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選び方・特集

かゆいところに手が届く! 意外な“便利装備”を持つ4車を紹介

購入するときにはあまり重視していなかったけれど、実際に使ってみたら便利すぎて手放せなくなったり、「あってよかった……!」と痛感したりするクルマの装備があるものです。

自動車の開発現場では、ユーザーがどんなところに不満を持っているのか、改善を期待しているのか、小さな声にも耳を傾け、アイデアを練って試行錯誤しながら実現している便利装備たち。今回は、従来の不満を大幅に解消するものや、「その手があったか!」とうならされる装備があるクルマをご紹介します。

【1】ノア/ヴォクシー(トヨタ)
フリーストップバックドア

大きく重いバックドアを好きな角度で止められる!

まずはトヨタのミドルクラスミニバン「ノア」「ヴォクシー」に搭載されている、「フリーストップバックドア」です。多くのミニバンユーザーが使いにくいと感じていた部分を、日本古来の技術に目を向けて、見事に改善している装備です。

大人気のトヨタ製ミドルクラスミニバン「ノア」(左)と「ヴォクシー」(右)

大人気のトヨタ製ミドルクラスミニバン「ノア」(左)と「ヴォクシー」(右)

背の高いミニバンのバックドアはとても大きく、全開にするためには多くのスペースを要します。そのため、後ろに壁や他車が隣接している駐車場では、バックドアを全開にするために車両を前に出す必要がありました。取り出したいのは小さな荷物なのに、そのためにわざわざクルマを前に動かすなんて……と、面倒に思った人は多いはずです。

しかも、小柄な人や力の弱い人は、大きなバックドアを開けるのは重労働。それを何とか解消したいと、知恵を絞って生まれたのが「フリーストップバックドア」なのです。

その時々の必要に応じて、好きな角度でバックドアを開けます

その時々の必要に応じて、好きな角度でバックドアを開けます

開発者に聞いたところ、開けたい角度は場面によって変わるため、好きな角度でバックドアを止められるようにしたかったそうです。電動のパワーバックドアはもちろん、手動のタイプでも同じように任意の角度で止められるようにするにはどうすればよいのか、かなり頭を悩ませたといいます。

その過程で思いついたのが、”巻き取り式のメジャー”のような構造を応用できないか? ということ。そうして完成した「フリーストップバックドア」は、止めたい角度になったら手でバックドアを軽く押し下げるだけで、ピタリと止まって保持できます。これなら、狭い場所でも少しだけ開けられるなど、使い勝手が飛躍的に向上します。

さらに、パワーバックドアが装備されているグレードなら、バックドアの横にあるスイッチを押すと開き、もう一度押すと止まるので、さらに便利。これは、アウトドアレジャーでラゲッジを使う際なども、目隠しのために少しだけ開けて風通しをよくするような使い方もでき、用途が広がるのではないでしょうか。

「ノア/ヴォクシー」はそのほか、2列目シートのオットマンやシートヒーター、大きな折りたたみテーブルなど豪華な仕様があることや、3列目シートの跳ね上げ格納が片手ワンアクションで完了するなど、多くのミニバンユーザーの要望を実現しているところが魅力です。

1.8L+モーターのハイブリッドと2.0Lのガソリンモデルがあり、どちらも7人乗りと8人乗りを設定。「TNGAプラットフォーム」採用で走りの基本性能も格段にアップし、どんなシーンでも快適に使えるミニバンに仕上がっています。

【2】N-WGN(ホンダ)
二段ラックモード

上下に仕切れるラゲッジは、荷物の積み分けに便利!

2台目は、シングル世代から子育て世代にも使いやすいホンダ「N-WGN」から。毎日のお買い物をスムーズに、かつ便利にしてくれる「二段ラックモード」です。

「N-WGN」は、包み込むような座り心地のよいシートにこだわり、後席の足元も余裕たっぷりの広い室内が特徴です。視界も大きく確保しており、四隅のタイヤ位置がわかりやすいデザインで、運転しやすさも佳所。自然吸気エンジンとターボエンジンを設定しています。

「N-WGN」は収納スペースを多く持ち、日常使いにピッタリな軽ワゴン

「N-WGN」は収納スペースを多く持ち、日常使いにピッタリな軽ワゴン

この「N-WGN」、ハイトワゴンの軽自動車ということでもともと天井が高いのですが、ホンダ得意の低床技術を生かし、たっぷりと高さのあるラゲッジが特徴。しかし、ただ高さがあるだけでは、多くの人はなかなか使いこなせないのではないでしょうか。そこで、フロアボードの高さを変えて、上下で積み分けできるようにしたのが「二段ラックモード」。このモードは、“ボードの高さ”に秘密があります。

開発者に聞くと、休日のショッピングモールの駐車場などでクルマの使い方を長時間観察したところ、ショッピングカートに購入したものを載せて、そのままクルマのラゲッジの前につけて積み込みをしている人がとても多かったそう。そのときに、ラゲッジの高さとカートの高さに差があると、重い荷物やたくさんの荷物の積み替えが大変そうだったことから、「N-WGN」の二段ラックモードは、上段をショッピングカートの高さとほぼ同じにすることを思いついたのだと言います。

上段はショッピングカートとほぼ同じで、買ったものを積み込みやすい。下段には重い物などを積むのに便利

上段はショッピングカートとほぼ同じで、買ったものを積み込みやすい。下段には重い物などを積むのに便利

筆者も実際に使ってみましたが、カートから持ち上げた荷物をその高さのまま荷室にサッと移して積めるため、こんなにラクなのか! と驚いたほど。下段には、箱買いした水やビールといった重い荷物を、上段には食品など軽めのものを積むなど、整理して積み込めるのもポイントです。

【3】ルークス(日産)
プラズマクラスター技術搭載リヤシーリングファン

エアコンの風を後席にも!

3台目は、日産「ルークス」の装備。室内を、素早く快適な温度にできる「プラズマクラスター技術搭載リヤシーリングファン」です。

両側スライドドアを装備する「ルークス」は、乗り降りしやすいクルマ。前走車との適切な車間距離を保ったまま、アクセルやブレーキ、ハンドルの制御をして追従走行できる「プロパイロット」も選べるので、高速道路を使ったロングドライブ時にも安心。近所のチョイ乗りから遠くのレジャーまで活躍するスーパーハイトワゴンです。

後席が32cmも動くロングスライドにより、前席のすぐ近くまで移動できるので、チャイルドシートに乗せた小さな子どものお世話がしやすいです。

ファミリーユースに頼もしい「ルークス」

ファミリーユースに頼もしい「ルークス」

軽自動車の中でも、ミニバン並みに天井が高く、高級セダンもびっくりのゆとりの後席スペースを実現しているスーパーハイトワゴン。ファミリーのファーストカーとしても、子育て世代のセカンドカーとしても優秀な1台です。

しかし、コストやスペースの兼ね合いで、欲しい装備が付かないのもまた事実。この「ルークス」も、後席用のエアコン吹き出し口を持たないので、夏場の猛暑日などはエアコンを最強にしても後席まで冷えにくく、快適に過ごせないことが多くありました。

この「リヤシーリングファン」は、ちょうど天井の中央くらいに設置されており、後席に向けて送風できる装備です。インパネから吹き出したエアコンの風は、天井付近を通って後席に届くように設計されているので、この送風機能があれば、より早く後席に風を送れ、車内全体を快適な温度にしやすくなります。

天井から後席に風を送ります

天井から後席に風を送ります

開発者によれば、スーパーハイトワゴンのユーザーには、小さな子どもを乗せる人が多いそうです。子どもはそもそも体温が高く汗っかきで、よく動くために暑く感じるのに、後席には風がなかなか届かず文句を言われることが多いという声を聞き、何とかしたいと思ったのがきっかけなのだとか。

先代の「ルークス」からこの装備が搭載されましたが、風量を多くすると音が大きく車内がうるさくなってしまうところを、現行モデルでは改善。「プラズマクラスター技術」を採用したことで、ウイルス対策にも効果が高く、コロナ禍以降家族の健康を気遣うために室内の空気清浄を重視するユーザーからも好評を得ているとのこと。また、エアコンの効きがよくなるため、燃費アップにも貢献することでしょう。

【4】スペーシア(スズキ)
マルチユースフラップ

オットマンなど、3つの機能を使える後席

4台目は、新型となったばかりのスズキ「スペーシア」に搭載される、後席を3パターンにアレンジして快適に使える「マルチユースフラップ」です。

「スペーシア」は、大きく進化した走りの性能に加えて、使いやすくなった室内の収納スペースや、自転車が積みやすい工夫が光る大容量ラゲッジなど、魅力が多数。コンテナをモチーフにしたベーシックなデザインの標準モデルと、上質感のある「カスタム」があり、標準モデルにはマイルドハイブリッドが、「カスタム」にはそれに加えてターボエンジンが設定されています。

「スペーシア」は、軽スーパーハイトワゴンの中でもトップクラスを誇る高燃費や、後述する新機能「マルチユースフラップ」が特徴的なクルマです

「スペーシア」は、軽スーパーハイトワゴンの中でもトップクラスを誇る高燃費や、後述する新機能「マルチユースフラップ」が特徴的なクルマです

スーパーハイトワゴンは軽自動車の中でも、後席をひんぱんに使うユーザーが選ぶケースが多いのですが、コロナ禍の影響もあって、昨今は停車した車内で過ごす時間が増えたり、1人で移動して後席は荷物置き場になっていたりします。

そんなシーンで、もっと後席を便利に使えるようにしようというのが、座面の先端の形状を変えることで、3タイプに使える「マルチユースフラップ」。前方に最大120mm、30mmずつ4段階で引き出すことができ、角度が最大112度まで3段階に変えられます。

使い方のひとつめは、停車中に限りますが、オットマンとして足を伸ばしてリラックスする使い方。背もたれがリクライニングするので、センターアームレストに腕をのせて、ゆったりとした姿勢でくつろぐことができます。

座面から伸びているのがマルチユースフラップ

座面から伸びているのがマルチユースフラップ

2つめは、走行中に脚部を支えることで安定感をアップしてくれる、レッグサポートとしての使い方。使用時と未使用時で、乗員の着座時の体圧分布を測定したところ、使用時のほうが背中が背もたれに密着していることと、尻下の体圧がふくらはぎに分散しているという結果が出たとのこと(スズキ調べ)。乗車中の揺れや振動に対しての負担を減らしてくれます。
3つめは、フラップを最大角度に固定して、座面に置いた荷物の落下防止ストッパーとしての使い方。買い物かごや段ボール(2Lペットボトル6本分)、小型スーツケースなど、荷物の大きさに合わせてフラップの位置が変えられる配慮があり、急ブレーキや下り坂でも、後席に載せた荷物が転がり落ちにくくなっています。



以上、ユーザーになってから「あってよかった」と実感すること間違いなしの便利装備。購入時には、自分の使い方やライフスタイルに合った装備にも、ぜひ注目してみてくださいね。

まるも亜希子
Writer
まるも亜希子
2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。誰でも今日からできる交通安全応援プロジェクト「OKISHU(オキシュー)」でイベント等も開催。
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芝崎 瞬(編集部)
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芝崎 瞬(編集部)
自動車専門媒体からゴルフ専門メディアを経由し、価格.comマガジンへ。クルマは左ハンドルMTに限る! と思って乗り継いでいたが翻意して今は右AT。得意クラブは、強いて言えばミドルアイアン。
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