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JP2000103925A - 塩化ビニル樹脂のチョーキング防止剤および耐候性に優れる塩化ビニル樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル樹脂のチョーキング防止剤および耐候性に優れる塩化ビニル樹脂組成物

Info

Publication number
JP2000103925A
JP2000103925A JP10271834A JP27183498A JP2000103925A JP 2000103925 A JP2000103925 A JP 2000103925A JP 10271834 A JP10271834 A JP 10271834A JP 27183498 A JP27183498 A JP 27183498A JP 2000103925 A JP2000103925 A JP 2000103925A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
chloride resin
weight
metallic copper
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10271834A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiki Takeshima
鋭機 竹島
Shuichi Sugita
修一 杉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP10271834A priority Critical patent/JP2000103925A/ja
Publication of JP2000103925A publication Critical patent/JP2000103925A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能の塩化ビニル樹脂用チョーキング防止
剤、および耐候性に優れる塩化ビニル樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】 CaCO3,MgO等の無機物粒子表面
に金属銅が、X線回折ピークの半価幅からシェラーの式
によって算出される結晶子径が50nm未満、好ましくは40
nm以下になる大きさで散点状に物理蒸着法等コーティン
グされており、かつ金属銅のコーティング量が0.1〜1.5
重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%になっている無機物
粉末からなる、塩化ビニル樹脂のチョーキング防止剤、
および、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、金属銅が
散点状にコーティングされた上記のような無機物粉末を
0.01〜3.0重量部、好ましくは0.01〜1.0重量部配合し
た、耐候性に優れる塩化ビニル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル樹脂の
チョーキング防止剤、および耐候性に優れる塩化ビニル
樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂は、汎用の熱可塑性樹脂
であるが、熱や光に対して不安定で、樹脂の加熱成型加
工時や塗料の塗装・焼付け時に着色したり、機械的強度
が低下したりする。また成型品や塗装鋼板を屋外で使用
したときには、樹脂自体の耐候性が悪いという欠点があ
る。特に、屋外で長期間使用される雨樋,パイプ,窓
枠,デッキ,波板,屋根,外壁等の外装建材に塩化ビニ
ル樹脂を使用した場合、日光のあたる部分の表面が「チ
ョーキング」と呼ばれる白化現象を起こして、外観が損
なわれることがある。
【0003】これらの欠点を改良するために、従来より
種々の安定剤,紫外線吸収剤,光劣化防止剤などを塩化
ビニル樹脂の中に添加することが行われている。中で
も、有機錫化合物,カドミウムの金属石鹸,鉛の金属石
鹸等は、塩化ビニル樹脂の耐候性を向上させるので、一
般に広く使用されている。しかし、これらの安定剤を含
む塩化ビニル樹脂であっても、使用環境によっては2〜1
0ヶ月後にチョーキング現象が発生し始める。
【0004】特公昭62−41532号公報には、塩化ビニル
樹脂の中に0.001〜0.5重量部の酢酸銅を添加することに
より、チョーキングの発生を18〜24ヶ月間も防止できる
と報告されている。しかし、酢酸銅は空気中で加熱する
と100℃で結晶水を分離し、さらに240℃以上で熱分解す
るという熱に弱い性質を有する。このため150℃以上で
塩化ビニル樹脂の加熱成型加工を行うと結晶水の分離に
よる発泡現象が認められる。また、鋼板上に塩化ビニル
ゾル塗料を塗装した場合、240℃以上で焼付けを行う
と、酢酸銅が熱分解するのでチョーキング防止効果が消
失する。さらに、酢酸銅は空気中で風解し易いため酢酸
臭がしたり、水に溶解し易いので(溶解度:7.2g/20
℃の水100ml中)、屋根や外壁などの外装建材として使
用した場合、雨水や結露水等によって塩化ビニル樹脂中
から溶出するといった欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる状況に
鑑み、従来のチョーキング防止剤の欠点、例えば酢酸銅
に見られる熱に弱い性質,風解性,水溶性などの欠点を
解消した、性能の良い新たなチョーキング防止剤を提供
するとともに、その性能が十分に発揮されて高い耐候性
を示す塩化ビニル樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、無機物粒子表面に金属銅が、X
線回折ピークの半価幅からシェラーの式によって算出さ
れる結晶子径が50nm未満になる大きさで散点状にコーテ
ィングされており、かつ金属銅のコーティング量が0.1
〜1.5重量%になっている無機物粉末からなる、塩化ビ
ニル樹脂のチョーキング防止剤である。
【0007】ここで、シェラーの式は下記(1)式で示さ
れ、したがって「X線回折ピークの半価幅からシェラー
の式によって算出される結晶子径」は下記(1)式によっ
て求められたものを意味する。 D=k×λ/β×cosθ ・・・(1) ただし、 D:結晶子径(nm) k:定数(=0.9) λ:X線の波長(nm) β:回折線の拡がり〔半価幅〕(ラジアン) θ:回折線のブラッグ角(°)
【0008】金属銅のコーティング量(重量%)は、下
記(2)式で定義される。 W=MCu/(MP+MCu)×100 ・・・(2) ただし、 W :金属銅のコーティング量(重量%) MCu:コーティングした金属銅の全重量(g) MP:コーティング前の無機物粉末の全重量(g)
【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、X線回折ピークの半価幅からシェラーの式によって
算出される結晶子径を40nm以下に規定し、かつ金属銅の
コーティング量を0.1〜1.0重量%に規定したものであ
る。
【0010】請求項3の発明は、請求項1または2の発
明における金属銅のコーティングを、特に物理蒸着法に
より無機物粒子表面に施されたものに規定したものであ
る。
【0011】請求項4の発明は、請求項1〜3の発明に
おける無機物を、特にCaCO3またはMgOに規定し
たものである。
【0012】請求項5の発明は、塩化ビニル樹脂100重
量部に対して、金属銅が散点状にコーティングされた無
機物粉末を0.01〜3.0重量部配合した、耐候性に優れる
塩化ビニル樹脂組成物である。
【0013】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、無機物粉末の配合量を特に0.01〜1.0重量部に規定
したものである。
【0014】請求項7,8,9,10の発明は、請求項
5または6の発明における無機物粉末を、それぞれ請求
項1,2,3,4の発明に係るチョーキング防止剤とし
たものである。
【0015】
【発明の実施の形態】塩化ビニル樹脂のチョーキング
は、紫外線の照射を受けた塩化ビニルが分解することに
よって生じる現象であるとされている。塩化ビニル樹脂
の分解が起こるとClイオンが副生するが、そのClイ
オンの存在により、分解は一層促進されると言われてい
る。一方、副生したClイオンが、何らかの形で存在す
るCuと反応してCuCl2を生成すると、塩化ビニル
樹脂の分解は顕著に抑制されるものと考えられている。
ただし、そのCuをどのような形態で樹脂中に存在させ
るかが問題となる。単に金属銅の粉末をビニル樹脂中に
混ぜるだけでは、CuCl 2の生成反応は十分に起こら
ず、チョーキングは防止できない。先に示した特公昭62
−41532号公報の発明では酢酸銅を用いているが、これ
も前述のように実用上種々の欠点を有している。
【0016】本発明者らは、塩化ビニル樹脂中に存在さ
せるCu源の形態に関して、詳細な検討を行ってきた。
その結果、常温でClイオンと反応する無機物の粒子表
面に金属銅を特定の大きさで散点状にコーティングした
「無機物粉末」が、チョーキング防止剤として実用的に
高い性能を発揮することを見出した。
【0017】このような無機物粉末が塩化ビニル樹脂中
でチョーキングを防止するメカニズムについて、発明者
らは次のように考えている。紫外線の照射を受けて塩化
ビニル樹脂の分解が起こるとClイオンが副生する。こ
のClイオンは、無機物粒子表面の金属銅と直接反応す
るよりも先に、無機物そのものと優先的に反応して、一
旦その無機物を構成する元素の塩化物を生成する。例え
ば、無機物がCaCO 3であればCaCl2を、MgOで
あればMgCl2を生成する。この反応が進行するに
は、無機物粒子表面に該無機物の素地が多く露出してい
ることが重要である。その意味で、金属銅は「散点状」
に(すなわち部分的に)コーティングされていなくては
ならない。次いで、水分存在下において、無機物元素の
塩化物からClイオンが解離し出す。解離したClイオ
ンは無機物粒子表面に存在する金属銅と反応し、CuC
2を生成する。このCuCl2が塩化ビニルの分解を効
果的にくい止め、その結果、チョーキングの発生は顕著
に防止される。
【0018】このように、本発明のチョーキング防止剤
は、塩化ビニル樹脂中で2段階のプロセスを経てCuC
2を生成させるものと考えられる。その1段目のプロ
セスでは、上記のように無機物元素の塩化物が生成され
る。その意味でチョーキング防止剤粉末の主体である無
機物は、「副生したClイオンの捕捉剤」として機能す
るものでなくてはならない。使用可能な無機物として、
CaCO3,MgO,TiO2,SiO2,Al23,A
l(OH)3,沈降性BaSO4,ベンガラ,カオリンなど
を挙げることができる。このうち、CaCO3およびM
gOは、本発明において特に高いチョーキング防止効果
を発揮する。
【0019】CaCO3およびMgOが高いチョーキン
グ防止効果を発揮するのは、Clイオン捕捉剤としての
働きが特に優れている他、耐熱性,耐水溶性,耐風解性
にも優れており、総合的に見ると、塩化ビニル樹脂に混
ぜて使用するうえで極めて実用的な性質を有しているた
めだと考えられる。例えば、CaCO3の融点は1339
℃、MgOの融点も2880℃といずれも高く、240℃で熱
分解する酢酸銅と比べ非常に高い耐熱性を有する。ま
た、CaCO3の水に対する溶解度は「1.5mg/20℃の水
100ml中」であり、MgOのそれは「0.6mg/20℃の水10
0ml中」である。これらはいずれも酢酸銅の溶解度「7.2
g/20℃の水100ml中」と比べ極めて小さい。さらに、
CaCO3,MgOとも風解性は有していない。
【0020】CaCO3は、軽質炭カル,重質炭カル,
極微細炭カルなどが種々市販されているが、中でも軽質
炭カルが塗料や樹脂中に分散し易いうえ比較的安価であ
るため、本発明には最も好適である。MgOは、粒径が
0.01〜0.05μmの範囲の微粉末が各種市販されている
が、0.05μmタイプのものが吸油量も少なく比較的安価
であるため、本発明には最も好適である。
【0021】CuCl2が生成する2段目のプロセスで
は、無機物元素の塩化物から解離したClイオンが直ち
にCuと反応することが重要である。そのためには、 Cuが無機物の近傍に必ず存在していること、 Cuの比表面積が十分に大きいこと、 Cuの量が副生するClイオンの量に対して十分であ
ること、 が必要である。
【0022】上記の点は、無機物粒子表面に金属銅を
コーティングすることによって満たされる。
【0023】上記の点は、前記(1)式で定義される結
晶子径が50nm未満の金属銅が無機物粒子表面に散点状に
形成されていることによって満たされる。この結晶子径
が小さければ小さいほど、金属銅の比表面積は大きくな
り、Clイオンとの反応性が高まる。発明者らの詳細な
実験の結果、この結晶子径が50nmを境にして、チョーキ
ング防止効果が急変することがわかった。すなわち、結
晶子径が50nm未満において、チョーキング防止効果が飛
躍的に向上するのである。この点については、後述の実
施例で実証する。なお、結晶子径は40nm以下であること
が一層望ましい。
【0024】発明者らは対照実験として、塩化ビニル樹
脂組成物の中に、市販品の電解銅粉(平均粒径:約1μ
m)とCaCO3粉末との混合粉末を添加する実験も行っ
た。しかし、この場合には、チョーキング防止効果はほ
とんど認められなかった。CaCO3粉末の代わりにM
gO粉末を使用した場合も同様であった。この理由は、
銅粉ではその粒径が大きいため相対的に比表面積が小さ
くなり、Clイオンとほとんど反応しなくなるためと考
えられる。ちなみに、直径が40nmと1μmの真球状の銅粉
の単位重量あたりの表面積の違いを計算すると、約25倍
も異なる。
【0025】上記の点は、金属銅のコーティング量を
0.1〜1.5重量%の範囲にすることによって満たされる。
コーティング量が0.1重量%未満の場合には、銅の量が
少なすぎるためにチョーキング防止効果が十分に発現し
ない。逆に、1.5重量%を超えると、無機物粒子の表面
全体が銅の連続被膜で覆われ易くなるので、散点状に形
成することが難しくなる。前記1段目のプロセスを促進
する観点から、金属銅のコーティング量の上限を1.0重
量%に制限することが一層望ましい。
【0026】以上のような条件を満たすように散点状の
金属銅を無機物粉末にコーティングする方法としては、
物理蒸着法が非常に有効である。例えば、スパッタリン
グ法,イオンプレーティング法,真空蒸着法などが利用
できる。中でも、本発明者らによって特開平2−153068
号公報に示されたスパッタリング法を用いれば、簡単か
つ効果的に実施できる。具体的には、回転するバレルに
CaCO3,MgO等の無機物粉末を入れて攪拌しなが
ら、アルゴンガス分圧が2×10-3Torr程度の減圧雰囲気
中で、スパッタされた銅粒子を照射すれば、所定のコー
ティングができる。なお、金属銅の中に、アルミニウ
ム,クロム,マグネシウム,モリブデン,亜鉛,錫,銀
などの金属を含有させると、銅の原子半径とこれらの金
属の原子半径の違いに起因して、散点状被膜の大きさを
50nm未満、あるいは40nm以下にコントロールし易くなる
傾向がある。
【0027】スパッタリング法を用いて結晶子径を50nm
未満に小さくするには、出力を低くすること、および粉
末の温度を低くすることなどが効果的である。具体的な
条件としては、粉末基材の単位重量あたりのスパッタリ
ング出力を0.1kw/g以下とするのが好ましい。コーテ
ィング被膜の再結晶化を抑えるために、粉末温度は200
℃以下に保持するのが好ましく、スパッタリング時間は
粉末基材の単位重量あたりで60分/g以内にするのが好
ましい。ただし、スパッタリング時間が結晶子径に与え
る影響は、粉末温度による影響よりも小さい。なお、こ
れらの条件は互いに独立したものではなく、互いに影響
を与え合っているものである。一方、CaCO3やMg
O粉末の表面に湿式無電解めっき法などによって銅を被
覆することは極めて難しい。その理由は、これらの粉末
が酸性水溶液中で溶解するためである。
【0028】本発明で対象とする塩化ビニル樹脂は、塩
化ビニル単独重合体および塩化ビニルを主成分とする共
重合体であり、通常成型用または塩化ビニルゾル塗料と
して使用されている塩化ビニル樹脂すべてを含む。
【0029】これらの塩化ビニル樹脂100重量部に対し
て、金属銅をコーティングしたClイオンと反応性のあ
る無機物粉末のチョーキング防止剤を0.01〜3.0重量部
配合することによって、耐候性に優れた塩化ビニル樹脂
組成物が得られる。その際、チョーキング防止剤の配合
量が0.01重量部未満だと、十分なチョーキング防止効果
が得られない。また、3.0重量部を超えて過剰に配合し
ても、チョーキング防止効果は顕著に向上せず、逆に製
造コストが高くなるので実用的には意味がない。この配
合量の上限は1.0重量部に制限することが一層好まし
い。また、配合するチョーキング防止剤は、先に述べた
各条件を満たした本発明に係るものを用いることが望ま
しい。
【0030】本発明の塩化ビニル樹脂組成物には、従来
から使用されているチョーキング防止剤、例えば酸化マ
グネシウム,水酸化マグネシウム,2−ヒドロキシ−4
−オクトキシベンゾフェノン,2−(2'−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール,4−ベンゾ
イルオキシ−2、2、6、6−テトラメチルビペリジ
ン,ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等を併用する
こともできる。さらに、可塑剤,安定剤,滑剤,着色剤
等の周知の添加剤が含まれていても差支えない。特に、
鉛系安定剤が含まれていると、チョーキング防止効果が
より顕著となる。
【0031】本発明のチョーキング防止剤、あるいはさ
らに必要に応じて他の添加剤を塩化ビニル樹脂中に混合
する方法としては、従来と同様、微粉末状のものを使用
して十分に混練する方法を採るのが好ましい。例えば、
塩化ビニル樹脂に直接添加して混合する方法や、可塑
剤,安定剤,滑剤,着色剤等の周知の添加剤にチョーキ
ング防止剤をあらかじめ含有させておき、それを塩化ビ
ニル樹脂に添加して混合する方法があるが、均一に分散
させ易い点で、後者の方法がより好ましい。
【0032】
【実施例】〔実施例1〕軽質CaCO3粉末〔丸尾カル
シウム(株)製、平均粒径:3μm〕の表面に、スパッタリ
ング法によって、結晶子径がかなり小さくなる条件で、
0.1重量%の金属銅をコーティングし、チョーキング防
止剤粉末を得た。この粉末からサンプルを採取し、X線
回折パターンを測定した。この回折パターンからCuの
(200)面のピークにおける半価幅を求め、(1)式で示され
るシェラーの式によって結晶子径D(nm)を算出した。 D=k×λ/β×cosθ ・・・(1) ここで、 k:定数(=0.9) λ:X線(Cukα)の波長(=0.154nm) β:回折線の拡がり〔半価幅〕(=0.0256ラジアン) θ:回折線のブラッグ角(=22.52°) を(1)式に代入して、結晶子径Dは5nmと算出された。
【0033】一方、塩化ビニル樹脂〔住友化学(株)製、
スミリットSX-11F〕100重量部に対して、以下に示す4
種類の添加剤を混合した。 ステアリン酸カルシウム:0.4重量部 ステアリン酸亜鉛 :0.6重量部 ジブチル錫マレート :0.1重量部 ポリエチレンワックス :0.5重量部 この混合体に、上記のチョーキング防止剤粉末1.0重量
部を添加し、高速ミキサーで3分間混合し、160℃のイン
チ二本ロールで5分間混練した後、180℃の加熱プレスで
1mm厚さのシートを作製した。このシートを3年間の屋外
暴露試験に供して、チョーキング現象の発生状況を調べ
た。
【0034】チョーキング防止効果の評価は、屋外暴露
試験開始1年後,2年後,および3年後のシートについ
て、屋外暴露試験をしていないシートを標準とした色差
(以下、これを「ΔE」という)を求めることによって
行った。ΔEは、色差計(スガ試験機(株)製、SSカラー
コンピュータ-SS-1型)で測色して求めた。ΔE値が小
さいほど、チョーキング防止効果が大きいことを意味す
る。結果は、表1に示してある。
【0035】〔実施例2〕実施例1と同じ種類の軽質C
aCO3粉末の表面に、スパッタリング法によって、結
晶子径が実施例1の場合よりも大きくなる条件で、0.5
重量%の金属銅をコーティングし、チョーキング防止剤
粉末を得た。この粉末の結晶子径は、実施例1と同様の
手法により、20nmと算出された。このチョーキング防止
剤を使用し、その配合量を0.2重量部とした以外、全て
実施例1と同じ条件でチョーキング防止効果を評価し
た。結果は、表1に示してある。
【0036】〔実施例3〕実施例1と同じ種類の軽質C
aCO3粉末の表面に、スパッタリング法によって、結
晶子径が実施例2の場合よりも大きくなる条件で、1.0
重量%の金属銅をコーティングし、チョーキング防止剤
粉末を得た。この粉末の結晶子径は、実施例1と同様の
手法により、40nmと算出された。このチョーキング防止
剤を使用し、その配合量を0.1重量部とした以外、全て
実施例1と同じ条件でチョーキング防止効果を評価し
た。結果は、表1に示してある。
【0037】〔実施例4〕MgO粉末〔宇部興産(株)
製、平均粒径:0.05μm〕の表面に、スパッタリング法
によって、結晶子径がかなり小さくなる条件で、0.1重
量%の金属銅をコーティングし、チョーキング防止剤粉
末を得た。この粉末の結晶子径は、実施例1と同様の手
法により、5nmと算出された。
【0038】一方、塩化ビニル樹脂〔三菱化学(株)製、
P440〕100重量部に対して、以下に示す4種類の添加剤
を混合したプラスチゾル塗料を作製した。 可塑剤(ジオクチルフタレート) :40重量部 希釈剤(テキサノールイソブチルエーテル):35重量部 安定剤(ジブチル錫マレート) : 3重量部 着色顔料(ベンガラ) :14重量部 この塗料に、上記のチョーキング防止剤粉末1.0重量部
を添加し、リン酸塩系の塗装前処理およびプライマー塗
装(アクリル変性エポキシ樹脂系塗料、乾燥塗膜厚:5
μm、焼付け板温:250℃、焼付け時間:40秒間)が施さ
れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板(板
厚:0.35mm、亜鉛付着量:305g/m2)の表面に、乾燥
塗膜厚:200μm、焼付け板温:220℃、焼付け時間:70
秒間の条件で、上塗り塗装を行った。このこの塗装鋼板
を3年間の屋外暴露試験に供して、チョーキング現象の
発生状況を調べた。チョーキング防止効果の評価は、実
施例1と同様の手法で行った。結果は、表1に示してあ
る。
【0039】〔実施例5〕実施例4と同じ種類のMgO
粉末の表面に、スパッタリング法によって、結晶子径が
実施例4の場合よりも大きくなる条件で、0.5重量%の
金属銅をコーティングし、チョーキング防止剤粉末を得
た。この粉末の結晶子径は、実施例1と同様の手法によ
り、20nmと算出された。このチョーキング防止剤を使用
し、その配合量を0.2重量部とした以外、全て実施例4
と同じ条件でチョーキング防止効果を評価した。結果
は、表1に示してある。
【0040】〔実施例6〕実施例4と同じ種類のMgO
粉末の表面に、スパッタリング法によって、結晶子径が
実施例5の場合よりも大きくなる条件で、1.0重量%の
金属銅をコーティングし、チョーキング防止剤粉末を得
た。この粉末の結晶子径は、実施例1と同様の手法によ
り、40nmと算出された。このチョーキング防止剤を使用
し、その配合量を0.1重量部とした以外、全て実施例4
と同じ条件でチョーキング防止効果を評価した。結果
は、表1に示してある。
【0041】〔比較例1〕実施例1と同じ種類の軽質C
aCO3粉末の表面に、スパッタリング法によって、結
晶子径が実施例1の場合よりも小さくなる条件で、0.05
重量%の金属銅をコーティングした。この粉末の結晶子
径は、実施例1と同様の手法により、2nmと算出され
た。チョーキング防止剤の代わりにこの粉末を使用し、
その配合量を5.0重量部とした以外、全て実施例1と同
じ条件でチョーキング防止効果を評価した。結果は、表
1に示してある。
【0042】〔比較例2〕実施例1と同じ種類の軽質C
aCO3粉末の表面に、スパッタリング法によって、結
晶子径がかなり大きくなる条件で、2.0重量%の金属銅
をコーティングした。この粉末の結晶子径は、実施例1
と同様の手法により、60nmと算出された。チョーキング
防止剤の代わりにこの粉末を使用し、その配合量を0.05
重量部とした以外、全て実施例1と同じ条件でチョーキ
ング防止効果を評価した。結果は、表1に示してある。
【0043】〔比較例3〕実施例4と同じ種類のMgO
粉末の表面に、スパッタリング法によって、結晶子径が
実施例4の場合よりも小さくなる条件で、0.05重量%の
金属銅をコーティングした。この粉末の結晶子径は、実
施例1と同様の手法により、2nmと算出された。チョー
キング防止剤の代わりにこの粉末を使用し、その配合量
を5.0重量部とした以外、全て実施例4と同じ条件でチ
ョーキング防止効果を評価した。結果は、表1に示して
ある。
【0044】〔比較例4〕実施例4と同じ種類のMgO
粉末の表面に、スパッタリング法によって、結晶子径が
かなり大きくなる条件で、2.0重量%の金属銅をコーテ
ィングした。この粉末の結晶子径は、実施例1と同様の
手法により、60nmと算出された。チョーキング防止剤の
代わりにこの粉末を使用し、その配合量を0.05重量部と
した以外、全て実施例4と同じ条件でチョーキング防止
効果を評価した。結果は、表1に示してある。
【0045】
【表1】
【0046】参考のため、図1に実施例1〜3で使用し
た軽質CaCO3粉末の電子顕微鏡写真(SEM像)
を、また図2に実施例3で作製したチョーキング防止剤
粉末の電子顕微鏡写真(SEM像)を示しておく。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明では、無機物粒子
の表面に金属銅を散点状にコーティングした、新たな形
態のチョーキング防止剤粉末を提供した。このチョーキ
ング防止剤は、金属銅コーティングの結晶子径が50nmを
境にチョーキング防止能が急変するという、従来知られ
ていなかった新たな現象を知見して得られたものであ
る。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、屋外暴露
開始3年後においても、依然として極めて高いチョーキ
ング防止能を維持しており、耐候性に優れることが実証
された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3で使用した軽質CaCO3粉末の
電子顕微鏡写真(SEM像)。
【図2】実施例3で作製したチョーキング防止剤粉末の
電子顕微鏡写真(SEM像)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機物粒子表面に金属銅が、X線回折ピ
    ークの半価幅からシェラーの式によって算出される結晶
    子径が50nm未満になる大きさで散点状にコーティングさ
    れており、かつ金属銅のコーティング量が0.1〜1.5重量
    %になっている無機物粉末からなる、塩化ビニル樹脂の
    チョーキング防止剤。
  2. 【請求項2】 無機物粒子表面に金属銅が、X線回折ピ
    ークの半価幅からシェラーの式によって算出される結晶
    子径が40nm以下になる大きさで散点状にコーティングさ
    れており、かつ金属銅のコーティング量が0.1〜1.0重量
    %になっている無機物粉末からなる、塩化ビニル樹脂の
    チョーキング防止剤。
  3. 【請求項3】 金属銅のコーティングが、物理蒸着法に
    より無機物粒子表面に施されたものである、請求項1ま
    たは2に記載の塩化ビニル樹脂のチョーキング防止剤。
  4. 【請求項4】 無機物がCaCO3またはMgOであ
    る、請求項1,2または3に記載の塩化ビニル樹脂のチ
    ョーキング防止剤。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル樹脂100重量部に対して、金
    属銅が散点状にコーティングされた無機物粉末を0.01〜
    3.0重量部配合した、耐候性に優れる塩化ビニル樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】 塩化ビニル樹脂100重量部に対して、金
    属銅が散点状にコーティングされた無機物粉末を0.01〜
    1.0重量部配合した、耐候性に優れる塩化ビニル樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 無機物粉末は、粉末粒子表面に金属銅
    が、X線回折ピークの半価幅からシェラーの式によって
    算出される結晶子径が50nm未満になる大きさで散点状に
    コーティングされており、かつ金属銅のコーティング量
    が0.1〜1.5重量%になっているものである、請求項5ま
    たは6に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 無機物粉末は、粉末粒子表面に金属銅
    が、X線回折ピークの半価幅からシェラーの式によって
    算出される結晶子径が40nm以下になる大きさで散点状に
    コーティングされており、かつ金属銅のコーティング量
    が0.1〜1.0重量%になっているものである、請求項5ま
    たは6に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 金属銅のコーティングが、物理蒸着法に
    より無機物粒子表面に施されたものである、請求項5,
    6,7または8に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 無機物がCaCO3またはMgOであ
    る、請求項5,6,7,8または9に記載の塩化ビニル
    樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003501534A (ja) * 1999-06-04 2003-01-14 イネオス アクリリックス ユーケー リミティド 高分子材料の耐候性におけるまたは関連する改善
JP2020097665A (ja) * 2018-12-17 2020-06-25 日本ゼオン株式会社 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体および積層体

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