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価格.com 家電トレンド研究所

花粉シーズン到来で空気清浄機のニーズが変化! 注目は集じん性能にすぐれるダイキンとAirdog

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第55回は、花粉症の対策アイテムとして、今シーズンは特に注目が高まっている空気清浄機の最新トレンドについて解説する。

例年よりもピーク時期が長く続いている今シーズンの空気清浄機

【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

空気清浄機といえば、花粉対策のイメージを思い浮かべる人は多いだろう。となると、需要期はやはり春先なのでは、と思いがちだが、実際、価格.comの「空気清浄機」カテゴリーにおける閲覧者数推移を見ると、それよりもやや前倒しの年末あたりにピークを迎えることが多いことがわかる。図1は、過去3年における同カテゴリーの閲覧者数推移を示したものだが、この3年とも需要のピークは11月ないしは12月となっており、逆にスギ・ヒノキの花粉が多く飛散する2~3月にかけては需要が減っている。

この理由としては、最近の空気清浄機の多くが加湿機能を搭載する「加湿空気清浄機」であることが大きい。単純な花粉などのアレルゲン除去だけでなく、風邪やインフルエンザの予防として加湿も含めた冬場の総合的な健康対策として、気温が下がってくる11~12月にかけて需要が高まるためだ。もちろん、加湿空気清浄機は、その後の春先にも花粉対策としてそのまま使えるので、冬の初めに買っておけば、冬から春にかけての室内の空気環境を良好に保てるということになる。

【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去半年)

【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去半年)

ただ、今シーズンの状況を見てみると、やや異なる傾向が見て取れる。図2は、価格.com「空気清浄機」カテゴリーの直近半年の閲覧者数推移を示したものだが、昨年11月と12月にそれぞれ需要のピークを迎えているのは例年通りであるが、比較的需要が落ちやすい1月になっても、今年はそれほど需要が落ちていない。むしろ11月よりも閲覧者数が多く、例年より需要が長めに続いていることを示している。

この理由として考えられることは2つ。ひとつは、今シーズンは年末年始にかけてインフルエンザが全国的に猛威を振るった。そのため、特に12月の年末に大きく需要が伸びたが、その影響が1月も残ったこと。そしてもうひとつは、例年よりも大量かつ早期に飛散するという予報が出ているスギ・ヒノキ花粉への対策として、1月以降に新たに空気清浄機の需要が増したことである。このことについて、以降でより詳しくデータをひもといてみよう。

1台2役の加湿空気清浄機から、強力な集じん機能を有する専用機への人気シフトが強まる

【図3】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要メーカー別の閲覧者数推移(過去3年)

【図3】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要メーカー別の閲覧者数推移(過去3年)

図3は、過去3年における、価格.com「空気清浄機」カテゴリーの主要メーカー別に見た閲覧者数推移を示したものだ。これを見ると、シャープが圧倒的に強く首位を維持。続いて2位がダイキン、3位がパナソニックという上位3メーカーはほとんど変わらないで推移しているが、そのパナソニックにAirdogがかなり迫っていることがわかる。Airdogは、テレビCMなどでもおなじみのパワフルさを売りにする高級空気清浄機だが、コロナ禍で室内の空気環境に対して多くの人が敏感になったのを機に、大きく支持を伸ばしている。コロナ禍ほどの勢いはないが、それでも国内3位のパナソニックに肉薄するくらいの人気を安定して得ている。

また、首位のシャープは、確かに他社に比べると圧倒的なシェアを維持してはいるものの、他メーカーに比べると、1月の落ち込みが大きいことがわかる。価格.comの「空気清浄機」カテゴリーにおいて人気となっている同社製品の顔ぶれを見ると、比較的値段の安いエントリーモデルを中心に、加湿空気清浄機の型落ちモデルが多い。これに対して、他メーカーの人気モデルは、比較的パワフルな空気清浄機能を持った上級モデルが中心。この違いが、主に花粉対策で購入される1月の空気清浄機の需要に大きく影響していると言えそうだ。

【図4】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要メーカー別の閲覧者数推移(過去半年)

【図4】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要メーカー別の閲覧者数推移(過去半年)

上記のグラフの直近半年だけを取り出したのが、図4だ。首位のシャープは他メーカーに先駆けて11月後半に大きなピークを迎えているが、これが上述した加湿空気清浄機の需要の山となる。その後は年末にかけてややピークアウトしていっているが、年末に2つ目のピークを迎える。これが、今シーズン猛威をふるったインフルエンザ対策としての需要だ。ただし、その後はかなり激しく需要が右肩下がりとなっており、他メーカーとはやや対照的な動きを見せている。

これに対して、比較的安定した需要を保っているのがダイキン、パナソニック、Airdogの3メーカーだ。ただし、この3メーカーはいずれも強みとしている製品のキャラクターが異なっている。ダイキンは、同社製品に多く採用される静電フィルター(TAFUフィルター)や、内部除菌機能「ストリーマ」などによって、国内3メーカーの中では空気清浄機能に秀でている部分があり、花粉の除去などを重視するユーザーに高く支持されている。いっぽうのパナソニックは、現在空気清浄機よりも空間除菌脱臭機「ジアイーノ」のほうがむしろ人気で、花粉対策というよりはウイルス対策、ニオイ対策として求められる傾向が強い。そのため、1月のピークアウトは3社の中ではやや大きめだ。最後のAirdogは、加湿機能のない純粋な空気清浄機で、強力な空気吸い込みと、静電式の集じんフィルターなどによって、花粉やホコリ、ウイルスなどを強力に除去できるということから、昨今人気を得ている。

これらのことから見えてくるのは、11~12月の加湿空気清浄機の需要期では、価格の安いモデルがそろっているシャープが人気だが、1月以降は、花粉などの集じん性能にすぐれるダイキン、Airdogの人気が高まる傾向にあり、パナソニックは主にジアイーノのウイルス除去機能に期待する人が多く、この流れにはあまり当てはまらないということだ。

【図5】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要製品別の閲覧者数推移(過去半年)

【図5】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要製品別の閲覧者数推移(過去半年)

さらに、人気のモデル別に今シーズンの閲覧者数推移を示したのが図5だ。これを見ると、上記の傾向がより明らかになるが、シャープの加湿空気清浄機の2023年版エントリーモデル「KC-S50-W」が昨年11月くらいから人気で、年末には大きな人気のピークを迎えた後、急激にピークアウトしている。ただ、同じシャープでも、今シーズンは高性能モデルの最新機種「KI-TX75」が高い人気を得ており、特に年明けから高い人気となっている。これが今期のシャープの人気ピークアウトをある程度緩和した側面もある。

いっぽう、ダイキンの中核モデル(加湿機能なし)「MC555A-W」は、インフルエンザの感染拡大が顕著になった12月くらいから人気となり、その後も一定の人気を維持し続けている。Airdogの「Airdog X5D」は販売価格で15万円ほどもする高級機だが、大きなピークはないものの、一定の人気をずっと維持しているという状況だ。

以前の記事でも紹介したが、コロナ禍以降、空気清浄機に求める性能の重み付けが変わってきており、加湿も集じんもできるが、いずれも中途半端になりがちな加湿空気清浄機から、集じん性能にすぐれ、お手入れも楽な加湿機能なしの空気清浄機専用モデルに、一部で人気がシフトしつつある。さらに今シーズンについては、スギ・ヒノキの花粉の飛散量が例年よりもかなり多いという予報から、1月以降、集じん性能にすぐれた高性能モデルの人気が高い。一時期は、1台で加湿も集じんもという加湿空気清浄機が人気の中心だった空気清浄機市場も、ここへ来て、必要な人にはより高性能な専用機のほうが求められるようになってきていると言えるだろう。

※当記事のデータは、「価格.com DataCompass」を使って作成しています。
価格.com DataCompass」とは、価格.comのビッグデータを基に購入検討ユーザーの動向を分析できる法人向けのマーケティングサービスです。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する空気清浄機5選

※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2025年2月4日 時点のものです

シャープ「KI-SS50」

KI-SS50

価格.com最安価格:34,218円
発売日:2023年9月
ユーザー満足度・評価:★4.82(4人)
最大適用床面積:23畳

シャープの加湿空気清浄機の中堅モデル。同社の製品では価格の安いエントリーモデルが人気だが、本モデルのほうが、搭載するプラズマクラスター機能が高く(プラズマクラスター25000)、加湿量も多い(600mL/h)など、性能が高い。2層構造の加湿フィルターを採用することで、コンパクトなボディながら加湿量を増やし、しかも低騒音で動作するのも特徴だ。

ダイキン「MC555A-W」

MC555A-W

価格.com最安価格:38,409円
発売日:2024年9月
ユーザー満足度・評価:★4.29(5人)
最大適用床面積:25畳

ダイキンの中核モデル。加湿機能を廃することで高さを抑え、圧迫感のないコンパクトなボディを実現。空気清浄機能としては、静電フィルターの「TAFUフィルター」を採用するほか、同社独自の内部除菌機能「ストリーマ」を搭載し、フィルターでとらえた物質を分解・除去できるため、目詰まりが起こりにくいのが特徴。1年中飛散する全国の16種類の花粉を無力化できるとしている。

ダイキン「MCK505A-W」

MCK505A-W

価格.com最安価格:35,500円
発売日:2024年9月
ユーザー満足度・評価:★--(0人)
最大適用床面積:22畳

上記「MC555A-W」の姉妹モデルで、こちらは加湿機能あり。やや背が高いトールボディだが、設置面積は小さく、コンパクトに収まる。加湿量は460mL/hで、雑菌は繁殖しやすい水回りにも内部除菌機能「ストリーマ」を照射することで、清潔に保てるのが特徴だ。吸水タンクが取り外ししやすい上方にあるのも使いやすい。最大風量は「MC555A-W」より若干低いが、そのほかのストリーマ機能や対応センサーなどはほぼ同等となる。

シャープ「KI-TX75」

KI-TX75

価格.com最安価格:82,800円
発売日:2024年9月12日
ユーザー満足度・評価:★4.62(3人)
最大適用床面積:34畳

シャープの最新式の高性能・加湿空気清浄機。室内にただよう粒子数を見える化する「AIモニター」を搭載し、過去30分の1Lあたりの粒子数の変化を表示。色と数字でわかりやすく表示するため、お部屋の空気の状況が直感的に把握できる。また、この情報に合わせて、11段階で細かく風量を制御するため、むだがなく、適切な空気清浄が行える。加湿機能では、900mL/hの大容量加湿を実現。クエン酸で加湿フィルターを自動洗浄する機能も搭載しており、お手入れの手間が省ける。高濃度の「プラズマクラスターNEXT」も搭載し、最先端の機能・性能を手に入れられる。

Airdog「Airdog X5D」

Airdog X5D

価格.com最安価格:146,300円
発売日:2022年9月29日
ユーザー満足度・評価:★3.96(12人)
最大適用床面積:24畳

「世界最強レベル」をうたう高性能空気清浄機。加湿機能はない。30分で65㎡分の空気を清浄できる吸気性能を持ち、静電フィルターの「TPAフィルター」によって、浮遊物質を強力に除去。ウイルスレベルの0.1マイクロメートル以下の物質も除去できるとしている。さらに、集じんフィルターは水洗い可能で、交換の必要がないため、導入コストは高いが、ランニングコストは安いという特徴もある。室内の二酸化炭素濃度を測るCO2センサーも搭載。室内の汚れは前面パネルに数字と色でわかりやすく表示される。

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鎌田 剛(編集部)
Writer
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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北島圭介(編集部)
Editor
北島圭介(編集部)
出版社で10数年、編集者として経験を積み、2022年にカカクコム入社。家電製品から文房具など、さまざまな商品を検証するモノ雑誌の編集経験を生かし、価格.comマガジンで生活家電を中心に気になる製品をレビューしている。
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