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JP2000002503A - 構造部材の健全性モニタリングセンサー - Google Patents

構造部材の健全性モニタリングセンサー

Info

Publication number
JP2000002503A
JP2000002503A JP16893498A JP16893498A JP2000002503A JP 2000002503 A JP2000002503 A JP 2000002503A JP 16893498 A JP16893498 A JP 16893498A JP 16893498 A JP16893498 A JP 16893498A JP 2000002503 A JP2000002503 A JP 2000002503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
structural member
conductor
conductive wire
signal
monitoring sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16893498A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Sugimura
義広 杉村
Kiyoshi Ishii
清 石井
Yutaka Inada
裕 稲田
Minoru Sugita
稔 杉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP16893498A priority Critical patent/JP2000002503A/ja
Publication of JP2000002503A publication Critical patent/JP2000002503A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れ、低コストで、かつ簡易な構成
により構造部材の健全性を判定可能な構造部材の健全性
モニタリングセンサーを提供する。 【解決手段】 構造部材の健全性モニタリングセンサー
1を、インパルス状またはステップ状のパルス信号S
iまたはSsを発生するパルス信号発生器1と、基礎杭
10内に埋設された導電性線材12,13と、導電性線
材12,13に沿って設けられた導体4とを備えた構成
とするとともに、パルス信号SiまたはSsと、導電性
線材12,13の一端12a,13aより出力される反
射信号Sri3,Sri3’または、Srs3,Srs
3’とに基づいて基礎杭10の障害点12b近傍の損傷
状態を判定するオシロスコープ15を備えた構成とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造部材に対して
設けられて、その構造部材の健全性を判断するために用
いられる構造部材の健全性モニタリングセンサーに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、橋梁、高架道、トンネ
ル、ビルなどの土木・建築高層物は、供用期間が長いこ
とから、地震、過荷重や疲労などによる損傷、腐食や、
過酷な環境などによる劣化の問題にさらされている。こ
のような問題に対しては、構造物あるいは構造部材の要
所要所にセンサーを配置して、随時健全性のモニタリン
グを行い、長期の耐久性を保証するという方法が有効で
ある。ここで、随時とは、常時あるいは定期的に、さら
には、地震や過荷重を受けた直後等をさす。
【0003】このようなモニタリングが特に有効と考え
られるところを次に示す。 (a) 目視などによる検査能力が発揮できない場所や
位置にある部材・部位の調査 例えば、地下部分、仕上材、天井材、カバー(屋上にあ
る防水層やトンネルの覆工など)がある部材および部
位、他の設備や機器配管類により見えない部分、作業の
ため立ち入りできないほど狭い場所、密閉されている場
所など
【0004】(b) 簡単には人が立ち入ることができ
ない場所、部位や、立ち入りや作業に危険を伴う場所に
おける部材、部位の調査 例えば、高所作業を行い、かつ安全な作業足場を確保し
がたい場所、水・海水に接している構造物や、水中・海
中構造物、変電所設備などのような(超)高電圧の設備
機器がある場所、原子力施設や放射性廃棄物の処分場な
どのような放射性物質を取り扱う施設、人体に有害な気
体あるいは刺激臭のある場所、酸欠状態になりやすい場
所、交通車両が多いところ、できれば避けたい汚物、
光、騒音、振動、粉塵などのある場所、高温度、高湿度
の場所、などである。
【0005】(c) 新しい構造用の材料や新しい構工
法を適用した場合 新しい構造用の材料や新しい構工法の採用は、事前の実
験や検討等による多くの実績をもとに慎重に行われるも
のであり、多くの場合、長期の耐久性についても問題が
生じるようなことはない。しかしながら、土木・建築構
造物では、供用期間が長いことから、使用条件の変更や
環境の変化なども考慮に入れれば、不測の事故の回避や
長期の耐久性を保証するために、モニタリングの手段は
大いに有効となる場合がある。また、これにより、設計
・運用データの少なさからくる過剰設計が不要となると
同時に、信頼性も飛躍的に向上するなどの利点が期待で
きる。
【0006】なお、建築構造物では、現在の許容応力度
設計法による設計体系から、限界状体設計法、さらには
基準により構造細部までを規定するのではなく性能自体
を規定することにより、設計者自らがその性能を保証す
るという新しい設計体系への展開も始まろうとしてい
る。このような新しい設計による場合、性能(機能)・
安全・コスト(経済性)のバランスをとることが、今以
上に重要な技術的な課題となる。このような際に、モニ
タリングの技術は、新しい設計を支援する、あるいはリ
スクを担保するための、基本的な技術の一つとなると考
えられる。
【0007】ところで、モニタリングの技術には、日常
の目視点検から、供用後、永らく経過した構造物の建物
診断や震災後の被災度調査などのように、調査・診断の
ために、計器を搬入して実験・実測を行うもの等、種々
の健全性の調査・診断・評価の方法がある。
【0008】これらのうち、計器等を利用したモニタリ
ングの技術については、以下の(A)、(B)に大別す
ることができる。すなわち、(A)信号を伝達するケー
ブルの先端にセンサを配置する、あるいは、センサ機能
を付与する方法、および、(B)信号を伝達するケーブ
ルそのものをセンサとして利用する方法、である。ここ
に、構造物あるいは構造部材のモニタリングでは、モニ
タリングの対象が広い、あるいは、多点となるために、
上記(A)および(B)を比較した場合、(B)の方が
有利であるとされている。
【0009】そこで、(B)の方法に着目して、従来の
技術について検討してみると、(B)に該当する方法と
して現在までに提案されている技術は、使用材料から見
て以下の2つがある。 (B−1)光ファイバを利用したもの (B−2)炭素繊維束などの導電性の線材を利用したも
の。 以下にこれらについて、若干の説明を加えておく
【0010】(B−1)光ファイバを利用したものにつ
いて 光ファイバは、ガラスやプラスチックの細い線で、多少
曲げても光を損失なく伝送できる繊維である。ここで、
光ファイバの基本構造を、ガラス(グラス)ファイバを
例として説明すると次のようになる。中心部は直径数ミ
クロンから10ミクロン、屈折率naからなる石英ガラス
材料からなり、コア領域と呼ばれる。その周りを屈折率
nbの別の組成からなる石英ガラス材料が取り囲んだ二重
構造である。外側の石英ガラス領域をクラッド領域とい
い、クラッド領域の直径は0.1ミリ程度、標準の場合125
ミクロンである。コアの屈折率は1.5程度で、クラッド
との屈折率差は0.2〜1.0%程度に作ってあり、この屈折
率の差により、コアに入射した光がコアとクラッドの境
界で全反射を繰り返して、極めて小さな伝播損失で伝播
するというのが光ファイバの要点である。さらに、光フ
ァイバの外周は、シリコンやウレタンなどで被覆されて
いるため、弾力性があり、強度的にもつよいものとなっ
ている。光ファイバ自体の破断伸びは1%程度である。
【0011】炭素繊維やガラス繊維などの繊維強化プラ
スチック(FRP)や、その複合材料のひび割れや亀裂
の進展をモニタリングする方法としては、光ファイバの
外周部の被覆を取り外し、FRPやその複合材料の中に
埋め込むことが行われている。これは、被覆された光フ
ァイバの強度が極めて大きく、これをそのまま埋め込む
あるいは接着剤で貼り付けても被覆の外周面においてハ
ガレを生じて、光ファイバ自体の損傷とはならないため
である。損傷の有無や、あるいは、その程度の判定に
は、光ファイバの導通試験、すなわち、光の透過(透過
光の損失)を計測あるいは目視する方法や、片端から光
を入射し、途中で引き返してくる微弱な反射光(後方散
乱光)を計測により行うことができる。
【0012】さらに、光ファイバケーブルで生じた障害
点(損傷を受けた位置)を、光パルス試験機より破断面
において生じる反射パルス(フレネル反射)を計測する
ことから求めることができる。ただし、光ケーブルで
は、破断の状況によっては、反射パルスが生じない場合
がある。しかし、このような場合にも、次に述べる方法
により、前述の後方散乱光を手がかりに障害点を探査す
ることができる。すなわち、光ファイバには波長の単位
よりも小さな物質や密度・成分の不均一によるミクロな
屈折率のゆらぎがあり、これによりレイリー散乱という
散乱光が発生する。この長さ方向に分布する散乱光の一
部が光ファイバの導波モードとなって入射端にもどり、
この微弱な反射光(後方散乱波)のレベルを測定するこ
とにより、破断点を評定することができる。後方散乱光
のレベルは、伝播時間に対応し指数関数的に変化する。
単位長の損失はこのレベル差から、破断点は後方散乱光
の消滅から検出できる。
【0013】(B−2) 炭素繊維束など導電性の線材
を利用したものについて このような導電性の線材を利用した場合のモニタリング
の原理は以下の通りである。すなわち、例えば、炭素繊
維ガラス繊維強化プラスチックス(CFGFRP)材料
中の炭素繊維糸は、極細の炭素の長繊維が千本単位で束
ねられたものであり導電性材料である。この炭素繊維材
料に、引張荷重が作用すると、炭素繊維がその伸びによ
って徐々に破断を開始し、所定の伸びでは多くの炭素繊
維糸はおおむね破断して、炭素繊維糸は電気抵抗値を急
激に上昇させる。さらに荷重が大きくなれば、炭素繊維
糸は完全に破断し、電気抵抗は極めて大きい値となる
(気中であればほぼ無限大になる)。また、荷重が取り
除かれれば、部材のたわみは小さくなり、炭素繊維材も
元の形状にもどるが、破断した繊維は元の状態にはもど
らないので、電気抵抗値は元の状態よりは大きい値を示
す。これより、あらかじめ、荷重−部材の伸び−電気抵
抗の残留値の関係を調べておけば、電気抵抗の残留値か
ら部材に作用した荷重、あるいは部材の伸びを容易に推
定することができ、結果として、部材の損傷の程度(ま
たは、健全性)をモニタリングすることができる。
【0014】さらに、炭素繊維束は引張側で働くセンサ
であるが、この他にも、圧縮側の検知、さらにコンクリ
ート部材のひび割れ検知など、機能の拡充と感度や精度
などの向上を求めた新たな導電性線材(あるいは材料)
を用いたセンサが提案されている。例えば、新たな導電
性線材(あるいは材料)を用いたセンサとしては、 (i) 絶縁性の高いプラスチックス(誘導体材料)に
より被覆された、幅が狭く、長手方向に延伸した(帯状
の)箔材(導電性を有する金属箔)。 (ii) 炭素繊維(CF)の補強剤とエポキシ樹脂と
からなる強化プラスチックス(RP)のうち、引き抜き
成形方法でロッド状に加工したもの(CFRP)。 (iii) 炭素繊維(CF)とガラス繊維(GF)が
それぞれ束ねられてなる繊維束の補強材と、エポキシ、
ビニルエステルなどの樹脂とからなる強化プラスチック
ス(RP)の成形体(CFGFRP)。断面形状とし
て、棒状、矩形、シート状、ネット状のものなど種々の
ものが考えられる。また、ガラス繊維はセラミックス繊
維やアラミド繊維、さらにはセルロース樹脂と置き換え
ることができる。 (iv) 導電性粉末を分散、硬化させることにより得
られる導電性の高いプラスチックスの成形体。ここで、
導電性粉末としては、例えば、炭素(カーボンブラック
や黒鉛の)粉末や、炭化チタンや窒化チタン等のセラミ
ックス粉末などをさす。 (v) 導電性粉末を分散、硬化させることにより得ら
れる導電性の高いモルタルの形成体。ここで、導電性粉
末としては、(iv)と同様とする。 (vi) 導電性粉末を持つ短繊維(例えば炭素繊維の
短繊維)を分散、硬化させることによって得られる導電
性の高いプラスチックスの形成体、あるいはモルタルの
形成体、などが提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の光フ
ァイバを用いた構造部材のモニタリング装置において
は、上で述べたように、損傷の部位が特定できるという
長所があるが、コンクリート造等の構造物あるいは構造
部材への適用を考えたときに、以下の(1)から(7)
に述べるような問題点がある。
【0016】(1) 被覆をはいだ光ファイバの材料は
ガラスであるが、ガラスはコンクリートのアルカリ性に
弱いという弱点がある。このため、コンクリート躯体中
において被覆をはいだ光ファイバをセンサとして長期間
のモニタリングに使用することは問題がある。
【0017】(2) 被覆された光ファイバは高強度で
あることから、これをそのまま構造部材に適用した場
合、光ファイバの損傷箇所と構造部材の損傷箇所との不
一致が生じたり、また、被覆と構造部材との間に剥がれ
が発生し、これによって測定精度の低下を生じる懸念が
ある。
【0018】(3) 被覆した光ファイバを単なる光信
号の伝達ケーブルとして用いた場合、光ファイバの破断
伸びがわずか1%程度であることから、炭素繊維シート
等の高弾性で破断伸びの小さい補強材中に光ファイバを
配置する場合を除けば、保護管等により光ファイバを養
生する必要がある。
【0019】(4) 光ファイバの口元自体が入射端面
とされていることから、この入射端面から所定点までの
間の部分が、計測不可能ないわゆるデッドゾーンとされ
る。従って、上記デットドーンに障害点が存在する場
合、この障害点を検出することができないという問題が
ある。また、このデットゾーンの距離は、光の波長や計
器機器の計測精度により異なるが、通常、シングルモー
ド光ファイバで8m、マルチモード光ファイバで3mと
されている。さらに、このデッドゾーンの距離は、特定
の測定方法を用いた場合には10〜20mにもおよぶも
のとなる。
【0020】(5) 引張荷重等による光ファイバの芯
材のひずみや変形が弾性域内であった場合には、引張荷
重が取り除かれた時点で光ファイバは引張荷重がかかる
前の状態に戻る。従って、この引張荷重が取り除かれた
状態で計測を行っても、引張荷重が加えられたという過
去の状態を知ることができない。(炭素繊維の場合に
は、引張(破断)伸び以前のひずみや変形に対しても、
フィラメントの一部が切断することにより、後で電気抵
抗値を計測することにより、最大ひずみや最大変形を予
測することが可能である。)
【0021】(6) 光ファイバに曲率の小さい曲げを
与えることは、ひずみ計測や光のロスの観点から適当で
ない。そのため、急激に曲げを伴うような配線がしにく
い。 (7) 光ファイバの温度依存性について、結果の補正
が必要である。
【0022】一方、従来の導電性線材(炭素繊維束やそ
れに代わる新たな導電性線材)を用いた構造部材のモニ
タリング装置においては、導電性線材の抵抗値の変化か
ら、構造部材のいずれかの位置において損傷が生じたこ
とが確認できるものの、この損傷が導電性線材上のどの
位置において発生したかを特定することは困難であっ
た。また、導電性線材をいくつかの範囲に分割して、両
端だけではなく、中間点にも複数の端子を設けておき、
その間の抵抗値を計測することにより、損傷を受けた部
位の範囲を特定することも提案されているが、この場合
においては、複数の端子と計測機器との間を接続する複
数の信号ケーブルが必要とされ、コスト面、施工の困難
性等を考慮すれば、実用的にはさらに工夫が必要であ
る。
【0023】本発明は、上記のような問題点に鑑みなさ
れたものであり、耐久性に優れ、しかも低コストであ
り、なおかつ、簡易な構成で、構造部材中における損傷
の存否のみならず、損傷位置、損傷状況をも容易に把握
することができるような構造部材の健全性モニタリング
センサーを提供することを課題とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の構造部材の健全性モニタリングセンサー
は、構造部材の内部または表面に対して配設された導電
性を有する導線と、該導線に沿って近接配置された導電
性を有する導体と、前記導線の一端へパルス信号を供給
するパルス信号供給手段と、前記パルス信号および前記
導線の一端より出力される反射信号に基づいて、前記構
造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部材の
損傷状態を判定する判定手段とを備えて構成されている
ことを特徴とする。
【0025】請求項2記載の構造部材の健全性モニタリ
ングセンサーは、請求項1記載の構造部材の健全性モニ
タリングセンサーであって、前記構造部材には、少なく
とも一対の前記導線が、同方向に延在するように、なお
かつ、互いに近接するように配置され、前記パルス信号
供給手段は、前記一対の導線の少なくとも一方に対し
て、その端部より前記パルス信号を供給する構成とさ
れ、前記判定手段は、前記パルス信号、前記導線の一方
の端部より出力される第一の反射信号、および、前記導
線の他方の端部より出力される第二の反射信号に基づい
て、前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記
構造部材の損傷状態を判定する構成とされていることを
特徴とする。
【0026】請求項3記載の構造部材の健全性モニタリ
ングセンサーは、請求項1または2記載の構造部材の健
全性モニタリングセンサーであって、前記判定手段は、
前記パルス信号、前記導線の一端より出力される反射信
号、および前記導線の他端より出力される透過信号に基
づいて、前記構造部材の損傷位置を特定する構成とされ
ていることを特徴とする。
【0027】これら請求項1から3の発明に係る構造部
材の健全性モニタリングセンサーは、いわゆるTDR
(Time Domain Reflectmetry)測定方法を構造物の健全
性の判定について応用するためのものである。ここにT
DR測定方法とは、インパルス状またはステップ状のパ
ルス信号を導電性の被測定物に入力した後、このパルス
信号(入射波)と被測定物により反射された反射信号
(反射波)とが重畳された反射信号の波形とに基づい
て、被測定物のインピーダンス特性やインピーダンスの
不連続性を距離の関数として測定する方法をいう。
【0028】上述の構造部材の健全性モニタリングセン
サーは、構造部材中に導線をあらかじめ埋め込むか、あ
るいは、構造部材の表面に導線を敷設しておき、この導
線にパルス信号を入力することによって、導線上の各位
置においてインピーダンスを測定することが可能であ
り、構造部材が何らかの損傷を受けた際には、その損傷
位置近傍において導線のインピーダンスに変化が生じる
ことから、このインピーダンスの変化を観測することに
よって、構造部材の各所の損傷状態をモニタリングする
ことができる。
【0029】また、この際、導線に沿って、導線に比べ
て力学的強度(破断伸び)が小であるような導体を近接
配置し、導線のインピーダンスがこの導体により影響を
受けるようにすれば、構造部材の損傷に伴って、導体に
破断、亀裂(ひび割れ)、あるいは、剥離等の変化が生
じた場合に、導線周辺のインピーダンスが変化すること
となり、この変化が導線に対するTDR測定により検知
される。さらに、導体だけでなく、導線自体に損傷が及
んだ場合には、導線自身の損傷と導体の損傷を合わせた
インピーダンスの変化が、導線のTDR計測により検知
されることとなる。
【0030】この場合、導線に沿って配置された導体
は、導線のインピーダンスの変化の度合いを増幅させ、
これにより精度の高い測定を可能とするように作用す
る。すなわち、図11(a)に示すように、構造部材1
00において、その表面100a付近のコンクリートC
内に導線102を埋設し、さらに、導線102に沿って
導体103を配設したとする。この場合において、ひび
割れ105が、コンクリートCと導体103とを貫通す
るように発生し、なおかつ、ひび割れ105による導線
102の損傷はなかったものとすると、導線102の長
手方向(図中p方向)に見た導線102周囲の電気的特
性の変化は、図12(a)に示すように、ひび割れ10
5を挟んで、導体103→空気(ひび割れ105)
→導体103によって規定されることとなる。
【0031】一方、図11(b)に示すように、単に構
造部材100の表面付近に導線102のみを埋設した場
合(導体103を設けなかった場合)には、導線102
の長手方向(図中p方向)に見た導線102周囲の電気
的特性の変化は、図12(b)に示すように、ひび割れ
105を挟んで、コンクリートC→空気(ひび割れ
105)→コンクリートCによって規定されることと
なる。
【0032】図12において(a)および(b)に示さ
れた場合を比較すると、空気の部分の電気的特性は、両
者において変わりはないが、導体103とコンクリート
Cとを比較した場合、空気に対するインピーダンスの変
化の度合いは、導体103の方が大きいため、導線10
2に沿ったインピーダンスの変化の度合いは、導体10
3を配置した場合の方が大きくなる。これにより、導体
103を導線102に沿って配置することにより、導体
103を配置しない場合に比較して、ひび割れの検知を
容易することができ、より精度の高い測定が可能とな
る。
【0033】また、このような導体103を配置するこ
とによる効果は、ひび割れ105に水(地下水)が侵入
してきた場合に、より一層顕著なものとなる。すなわ
ち、水(地下水)は、空気と比べて電気をはるかによく
通すので、図11、図12に示したような状況におい
て、ひび割れ105に水(地下水)が侵入してきた場合
には、導線102に沿ったインピーダンスの変化は、水
の侵入がない場合に比較して小さなものとなってしまう
が、導体103を配置しておけば、上述のような作用に
よりインピーダンスの変化が増幅されることから、容易
にひび割れの存否を検出することが可能となる。
【0034】なお、上述の説明は、導体の破断伸び等の
力学的強度が導線の力学的強度よりも小さい場合の例で
あるが、この逆の場合、すなわち、導体の力学的強度が
導線のそれよりも強い場合には、導線と導体がともに損
傷したときには、これらを合わせたインピーダンスの変
化が導線のTDR計測により検知されることとなり、上
記の例と同様にインピーダンスの変化が増幅されるとい
う作用が得られるが、導体に損傷が無く導線のみが損傷
したときは、導線のインピーダンスの変化のみが検知さ
れることとなり、この場合の計測の精度は、導体を配置
しなかった場合と同様となる。
【0035】また、請求項4記載の構造部材の健全性モ
ニタリングセンサーは、構造部材の内部または表面に配
設された導電性を有する導線と、該導線に沿って近接配
置された導電性を有する導体と、該導線の一端へ高周波
信号を入力する高周波信号供給手段と、該高周波信号供
給手段、および該導線の一端より出力される反射信号に
基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定するととも
に、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段とを備
えて構成されていることを特徴とする。
【0036】請求項5記載の構造部材の健全性モニタリ
ングセンサーは、請求項4記載の構造部材の健全性モニ
タリングセンサーであって、前記構造部材には、少なく
とも一対の前記導線が、同方向に延在するように、なお
かつ、互いに近接するように配置され、前記高周波信号
供給手段は、前記一対の導線の少なくとも一方に対し
て、その端部より前記高周波信号を供給する構成とさ
れ、前記判定手段は、前記高周波信号、前記導線の一方
の端部より出力される第一の反射信号、および、前記導
線の他方の端部より出力される第二の反射信号に基づい
て、前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記
構造部材の損傷状態を判定する構成とされていることを
特徴とする。
【0037】請求項6記載の構造部材の健全性モニタリ
ングセンサーは、請求項4または5記載の構造部材の健
全性モニタリングセンサーであって、前記判定手段は、
前記高周波信号、前記導線の一端より出力される反射信
号、および前記導線の他端より出力される透過信号に基
づいて、前記構造部材の損傷位置を特定する構成とされ
ていることを特徴とする。
【0038】これら請求項4から6に係る発明の構造部
材の健全性モニタリングセンサーは、いわゆるベクトル
・ネットワーク・アナライザ(Vector Network Analyse
r;VNA)を構造物の健全性の判定について応用するた
めのものである。VNAは、任意の正弦波信号を出力し
て、被測定物への入射波と被測定物からの反射波の位相
特性と振幅測定を測定する装置であり、2ポート(出入
口)あるいは、それ以上のポートを用いることにより、
伝送路の損失や伝播の遅延時間などについて伝達特性を
調べることができるものである。ここでは、構造部材中
に埋設、あるいは構造部材表面に敷設等された導線に、
高周波信号を入力することより、導線から得られる反射
波等の位相特性および周波数領域における振幅特性を調
べるとともに、これらの情報を基に、判定手段におい
て、例えば逆フーリエ変換等の手段を用いて、反射波に
ついて時間軸の波形を得ることとし、これにより、導線
の各所に沿ってのインピーダンスの変化を調べる。
【0039】また、この際、導線に沿って、導線に比べ
て力学的強度(破断伸び)が小であるような導体を近接
配置し、導線のインピーダンスがこの導体により影響を
受けるようにすれば、構造部材の損傷に伴って、導体に
破断、亀裂(ひび割れ)、あるいは、剥離等の変化が生
じた場合に、導線周辺のインピーダンスが変化すること
となり、この変化が導線に対するVNA測定により検知
される。さらに、導体だけでなく、導線自体に損傷が及
んだ場合には、導線自身の損傷と導体の損傷を合わせた
インピーダンスの変化が、導線のVNA計測により検知
されることとなる。
【0040】また、この場合、上述の請求項1から3に
係る発明と同様に、導線に沿って配置された導体は、導
線のインピーダンスの変化の度合いを増幅させ、これに
より精度の高い測定を可能とするように作用する。
【0041】請求項7記載の構造部材の健全性モニタリ
ングセンサーは、請求項1から6のいずれかに記載の構
造部材の健全性モニタリングセンサーであって、前記導
体は、所定値以上の応力が作用した際に、その抵抗値が
変化する材料によって形成され、前記導体には、少なく
とも二以上の端子が接続され、該端子には、これら端子
間の抵抗値を測定する抵抗測定手段が接続されているこ
とを特徴とする。
【0042】上記のような構成とされるために、この構
造部材の健全性モニタリングセンサーにおいては、パル
ス信号または高周波信号を用いた構造部材の健全性の判
定に加えて、構造部材に損傷が加わったときに導体に応
力が作用し、これによって導体の抵抗値が変化すること
を利用して、導体の抵抗値を観測することにより、構造
部材の健全性をモニタリングすることができる。
【0043】請求項8記載の構造部材の健全性モニタリ
ングセンサーは、請求項1から7のいずれかに記載の構
造部材の健全性モニタリングセンサーであって、前記導
体の破断伸びは、前記導線の破断伸びよりも小とされて
いることを特徴とする。このような構成とされるため
に、この構造部材の健全性モニタリングセンサーにおい
ては、構造部材が損傷してひび割れ等が発生した場合
に、導体が、導線よりも先行して損傷し、これに伴い導
線周囲のインピーダンスに変化を及ぼすこととなる。こ
れにより、単に導線のみが構造部材中に配設されている
場合と異なり、導線の電気的特性に何ら変化を与えない
程度の微小なひび割れ等を、良好に検出することができ
る。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。図1は、本発明の構造部材の健
全性モニタリングセンサーMの概略構成を示す図であ
る。この構造部材の健全性モニタリングセンサーMは、
先に説明したようなTDRを用いた測定方法を、構造部
材の健全性の判定に応用するためのものである。以下
に、その基本的な構成および測定原理についてを説明す
る。
【0045】図1において、符号1はパルス信号発生
器、2は導電性線材、3はオシロスコープ、4は導電性
線材2に沿って配置された導体を示す。パルス信号発生
器1は、図2(c)に示すパルス信号Siまたは図2
(d)に示すステップ状のパルス信号Ssを発生するこ
とができる。また、このパルス信号発生器1には、図示
しないプローブが接続されており、これらパルス信号S
iまたはパルス信号Ssは、該プローブを介して出力さ
れる。さらに、このプローブの先端部からパルス信号発
生器1およびオシロスコープ3側を見たときの特性イン
ピーダンスは、Zo(50Ωまたは75Ω)とされてい
る。
【0046】一方、導電性線材2は、破断伸びが導体4
よりも高い炭素繊維束により形成されており、その一端
2aには、プローブを介してパルス信号Siまたはパル
ス信号Ssが入力される。また、導電性線材2について
は、一端2aにおいて反射が発生しないように、そのイ
ンピーダンスと特性インピーダンスZoとができるかぎ
り整合するように、長さおよび径、材料の抵抗率の設計
が行われる。
【0047】また、導電性線材2の外周面は、プラスチ
ックスからなる被覆材(図示略)で被覆されている。こ
の被覆材としては、その破断伸びが、後述するより線や
中心導体と同程度かまたは小さいものが用いられてい
る。ここで、上記導電性線材2(より線)として銅線を
用いた場合には、引張荷重による引張(破断)伸びが数
パーセント以下のプラスチックスの被覆を用いることが
望ましい。これにより、コンクリート部材のひび割れや
亀裂の進展に伴い、被覆材であるプラスチックスに同じ
ようにひび割れ、または亀裂が入り、ひいては、被覆材
を含めた周辺のインピーダンスが変化し、この結果、そ
の損傷状況をより感度良くモニタリングすることができ
ることとなる。
【0048】引張(破断)伸びが数パーセント以下のプ
ラスチックスとしては、例えば、ポリスチレンの標準グ
レード、またはビニルエステル系エポキシ樹脂の標準グ
レードのものが挙げられる。ここで、ポリスチレンの標
準グレードのものの引張(破断)伸びは、2%であり、
一方、ビニルエステル系エポキシ樹脂の標準グレードの
ものの引張(破断)は、3%である。
【0049】また、オシロスコープ3は、反射信号Sr
i3(図2(c)参照)または反射信号Srs3(図2
(d)参照)の波形を表示するものである。さらに、オ
シロスコープ3には、各種演算を行うCPU(中央処理
装置)(図示略)が内蔵されている。
【0050】また、導体4は、例えば、炭素の長繊維を
束ねた炭素繊維束によって形成されており、これによ
り、引張荷重が作用した場合に、電気抵抗値に変化が見
られるようなものとされている。さらに、導体4には、
その両端に端子5,5が設けられており、これら端子
5,5は、プローブ6,6を介して、これら端子5,5
間の直流抵抗またはインピーダンスを測定するためのテ
スタ7に対して接続されている。
【0051】上記構成において、今、図1に示す導電性
線材2の途中部分に引張荷重等による損傷部、すなわち
障害点2bが存在するものとする。これにより、導電性
線材2においては、障害点2bによりインピーダンスの
不整合が生じている。なお、導体4の破断伸びは、導電
性線材2のそれよりも小さいことから、導電性線材2の
障害点2b近傍の導体4もまた損傷を受けているが、図
1中においては、それを省略している。
【0052】この状態において、図2(b)に示すパル
ス信号発生器1より、パルス信号Si(図2(c)参
照)が図2(a)に示す導電性線材2の一端2aへプロ
ーブを介して出力されると、パルス信号Siは、導電性
線材2を伝搬する。そして、パルス信号Siの一部は、
障害点2bにより反射され、反射信号Sri1として、
一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Siの残
りは、他端2cにより反射され、反射信号Sri2とし
て一端2aへ向けて伝搬する。
【0053】これにより、導電性線材2の一端2aから
は、上述した反射信号Sri1と反射信号Sri2とが
重畳された反射信号Sri3が出力される。この反射信
号Sri3は、オシロスコープ3に入力され、その結
果、オシロスコープ3には、図2(c)に示す反射信号
Sri3の波形が表示される。この図において、部分A
は、反射信号Sri1に対応する部分であり、部分B
は、反射信号Sri2に対応する部分である。
【0054】従って、図2(c)において、パルス信号
Siと部分Aとの間の時間を求め、該時間に反射信号S
ri3の伝搬速度(≒光速c)を乗算した結果を「2」
で除算することにより、図2(a)に示す一端2aから
障害点2bまでの距離が求められる。すなわち、導電性
線材2における障害点2bの位置が特定される。
【0055】また、図2(b)に示すパルス信号発生器
1より、ステップ状のパルス信号Ss(図2(d)参
照)が図2(a)に示す導電性線材2の一端2aへプロ
ーブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部は、
障害点2bにより反射され、反射信号Srs1として、
一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Ssの残
りは、他端2cにより反射され、反射信号Srs2とし
て一端2aへ向けて伝搬する。
【0056】これにより、導電性線材2の一端2aから
は、上述した反射信号Srs1と反射信号Srs2とが
重畳された反射信号Srs3が出力される。そして、こ
の反射信号Srs3は、オシロスコープ3に入力され
る。その結果、オシロスコープ3には、図2(d)に示
す反射信号Srs3の波形が表示される。この図におい
て、部分Cは、反射信号Srs1に対応する部分であ
り、部分Dは、反射信号Srs2に対応する部分であ
る。
【0057】従って、図2(d)において、パルス信号
Ssの立ち上がりと部分Cとの間の時間を求め、該時間
に反射信号Srs3の伝搬速度(≒光速c)を乗算した
結果を「2」で除算することにより、図2(a)に示す
一端2aから障害点2bまでの距離が求められる。すな
わち、導電性線材2における障害点2bの位置が特定さ
れる。
【0058】また、このとき、導体4は、導電性線材2
より低い強度(破断伸び)において損傷を受けることに
より、導電性線材2の周辺の長手方向ののインピーダン
スの変化を増幅させる役割を果たす。また、構造部材中
に発生したひび割れ等により、導体4に引張または圧縮
荷重が作用した際には、端子5,5間の抵抗値が変化す
るために、テスタ7により端子5,5間の抵抗値を観測
しておくことによって、導体4に何らかの応力が作用し
ていることをモニタリングすることができる。したがっ
て、パルス信号による導電性線材2における障害点2b
の発見・特定に加えて、導体4の抵抗値を観測すること
によって、簡易なモニタリングができるとともに、モニ
タリングの精度をさらに向上させることができる。
【0059】なお、以上の説明においては、導電性線材
2および導体4の双方が損傷を受けた場合の例を示した
が、その代わりに、導電性線材2に損傷箇所が無く、そ
れより破断伸びの小さい導体4のみに損傷が生じた場合
においても、導体4の損傷により損傷箇所近傍において
導電性線材2のインピーダンスの不整合が生じることか
ら、この損傷箇所を導電性線材2の障害点2bと見なし
て、上記説明における取り扱いと同様の取り扱いをする
ことができる。
【0060】以上は、TDR測定方法を応用した場合の
構造部材の健全性モニタリングセンサーMの基本的な構
成であるが、この構造部材のモニタリングにVNA測定
方法を用いる場合には、上述のパルス信号発生器1およ
びオシロスコープ3に代えて、ベクトルネットワークア
ナライザ(図示せず)を用いるようにすればよい。そし
て、このベクトルネットワークアナライザから、任意の
正弦波信号を導電性線材2に対して入力し、この正弦波
信号と導電性線材2から得られる反射波との位相特性お
よび振幅特性を測定することにより、伝送路の損失や伝
搬遅延時間などについて伝達特性を調べれば、導電性線
材2に発生する障害点の2bの位置等を推定することが
できる。
【0061】次に、TDR測定方法を実際の構造物に適
用した場合の例を第一および第二の実施の形態として説
明する。 [第一の実施の形態]図3に示すものは、本実施の形態
における構造部材の健全性モニタリングセンサーM
1を、鉄筋コンクリート製の基礎杭10に対して適用し
た場合の例を示す図である。このうち、図3(a)は、
基礎杭10および構造部材の健全性モニタリングセンサ
ーM1を示す立断面図であり、(b)は、基礎杭10の
平断面図を示している。なお、図3(a)および(b)
において、図1、図2(a)および(b)と共通の構成
については、同一の符号を付すこととし、その説明を省
略する。
【0062】これら図中に示すように、基礎杭10は、
その長手方向の距離がL1(例えば50m)とされたも
のであり、基礎杭10の内部には、図3(a)に示す杭
頭10aから杭先端部10bに至るように一対の導電性
線材12および13が埋設されている。これら導電性線
材12および13は、所定の間隔をおいて平行に配置さ
れている。また、導電性線材12および13の外周面
は、図示しない絶縁材料(例えば、プラスチックス)に
より被覆されている。また、導体4は、基礎杭10の延
在方向がその長手方向となるように帯状に形成されたも
のであり、その材質は炭素繊維束からなるものとされて
いる。さらに、図3(b)に示すように、導電性線材1
2,13は、導体4の表面に沿って配置されている。さ
らに、ここでは、図1に示したオシロスコープ3に代え
て、オシロスコープ15が設けられている。このオシロ
スコープ15は、2つの波形を同時に表示する、いわゆ
る2現象式のものであり、第1現象の信号を入力するた
めの入力端子15aおよび第2現象の信号を入力するた
めの入力端子15bを各々有している。また、このオシ
ロスコープ15には、図示しないCPUが内蔵されてお
り、このCPUは、図1に示したオシロスコープ3に内
蔵されているCPUと同様にして、各種演算を行う。
【0063】導電性線材12は、その一端12aが、プ
ローブを介して信号発生器1およびオシロスコープ15
の入力端子15aに接続された構成とされ、また、導電
性線材13は、その一端13aが、オシロスコープ15
の入力端子15bに接続されている。
【0064】この構造部材の健全性モニタリングセンサ
ーM1の動作は以下のようになる。今、図3(b)に示
す導電性線材12において、一端12a(杭頭10a)
より下方向へ距離L2(例えば35m)隔てた障害点1
2bで損傷が発生しているものとする。ここに、障害点
12bにおける損傷は、基礎杭10に対して引張荷重等
が加えられた結果、障害点12b近傍の基礎杭10に亀
裂、ひび割れ、破損等の損傷Hが生じ、この損傷Hに伴
い発生したものである。
【0065】この状態において、図3(b)に示すパル
ス信号発生器1より、パルス信号Si(図4(b)参
照)が導電性線材12の一端12aへプローブを介して
出力されると、パルス信号Siは、他端12c方向へ向
けて導電性線材12を伝搬する。そして、パルス信号S
iの一部は、図4(a)に示す障害点12bにより反射
され、反射信号Sri1(図2(b)参照)として、一
端12aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Siの残
りは、他端12cにより反射され、反射信号Sri2
(図2(b)参照)として一端12aへ向けて伝搬す
る。
【0066】これにより、導電性線材12の一端12a
からは、反射信号Sri1と反射信号Sri2とが重畳
された反射信号Sri3(図4(c)参照)が出力され
る。なお、図4(c)においては、反射信号Sri2に
対応する部分の図示が省略されている。そして、この反
射信号Sri3は、入力端子15aからオシロスコープ
15に入力される。この結果、オシロスコープ15に
は、図4(c)に示す反射信号Sri3の波形が表示さ
れる。この図において、部分Eは、図4(b)に示す反
射信号Sri1に対応する部分である。
【0067】次に、オシロスコープ15に内蔵されてい
るCPU(図示略)は、図4(c)に示すパルス信号S
iと部分Eとの間の伝搬遅延時間tdを求める。ここ
で、図4(a)に示す一端12aから障害点12bまで
の距離L2は、上記伝搬遅延時間をt d、導電性線材1
2における反射信号Sri1の伝搬速度をvp(≒光速
c)とすると次の(1)式で表される。 L2=td・vp/2 ・・・・・・・・・(1)
【0068】次いで、CPUは、上記(1)式に先ほど
求めた伝搬遅延時間td、および既値たる伝搬速度vp
を各々代入して、距離L2を求める。これにより、図3
(a)に示す導電性線材12における障害点12bの位
置が特定され、ひいては基礎杭10に発生している亀
裂、ひび割れ、破損等の箇所が特定される。
【0069】また、図3(a)に示すパルス信号発生器
1より、ステップ状のパルス信号Ss(図4(d)参
照)が図4(a)に示す導電性線材12の一端12aへ
プローブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部
は、障害点2bにより反射され、反射信号Srs1とし
て、一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Ss
の残りは、他端2cにより反射され、反射信号Srs2
(図2(b)参照)として一端2aへ向けて伝搬する。
【0070】これにより、導電性線材12の一端12a
からは、上述した反射信号Srs1と反射信号Srs2
とが重畳された、図4(e)に示す反射信号Srs3が
出力される。なお、図4(e)においては、反射信号S
rs2に対応する部分の図示が省略されている。
【0071】そして、この反射信号Srs3は、入力端
子15aからオシロスコープ15に入力される。この結
果、オシロスコープ15には、図4(e)に示す反射信
号Srs3の波形が表示される。この図において、部分
Fは、図4(d)に示すパルス信号Ssの立ち上がり部
分に対応しており、部分Gは、反射信号Srs1に対応
する部分である。
【0072】次いで、CPUは、図4(e)に示す部分
Fの立ち上がりから部分Gの立ち上がりまでの伝搬遅延
時間tdを求めた後、先に示した(1)式に該伝搬遅延
時間td、および既値の伝搬速度vpを各々代入して、
距離L2(図4(a)参照)を求める。
【0073】次に、CPUは、図4(e)に示す反射信
号Srs3の波形から得られる電圧ErおよびEiに基
づいて、障害点12bの状態を次の手順で判定する。す
なわち、ここで、障害点12bにおける反射係数ρは、
パルス信号Ss(入射波)の電圧をEi(図4(e)参
照)、反射信号Srs1(反射波)の電圧をEr(図4
(e)参照)、障害点12bから他端12c側をみた導
電性線材12のインピーダンスをZ1、障害点12bが
存在しない場合において一端2aから他端2c側をみた
導電性線材2のインピーダンスをZ0とすると、次の
(2)式で表される。 ρ=Er/Ei=(Z1−Z0)/(Z1+Z0)・・・・(2)
【0074】まず、CPUは、図4(e)に示す反射信
号Srs3における部分Fの立ち上がりの電圧Ei、お
よび部分Gの立ち上がりの電圧Erを各々求める。次い
で、CPUは、上記電圧Eiおよび電圧Erを(2)式
に代入して、反射係数ρを求める。ここで、電圧Ei=
電圧Erなる関係があるものとすると、反射係数ρは、
1である。従って、(2)式においては、(Z1−Z
0)/(Z1+Z0)=1なる関係が成立することか
ら、CPUは、インピーダンスZ1が無限大、すなわ
ち、図3(b)に示す障害点12bが完全に断線してい
るものと判定する。
【0075】一方、障害点12bが他の導体と短絡して
いる場合や接地されている場合には、図4(e)に示す
電圧Erは、マイナス符号であってかつ電圧Eiと同レ
ベルとなる。従って、このような場合には、(2)式に
示す反射係数ρは、−1とされ、CPUは、障害点2b
が完全に短絡しているものと判定する。
【0076】さらに、図3(b)に示す基礎杭10の障
害点12b近傍の部分にひび割れ、亀裂等が発生して、
障害点12bにおいて断線が発生した直後においては、
反射係数ρは、上述したように1をとる。すなわち、障
害点12bは、空気中に存在していると推定される。
【0077】そして、基礎杭10のひび割れ、亀裂部分
に地下水が侵入して、障害点12bが地下水で満たされ
ると、反射係数ρは、障害点2bのインピーダンスの変
化に伴って1から−1へと徐々に変化する。この反射係
数ρの変化により、CPUは、障害点12bが空気中に
あるか、または地下水中にあるかを判定する。言い換え
れば、基礎杭10の施工後、反射係数ρの変化をモニタ
リングすることにより、基礎杭10のひび割れ部分、亀
裂部分がどのような状態にあるのかを知ることができる
のである。
【0078】また、上記反射係数ρの変化により、基礎
杭10の損傷箇所の状態を判定する場合には、実験等に
より反射係数ρの変化と基礎杭10の損傷箇所の状態と
の関係を表すデータを図示しないメモリに記憶しておけ
ばよい。この場合、CPUは、実際に得られる反射係数
ρをメモリに記憶されているデータに適用することによ
り、基礎杭10の損傷箇所の状態を判定する。
【0079】さらに、この構造部材の健全性モニタリン
グセンサーM1においては、障害Hによって導電性線材
12と導電性線材13とが短絡しているか否かの判断も
行うことができる。ここに、短絡とは、物理的な接触は
もとより、インピーダンスの不整合が生じていることを
いう。従って、導電性線材12と導電性線材13とが物
理的に接触していない場合であっても、インピーダンス
の不整合が発生しているときには、電磁誘導作用によ
り、導電性線材12と導電性線材13とが電気的に結合
される。以下、短絡の定義については、同様とする。
【0080】今、導電性線材12において障害点12b
が存在しており、なおかつ、導電性線材12および13
は、短絡していないものとする。この状態において、信
号発生器1より、パルス信号Siまたはパルス信号Ss
が出力されると、先に説明した動作と同様にして、オシ
ロスコープ15の入力端子15aには、反射信号Sri
3または反射信号Srs3が入力される。このとき、オ
シロスコープ15の入力端子15bには、いずれの信号
も入力されない。
【0081】これにより、オシロスコープ15のCPU
は、前述した動作と同様にして、障害点12bの位置を
特定するとともに、(2)式を用いて反射係数ρを求め
た後、障害点12bの状態、すなわち基礎杭10の損傷
状態を判定する。
【0082】一方、基礎杭10に発生した損傷が多大な
ものであり、図3に示す障害点Hにおいて導電性線材1
2と導電性線材13とが短絡しているものとする。この
状態において、信号発生器1よりパルス信号Siが出力
されると、パルス信号Siは、導電性線材12の一端1
2aから他端12cへ向けて伝搬する。そして、パルス
信号Siの一部は、障害点Hにより反射され、反射信号
Sri1(図2(b)参照)として、一端12aへ向け
て伝搬するとともに、導電性線材13の一端13aへ向
けて伝搬する。
【0083】これにより、導電性線材12の一端12a
からは、反射信号Sri3がオシロスコープ15の入力
端子15aへ出力されるとともに、導電性線材13の一
端13aからは、反射信号Sri3’が、オシロスコー
プ15の入力端子15bへ出力される。
【0084】この結果、オシロスコープ15には、反射
信号Sri3および反射信号Sri3’の各波形が表示
される。また、オシロスコープ15のCPUは、上述し
た動作と同様にして、障害点Hの位置を特定するととも
に、反射信号Sri3’が入力されていることから、障
害点Hにおいて短絡(インピーダンスの不整合)が発生
しているものと判定する。
【0085】また、パルス信号発生器1より、ステップ
状のパルス信号Ss(図4(d)参照)が導電性線材1
2の一端12aへプローブを介して出力されると、パル
ス信号Ssの一部は、障害点Hにより反射される。これ
により、入力端子15aおよび入力端子15bには、反
射信号Srs3および反射信号Srs3’が各々入力さ
れ、オシロスコープ15には、上記反射信号Srs3お
よび反射信号Srs3’の各波形が表示される。
【0086】次いで、CPUは、反射信号Srs3より
得られる電圧Eiおよび電圧Er(図4(e)参照)お
よび(2)式に基づいて、前述した手順により反射係数
ρを求めるとともに、障害点Hの位置を特定する。ここ
で、今の場合、障害点Hにおいて短絡(インピーダンス
の不整合)が発生しているため、上記電圧Erの符号
は、マイナスである。従って、反射係数ρは、−1であ
る。
【0087】さらに、以上説明したような、パルス信号
SiおよびSsによる障害点12bの位置の特定、また
は、障害点12bにおけるひび割れ状況の把握を行うに
際して、導体4は、導電性線材12,13のインピーダ
ンスの変化を増幅させるように作用することから、例え
ば、導電性線材12,13に直接損傷が生じなくとも、
導電性線材12,13近傍にひび割れ等が生じれば、こ
れが導電性線材12および13におけるインピーダンス
の不整合として観測されることとなり、これにより、ひ
び割れ等の観測範囲の広域化が図れられることとなる。
また、微小なひび割れ等によっても、導電性線材12お
よび13におけるインピーダンスの不整合が観測されや
すくなることから、モニタリングの精度の向上を図るこ
とができる。
【0088】さらに、導電性線材12,13に沿って導
体4を配置することにより、導体4を配置しない場合に
比べて、導電性線材12,13間のインピーダンスに対
するコンクリートの影響を相対的に減少させることがで
きる。したがって、基礎杭10を構成するコンクリート
中の水分量の違いにより導電性線材12,13間におい
て測定されるインピーダンスが受ける影響を低減するこ
とができる。また、導体4により、基礎杭10中に配置
された鉄筋等から導電性線材12,13間のインピーダ
ンスが受ける影響を相対的に減少させることができ、よ
り精度の高いモニタリングが可能となる。
【0089】また、このような、パルス信号Siおよび
Ssによる障害点12bの位置の特定、または、障害点
12bにおけるひび割れ状況の把握に加えて、テスタ7
において観測される導体4の抵抗値の変化を参照して、
測定精度を向上させることができる。すなわち、導体4
に圧縮荷重、引張荷重が作用した際の抵抗値の変化をあ
らかじめ調べておき、実際にテスタ7において導体4の
抵抗値の変化が観測された際には、これを参照して導体
4に引張あるいは圧縮荷重のいずれかが作用しているか
を判断することができ、これにより、例えば、導電性線
材12における障害点12bが、引張あるいは圧縮によ
って生じたものであるか等を判断することもできる。
【0090】以上図面を参照して本発明の第一の実施の
形態における構造部材の健全性モニタリングセンサーM
1について詳述してきたが、本発明は、この実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲で、設計の一部等について、他の構成を採用するよ
うにしてもよい。
【0091】例えば、上述した構造部材の健全性モニタ
リングセンサーM1においては、導電性線材12および
13の形状は、図5(a)に示すように互いに平行に所
定の間隔をおいて配置された構成とされていたが、これ
らを(b)に示すように、より線としたものを用いるよ
うにしてもよい。また、上述の構造部材の健全性モニタ
リングセンサーM1においては、図6(a)に示すよう
に、導電性線材12,13が導体4の表面に沿って配置
された構成とされていたが、その代わりに、例えば、導
電性線材12,13を同軸ケーブル状に配置する、さら
には、図6(b)に示すように、これら導電性線材1
2,13および導体4を同軸ケーブル状に形成すること
により、導体4の内部に導電性線材12,13が配置さ
れるような構成としてもよい。また、それとは逆に、図
6(c)に示すように、導体4の外部に対して導電性線
材12,13が巻き付くような構成とするようにしても
よい。さらに、導電性線材12,13を一つの組とし
て、導体4の断面が比較的大きいときには、これら導電
性線材12,13を複数組配置するようにしてもよい。
【0092】さらに、導電性線材12および13として
は、次に列挙するものを用いてもよい。 (a) より線あるいは極細線の集合体を中心導体とし
た単線状のもので、絶縁性の高いプラスチックス(誘電
体材料)により被覆されたもの。例えば、絶縁された銅
などの導電性を有する金属のより線の外周縁部を絶縁し
たものなど。
【0093】(b) 絶縁性の高いプラスチックス(誘
電体材料)により被覆された口径0.2mm以下の単線、
例えば、径がおおむね0.05〜0.1mmで、かつ、ポリエチ
レンやウレタン等で被覆された銅の金属細線など。
【0094】(c) 絶縁性の高いプラスチックス(誘
電体材料)により被覆された幅が狭く、長手方向に延伸
した(帯状の)箔材。例えば、絶縁された銅などの導電
性を有する金属の箔。
【0095】また、導体4としては、次に列挙するもの
を用いることができる。 (d) 炭素の長繊維を束ねたもの(炭素繊維束)。ま
た、炭素繊維束を中心導体として絶縁性の高いプラスチ
ックス(誘電体材料)で被覆したもの。 (e) 炭素繊維(CF)の補強材とエポキシ樹脂とか
らなる強化プラスチックス(RP)のうち、引き抜き成
形方法でロッド状に加工したもの(CFRP)。 (f) 炭素繊維(CF)とガラス繊維(GF)とがそ
れぞれ束ねられてなる繊維束の補強材と、エポキシ、ビ
ニルエステルなどの樹脂とからなる強化プラスチックス
(RP)の成形体(CFGFRP)。 (g) 導電性粉末を分散、硬化させることにより得ら
れる導電性の高いプラスチックスの形成体。ここで、導
電性粉末としては、例えば、炭素(カーボンブラックや
黒鉛の)粉末や、炭化チタンや窒化チタン等のセラミッ
ク粉末が用いられる。 (h) 導電性粉末を分散、硬化させることにより得ら
れる導電性の高いモルタルの形成体。ここで、導電性粉
末としては、(g)と同様とする。
【0096】さらに、上記実施の形態において、導電性
線材12,13のいずれか一方と導体4との間におい
て、短絡が生じているか否かの測定を行うようにしても
よい。これにより、モニタリングの精度をより向上させ
ることが可能である。
【0097】[第二の実施の形態]図7に示すものは、
本発明の第二の実施の形態における構造部材の健全性モ
ニタリングセンサーM2の概要を示す図である。なお、
この図において、図3において示したものと同様の構成
については、同一の符号を付すこととし、その説明を省
略する。
【0098】この実施の形態においては、図3における
導電性線材12,13の代わりに、導電性線材18が設
けられている。導電性線材18は、図中に示すように、
その中央部が折り曲げられた略U字状に形成されてお
り、その一端18aおよび他端18bが基礎杭10の杭
頭10a側に配置されるとともに、中央部が杭先端部1
0bに至るように配置されている。また、導体4は、帯
状に形成されて導電性線材18に沿うように設けられ、
なおかつ、基礎杭10の杭頭10aから杭先端部10b
までに至るように配置されている。また、導電性線材1
8は、その一端18aがプローブを介して信号発生器1
およびオシロスコープ15の入力端子15aに接続され
ており、他端18bは、オシロスコープ15の入力端子
15bに接続されている。
【0099】上記構成において、今、基礎杭10(導電
性線材18)に損傷等が発生していないものとする。こ
の状態において、信号発生器1よりパルス信号Siまた
はパルス信号Ssが出力されると、該パルス信号Siま
たはパルス信号Ssは、導電性線材18を伝搬した後、
オシロスコープ15の入力端子15bに入力される。一
方、入力端子15aにも、パルス信号Siまたはパルス
信号Ssが入力される。
【0100】これにより、オシロスコープ15には、同
一波形たるパルス信号Siまたはパルス信号Ssが2現
象分表示される。この結果、CPUは、同一波形がわず
かな時間遅れをもってオシロスコープ15に表示されて
いるため、基礎杭10(導電性線材18)に損傷等が発
生していないものと判定する。
【0101】一方、今、導電性線材18において、基礎
杭10の損傷により障害点18cが存在しているものと
する。この状態において、信号発生器1よりパルス信号
Siまたはパルス信号Ssが出力されると、該パルス信
号Siまたはパルス信号Ssは、導電性線材18の一端
18aから他端18bへ向けて伝搬する。そして、パル
ス信号Siまたはパルス信号Ssの一部は、障害点18
cにより、反射信号Sri1または反射信号Srs1と
してオシロスコープ15の入力端子15aに入力され
る。
【0102】他方、パルス信号Siまたはパルス信号S
sの残りは、導電性線材18の障害点18cを透過し
て、透過信号Sti1または透過信号Sts1として、
他端18bを介してオシロスコープ15の入力端子15
bに入力される。
【0103】この結果、オシロスコープ15には、反射
信号Sri1または反射信号Srs1、および透過信号
Sti1または透過信号Sts1の各波形が表示され
る。これにより、CPUは、反射信号Sri1(または
反射信号Srs1)と透過信号Sti1(または透過信
号Sts1)とのレベル比より、障害点18c(基礎杭
10)の状態を判定する。
【0104】すなわち、CPUは、透過信号Sti1
(または透過信号Sts1)がゼロである場合、障害点
18cが完全に断線しているものと判定する。一方、C
PUは、反射信号Sri1(または反射信号Srs1)
のレベルが、透過信号Sti1(または透過信号Sts
1)のレベルより大きい場合、障害点18cの損傷等が
大きいものと判定し、また、この逆の場合、障害点18
cの損傷が小さいものと判定する。
【0105】さらに、この際、導電性線材18に沿って
導体4が配置されるために、パルス信号SiおよびSs
による障害点18cの位置の特定、または、障害点18
cにおけるひび割れ状況の把握を行うに際して、導体4
により上記第一の実施の形態と同様の作用・効果が得ら
れることとなり、これにより、精度の高いモニタリング
が可能となる。
【0106】また、それに加えて、テスタ7において観
測される導体4の抵抗値の変化により、導体4に引張あ
るいは圧縮荷重のいずれかが作用しているかを判断する
こととすれば、より精度の高い計測が可能となる。
【0107】なお、この第二の実施の形態における導電
性線材18および導体4としては、上記第一の実施の形
態において(a)ないし(c)項および(d)ないし
(h)項に示したものと同様のものを用いることができ
る。また、この第二の実施の形態において、導電性線材
18には、図5(c)に示すような形状のものが用いら
れているが、その代わりに、(d)に示すような、より
線状のものを用いるようにしても構わない。さらに、こ
の第二の実施の形態においては、図6(a)に示すよう
に、導電性線材18が導体4の表面に沿って配置された
構成とされていたが、その代わりに、例えば、図6
(b)に示すように、これら導電性線材18および導体
4を同軸ケーブル状に形成することにより、導体4の内
部に導電性線材18が配置される構成としてもよい。ま
た、それとは逆に、図6(c)に示すように、導体4に
対して導電性線材18が巻き付くような構成とするよう
にしてもよい。さらに、導電性線材18に比較して導体
4の断面が大きいときには、これら導電性線材18を複
数配置するようにしてもよい。
【0108】また、この第二の実施の形態において、導
電性線材18と導体4との間において短絡が生じている
か否かの測定を、第一の実施の形態において示した方法
と同様の手順で行うようにしてもよい。これにより、モ
ニタリングの精度をさらに向上させることが可能であ
る。
【0109】以上説明したように、上述した第一および
第二の実施の形態による構造部材の健全性モニタリング
センサーM1,M2においては、基礎杭10が弾性ひずみ
をわずかに上回る範囲内で引張荷重等を受けた後、元の
状態に戻ったとしても、上記のひずみを受けた時点で導
電性線材12,13または18の炭素繊維束の一部に破
断が生じる。従って、第一および第二の実施の形態によ
る構造部材の健全性モニタリングセンサーM1,M2によ
れば、上述のような場合であっても、過去の基礎杭に対
して引張荷重等が加えられたか否かを判定することがで
きる。言い換えれば、第一および第二の実施の形態によ
る構造部材の健全性モニタリングセンサーM1,M2によ
れば、基礎杭10の損傷状況を連続的にモニタリングす
ることができるという効果を得ることができる。また、
これら第一および第二の実施の形態による構造部材の健
全性モニタリングセンサーM1,M2によれば、従来の光
ファイバに代えて、導電性線材12,13または18を
用いているため、基礎杭10がコンクリートである場合
にも耐久性を有するものとなる。また、これら第一およ
び第二の実施の形態による構造部材の健全性モニタリン
グセンサーM1,M2によれば、従来のもののように、導
電性線材の中間点に複数の端子を設けることなく、低コ
ストでかつ簡易な構成により基礎杭10の損傷箇所を特
定することができる。
【0110】以上は、TDR測定方法を応用した場合の
構造部材の健全性モニタリングセンサーの概要であった
が、次に、VNA(Vector Network Analyser)測定方
法の原理を応用して構造部材の健全性のモニタリングを
行う場合の例を、第三ないし第五の実施の形態として説
明する。
【0111】[第三の実施の形態]次に、本発明の第三
の実施の形態による構造部材の健全性モニタリングセン
サーM3の概要について図8を参照して説明する。な
お、この図において、図3の各部と同一の構成について
は、同一の符号を付しその説明を省略することとする。
図8において示す構造部材の健全性モニタリングセン
サーM3においては、図3(a)に示す信号発生器1お
よびオシロスコープ15に代えて、ネットワークアナラ
イザ30、パワースプリッタ31が設けられている。
【0112】図8において、ネットワークアナライザ3
0は、5Hz〜数十GHzの信号解析が可能な測定機器
であり、後述する高周波信号Shを出力するとともに、
入力される高周波信号Sh1および反射信号Sr,S
r’に基づいて、導電性線材12,13(基礎杭4)の
状態を判定する機能等を有している。具体的には、ネッ
トワークアナライザ30は、高周波信号Sh1および反
射信号Sr,Sr’の位相特性および周波数領域におけ
る振幅特性を求め、これらに基づいて、伝送路の損失や
信号の伝搬遅延時間等を求める等の機能を有している。
【0113】このネットワークアナライザ30は、1つ
の出力端子30a、3つの入力端子30b、30cおよ
び30dを有している。出力端子30aからは、高周波
信号Shが出力される。また、入力端子30bには、高
周波信号Sh1および反射信号Srが入力される。さら
に、入力端子30cは、導電性線材13の一端13aに
対して接続されており、導電性線材13からの反射波S
r’が入力される。なお、この実施の形態において、ネ
ットワークアナライザ30の入力端子30dには、いず
れも信号も入力されない。また、ネットワークアナライ
ザ30の動作の詳細については、後述する。
【0114】パワースプリッタ31は、入力される高周
波信号Shを高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに
分流するものであり、分流抵抗R1およびR2から構成
されている。すなわち、分流抵抗R1およびR2の各一
端は、ネットワークアナライザ30の出力端子30aに
接続されており、分流抵抗R1の他端は、ネットワーク
アナライザ30の入力端子30bに接続されている。ま
た、分流抵抗R2の他端は導電性線材12に接続されて
いる。
【0115】次に、本実施の形態における構造部材の健
全性モニタリングセンサーM3の動作について説明す
る。図8において、今、導電性線材12の途中に障害点
12bが存在しているものとする。この状態において、
ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周
波信号Shが出力されると、該高周波信号Shは、パワ
ースプリッタ31により高周波信号Sh1と高周波信号
Sh2とに分流され、このうち高周波信号Sh1は、ネ
ットワークアナライザ30の入力端子30bに入力され
る。ここで、上記高周波信号Sh2は、正弦波状のもの
である。
【0116】一方、高周波信号Sh2は、パワースプリ
ッタ31の分流抵抗R2を介して、導電性線材12の一
端12aへ入力される。さらに、高周波信号Sh2は、
障害点12bにより反射されて、反射信号Srとして、
一端12a方向へ伝搬する。そして、この反射信号Sr
は、パワースプリッタ31を介して、ネットワークアナ
ライザ30の入力端子30bに入力される。
【0117】これにより、ネットワークアナライザ30
は、高周波信号Sh2の周波数を次々と変更して入力さ
れた高周波信号Sh1および反射信号Srの周波数領域
における位相特性および振幅特性を求める。次いで、ネ
ットワークアナライザ30は、上記位相特性および振幅
特性の各情報に対して、逆フーリエ変換を行い、図4
(c)または図4(e)に示す反射信号Sri3または
反射信号Srs3と同様な時間軸の波形を得る。
【0118】すなわち、ネットワークアナライザ30
は、パルス状の信号を入力する代わりに、所定の周波数
領域における高周波信号Sh2を用いて、伝達経路の位
相ならびに振幅特性を求め、周波数領域の情報を時間軸
領域の情報に変換してパルス状の信号を入力したときの
波形を得るものである(パルス状の信号入力は理論的に
は全周波数領域の位相と振幅特性より求めることができ
る。ここで、このような面倒な方法によるのは伝達経路
の状態をより詳細に調べることができる等の利点がある
ためである。)。さて、これらの手順により、図4
(c)に示す波形と同様のものを得た後、該波形より伝
搬遅延時間tdを求める。次いで、ネットワークアナラ
イザ30は、上記伝搬遅延時間tdと前述した(1)式
とから、図8に示す導電性線材12の一端12aから障
害点12bまでの距離L2を求めることにより、障害点
12bの位置を特定する。
【0119】また、ネットワークアナライザ30は、上
述した逆フーリエ変換を行うとき、ノイズ成分をカット
したものに対して逆フーリエ変換を行う。これにより、
逆フーリエ変換された結果は、ノイズによる影響を受け
ないものとなる。
【0120】なお、ネットワークアナライザ30の分解
能は、高周波信号Shの周波数に比例して向上する。例
えば、高周波信号Shの周波数を110GHzとした場
合には、導電性線材12を覆う被覆材の影響を受けて、
2.7mm(1波長)の60%〜90%が分解能とな
る。
【0121】また、この構造部材の健全性モニタリング
センサーM3によれば、導電性線材12および13間に
短絡(インピーダンスの不整合)が発生しているか否か
を判断することも可能である。今、導電性線材12と1
3との間に短絡(インピーダンスの不整合)が生じてお
らず、かつ導電性線材12において基礎杭10の損傷等
による障害点12bが存在しているものとする。この状
態において、ネットワークアナライザ30の出力端子3
0aより高周波信号Shが出力されると、ネットワーク
アナライザ30の入力端子30bには、高周波信号Sh
1および導電性線材12からの反射信号Srが入力さ
れ、また、入力端子30cには、信号が何ら入力されな
いため、ネットワークアナライザ30は、これに基づき
導電性線材12および13間に短絡が生じていないとの
判断を行うとともに、高周波信号Sh1および反射信号
Srの位相特性および振幅特性から障害点12bまでの
距離を求める。
【0122】一方、今、基礎杭10に多大な損傷が発生
したか、または基礎杭10にひび割れ等が発生して、同
図に示す障害点Hにおいて導電性線材12、13との間
に短絡(インピーダンスの不整合)が生じているものと
する。この状態において、ネットワークアナライザ30
の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、
上述した動作を経て高周波信号Sh2の一部は、障害点
Hにより反射され、反射信号Srとして、一端2aへ向
けて伝搬する。これと同時に、高周波信号Sh2の残り
は、反射信号Sr’として導電性線材13の一端13a
へ向けて伝搬する。
【0123】これにより、導電性線材12の一端12a
からは、パワースプリッタ31を介して反射信号Srが
ネットワークアナライザ30の入力端子30bへ出力さ
れるとともに、導電性線材13の一端13aからは、ネ
ットワークアナライザ30の入力端子30cへ反射信号
Sr’が出力される。
【0124】このとき、ネットワークアナライザ30
は、上述した動作と同様にして、反射信号Srおよび反
射信号Sr’の波形を得た後、該波形に基づいて、障害
点Hの位置を特定するとともに、反射信号Sr’が入力
されていることから、障害点Hにおいて短絡(インピー
ダンスの不整合)が発生しているとの判定を行う。な
お、障害点Hを特定する手順は、前述した第一の実施の
形態による構造部材のモニタリングセンサーM1におけ
る手順と同様である。
【0125】さらに、このとき、導電性線材12,13
に沿って配置された導体4は、上述の第一の実施の形態
における導体4と同様の作用・効果を有するものとして
機能し、これにより、導体4が配置されない場合に比較
して、モニタリングの精度が向上させられることとな
る。
【0126】なお、この実施の形態による構造部材の健
全性モニタリングセンサーM3においては、導電性線材
12、13として、上述の第一の実施の形態における
(a)ないし(c)項に示すものを用いるようにしても
よい。また、導体4としては、上述の第一の実施の形態
における(d)ないし(h)項に示すものを用いるよう
にしてもよい。さらに、導電性線材12、13の形状
は、図5(a)または(b)に示した形状のいずれであ
ってもよい。また、導電性線材12,13と導体4の配
置は、図6(a)から(c)に示すもののいずれであっ
てもよい。
【0127】また、上述したような基礎杭10の健全性
の判定方法に加えて、テスタ7において観測される導体
4の抵抗値の変化により、導体4に引張あるいは圧縮荷
重のいずれかが作用しているかを判断するようにしても
よく、この場合には、より精度の高い計測が可能とな
る。また、この第三の実施の形態において、導電性線材
12、13のいずれか一方と導体4との間において短絡
が生じているか否かの測定を、上述の導電性線材12,
13間において短絡が生じているかを判定する場合と同
様の手順で行うようにしてもよい。これにより、モニタ
リングの精度をさらに向上させることが可能である。
【0128】[第四の実施の形態]図9は、本発明の第
四の実施の形態による構造部材の健全性モニタリングセ
ンサーM4の概略構成を示す図である。この図におい
て、図8の各部に対応する部分には同一の符号を付し、
その説明を省略する。図9においては、図8に示すパワ
ースプリッタ31に代えて、方向性結合器32が設けら
れている。
【0129】方向性結合器32は、端子32a、32b
および32cを有しており、端子32aに入力される高
周波信号Shを、高周波信号Sh1と高周波信号Sh2
とに分岐するという機能を有している。すなわち、方向
性結合器32は、高周波信号Sh1を端子32cから出
力するとともに、高周波信号Sh2を端子32bから出
力する。また、方向性結合器32の端子32aは、ネッ
トワークアナライザ30の出力端子30aに接続されて
いる。さらに、端子32bは、導電性線材12の一端1
2aに接続されており、端子32cは、ネットワークア
ナライザ30の入力端子30bに接続されている。
【0130】次に、この構造部材の健全性モニタリング
センサーM4の動作について説明する。図9において、
今、基礎杭10に多大なる損傷が発生したか、または基
礎杭10にひび割れ等が発生して、同図に示す障害点H
において導電性線材12と導電性線材13との間に短絡
(インピーダンスの不整合)が生じているものとする。
【0131】この状態において、ネットワークアナライ
ザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力され
ると、該高周波信号Shは、方向性結合器32により高
周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分岐される。そ
して、高周波信号Sh1がネットワークアナライザ30
の入力端子30bに入力されるとともに、高周波信号S
h2は、導電性線材12の一端12aに入力された後、
導電性線材12を伝搬する。
【0132】そして、高周波信号Sh2は、障害点Hに
おいて反射され、反射信号Srとして導電性線材13を
伝搬した後、ネットワークアナライザ30の入力端子3
0cに入力される。これにより、ネットワークアナライ
ザ30は、上述した動作と同様にして、高周波信号Sh
1および反射信号Srの波形を得た後、該波形に基づい
て、障害点Hの位置を特定するとともに、反射信号Sr
が入力されていることから、障害点Hにおいて短絡(イ
ンピーダンスの不整合)が発生しているものと判定す
る。ここに、障害点Hを特定する手順は、上述の第三の
実施の形態による構造部材の健全性モニタリングセンサ
ーM3における手順と同様である。
【0133】なお、この実施の形態による構造部材の健
全性モニタリングセンサーM4においては、導電性線材
12、13として、上述の第一の実施の形態における
(a)ないし(c)項に示すものを用いるようにしても
よい。また、導体4としては、上述の第一の実施の形態
における(d)ないし(h)に示すものを用いるように
してもよい。さらに、導電性線材12、13の形状は、
図5(a)または(b)に示した形状のいずれであって
もよい。また、導電性線材12,13と導体4の配置
は、図6(a)から(c)に示すもののいずれであって
もよい。
【0134】また、上述したような基礎杭10の健全性
の判定方法に加えて、テスタ7において観測される導体
4の抵抗値の変化により、導体4に引張あるいは圧縮荷
重のいずれかが作用しているかを判断するようにしても
よく、この場合には、より精度の高い計測が可能とな
る。また、この第四の実施の形態において、導電性線材
12、13のいずれか一方と導体4との間において短絡
が生じているか否かの測定を、上述の導電性線材12,
13間において短絡が生じているかを判定する場合と同
様の手順で行うようにしてもよい。これにより、モニタ
リングの精度をさらに向上させることが可能である。
【0135】[第五の実施の形態]図10に示すもの
は、本発明の第五の実施の形態における構造部材の健全
性モニタリングセンサーM5を示すものである。この構
造部材の健全性モニタリングセンサーM5においては、
先に示した第三の実施の形態の構造部材の健全性モニタ
リングセンサーM3において、導電性線材12,13に
代えて、スイッチ33、方向性結合器34、方向性結合
器35および導電性線材18が設けられた構成とされて
いる。
【0136】スイッチ33は、高周波信号Sh2を方向
性結合器34または方向性結合器35のいずれかへ出力
するための切り替えスイッチである。このスイッチ33
の可動片33eおよび可動片33fは、図示しない制御
装置または手動によって、端子33bおよび端子33d
側、または端子33a側および端子33c側のいずれか
に切り換えられる。また、端子33bおよび端子33c
は、パワースプリッタ31の分流抵抗R2の他端に接続
されている。
【0137】方向性結合器34は、図9に示す方向性結
合器32と同一構成とされており、その端子34aが可
動片33eに、その端子34bが導電性線材18の一端
18aに、その端子34cがネットワークアナライザ3
0の入力端子30cに各々接続されている。この方向性
結合器34は、端子34aに入力される高周波信号Sh
2を端子34bへ出力するとともに、端子34bに入力
される反射信号Sr(または透過信号St)を端子34
cへ出力するという機能を有している。
【0138】導電性線材18は、図中に示すように、そ
の中央部が折り曲げられた略U字状に形成されており、
その一端18aおよび他端18bが基礎杭10の杭頭1
0a側に配置されるとともに、中央部が杭先端部10b
に至るように配置されている。また、導体4は、帯状に
形成されて導電性線材18に沿うように設けられ、なお
かつ、基礎杭10の杭頭10aから杭先端部10bまで
に至るように配置されている。
【0139】また、方向性結合器35は、方向性結合器
34と同一構成とされており、その端子35aが可動片
33fに、その端子35bが導電性線材18の他端18
bに、その端子35cがネットワークアナライザ30の
入力端子30dに各々接続されている。
【0140】上記方向性結合器35は、端子35aに入
力される高周波信号Sh2を端子35bへ出力するとと
もに、端子35bに入力される透過信号St(または反
射信号Sr)を端子35cへ出力するという機能を有し
ている。
【0141】次に、この構造部材の健全性モニタリング
センサーM5の動作について説明する。図10におい
て、今、導電性線材18に障害点18cが存在してお
り、かつスイッチ33の可動片33eおよび可動片33
fが端子33b側および端子33d側に各々切り換えら
れているものとする。
【0142】この状態において、ネットワークアナライ
ザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力され
ると、この高周波信号Shは、パワースプリッタ31に
より高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流され
る。そして、高周波信号Sh1がネットワークアナライ
ザ30の入力端子30bに入力される一方、高周波信号
Sh2は、分流抵抗R2、スイッチ33および方向性結
合器34を介して、導電性線材18の一端18aに入力
された後、導電性線材18を伝搬する。
【0143】そして、高周波信号Sh2の一部は、障害
点18cにより反射されて、反射信号Srとして、方向
性結合器34を介してネットワークアナライザ30の入
力端子30cに入力される。一方、高周波信号Sh2の
残りは、障害点18cを透過して透過信号Stとして方
向性結合器35を介してネットワークアナライザ30の
入力端子30dに入力される。
【0144】これにより、ネットワークアナライザ30
は、第四の実施の形態の構造部材の健全性モニタリング
センサーM4の動作と同様にして、高周波信号Sh1、
反射信号Srおよび透過信号Stの各位相特性および振
幅特性を得る。次に、ネットワークアナライザ30は、
高周波信号Sh1および反射信号Srの位相特性および
振幅特性に対して逆フーリエ変換を行い、図4(c)ま
たは図4(e)に示すものと同様の波形から、前述した
動作と同様にして、伝搬遅延時間tdを求め、これに基
づいて、図9に示す導電性線材18の一端18aから障
害点18cまでの距離を求める。
【0145】また、ネットワークアナライザ30は、反
射信号Srと透過信号Stとのレベル比より、障害点1
8c(基礎杭10)の状態を判定する。すなわち、CP
Uは、透過信号Stのレベルがゼロである場合、障害点
18cが完全に断線しているものと判定する。一方、ネ
ットワークアナライザ30は、反射信号Srのレベル
が、透過信号Stのレベルより大きい場合、障害点18
cの損傷等が大きいものと判定し、他方、この逆の場
合、障害点18cの損傷が小さいものと判定する。
【0146】また、今、スイッチ33の可動片33eお
よび可動片33fが、制御装置または手動により、同図
に示す状態から、端子33aおよび端子33c側に切り
替えられたものとする。この状態において、ネットワー
クアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Sh
が出力されると、高周波信号Shは上述した動作と同様
にして、パワースプリッタ31により高周波信号Sh1
と高周波信号Sh2とに分流される。そして、この高周
波信号Sh2は、分流抵抗R2、スイッチ33および方
向性結合器35を介して、導電性線材18の他端18b
に入力された後、導電性線材18を伝搬する。
【0147】そして、高周波信号Sh2の一部は、障害
点18cにより反射されて、反射信号Srとして、方向
性結合器35を介してネットワークアナライザ30の入
力端子30dに入力される。一方、高周波信号Sh2の
残りは、障害点18cを透過して透過信号Stとして方
向性結合器34を介してネットワークアナライザ30の
入力端子30cに入力される。これにより、ネットワー
クアナライザ30は、上述した動作と同様にして、他端
18bから障害点18cまでの距離を求めるとともに、
障害点18c(基礎杭10)の状態を判定する。
【0148】また、この際、導電性線材18に沿って導
体4が配置されるために、パルス信号SiおよびSsに
よる障害点18cの位置の特定、または、障害点18c
におけるひび割れ状況の把握を行うに際して、導体4に
より上記第一ないし第四のの実施の形態と同様の作用・
効果が得られることとなり、これにより、精度の高いモ
ニタリングが可能となる。
【0149】また、それに加えて、テスタ7において観
測される導体4の抵抗値の変化により、導体4に引張あ
るいは圧縮荷重のいずれかが作用しているかを判断する
こととすれば、より精度の高い計測が可能となる。
【0150】なお、この実施の形態による構造部材の健
全性モニタリングセンサーM5においては、導電性線材
18として、上述の第一の実施の形態における(a)な
いし(c)項に示すものを用いるようにしてもよい。ま
た、導体4としては、上述の第一の実施の形態における
(d)ないし(h)項に示すものを用いるようにしても
よい。さらに、導電性線材18の形状は、図5(c)ま
たは(d)に示した形状のいずれであってもよい。ま
た、導電性線材18と導体4の配置は、図6(a)から
(c)に示すもののいずれであってもよい。
【0151】また、上述したような基礎杭10の健全性
の判定方法に加えて、テスタ7において観測される導体
4の抵抗値の変化により、導体4に引張あるいは圧縮荷
重のいずれかが作用しているかを判断するようにしても
よく、この場合には、より精度の高い計測が可能とな
る。
【0152】また、この第五の実施の形態において、導
電性線材18と導体4との間において短絡が生じている
か否かの測定を、第一または第三の実施の形態において
導電性線材12,13間において短絡が生じているかを
判定する場合と同様の手順で行うようにしてもよい。こ
れにより、モニタリングの精度をさらに向上させること
が可能である。
【0153】以上、本発明の第一から第五の実施の形態
を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれ
ら第一から第五の実施の形態に限られるものではなく、
本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても
本発明に含まれる。
【0154】例えば、第一から第五の実施の形態におい
ては、基礎杭10に対してモニタリングを行う例につい
て説明したが、これに限定されることなく、モニタリン
グの対象は、他の構造物あるいは構造部材であってもよ
い。これらのうち、構造物については、RC造、SRC
造等を含めたコンクリート構造物の全てに適用可能であ
り、また、部材については、柱、梁、壁、スラブ等の
版、階段、杭などの基礎等、構造物の種々の部材や部位
に対して適用可能である。
【0155】また、導線12,13,18や導体4は、
必ずしも構造部材中に埋設されている必要はなく、構造
部材の表面に添付されたものであっても構わない。この
場合には、必要に応じて、樹脂や塗料を塗布するかある
いはプラスチックス等のシートを貼り付けるなどして、
センサを保護する。このような使用方法は、炭素繊維シ
ートによる既存構造物および構造部材の耐震補強が広く
行われるようになってきたので、その性能保証や性能確
認のためのモニタリング法として、非常に有効である。
【0156】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
構造部材が弾性ひずみの範囲内で引張荷重等を受けた
後、元の状態に戻ったとしても、上記弾性ひずみを受け
た時点で導線の繊維束の一部に破断が生じる。従って、
本発明によれば、このような場合に、過去の構造部材に
対して引張荷重等が加えられたということを判定するこ
とができるという効果が得られる。言い換えれば、本発
明によれば、構造部材の損傷状況を連続的にモニタリン
グ可能であるという効果が得られることとなる。また、
本発明によれば、センサとして従来の光ファイバに代え
て、導線を用いているため、構造部材がコンクリートか
らなるものであっても、耐久性が高い。また、本発明に
よれば、従来のもののように、導電性線材の中間点に複
数の端子を設けることなく、低コストでかつ簡易な構成
により構造部材の損傷箇所を特定することができる。そ
して、本発明においては、導線に沿って導体が配置され
るために、導線の伝達特性の把握が容易となるととも
に、導線に対する外部からの電気的な影響等を低減する
ことができ、精度の高いモニタリングが可能となる。さ
らに、請求項4から6に記載の発明によれば、高周波信
号を用いているため、この高周波信号の周波数に比例し
てモニタリングの分解能を向上させることができるとい
う効果が得られる。また、請求項7に記載の発明によれ
ば、導線による計測に加えて、導体自体の電気抵抗を測
定することで、より一層精度の高いモニタリングを実現
することができる。さらに、請求項8に記載の発明によ
れば、構造部材が損傷してひび割れ等が発生した場合
に、導体が、導線よりも先行して損傷し、これに伴い導
線周囲のインピーダンスに変化を及ぼすこととなる。こ
れにより、単に導線のみが構造部材中に配設されている
場合と異なり、導線の電気的特性に何ら変化を与えない
程度の微小なひび割れ等を、良好に検出することがで
き、精度の高いモニタリングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構造部材の健全性モニタリングセン
サーの基本的な構成を模式的に示す図である。
【図2】 図1に示す構造部材の健全性モニタリングセ
ンサーの動作を説明する図である。
【図3】 本発明の第一の実施の形態による構造部材の
健全性モニタリングセンサーの具体的構成を示す図であ
る。
【図4】 図3に示す構造部材の健全性モニタリングセ
ンサーの動作を説明する図である。
【図5】 本発明の第一ないし第五の構造部材の健全性
モニタリングセンサーにおいて用いられる導電性線材の
形状の例を示すための図である。
【図6】 本発明の第一ないし第五の構造部材の健全性
モニタリングセンサーにおいて用いられる導電性線材お
よび導体の配置例を示すための図である。
【図7】 本発明の第二の実施の形態による構造部材の
健全性モニタリングセンサーの具体的構成を示す図であ
る。
【図8】 本発明の第三の実施の形態による構造部材の
健全性モニタリングセンサーの具体的構成を示す図であ
る。
【図9】 本発明の第四の実施の形態による構造部材の
健全性モニタリングセンサーの具体的構成を示す図であ
る。
【図10】 本発明の第五の実施の形態による構造部材
の健全性モニタリングセンサーの具体的構成を示す図で
ある。
【図11】 本発明における課題を解決するための手段
を示すための図であって、(a)は、導線とこれに沿っ
て配設された導体とが埋設された構造部材を示す断面
図、(b)は、導線のみが埋設された構造部材を示す断
面図である。
【図12】 本発明における課題を解決するための手段
を示すための図であって、(a)、(b)は、それぞ
れ、図11(a)、(b)に示した導線の周囲において
ひび割れ近傍の電気的特性が何によって規定されている
かを示した図である。
【符号の説明】
M,M1,M2,M3,M4,M5 構造部材の健全性モニ
タリングセンサー 1 パルス信号発生器 Si,Ss パルス信号 Sri3,Srs3 Sri3’,Srs3’Sr,S
r’反射信号 2,12,13,18 導電性線材 2a,12a,13a,18a 一端 2c,12c,13b,18b 他端 12b,18c 障害点 4 導体 7 テスタ 3,15 オシロスコープ Sti1,Sts1,St 透過信号 10 基礎杭(構造部材) 30 ネットワークアナライザ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 清 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 稲田 裕 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 杉田 稔 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 Fターム(参考) 2F063 AA01 AA30 BA14 BD07 CA13 DA02 DA05 DD08 FA00 FA14 FA18 FA20 PA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造部材の内部または表面に対して配設
    された導電性を有する導線と、 該導線に沿って近接配置された導電性を有する導体と、 前記導線の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給
    手段と、 前記パルス信号および前記導線の一端より出力される反
    射信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定する
    とともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段
    とを備えて構成されていることを特徴とする構造部材の
    健全性モニタリングセンサー。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の構造部材の健全性モニタ
    リングセンサーであって、 前記構造部材には、少なくとも一対の前記導線が、同方
    向に延在するように、なおかつ、互いに近接するように
    配置され、 前記パルス信号供給手段は、前記一対の導線の少なくと
    も一方に対して、その端部より前記パルス信号を供給す
    る構成とされ、 前記判定手段は、前記パルス信号、前記導線の一方の端
    部より出力される第一の反射信号、および、前記導線の
    他方の端部より出力される第二の反射信号に基づいて、
    前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造
    部材の損傷状態を判定する構成とされていることを特徴
    とする構造部材の健全性モニタリングセンサー。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の構造部材の健全
    性モニタリングセンサーであって、 前記判定手段は、前記パルス信号、前記導線の一端より
    出力される反射信号、および前記導線の他端より出力さ
    れる透過信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特
    定する構成とされていることを特徴とする構造部材の健
    全性モニタリングセンサー。
  4. 【請求項4】 構造部材の内部または表面に配設された
    導電性を有する導線と、 該導線に沿って近接配置された導電性を有する導体と、 該導線の一端へ高周波信号を入力する高周波信号供給手
    段と、 該高周波信号供給手段、および該導線の一端より出力さ
    れる反射信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特
    定するとともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判
    定手段とを備えて構成されていることを特徴とする構造
    部材の健全性モニタリングセンサー。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の構造部材の健全性モニタ
    リングセンサーであって、 前記構造部材には、少なくとも一対の前記導線が、同方
    向に延在するように、なおかつ、互いに近接するように
    配置され、 前記高周波信号供給手段は、前記一対の導線の少なくと
    も一方に対して、その端部より前記高周波信号を供給す
    る構成とされ、 前記判定手段は、前記高周波信号、前記導線の一方の端
    部より出力される第一の反射信号、および、前記導線の
    他方の端部より出力される第二の反射信号に基づいて、
    前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造
    部材の損傷状態を判定する構成とされていることを特徴
    とする構造部材の健全性モニタリングセンサー。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の構造部材の健全
    性モニタリングセンサーであって、 前記判定手段は、前記高周波信号、前記導線の一端より
    出力される反射信号、および前記導線の他端より出力さ
    れる透過信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特
    定する構成とされていることを特徴とする構造部材の健
    全性モニタリングセンサー。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の構造
    部材の健全性モニタリングセンサーであって、 前記導体には、少なくとも二以上の端子が接続され、 該端子には、これら端子間の抵抗値を測定する抵抗測定
    手段が接続されていることを特徴とする構造部材の健全
    性モニタリングセンサー。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の構造
    部材の健全性モニタリングセンサーであって、 前記導体の破断伸びは、前記導線の破断伸びよりも小と
    されていることを特徴とする構造部材の健全性モニタリ
    ングセンサー。
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