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リンゴの形をしたキーホルダー 実はこれ…「もっと輪を広げたい」「素敵な活動」

By - エラチヒトシ  公開:  更新:

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ねぷた絵キーホルダーの写真

「弘前には『ねぷたまつり』という古くから続くお祭りがあります。

多い年で80台以上の山車(だし)が市内を練り歩くのですが、祭りが終わるとねぷたに使われた絵は破棄してしまうことが多いんです。

青森県弘前市の伝統行事にまつわる実情をそう語るのは、2021年から同市で暮らし始めた、漫画家の、ずくなし黒岩(@kurokuroyuyuyu)さんです。

全国的に有名な、ねぶた祭り。実は大きく分けて3種類あり、その中の1つであるねぷたまつりが毎年夏の時期に行われています。

ねぷたまつりは、弘前市で行われる『弘前ねぷたまつり』のほか、平川市の『平川ねぷたまつり』、黒石市の『黒石ねぷたまつり』があるとか。

ねぷたまつりで使われる山車の枠には、鏡絵や牡丹などを描いたねぷた絵が貼られるものの、毎年新調されるため再利用することはないそうで…。

余ったねぷた絵を活用して?

ねぷた絵ならではの魅力について「やはり絵の美しさです。勢いある筆使いから、細かい描き込み、大胆な彩色は目を見張るものがあります」と語る、ずくなし黒岩さん。

そんなねぷた絵を「なんとか残せないか、いろいろな人にこの美しさを伝えられないか」と、頭をひねり始めたのがきっかけで、2023年の秋頃からある活動を始めたといいます。

活動の一環として完成させた作品の一例が、こちらです!

ねぷた絵キーホルダーの写真
ねぷた絵キーホルダーの写真

青森県の名産品であるリンゴや、青森県の形をしたキーホルダーが作られていました!

材料の一部として使われているのは、祭りで使用した後にそのまま破棄されるはずだった、ねぷた絵。

ずくなし黒岩さんが精力的に取り組んでいるのは、役目を終えたねぷた絵を、キーホルダーなどにアップサイクルするという活動だったのです。

ねぷた絵キーホルダーの写真

2025年3月現在、作品のモチーフにしているのは、ねぷたの山車、リンゴ、青森県の形の3種類だといいます。

では、これらのキーホルダーは、ねぷた絵を使って具体的にどのように作られ、最終的に『誰』へ届いているのでしょうか。

grapeは、『ねぷた絵アップサイクル』の活動について、ずくなし黒岩さんに詳しく話を聞いてみました。

『ねぷた絵アップサイクル』の活動を続けた先に…

――2021年に弘前市に移住されたそうですね。最初は周りに知り合いがほとんどいなかったと思いますが、ねぷた絵はまずどのように入手したのでしょうか。

まだクラフト制作のことを何も考えていない頃、『弘前ねぷたまつり』が開催された時期に「このねぷた絵がほしい、捨てるくらいなら何かに活用したい」と、何気なしにSNSで発信したんです。すると「うちの団体のねぷた絵を差し上げますよ」と返信してくださった方がいて、急いで取りに行った記憶があります。

当時、ほかの県から移住したばかりだった私には、ねぷた絵を制作する団体さんの知り合いがいなかったので、譲ってくださった方には本当に感謝しています。

――ねぷた絵からキーホルダーを作るまでの制作工程を教えてください。

まず、リンゴや青森県の形をした型をねぷた絵にあてながらデザインカッターで切り取り、レジンという合成樹脂でコーティングをします。厚みが出るまで5回ほど塗り重ね、最後に穴をあけてキーホルダーの部品を付けたら完成です。

工程はシンプルなのですが、切り抜くところから塗り固める作業まですべて手作業なので、結構な根気がいります。作るのは楽しいので、「気付いたら1日経っていた」ということも珍しくありません。

ねぷた絵キーホルダーの写真

レジンでのコーティングを終えた段階

ねぷた絵キーホルダーの写真

キーホルダーの部品を取り付けた後

――キーホルダーを作る際、こだわっているポイントはありますか。

ねぷた絵をカットする際にどの部分を抜き取るか、すごくこだわっています。色味やデザインがいいところを抜き取るのも大事なのですが、かといって好きに切っていたら無駄な切れ端が多くなるため、できるだけ隙間なく切るように心がけているんです。

ねぷた絵の端切れを少しでも減らせるよう、いろいろな型をパズルのようにあててみて、一つひとつ切り抜いています。

ねぷた絵キーホルダーの写真

鮮やかな色味をした弘前ねぷたの牡丹絵

――作ったキーホルダーは、どのように活用されていますか。

2025年3月現在は、クラフト展などで販売しています。出店頻度は少ないものの、いろいろな人が手に取ってくださり、嬉しい限りです。

今は出店販売のみですが、ゆくゆくはネットなどでも買えるようにして、首都圏にいる方や海外の方にも手に取ってもらえるように展開したいと考えています。

――『ねぷた絵アップサイクル』の活動を続ける中で、もっとも嬉しかった反響はありますか。

クラフト展などで購入してくださった方の言葉が一番うれしいです。購入された方の中には「東京にいる娘にプレゼントする!」や「家族の分まで買っていく」などといってくださる方もいて、本当にうれしくなります。

ねぷた絵のキーホルダーを通して、青森県を感じてもらうだけでなく、会話のきっかけになればいいなと常々感じています。今は販路が狭いので、もっと広くして「欲しい!」といってくださる方に届くように、頑張りたいです。

――ずくなし黒岩さんが思う、ねぷた絵の魅力はなんでしょうか。

ねぷた絵をいただいてから気付いたのですが、制作する団体さんによって使う和紙も色味もまったく違うんです。光に透かすと和紙の毛羽がはっきり見えたり、透き通る色彩が鮮やかに見えたりするので、本当にうっとりします。

遠くから見るねぷた絵もすごくきれいなのですが、間近で見れば、よりねぷた絵の美しさを感じられると思います。

ねぷた絵キーホルダーの写真

牡丹絵から作ったリンゴの形のキーホルダー

――『ねぷた絵アップサイクル』の活動を通じて叶えたいことや、具体的な目標があれば教えてください。

『ねぷた絵アップサイクル』の輪がもっと広がればいいなと思っています。

ねぷた絵の可能性は、本当に無限大なんです。私のようにキーホルダーやイヤリングなどにしてもいいし、ランタンやうちわ、ポチ袋などにしてもよし。ポテンシャルの高い素材です。

私の目標は、『ねぷた絵アップサイクル』を1つのカテゴリーにすること。また、アップサイクルによって得た収益をねぷたまつりや団体さんに寄付し、弘前市に貢献することで、本当の『サイクル』を実現したいです。

まだ始まったばかりですが、一歩ずつ進んでいきたいと思います。

イヤリングの写真

ねぷた絵から作った青森県の形のイヤリング

イヤリングの写真

ねぷた絵から作ったリンゴの形のイヤリング

ずくなし黒岩さんが2023年秋頃から始めた活動は、ただ役目を終えたねぷた絵の無駄をなくすだけでなく、弘前市全体の活性化につながるものでした。

まだ本当に始まったばかりの、『ねぷた絵アップサイクル』の活動。

これから時を経て、『ねぷた絵アップサイクル』の輪が全国各地へ広がっていくことに、期待が高まります。


[文・構成/grape編集部]

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出典
@kurokuroyuyuyu

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