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JP2000036409A - アクチュエ―タ用複合磁性部材およびアクチュエ―タ用複合磁性部材の強磁性部の製造方法ならびにアクチュエ―タ用複合磁性部材の非磁性部の形成方法 - Google Patents

アクチュエ―タ用複合磁性部材およびアクチュエ―タ用複合磁性部材の強磁性部の製造方法ならびにアクチュエ―タ用複合磁性部材の非磁性部の形成方法

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Publication number
JP2000036409A
JP2000036409A JP12804099A JP12804099A JP2000036409A JP 2000036409 A JP2000036409 A JP 2000036409A JP 12804099 A JP12804099 A JP 12804099A JP 12804099 A JP12804099 A JP 12804099A JP 2000036409 A JP2000036409 A JP 2000036409A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
actuator
ferromagnetic
carbide
magnetic member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12804099A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichiro Yokoyama
紳一郎 横山
Tsutomu Inui
勉 乾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP12804099A priority Critical patent/JP2000036409A/ja
Publication of JP2000036409A publication Critical patent/JP2000036409A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータ用複合磁性部材として比較的
安価で加工性、耐食性が良く、優れた軟磁性を有した強
磁性部が得られ易いFe−Cr−C系合金を適用するこ
とを提案し、該部材の製造方法ならびに非磁性部の形成
方法を提供する。 【解決手段】 重量%でC:0.30〜0.80%、C
r:10.0〜25.0%、残部がFeと不可避不純物
の組成でなり、組織における炭化物の最大粒径が0.1
〜20μmに調整された最大透磁率400以上の強磁性
部と、オーステナイトを主体とする組織に調整された透
磁率2以下の非磁性部を有するアクチュエータ用複合磁
性部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の電磁弁や
燃料噴射装置等、流体を扱う分野でアクチュエータとし
て用いられる複合磁性部材、及びその製造方法ならびに
アクチュエータ用複合磁性部材の非磁性部の形成方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の電磁弁や燃料噴射部等、
オイルやガソリンといった液体の流量を制御するアクチ
ュエータとして、強磁性(一般には軟磁性)である固定
子の一部に非磁性部を設けて磁束を可動片に洩らし、磁
束を有効に利用する構造が用いられている。強磁性部品
の一部に非磁性部分を設ける方法としては強磁性部品と
非磁性部品をろう付けするか、レ−ザ−溶接する等の手
法が行われてきた。これらの異種材を接合する手法に対
し、近年、単一材を使用して、この単一材に冷間加工ま
たは熱処理によって強磁性部および非磁性部を設けた複
合磁性部材が提案されている。このような単一材の複合
磁性部材を利用すると、気密性の確保、液体の漏れ防
止、振動等による破損防止等、信頼性の確保という点
で、強磁性体と非磁性体を接合した部品よりも優れたも
のとなる。
【0003】例えば特開平6−74124号では、アク
チュエータの固定鉄心に複合磁性部材を適用する提案が
なされている。この提案の中の一つには、固定鉄心に適
用する複合磁性部材として、鉄ークロム系合金、フェラ
イト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼よ
りなる磁性鋼にNi等のオーステナイト生成元素を局所
的に溶融添加し、非磁性のオーステナイト相を形成する
方法が述べられている。
【0004】また本発明者らの提案による特開平9−1
57802号には、複合磁性部材としてNiを0.5〜
4.0%含有するマルテンサイト系ステンレス鋼が開示
されている。この提案には、フェライトと炭化物よりな
る焼鈍状態のマルテンサイト系ステンレス鋼Fe−Cr
−C系合金にNiを適量添加することにより、マルテン
サイト系ステンレス鋼の一部をオーステナイト化温度以
上で加熱後冷却することにより得られる透磁率μ2以下
の非磁性部のオ−ステナイトを安定化できることが開示
されている。これらの提案は、単一材において強磁性部
と、安定した非磁性部が得られるという点で優れたもの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平6−7
4124号や特開平9−157802号で提案されてい
る複合磁性部材は、単一材で強磁性部と非磁性部を併せ
持つことができるという点では有利であるものの、非磁
性のオーステナイトを形成するためにNi等の元素を添
加する方法は材料コストを上げるという点で問題があ
る。またNi等を添加すると材料が硬くなるので加工性
が悪くなるとともに、強磁性部において必要な磁気特性
が得られ難くなるという問題がある。本発明の目的は、
アクチュエータ用複合磁性部材として比較的安価で加工
性、耐食性が良く、優れた軟磁性を有した強磁性部が得
られ易いFe−Cr−C系合金を適用することを提案
し、該部材の製造方法ならびに非磁性部の形成方法を提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アクチュ
エータ用複合磁性部材としてFe−Cr−C系合金の適
用を検討するために、まずNiを実質的に添加しないF
e−Cr−C系合金を素材として複合磁性部材を製造
し、強磁性部、非磁性部での各磁気特性を確認した。そ
の結果、素材にNiを添加しない方が、Niを添加した
場合よりも優れた軟磁性の強磁性部が得られること、ま
た非磁性化を確実に行えば、Niを添加した場合と変わ
らない低い透磁率の非磁性部が得られることを見出し
た。
【0007】次に、複合磁性部材の強磁性部のミクロ組
織を検討した結果、フェライト母相に炭化物が析出した
組織となっていること、更に、磁気特性とミクロ組織の
関係を検討した結果、炭化物の最大粒径を0.1〜20
μmに調整することにより、アクチュエータ用途に望ま
れる最大透磁率400以上の磁気特性が得られること、
かつ該部材の一部をオ−ステナイト化温度以上に加熱、
急冷した際に透磁率2以下の非磁性部が得られ易いこと
を突き止め、本発明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、重量%でC:0.30
〜0.80%、Cr:10.0〜25.0%、残部がF
eと不可避不純物の組成でなり、組織における炭化物の
最大粒径が0.1〜20μmに調整された最大透磁率40
0以上の強磁性部と、オーステナイトを主体とする組織
に調整された透磁率2以下の非磁性部を有することを特
徴とするアクチュエータ用複合磁性部材である。好まし
くは、Crの含有量が、Cr≧12.0+4×Cに調整
されたアクチュエータ用複合磁性部材である。
【0009】また、重量%でC:0.30〜0.80
%、Cr:10.0〜25.0%、残部がFeと不可避
不純物からなる組成を有する合金素材を、900〜11
00℃の温度範囲で熱間加工を行い、次いでA3変態点
以下で焼鈍、冷間加工、再度A3変態点以下で焼鈍した
後の炭化物の最大粒径が0.1〜20μmに調整された
最大透磁率400以上の強磁性部を有することを特徴と
するアクチュエータ用複合磁性部材の強磁性部の製造方
法である。
【0010】更に、重量%でC:0.30〜0.80
%、Cr:10.0〜25.0%、残部がFeと不可避
不純物からなる組成を有する合金素材を、900〜11
00℃の温度範囲で熱間加工を行い、次いでA3変態点
以下で焼鈍、冷間加工、再度A3変態点以下で焼鈍し、
炭化物の最大粒径が0.1〜20μmに調整された最大
透磁率400以上の強磁性部の一部を局所的にオ−ステ
ナイト化温度以上に加熱、急冷することで透磁率2以下
の非磁性部を形成することを特徴とするアクチュエータ
用複合磁性部材の非磁性部の形成方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明の重要な
特徴は、アクチュエータ用複合磁性部材としてFe−C
r−C系合金を適用し、強磁性部の組織の炭化物を最大
粒径0.1〜20μmの範囲に調整したこと、及び好ま
しい範囲として、該部材の耐食性を確保するために素材
となるFe−Cr−C系合金のCr量とC量の関係を調
整したことにある。
【0012】まず、本発明の成分の限定理由を述べる。
Crはマトリックスに固溶するとともに、一部は炭化物
となり、本発明用途部材の機械的強度と耐食性を確保す
る元素である。Crの範囲を、10.0〜25.0%と
したのは、10.0%以下では耐食性が悪くアクチュエ
−タ用途には適さず、逆に25.0%以上では、最大透
磁率400以上の強磁性が得られないためである。Cr
のより望ましい範囲は12.0〜18.0%であり、特
に望ましくは13.0%を超えて16.0%以下であ
る。
【0013】Cは炭化物を形成し、本発明用途の基本と
なるFe−Cr−C系部材の強度と磁気特性を確保する
元素として重要である。また、Cはオ−ステナイトの安
定化にも寄与する元素である。Cが0.30%未満で
は、強磁性体の一部を加熱、急冷した際、透磁率2以下
の非磁性部を得ることが困難である。一方、0.80%
を超えると非磁性部の特性は良いが、強磁性部の最大透
磁率を400以上に維持し難くなる。そのため本発明に
おいては、Cの範囲を0.30〜0.80%に規定し
た。Cのより望ましい範囲は、0.45〜0.65%で
ある。なお、本発明の部材は脱酸元素としてSi、M
n、Alの1種以上を、特に磁気特性に影響しない範囲
として合計で2.0%以下含有してもよく、望ましくは
1.0%以下とすると良い。
【0014】次に本発明の透磁率の限定理由を述べる。
本発明の対象となるアクチュエ−タは磁気回路の部品で
あり、強磁性部に望まれる特性としては、軟磁性と磁気
的な応答性が優れていること、また非磁性部に望まれる
特性としては漏れ磁束を遮断し、磁気回路の効率を上げ
ることである。高性能のアクチュエータとして用いるた
めには、前記強磁性部の最大透磁率は400以上とする
必要がある。また非磁性部の透磁率を2以下としたの
は、これを超える範囲では磁束が通り易くなり非磁性と
しての用途に適さなくなるからである。
【0015】次に、炭化物の最大粒径を限定した理由に
ついて述べる。本発明において、強磁性部の炭化物の最
大粒径を0.1〜20μmの範囲に規定したのは、0.
1μm未満の範囲では、炭化物として析出しているC量
が少なく、換言すればマトリックスに固溶するC量が多
くなり過ぎて、強磁性部としての組織であるフェライト
組織を維持することが難しくなる。ひいては強磁性部に
必要とされる最大透磁率400以上の特性が得られ難く
なる。逆に炭化物の最大粒径が20μmを超える範囲で
は、非磁性部の形成を目的とした加熱処理をしても、炭
化物が分解し難いために、非磁性のオ−ステナイト相を
形成し難いからである。なお、炭化物の最大粒径の望ま
しい範囲は1〜10μmである。
【0016】次に好ましい範囲として、本発明部材の素
材となるFe−Cr−C系合金のCr量とC量の関係を
規定した理由を述べる。Fe−Cr−C系合金はA3変
態点以下で焼鈍した状態では、(フェライト+炭化物)
主体の組織となって軟磁性を示す。この組織は本発明部
材の強磁性部に相当するものであるが、この組織に含ま
れる炭化物の組成はCr23主体であり、素材に含
有されるC量の約4倍量のCrを炭化物として消費す
る。
【0017】このため、強磁性部の耐食性を確保するた
めには、炭化物として消費されるCrの他に、耐食性に
効果があるフェライト組織中に固溶するCr量を、一定
量以上、確保しておくことが必要となる。本発明者ら
は、この固溶Cr量を12.0%以上とすることで、ア
クチュエ−タに必要な耐食性を確保できることを見出し
た。以上の観点から、好ましいCr量とC量の関係を、
Cr≧12.0+4×Cとした。
【0018】次に製造工程の限定理由を述べる。先ず、
熱間加工温度を900〜1100℃の範囲としたのは、
900℃未満ではマトリックスに固溶するC量が少なく
炭化物の最大粒径が20μmを超え、逆に1100℃を
超える温度では固溶C量が多くなり過ぎて、最大粒径
0.1μm以上の炭化物が得られないからである。
【0019】また、熱間加工後にA3変態点以下で焼鈍
するのは、熱間加工中に生成した炭化物の核を成長さ
せ、合金素材の硬さを下げ、その後の冷間加工をし易く
するためである。A3変態点以上の温度では炭化物の成
長が十分でなく、硬さを下げる効果が小さいためであ
る。更に、冷間加工を行うのは、合金素材に歪を与える
ことにより、炭化物の加工誘起析出を起させるためであ
り、加工率は40〜90%を施すことが有効である。ま
た、冷間加工後に再度A3変態点以下で焼鈍するのは、
冷間加工中に析出した炭化物を成長、凝集させ炭化物の
最大粒径を0.1〜20μmの大きさに安定化させるた
めである。
【0020】上述の工程により強磁性化された合金素材
の一部に非磁性部を設ける方法としては、合金素材の一
部をレ−ザ−等で部分的にオ−ステナイト化温度以上に
加熱後、急冷することが望ましい。この部分的な加熱、
急冷処理により、強磁性化された合金素材の一部に、非
磁性のオ−ステナイトを主体とする組織が形成され、透
磁率2以下の非磁性部を設けることができる。この部分
的な非磁性化処理により、合金素材は、単一材で強磁性
部と非磁性部を有する複合磁性部材となる。
【0021】この場合の加熱とは、オ−ステナイト化温
度以上〜溶融点以下での固溶体化処理または溶融点以上
での溶融加熱、のいずれの方法を用いても良いが、Ni
を含有しないFe−Cr−C系合金においてNiを含有
した場合と同レベルの低い透磁率を得るためには、非磁
性化温度はできるだけ高い方が望ましく、溶融点以上で
の溶融加熱の方がより望ましい。また非磁性部のオ−ス
テナイトを主体とする組織とは、部分的な加熱後の急冷
処理時にマルテンサイト変態が進行せず、オ−ステナイ
トが大半を占める組織を指す。
【0022】本発明では、オ−ステナイトが大半を占め
る組織であることの指標として、非磁性部をX線回折に
より定量的に調べた時に、次の(1)式を満足すること
とした。 γ/(γ+α‘)≧0.5 ・・・(1) ここで、γとはX線により検出されるオ−ステナイト
(γ)の結晶面γ(111)、γ(200)、γ(22
0)、γ(311)の面集合度の総和であり、α‘とは
マルテンサイト(α‘)の結晶面α‘(110)、α
‘(200)、α‘(211)の面集合度の総和であ
る。(1)式はオ−ステナイトが組織全体の50%以上
を占めることを意味する。本発明は、上述した製造工程
を施すことで、Fe−Cr−C系複合磁性部材をアクチ
ュエータ用途に適用することができたものである。
【0023】(実施例1)本発明ではC、Crの含有量
と炭化物の最大粒径が重要となるので、真空溶解でC、
Cr含有量を種々に変えた10kgの鋼塊を得た後、鍛
造を行い、1000℃で熱間圧延を行い、板厚5.0m
mとした。この材料をA3変態点以下の780℃で焼鈍
した後、酸化スケ−ルを除去し、冷間圧延により板厚
1.0mmとした。この冷間圧延材をA3変態点以下の
780℃で再度、焼鈍して強磁性化した合金素材を得
た。該素材を鏡面研磨後、化学的に腐食した試料を走査
型電子顕微鏡で3000倍の視野で10視野以上観察
し、観察される炭化物の最大粒径を求めた。表1に実験
に供した合金素材の化学組成と強磁性化後の炭化物の最
大粒径を示す。
【0024】合金素材No.1〜3は、Cr量をほぼ等
しくし、C量を変化させたものであり、合金素材No.
7はC添加量を低めたもの、合金素材No.8はC添加
量を高めたものである。また合金素材No.2、4、
5、6は、C量をほぼ等しくし、Cr量を変化させたも
のであり、合金素材No.9はCr添加量を高めたもの
である。また合金素材No.1〜9は実質的にNiを含
有せず、合金素材No.10は、特開平9−15780
2号で提案されたNiを含有する複合磁性部材に相当す
る。合金素材No.1〜10の内、耐食性の面から好ま
しい範囲であるCr≧12.0+4×Cを満足している
のはNo.1、No.5〜7、No.9の5個である。
【0025】
【表1】
【0026】炭化物の観察の一例として、強磁性化後の
合金素材No.1の断面におけるミクロ組織を図1に示
す。
【0027】得られた強磁性体の一部をCOレ−ザに
よって半溶融化温度に加熱後、水冷し、部分的に非磁性
化した複合磁性部材を得た。更に、COレ−ザ加熱に
よる熱影響部以外から、外径45mm、内径33mmの
JISリングを切り出し、1次巻線150回、2次巻線
30回の巻線を行った後、直流磁束計により最大透磁率
μmを求め、強磁性部の磁気特性を評価した。一方、高
周波加熱によって得られた非磁性部は、X線回折分析に
よりオ−ステナイトを主体とする相が形成されているこ
とを確認し、透磁率計を用いて透磁率μの測定を行っ
た。
【0028】また複合磁性部材の内、強磁性部と非磁性
部の両方を含む部分から、20mm角のブロックを採取
し、ブロック表面を#500まで研磨し、JIS Z
2371に記載の塩水噴霧試験を行って、耐食性を評価
した。この場合の耐食性の評価は、温度35℃、濃度5
%のNaCl水溶液を100時間、試料に噴霧した時、
錆が発生しないものを耐食性(○)、錆が発生するもの
を耐食性(×)とした。強磁性部の最大透磁率、非磁性
部の透磁率、耐食性の評価結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】素材に含有されるCが0.30〜0.80
%の範囲でかつ、Crが10.0〜25.0%の範囲の
部材No.1〜6は、最大透磁率400以上の強磁性部
と透磁率2以下の非磁性部が得られている。Cが0.2
2%の部材No.7では、C量が低すぎて透磁率2以下
の非磁性部が得られない。逆にCが0.85%を超える
部材No.8では、非磁性部の特性は良いが、最大透磁
率400以上の強磁性部が得られない。
【0031】また、素材に含有されるCrが25.7%
の部材No.9とNiを3.05%含有する部材No.
10では強磁性部の最大透磁率400が得られない。以
上の結果から、最大透磁率400以上の強磁性部と透磁
率2以下の非磁性部を得るためにはCを0.30〜0.
80%、Crを10.0〜20.0%の範囲に調整し、
かつNiを含有しないことが有効であることが分かる。
更に好ましい範囲として、本発明部材の内、Cr≧1
2.0+4×Cの関係を満足している部材No.1、N
o.5、No.6の耐食性はいずれも良好となってい
る。
【0032】(実施例2)本発明では強磁性部の炭化物
の最大粒径を制御する因子として熱間加工温度も重要と
なるため、本発明の範囲である表1の合金素材No.2
を、熱間加工温度を850〜1150℃の範囲で種々に
変えて強磁性部の炭化物の最大粒径と磁気特性を調査し
た。熱間加工温度以外の製造工程ならびに炭化物の最大
粒径と磁気特性の調査方法は(実施例1)と同じであ
る。調査結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】炭化物の最大粒径を0.1〜20μmに調
整した合金素材No.11〜13では、強磁性部の最大
透磁率400以上、非磁性部の透磁率2以下の複合磁気
特性を満足している。一方、炭化物の最大粒径が0.1
μm未満の合金素材No.14では最大透磁率400が
得られない。逆に、炭化物の最大粒径が20μmを超え
る合金素材No.15では透磁率2以下の非磁性部が得
られないことがわかる。また炭化物の最大粒径を0.1
〜20μmに調節するためには熱間加工温度を900〜
1100℃にすることが有効であることがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、Fe−Cr−C系合金
の組成と、炭化物の最大粒径を所定の範囲に調整し、か
つ適切な温度範囲での熱間加工と非磁性化処理を行うこ
とにより、一つの部材で強磁性部と非磁性部を併せ持つ
ことができ、Ni等の特殊元素を添加しないFe−Cr
−C系合金を自動車等のアクチュエ−タ用複合磁性部材
に適用するに当たって欠くことのできない技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合磁性部材の一例を示す顕微鏡写真
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.30〜0.80%、C
    r:10.0〜25.0%、残部がFeと不可避不純物
    の組成でなり、組織における炭化物の最大粒径が0.1
    〜20μmに調整された最大透磁率400以上の強磁性
    部と、オーステナイトを主体とする組織に調整された透
    磁率2以下の非磁性部を有することを特徴とするアクチ
    ュエータ用複合磁性部材。
  2. 【請求項2】 Cr含有量が、Cr≧12.0+4×C
    の関係式を満足することを特徴とする請求項1に記載の
    アクチュエータ用複合磁性部材。
  3. 【請求項3】 重量%でC:0.30〜0.80%、C
    r:10.0〜25.0%、残部がFeと不可避不純物
    からなる組成を有する合金素材を、900〜1100℃
    の温度範囲で熱間加工を行い、次いでA3変態点以下で
    焼鈍、冷間加工、再度A3変態点以下で焼鈍した後の炭
    化物の最大粒径が0.1〜20μmに調整された最大透
    磁率400以上の強磁性部を有することを特徴とするア
    クチュエータ用複合磁性部材の強磁性部の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%でC:0.30〜0.80%、C
    r:10.0〜25.0%、残部がFeと不可避不純物
    からなる組成を有する合金素材を、900〜1100℃
    の温度範囲で熱間加工を行い、次いでA3変態点以下で
    焼鈍、冷間加工、再度A3変態点以下で焼鈍し、炭化物
    の最大粒径が0.1〜20μmに調整された最大透磁率
    400以上の強磁性部の一部を局所的にオ−ステナイト
    化温度以上に加熱、急冷することでオーステナイトを主
    体とする組織に調整された透磁率2以下の非磁性部を形
    成することを特徴とするアクチュエータ用複合磁性部材
    の非磁性部の形成方法。
JP12804099A 1998-05-11 1999-05-10 アクチュエ―タ用複合磁性部材およびアクチュエ―タ用複合磁性部材の強磁性部の製造方法ならびにアクチュエ―タ用複合磁性部材の非磁性部の形成方法 Pending JP2000036409A (ja)

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JP12804099A Pending JP2000036409A (ja) 1998-05-11 1999-05-10 アクチュエ―タ用複合磁性部材およびアクチュエ―タ用複合磁性部材の強磁性部の製造方法ならびにアクチュエ―タ用複合磁性部材の非磁性部の形成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7325564B2 (en) 2004-03-24 2008-02-05 Keihin Corporation Linear solenoid valve
US7388461B2 (en) 2004-01-21 2008-06-17 Keihin Corporation Electromagnetic apparatus
US7487798B2 (en) 2004-03-31 2009-02-10 Keihin Corporation Linear solenoid valve
JP2013028825A (ja) * 2011-07-26 2013-02-07 Tohoku Tokushuko Kk 複合材料及び電磁アクチュエータ
JP2013505364A (ja) * 2009-09-21 2013-02-14 アペラム 機械抵抗の局所変化を有するステンレス鋼

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