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JP2000035409A - X線装置及びx線測定方法 - Google Patents

X線装置及びx線測定方法

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Publication number
JP2000035409A
JP2000035409A JP10203276A JP20327698A JP2000035409A JP 2000035409 A JP2000035409 A JP 2000035409A JP 10203276 A JP10203276 A JP 10203276A JP 20327698 A JP20327698 A JP 20327698A JP 2000035409 A JP2000035409 A JP 2000035409A
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JP
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ray
monochromator
sample
detector
rotation
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Application number
JP10203276A
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English (en)
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JP3703125B2 (ja
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Hitoshi Okanda
等 大神田
Yoshio Iwasaki
吉男 岩崎
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Publication date
Application filed by Rigaku Denki Co Ltd, Rigaku Corp filed Critical Rigaku Denki Co Ltd
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Publication of JP2000035409A publication Critical patent/JP2000035409A/ja
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンブレラ効果による影響を抑制して、信頼
性の高いX線測定結果を得ることができるX線装置を提
供する。 【解決手段】X線焦点F、試料S及びX線検出器21を
通るX線光軸L上に配設されたモノクロメータ17を有
するX線装置である。このX線装置では、X線検出器2
1及びモノクロメータ17を試料Sを中心として2θ回
転させながら、そのX線検出器21によってX線を検出
する。X線を単色化するため、モノクロメータ17及び
X線検出器21は2θ回転方向に対して実質的に直角方
向へ希望角度だけ、それぞれ、θM回転移動及び2θM回
転移動する。モノクロメータ17及びX線検出器21の
回転移動方向が2θ方向に対して直角方向であるので、
アンブレラ効果を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モノクロメータを
用いたX線装置及びX線測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なX線装置では、図3に示すよう
に、試料Sの表面を通る試料軸線ω1を中心としてその
試料Sを一定の角速度で連続的又は間欠的に回転、いわ
ゆるθ回転させ、同時に、X線カウンタ53を試料軸線
ω1を中心としてθ回転の2倍の角速度で同じ方向へ回
転、いわゆる2θ回転させる。これらのθ回転及び2θ
回転は、通常、測角器すなわちゴニオメータを用いて行
われる。
【0003】上記のθ回転及び2θ回転が測角される
間、X線焦点Fから放射されたX線R1が発散制限スリ
ット55によって横方向の発散が制限された状態で試料
Sに入射する。入射したX線が試料Sで回折すると、そ
の回折X線R2が受光スリット54を通してX線カウン
タ53に取り込まれてカウントされる。こうして、試料
Sで回折するX線の回折角度2θ及びその角度位置にお
けるX線強度が測定される。X線焦点F及び受光スリッ
ト54は、試料Sを中心とするディフラクトメータ円C
d 上に位置する。
【0004】なお、試料Sをθ回転させることに代え
て、X線焦点F及び発散制限スリット55を試料軸線ω
1を中心としてθ回転させることもできる。この場合、
X線カウンタ53は、試料軸線ω1を中心としてX線焦
点Fのθ回転と等しい角速度でそれと反対方向へ2θ回
転する。
【0005】試料Sで回折するX線R2は円錐状の広が
りをもって進行し、ディフラクトメータ円Cd 上におい
てデバイ環Dr を形成する。つまり、X線カウンタ53
は、そのデバイ環Dr のうち受光スリット54を通過す
る部分を検出することになる。ところで、X線焦点Fか
ら発散するX線R1は発散制限スリット55によって横
方向の発散が制限されるが、縦方向に関してはかなりの
角度で発散する。このX線の発散のため、受光スリット
54の所には図4に示すように、縦方向A−A’に沿っ
て位置ズレする多数のデバイ環Dr が形成される。受光
スリット54はこれらのデバイ環Dr を鎖線で示す長方
形領域で取り込んでX線をカウントする。
【0006】図4に示す場合、各デバイ環Dr は受光ス
リット54よりも右側に位置しているので、X線カウン
タによってカウントされるX線強度は曲線Bで示すよう
にデバイ環Drがある方向、すなわち図の右側方向、例
えば回折角度2θの低角側へ裾を引く傾向となる。X線
の縦方向の発散に起因してデバイ環が縦方向に多数重ね
て形成されることにより回折X線が低角側又は高角側へ
裾を引くという上記の現象は、従来から、アンブレラ効
果(Umbrella Effect )と呼ばれて知られており、この
アンブレラ効果はX線測定の分解能を低下させる1つの
原因となっていて、望ましい現象ではない。
【0007】なお、以上の説明から分かる通り、図3に
おいて、X線カウンタ53が回折角度2θ=90°の位
置にある符号Cで示す状態にあるときには、X線カウン
タ53がデバイ環Dr を垂直に受けるため、アンブレラ
効果による回折X線のシフトはない。他方、X線カウン
タ53が2θ<90°の低角領域にあるときには回折X
線は低角側に裾を引き、2θ>90°の高角領域にある
ときには回折X線は高角側に裾を引く。
【0008】従来、上記のようなアンブレラ効果による
分解能の低下を防止するため、図3において、試料Sの
X線入射側及び/又はX線出射側に、それぞれ、ソーラ
スリット56a及び56bを配設するという構造が知ら
れている。このソーラスリット(Soller Slit )は、薄
い金属板を等間隔に積み重ねたもので、これを通過する
X線の垂直方向すなわち縦方向の発散を制限することを
主な作用とするものである。
【0009】上記のソーラスリットを使用すれば、それ
がX線入射側に配設されれば試料に入射するX線の縦方
向の発散を規制でき、それがX線出射側に配設されれば
試料で回折したX線の縦方向の発散を規制できるので、
上記のアンブレラ効果をある程度抑制することができ
る。
【0010】しかしながら、ソーラスリットを使用する
場合でも、アンブレラ効果を完全に除去することは困難
である。また、ソーラスリットを用いると、X線の強度
が低下して正確なX線測定を行うことができなかった
り、測定結果のS/N比が低下する等といった問題点が
発生する。
【0011】ところで、従来のX線装置として、図5に
示すように、モノクロメータを用いるものが知られてい
る。ここに示す従来のX線装置は、X線焦点Fと、発散
制限スリット55と、試料Sを支持すると共に試料軸線
ω1を中心として回転するθ回転台58と、散乱線規制
スリット57、第1受光スリット54及び検出器アーム
59を支持する2θ回転台61とを有する。検出器アー
ム59の上には、モノクロメータ62を支持するモノク
ロメータ支持台64、第2受光スリット63及びX線カ
ウンタ53が配設される。
【0012】2θ回転台61は、試料軸線ω1を中心と
してθ回転台58の2倍の角速度でそれと同じ方向へ2
θ回転できる。また、モノクロメータ支持台64は、モ
ノクロメータ62の表面を通るモノクロメータ軸線ω2
を中心としてθM 回転できる。また、検出器アーム59
は、モノクロメータ軸線ω2を中心としてモノクロメー
タ支持台64のθM 回転の2倍の角速度でそれと同じ方
向へ回転できる。
【0013】なお、θ回転台58をθ回転させることに
代えて、X線焦点F及び発散制限スリット55を試料軸
線ω1を中心としてθ回転させることもできる。この場
合、2θ回転台61は、試料軸線ω1を中心としてX線
焦点Fのθ回転と等しい角速度でそれと反対方向へ2θ
回転する。
【0014】符号Cd は試料S等の測角を行うゴニオメ
ータによって描かれるディフラクトメータ円を示し、符
号Cf1は試料Sに関する焦点円を示し、そして符号Cf2
はモノクロメータ62に関する焦点円を示している。
【0015】以上の構成より成る従来のX線装置におい
ては、モノクロメータ62の回転角度θM が希望の波長
のX線を回折できる角度に設定され、さらに、X線カウ
ンタ53の回転角度2θM がθM の2倍の角度に設定さ
れる。試料Sがθ回転し、2θ回転台61が2θ回転す
る間、X線焦点Fから放射されて発散制限スリット55
で発散が制限されたX線が試料Sで回折すると、その回
折X線は散乱線規制スリット57及び第1受光スリット
54を通過してモノクロメータ62に入射し、そのモノ
クロメータ62によって単色化された後、第2受光スリ
ット63を通過してX線カウンタ53に取り込まれてカ
ウントされる。
【0016】ここに示す従来のX線装置に関しても、図
3及び図4を用いて説明したアンブレラ効果が発生する
ことは図3に示した従来のX線装置と変わりがない。ま
た、このX線装置では、X線測定のための測角面である
2θ面と同じ面内でX線カウンタ53が2θM 回転する
ので、X線カウンタ53を2θM 回転させるために必要
となるスペースを確保する必要上、試料Sのための測角
範囲が狭くならざるを得ないという問題も発生する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、図5に示
すようなモノクロメータを用いたX線装置に関して分解
能を向上させることを目的として種々の検討を行った。
そしてその結果、モノクロメータ62の取り付け方に工
夫を加えると、アンブレラ効果の影響を抑制して分解能
を向上できることを知見した。
【0018】本発明は、上記の知見に基づいて成された
ものであって、試料に対する測角方向である2θ方向に
対するモノクロメータの取付け方向を改善することによ
りアンブレラ効果による影響を抑制して、信頼性の高い
X線測定結果を得ることができるようにすることを目的
とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】(1) 上記の目的を達
成するため、本発明に係るX線装置は、X線焦点、試料
及びX線検出器を通るX線光軸上に配設されたモノクロ
メータを有し、前記X線検出器及び前記モノクロメータ
を試料を中心として2θ回転させながらX線検出器によ
ってX線を検出するようにしたX線装置において、前記
モノクロメータ及び前記X線検出器は前記2θ回転方向
に対して実質的に直角方向へ回転移動できることを特徴
とする。
【0020】従来のX線装置では、単色化のためにモノ
クロメータ及びX線検出器を回転移動させる方向、すな
わちモノクロメータに関するθM 方向及びX線検出器に
関する2θM 方向は、図5に示すように、試料に対する
測角方向である2θ方向と同じ面内に設定されていた。
これに対して本発明では、X線検出器の2θM 方向を2
θ方向に対して実質的に直角方向に設定した。この結
果、X線検出器によって測定されるX線強度値にアンブ
レラ効果の影響が現れることを抑制できるようになっ
た。
【0021】また、アンブレラ効果を抑制するためにソ
ーラスリット等といった縦発散制限スリットを設ける必
要がなくなり、その結果、X線検出器に強度の強い回折
X線を取り込むことができ、また、S/N比も向上す
る。
【0022】また、本発明では、測定のための測角方向
である2θ方向に対して直角方向にX線検出器を2θM
回転移動するようにしたので、単色化のためのX線検出
器の2θM回転移動が2θ方向の測角範囲と重なり合う
ことが無くなり、よって、試料に関する測角範囲を大き
く取ることができる。
【0023】上記構成において、「実質的に直角方向」
というのは、装置の組み立て誤差等のために、X線検出
器等の取付け角度位置が測定精度に影響を与えない程度
に直角方向からずれる場合も含む意味である。
【0024】(2) 上記構成のX線装置において、
前記モノクロメータは、X線光軸を通るモノクロメータ
軸線を中心として前記2θ回転方向(すなわち、試料に
対する測角方向)に対して実質的に直角方向へθM 回転
移動でき、そして前記X線検出器は、前記モノクロメ
ータ軸線を中心として前記θM 回転の2倍の角度で同じ
方向へ2θM 回転移動できるように構成することが望ま
しい。
【0025】このように、モノクロメータの2倍の角度
でX線検出器を回転移動させるようにすれば、モノクロ
メータによって単色化されたX線を確実にX線検出器に
取り込むことができる。
【0026】(3) 上記構成のX線装置において、前
記モノクロメータはグラファイトによって形成すること
ができる。モノクロメータの材料としては、シリコン、
ゲルマニウム等の単結晶や、グラファイト等を用いるこ
とができる。グラファイトは、周知のとおり、炭素が層
状に連なる構造を有する鉱物であり、これにX線が入射
したときには、広い面内で回折X線を取り出すことがで
きる。
【0027】シリコン等の単結晶はグラファイトに比べ
て分解能が高いが、得られる回折X線の強度が低くなる
という欠点がある。これに対し、グラファイトは、シリ
コン単結晶等に比べれば分解能に若干の低下が見られる
ものの強度の強い回折X線を得ることができるという利
点を有する。本発明では、モノクロメータを用いてX線
を単色化する際のX線検出器の回転移動方向、すなわち
2θM 方向を、試料の測角方向である2θ方向に対して
直角方向に設定することにより、アンブレラ効果を抑制
して分解能を向上できるので、モノクロメータとしてグ
ラファイトを用いる場合でも実用上全く問題とならない
程度の高い分解能を得ることができる。グラファイトを
用いれば強い回折X線を得ることができるので、信頼性
の高い測定結果を得ることができる。
【0028】(4) 次に、本発明に係るX線測定方法
は、X線焦点、試料及びX線検出器を通るX線光軸上に
モノクロメータを配設し、前記X線検出器及び前記モノ
クロメータを試料を中心として2θ回転させながらX線
検出器によってX線を検出するX線測定方法において、
前記モノクロメータ及び前記X線検出器のX線光軸に対
する角度を調節するとき、そのモノクロメータ及びその
X線検出器を前記X線測定のための2θ回転方向に対し
て実質的に直角方向へ回転移動させることを特徴とす
る。
【0029】このX線測定方法においても、単色化のた
めのX線検出器の回転移動方向である2θM 方向を、試
料に関する測角方向である2θ方向に対して実質的に直
角方向に設定したので、X線検出器によって測定される
X線強度値にアンブレラ効果の影響が現れることを抑制
でき、その結果、分解能の高い測定結果を得られるよう
になった。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るX線装置の
一実施形態を示している。このX線装置は、X線を発生
するX線焦点Fを内蔵するX線発生装置1と、そのX線
発生装置1に隣接して設置されたゴニオメータ2とによ
って構成される。X線焦点Fは、例えば、発熱によって
熱電子を発生するフィラメントと、その熱電子が衝突す
るターゲットとを含んで構成できる。
【0031】ゴニオメータ2は、試料Sを支持するθ回
転台3と、そのまわりに配設された2θ回転台4と、θ
回転台3及び2θ回転台4を試料軸線ω1を中心として
回転駆動する回転駆動装置6とを有する。θ回転台3と
X線発生装置1との間には入射側スリットユニット7が
設けられ、そのユニット7の内部に発散制限スリット8
が格納される。
【0032】回転駆動装置6は、θ回転台3を試料軸線
ω1を中心として所定の角速度で連続的又は間欠的に回
転、すなわちθ回転させる。また、回転駆動装置6は、
試料軸線ω1を中心としてθ回転の2倍の角速度でそれ
と同じ方向へ2θ回転台4を回転、すなわち2θ回転さ
せる。
【0033】2θ回転台4の外周部分の適所には2θア
ーム9が固定され、その2θアーム9の上に出射側スリ
ットユニット11及びモノクロメータユニット12が設
けられる。2θアーム9は、2θ回転台4が2θ回転す
るときにそれと一体になって2θ回転する。これらのユ
ニットは、2θアーム9上に設けたガイドレール13に
よって位置決めされた状態で、ボルトその他の締結具に
よって2θアーム9に固定される。
【0034】出射側スリットユニット11の内部には、
θ回転台3に近い側から順に散乱線規制スリット14及
び受光スリット16が格納される。モノクロメータユニ
ット12は、モノクロメータ17を支持するモノクロメ
ータ支持台18と、検出器アーム19と、それらを駆動
する駆動装置22とを有する。モノクロメータ17は、
例えばグラファイトによって形成される。
【0035】モノクロメータ支持台18は、モノクロメ
ータ17の表面を通ると共にX線光軸Lに直交するモノ
クロメータ軸線ω2を中心として回転移動できる。この
回転移動方向は、2θアーム9の2θ回転方向に対して
直角方向となる。検出器アーム19は、X線カウンタ2
1を支持すると共に、モノクロメータ支持台18から独
立してモノクロメータ軸線ω2を中心として回転移動で
きる。この検出器アーム19の回転従ってX線カウンタ
21の回転移動方向も、2θアーム9の2θ回転方向に
対して直角方向となる。
【0036】図2は、図1の矢印Dに従ってモノクロメ
ータ17の近傍を見た状態を示している。駆動装置22
は、モノクロメータ支持台18従ってモノクロメータ1
7を、図2に示すように、モノクロメータ軸線ω2を中
心として希望する任意の角度で回転移動、すなわちθM
回転移動させる。また、駆動装置22は、そのθM 回転
移動に連動して検出器アーム19従ってX線カウンタ2
1をモノクロメータ軸線ω2を中心としてθM 回転移動
の2倍の角度でそれと同じ方向へ回転移動、すなわち2
θM 回転移動させる。これらのθM 回転移動及び2θM
回転移動は、X線光軸Lに対するモノクロメータ17の
角度を、希望する波長の回折X線を取り出すことができ
る適宜の回折角度に設定するために行われるものであ
る。
【0037】以下、上記構成から成るX線装置につい
て、その動作を説明する。試料Sに対してX線測定、本
実施形態ではX線回折測定を行うのに先立って、図1に
おいてX線光軸Lの調節を行う。具体的には、X線焦点
F、発散制限スリット8、試料S、散乱線規制スリット
14、受光スリット16、モノクロメータ17及びX線
カウンタ21の各X線光学要素をX線光軸Lの上に載る
ように位置調節する。
【0038】次いで、図2において、駆動装置22を作
動してモノクロメータ17のX線入射角度θM を希望す
る所定の特性X線、例えばKα線を取り出せる角度に一
致するように調節する。このとき、X線カウンタ21は
それに連動して回転移動して、θM の2倍の角度である
2θM に角度設定される。
【0039】その後、回転駆動装置6を作動してθ回転
台3従って試料Sをθ回転させ、同時に、2θ回転台4
従って検出器アーム9をθ回転の2倍の角速度で2θ回
転させる。検出器アーム9の2θ回転により、X線カウ
ンタ21及びモノクロメータ17が試料軸線ω1を中心
として2θ回転する。
【0040】試料Sがθ回転し、X線カウンタ21が2
θ回転する間、X線焦点Fから放射されたX線が発散制
限スリット8によって横方向の発散を制限された状態で
試料Sに照射される。このX線と試料Sの結晶格子面と
の間でブラッグの回折条件が満足されると、その試料S
でX線が回折し、その回折X線は散乱線規制スリット1
4及び受光スリット16を通過してモノクロメータ17
へ到達する。
【0041】モノクロメータ17は所定波長のX線だけ
を回折するようにX線入射角度θMが決められているの
で、回折X線はモノクロメータ17によって単色化され
た後にX線カウンタ21に取り込まれてカウントされ
る。このときにカウントされるX線はモノクロメータ1
7によって単色化されたX線であるので、得られる測定
値は分解能が高くて信頼性の高いものである。以上によ
り、個々の回折角度2θにおける回折X線の強度が測定
され、周知の回折X線図形が得られる。
【0042】本実施形態のX線装置では、図1において
モノクロメータ軸線ω2を水平面内でX線光軸Lに対し
て直交するように設定し、モノクロメータ17及びX線
カウンタ21をそのモノクロメータ軸線ω2を中心とし
て回転移動させるようにした。その結果、図4に関連し
て説明したアンブレラ効果の影響を抑制することがで
き、この面からも分解能の高いX線測定結果を得ること
できる。
【0043】また、X線の縦方向の発散を制限するため
の縦発散制限スリット、例えばソーラスリットをX線光
軸L上に設ける必要がなくなるので、X線の減衰を抑え
てX線カウンタ21に強度の強いX線を取り込むことが
でき、また、S/N比を向上することができる。
【0044】さらに、X線カウンタ21を測定のための
測角方向である2θ方向に対して直角方向に2θM 回転
移動するようにしたので、試料の後方位置にモノクロメ
ータを配設する構造のX線装置であっても2θ方向の測
角範囲を大きく取ることができる。
【0045】以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を
説明したが、本発明はその実施形態に限定されるもので
なく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変
できる。例えば、図1の実施形態では、試料Sのθ回転
及びX線カウンタ21の2θ回転が水平面内で行われ、
モノクロメータ17のθM 回転及びX線カウンタ21の
2θM 回転が水平面に直交する垂直面内で行われた。し
かしながらこれに代えて、試料S及びX線カウンタ21
のθ−2θ回転を垂直面内で行い、モノクロメータ17
及びX線カウンタ21のθM 回転移動及び2θM 回転移
動を水平面内で行うことができる。
【0046】また、モノクロメータ17は、グラファイ
トに限られず、ゲルマニウム等の単結晶によって形成す
ることもできる。但し、強度の強い回折X線を得るため
にはグラファイトを用いることが望ましい。
【0047】
【発明の効果】本発明に係るX線装置及びX線測定方法
によれば、単色化のためのX線検出器の2θM 方向への
回転移動を測角方向である2θ方向に対して実質的に直
角方向に設定したので、X線検出器によって測定される
X線強度値にアンブレラ効果の影響が現れることを抑制
でき、よって、分解能の高い測定結果を得られるように
なった。
【0048】また、アンブレラ効果を抑制するためにソ
ーラスリット等といった縦発散制限スリットを設ける必
要がなくなるので、X線検出器に強度の強い回折X線を
取り込むことができ、また、S/N比も向上する。
【0049】また、単色化のためにX線検出器を測角方
向である2θ方向に対して直角方向へ2θM 回転移動さ
せるようにしたので、X線検出器の2θM 回転移動が2
θ方向の測角範囲と重なり合うことが無くなり、よっ
て、試料に関する測角範囲を大きく取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線装置の一実施形態を示す斜視
図である。
【図2】図1のX線装置の要部を示す図である。
【図3】従来のX線装置の一例を模式的に示す斜視図で
ある。
【図4】アンブレラ効果を説明するための図である。
【図5】従来のX線装置の他の一例を模式的に示す平面
図である。
【符号の説明】
1 X線発生装置 2 ゴニオメータ 3 θ回転台 4 2θ回転台 6 回転駆動装置 8 発散制限スリット 9 2θアーム 12 モノクロメータユニット 16 受光スリット 17 モノクロメータ 19 検出器アーム 21 X線カウンタ(X線検出器) 22 駆動装置 F X線焦点 S 試料 ω1 試料軸線 ω2 モノクロメータ軸線 L X線光軸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線焦点、試料及びX線検出器を通るX
    線光軸上に配設されたモノクロメータを有し、前記X線
    検出器及び前記モノクロメータを試料を中心として2θ
    回転させながらそのX線検出器によってX線を検出する
    ようにしたX線装置において、 前記モノクロメータ及び前記X線検出器は前記2θ回転
    方向に対して実質的に直角方向へ回転移動できることを
    特徴とするX線装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記モノクロメータ
    は、X線光軸を通るモノクロメータ軸線を中心として前
    記2θ回転方向に対して実質的に直角方向へθM 回転移
    動でき、 前記X線検出器は、前記モノクロメータ軸線を中心とし
    て前記θM 回転の2倍の角度でそれと同じ方向へ2θM
    回転移動できることを特徴とするX線装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記モ
    ノクロメータはグラファイトによって形成されることを
    特徴とするX線装置。
  4. 【請求項4】 X線焦点、試料及びX線検出器を通るX
    線光軸上にモノクロメータを配設し、前記X線検出器及
    び前記モノクロメータを試料を中心として2θ回転させ
    ながらX線検出器によってX線を検出するX線測定方法
    において、 前記モノクロメータ及び前記X線検出器のX線光軸に対
    する角度を調節するとき、そのモノクロメータ及びその
    X線検出器を前記X線測定のための2θ回転方向に対し
    て実質的に直角方向へ回転移動させることを特徴とする
    X線測定方法。
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