落ちこぼれ魔法師のトリマー

魔法力が弱くて魔法関係の仕事に就けなかったアレックスだが、ある日、アパートの大屋に、医師のチョココさんを紹介された。獣人の多く暮らすシャーロットタウンで、獣人専門のトリマーをしてくれと言うのだ。チョココさんの協力のもと、試行錯誤しながらトリミングを続けるアレックスは、やがて、人々に必要とされる存在へ成長していく。


長毛ヒト族の牝としては（笑）、ファンタジー世界に暮らす獣人たちが、日々のお手入れをどうしているか、気になっていました。
そうか～、こういう医院があるんですね～💕
種族も毛の長さも、抱えた事情もひとりひとり異なるお客さまに、親切に、丁寧に対応するアレックスの人柄に心をうたれました…続きを読む

　実社会では、「優しい」と「頑張っている」は褒め言葉ではないことが多いようです。特筆すべき結果を出していないから「優しい」という耳あたりのいい単語で形容され、目に見える成果がないから「頑張ってはいるらしいんだけどねえ」と陰口をたたかれる。文字通りの意味に解釈して喜んだら、周囲からますます白い目で見られていたりして……。

　そんな切ない環境に甘んじたことのある身には、「魔法師」として活躍したいと願いながら肝心の「魔法力」に恵まれないアレックス君が、気になってたまりません。実際、アレックス君は、魔法学校こそ何とか卒業したものの、就職活動は当然ながら全滅。
　一度は夢を諦めた彼のところに、わずか…続きを読む

魔法学校時代には落ちこぼれと笑われたアレックス君が、獣人専門のトリマーさんとして奮闘する異世界お仕事小説。

毛並みを整え爪を切る本来の業務だけでなく、町中のノミ退治や病気の予防・発見・お医者さんへの相談まで、幅広く街の獣人さんたちのために働く姿に心が温まります。

優しいキャラクターが活躍するほのぼのとした物語の中でも、社会はやはり矛盾を抱えています。読者の目をそんな矛盾に向けながらも、決して重くならず押し付けず、純粋にノンビリ楽しませてくれる本作はまさに名作。

ぜひ多くの方にオススメしたい作品です。

　夢を持ち、誠実にその道を積み重ねる。

　自分と向き合い、他人と習慣と向きあって生きるコト、知る事と踏まえる事、尊重する事、その大切さが伝わる物語！

　気遣いも過ぎると自分の事は二の次のになり、不幸で大変そうにも見える。
　でも、そんな人には寄り添って支えたいと思う人が必ず現れるもんだ！

　お幸せに～！

　おや？どうやら続編があるらしいぞ？

　続　落ちこぼれ魔法師のトリマー
　https://kakuyomu.jp/works/1177354054884023733

魔法学校をスレスレの成績で卒業し、その魔法力の弱さのため就職に苦労するアレックス君。魔法医師のチョココさんに提案されたのが獣人相手の「トリマー」。微弱な魔法しか必要としないお仕事ではあるけれども、アレックス君はクライアントさんに少しでも心地よく施術を受けてもらえるよう、創意工夫の毎日。それが報われて、お客さんもふんわりと笑顔に、街もほんわかと笑顔に、そして、読者もほんわりと笑顔に。

種類の異なる獣人さんに合わせたサービス、時にトラブルが発生しても、冷静に対処していくアレックス君。ド派手な魔法を使うわけでも何でもないけど、現実の社会でもいるよね、淡々とでも着実に経験値を積んで、気が付くと周囲…続きを読む

最初から最後までずっと主人公のほのぼのした優しさに包まれて、心地よくその世界に入り込めます。
登場人物は本当にいい人ばかりで癒されます。
ちょっと女心に鈍い主人公もまた可愛い。
根底にある動物の知識がしっかりとした土台となっているので、ほのぼのだけではない深い魅力があります。
読者も嬉しくなっちゃうハッピーエンド、いい人には幸せになって欲しいもんね。

動物に対する知識や勉強でしっかり固められた、本当に彼らの生活が垣間見られるような、そんな世界観で彩られた日常話。
トリマーとして、獣人たちが抱える様々な悩みや、人種では持たない特有のものをケアしていく主人公たちはとてもリアル。

激しい戦闘や展開に疲れた？　でも薄っぺらい設定や世界ではなく、異世界の生活に触れてみたい？　そんなあなたに。
シャーロット・タウンへようこそ――。

　内容としては主人公がトリマーとして獣人のお客様のケアをしたりシャンプーしたりという日常の話なのですが、主人公が獣人のお客様のケアをする様子が非常に細かく書かれています。

　このお客様はコレ、このお客様はコレ、と現実の日常でも良くある光景、それを細部まで意識しているのが伝わってくる作品。

　気軽に読めるので、是非手に取ってみてはいかがでしょう？