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会員1億人超「dポイント」の安定稼働を支える大規模インフラ共通基盤:ドコモ情シスが挑む3大DXに迫る

「VeeamON Tour 2024」レポート

 2022年に実施されたNTTグループの再編成により、ICT事業を担うNTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、エヌ・ティ・ティ・コムウェアが経営統合し、新しいドコモグループが誕生した。従来の通信事業のほかに、DX支援のための法人事業と新たなライフスタイル創出のためのスマートライフ事業に力を入れている。今回は、NTTドコモの情報システム部でインフラレイヤーの共通化や標準化に取り組んでいる山本幸祐氏が、同社のDX戦略やシステムバックアップ体制について解説した内容をレポートする。

dポイントクラブ会員は1億人超、金融ビジネスも急伸

 これまで、NTTドコモといえば「携帯電話のキャリア通信事業」といったイメージが強く根付いていた。しかし、2022年の組織再編成を経てドコモグループは新しいスタートを切り、DX支援の法人事業と新たな生活価値・ライフスタイルの創出のスマートライフ事業も大きな柱として掲げている。中期戦略では法人事業とスマートライフ事業で収益の過半を創出するという目標も掲げ、注力しているところだ。

 トップメッセージでは「テクノロジーと人間力で、明日のあたりまえとなる価値を生み出す」ことが掲げられている。山本氏はこれについて、「新しいことにチャレンジしていくということだと捉えています。加えて、我々が生み出すものは社会やお客様の生活を支えるベースとなる。その実現にはテクノロジーだけでは不十分で、社員がお客様一人ひとりに寄り添い、しっかり考えて行動する人間力こそ重要になるのだと受けとめています」と話す。

株式会社NTTドコモ 情報システム部 担当課長 山本幸祐氏

 先述したように、ドコモグループではスマートライフ事業に注力しており、その急伸ぶりは同グループが運営するポイントサービス「dポイント」にも表れている。dポイントクラブの会員数は、2023年5月に1億人を突破。キャッシュレスサービス「d払い」のユーザー数も5970万に上り、d払い決済が可能な加盟店数は業界最大規模へと成長した。山本氏は「決済や金融の領域でも、社会インフラを担う企業になってきています」と強調する。

 事業領域が発展する中、NTTドコモではインフラ共通基盤(社内IaaS)上に大規模な業務システムを稼働させている。主要なものに顧客情報管理システム「ALADIN(アラジン:ALL Around Docomo INformation System)」とリアルタイムビリングシステム「MoBills(モビルス:Mobile communication BiLLing systems)」がある。これらは1億人を超える顧客のビジネスを支えていることから、その規模やトランザクションは相当なものであることは想像に難くない。

 同社の情報システム部では、経営を支える土台としてこれらのシステムを安定稼働させ、より多様な価値を提供できるシステムへと変革するべく開発や運用を進めている。山本氏の担当はインフラ共通基盤。インフラレイヤーの標準化や共通化を進めることで、開発者がサービス開発に専念できる環境の整備やTCO(ITシステムの導入にあたって設備投資、維持管理にかかる費用の総額)の削減などを目指しているという。

 次からは、情報システム部の具体的な取り組みを見ていこう。

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情シスがグループ共通基盤で注力する“3つのDX”

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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