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「人生のたそがれ」を生きるのに困惑する男たち

石蔵文信・大阪大学招へい教授
 
 

 最近60歳を過ぎたシニアの芸能人の方が命を絶つ報道がありました。芸能人ですから定年はありませんが、どうしても60歳を過ぎてくると以前よりも仕事が減り、活動性も落ちてくるのは我々と同じでしょう。

 数少ない情報から、お二人ともうつ状態であった事は推測できます。適切な医療機関に通院されていたかどうかは不明ですが、不眠等を飲酒などでごまかしていたようです。

受診のハードルを下げるには

 精神科の先生には失礼ですが、一般人でもなかなか診察にはハードルが高い診療科だと思います。まして顔が知れた芸能人の方が一般の精神科を受診されるのにはかなりの勇気がいることでしょう。

 そのために一般の方よりも受診が遅れる可能性は大いにあると思います。精神科だけでなく、一般診療科でも、受診する患者さんが多く、待合室で顔を合わすことは当たり前にあります。

 私が米国留学で感じたのは患者さんのプライバシーを大事にすることです。予約をしっかりと取り、待合室も広く患者さん同士がほとんど顔を合わさないという構造になっています。

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。