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JP2000146781A - 試料解析方法、試料作成方法およびそのための装置 - Google Patents

試料解析方法、試料作成方法およびそのための装置

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JP2000146781A
JP2000146781A JP10327728A JP32772898A JP2000146781A JP 2000146781 A JP2000146781 A JP 2000146781A JP 10327728 A JP10327728 A JP 10327728A JP 32772898 A JP32772898 A JP 32772898A JP 2000146781 A JP2000146781 A JP 2000146781A
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lamella
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Kaoru Umemura
馨 梅村
Hiroshi Kakibayashi
博司 柿林
Yasuhiro Mitsui
▲泰▼裕 三井
Kuniyasu Nakamura
邦康 中村
Satoshi Tomimatsu
聡 富松
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄片試料の注目部を平面方向と断面方向からTE
MやSTEMで解析することができ、また、平面方向と断面
方向からTEMやSTEMで解析するための試料を作製するこ
とができる試料作製装置を提供する。 【解決手段】薄片試料をTEMまたはSTEMによって平面TEM
観察し、この薄片試料から所望の注目部を含む微小薄片
試料を取り出し、この微小薄片試料を試料ホルダに固着
させ、注目部を含み微小薄片試料面に対して略垂直で、
電子が透過しうる薄さの断面薄片試料に集束イオンビー
ムによって加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過型電子顕微鏡
(TEM)や走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察する薄
片試料における注目部の断面を観察するための試料作製
方法、また、注目部を解析するための試料解析方法、さ
らには上記試料作製または解析方法を実現させる装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】TEMは、電子が透過しうる薄さ、例えば
0.05から0.4μm程度の薄片試料に、電子線を照射して透
過した電子線を拡大して形成されるTEM像を観察する顕
微鏡であり、STEMは上述の薄片試料上を集束した電子線
を走査して透過した電子線を検出器に導入してSTEM像を
得る顕微鏡である。いずれも薄片試料に電子線を透過さ
せるため、薄片試料の厚さ方向に積算した形状情報が得
られるが、高分解能で観察できるため、半導体を始め多
くの分野での材料評価に用いられている。
【0003】半導体装置の製造において、ある製造プロ
セスで検出された異物、形状不良、断線、短絡などの不
良部は、即刻、解析してその発生原因を究明して対策を
打たなければ不良素子が大量に生産され、製造会社にと
っては収益に多大なる影響を与えてしまう。このため、
半導体装置の製造歩留り向上のためには不良部解析が必
須である。不良部解析法のうち形状観察についてはTEM
やSTEMが大きな役割を果たしており、また、TEMやSTEM
に分析機能を装備することで高分解能の元素分析も可能
となり、半導体の解析には不可欠なものとなっている。
【0004】TEMやSTEMによる解析(以下、観察や元素
分析、計測を代表させて解析と略記する)では、半導体
ウェーハやチップなど試料の表面に対して水平方向の試
料(以下、平面試料と略記)と断面方向の試料(以下、
断面試料と略記)についての観察が行なわれる。
【0005】断面試料については、機械的に断面を露出
させて研磨とイオンシニングによって断面方向の薄片加
工を行なう方法が行なわれてきた。最近では、集束イオ
ンビーム(以下、FIBと略記)を用いて、所望の領域を
精度よく断面薄片試料に加工する方法が行なわれるよう
になってきた。
【0006】まず、研磨を用いた試料作製方法について
図2で説明する。同図aのように、ウェーハなどの試料2
0に対して観察したい領域に目印を付け、ダイアモンド
ペンなどで傷付け劈開するかダイシングソーによって、
例えば切断線に沿って、短冊状ペレット21に切り出す
(図b)。次に、作製するTEM試料の中央部が観察領域と
なるようにするため、2枚の短冊状ペレット21の表面22
同士を向かい合うように接着剤23で貼って、貼合わせ試
料24を作る(図c)。この貼合わせ試料24をダイシング
ソーなどでスライスし、スライス試料25を切り出す(図
d)。このスライス試料25の大きさは、3×3×0.5mm程度
である。さらに、このスライス試料25の断面を研磨盤上
で薄く研磨し、厚さ20μm程度の研磨試料25'を作製し、
これをTEM試料ステージに搭載する単孔メッシュ26に貼
り付け(図e)、この研磨試料25'の両面からにアルゴン
などのイオンビーム27の照射による(図f)イオンシニ
ングを行い中央部を薄くしていく(図g)。中央部に穴
が開くか開かない程度の薄さになった時にイオンビーム
27の照射を止め、100nm程度もしくはそれ以下に薄くな
った薄片部28(図h中の円内)をTEM観察領域としてい
る。
【0007】また、FIBによる断面TEM試料の作製方法に
ついては、例えば、E.C.G.Kirkらが、論文集Microscopy
of Semiconducting Materials 1989,Institute
ofPhysics Series No.100.,p.501−506(公知例1)
に記載している。
【0008】以下、図3を用いてFIBによる断面TEM試料
の作製例を説明する。ウェーハなど試料20の観察すべき
領域の近傍にレーザまたはFIBで目印を付け、図aに示す
ようにウェーハをダイシングを行って(破線が切断線)
短冊状ペレット21を切り出し、さらに観察すべき注目部
を含むペレット21'に切断する(図b)。このペレットの
大きさは、おおよそ2×0.1×0.5mmである。このペレッ
ト21'を一部に切り欠き29'を有する円形の薄い金属片か
らなるTEM試料ホルダ29に接着剤で貼り付ける(図c)。
【0009】このペレット21'を固定したTEM試料ホルダ
29をFIB装置内に導入し、表面22の一部にFIB18を照射し
て薄片部28'が残るように加工する。観察領域である薄
片部28'の厚さが100nm程度の壁になるように凹部22'が
形成されるように加工(この加工方法を以下、薄壁加工
と言う)してTEM試料となる(図e)。TEMにおいては、
電子線65は薄片部28'に垂直に入射する。
【0010】FIB加工されたTEM試料の形状例を図4aと
図4bに示す。断面形状は図aの凸形状や図bのL字形状な
ど種々変形もあるが、基本とするところは、ある程度機
械的強度を有した下部30AとFIB加工領域を少なくするた
めにできるだけ薄く機械加工を施した上部30Bとを有す
る短冊状試験片21A、21Bにおいて、その所望の一部を電
子が透過できるようにFIBによって薄片部28'に加工した
ことにある。最後に、薄壁加工を終えた試料を試料ホル
ダごとTEMステージに載置し、TEM装置に導入すること
で、試料の断面TEM観察ができる。このような短冊状試
験片21A、21Bは、図4cに示すTEM試料ステージ6に搭載
することでFIB加工とTEM観察ができる。
【0011】試料ステージ6は、円柱部83と、試料ステ
ージ6を持ったり操作するためのグリップ84と、短冊状
試験片21Aを保持するための固定具32、32'と、最先端に
は試料ステージ6の荷重を支えたり、振動を軽減した
り、回転軸のブレを防ぐための小突起87などから構成さ
れている。また、切り欠き31を有して軸回転可能なた
め、薄片部28'をFIBで加工した後90°回転してTEM観察
することができる。なお、この小突起87を支える支持部
が試料ステージ6の軸とほぼ同軸に試料室内にあるが図
示は省略するとともに、試料ステージ6の円柱部83が長
いため図では途中を省略している。電子線は薄片部28'
にほぼ垂直に入射する。この方法によって、μmレベル
の位置出しが可能になり、特定領域のある方向からの断
面をTEM観察できる。
【0012】なお、FIB装置については、例えばL.R.Har
riottが論文集Nuclear Instruments and Methods i
n Physics Research B55(1991)p.802−p.810(公
知例2)に"The technology of finely focused io
n beams"と題する論文に詳述している。FIBは、液体金
属イオン源から放出したイオンをアパチャおよび静電レ
ンズによって直径数10nmまで集束したイオンビームで、
このFIBを偏向電極で試料表面の所定領域を偏向走査し
て照射することで、試料表面を走査形状に従ってスパッ
タリングし、凹部形成などの加工ができる。さらには、
FIB装置にガス供給部を装着し、デポジション用ガスや
反応性ガスを導入しつつFIB走査することで、走査領域
にガス成分のデポジション膜を形成することができた
り、高速にエッチングすることなどができる。
【0013】一方、平面試料の作製法に関する典型的な
従来方法を図5を用いて説明する。試料はウェーハ状試
料で、解析領域はウェーハのある特定領域で表面から約
1μmの深さにある0.5μm平方の領域とする。まず、図a
のようにウェーハ20をダイヤモンドカッタやダイシンソ
ーなどを利用して所望の解析部を含んで例えば10mm×10
mm程度の大きさの試験片21に切断する(図b)。図aの破
線は切断線である。
【0014】研磨用治具(図示せず)には、切断片21の
うち所望の観察領域を含む1mm平方程度の切断小片21B
(図c)にしてから、その表面を接着面にして接着固定
する。研磨治具には種々の形態があるが、基本的にはマ
イクロメータヘッドなどμmオーダの寸法が計れる機器
が設置された研磨治具を用いて、試料の平面性を調節し
ながら研磨盤に押し当てて研磨する。研磨材や、研磨盤
の回転速度などを調整しながらウェーハ裏面から切断小
片21Bを研磨して、厚さ10μm程度の研磨試料21Cができ
る(図d)。
【0015】この研磨試料21Cをさらに薄くするため、
単孔メッシュ26Aに固定し(図e)、さらに単孔メッシュ
26Aを回転させながら図fのように表裏面からのアルゴン
イオン27を斜め照射してシニングする。最終的に図gの
ように中央周辺の100nm程度以下に薄くなった薄膜部28
をTEM試料とする。
【0016】この薄片試料28をメッシュ26Aと共にTEMス
テージに装着してTEM解析を実行する。平面TEM試料の観
察は、数100μm平方の広領域を一度に観察できるため、
例えば、材料に点在する結晶欠陥の分布を調査するなど
には非常に効果的である。
【0017】平面試料の作製方法については、例えば、
論文集「ウルトラマイクロスコピー」52巻、(1993年)
127頁〜140頁(Ultramicroscopy,52(1993)127〜14
0)においてH.Cervaらが"Specific preparation proc
edures forn failure analysis of(sub)micron
areas in silicon devices"(公知例3)と題して詳
述している。
【0018】また、TEM試料作製に関してはウェーハを
割断することなく実現する方法がある。上記公知例2に
よる断面試料作製方法では、ウエハを割断し、所望の解
析領域を含む短冊状ペレットを作製し、FIB加工しなけ
ればならない。これに対して、ウェーハなど元の試料を
割断することなく上記試料の一部分を分離してTEM試料
にする方法について、特開平5-52721号公報「試料の分
離方法及びこの分離方法で得た分離試料の分析方法」
(公知例4)に開示されている。この方法は、ウェーハ
など試料から所望の解析領域を含む微小試料片を、FIB
加工と微小試料の搬送手段を駆使して分離する方法であ
る。この方法で分離した微小試料を各種解析装置に導入
することで、ウエハ等の元の試料を割断することなく不
良部を解析することができる。
【0019】図6を用いて説明する。まず、試料20の表
面に対しFIB16を垂直入射、矩形走査させることによ
り、試料20の表面に所要の深さの角穴33Aを形成する
(図a)。次に、試料20の表面に対するFIB16の軸が約70
°に傾斜するように試料20を傾斜させ、底穴33Bを形成
する。試料20の傾斜角の変更は、試料ステージ(図示せ
ず)によって行なう(図b)。試料20の姿勢をFIB16が再
び垂直入射できるように設置し、切り欠き溝33Cを形成
する(図c)。
【0020】マニピュレータ(図示せず)を駆動し、マ
ニピュレータ先端のプローブ34の先端を、試料20を分離
する部分に接触させる(図d)。デポジション用ガスノ
ズル35から堆積性ガス36を供給し、FIB16をプローブ34
の先端部を含む領域に局所的に照射し、デポジション膜
37を形成する。接触状態にある試料20の分離部分とプロ
ーブ34の先端はデポジション膜37で接続される(図
e)。FIB16で残りの部分を切り欠き加工し(図f)、試
料30から六面体の分離試料38を切り出すことができる。
切り出された分離試料38はプローブ34で支持された状態
になる(図g)。このようにしてウェーハを割断するこ
となく微小試料を摘出することができる。
【0021】さらに、ウェーハを割断せずにTEM試料を
作製する別の方法として、FIBとプローブを用いた微小
試料を摘出する方法がある。L. A. Giannuzzi,J.L.D
rown,S.R.Brown,R.B.Irwin,and F.A.Stevieが、“M
aterials Research Society,Symposium Proceeding
s,vol.480 Specimen Preparation for Transmissi
on Electron Microscopy 4"において、“Focused I
on Beam Milling and Micromanipulation Lift O
ut for Site Specific Cross Section TEM Spec
imen Preparation"(公知例5)と題する論文にて示し
ている。これは、試料基板に対して所望の観察部をFIB
によって薄片加工して試料基板と分離した状態で、上記
試料基板を大気中に取り出し、光学顕微鏡下で針状のプ
ローブを先の上記薄片試料に接近させ、薄片試料を静電
気力によって吸着させ、TEM観察用のメッシュに移設さ
せる方法である。
【0022】さらに、F.Shaapur,T.Stark,T.Woodwar
d.,and R.J.Grahamも、公知例5と同じ文献のp.173−1
80に“Evaluation of a new strategy for trans
verse TEM specimen preparation by focused Io
n Beam Thinning"(公知例6)と題した論文を示して
いる。この方法も、公知例5と同様の方法を用いる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】通常、TEMやSTEMで得
られる像は、薄片試料を通過した像であるため、薄片試
料の厚さ方向の情報が重なって見える。このため、薄片
試料の厚さ方向の形状を正確に解析することは困難であ
る。特に、最近の半導体装置の構造物は0.2μm程度の薄
片試料内に入ってしまうほど微細化している。例えば、
プラグの最小のものは直径0.1μm程度で厚さ0.2μmの薄
片試料に入ってしまう。また、一旦、薄片試料を作製し
てしまうと、視角を変えて直角方向から観察できないた
め、厚さ方向の形状を把握できず、結局、TEM像からは
このプラグ形状を正確には解釈できない結果に終わる。
さらにEDXなどの元素分析手段を用いて薄片の2次元的分
布が明らかになっても、先のプラグの立体的元素分布ま
で把握することはできない。
【0024】そこで、TEM観察用の薄片試料について、
平面的に観察した同じ観察箇所について、この薄片試料
の断面方向からも観察できる方法が実現すれば、上記の
ような薄片試料内の構造体を立体的に把握する上で非常
に有効となる。そこで、薄片試料の断面試料を作製する
簡便で確実な方法、そのための装置、さらにはそのよう
な平面および断面試料を用いた試料解析方法を実現する
ことが非常に重要となる。
【0025】薄い試料や研磨などで作製された薄片から
断面試料を現状の技術で作製するときは、図7aのよう
な注目部41を含む薄片試料40に対して、両側をエポキシ
などの硬化性材料42A、42Bで被い(包埋し)固化して包
埋試料43とする(図b)。その後、図cのように、元の薄
片試料40に対して垂直方向に包埋試料43を切断し、その
スライス試料44の両面を研磨して厚さ0.1から0.2μm程
度の断面薄片試料44'を作製する。さらにイオンシニン
グした後、図dのように断面薄片試料44'に対して電子線
65をほぼ垂直入射させて注目部41の断面を観察すること
ができる。
【0026】この方法では断面薄片試料44'も0.1から0.
2μm程度の薄さに加工せねばならず、図aのように薄片T
EM観察で検出した所望の注目部41が非常に小さく0.1μm
程度のものであると、注目部41を断面薄片試料44'を内
に納めることがほとんど不可能に近い。つまり、位置制
御性がない。また、包埋や薄片加工や研磨、イオンシニ
ングなど手間と時間を非常に要する。従って、長時間か
けて研磨を行なっても、断面薄片に所望の注目部が含ま
れておらず、注目部を視点を90°変えて観察して解析す
るという初期の目的が全く達成できないことがほとんど
で、成功率が非常に低いという難点を有している。
【0027】公知例2では、断面薄片を従来の研磨方法
に比べて、加工精度を高く、短時間に作製することがで
きるという利点を有している。しかし、図4aのような
従来のTEM試料を一旦作製すると、薄片部28'の断面をTE
M観察できるように加工するためには、薄片部の両側
(上部30B)を削除しなければTEM観察できない。特に、
長手方向に2mmから3mmもある試料21Aを、薄片部28'の両
側を数100μmにまで薄く加工するには膨大な時間を要
し、ダイシングなど機械加工を追加する方法をとるとき
は、貴重な薄片部28'を破損させてしまうという致命的
な問題をも引き起こし、これら従来方式の適用は実用的
ではなかった。
【0028】公知例4では試料を試料ステージに一度セ
ットすれば、微小試料の分離まで人間が直接手作業を行
う必要はないし、ウェーハを無為に切断する必要もない
という特徴を有している。しかし、この手法では分離さ
れた試料片はプローブに支持された状態であるため、こ
の薄片部の断面を形成するためにはプローブを複雑に位
置制御しなければならない。また、形成した断面を観察
するためにプローブをTEMに導入することが、観察面と
プローブの位置関係や角度の関係で制限を受けて容易で
はない。さらには底穴33Bを形成する際、試料ステージ
を70°も大きく傾斜させなければならず、大口径ウェー
ハを載置する試料ステージでは構造上、精度上実用的で
はない。
【0029】また、公知例5、6では、試料基板から注目
部の薄片を静電気力で取り出すことができるが、摘出し
た薄片試料はメッシュに接着剤によって貼りつけている
ため、再加工できないという欠点を有している。つま
り、TEM観察した薄片試料について断面を観察するため
の加工ができない。また、これらの方法では、摘出試料
を光学顕微鏡下でメッシュに貼りつける作業であるた
め、薄片試料の観察部が不運にもメッシュと重なってし
まい観察できないという問題点も有している。さらに、
公知例5、6にも著者自ら記載されているように、試料を
プローブとの静電気力によって吸着させるため、吸着の
信頼性がないという欠点も有している。
【0030】このように、従来技術が多くあるにも係ら
ず、薄片試料の断面を観察するための簡便で確実な試料
作製方法がなく、断面方向から容易に観察できないのが
現状であった。
【0031】そこで、上述の従来技術の諸問題に鑑み、
本発明の第1の目的は、薄片試料の注目部を観察や分析
などの解析を水平方向と断面方向からTEMやSTEMで行な
うための試料解析方法を提供することにあり、また第2
の目的は、TEMやSTEMで観察する薄片試料における注目
部の断面を観察するための試料作製方法を提供すること
にあり、さらには、第3の目的として、上記第1の目的
もしくは上記第2の目的を実現するための試料作製装置
を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、以下
の構成からなる試料解析方法により実現される。
【0033】(1)薄片試料を透過型電子顕微鏡(以
下、TEM)もしくは走査型透過電子顕微鏡(以下、STE
M)によって観察する平面観察工程と、上記薄片試料か
ら所望の注目部を含む微小薄片試料を取り出す摘出工程
と、上記微小薄片試料を上記薄片試料の表面に対して垂
直方向の断面試料に加工する断面薄片加工工程と、上記
微小断面試料をTEMまたはSTEMによって観察する断面観
察工程を少なくとも含む方法によって、上記注目部を平
面方向と断面方向から解析する試料解析方法。
【0034】(2)試料を薄片試料に加工する薄片加工
工程と、上記薄片試料をTEMまたはSTEMによって観察す
る平面観察工程と、上記薄片試料から所望の注目部を含
む微小薄片試料を取り出す摘出工程と、上記微小薄片試
料を試料ホルダに固着させる固着工程と、上記薄片試料
の表面に対して垂直方向の断面試料に加工する断面薄片
加工工程と、上記微小断面試料をTEMまたはSTEMによっ
て観察する断面観察工程とを含む方法によって、上記注
目部を平面方向と断面方向から解析する試料解析方法。
【0035】(3)サイドエントリ型の試料ステージに
搭載した薄片試料をTEMまたはSTEMによって観察する平
面観察工程と、上記薄片試料を加工する試料作製装置に
搭載して上記薄片試料から所望の注目部を含む微小薄片
試料を取り出す摘出工程と、上記試料ステージに予め搭
載した試料ホルダ上に上記微小薄片試料を固定する固着
工程と、上記薄片試料の表面に対して垂直な断面薄片試
料を上記試料ホルダ上で作製する断面薄片加工工程と、
上記試料ステージを上記TEMまたはSTEMに導入して上記
断面薄片試料を観察する断面観察工程を含む試料解析方
法。
【0036】(4)特に上記(1)から(3)のいずれか
の試料解析方法の断面薄片加工工程を集束イオンビーム
の照射によって行なうか、 (5)上記(2)または(3)の試料解析方法における摘
出工程および上記固着工程を集束イオンビームの照射に
よって行なう。
【0037】(6)以上の方法において、薄片試料の注
目部の平面方向のTEM観察もしくはSTEM観察による画像
情報と、上記薄片試料の注目部の断面方向のTEM観察も
しくはSTEM観察による画像情報とによって、上記注目部
の疑似立体的形状を把握する試料解析方法。
【0038】(7)以上の方法において、薄片試料の注
目部のTEM分析もしくはSTEM分析による分析情報と、上
記薄片試料の注目部の断面方向のTEM分析もしくはSTEM
分析による分析情報とによって、上記注目部の疑似立体
的元素構成を把握する試料解析方法。
【0039】上記第2の目的である試料作製は、以下の
構成からなる方法により実現される。
【0040】(8)TEMまたはSTEMによって観察もしくは
分析する薄片試料から注目部を含む微小薄片試料を摘出
して、上記注目部を上記薄片試料の表面に平行な方向か
ら観察できるように上記微小薄片試料を上記薄片試料面
の方向に電子が透過しうる薄さに加工を施す試料作製方
法。
【0041】(9)電子が透過しうる薄さの薄片試料か
ら注目部を含む微小薄片試料を取り出す摘出工程と、摘
出した上記微小薄片試料を別部材に固着させる固着工程
と、さらに上記薄片試料の一部に加工を施して電子が透
過しうる薄さの断面薄片試料を作製する試料作製方法。
【0042】(10)目的とする試料を電子が透過しうる
薄さの薄片試料に加工する薄片加工工程と、上記薄片試
料をTEMまたはSTEMによって観察する平面TEM観察工程
と、上記薄片試料から所望の注目部を含む微小薄片試料
を取り出す摘出工程と、上記微小薄片試料を試料ホルダ
に固着させる固着工程と、上記微小薄片試料の注目部を
含み上記微小薄片試料の面に対して略垂直で、電子が透
過しうる薄さの断面薄片試料に加工する断面加工工程と
を含む試料作製方法。
【0043】(11)サイドエントリ型の試料ステージに
搭載したTEM観察用の薄片試料のうち注目部を含んだ一
部分の微小薄片試料を取り出す摘出工程と、上記試料ス
テージに予め搭載した試料ホルダ上に上記微小薄片試料
を固着させる固着工程と、上記微小薄片試料のうち注目
部を含み上記微小薄片試料の面に対して略垂直で、電子
が透過しうる薄さの断面薄片試料に加工する断面加工工
程とを含む試料作製方法。
【0044】(12)上記(9)または(11)における薄
片試料および微小薄片試料への加工が、少なくとも集束
イオンビームによる加工を含む試料作製方法。
【0045】(13)上記(9)から(12)のいずれかに
おける薄片試料および上記断面薄片試料が、特に、TEM
もしくはSTEMによる観察もしくは分析のための薄片試料
である試料作製方法。
【0046】(14)上記(9)から(13)のいずれかに
おける摘出工程が、上記注目部を含む領域に保護膜を形
成する過程と、上記保護膜を含んだ領域の周辺に集束イ
オンビームを照射して上記薄片試料の一部で保持された
片持ち梁試料に加工する過程と、上記片持ち梁試料に搬
送手段を固定する過程と、上記片持ち梁試料を上記薄片
試料から分離する過程とを少なくとも含む試料作成方
法。
【0047】(15)上記(9)から(13)のいずれかに
おける上記固着工程、もしくは(14)の片持ち梁試料に
搬送手段を固定する過程が、集束イオンビームとデポジ
ションガスによる局所デポジション膜による接着である
試料作製方法。
【0048】(16)上記(9)から(13)のいずれかに
おける摘出工程が、TEMもしくはSTEM観察で得た上記薄
片試料のTEMもしくはSTEM画像と、集束イオンビームの
照射によって得た上記薄片試料の二次電子画像とを重ね
合せて、上記注目部の位置を特定する過程を含む試料作
製方法。
【0049】(17)上記(9)から(13)のいずれかに
おける摘出工程が、上記注目部を含む上記薄片試料のTE
MもしくはSTEM画像を記憶する過程と、上記TEM像もしく
はSTEM像の特徴的パターンを輪郭線にする計算処理過程
と、集束イオンビームの照射によって得た上記薄片試料
の表面の二次電子画像と上記輪郭線を重ね合せて、上記
所望の注目部の存在位置関係を特定する過程とを含む試
料作製方法。
【0050】上記第3の目的は、以下の構成を有する装
置とすることで実現される。
【0051】(18)薄片試料の所望の領域に集束イオン
ビームを照射する集束イオンビーム照射部と、上記集束
イオンビームの照射によって上記試料から発生する二次
粒子を検出する二次粒子検出器と、上記集束イオンビー
ムの照射領域にデポジション膜を形成するデポジション
用ガス供給源と、上記薄片試料を載置し試料ステージ
と、上記薄片試料の一部を分離した微小薄片試料を別の
部材に移し変える移送部と、上記微小薄片試料を載置す
る試料ホルダを保持する試料ホルダ保持部とを有した試
料作製装置。
【0052】(19)上記(18)の試料ステージは、TEM
用メッシュを固定するメッシュホルダを取り付けるメッ
シュホルダ固定部を有する構造である試料作製装置、ま
たは、 (20)上記(18)の試料ステージは、メッシュホルダ固
定部と上記試料ホルダ保持部とを有するサイドエントリ
型試料ステージである試料作製装置。
【0053】(21)上記(20)の試料の固定部は、薄片
試料を搭載するTEM用メッシュを固定するメッシュホル
ダを取り付ける固定部である試料作製装置。
【0054】(22)上記(18)から(21)のいずれかに
おいて、特に、上記試料ホルダにおける微小試料を栽置
する面と上記メッシュの面とが平行な位置関係にある試
料作製装置。
【0055】(23)上記(20)におけるサイドエントリ
型試料ステージは、TEMまたはSTEMのうちの少なくとも
一方、および、上記試料作製装置とに共通して抜き差し
できる構造である試料作製装置。
【0056】(24)上記(18)において、TEMもしくはS
TEMによるTEM画像情報を受け取る計算処理部を有してい
るか、または、 (25)上記(18)において、ネットワークを介してコン
ピュータに蓄えたTEMもしくはSTEMによる画像情報を受
け取る計算処理部を有しているか、または、 (26)上記(18)において、少なくともTEM画像情報と
上記集束イオンビームの照射による二次粒子画像情報を
保存すると共に、少なくとも上記TEM画像情報と上記二
次粒子像情報を重ね合せた合成像を作成する計算処理部
と、少なくとも上記TEM画像情報または上記二次粒子画
像情報または両者の合成像のうちの少なくとも何れかを
表示する画像表示部とを有する試料作製装置。
【0057】また、上記第3の目的である試料作製装置
は、 (27)試料作製装置と、TEMまたはSTEMと、コンピュー
タと、上記試料作製装置と上記TEMまたはSTEMと上記コ
ンピュータの相互を接続するネットワークとを含む試料
作製システムであってもよい。
【0058】さらに、上記第3の目的である試料作製装
置を実現させるための試料ホルダとしては、 (28)薄片試料の所望の一部を分離した微小薄片試料を
固定するTEMまたはSTEMのための試料ホルダで、特に、
角柱形状もしくは円弧部を有する形状であるか、また
は、 (29)上記(28)における角柱形状の断面が特に、凸状
またはL字状もしくは矩型であるか、または、 (30)上記(28)または(29)における微小薄片試料を
固定する箇所が、上記試料ホルダの長手方向のほぼ中央
部に設けた凹部であるか、または、 (31)上記(30)において、特に、上記凹部の底部に上
記凹部の深さより低く、上記試料ホルダの幅より薄い支
持台を上記微小薄片試料を固定するために設置した試料
ホルダが好適な形態である。
【0059】また、上記第3の目的を達成するための試
料の形態としては、 (32)TEMまたはSTEMによって少なくとも垂直な2方向か
ら観察もしくは分析すべき試料が、高さ0.4μm以下、幅
0.4μm以下、長さ1μm以上の四角柱を含む形状に加工し
た試料でることが好適である。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明による試料解析方法の実施
の形態は、電子が透過しうる薄さの薄片試料の所望の領
域をTEMもしくはSTEMによって観察もしくは分析した
後、さらに、上記薄片試料の所望の箇所を断面薄片に加
工してTEMまたはSTEMで観察もしくは分析する方法であ
る。
【0061】以下、本発明の具体的実施例を示し、さら
には、本発明による試料作製方法、試料作製装置の実施
例について図9から図16を用いて説明するが、ここで
は、まず用語を統一するために図8を用いて説明してお
く。
【0062】図8aのように少なくとも一部にTEM観察で
きる程度の薄片部45を有する試料や、研磨やイオンシニ
ングなど加工、未加工に関係なく図8bのように全面に
わたって薄板状の試料を薄片試料46と称する。薄片試料
46は元試料の基準面に平行な平面TEM試料や、垂直な断
面TEM試料を指す。薄片部45や薄片試料46の断面を観察
するために、図8cのように薄片部45の一部を抜き取る
ことを摘出と言う。
【0063】ここで、符号Dは薄片試料46の平面観察時
の電子線の入射方向で、薄片試料の厚さEはおよそ0.05
μmから0.4μmであることが望ましい。また。摘出した
試料を微小薄片試料47という(図8d)。ここで断面観
察方向はFまたはF'を指すが、観察断面に平行な幅が薄
いほど加工時間は短くて済む。この微小薄片試料47の少
なくとも一部の幅を電子線が通過するほど細く加工した
試料を断面薄片試料48と名付ける。符号D'は断面薄片試
料46の断面観察時の電子線の入射方向で、この時の試料
の幅E'はおよそ0.05μmから0.4μmであることが望まし
い。
【0064】<実施例1>本発明のうち試料解析方法に
ついて例を挙げて図9と図10を用いて説明する。本実
施例は、製造プロセスを完了した半導体装置について電
気的検査を行なった結果、動作不良部を検出し、この不
良部について平面TEM観察を行ない、観察で発見した欠
陥をさらに断面方向(平面TEM試料の側面方向)から観
察する例を取り上げて説明する。以下、試料解析方法の
手順を明確にするためいくつかの工程に分割して説明す
る。
【0065】(1)平面TEM用薄片加工 まず、半導体装置について、プローバなど電気的検査装
置によって動作不良部(以下、総称して注目部という)
の座標情報を記憶する。座標情報の記憶は、チップに予
め設置したチップマークを基準にして不良箇所の座標情
報として計算処理装置に記憶しておく。この座標情報を
もとにチップ(約8mm×15mm)のうち、注目部を含んで1
mm平方程度の大きさの小片を機械的に切りだして図4の
ような従来技術を用いてチップ裏面からの研磨とイオン
シニングによって、注目部の厚さが0.1μm程度になるま
で薄片化して平面TEM試料とする。この薄片試料をメッ
シュに貼り付けてTEMステージに搭載する。TEMステージ
の構造に関しては本発明の重要な部分であるため後の実
施例で詳述する。
【0066】(2)平面TEM観察 TEMステージをTEMもしくはSTEMに導入して観察を行な
う。TEM観察方法は公知でここでは詳細説明はしない。
観察によって先に記憶した不良部の座標情報を基にTEM
で同じ座標領域を観察した結果、視野には長さ3nm程度
の微小な線状欠陥が見つかったとする。平面TEM観察で
得られたTEM画像情報を低倍率から高倍率までTEMの計算
処理部に記憶する。計算処理部では必要に応じてTEM画
像情報を処理して、注目部とその他特徴ある構造や形態
を輪郭線表示するようにもできる。さらには、取得した
TEM画像は拡大縮小、表裏反転や左右反転などの処理も
でき記憶することができる。
【0067】(3)微小薄片試料の摘出 この工程は、試料ステージを試料作製装置に設置して、
上述の薄片試料から注目部を含む微小薄片試料を摘出す
る操作である。この工程を図9を用いて説明する。
【0068】図9aはメッシュなどに固定された薄片試
料50を示す。但し、メッシュは図示せず。厚さはおよそ
0.1μmで、大きさは1mm平方程度であるが特に限定しな
い。まず、薄片試料50から注目部を含む微小薄片試料を
摘出する際、注目部を正確に把握しなければならない。
特に、薄片試料の表面に目印になるような特異パターン
がないとSIM像(FIB走査によって得られた二次電子像、
Secondary Ion Microscopy:以下、SIM像)から注目
部の位置特定は非常に困難となる。SIM像では試料の表
面形状は観察できるが、TEMで観察できた内部欠陥など
は観察できないため、内部欠陥を含む注目部分を摘出し
ようとしても、SIM像からは正確な加工位置が判断つか
ないからである。そこで、上記TEM画像を基に加工位置
を判断する次の方法を採用した。
【0069】ここで、加工位置の決定方法について図1
6を用いて説明しておく。図16aはTEM像である。観察
視野110には注目する内部欠陥111、表面異物112、11
2'、さらに点状欠陥113や線状欠陥114の存在が確認でき
る。このTEM画像情報を一旦計算処理機に記憶してお
く。
【0070】図16bはSIM像である。SIM像視野115はTE
M像視野110より広い。SIM像は試料表面の形態が観察で
きるため、TEM像で観察できた表面異物112。112'の他に
別の表面異物116、117、118、119も観察できる。このSI
M画像情報も計算処理機に記憶する。上記の計算処理機
は、先のTEM画像情報を記憶した計算処理機と同一であ
る必要はなく、必要に応じてお互いの画像情報を特定の
計算処理機に呼び出して編集、解析できればよい。ここ
では先に記憶したTEM画像情報をネットワークで別の計
算処理機に呼び出しで観察倍率、視野の向き、不要なバ
ックグラウンド信号の除去、注目する内部欠陥の強調、
表面異物の輪郭の強調処理などを計算処理機で行なっ
て、TEM視野、SIM視野の両方にある表面異物112、112'
を基準にSIM像視野115に重ねあわせる。
【0071】図16cはSIM像と処理したTEM像を重ねた
合成像120である。この合成像120において符号110'が処
理したTEM像で、この合成像からSIM像では認識できなか
った注目する内部欠陥111や点状欠陥113や線状欠陥114
の位置関係を確認することができ、内部欠陥111をその
側面からTEM観察するために必要な摘出領域121が決定で
きる。
【0072】なお、上記画像処理において、TEM画像やS
IM像には試料や画像を区別するために、例えば、識別番
号122a、122b、122cや記号を画像情報として記入するよ
うにし、さらに、以降の工程で摘出した微小薄片試料に
も対応する識別番号や記号をFIBによって記入しておく
ことによって、SIM像やTEM処理画像、試料の管理が確実
になる。
【0073】このようにして得た合成画像120を基に、
注目部の位置が認識できるマーキングを施す。
【0074】図9bはマーク51の付け方の例を示してお
り、例えば観察断面を形成する両端にFIB52やレーザ加
工等で施す。マーク51'は、さらに精密な位置合わせを
実現するために線幅の細いマークである。本例では、観
察領域を挟んで10μmと1μm間隔で線分マーク51を4個、
FIB52の照射によって施す。
【0075】次に、図9cに示すように上記2個のマーク
51を結ぶ線分を被うように試料保護のための保護膜53を
形成する。保護膜53はデポジション用ガスを供給しつつ
FIB52を矩型に走査することで走査領域に金属膜を形成
することができる。本例では、幅約2μm、長さ14μm、
高さ1μm程度のタングステン膜を形成した。ただし、保
護膜53はタングステンに限ることはなく、炭素膜やプラ
チナ膜など、他の材料でもよい。
【0076】次に試料の分離工程に入る。図9dのよう
に、保護膜53を囲むように、コの字状にFIBによって切
り込み54を入れることで、カンチレバー状構造55ができ
る。一例として寸法は、おおよそ幅4μm、長さ18μm、
試料厚さ0.1μmとした。
【0077】次に、図9eのようにカンチレバー状構造5
5先端部にプローブ56を接触させる。プローブは微小試
料の移送手段(図示せず)の先端に固定したもので、移
送手段の駆動部(図示せず)には、不注意なプローブの
押し付けによるカンチレバー状構造55やプローブ56の破
損を避けるために、プローブ56が試料に接触した時点で
駆動を停止させる機能を有している。プローブ56をカン
チレバー状構造55に固定するために、プローブ56先端を
含む約2μm平方の領域にデポジション膜57を形成する。
デポジション膜57は保護膜53と同じ方法で形成し、同じ
成分である。こうにしてプローブ56とカンチレバー状構
造(摘出すべき試料)55とが接続できる(図9f)。
【0078】その後、図9gのようにカンチレバー状構
造55の支持部58にFIB52を照射してスパッタ加工して、
カンチレバー状構造55が切断される。切断後、プローブ
56を徐々に上昇させると、図9hのように微小薄片試料5
9として元の薄片試料50から分離、摘出できる。
【0079】(4)微小薄片試料の固定 この工程は摘出した微小薄片試料59を試料ホルダに固定
する操作である。図10を用いて説明する。微小薄片試
料59の薄片試料から試料ホルダ60への移動は、プローブ
56を薄片試料から上昇させた状態で停止させて試料ステ
ージを移動させることにより微小薄片試料を相対的に移
動させ、図10iのように試料ホルダ60が微小薄片試料5
9の真下に来たとき試料ステージを停止させる。次い
で、図10jのようにプローブ56を降下させて試料ホル
ダ60に接着させる。微小薄片試料59が試料ホルダ60に接
触した時、プローブ56の降下は自動停止できる。
【0080】次に、微小薄片試料59を試料ホルダ60に固
定するためにデポジション用ガスを導入しつつ図10k
のようにFIB52をデポジション膜61の一部が微小薄片試
料59面に、一部は試料ホルダ60に付着するよう走査させ
た。本実施例でのデポジション膜61は、微小薄片試料59
の長手方向の端辺に2μm平方程度に形成した。その後、
プローブ56と微小薄片試料59を分離するためにデポジシ
ョン膜57にFIB52'を照射する。
【0081】デポジション膜57の除去後、プローブ56を
試料ホルダ60から遠避ける。そこで、図10lのよう
に、微小薄片試料を試料ホルダに確実に固定するため
に、微小薄片試料59の長手方向の他端辺に2μm平方程度
のデポジション膜61'を形成する。
【0082】(5)断面加工 これまでの操作により、注目部を含む微小薄片試料が試
料ホルダに固定できた。次に、図10mのように固定さ
れた微小薄片試料59に対してFIB52を照射して、試料ホ
ルダ60とともに側面を削除して凹部62を形成する。本例
では凹部62の間口は約10μm、奥行約2μm、深さは約3μ
mとした。さらに、反対側面も削除して、中央部に厚さ
が約0.1μmの薄壁ができるように凹部形状62'に加工す
る(図10n)。
【0083】図10oが完成した薄片試料の断面試料
で、中央の薄壁部63の上部が微小薄片試料59の断面試料
64で、実際、TEMもしくはSTEMで観察するのはこの部分
で、高さ約0.1μm、幅約0.1μm、長さ約10μmの細線状
になっている。参考のために、TEM観察時の入射する電
子線65は、その方向を矢印で示したように、微小薄片試
料59の表面にほぼ平行に入射する。
【0084】このように、図9と図10で示した手順に
よって、薄片試料の断面を観察するための試料が作成で
きる。本方法によると、これらの工程がすべて真空雰囲
気中で行なうため、不要な微粉末を付着されることが殆
どなく、高精度に位置出しできる。
【0085】(6)断面TEM観察 試料作製装置内で作製した上記断面薄片試料は試料ステ
ージから取り外すことなく、試料ステージをTEMに差し
入れる。この時、電子線経路と断面が垂直に交わるよう
にTEMステージを回転させることでTEM観察できる。その
後のTEM観察技術についてはよく知られているのでここ
では省略する。
【0086】上記の試料作製手順は、TEM試料に限ら
ず、EDX(電子線X線回折分析法)による元素分析や観察
手法に用いることも可能である。
【0087】(7)立体形状把握 上記(2)の工程で得られた平面TEM像と(6)の工程で
得られた断面TEM像とを複合的に解釈して注目部の立体
構造を推測することができる。このように、平面のみ、
もしくは断面のみのTEM観察では解釈のつきにくい試料
であっても、同一箇所を90°異なった方向から観察する
ことによって、試料構造の正確な解釈ができるようにな
った。
【0088】<実施例2>本実施例は、本発明による試
料作製装置に関し、図1の概略構成図を用いて説明す
る。
【0089】試料作製装置1は、半導体チップや薄片試
料、断面試料などの試料2の加工や観察をするFIB照射系
3、このFIB照射によって照射部から放出する二次電子や
二次イオンを検出する二次粒子検出器4、FIB照射領域に
デポジション膜を形成するための材料ガスを供給するデ
ポジションガス源5、試料2を載置する試料ステージ6、
試料の一部を摘出した微小薄片試料を固定する試料ホル
ダ7、試料ホルダ7を保持する固定具8、微小薄片試料を
試料ホルダに移し変える移送部9などを少なくとも有し
た構成である。
【0090】さらに、試料ステージ6の位置を制御する
ためのステージ制御部10、移送部9を試料ステージ6と独
立に駆動するための移送手段制御部11、計算処理部15、
試料ホルダ7や試料2や移送部9などを表示する画像表示
部16、FIB照射系2のFIB制御部13なども含む。
【0091】上記計算処理部15は、ステージ制御部10、
移送手段制御部11、二次粒子検出器制御部12、デポジシ
ョンガス源制御部13、FIB制御部14、などを制御し、さ
らにはSIM画像情報やTEMからの画像情報の記憶や処理も
できる。また、画像表示部16はSIM像の他に、TEM画像や
TEM画像を処理した画像も表示でき、さらには、計算処
理部15で処理してSIM像とTEM画像を重ねて表示すること
ができる。TEMの画像情報はTEMに備えられた計算処理部
19からネットワーク19‘を介して転送することも可能で
あるし、記憶媒体によって計算処理部15に導入してもよ
い。
【0092】さらには、メインコンピュータを中心にし
たネットワーク化され、メインコンピュータのデータベ
ースに試料作製装置やTEMによる試料の形状や元素情報
データをネットワークを経由して登録する機能を有して
いる。これにより、SIM画像やTEM画像、さらには画像を
処理した処理画像を一元管理することができると共に、
試料作製装置やTEM、さらには他の計算処理部がネット
ワークを介してメインコンピュータのデータベースから
画像情報などを呼び出すことができる。このため、試料
作製装置やTEMに隣接した所で、画像合成や処理をする
必要はなく、作業環境の異なる場所で、さらには、異な
る情報を盛り込んで計算処理することができる。
【0093】FIB照射系3は、液体金属イオン源、ビーム
制限アパチャ、集束レンズ、対物レンズなどから構成さ
れ、上記イオン源から放出させたイオンを、数10nmから
数μm径のFIB17とする。このFIB17を偏向器を用いて試
料2上で走査させ、走査形状に対応したμmからサブμm
レベルの加工を行う。ここでの加工とは、スパッタリン
グによる凹部形成や、FIBアシストデポジションによる
凸部形成、もしくはそれらを組み合わせて試料形状を変
形させる操作を指す。FIB照射によって形成するデポジ
ション膜は、移送手段9の先端にあるプローブ56と試料2
を接続したり、微小薄片試料を試料ホルダ7に固定する
ために使用する。ここで用いた試料ホルダは、本発明の
試料作製装置において重要な構成品であるため、実施例
3で詳細に説明する。
【0094】試料ステージ6はサイドエントリ方式であ
る。サイドエントリ式の試料ステージ6は試料室17の真
空を開放することなく試料室17に挿入、設置できる。ま
た、抜き出したい時も、試料室17の真空を破ることなく
引き抜くことができる。本試料ステージ6は薄片試料2と
この薄片試料2から摘出した微小薄片試料を搭載できる
構造であることが特徴である。
【0095】なお、試料ステージ6の抜き挿し時の真空
保持などの原理は、従来、走査型電子顕微鏡や透過型電
子顕微鏡に用いられているサイドエントリ型ステージお
よびその挿入口の原理とおなじである。しかし、薄片試
料と微小薄片試料の両者について加工を施すため、試料
ステージの軸方向にが少なくとも2箇所停止でき、それ
ぞれの停止位置で試料の加工、観察をすることができる
点で、従来のサイドエントリ型ステージと異なる。ま
た、ここで用いた試料ステージ6については本発明によ
る試料作成装置における重要な構成品であるため、詳細
な構造については実施例3において詳述する。
【0096】微小試料の移送部9はXYZの3軸に動く粗動
機構部とZ方向に微動する微動機構から構成され、いず
れも移送機構制御部11によって動作する。先端には微小
薄片を摘出するためのプローブ56が設置されている。
【0097】図11上記は移送部9をさらに詳しく説明
するための図であり、粗動部70と微動部71から構成され
た例である。粗動部70は球体部72を支点として支柱73が
3個のエンコーダ74X、74Y(図示せず)、74ZによってXY
Z方向に移動できる。粗動ストローク、移動分解能はエ
ンコーダの性能によるが、10mmのストローク、1μmの分
解能はある。エンコーダによる力に抗する力はバネ75a
などによるが、ここでは詳細を省略する。粗動部70の駆
動系は試料室壁76の横ポートを介して大気側にあり、真
空はベローズ77、Oリング78によって遮断されている。
【0098】微動部71はZ軸のみでバイモルフ圧電素子7
9を採用し、サブミクロンの移動分解能が得られる。バ
イモルフ圧電素子79の先端は直径30μm程度で、先端曲
率半径は0.1μm程度に先鋭化した針状のタングステン製
のプローブ56を固定した。バイモルフ圧電素子79は、数
10V程度まで徐々に電圧を与えることでプローブ56先端
はZ方向に微動できる。プローブ56との導通、および、
バイモルフ圧電素子79への印加電圧は端子80を通じて行
なう。
【0099】このようなプローブ56を備えた移送部9お
よびFIB加工によって、薄片試料50の所望の箇所にサブ
μmレベルの正確さで接触して図9のように微小薄片試
料59を摘出することができ、また、摘出した微小薄片試
料59を正確に試料ホルダ60に固定することができる。
【0100】上述の構成の試料作製装置1によって、TEM
観察用の薄片試料50からさらに断面方向の微小な薄片試
料を作製することができる。また、このような薄片試料
から薄片断面試料の作製が実現することで、試料のサブ
μmレベルの注目部について2方向からの詳細な観察が
可能となり、疑似的な立体評価ができるようになった。
【0101】FIB照射部3の構成例については公知例2
などに記載されている。さらにデポジション用ガス供給
部5を装着し、ガスを先端のノズル5'から試料に導入し
つつFIB走査することで走査領域にガス成分のデポジシ
ョン膜を形成することができる。このデポジション膜は
試料の表面保護等の役割を果たす。
【0102】<実施例3>本実施例は、本発明による試
料作製装置における試料ステージ6の例に関し、試料室
の真空度を悪化させることなく真空容器壁面から抜き挿
しできるサイドエントリ式の試料ステージで、特に、TE
Mと試料作製装置に兼用の試料ステージであることが特
徴である。
【0103】本発明による試料ステージ6と従来のサイ
ドエントリ式TEMステージやFIBステージとの大きな相違
点は、TEM観察用の薄片試料を固定したメッシュもしく
はメッシュホルダと、微小薄片試料を固定できる試料ホ
ルダ7が搭載できる構造としたことである。TEM観察を終
えた時、この試料ステージ6をTEMから引き抜いて試料作
製装置に移し替え、試料作製装置で試料の加工が完了す
れば再度TEMに導入して観察することができる。
【0104】以下、図12を用いて説明する。図12a
は試料ステージ6をFIB光学軸に垂直な方向から見た図
で、図12bはイオン源側から見た図(図12(a)を90
°軸回転させた状態)を示し、TEM観察時の電子線の通
過方向は紙面に平行となる。
【0105】試料ステージ6の概略構成については図4c
で説明したが、本実施例で用いた試料ステージ6の特徴
的なところは、薄片試料25'が設置されたメッシュ26を
固定したメッシュホルダ82を搭載するためのメッシュホ
ルダ設置部85と、その先端にTEM観察によって検出した
注目部を摘出した微小試料を固定する試料ホルダ60を設
置する試料ホルダ設置部86とを備えている点にある。な
お、この小突起87を支える支持部が試料ステージ6の軸
とほぼ同軸にあるが図示は省略している。
【0106】メッシュホルダ82や試料ホルダ60はそれぞ
れの設置部85、86に固定される。試料ホルダ60における
微小薄片試料59の設置面はメッシュ19面と平行な関係に
ある。また、試料ステージ6はステージ制御装置10(図
1参照)によって3次元(X,Y,Z)方向移動および回転
制御ができる。このように、本試料ステージ6は薄片試
料25'を載置するメッシュホルダ82と摘出した微小薄片
試料21を固定する試料ホルダ7が同一の試料ステージ6上
に搭載できるサイドエントリ構造であることが最大の特
徴である。また、試料ステージ6には、微小薄片試料59
へのFIB52の入射を阻害しないように試料ホルダ7の上部
88が開放状態であり、この試料ステージ6はTEMと試料作
製装置の両方に搭載可能である。
【0107】図12aの状態から90°軸回転させてTEMに
導入する状態が図12bであり、電子線の入射方向を矢
印89、89'で示した。このため、試料作製装置内で加工
した観察試料を試料ステージの挿入口から抜き挿しする
だけで、直ちにTEM観察することができ、しかも摘出前
の薄片試料25'と加工後の微小薄片試料21もTEM観察でき
ることも大きな特徴である。このような構造により、TE
M観察用の薄片試料から摘出した微小薄片試料を別の特
殊な試料加工装置や緊張と熟練を要する手作業を施すこ
となく、分析や観察に適した試料形状に加工して、試料
ステージを抜き挿しするだけで、直ちに分析や観察作業
に移ることができるようになった。
【0108】さらに、図12には図示できなかったが、
試料ステージ6にはメッシュホルダ82の回転機構を有し
ており、TEM観察しながら薄片試料25'を面内回転でき
る。この構造により、薄片試料25'の所望の注目部の向
きを試料ステージ6の軸に平行に設定することができ、
移送手段(図1参照)に回転等の複雑な動きをさせるこ
となく、容易に薄片試料25'から摘出した微小薄片試料2
1を試料ホルダ60に移設できる。
【0109】試料ステージ6は、試料ステージ挿入口か
らの導入の際、メッシュホルダ固定部および試料ホルダ
のそれぞれほぼ中央で一旦停止できる構造である。停止
状態を試料ホルダ(摘出試料)からメッシュホルダ(薄
片試料)に、またはその逆の操作を行なうには、試料ス
テージをわずかに押し込むか引き出せばよい。これによ
り試料ステージを設置する際、メッシュホルダまたは試
料ホルダのいずれかが必ず視野に入る。このようにし
て、それぞれの停止位置でFIB照射やTEM観察など、目的
とする領域を素早く視野中央に移動させることができ
る。また、中央部からずれている場合には、試料ステー
ジ制御装置によってX,Y移動させて探索することができ
る。
【0110】なお、試料ステージをメッシュホルダで停
止させるか、試料ホルダで停止させるかの機構は公知の
技術により容易に達成することができる。例えば、試料
室の壁面側に設けた基準面と試料ステージの基準部との
間隔の計測手段を設置しておくことで、試料ステージを
所望の位置で停止させることができる。
【0111】本方法では、元の薄片試料から観察試料を
試料作製装置内で摘出できるため、従来の薄片試料の作
製のような機械研磨が不要で、しかも摘出する試料がμ
mレベルであるため、例えば100μm平方の薄片試料から
複数の微小試料を摘出して、各々の断面をTEM観察する
試料を作ることができる。
【0112】試料ホルダ60は、図9の薄片試料50から摘
出した微小薄片試料59を固定して、TEM観察時に電子線
が通過しやすくFIB加工するための部材である。従来のT
EM観察におけるメッシュに相当する。
【0113】本実施例で用いた試料ホルダの例について
図13で説明する。図13aは試料ホルダ60の一実施例
であり、凸状断面の短冊形状の、シリコンで形成された
部材である。長さ約2mm、下部90の幅400μm、凸部91の
幅は40μm程度である。特徴は凸部91の長手方向中央付
近に沈み部92を設けて、この沈み部92の底面93に摘出し
た微小薄片試料59を固定する。この沈み部92は、固定し
た微小薄片試料59、または薄片化加工を行なった微小薄
片断面試料が、試料ホルダ60の取り扱い時に破損しなよ
うに設けてある。また、固定のために微小薄片試料を沈
み部92の底面93にプローブを操作してもプローブは周囲
に接触することはない。沈み部92の寸法は、一例とし
て、幅が約200μm、深さは約50μmである。
【0114】図13bは微小薄片試料59を沈み部92の底
面93のほぼ中央に設置し、薄壁加工を行なった様子を示
している。その沈み部92を拡大したのが図13cであ
る。微小薄片試料59の両側面をFIBによって削除して凹
部62、62'を形成して、微小薄片試料59の一部を断面方
向に薄壁加工する。TEM観察時の電子線の照射方向は図
の矢印65のとおりである。ここに示した寸法は一例に過
ぎないが、幅はプローブが接触しない程度でなるべく狭
く、深さについても微小薄片試料59が確実に底面93に固
定できる程度でなるべく深いことが望ましい。
【0115】試料ホルダ60自体の断面は図13aの凸状
に限定されることはなく、図13eのL字形状の断面で沈
み部92に薄片台94を設置した形状でもよい。薄片台94は
幅4μm、長さ20μm、高さ15μm程度で、プローブによる
搬送とFIBアシストデポジション膜による接着を利用し
て設置できる。この薄片台94の上面に摘出した微小薄片
試料59を固定する。この構造によってTEM観察時に、電
子線65が沈み部92の底面93の凹凸の影響を受けることな
く、微小薄片試料を照射、通過できる。
【0116】さらには図13fのように半円形状の試料
ホルダ60の直径方向の側面に沈み部92と薄片台94を設け
た構造でも同じ効果を生む。これらの構造のポイントは
微小な試料を固着させて、観察や解析の終了後、試料ホ
ルダを保管したり再度観察を行なうなど、試料ホルダを
取り扱う際に他の部材と接触などによる損傷を防ぐため
に、微小薄片試料の固定部を若干沈める(凹部を設け
た)形状にしたことにある。また、電子線の通路を妨げ
ないように、観察部への通路に障害物が突出しないよう
な構造でもある。また、材質はシリコンに限定すること
なく、シリコンカーバイドなど導電性セラミック、モリ
ブデン、タンタル、ニオブなどの金属などでもよい。
【0117】次に、図14を用いて試料ステージ6'の別
の実施例を説明する。図14においては試料ステージ6'
のうち特徴ある先端部のみを示し、グリップなどの記載
は省略した。この試料ステージ6'は従来ダイシング装置
とFIB加工によって加工した図7のTEM試料40のうち、薄
片部であるTEM観察領域の断面をTEM観察することを実現
する新たなサイドエントリ型試料ステージの形態であ
る。
【0118】構造的には、第1の試料ホルダ95と第2の
試料ホルダ60を同時に搭載できるように各々の固定部を
有し、さらに第1の試料ホルダ95が面内で回転できる構
造が特色である。第1の試料ホルダ95は上記公知例2で
説明したダイシングとFIB加工を用いて形成した断面TEM
観察用試料40を設置するための治具で、一部が欠けたリ
ングである。第2の試料ホルダ60は断面TEM観察試料40
のうち断面TEM観察領域41から摘出した微小薄片試料59
を固定する治具で、固定具86などによって固定される。
ここで示す第2の60は図13aで示した形状である。
【0119】この試料ホルダ60の試料設置面(紙面に垂
直)は断面TEM観察領域41の面(紙面に平行)とほぼ垂
直の位置関係ある。ダイシングした短冊状試料を薄片加
工するためのFIB52'が入射しやすくするためと、断面TE
M観察領域41から摘出した微小薄片試料59を第2の試料
ホルダ60に移送する場合に移送プローブの邪魔にならな
いようにそれぞれの試料ホルダ側面には切り欠き88、8
8'を設けた。試料ステージ6'をTEMもしくは試料作製装
置のいずれかに導入すると、断面TEM観察用試料40また
は第2試料ホルダ60のいずれかのほぼ中央で一旦停止で
きる構造であるために、試料ステージ6'を設置すると、
断面TEM観察領域41または微小薄片試料59のいずれかが
必ず視野に入る。このようにして、それぞれの停止位置
でFIB照射やTEM観察など目的とする領域を素早く視野中
央に移動させることができる。また、中央部からずれて
いる場合には、試料ステージ制御装置(図1の符号10)
によってX,Y移動させて探索することができる。
【0120】試料作製装置によって断面TEM観察用試料4
0の薄片加工を終えた後、試料ステージ6'を引き抜き、T
EMに導入して観察領域41を観察する。TEM観察の結果、
異常形態が観察されたとする。この異常形態を観察領域
41面に平行な方向からその断面形状を観察するための試
料を作製するために、この試料ステージ6'を試料作製装
置に再度挿入して以下のような操作を行なう。
【0121】第1の試料ホルダ95を90°回転させ、図1
4bのような位置関係に設定し、観察領域41から注目部4
1'を含む薄片を摘出する。断面TEM試料の薄片部からの
微小試料の摘出方法、試料ホルダへの固定方法について
は後述する。摘出した微小薄片試料がプローブ先端(図
示せず)に固着した状態で、一旦、試料ステージから退
避させ、試料ホルダを軸中心に90°回転させる。この
時、第2試料ホルダ60の試料設置面はFIB光学軸に垂直
な関係になっている。そこで、プローブを第2の試料ホ
ルダ60に接近させ、試料設置面に固定する。微小試料の
固定方法も上記と同じである。プローブ切断後、微小薄
片試料を薄片面に対して垂直に薄片加工する。垂直薄片
加工についても上述同様である。薄片化にあたっては、
試料ホルダもしくは高さ調整のための台も同時に加工し
ても構わない。加工終了後、試料ステージを引き抜き、
TEMに導入して断面を観察することができる。
【0122】上記のような試料ステージにより、薄片TE
M試料において注目する部分の断面薄片試料を作製する
ことができる。また、この一連の試料作製作業により平
面TEM試料の断面、もしくはある方向の断面試料の側面
を容易にTEM観察することができ、これまで薄片試料に
ついて、薄片に垂直な方向のみのTEM像のみから情報を
得ていた微細構造や形状や欠陥について、同一試料を90
°異なった方向からも観察できるため、上記微細構造や
形状や欠陥を疑似的に立体解析でき、試料の構造に関し
て一方向からの観察だけでは明らかにならなかった新た
な知見が得られるようになった。
【0123】<実施例4>本実施例は、本発明による試
料作製方法の実施例のうち、FIBによって作製した断面T
EM観察用試料をTEM観察して検出した注目部を90°観察
方向を変えてさらに薄片の断面観察する例で、図15を
用いて説明する。なお、試料ステージは図14に示した
ものであり、試料作製装置におけるFIB52'による断面薄
片加工後の手順を説明する。
【0124】(1)断面TEM観察 図15aのように従来方法で形成した断面TEM試料40のTE
M観察領域41を電子線89が透過しやすいようにTEM観察領
域41の向きを調整する。TEM観察領域41の厚さは0.1μm
前後の薄片である。図中A部の拡大を図15bに示す。断
面TEM観察の結果、注目部100をさらに詳細に観察するた
めに、以下、注目部100を挟み、間隔約0.1μmに位置す
る面101、101'で切断してその断面からTEM観察するため
の試料作製を行なう。
【0125】試料ステージをTEMから試料作製装置に移
し替える。試料ステージの移動については、既に説明し
たようにサイドエントリ型ステージであるため、真空引
きなどで時間をかけることなく容易にできる。試料作製
装置に導入した試料ステージは、まず、微小薄片試料が
摘出しやすいように、約90°回転補正して、面101、10
1'が摘出した微小試料を固定する試料ホルダに平行にな
るように設定する。(図15c参照) (2)微小薄片試料の摘出 次に、図15dのように、注目部100を保護するためにTE
M観察面41上の一部に保護膜53を形成する。また、摘出
すべき薄片の周囲の一部をFIB52'によって切断するとと
もに、移送手段であるプローブ56の先端をTEM観察面41
上の一部にデポジション膜57によって接続する。その
後、さらにFIB52'の走査による切り込み54によって、TE
M試料40から微小薄片試料59が分離できる。図15eは微
小薄片試料59をプローブ56によって摘出した様子であ
る。
【0126】(3)微小薄片試料の固定 プローブ56の移動とともに試料ステージの移動によっ
て、微小薄片試料59を試料ホルダ60の真下に位置させ
る。その後プローブを徐々に降下させて試料ホルダ60に
接触させる。なお、試料ホルダ60の具体的形状について
は既に説明したので図15fでは微小薄片試料59の固定
部である一部のみを図示した。次に、図15gのように
試料ホルダ60と微小薄片試料59の固定はデポジション膜
102によって行なう。両者の固定を行なった後、プロー
ブを固定しているデポジション膜57をFIBによってスパ
ッタ除去して微小薄片試料59とプローブ56を分離する。
【0127】(4)微小薄片断面加工 次に、注目部100が残るようにFIB照射して両側を除去す
る。最終的に微小薄片試料59のうち、注目部100を含ん
で薄片幅0.1μm程度になるように加工する。このように
して、試料ホルダ60に固定された微小薄片試料59は断面
観察用の薄片103となり、高さ約0.1μm、幅約0.1μm、
長さ約10μmの細線状になっている。また、試料ホルダ6
0にはFIB走査によって凹部104、104'が形成されるが、
これら凹部104、104'によってTEM観察時、電子線105は
周囲の形状に影響されることなく目的とする薄片103を
照射して注目部100を観察できる。
【0128】(6)断面TEM観察 上記までの操作によって、薄片試料59の断面観察用の薄
片103が完成し、この試料ステージをTEMに搭載して注目
部100の観察ができる。
【0129】(7)立体形状把握 本発明によれば、上記(1)で得られた断面TEM像と
(6)で得られた90°観察方向の異なる断面TEM像とを複
合的に解釈して注目部100の構造を疑似立体的に解釈す
ることができる。このように、平面のみ、もしくは一面
の断面のみのTEM観察では解釈のつきにくい試料であっ
ても、同一箇所を90°異なった方向からもTEM観察でき
るようになったので、試料構造に関する知見が広がり、
構造、形状により正確な解釈を下すことができるように
なった。さらに、上記の試料作製手順は、TEM試料に限
らず、他のEDX分析など元素分析にも用いることが可能
である。
【0130】
【発明の効果】本発明によると、薄片試料の注目部を平
面方向と断面方向からTEMやSTEMで解析することがで
き、また、平面方向と断面方向からTEMやSTEMで解析す
るための試料作製することができる。さらには、上記解
析やその解析を行なうための試料作製を実現するための
試料作製装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による試料作製装置の一実施例を示す概
略構成図。
【図2】従来の研磨とイオンシニングを用いた断面試料
作製方法の説明図。
【図3】従来のダイシングと集束イオンビーム加工を用
いた試料作製方法の説明図。
【図4】従来のダイシングとFIB加工によるTEM試料の形
状と試料ステージの説明図。
【図5】従来の研磨とイオンシニングを用いた平面試料
の作製方法の説明図。
【図6】従来の微小試料を分離する方法の説明図。
【図7】従来の薄片試料の断面TEM観察を行なう試料作
製方法の説明図。
【図8】本発明の一実施例による試料作製方法の説明説
明図。
【図9】本発明の一実施例での微小薄片試料の摘出工程
の説明図。
【図10】図9の続きの微小薄片試料の摘出工程の説明
図。
【図11】本発明一実施例の試料作製装置の特に移送部
の縦断面図。
【図12】本発明一実施例の試料作製装置の試料ステー
ジ部の平面図および部分断面図。
【図13】本発明の一実施例の試料作製装置に用いた試
料ホルダの実施例の説明図。
【図14】本発明の一実施例の試料作製装置の試料ステ
ージの他の例を示す説明図。
【図15】本発明の一実施例の断面を観察するためのTE
M試料作製方法の説明図。
【図16】本発明の試料作製方法おける摘出位置を決定
する方法の説明図。
【符号の説明】
1…試料作製装置、2…試料、3…FIB照射部、4…二次粒
子検出器、5…デポジションガス源、6,6'…試料ステー
ジ、7,7'…試料ホルダ、8…固定具、9…移送手段、10
…ステージ制御装置、11…移送手段制御装置、12…二次
電子検出器制御装置、13…デポジションガス源制御装
置、14…FIB制御装置、15…計算処理部、16…画像表示
部、19…計算処理装置、19'…ネットワーク、45…薄片
部、46…薄片試料、47…微小薄片試料、48…断面微小薄
片試料、50…薄片試料、51…マーク、52…FIB、56…プ
ローブ、59…微小薄片試料、60…試料ホルダ、64…断面
試料、65…電子線、82…メッシュホルダ、89,89'…電
子線、92…沈み部、94…微小台、95…第2の試料ホル
ダ、110…TEM像、111…内部欠陥、112,112'…表面異
物、115…SIM像、120…合成像、121…摘出領域、122a,
122b,122c…試料認識番号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/26 H01J 37/26 37/28 37/28 C G01N 1/28 G (72)発明者 三井 ▲泰▼裕 東京都小平市上水本町五丁目20番1号 株 式会社日立製作所半導体事業本部内 (72)発明者 中村 邦康 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 富松 聡 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 2G001 AA03 BA06 BA11 CA03 GA01 GA06 GA13 HA07 HA13 JA02 JA08 JA12 KA01 KA03 LA11 MA05 PA12 QA02 RA01 RA02 RA03 RA20 5C001 AA01 BB07 CC03 CC04 5C033 SS02 SS04 SS07

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄片試料を透過型電子顕微鏡(以下、TE
    M)もしくは走査型透過電子顕微鏡(以下、STEM)によ
    って観察する平面観察工程と、上記薄片試料から注目部
    を含む所望の微小薄片試料を取り出す摘出工程と、上記
    微小薄片試料を表面に対して垂直な断面試料に加工する
    断面薄片加工工程と、上記断面試料をTEMまたはSTEMに
    よって観察する断面観察工程を少なくとも含む方法によ
    って、上記注目部を平面方向と断面方向から解析するこ
    とを特徴とする試料解析方法。
  2. 【請求項2】試料を薄片試料に加工する薄片加工工程
    と、上記薄片試料をTEMまたはSTEMによって観察する平
    面観察工程と、上記薄片試料から所望の注目部を含む微
    小薄片試料を取り出す摘出工程と、上記微小薄片試料を
    試料ホルダに固着させる固着工程と、上記薄片試料を表
    面に対して垂直な断面試料に加工する断面薄片加工工程
    と、上記断面試料をTEMまたはSTEMによって観察する断
    面観察工程とを含む方法によって、上記注目部を平面方
    向と断面方向から解析することを特徴とする試料解析方
    法。
  3. 【請求項3】サイドエントリ型の試料ステージに搭載し
    た薄片試料をTEMまたはSTEMによって観察する平面観察
    工程と、上記薄片試料を加工する試料作製装置に搭載し
    て上記薄片試料から所望の注目部を含む微小薄片試料を
    取り出す摘出工程と、上記試料ステージに予め搭載した
    試料ホルダ上に上記微小薄片試料を固定する固着工程
    と、上記薄片試料の表面に対して垂直な断面薄片試料を
    上記試料ホルダ上で作製する断面薄片加工工程と、上記
    試料ステージを上記TEMまたはSTEMに導入して上記断面
    薄片試料を観察する断面観察工程を含むことを特徴とす
    る試料解析方法。
  4. 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載の試料解
    析方法において、上記断面薄片加工工程を集束イオンビ
    ームの照射によって行なうことを特徴とする試料解析方
    法。
  5. 【請求項5】請求項2または3記載の試料解析方法にお
    いて、上記摘出工程および上記固着工程を集束イオンビ
    ームの照射によって行なうことを特徴とする試料解析方
    法。
  6. 【請求項6】薄片試料の注目部の平面方向のTEM観察も
    しくはSTEM観察による画像情報と、上記薄片試料の注目
    部の断面方向のTEM観察もしくはSTEM観察による画像情
    報とによって、上記注目部の疑似立体的形状を把握する
    ことを特徴とする試料解析方法。
  7. 【請求項7】薄片試料の注目部のTEM分析もしくはSTEM
    分析による分析情報と、上記薄片試料の注目部の断面方
    向のTEM分析もしくはSTEM分析による分析情報とによっ
    て、上記注目部の疑似立体的元素構成を把握することを
    特徴とする試料解析方法。
  8. 【請求項8】TEMまたはSTEMによって観察もしくは分析
    する薄片試料から注目部を含む微小薄片試料を摘出し
    て、上記注目部を上記薄片試料の表面に平行な方向から
    観察できるように上記微小薄片試料を上記薄片試料面の
    方向に電子が透過しうる薄さに加工を施すことを特徴と
    する試料作製方法。
  9. 【請求項9】電子が透過しうる薄さの薄片試料から注目
    部を含む微小薄片試料を取り出す摘出工程と、摘出した
    上記微小薄片試料を別部材に固着させる固着工程と、さ
    らに上記薄片試料の一部に加工を施して電子が透過しう
    る薄さの断面薄片試料を作製することを特徴とする試料
    作製方法。
  10. 【請求項10】目的とする試料を電子が透過しうる薄さ
    の薄片試料に加工する薄片加工工程と、上記薄片試料を
    TEMまたはSTEMによって観察する平面TEM観察工程と、上
    記薄片試料から所望の注目部を含む微小薄片試料を取り
    出す摘出工程と、上記微小薄片試料を試料ホルダに固着
    させる固着工程と、上記微小薄片試料の注目部を含み上
    記微小薄片試料の面に対して略垂直で、電子が透過しう
    る薄さの断面薄片試料に加工する断面加工工程とを含む
    ことを特徴とする試料作製方法。
  11. 【請求項11】サイドエントリ型の試料ステージに搭載
    したTEM観察用の薄片試料のうち注目部を含んだ一部分
    の微小薄片試料を取り出す摘出工程と、上記試料ステー
    ジに予め搭載した試料ホルダ上に上記微小薄片試料を固
    着させる固着工程と、上記微小薄片試料のうち注目部を
    含み上記微小薄片試料の面に対して略垂直で、電子が透
    過しうる薄さの断面薄片試料に加工する断面加工工程と
    を含むことを特徴とする試料作製方法。
  12. 【請求項12】請求項9または11の記載の試料作製方
    法において、上記薄片試料および微小薄片試料への加工
    が少なくとも集束イオンビームによる加工を含むことを
    特徴とする試料作製方法。
  13. 【請求項13】請求項9から12のいずれかに記載の試
    料作製方法において、上記薄片試料および上記断面薄片
    試料がTEMもしくはSTEMによる観察もしくは分析のため
    の薄片試料であることを特徴とする試料作製方法。
  14. 【請求項14】請求項9から13のいずれかに記載の試
    料作製方法において、特に上記摘出工程が、上記注目部
    を含む領域に保護膜を形成する過程と、上記保護膜を含
    んだ領域の周辺に集束イオンビームを照射して上記薄片
    試料の一部で保持された片持ち梁試料に加工する過程
    と、上記片持ち梁試料に搬送手段を固定する過程と、上
    記片持ち梁試料を上記薄片試料から分離する過程とを少
    なくとも含むことを特徴とする試料作製方法。
  15. 【請求項15】請求項9から13のいずれかに記載の試
    料作製方法における上記固着工程、もしくは、請求項1
    4記載の試料作製方法における上記片持ち梁試料に搬送
    手段を固定する過程が、集束イオンビームとデポジショ
    ンガスによる局所デポジション膜による接着であること
    を特徴とする試料作製方法。
  16. 【請求項16】請求項9から13のいずれかに記載の試
    料作製方法において、特に、上記摘出工程が、TEMもし
    くはSTEM観察で得た上記薄片試料のTEMもしくはSTEM画
    像と、集束イオンビームの照射によって得た上記薄片試
    料の二次電子画像とを重ね合せて、上記注目部の位置を
    特定する過程を含むことを特徴とする試料作製方法。
  17. 【請求項17】請求項9から13のいずれかに記載の試
    料作製方法において、特に、上記摘出工程が、上記注目
    部を含む上記薄片試料のTEMもしくはSTEM画像を記憶す
    る過程と、上記TEM像もしくはSTEM像の特徴的パターン
    を輪郭線にする計算処理過程と、集束イオンビームの照
    射によって得た上記薄片試料の表面の二次電子画像と上
    記輪郭線を重ね合せて、上記所望の注目部の存在位置関
    係を特定する過程とを含むことを特徴とする試料作製方
    法。
  18. 【請求項18】薄片試料の所望の領域に集束イオンビー
    ムを照射する集束イオンビーム照射部と、上記集束イオ
    ンビームの照射によって上記試料から発生する二次粒子
    を検出する二次粒子検出器と、上記集束イオンビームの
    照射領域にデポジション膜を形成するデポジション用ガ
    ス供給源と、上記薄片試料を載置し試料ステージと、上
    記薄片試料の一部を分離した微小薄片試料を別の部材に
    移し変える移送部と、上記微小薄片試料を載置する試料
    ホルダを保持する試料ホルダ保持部とを有したことを特
    徴とする試料作製装置。
  19. 【請求項19】請求項18記載の試料作製装置におい
    て、特に、上記試料ステージは、TEM用メッシュを固定
    するメッシュホルダを取り付けるメッシュホルダ固定部
    を有する構造であることを特徴とする試料作製装置。
  20. 【請求項20】請求項18記載の試料作製装置におい
    て、特に、上記試料ステージは、上記メッシュホルダ固
    定部と上記試料ホルダ保持部とを有するサイドエントリ
    型試料ステージであることを特徴とする試料作製装置。
  21. 【請求項21】請求項20記載の試料作製装置におい
    て、特に、上記試料の固定部は、薄片試料を搭載するTE
    M用メッシュを固定するメッシュホルダを取り付ける固
    定部であることを特徴とする試料作製装置。
  22. 【請求項22】請求項18から21のいずれかに記載の
    試料作製装置において、特に、上記試料ホルダにおける
    微小試料を栽置する面と上記メッシュの面とが平行な位
    置関係にあることを特徴とする試料作製装置。
  23. 【請求項23】請求項20記載の試料作製装置におい
    て、特に、上記サイドエントリ型試料ステージは、TEM
    またはSTEMのうちの少なくとも一方、および、上記試料
    作製装置とに共通して抜き差しできる構造であることを
    特徴とする試料作製装置。
  24. 【請求項24】請求項18記載の試料作製装置におい
    て、TEMもしくはSTEMによるTEM画像情報を受け取る計算
    処理部を有したことを特徴とする試料作製装置。
  25. 【請求項25】請求項18記載の試料作製装置におい
    て、ネットワークを介してコンピュータに蓄えたTEMも
    しくはSTEMによる画像情報を受け取る計算処理部を有し
    たことを特徴とする試料作製装置。
  26. 【請求項26】試料作製装置と、TEMまたはSTEMと、コ
    ンピュータと、上記試料作製装置と上記TEMまたはSTEM
    と上記コンピュータの相互を接続するネットワークとを
    含むことを特徴とする試料作製システム。
  27. 【請求項27】請求項18記載の試料の試料作製装置に
    おいて、少なくともTEM画像情報と上記集束イオンビー
    ムの照射による二次粒子画像情報を保存すると共に、少
    なくとも上記TEM画像情報と上記二次粒子像情報を重ね
    合せた合成像を作成する計算処理部と、少なくとも上記
    TEM画像情報または上記二次粒子画像情報または両者の
    合成像のうちの少なくとも何れかを表示する画像表示部
    とを有することを特徴とする試料作製装置。
  28. 【請求項28】薄片試料の所望の一部を分離した微小薄
    片試料を固定するTEMまたはSTEMのための試料ホルダで
    あって、特に、角柱形状もしくは円弧部を有する形状で
    あることを特徴とする試料ホルダ。
  29. 【請求項29】請求項28記載の試料ホルダにおいて、
    上記角柱形状が特に、凸状またはL字状もしくは矩型断
    面であることを特徴とする試料ホルダ。
  30. 【請求項30】請求項28または29に記載の試料ホル
    ダにおいて、特に、上記微小薄片試料を固定する箇所
    が、上記試料ホルダの長手方向のほぼ中央部に設けた凹
    部であることを特徴とする試料ホルダ。
  31. 【請求項31】請求項30記載の試料ホルダにおいて、
    特に上記凹部の底部に、微小薄片試料を固定するため
    の、上記凹部の深さより低く、上記試料ホルダの幅より
    薄い支持台を設置したことを特徴とする試料ホルダ。
  32. 【請求項32】TEMまたはSTEMによって少なくとも垂直
    な2方向から観察もしくは分析すべき試料が、高さ0.4μ
    m以下、幅0.4μm以下、長さ1μm以上の四角柱を含む形
    状に加工したことを特徴とする試料。
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