表参道は街そのものも愉しいですが、無料のアートギャラリーが多いのでいつも発見があります。特にヴィトンやプラダは現代アートをゆったりした空間で紹介してくれるますし、カメラのGR専門のスペースもオープン。時代の新しい感性をキャッチできたらよいのですが。
エスバス・ルイ・ヴィトン東京でウェイド・ガイトンの展覧会。今回も居心地のよいアートスペースでした
エスパスルイ・ヴィトン東京王は、表参道のルイ・ヴィトン の7Fにあり、ワンフロアですが天井が高く一面のガラス窓には空と街が広がって、開放感がいっぱい!入口はハイブランドならではの敷居が高い造りですが、店内をほとんど歩かずにエレベーターに案内していただけます。LVの洋服を持っていなくても気後れすることなく入れて、助かる~。
こちらではパリでルイ・ヴィトンが手がけるモダンアートの美術館(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)のコレクションを展示していて、今までもクリスチャン・ボルタンスキー、ヴォルフガング・ティルマンスといったアーチスト展で訪れました。
2024年10月31日から、アメリカ人アーチスト のウェイド・ガイトンによる「THIRTEEN PAINTINGS」展を開催中。
大判インクジェットプリンターを使って、キャンバス布に何度も印刷を重ねた作品が並いんでいました。印刷のモチーフは、室内の写真もあれば新聞記事も。予想外のプリントエラーやインクの汚れも取り込まれていて、四角いキャンバスの中に偶然の積み重ねを見ることができるのは刺激的!
作品はいわば日常の光景を非日常に仕立て直して、「現実ってこうかも?」と問いかけてくるよう。そうした作品群に、窓から外部の日常が窓を通して入ってきます。外部が朝から夜へ、青天から嵐へと変化することで、作品の印象も大きく変わりそうです。外が真っ暗になる時間帯も、ぜひ見たいと思いました。
平日の午後にうかがいましたので、ゆっくり見られ、スタッフさんからも丁寧に説明していただけました。
プラダ青山でリジー・フィッチとライアン・トレカーティンの展覧会。建物の存在感に圧倒されます
プラダ青山店 は建物自体がアート。菱形格子状の模様が浮かぶガラスの塔が、おしゃれれな青山のビルの中でもひときわ目だちます。設計は、北京オリンピックのメインスタジアム「鳥の巣」を設計した、スイスの建築家ユニット ヘルツォーク&ド・ムーロンガラスとのこと。
ガラスが厚くてさまざまに光りが反射し、光を味方に付けたデザインですね。こちらの6階スペースでも、プラダ財団によるアート展が年2回行われています。
2024年10月24日からは、アメリカのアーティスト、リジー・フィッチとライアン・トレカーティンによる日本初個展です。
展覧会のタイトルは「It Waives Back」。大型のインスタレーション1作品、映画2作品、映画を注釈する彫刻のシリーズで構成されていました。
彫刻の顔が怖い。映像作品の中でいろいろと語られているのですが、全部英語で翻訳の資料なし(涙)のため、さっぱり分かりませんでした。
つい「翻訳がないとわからない」とつぶやくと、モデルさんみたいにスーツを着こなした男性スタッフが、「そうですよね~」と共感してくださって、思いがけずめちゃくちゃホッとしました。
現代アートって「わかる人がわかればいい」みたいな、ちょっとスノビッシュなところがありますけど、ハイセンスでキメたスタッフさんにそう言っていただけると、安心します。そう、私は「彫刻の顔が怖くて面白かった」程度なのですが、プラダの建物の中に組み込まれた感覚が楽しい体験でした。
GR SPACE TOKYOで、淵上裕太さんと増田彩来さんがカメラを向けた「人」を見つめました
GR SPACE TOKYOは、今夏にオープンしたリコーGRシリーズのコミュニティースペースです。写真展だけでなく、ゆったり座れるブックスぺースが充実。私もGRⅢを持っているので、こちらに来るとけっこうモチベーションが上がります。
<ギャラリースケジュール>24年8月11日~10月21日が森山大道さん、24年10月24日~12月9日が淵上裕太さんと増田彩来さん、24年12月12日~2025年2月24日が菅原一剛さん
訪れた日は、淵上裕太さん「原宿」・「路上」/ 増田彩来さん「リル・ツアー」の開催中でした。渕上さんが街を歩きながら撮り下ろした「原宿」は、被写体になった若者たちの眼差しが自然でした。何かを意志的に訴えるとかと感情が泡立つといったことではなく、まず存在しているリアリティを感じました。
ジャイルギャラリーでパラレルな渋谷の変容をイメージ
GYRE(ジャイル)は表参道にあるファッション複合ビルです。シャネル、マルジェラ、KENZOなどのブランドが入り、MOMA(ニューヨーク近代美術館)のグッズショップもあってビル全体でストーリーを発信しています。ジャイルギャラリーには、ヨゼフ・ボイド展でも来ました。
『未来都市シブヤ エフェラメを誘発する装置』というタイトルの展覧会。大規模開発で変容する渋谷をテーマに、6人のアーチスト(操上和美、山口はるみ、畠山直哉、風間サチコ、石川直樹、友沢こたお)が参加した企画展。
「エフェメラ」とは、もともとはチラシなど役目を終えたら捨てられる印刷物のこと。この展覧会では、短期間現れる仮設の装置やインスタレーションを指すそうです。
特に好きだったのは、写真家畠山直哉さんの《アンダーグラウンド》。渋谷川の地下洞窟を写した作品群で、長らく渋谷の発展を支えたパラレルな地下都市をイメージしました。
路地に入ったら、THE PLUG で『永戸鉄也 +ヨルシカ「太陽」』のコラボ展で賑わっていました
大ヒット中の映画『正体』のテーマ曲となっている、ヨルシカの『太陽』。その楽曲『太陽』のMVをプロデュースした永戸鉄也のコラージュ作品展が開かれていました。
表参道の大通りから少し探検しようかなあと路地に入ったら、若い人たちがまとまって向かう方向があり、平日なのに??と思ったらイベントでした。
どちらも初めてでしたが、ヨルシカさんはコンポーザーとして活動中の”n-buna(ナブナ)”が女性シンガー”suis(スイ)”を迎えて結成したロックバンドだそうです。
永戸鉄也さんはアートディレクターで、映像、書籍からパッケージデザインまで幅広く手がけられています。BUCK-TICKの櫻井敦司さんのCD パッケージデザインも担当されていたのですね。
「太陽」MVは映画『正体』の映像に流れる作品と、コラージュの制作過程の映像に流れる作品の2種類が公開されています。コラージュ制作の様子は迷いなくイメージを形にしていく様子が、とても美しい✨ ヨルシカさんのヴォーカルも少しアンニュイな声の感じで、クリエイティブな世界に染みこんでいきました。
永戸鉄也 + ヨルシカ「太陽」|ヨルシカ OFFICIAL SITE
散歩の道すがら
キャットストリートの古着屋さん。
ランチは、キャットストリートから路地を入ったところにあるビストロLa Fee Delice。ガレットが絶品✨
店内は映画≪アメリ≫の世界みたいな赤の世界。とても可愛いですがお値段も張り気味
電動キックボードのレンタルサービスも。ブルーが街になじんでます。
外国人の方たちは同じ情報をたよりにお店を探しているのでしょう。一部のお店は大行列でした。
表参道アート散歩は、さまざまな創造力にあふれていてとても刺激的。元気がいただけるので、ときにはガシガシと歩きたい😊