素αという)とN型半導体となすため
    の添加元素(添加元素βという)を、各群より少なくとも
    1種ずつ総量で0.002原子%〜20原子%含有し、添加元素α
    またはβの総量が相対する添加元素βまたはαのそれを
    超えてP型半導体又はN型半導体となすために必要量だけ
    含有した熱電変換材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、P型半導
    体となすための添加元素(添加元素α)は、添加元素A(B
    e,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Hg,B,Al,Ga,In,Tl)、遷移金属元
    素M1(M1;Y,Mo,Zr)の各群から選択する1種又は2種以上で
    あり、N型半導体となすための添加元素(添加元素β)
    は、添加元素B(N,P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te)、遷移金属元
    素M2(M2;Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,T
    a,W,Re,Os,Ir,Pt,Au、但しFeは10原子%以下)、希土類元
    素RE(RE;La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Lu)
    の各群から選択する1種又は2種以上である熱電変換材
    料。
  4. 【請求項4】 請求項1において、3‐5族化合物半導体あ
    るいは2‐6族化合物半導体を1〜10原子%、さらに添加元
    素A(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Hg,B,Al,Ga,In,Tl)または添
    加元素B(N,P,As,Sb,Bi,O,S,Se,Te)の少なくとも1種を1
    〜10原子%含有した熱電変換材料。
  5. 【請求項5】 請求項1において、Ge,C,Snの少なくとも1
    種を0.1〜5原子%と、添加元素A(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,
    Hg,B,Al,Ga,In,Tl)または添加元素B(N,P,As,Sb,Bi,O,S,
    Se,Te)の各添加元素群から単独又は複合して含有した熱
    電変換材料。
  6. 【請求項6】 Siに、P型又はN型半導体となすための添
    加元素を単独又は複合にて0.001原子%〜20原子%含有す
    る材料を粉末化し、これを焼結し、Siが主体となるSiリ
    ッチ相の粒界に前記添加元素のリッチ相が形成された組
    織を有する焼結体を得る熱電変換材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 Siに、P型又はN型半導体となすための添
    加元素を単独又は複合にて0.001原子%〜20原子%含有す
    るように溶解した溶融物を急冷し、得られた材料を粉末
    化し、これを焼結し、Siが主体となるSiリッチ相の粒界
    に前記添加元素のリッチ相が形成された組織を有する焼
    結体を得る熱電変換材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、平均結晶粒径が1μm〜
    50μm、平均粒径が3μm〜100μmの粉末を焼結する熱電
    変換材料の製造方法。
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