長い旅路の果てにたどり着いた小さな命
インド、キランラージ・K監督、164分
2022年、南インドで暮らすダルマは職場でも自宅の近所でも偏屈者として知られ、楽しみといえば酒と煙草とチャップリンの映画だけという孤独な男だった。
そんな彼の家に、悪徳ブリーダーのもとから逃げ出してきた一匹のラブラドールの子犬が住み着くようになる。
犬嫌いのダルマは何度も追い払おうとするが、やがて少しずつ心を通わせ、チャーリーと名付け自分の家に迎え入れる。やんちゃでイタズラ好きのチャーリーに振り回されながらも楽しい日々を送っていた。職場でも近所でも彼は生まれ変わったようだった。
ある日、医者に見せるとチャーリーが末期がんで余命わずかであることが判明。ダルマは雪が好きなチャーリーに本物の雪景色を見せるため、サイドカーにチャーリーを乗せてヒマラヤを目指す旅に出る。
インド各地の風景が見られるロードムービーだった。
旅は変化に富んでいた。悪徳ブリーダーを懲らしめ、チャーリーと一緒にハングライダーで空に舞い、動物愛護協会の女性と旅をし、愛犬家の男と出会い、雑誌社の取材を受け、ドッグショーに出演する。
インド映画らしい踊りはないが、全編に歌が流れてダルマの心の内を語り、ストーリーの説明をする。
長尺のインド映画が苦手でも犬好きの人なら気に入る作品だった。