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以下の文章は、電子フロンティア財団の「Congress Should Give Up on Unconstitutional TikTok Bans」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

市民のデータ保護を口実にTikTokを禁止せんとする議会の根拠なきプランが、今度は新法案「外国敵対者管理アプリケーションからアメリカ人を保護する法律」(H.R. 7521)という名前で復活し、議会内で危険なほどの勢いを見せている。この超党派の法律は、つい1週間前に提出されたばかりだが、今週末の採決を経て上院に送られる見通しとなっている。

1年前、全米のデジタルライツ支持者たちは、「TikTok禁止」法案として知られる連邦法のRESTRICT法案の阻止に成功した。今回の法案も再び廃案に追い込まなければならない。

H.R. 7521はまず、Tiktokに対し、180日以内に敵対国に本拠地を置かない新たなオーナーを見つけるよう求めている。見つからない場合にはBANされる。また同法は大統領に、米国に敵対的とみなされる国家の管理下にあるアプリケーションを安全保障上の脅威として指定する権限を与える。脅威とみなされた場合、当該アプリケーションは180日以内に敵対国との関係を絶たない限り、アプリストアやウェブホスティングからBANされる。法案は、アプリストアやその他ウェブサービスを通じたアプリの配布、企業による当該アプリのメンテナンスも犯罪化している。最終的には、Tiktokの利用が全国的に禁止されるか、アプリの売却を強制されることになる。

この法案はTiktokを標的としたものであることは間違いない。だがその影響はTiktokだけにとどまらない。テンセントのWeChatアプリは10億人以上のユーザを抱える世界最大級のメッセンジャープラットフォームで、中国系の人々にはなくてはならないコミュニケーションツールとなっている。当然WeChatアプリも標的となるだろう。

法案提出者たちは、アプリ運営会社が膨大な個人データを収集し、そのデータは(理屈の上では)外国政府と共有されることから、国家安全保障上の脅威だと主張している。だがRESTRICT法と同様、この法案もこの種のデータ共有の歯止めにはならず、むしろ我々のオンラインでの権利を蝕むものとなる。この法律が施行されようと、ユーザのデータは変わらず(売却後のTiktokを含む)多数のプラットフォームに収集され、そのデータは変わらずデータブローカーに販売され続けるのだから。

この強固なエコシステムを絶つ唯一の解決策は、データ収集を禁止することだ。つまるところ、敵対国はソーシャルメディア企業によるデータの収集・保持・販売が禁止されない限り、ソーシャルメディアが収集した我々のデータを入手できる。さらに強調しておきたいのは、現在の貧弱なデータプライバシー法の下では、すでに国内において多数の敵対者たちが操作的かつ侵襲的なデータ収集に従事している。だからこそEFFは包括的な消費者データプライバシー法を支持し続けているのである

さらに、議会はこの法案の根拠として、Tiktokのアルゴリズムによって若者たちが反米プロパガンダにさらされていると主張する。先週、EFF、ACLU、CDT、Fight for the Futureの4団体は下院エネルギー・商業委員会に書簡を送り、法案が憲法修正第1条に違反するものであり、とりわけ情報アクセス、アドボカシー、遊び、コミュニケーションのためにTikTokを利用している米国市民の権利を損なうものであることから、この法案に反対するよう要請した。米国はこれまで、他国が特定のソーシャルメディア・プラットフォームの利用を禁止したり、禁止を求めたりした場合、当然ながら非難する立場を取ってきた

このような法律に異を唱えているのは市民社会だけではない。昨年末、司法はモンタナ州のTiktok禁止法であるSB 419の2024年1月1日からの施行を差し止めた。ユーザの言論の権利、情報アクセスの権利、そして同社によるユーザコンテンツの選択・キュレーションという修正第1条の権利を同法は侵害するとの判決を下したのである。この訴訟は、モンタナ州に住むTiktokユーザのグループが起こしたもので、EFFとACLUはこの法律への異議申立を支持する法廷助言書を提出した。

モンタナ州の禁止法は過去に例のない違憲の法律であり、地裁がこのことを認め、言論の自由を支持し、その施行を差し止めたことを喜ばしく思っている。州の禁止法と同様に、米国政府はこの連邦禁止法が“厳密に定められている(narrowly tailored)”ことを示せてはいない。したがって、違法な検閲の脅威でおどして企業の資産売却を強要することは許されない。

議会は、この過剰かつ見当違いな法案を可決するのではなく、どこの企業であろうと、我々の詳細な個人データを大量に収集することを防ぐべきだ。そのデータが、データブローカーや米国政府機関、果ては中国をはじめとする敵対国にまで提供されているのだから。無数の米国市民の口をふさぐための法律の議論に時間を浪費すべきではない。今こそ、議会は制御不能なプライバシー侵害という真の問題に向き合い、包括的な消費者データプライバシー法を制定すべきなのだ

Author: Jason Kelley and Paige Collins / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: March 12, 2024
Translation: heatwave_p2p