地球の1日は約24時間だ。それなら約24時間のあいだに地球のすべての地域が元旦を迎えられそうだが、実際はそうなってはいない。なぜか。
原因は、1日の始まりと終わりを決める「国際日付変更線」の紆余曲折だ。日付変更線の概念は1884年、鉄道の発達と国をまたぐ移動の増加に伴い、国際秩序をつくる会議で導入された。国際日付変更線は、太平洋の真ん中を南北に貫く180度経線にほぼ沿っている。英国グリニッジを通る本初子午線から地球を半周した真裏の位置にある。
国際日付変更線のどちら側に位置するかは、各国が自由に決定できるため、結果として、国際日付変更線は北極と南極をジグザグに結んでいる。
さらに混乱を助長している要因は、各国が独自に時間を設定していることだ。現在、全世界で38の現地時間が使用されており、協定世界時(UTC)から1時間ではなく、30分や45分単位でずれているところもあると、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のコンピューター科学者ポール・エッガート氏は話す。エッガート氏は権威あるデータベース「Time Zone Database」の管理者だ。
エッガート氏によれば、地球上のすべての居住地で新年が始まるのにかかる時間は25時間だという。
新年を最初に祝う国
新年を最初に祝う陸地は、中部太平洋でライン諸島を形成するクリスマス島とほぼ無人の10の環礁だ。クリスマス島はキリバス共和国を構成する33の島の一つ。米国ハワイ州のほぼ真南に位置し、同じ経線上にあるが、丸一日早く新年を迎える。
そうなったのは比較的最近だ。かつて国際日付変更線はキリバスを通っていた。つまり、キリバスの最西端の島にいるか、最東端の島にいるかによって、日付が異なっていた。
しかし、1995年、すべての島が同じ日時になるよう、キリバスは日付変更線を移動した。そしてその結果、新しい千年紀を最初に祝おうと、キリバスに旅行者が押し寄せた。
新年を最後に祝う国
新年を最後に祝う居住地は、キリバスの南西に位置する南太平洋のニウエと米領サモアだ。厳密には、北太平洋にある米国領のベーカー島とハウランド島が1時間遅れで1日を終えるが、どちらも無人島だとエッガート氏は説明する(そもそも日付が変わるのを確かめる人がいないのであれば、そこで日付が変わったと言えるのだろうか?)
また、近くのサモア(米領サモアではない)はかつて、新年を最後に迎える国の一つだった。2011年に貿易相手国のオーストラリアやニュージーランドに合わせるため、時間帯の変更を決定するまでは。この変更により、サモアは国際日付変更線を飛び越え、新年を最初に祝う国の一つになっている。