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JP2000251796A - 電子線装置、画像形成装置、および電子線装置の製造方法 - Google Patents

電子線装置、画像形成装置、および電子線装置の製造方法

Info

Publication number
JP2000251796A
JP2000251796A JP11048891A JP4889199A JP2000251796A JP 2000251796 A JP2000251796 A JP 2000251796A JP 11048891 A JP11048891 A JP 11048891A JP 4889199 A JP4889199 A JP 4889199A JP 2000251796 A JP2000251796 A JP 2000251796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
spacer
electron beam
electron
tension member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11048891A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihisa Sano
義久 左納
Hideaki Mitsutake
英明 光武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP11048891A priority Critical patent/JP2000251796A/ja
Publication of JP2000251796A publication Critical patent/JP2000251796A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組み立て後の耐大気圧構造のためのスペーサ
が熱プロセスでずれないで設計どうりの信頼性を保つこ
とができる電子線装置及び画像形成装置を提供する。 【解決手段】 この電子線装置は、リアプレート101
5とフェースプレート1017を接合するとき、フェー
スプレート1017をスペーサ1020に接触させて、
スペーサ1020に荷重を加え、その力を、引っ張り部
材1031と被引っ張り部材1030の接触部の滑りに
よってスペーサ長手方向に転換することで、スペーサ1
020に引っ張り力を加えてスペーサ1020の伸展を
生じさせる構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出する電
子源を用いた電子線装置およびこれを用いた画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば表面伝導型放出素子や、電界放出
型素子(以下、FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属
型放出素子(以下、MIM型と記す)、などが知られて
いる。
【0003】表面伝導型放出素子としては、たとえば、
M.I.Elinson,Radio Eng.Ele
ctron Phys.,10,1290,(196
5)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solid Fi
lms”,9,317(1972)]や、In23/S
nO2薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:“IEEE Trans.
ED Conf.”,519(1975)]や、カーボ
ン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図34に前述のM.Hartwel
lらによる素子の平面図を示す。同図において、符号3
001は基板を示す。符号3004はスパッタで形成さ
れた金属酸化物よりなる導電性薄膜を示す。導電性薄膜
3004は図34に示すようにH字形の平面形状に形成
されている。導電性薄膜3004に後述の通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部
3005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1
[mm],Wは、0.1[mm]で設定されている。
尚、図示の便宜から、電子放出部3005は導電性薄膜
3004の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的
なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に
表現しているわけではない。
【0006】M.Hartwellらによる素子をはじ
めとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放
出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと
呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005
を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォー
ミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直
流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっく
りとしたレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、
導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしく
は変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部30
05を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは
変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、
亀裂が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜
3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付
近において電子放出が行われる。
【0007】また、FE型の例は、たとえば、W.P.
Dyke&W.W.Dolan,“Field emi
ssion”,Advance in Electro
nPhysics,8,89(1956)や、あるい
は、 C.A.Spindt,“Physical p
roperties of thin−filmfi
eld emission cathodes wit
h molybd−enium cones”,J.A
ppl.Phys.,47,5248(1976)など
が知られている。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例として、図
35に前述のC.A.Spindtらによる素子の断面
図を示す。同図において、符号3010は基板で、符号
3011は導電材料よりなるエミッタ配線、符号301
2はエミッタコーン、符号3013は絶縁層、符号30
14はゲート電極を示す。本素子は、エミッタコーン3
012とゲート電極3014の間に適宜の電圧を印加す
ることにより、エミッタコーン3012の先端部より電
界放出を起こさせるものである。
【0009】また、FE型の他の素子構成として、図3
5に示すような積層構造ではなく、基板上に基板平面と
ほぼ平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0010】また、MIM型の例としては、たとえば、
C.A.Mead,“Operation of tu
nnel−emission Devices,J.A
ppl.Phys.,32,646(1961)”など
が知られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図
36に示す。同図は断面図であり、図36において、符
号3020は基板で、符号3021は金属よりなる下電
極、符号3022は厚さ100オングストローム程度の
薄い絶縁層、符号3023は厚さ80〜300オングス
トローム程度の金属よりなる上電極を示す。MIM型に
おいては、上電極3023と下電極3021の間に適宜
の電圧を印加することにより、上電極3023の表面よ
り電子放出を起こさせるものである。
【0011】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒー
ターを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構
造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、
基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱
溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒ
ーターの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは
異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利
点もある。
【0012】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われてきている。たとえば、表面伝導型放
出素子は、冷陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造
も容易であることから、大面積にわたり多数の素子を形
成できる利点がある。そこで、たとえば本出願人による
特開昭64−31332において開示されるように、多
数の素子を配列して駆動するための方法が研究されてい
る。
【0013】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0014】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP 5,066,883や特
開平2−257551や特開平4−28137において
開示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビー
ムの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた
画像表示装置が研究されている。表面伝導型放出素子と
蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の
他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されて
いる。たとえば、近年普及してきた液晶表示装置と比較
しても、自発光型であるためバックライトを必要としな
い点や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0015】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、たとえば本出願人によるUSP4,904,89
5に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応
用した例として、たとえば、R.Meyer らにより
報告された平板型表示装置が知られている。[R.Me
yer:“Recent Developmenton
Micro−tips Display at LE
TI”,Tech.Digest of 4th In
t. Vacuum Micro ele−ctron
ics Conf.,Nagahama,pp.6〜9
(1991)]
【0016】また、MIM型を多数個並べて画像表示装
置に応用した例は、たとえば本出願人による特開平3−
55738に開示されている。
【0017】上記のような電子放出素子を用いた画像形
成装置のうちで、奥行きの薄い平面型表示装置は省スペ
ースかつ軽量であることから、ブラウン管型の表示装置
に置き換わるものとして注目されている。
【0018】図37は平面型の画像表示装置をなす表示
パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示すた
めにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、符号
3115はリアプレート、符号3116は側壁、符号3
117はフェースプレートを示し、リアプレート311
5、側壁3116およびフュースプレート3117によ
り、表示パネルの内部を真空に維持するための外囲器
(気密容器)が形成されている。
【0019】リアプレート3115には基板3111が
固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子
3112が、N×M個形成されている。(N、Mは2以
上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適
宜設定される。)また、前記N×M個の冷陰極素子31
12は、図37に示すとおり、M本の行方向配線311
3とN本の列方向配線3114により配線されている。
これら基板3111、冷陰極素子3112、行方向配線
3113および列方向配線3114によって構成される
部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。また、行方向配線3
113と列方向配線3114の少なくとも交差する部分
には、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、電
気的な絶縁が保たれている。
【0020】フェースプレート3117の下面には、蛍
光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤
(R)、緑(G)、育(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けられ
ており、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115
側の面には、Al等からなるメタルバック3119が形
成されている。
【0021】図中のDx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線3113と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線3114と、Hvはメタルバック31
19と各々電気的に接続されている。
【0022】また、上記気密容器の内部は10のマイナ
ス6乗Torr程度の真空に保持されており、画像表示
装置の表示面積が大きくなるにしたがい、気密容器内部
と外部の気圧差によるリアプレート3115およびフェ
ースプレート3117の変形あるいは破壊を防止する手
段が必要となる。リアプレート3115およびフェース
プレート3116を厚くすることによる方法は、画像表
示装置の重量を増加させるのみならず、斜め方向から見
たときに画像のゆがみや視差を生ずる。これに対し、図
J4においては、比較的薄いガラス板からなり大気圧を
支えるための構造支持体(スペーサあるいはリブと呼ば
れる)3120が設けられている。このようにして、マ
ルチビーム電子源が形成された基板3111と蛍光膜3
118が形成されたフェースプレート3116間は通常
サブミリないし数ミリに保たれ、前述したように気密容
器内部は高真空に保たれている。
【0023】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子3112に電圧を印加する
と、各冷陰極素子3112から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック3119に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高電圧を印加して、上
記放出された電子を加速し、フェースプレート3117
の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜3118をな
す各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示され
る。
【0024】構造支持体3120は構造的に必要な本
数、効率的に配置される。構造支持体3120を画像領
域よりも短い長さに形成し画像領域内に配置するとき
は、リアプレート3115とフェースプレート3117
のいずれかまたはその両者の画像領域内に接続部材を用
いて固定する。また構造支持体3120のいずれかまた
はその両者の画像領域内に接続部材を用いて固定する。
また構造支持体3120を画像領域とその周辺部の両方
にまたがる場合は、周辺部に固定手段を施すことも可能
である。
【0025】画像領域よりも長い構造支持体3120で
は、両端を固定するのみで耐大気圧構造をとることがで
きる。表示パネルを構成する支持体や、リアプレート3
115、フェースプレート3117に固定されていて構
造支持体の入る幅の溝をもつブロックなどに、構造支持
体3120を固定することができる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した画像形成
装置の表示パネルにおいては以下のような問題点があっ
た。
【0027】パネルの組立工程において、画像形成領域
の外辺を跨ぎ、画像形成領域外でスペーサを固定する
と、フェースプレートやリアプレートのそりなどの変形
が生じた場合や、パネルを構成する部材の熱膨張係数の
差により熱処理プロセスにおいてスペーサにたわみが生
じることがある。これにより、本来配線上に配置される
はずであったスペーサが配線からずれてしまう。その結
果、スペーサがリアプレート、フェースプレートと設計
どおり接しなくなり、構造上、強度が低下しパネル内部
に真空を形成できなくなる。
【0028】またスペーサのずれによって、配線近傍の
電子放出素子からの電子軌道に干渉したり、素子近傍の
電場を乱すことにより電子軌道が歪んで画像表示に影響
を与えてしまうことがある。
【0029】本発明の目的は、上記従来技術の問題点に
鑑み、組み立て後の耐大気圧構造のためのスペーサが熱
プロセスでずれないで設計どおりの信頼性を保つことが
できる電子線装置およびこれを用いた画像形成装置、電
子線装置の製造方法を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、電子が放出される領域を有する第1基板
と、放出された電子が照射される領域を有する第2基板
と、前記第1基板と前記第2基板を固定するための枠
と、前記第1基板と前記第2基板の間に耐大気圧構造の
ために配置されたスペーサとからなる外囲器を形成する
電子線装置において、前記第1基板または前記第2基板
のなす平面に対して傾いていて前記第1基板側または前
記第2基板側に向いた稜あるいは面を有し、該稜あるい
は面が互いに前記スペーサの長手方向内向きになるよう
に前記スペーサの両端にそれぞれ固定された被引っ張り
部材と、前記被引っ張り部材の稜あるいは面の向けられ
た前記第1基板または前記第2基板に固定され、前記被
引っ張り部材の前記稜に少なくとも1点接触する点を有
するか、あるいは前記面に接する線または面を有する引
っ張り部材とを備えたことを特徴とする。
【0031】この構成では、前記引っ張り部材および前
記被引っ張り部材が、前記電子放出領域と前記電子照射
領域とで挟まれる空間の外側に配置されている。
【0032】また、前記引っ張り部材と前記被引っ張り
部材の接触部が、前記引っ張り部材については少なくと
も局部的に曲率を有する凸状であり、前記被引っ張り部
材は、曲率を有する凸状、または、鋭角もしくは鈍角の
凸状、直線、前記引っ張り部材より大きな曲率を有する
凹状、のいずれか、またはそれらの組み合わせで構成さ
れていることが考えられる。
【0033】また、前記引っ張り部材と前記被引っ張り
部材の接触部が、前記引っ張り部材については直線を有
し、前記被引っ張り部材は、曲率を有する凸状、また
は、鋭角もしくは鈍角の凸状、引っ張り部材と平行な直
線、のいずれか、またはそれらの組み合わせで構成され
ていることが考えられる。
【0034】また、前記引っ張り部材と前記被引っ張り
部材の接触部が、前記引っ張り部材については少なくと
も局部的に曲率を有する凹状であり、前記被引っ張り部
材は、引っ張り部材より小さい曲率を有する凸状、また
は、鋭角もしくは鈍角の凸状、のいずれか、またはそれ
らの組み合わせで構成されていることが考えられる。
【0035】また、前記引っ張り部材と前記被引っ張り
部材の接触部が、前記引っ張り部材については鋭角もし
くは鈍角の凸状であり、前記被引っ張り部材は、曲率を
有する凸状、または、鋭角もしくは鈍角の凸状、直線、
曲率を有する凹状、のいずれか、またはそれらの組み合
わせで構成されていることが考えられる。
【0036】上記のような接触部における形状は、前記
引っ張り部材を前記被引っ張り部材に代えると同時に、
前記被引っ張り部材を前記引っ張り部材に代えて構成し
てもよい。
【0037】さらに上記の電子線装置では、前記スペー
サの基板が絶縁性であることが好ましい。この場合、前
記スペーサの基板の表面に高抵抗薄膜が形成されている
ことを特徴とし、その高抵抗薄膜の表面抵抗が105
1012オーム/□であることが望ましい。
【0038】さらに、前記電子を放出する電子源は冷陰
極素子であることが好ましく、例えば前記冷陰極素子が
表面伝導型電子放出素子であることが考えられる。
【0039】また上記の電子線装置では、前記スペーサ
の、前記第1基板または前記第2基板に接する位置のい
ずれか、あるいは両方に金属を有することが好ましい。
この場合、前記金属が、前記第1基板もしくは前記第2
基板のいずれか、または両方と電気的に接続されてい
る。
【0040】また前記スペーサは、前記電子を放出する
電子源を駆動するための配線上に配置されていることが
好ましい。
【0041】さらに本発明は、前記電子の衝突により画
像が形成される画像形成部材をさらに設けた上記の何れ
かに記載の電子線装置から構成された画像形成装置をも
提案する。
【0042】上記のとおりの電子線装置によれば、前記
外囲器を形成するために前記枠および前記スペーサを介
して前記第1基板と前記第2基板とを接合するとき、前
記スペーサの被引っ張り部材と前記第1基板または前記
第2基板の引っ張り部材との接触により、接合時の荷重
を前記スペーサの長手方向外向きの力に転換して前記ス
ペーサを引っ張り、伸展させることが可能である。これ
により、接合後のスペーサは伸展した状態にあるので、
熱処理プロセスにおいてスペーサは撓むことがない。そ
の結果、組み立て後のスペーサが前記第1基板、前記第
2基板と設計どおり接し、外囲器内の真空を高い信頼性
で維持することができる。
【0043】またスペーサの位置がずれないため、第1
基板側から放出された電子の軌道に影響を与えることも
ない。
【0044】なお、本明細書中の画像領域もしくは画像
形成領域とは、電子が放出する領域と放出電子が照射さ
れる領域とで挟まれる空間をいう。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0046】図1は本発明の画像形成装置の一つの実施
の形態に用いた表示パネルの斜視図であり、内部構造を
示すためにパネルの一部を切り欠いたものである。図
中、符号1015は第1基板であるリアプレート、符号
1016は枠としての側壁、符号1017は第2基板で
あるフェースプレートを示しており、リアプレート10
15と側壁1016とフェースプレート1017によっ
て、表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器
(外囲器)が形成されている。
【0047】また、上記気密容器の内部は10のマイナ
ス6乗[Torr]程度の真空に保持されるので、大気圧
や不意の衝撃などによる気密容器の破壊を防止する目的
で、耐大気圧構造体として、スペーサ1020が設けら
れている。
【0048】リアプレート1015には基板1011が
固定されているが、この基板1011上には冷陰極素子
1012が、N×M個形成されている。(N、Mは2以
上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適
宜設定される。)
【0049】フェースプレート1017の下面には、蛍
光膜1018が形成されている。
【0050】各色の蛍光体は、たとえばストライプ状に
塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の導電
材(不図示)が設けられている(図101(a)参
照)。
【0051】蛍光膜1018のリアプレート1015側
の面には、CRTの分野では公知のメタルバック101
9が設けられている。
【0052】スペーサ1020は、薄板状の絶縁性部材
の表面に高抵抗膜を成膜しかつフェースプレート101
7の内側および基板1011の表面(行方向配線101
3)に面したスペーサの当接面に電極(不図示)が形成
されている。
【0053】薄板状のスペーサ1020は行方向(X方
向)に沿って配置され、冷陰極素子1012および蛍光
膜1018のなす領域に挟まれた範囲から外側まで延長
されており、リアプレート1015上に固定されてい
る。
【0054】スペーサ1020の両端には被引っ張り部
材1030が設けられており、フェースプレート101
7またはリアプレート1015のいずれかに引っ張り部
材1031が、スペーサ1020を引っ張った状態で保
持するために、スペーサ1020の両端の被引っ張り部
材1030が接触して組み合わせられる。
【0055】被引っ張り部材1030は、リアプレート
1015またはフェースプレート1017のなす平面に
対して傾いていてリアプレート1015側またはフェー
スプレート1017側に向いた稜あるいは面を有し、該
稜あるいは面が互いにスペーサ1020の長手方向内向
きになるようにスペーサ1020の両端にそれぞれ固定
されている。
【0056】引っ張り部材1031は、被引っ張り部材
1030の稜あるいは面の向けられたリアプレート10
15またはフェースプレート1017に固定され、組み
立て時に被引っ張り部材1030の前記稜に少なくとも
1点接触する点を有するか、あるいは前記面に接する線
または面を有している。
【0057】「引っ張り部材と被引っ張り部材、スペー
サの組立て」次に、図2〜図5に基づき、引っ張り部材
1031と被引っ張り部材1030、スペーサ1020
の組立て手順について説明する。
【0058】まず、図2に示すようにスペーサ1020
の両端に被引っ張り部材1030を固定する。固定はパ
ネル組立て工程に耐える手段であればよい。また後述す
るが、被引っ張り部材はスペーサの片端のみであっても
よい。
【0059】次にリアプレート1015またはフェース
プレート1017の画像形成領域1032外側に引っ張
り部材1031を配置する。以後、説明を簡単にするた
めに、引っ張り部材1031がリアプレート1015に
固定された場合を説明する。図3に示すようにスペーサ
1020にY方向のずれを生じさせないため、スペーサ
1020の片方の端部につき、引っ張り部材1031を
2個配置する。このとき、引っ張り部材1031間にス
ペーサ1020が挟まる隙間を空けておく。そして、そ
の隙間の延長線と、スペーサ1020が配置される配線
1013とを一致させておく。なお、図6や図7を用い
て後述する、1個でスペーサ1020を狭める溝を持つ
引っ張り部材や、1個で複数のスペーサ1020を狭め
る引っ張り部材などの場合は、スペーサ1020を挟め
る溝を、スペーサ1020が配置される配線1013に
一致させておく。
【0060】次に図4及び図5に示すように、引っ張り
部材1031の隙間または溝にスペーサ1020を挿入
しながら、引っ張り部材1031と、スペーサ1020
に固定された被引っ張り部材1030とを接触させる。
スペーサ1020の両端の被引っ張り部材1030間の
距離は、引っ張り部材1031間の距離よりも小さいた
め、スペーサ1020とリアプレート1015が接触し
ないか、一部のみが接触する。
【0061】次に、フェースプレート1017とリアプ
レート1015の固定について説明する。これらの固定
は図1に示したようにフェースプレート1017とリア
プレート1015の間にスペーサ1020、側壁101
6を配置することで行なわれる。スペーサ1020は側
壁1016と同じあるいは低い高さとする。そのため、
フェースプレート1017とリアプレート1015のギ
ャップはスペーサ1020の高さにより規定される。
【0062】そこで図5(a)に示すように、リアプレ
ート1015のなす面に垂直にフェースプレート101
7をリアプレート1015に近付ける。すると、フェー
スプレート1017がスペーサ1020に接触し、スペ
ーサ1020に荷重が加わる。そして、その力が、引っ
張り部材1031と被引っ張り部材1030の接触部の
滑りによって、図5(b)に示すようにスペーサ長手方
向に荷重転換され、スペーサ1020に引っ張り力が加
わりスペーサ1020の伸展が生じる。その伸展は、フ
ェースプレート1017とリアプレート1015のギャ
ップがスペーサ1020の高さになったときに止まり、
その伸展後の長さでスペーサ1020が固定される。
【0063】以上述べたように、スペーサ1020を介
してフェースプレート1017とリアプレート1015
を固定するとき、リアプレート1015に固定された引
っ張り部材1031によって、被引っ張り部材1030
の固定されたスペーサ1020に伸展を生じさせる。そ
の結果、配線1013上に配置されたスペーサ1020
は、たわみを生じることがない。ゆえに、構造上の強度
が向上し、真空度の維持が確保できた。さらに、スペー
サ1020の位置のずれによって、配線近傍の電子放出
素子からの電子軌道に干渉したり、素子近傍の電場を乱
すことによって電子軌道が歪んで画像表示に影響を与え
ることを防止することができた。
【0064】また、画像形成領域1032の外側の箇所
でスペーサ1020を固定するため、フリットガラスな
ど接着剤を局所的に塗布するのみで良く、加熱を施す場
合も、局所的で良い。加熱の必要でない接着剤では、従
来実施していた熱工程を省略できる。
【0065】さらに、従来スペーサとリアプレートの間
にフリットが介在していたため、スペーサの固定高さに
誤差が生じていたが、本発明では直接スペーサとリアプ
レートが接触するため、スペーサ高さ誤差をなくすこと
ができた。
【0066】「引っ張り部材と被引っ張り部材の配置
例」次に、引っ張り部材1031と被引っ張り部材10
30の配置例を詳述する。
【0067】引っ張り部材1031は、図3に示したよ
うにリアプレート1015の画像形成領域1032外辺
とスペーサ1020の端部が位置する箇所との間に、ス
ペーサ1020を両側から挟むように配置される。この
場合、図3で示したように引っ張り部材1031を並列
に2個配置することによりスペーサ1020を挟み込ん
だ。しかし本発明はこれに限らず、図6に示すようにス
ペーサ両側から挟める溝を持った単体の形状の引っ張り
部材を一個配置してもよい。さらに図7に示すように、
一個で複数のスペーサを挟める溝を持った形状の引っ張
り部材を使用してもよい。また、引っ張り部材1031
はリアプレート1015に固定されることに限らず、フ
ェースプレート1017に固定されてあってもよい。要
は、被引っ張り部材1031との接触においてスペーサ
1020がスペーサ長手方向外向きに引っ張られるよう
に、引っ張り部材1031がリアプレート1015とフ
ェースプレート1017の各々にあるいはいずれか一方
に配置されていればよい。
【0068】一方、被引っ張り部材1030は、スペー
サ1020の端部に固定される。なお、引っ張り部材1
031との接触によりスペーサ1020に伸展を生じさ
せる被引っ張り部材1030は、スペーサ1020の両
端あるいは片端のみでもよい。図8にスペーサ1020
の片端のみに被引っ張り部材1030を設けた例を示
す。この図に示すように被引っ張り部材1030がスペ
ーサ片端のみの場合は、もう片方の端部には、フェース
プレートのなす平面に垂直な方向に接触面を有する固定
部材1034が設けられる。そして、この固定部材10
34の接触面と接する固定部材1035がリアプレート
1015またはフェースプレート1017のいずれかに
設けられている。この場合、組み立て時にスペーサ10
20の片端側の固定部材1034,1035を基準にも
う片端側へ向かってスペーサ1020が伸展する。この
ように、スペーサの一方の端部は組み立て時にスペーサ
長手方向にずれないようにしてもよい。
【0069】さらに図9に被引っ張り部材1030と引
っ張り部材1031の別の配置例を示す。これまで説明
した被引っ張り部材1030はたとえば図2に代表され
るように、スペーサ1020の端部を挟み込むように配
置されていたが、これに限らず、図9に示すようにスペ
ーサ1020の端部近傍の側面に設けられていてもよ
い。
【0070】また、引っ張り部材1031と被引っ張り
部材1030の互いの接触部について、スペーサ102
0の両端の被引っ張り部材1030の接触部間の距離
は、両側の引っ張り部材1031の接触部間の距離より
も小さくなるようにしておくことが望ましい。
【0071】その差は、スペーサに付与する引っ張り量
に相当する。引っ張り量は、パネル組み立てにおいてス
ペーサにたわみが生じない量で、かつ、スペーサの引っ
張り破壊強度を超えない大きさとする。
【0072】スペーサにかかる応力が50MP以下、望
ましくは10MP以下に相当する引っ張り長さが生じる
ような、引っ張り部材と被引っ張り部材の接触部どうし
の組み合わせが望ましい。引っ張りにより生じる引っ張
り長さは、スペーサの長さによって異なる。
【0073】「引っ張り部材と被引っ張り部材の形状」
次に、図10から図12に基づき、引っ張り部材103
1と被引っ張り部材1030の接触部の組み合わされる
各形状について説明する。
【0074】引っ張り部材1031側の接触部は、図1
0の(1)〜(4)に示すように、局部的に曲率を有す
る凸状、直線、局部的に曲率を有する凹状、あるいは鋭
角または鈍角の凸状の形状が可能である。これに対し、
被引っ張り部材1030も同様に、図11の(A)〜
(D)に示すように、局部的に曲率を有する凸状、直
線、局部的に曲率を有する凹状、あるいは鋭角または鈍
角の凸状の形状が可能である。
【0075】しかし、両者の好適な組み合わせは以下の
通りである(図12参照)。
【0076】引っ張り部材1031側の接触部が、曲率
を有する凸状のとき、被引っ張り部材1030のとれる
形状は、曲率を有する凸状、直線、曲率を有する凹状
(ただし引っ張り部材より大きい曲率のもの)、あるい
は鋭角または鈍角の凸状の形状が可能である。
【0077】引っ張り部材1031側の接触部が直線の
とき、被引っ張り部材1030のとれる形状は、曲率を
有する凸状、直線(ただし引っ張り部材の接触部と平行
である)、あるいは鋭角または鈍角の凸状の形状が可能
である。
【0078】引っ張り部材1031側の接触部が、曲率
を有する凹状のとき、被引っ張り部材1030のとれる
形状は、局部的に曲率を有する凸状(ただし引っ張り部
材より小さい曲率のもの)、あるいは、引っ張り部材に
一部のみ接する凸状の角の形状が可能である。
【0079】引っ張り部材1031側の接触部が、角を
有する凸形状の場合、被引っ張り部材1030のとれる
形状は、局部的に曲率を有する凸状、直線、局部的に曲
率を有する凹状が可能である。
【0080】以上は引っ張り部材を基準に考えたが、被
引っ張り部材を基準に考えても同様で、各被引っ張り部
材に可能な引っ張り部材の形状の組み合わせが可能であ
る。
【0081】(その他の実施の形態)本発明は、SCE
以外の冷陰極型電子放出素子のうち、いずれの電子放出
素子に対しても適用できる。具体例としては、本出願人
による特開昭63−274047号公報に記載されたよ
うな対向する一対の電極を電子源を成す基板面に沿って
構成した電界放出型の電子放出素子がある。
【0082】また、本発明は、単純マトリクス型以外の
電子源を用いた画像形成装置に対しても適用できる。例
えば、本出願人による特開平2−257551号公報等
に記載されたような制御電極を用いてSCEの選択を行
う画像形成装置において、電子源と制御電極間等に上記
のような支持部材を用いた場合である。
【0083】(本発明を好適に実施する画像表示装置)
以下では本発明を適用する装置について、画像表示装置
を例にあげて、表示パネルの構成と製造法について具体
的に説明する。
【0084】図1に示した表示パネルでは、基板上に冷
陰極素子1012がN×M個形成されている。N,Mは
2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じ
て適宜設定される。たとえば、高品位テレビジョンの表
示を目的とした表示装置においては、N=3000,M
=1000以上の数を設定することが望ましい。
【0085】前記N×M個の冷陰極素子は、M本の行方
向配線1013とN本の列方向配線1014により単純
マトリクス配線されている。上記の構成部品1011〜
1014によって構成される部分をマルチ電子ビーム源
と呼ぶ。
【0086】本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子
ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子
源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制
限はない。したがって、たとえば表面伝導型放出素子や
FE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いるこ
とができる。
【0087】次に、冷陰極素子として表面伝導型放出素
子(後述)を基板上に配列して単純マトリクス配線した
マルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0088】図13は、図1に示した表示パネルに用い
られたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板101
1上には、後述の図17で示すものと同様な表面伝導型
放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線101
3と列方向配線1014により単純マトリクス状に配線
されている。行方向配線1013と列方向配線1014
の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成
されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0089】図13のB−B’に沿った断面を、図14
に示す。
【0090】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1103、列方向配
線電極1104、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1103および列方向配線電極1104
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理(後
述)と通電活性化処理(後述)を行うことにより製造し
た。
【0091】本実施形態においては、気密容器のリアプ
レート1015にマルチ電子ビーム源の基板1011を
固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板10
11が十分な強度を有するものである場合には、気密容
器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板10
11自体を用いてもよい。
【0092】また、フェースプレート1017の下面に
は、蛍光膜1018が形成されている。本実施形態はカ
ラー表示装置であるため、蛍光膜1018の部分にはC
RTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体
が塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図1
5の(a)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、
蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設
けてある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子
ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれ
が生じないようにする事や、外光の反射を防止して表示
コントラストの低下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜
のチャージアップを防止する事などである。黒色の導電
体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の
目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良
い。
【0093】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図1
5(a)に示したストライプ状の配列に限られるもので
はなく、たとえば図15(b)に示すようなデルタ状配
列や、図16に示すようなそれ以外の配列であってもよ
い。
【0094】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1018に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0095】また、蛍光膜1018のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1019
が設けている。メタルバック1019を設けた目的は、
蛍光膜1018が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜101
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1018を励起し
た電子の導電路として作用させる事などである。メタル
バック1019は、蛍光膜1018をフェースプレート
基板1017上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。
なお、蛍光膜1018に低電圧用の蛍光体材料を用いた
場合には、メタルバック1019は用いない。
【0096】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェースプレート基板1017と蛍光膜1018との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0097】図17は図1のA−A’に沿った断面模式
図であり、各部の符号は図1に対応している。スペーサ
1020は絶縁牲部材1020aの表面に帯電防止を目
的とした高抵抗膜1020bを成膜し、かつフェースプ
レート1017の内側(メタルバック1019等)及び
基板1011の表面(行方向配線1013または列方向
配線1014)に面したスペーサの当接面3及びこれに
接する側面部5に低抵抗膜1020cを成膜した部材か
らなるもので、上記目的を達成するのに必要な数だけ、
かつ必要な間隔をおいて配置される。また、高抵抗膜1
020bは、支持部材1020aの表面のうち、少なく
とも気密容器内の真空中に露出している面に成膜されて
おり、スペーサ1020上の低抵抗膜1020cを介し
て、フェースプレート1017の内側(メタルバック1
019等)及び基板1011の表面(行方向配線101
3または列方向配線1014)に電気的に接続される。
ここで説明される態様においては、スペーサ1020の
形状は薄板状とし、行方向配線1013に平行に配置さ
れ、行方向配線1013に電気的に接続されている。
【0098】スペーサ1020としては、基板1011
上の行方向配線1013および列方向配線1014とフ
ェースプレート1017内面のメタルバック1019と
の間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、
かつスペーサ1020の表面への帯電を防止する程度の
導電性を有する必要がある。この点に関しては、既に述
べた通りである。
【0099】スペーサ1020の支持部材1020aと
しては、例えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減
少したガラス、ソーダライムガラス、アルミナ等のセラ
ミックス部材等が挙げられる。なお、支持部材1020
aはその熱膨張率が気密容器および基板1011を成す
部材と近いものが好ましい。
【0100】また、高抵抗膜1020bとしては、既に
述べたように帯電防止効果の維持及びリーク電流による
消費電力抑制を考慮して、その表面抵抗値が10の5乗
[Ω/□]から10の12乗[Ω/□]の範囲のものであ
ることが好ましく、その材料としては、前述の各種の材
料が用いられる。
【0101】また、低抵抗膜1020cは、高抵抗膜1
020bに比べ十分に低い抵抗値を選択すればよく、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,
Pd等の金属、あるいは合金、及びPd,Ag,Au,
RuO2,Pd−Ag等の金属や金属酸化物とガラス等
から構成される印刷導体、あるいはIn23−SnO 2
等の透明導体及びポリシリコン等の半導体材料等より適
宜選択される。
【0102】接合材1040はスペーサ1020が行方
向配線1013およびメタルバック1019と電気的に
接続するように、導電性をもたせる必要がある。すなわ
ち、導電性接着材や金属粒子や導電性フィラーを添加し
たフリットガラスが好適である。
【0103】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線1013と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線1014と、Hvはフェースプレート
のメタルバック1019と電気的に接続されている。
【0104】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[T
orr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たと
えばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マ
イナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]
の真空度に維持される。
【0105】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子1012に電圧を印加する
と、各冷陰極素子1012から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック1019に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記
の放出された電子を加速し、フェースプレート1017
の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜1018をな
す各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示され
る。
【0106】通常、冷陰極素子である本発明の表面伝導
型放出素子1012への印加電圧は12〜16[V]程
度、メタルバック1019と冷陰極素子1012との距
離dは0.1[mm]から8[mm]程度、メタルバッ
ク1019と冷陰極素子1012間の電圧0.1[k
V]から10[kV]程度である。
【0107】以上、本発明を適用する表示パネルの基本
構成と製法、および画像表示装置の概要を説明した。
【0108】次に、前記表示パネルに用いたマルチ電子
ビーム源の製造方法について説明する。本発明の画像表
示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰極素子を単
純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材
料や形状あるいは製法に制限はない。したがって、たと
えば表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型な
どの冷陰極素子を用いることができる。
【0109】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。す
なわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対
位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極め
て高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしか
も均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コス
トの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表
面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大
面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者
らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしく
はその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電
子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見
いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表示
装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であ
ると言える。そこで、上記実施例の表示パネルにおいて
は、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成
した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適な
表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法および
特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配
線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0110】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0111】「平面型の表面伝導型放出素子」まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図18は平面型の表面伝導型放出素子の
構成を説明するための図で、(a)は平面図、(b)は
断面図である。図中、符号1101は基板、符号110
2と1103は素子電極、符号1104は導電性薄膜、
符号1105は通電フォーミング処理により形成した電
子放出部、符号1113は通電活性化処理により形成し
た薄膜を示す。
【0112】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0113】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn23−SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成しても差しつかえない。
【0114】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメータ
ーの範囲である。
【0115】また、素子電極の厚さdについては、通常
は数百オングストロームから数マイクロメーターの範囲
から適当な数値が選ばれる。
【0116】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0117】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0118】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
2 ,In23 ,PbO,Sb23 などをはじめと
する酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,C
eB6 ,YB4 ,GdB4 などをはじめとする硼化
物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN
などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などをはじ
めとする半導体や、カーボンなどがあげられ、これらの
中から適宜選択される。
【0119】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0120】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図18で示した例におい
ては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積
層したが、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素
子電極、の順序で積層しても差しつかえない。
【0121】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図18においては模式的に示した。
【0122】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0123】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、または非晶質カーボンのいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストローム]以下とするが、300[オングストロー
ム]以下とするのがさらに好ましい。
【0124】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図16においては模式
的に示した。また、図18(a)の平面図においては、
薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0125】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、本実施形態においては以下のような素子を用いた。
【0126】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0127】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0128】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図19の(a)〜(d)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の表記は図18と同一である。
【0129】1)まず、図19(a)に示すように、基
板1101上に素子電極1102および1103を形成
する。
【0130】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。堆積する方法としては、
たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用
いればよい。その後、堆積した電極材料を、フォトリソ
グラフィー・エッチング技術を用いてパターニングし、
図19(a)に示した一対の素子電極(1102と11
03)を形成する。
【0131】2)次に、図19(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0132】形成するにあたっては、まず図19(a)
に示す基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成
処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー
・エッチングにより所定の形状にパターニングする。こ
こで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の
材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である。具
体的には、本実施形態では主要元素としてPdを用い
た。また、塗布方法として、ディッピング法を用いた
が、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法を用
いてもよい。
【0133】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施形態で用いた有機金属溶液の塗
布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0134】3)次に、図19(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する。
【0135】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0136】通電方法をより詳しく説明するために、図
20に、フォーミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ま
しく、本実施形態の場合には同図に示したようにパルス
幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加
した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順
次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモ
ニターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三
角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計
1111で計測した。
【0137】本実施形態においては、たとえば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、
たとえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2
を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割りあいで、モニターパルスPm
を挿入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことが
ないように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1
[V]に設定した。そして、素子電極1102と110
3の間の電気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった
段階、すなわちモニターパルス印加時に電流計1111
で計測される電流が1×10のマイナス7乗[A]以下
になった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終
了した。
【0138】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0139】4)次に、図19(d)に示すように、活
性化用電源1112から素子電極1102と1103の
間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電
子放出特性の改善を行う。
【0140】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。図19(d)におい
ては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1
113として模式的に示した。なお、通電活性化処理を
行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧にお
ける放出電流を典型的には100倍以上に増加させるこ
とができる。
【0141】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、の
いずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500
[オングストローム]以下、より好ましくは300[オ
ングストローム]以下である。
【0142】通電方法をより詳しく説明するために、図
21の(a)に、活性化用電源1112から印加する適
宜の電圧波形の一例を示す。本実施形態においては、一
定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行
ったが、具体的には,矩形波の電圧Vacは14
[V],パルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4
は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本
実施形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件で
あり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、
それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0143】図19(d)中の符号1114は該表面伝
導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するた
めのアノード電極を示し、この電極には直流高電圧電源
1115および電流計1116が接続されている。な
お、基板1101を、表示パネルの中に組み込んでから
活性化処理を行う場合には、表示パネルの蛍光面をアノ
ード電極1114として用いる。
【0144】活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図21(b)に示すが、活性化電源11
12からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過と
ともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほと
んど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ
飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を
停止し、通電活性化処理を終了する。
【0145】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0146】以上のようにして、図19(e)に示す平
面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0147】「垂直型の表面伝導型放出素子」次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0148】図22は、垂直型の表面伝導型放出素子の
基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中
の符号1201は基板、符号1202と1203は素子
電極、符号1206は段差形成部材、符号1204は微
粒子膜を用いた導電性薄膜、符号1205は通電フォー
ミング処理により形成した電子放出部、符号1213は
通電活性化処理により形成した薄膜を示す。
【0149】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(符号1202の電極)が段
差形成部材1206上に設けられており、導電性薄膜1
204が段差形成部材1206の側面を被覆している点
にある。したがって、図18に示した平面型の表面伝導
型放出素子における素子電極間隔Lは、垂直型において
は段差形成部材1206の段差高Lsとして設定され
る。なお、基板1201、素子電極1202および12
03、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、について
は、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いる
ことが可能である。また、段差形成部材1206には、
たとえばSiO2のような電気的に絶縁性の材料を用い
る。
【0150】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図23の(a)〜(f)は、その製
造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図2
0と同一である。
【0151】1)まず、図23(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0152】2)次に、図23(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0153】3)次に、図23(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0154】4)次に、図23(d)に示すように、絶
縁層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、
素子電極1203を露出させる。
【0155】5)次に、図23(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法な
どの成膜技術を用いればよい。
【0156】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する。こ
の場合、図19(c)を用いて説明した平面型の通電フ
ォーミング処理と同様の処理を行えばよい。
【0157】7)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる。ここでも、図19(d)を用い
て説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行え
ばよい。
【0158】以上のようにして、図23(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0159】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0160】図24に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0161】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0162】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0163】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0164】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0165】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0166】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0167】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。
【0168】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0169】図13に示すのは、図1に示した表示パネ
ルに用いられたマルチ電子ビーム源の平面図である。基
板上には、図18で示したものと同様な表面伝導型放出
素子が配列され、これらの素子は行方向配線電極100
3と列方向配線電極1004により単純マトリクス状に
配線されている。行方向配線電極1003と列方向配線
電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層(不
図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれてい
る。
【0170】図13のB−B’線に沿った断面を、図1
4に示す。
【0171】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配
線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0172】(本発明を適用可能な画像装置の駆動回路
の構成例および駆動方法)図25は、NTSC方式のテ
レビ信号に基づいてテレビジョン表示を行う為の駆動回
路の概略構成をプロック図で示したものである。同図
中、表示パネル1701は前述した表示パネルに相当す
るもので、前述した様に製造され、動作する。また、走
査回路1702は表示ラインを走査し、制御回路170
3は走査回路へ入力する信号等を生成する。シフトレジ
スタ1704は1ライン毎のデータをシフトし、ライン
メモリ1705は、シフトレジスタ1704からの1ラ
イン分のデータを変調信号発生器1707に入力する。
同期信号分離回路1706はNTSC信号から同期信号
を分離する。
【0173】以下、図25に示した装置各部の機能を詳
しく説明する。
【0174】まず表示パネル1701は、端子DX1ない
しDxmおよび端子DY1ないしDYn、および高圧端子Hv
を介して外部の電気回路と接続されている。このうち、
端子DX1ないしDxmには、表示パネル1701内に設け
られているマルチ電子ビーム源、すなわちm行n列の行
列状にマトリクス配線された冷陰極素子を1行(n素
子)ずつ順次駆動してゆく為の走査信号が印加される。
一方、端子DY1ないしD Ynには、前記走査信号により選
択された1行分のn個の各素子の出力電子ビームを制御
する為の変調信号が印加される。また、高圧端子Hvに
は、直流電圧源Vaより、たとえば5[kV]の直流電
圧が供給されるが、これはマルチ電子ビーム源より出力
される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネル
ギーを付与する為の加速電圧である。
【0175】次に、走査回路1702について説明す
る。同回路は、内部にm個のスイッチング素子(図25
中、S1ないしSmで模式的に示されている。)を備え
るもので、各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出
力電圧もしくは0[V](グランドレベル)のいずれか
一方を選択し、表示パネル1701の端子DX1ないしD
xmと電気的に接続するものである。S1ないしSmの各
スイッチング素子は、制御回路1703が出力する制御
信号TSCANに基づいて動作するものだが、実際にはたと
えばFETのようなスイッチング素子を組合わせる事に
より容易に構成することが可能である。なお、前記直流
電圧源Vxは、図24に例示した電子放出素子の特性に
基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電
子放出しきい値電圧Vth電圧以下となるよう、一定電
圧を出力するよう設定されている。
【0176】また、制御回路1703は、外部より入力
する画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように
各部の動作を整合させる働きをもつものである。次に説
明する同期信号分離回路1706より送られる同期信号
SYNCに基づいて、各部に対してTSCANおよびTSFT
よびTMRYの各制御信号を発生する。同期信号分離回路
1706は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ
信号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離する為
の回路で、良く知られているように周波数分離(フィル
タ)回路を用いれば容易に構成できるものである。同期
信号分離回路1706により分離された同期信号は、良
く知られるように垂直同期信号と水平同期信号より成る
が、ここでは説明の便宜上、TSYNC信号として図示し
た。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信
号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフト
レジスタ1704に入力される。
【0177】シフトレジスタ1704は、時系列的にシ
リアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライ
ン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記
制御回路1703より送られる制御信号TSFTに基づい
て動作する。すなわち、制御信号TSFTは、シフトレジ
スタ1704のシフトクロックであると言い換えること
もできる。シリアル/パラレル変換された画像1ライン
分(電子放出素子n素子分の駆動データに相当する。)
のデータは、ID1ないしIDNのN個の信号として前記シ
フトレジスタ1704より出力される。
【0178】ラインメモリ1705は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路1703より送られる制御信号TMRYにし
たがって適宜ID1ないしIDNの内容を記憶する。記憶さ
れた内容は、I'D1ないしI' DNとして出力され、変調信
号発生器1707に入力される。
【0179】変調信号発生器1707は、前記画像デー
タI'D1ないしI'DNの各々に応じて、電子放出素子10
15の各々を適切に駆動変調する為の信号源で、その出
力信号は、端子DY1ないしDYnを通じて表示パネル17
01内の電子放出素子1015に印加される。
【0180】図24を用いて説明したように、本発明に
関わる表面伝導型放出素子は放出電流Ieに対して以下
の基本特性を有している。すなわち、電子放出には明確
な閾値電圧Vth(後述する実施形態の表面伝導型放出
素子では8[V])があり、閾値Vth以上の電圧を印
加された時のみ電子放出が生じる。また、電子放出閾値
Vth以上の電圧に対しては、図24のグラフのように
電圧の変化に応じて放出電流Ieも変化する。このこと
から、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、たとえ
ば電子放出閾値Vth以下の電圧を印加しても電子放出
は生じないが、電子放出閾値Vth以上の電圧を印加す
る場合には表面伝導型放出素子から電子ビームが出力さ
れる。その際、パルスの波高値Vmを変化させることに
より出力電子ビームの強度を制御することが可能であ
る。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力
される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能で
ある。
【0181】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器1707として、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの
波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いるこ
とができる。また、パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器1707として、一定の波高値の
電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電
圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路
を用いることができる。
【0182】シフトレジスタ1704やラインメモリ1
705は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式の
ものでも採用できる。すなわち、画像信号のシリアル/
パラレル変換や記憶が所定の速度で行われればよいから
である。
【0183】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路1706の出力信号DATAをデジタル信号
化する必要があるが、これには同期信号分離回路170
6の出力部にA/D変換器を設ければよい。これに関連
してラインメモリ115の出力信号がデジタル信号かア
ナログ信号かにより、変調信号発生器に用いられる回路
が若干異なったものとなる。すなわち、デジタル信号を
用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1707に
は、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回
路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号
発生器1707には、例えば高速の発振器および発振器
の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)および計
数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器
(コンパレータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応
じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を
電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅
器を付加することもできる。
【0184】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器1707には、例えばオペアンプな
どを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてシフトレ
ベル回路などを付加することもできる。パルス幅変調方
式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)
を採用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧まで
電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0185】このような構成をとりうる本発明の適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子DX1ないしDxm、DY1ないしDYnを介して電圧を
印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子Hv
を介してメタルバック1019あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜1018に衝突し、発光が生じて画像
が形成される。
【0186】ここで述べた画像表示装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の思
想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号につい
てはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限るも
のではなく、PAL、SECAM方式など他、これらよ
り多数の走査線からなるTV信号(MUSE方式をはじ
めとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0187】
【実施例】上述の実施の形態で説明したスペーサの引っ
張り部材、被引っ張り部材について具体的な材料、数値
例を挙げて詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。
【0188】(第1実施例)本実施例では図1に示した
表示パネルを作製する場合について図26〜32を参照
して説明する。
【0189】電子源作製 まず図1に示したように、あらかじめ基板1101上に
行方向配線1013、列方向配線1014、電極間絶縁
層(不図示)および表面伝導型電子放出素子1012の
素子電極と導電性薄膜を形成した。
【0190】スペーサ基板の作製 次に、表示パネルの耐大気圧構造体であるスペーサ10
20(図1参照)をソーダライムガラスからなる絶縁性
部材(300mm×2mm×0.2mm)を用いて作製
した。スペーサは加熱延伸法によって断面2mm×0.
2mmとなるものを長く成形し必要に応じて切断した。
【0191】スペーサの高抵抗膜と電極成膜 スペーサ表面のうち、気密容器の画像形成領域内にかか
る4面(300×2、300×0.2の各表裏面)に後
述の高抵抗膜を成膜し、フェースプレート、リアプレー
トに当接する2面(300×0.2の2面)および、3
00×2の面のフェースプレート、リアプレートに接す
る辺から0.1mmの高さまでの領域(300×0.
1)に導電性膜を形成した。高抵抗膜としては、Crお
よびAlのターゲットを同時に高周波電源でスパッタリ
ングすることにより形成したCr−Al合金窒化膜(2
00nm厚、約109[オーム/□])を用いた。導電性
膜は、スペーサに成膜された高抵抗膜とフェースプレー
ト、高抵抗膜とリアプレートの電気的接続を確保する目
的のほかに、スペーサ周辺の電場を抑制し電子放出素子
からの電子線の軌道制御を行う目的がある。
【0192】被引っ張り部材 スペーサに固定される被引っ張り部材1030は図26
及び図27に示すように、8mm(上辺)、7mm(下
辺)、1.5mm(高さ)、8mm(幅)で、厚み(8
mm)の中央にスペーサの入る溝(0.25mm)が形
成されている。引っ張り部材 引っ張り部材1031は図28及び図29に示すよう
に、7mm(上辺)、8mm(下辺)、1.5mm(高
さ)、4mm(幅)とした。この引っ張り部材1031
は、スペーサ端部を挟むため、2個1組で使用される。
【0193】スペーサ組み立て 引っ張り部材1031は前述のように、リアプレートの
画像形成領域1032の外周に、1つのスペーサの片端
につき2個配置される(図1、図3参照)。スペーサ1
020の両端側の引っ張り部材1031は図31に示す
ように互いに斜面をスペーサの長手方向の外に向けて配
置される。各端部の2個の引っ張り部材1031は図2
8に示すように0.25mmの隙間をあけ、無機系の接
着剤でリアプレート1015に固定される。このとき、
その隙間の延長線と、スペーサ1020が配置される配
線1013とを一致させる。
【0194】被引っ張り部材1030は図31に示すよ
うに、斜面が互いにスペーサ長手方向内向きになるよう
にスペーサ1020の両端にそれぞれ固定された。被引
っ張り部材1030の斜面同士の間隔HLは、引っ張り
部材1031の斜面同士の間隔Hより0.03mm狭く
してある。
【0195】次に、スペーサ1020が配線1013の
上に配置される。この時、被引っ張り部材1030の斜
面同士の間隔HLは、引っ張り部材1031の斜面同士
の間隔Hより短いので、図32に示すようにスペーサ1
020の底面はリアプレート1015にすべて接触せず
隙間が生じる。
【0196】リアプレートとフェースプレートの封着 その後、図1に示したように、リアプレート1015上
に側壁1016をフリットガラスを介して設置し、さら
に側壁1016のフェースプレートの接するべき場所に
もフリットガラスを塗布した。フェースプレート101
7は、列配線(Y方向)に延びるストライプ形状の各色
蛍光体からなる蛍光膜1018とメタルバック1019
が内面に付設されている。
【0197】図32に示したようにフェースプレート1
017をスペーサ1020に接触させリアプレート10
15に向かって近付けていくと、スペーサ1020に固
定された被引っ張り部材1030と引っ張り部材103
1との斜面により、スペーサ1020が伸展する。そし
て、この状態で側壁1016とフェースプレート101
7とリアプレート1015とを接合し、400℃乃至5
00℃で10分以上焼成することで封着した。
【0198】電子源プロセスおよび封止 以上のようにして完成した気密容器内を排気管を通じ真
空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外
端子DX1〜Dxm とDY1〜DYnを通じ、行方向配線電極
1013及び列方向配線電極1014を介して各素子に
給電して前述の実施形態で説明した通電フォーミング処
理と通電活性化処理を行うことによりマルチ電子ビーム
源を製造した。
【0199】次に、1×10-6[Torr]程度の真空度
で、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着
し外囲器(気密容器)の封着を行った。
【0200】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0201】画像形成 以上のように完成した、図1に示されるような表示パネ
ルを画像形成装置において、各冷陰極素子(表面伝導型
電子放出素子)1012には、容器外端子DX1〜Dxm
とDY1〜DYnを通じ、走査信号および変調信号を不図示
の信号発生手段によりそれぞれ印加することにより電子
を放出させ、メタルバック1019には、高圧端子Hv
を通じて高電圧を印加することにより放出電子ビームを
加速し、蛍光膜1018に電子を衝突させ、各色蛍光体
を励起・発光させることで画像を表示した。なお、高圧
端子Hvへの印加電圧Vaは3[kV]ないし10[k
V]、各配線1013、1014間への印加電圧Vfは
14[V]とした。
【0202】このとき、スペーサ1020に近い位置に
ある冷陰極素子1012からの放出電子による発光スポ
ットも含め、二次元上に等間隔の発光スポット列が形成
され、鮮明で色再現性の良いカラー画像表示ができた。
【0203】(第2実施例)上記の実施例の他の組み立
て例を図33を参照して説明する。
【0204】本実施例では、各々曲率を有する凸状の接
触部を持つ引っ張り部材と被引っ張り部材を用いてスペ
ーサの固定を行った。
【0205】図33に本実施例で用いた引っ張り部材1
031と被引っ張り部材1030を示した。スペーサの
両端側において引っ張り部材1031と被引っ張り部材
1030は扇状の面が互いに接するように配置される。
【0206】スペーサの組み立ては第1実施例と同様で
ある。
【0207】第1実施例と同様に、フェースプレートと
リアプレートの封着においてスペーサが引っ張られるこ
とで、スペーサの直線性を確保することができた。
【0208】以上述べたように、スペーサ1020を介
してフェースプレート1017とリアプレート1015
を固定したとき、リアプレート1015に固定された引
っ張り部材1031によって被引っ張り部材1030の
固定されたスペーサ1020が伸展した状態にある。
【0209】その結果、配線上に配置されたスペーサは
たわみを生じることがない。ゆえに、構造上の強度が向
上し、真空度の維持が確保できた。さらに、スペーサの
位置のずれによって、配線近傍の電子放出素子からの電
子軌道に干渉したり、素子近傍の電場を乱すことによっ
て電子軌道が歪んで画像表示に影響を与えることを防止
することができた。
【0210】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、組み立て
時にスペーサの被引っ張り部材と、第1基板(リアプレ
ート)と第2基板(フェースプレート)に固定した引っ
張り部材との接触によって、スペーサが、引っ張られた
状態で固定されるため、熱プロセス時のスペーサのたわ
み等を抑えることができ、スペーサによる電場の乱れに
よる、電子源からの電子放出の軌道の妨げを防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な画像表示装置の表示パネル
の一部を切り欠いて示した斜視である。
【図2】図1の被引っ張り部材の構成を説明する組立図
である。
【図3】図1の引っ張り部材の構成を説明する組立図で
ある。
【図4】図1の被引っ張り部材と引っ張り部材との関係
を説明する組立図である。
【図5】図1の被引っ張り部材と引っ張り部材との関係
を説明する組立図である。
【図6】図1の引っ張り部材の他の形状を示す図であ
る。
【図7】図1の引っ張り部材の他の形状を示す図であ
る。
【図8】図1の被引っ張り部材と引っ張り部材をスペー
サ片端のみに配置した図である。
【図9】図1の被引っ張り部材と引っ張り部材の他の配
置を示す図である。
【図10】図1の引っ張り部材の他の形状を示す図であ
る。
【図11】図1の被引っ張り部材の他の形状を示す図で
ある。
【図12】図10及び図11に示した形状の引っ張り部
材と被引っ張り部材の好ましい組み合わせ例を示す図で
ある。
【図13】図1で用いたマルチ電子ビーム源の基板の平
面図である。
【図14】図13のB−B’線に沿った断面図である。
【図15】図1で示した表示パネルのフェースプレート
の蛍光体配列を例示した平面図である。
【図16】図1で示した表示パネルのフェースプレート
の蛍光体配列を例示した平面図である。
【図17】図1のA−A’に沿った断面模式図である。
【図18】平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明す
るための図で、(a)は平面図、(b)は断面図であ
る。
【図19】図18の平面型の表面伝導型放出素子の製造
工程を示す断面図である。
【図20】図19で示す工程中の通電フォーミング処理
の際の印加電圧波形を示すグラフである。
【図21】図19で示す工程中の通電活性化処理を説明
する図で、(a)はその際の印加電圧波形を示し、
(b)は放出電流Ieの変化を示すグラフである。
【図22】平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明す
るための図である。
【図23】図22の垂直型の表面伝導型放出素子の製造
工程を示す断面図である。
【図24】本発明の画像形成装置に用いた表面伝導型放
出素子の典型的な特性を示すグラフである。
【図25】本発明の画像表示装置の駆動回路の構成例を
示すブロック図である。
【図26】本発明の第1実施例による表示パネルに用い
た被引っ張り部材の斜視図である。
【図27】図26の被引っ張り部材の三面図である。
【図28】本発明の第1実施例による表示パネルに用い
た引っ張り部材の斜視図である。
【図29】図28の引っ張り部材の三面図である。
【図30】本発明の第1実施例における被引っ張り部材
と引っ張り部材との配置関係を示す図である。
【図31】本発明の第1実施例における被引っ張り部材
と引っ張り部材の位置関係を示す図である。
【図32】本発明の第1実施例における被引っ張り部材
と引っ張り部材の組み立て説明図である。
【図33】本発明の第2実施例における被引っ張り部材
と引っ張り部材の別の組み合わせを示す図である。
【図34】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示
す図である。
【図35】従来知られたFE型素子の一例を示す図であ
る。
【図36】従来知られたMIM型素子の一例を示す図で
ある。
【図37】従来の画像表示装置の表示パネルの一部を切
り欠いて示した斜視図である。
【符号の説明】
1010 黒色導電材 1011 基板 1012 冷陰極素子 1013 行方向配線 1014 列方向配線 1015 リアプレート 1016 側壁 1017 フェースプレート 1018 蛍光膜 1019 メタルバック 1020 スペーサ 1020a 絶縁性部材 1020b 高抵抗膜 1020c 低抵抗膜 1030 被引っ張り部材 1031 引っ張り部材 1032 画像形成領域 1101、1201 基板 1102、1103、1202、1203 素子電極 1104、1204 導電性薄膜 1105、1205 電子放出部 1110 フォーミング用電源 1111、1116 電流計 1112 活性化用電源 1113、1213 薄膜 1114 アノード電極 1115 直流高電圧電源 1206 段差形成部材

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子が放出される領域を有する第1基板
    と、放出された電子が照射される領域を有する第2基板
    と、前記第1基板と前記第2基板を固定するための枠
    と、前記第1基板と前記第2基板の間に耐大気圧構造の
    ために配置されたスペーサとからなる外囲器を形成する
    電子線装置において、 前記第1基板または前記第2基板のなす平面に対して傾
    いていて前記第1基板側または前記第2基板側に向いた
    稜あるいは面を有し、該稜あるいは面が互いに前記スペ
    ーサの長手方向内向きになるように前記スペーサの両端
    にそれぞれ固定された被引っ張り部材と、 前記被引っ張り部材の稜あるいは面の向けられた前記第
    1基板または前記第2基板に固定され、前記被引っ張り
    部材の前記稜に少なくとも1点接触する点を有するか、
    あるいは前記面に接する線または面を有する引っ張り部
    材とを備えたことを特徴とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 前記引っ張り部材および前記被引っ張り
    部材が、前記電子放出領域と前記電子照射領域とで挟ま
    れる空間の外側に配置されていることを特徴とする請求
    項1に記載の電子線装置。
  3. 【請求項3】 前記引っ張り部材と前記被引っ張り部材
    の接触部が、前記引っ張り部材については少なくとも局
    部的に曲率を有する凸状であり、 前記被引っ張り部材は、曲率を有する凸状、または、鋭
    角もしくは鈍角の凸状、直線、前記引っ張り部材より大
    きな曲率を有する凹状、のいずれか、またはそれらの組
    み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1に
    記載の電子線装置。
  4. 【請求項4】 前記引っ張り部材と前記被引っ張り部材
    の接触部が、前記引っ張り部材については直線を有し、 前記被引っ張り部材は、曲率を有する凸状、または、鋭
    角もしくは鈍角の凸状、引っ張り部材と平行な直線、の
    いずれか、またはそれらの組み合わせで構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記引っ張り部材と前記被引っ張り部材
    の接触部が、前記引っ張り部材については少なくとも局
    部的に曲率を有する凹状であり、 前記被引っ張り部材は、引っ張り部材より小さい曲率を
    有する凸状、または、鋭角もしくは鈍角の凸状、のいず
    れか、またはそれらの組み合わせで構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の電子線装置。
  6. 【請求項6】 前記引っ張り部材と前記被引っ張り部材
    の接触部が、前記引っ張り部材については鋭角もしくは
    鈍角の凸状であり、 前記被引っ張り部材は、曲率を有する凸状、または、鋭
    角もしくは鈍角の凸状、直線、曲率を有する凹状、のい
    ずれか、またはそれらの組み合わせで構成されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子線装置。
  7. 【請求項7】 前記引っ張り部材を前記被引っ張り部材
    に代えると同時に、前記被引っ張り部材を前記引っ張り
    部材に代えて、前記接触部における形状を構成すること
    を特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の電
    子線装置。
  8. 【請求項8】 前記スペーサの基板が絶縁性であること
    を特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電
    子線装置。
  9. 【請求項9】 前記スペーサの基板の表面に高抵抗薄膜
    が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電
    子線装置。
  10. 【請求項10】 前記スペーサの表面に、表面抵抗が1
    5〜1012オーム/□の高抵抗膜を形成したことを特
    徴とする請求項9に記載の電子線装置。
  11. 【請求項11】 前記電子を放出する電子源は冷陰極素
    子であることを特徴とする請求項1から10のいずれか
    1項に記載の電子線装置。
  12. 【請求項12】 前記冷陰極素子が表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項11に記載の電子線
    装置。
  13. 【請求項13】 前記スペーサの、前記第1基板または
    前記第2基板に接する位置のいずれか、あるいは両方に
    金属を有することを特徴とする請求項1から12のいず
    れか1項に記載の電子線装置。
  14. 【請求項14】 前記金属が、前記第1基板もしくは前
    記第2基板のいずれか、または両方と電気的に接続され
    ていることを特徴とする請求項13に記載の電子線装
    置。
  15. 【請求項15】 前記スペーサは、前記電子を放出する
    電子源を駆動するための配線上に配置されていることを
    特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記
    載の電子線装置。
  16. 【請求項16】 前記電子の衝突により画像が形成され
    る画像形成部材をさらに設けた請求項1から15の何れ
    か1項に記載の電子線装置から構成された画像形成装
    置。
  17. 【請求項17】 電子が放出される領域を有する第1基
    板と、放出された電子が照射される領域を有する第2基
    板と、前記第1基板と前記第2基板を固定するための枠
    と、前記第1基板と前記第2基板の間に耐大気圧構造の
    ために配置されたスペーサとを有し、前記第1基板と前
    記第2基板と前記枠により真空を維持する外囲器を形成
    する電子線装置の製造方法であって、 前記外囲器を形成するために前記枠および前記スペーサ
    を介して前記第1基板と前記第2基板とを接合すると
    き、この接合時の荷重を前記スペーサの長手方向外向き
    の力に転換して前記スペーサを引っ張り、伸展させるこ
    とを特徴とする電子線装置の製造方法。
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