8月の寺島実郎の「世界を知る力」(東京MXテレビ)。
・テレビでの「講義」。
・「図メモ」。
・PLAUD NOTEによる「要約」。
・「文字起こし」。
世界情勢とアメリカ大統領選挙が日本と中東に与える影響ーーアメリカ大統領選挙 中東情勢 日本経済
📃 基本情報:日時: 2024-08-18
📝 概要
この講義では、1925年の日本初のラジオ放送から始まり、ベルリンオリンピック、日中戦争、真珠湾攻撃などの歴史的背景を経て、現代のオリンピックと世界情勢、特に2024年のアメリカ大統領選挙が日本と中東に与える影響について考察します。また、トランプとバイデンの動向、アメリカの人口動態、ホワイトナショナリズム、福音派プロテスタント、ガザの動向、アメリカの役割、民主主義と資本主義、アメリカ産業の未来、日本の対応など、多岐にわたるテーマを取り上げます。
1:アメリカ大統領選と世界情勢
ラジオ放送の歴史: 1925年に日本で初めてラジオ放送が始まり、1936年のベルリンオリンピックでラジオが重要な役割を果たした。オリンピックと戦争: 1936年のベルリンオリンピックの翌年に日中戦争が始まり、1941年の真珠湾攻撃へと繋がった。現代のオリンピックと世界情勢: 現在のオリンピックの熱気の中で、世界の複雑な動きに対して真剣に考える必要がある。
- 2024年のアメリカ大統領選挙が世界と日本にとって重要な選挙である。
- トランプとバイデンの動向: トランプの銃撃事件やバイデンの引退など、最近のアメリカ政治の動向について。
- カマラ・ハリスの可能性: カマラ・ハリスがワンダーウーマンになり得るかという視点での考察。
- トランプ主義と副大統領候補: トランプが副大統領候補に指名したバンスについて。
- バイデンの高齢化問題: バイデンの高齢化に対する民主党内部の不安とその影響。
- アメリカの人口動態: アメリカの白人人口の減少とマイノリティの増加について。
- ホワイトナショナリズム:アメリカの白人保守派の心理とトランプ支持の背景。
- アメリカの選挙地図: 赤いアメリカと青いアメリカの選挙地図。
- ユダヤ人の政治影響力: アメリカのユダヤ人の政治に対する影響力とその背景。
- 福音派プロテスタント: トランプの支持基盤である福音派プロテスタントについて。
- ガザの動向: ガザの動向がアメリカの大統領選挙に与える影響。
アメリカの役割: 21世紀の世界史におけるアメリカの役割についての議論。民主主義と資本主義。 アメリカにおける民主主義と資本主義のあり方について。アメリカ産業の未来。 ウォールストリートとシリコンバレーの制御について。
2:トランプ政権とその影響、中東情勢、日本の対応
トランプの人物像: トランプ前大統領の人物像とその背景について。1968年の若者の氾濫。 1968年の世界的な若者の氾濫とその影響。
- トランプの個人主義: トランプは徹底的な個人主義者であり、自分利害中心主義を持っている。
- トランプのディール: トランプの価値観はすべて取引(ディール)に基づいており、敵対者を脅かして取引を進める。
- 徴兵逃れ: トランプは自分の病気を理由に徴兵を逃れる努力をした。
- ウォルズ副大統領候補: ウォルズは愛国と誠実の白人のシンボルとして民主党の副大統領候補に選ばれた。
- アメリカの疲れ: トランプ現象はアメリカが世界を背負うことに疲れたことを象徴している。
- アメリカファースト: アメリカが世界の負担を減らし、自国優先の政策を取るようになった。
日本の対応: 日本はトランプ政権に対して集団的自衛権や核の共同管理などで対応している。核の共同管理。 日本は核の共同管理に踏み込むことで実質的な核武装の方向に進んでいる。
3:中東情勢
中東の不安定な状況について、特にイランの動きが注目されている。
- イランの改革派大統領: イランの改革派大統領ペゼシキアンが予想外に当選した。
- ハマスの暗殺: ハマスの最高幹部ハニアがイランで暗殺された。
- イランとイスラエルの対立: イランとイスラエルの対立が激化し、イランがイスラエルを攻撃する可能性がある。
日本の中東での役割: 日本は中東において独自の外交を展開し、和平に貢献する可能性がある。
4:株価の乱高下の本質: 日本の株価が乱高下し、経済に大きな影響を与えている。金価格の上昇: 金価格が他の資産に比べて大幅に上昇している。世界経済と日本経済の不安定性。
- 世界の不安と金: 世界が不安になると、人々は本能的に金に回帰する心理がある。
- 21世紀システムの宿命的な病: 21世紀の資本主義の動向として、金融不安が宿命的な病として存在する。ウォールストリートの肥大化。 冷戦後、ウォールストリートを中心とした金融資本主義が肥大化し、マネーゲームが横行している。
- アメリカの景気後退: アメリカの景気交代と政策金利の引き下げが、世界経済に影響を与えている。
- 世界の実質GDP: 2020年にコロナでマイナス成長となったが、2023年には3.2%のプラス成長が予想されている。
- 日本の経済問題: 日本の実質成長率が低く、経済の正常化が遅れている。
- 金融資産の肥大化: 金融資産が実体経済の10倍を超える規模に肥大化している。
日本
アベノミクスの異常性: アベノミクス型経済が異常であり、日銀の政策金利引き上げが正常化への一歩とされる。
円キャリーの巻き戻し: 日本の低金利を利用した円キャリー取引が巻き戻され、金融市場に影響を与えている。
金融政策の限界: 金融政策だけで経済を動かせるという考え方に誤りがある。
5:日本の針路:日本の産業構造
インバウンドや半導体工場だけで日本経済が蘇るかどうかは疑問であり、産業構造の見直しが必要。
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「名言との対話」8月18日。亀井俊介「拝米と排米の歴史」
亀井 俊介(かめい しゅんすけ、1932年8月14日 - 2023年8月18日は、日本の比較文学者、アメリカ文学者、アメリカ大衆文化研究者。享年91。
岐阜県中津川市出身。東大文学部英文科卒業。博士課程単位取得。1963年東大助教授、1984年東大教授。1993年退官、のち東京女子大、岐阜女子大の教授。アメリカ文学・文化、比較文学・文化を専攻し、アメリカの大衆文化に関心をよせる。
1971年「近代文学におけるホイットマンの運命」で学士院賞。1977年「サーカスが来た!」で日本エッセイスト・クラブ賞。1994年「アメリカン・ヒーローの系譜」で大仏次郎賞。著作はほかに「アメリカのイヴたち」「ハックルベリー・フィンは,いま―アメリカ文化の夢」など。
2007年には、「アメリカ産の日本詩人」のヨネ・ノグチ(野口米次郎)についての『ヨネ・ノグチ英文著作集』全6巻を刊行した。2015年、『有島武郎』で和辻哲郎賞。2017年、『日本近代詩の成立』で日本詩人クラブ詩界賞。
著作は多い。アメリカについては、性革命、マリリン・モンロー、アメリカン・ヒーロー、ニューヨーク、ヤンキー・ガールなど大衆文化に関する広いテーマで肉薄している。日本人についても、内村鑑三、夏目漱石、有島武郎、坪内逍遥など欧米との関係を考えた人物を取り上げている。野口米次郎についても深い研究がある。そして、アメリカと日本の交流に関するテーマが多い。
1978年刊行の『自由の聖地ーー日本人のアメリカ』を手にした。自由の聖地というイメージは刺激に満ちている。アメリカはファッション、音楽、ダンス、芸術、などによって、自由と解放感を与えてきた。亀井は日米関係を日本からみると、「拝米と排米の歴史」と総括している。崇拝から排除へと極端に振れる歴史がある。蜜月と衝突、親米と反米となり、バランスが悪いという。それは、外からアメリカのイメージを見ているからであり、アメリカの内なる現実への理解が必要だとの主張である。
最近では世界における圧倒的な存在であったアメリカの力が衰退しつつあることを我々は目撃している。大統領選での大きな混乱、中国との覇権争いでの余裕の無さ、ウクライナや中東での影響力の後退など。変化の激しいアメリカの内なる現実をよく理解せよという亀井俊介の主張は存在意義を失ってはいない。
参考:亀井俊介『自由の聖地ーー日本人のアメリカ』(研究社出版)