山田勝己とは、TBS系列で放送されている「SASUKE」のSASUKEオールスターズの1人。
人呼んで「ミスターSASUKE」。あるいは「浪速のターミネーター」。
記念すべき山田の初出場、当時の肩書きは「クイックマッスル全国選手権準優勝」というものだった。そのためいきなりゼッケンは92を与えられた。ちなみにテロップの名前が山田勝巳になっていた。見事に1stステージを5.9秒残しでクリア。しかし2ndステージ五連ハンマーでリタイア。自慢の腕力を生かす事はまだ先の事である。
ゼッケンは91。1stステージはクリアしたが、2ndステージのスパイダーウォークで阻まれる。腕の方は問題なかったが、足が滑りうまく身体を固定出来ず、腕のみでどうにか耐える体となってしまい、まさに蜘蛛の巣にかかったような状態に。腕のみではうまく前進することもできず、意地を見せたが最後には腕の力万策尽き果て落下。放送ではまさかのダイジェストである。(1stに至っては全カット)今では考えられない扱いだ。山田とスパイダーウォークの因縁の始まりであった。
ゼッケンは89。1stステージは無難にクリア。因縁とも言える2ndステージをクリアし、3rdステージへと駒を進める。
初挑戦となる3rdステージは、なんとストレートでクリア。ただこの頃は、近年の超難関で知られる3rdステージの難易度とは比べ物にならないほど難易度が低く、ぶっちゃけ通過点のようなレベルだった。パイプスライダーが鬼門と言われてはいたものの、この時は最後の跳躍すら必要ないほどパイプの最終地点とゴール地点の足場も接近しており、5人がFINALに進むという筋肉の大豊作状態。山田も、余裕でその中の1人となった。
FINALでは序盤、腕だけで上がって行くもすぐに足を使うスタイルへ変更。腕で登った仇となり、いいペースで登るものの失速。ゴールまでわずか30cm足りず、完全制覇は成らなかった。実はこの大会山田は13kg体重を落として臨んでおり、減量による空腹で一時不眠症にもなっていた。
古館はインタビューで「(不眠症になってまで)山田さんを駆り立てた動機って言うのはなんですか?」という問いを投げかける。すると山田は、
「負けたくないっていう…ただそれだけです」と悔しそうに苦く笑い、答えた。
山田は今大会5名現れたファイナリストの中で最もゴールに近づき、最優秀成績者となった。そして今大会は山田の最初で最後のファイナル進出であった…。
前回の成績が評価されゼッケン100を初めてつけた。ちなみにオープニングでスパイダーウォークの沼から頭を覗かせて出てくるという演出がなされた。これは、何度沼に落ちようとも這い上がって挑戦を続ける挑戦者たちの不屈さを、山田が代表して表現した、という演出かと思われる。後に「アリゲーターのようだ!」と言われた彼にぴったりの演出だったかもしれない。
1stステージでは山田の出番の前に同じく前回ファイナリストであった山本、大森(おさる)が立て続けにリタイア。完全制覇にもっとも近いといわれ、ゼッケン100を背負ったプレッシャーの中、山田もそそり立つ坂で1回失敗するものの動揺せず6.7秒を残しクリア。
続く2ndステージ、山田は挑戦者としては初となる自作のセットで苦手とするスパイダーウォークを誰よりも早くクリアし5.8秒を残した。殆ど完璧な動きを見せ、ウォールリフティングでは3枚目を片手で持ち上げたまま数秒維持するというパフォーマンスを披露。その3枚目時点で時間は10秒も残っており、パフォーマンスがなければ確実に最速を記録していた。
絶好調以外の何者でもないと言っていた山田は、ついに3rdステージへ。この3rdステージは、前回までの通過点レベルだった難易度から一気に跳ね上がっており、11人が挑戦したもののクリア者は秋山和彦ただ1人という状態に。新設されたクリフハンガーと、パイプスライダーのゴール地点が離れた調整によって、もはや運動神経が少し良いぐらいではクリアできないレベルとなってしまったのである。
唯一クリアした秋山はインタビュー時、「あとは山田さんが来ると思うんで」と語り、ケインらの脱落を経て山田の挑戦へ。しかし、いきなり第2エリアのプロペラうんていが山田を阻む。なかなか回転が噛み合ず「えぇい!くそ!」と声を荒げる場面もあった。プロペラとプロペラを乗り継ぐ際にもかなりのロスを生じ、宙吊り状態で耐えなければならない時間もかなりあったためか、腕力を消耗したままアームバイク、クリフハンガーへ挑むことを余技なくされる。
アームバイクはストレートにクリア。そして新設されたクリフハンガーへ。この頃のクリフハンガーは高低差がなく、一直線に進む途中に空白が2箇所あるといった感じで、指懸垂もみっちり行っていた山田の敵ではないかに思われたが、この時点で相当腕力を使っていたのか、空白2個目で落下。
インタビューでは「プロペラうんていでタイミングを掴み兼ねたのも影響したんでしょうか」と古館に聞かれたが、山田は「わかりません」と答え、言い訳はしなかった。最後に「1回冷静になって反省してみないとわからないかもしれませんね」「もう前に進むしかないと思います」と古館にキツく責められた。そのインタビューの後、一拍置いて山田は涙を流したのだった。
秋山が国家試験受験のために欠場していたのでゼッケンは変わらず100。今大会から「幻夜」と「終わりなき御法」がテーマソングとして流れ始める。
今回のSASUKEは秋山の完全制覇によって大リニューアルし、山田の前のクリア者はこの時初挑戦だった消防士の竹田と、皆勤賞の山本のみ。そして山田の挑戦、ローリング丸太でいきなり脱線に見舞われる。この時点で判断が出来ずとりあえず先へ進む。ジャンプハングも問題なくクリアし、そり立つ壁も2回目で成功、1.7秒残しでクリアのボタンを押した。審議の結果、足はギリギリ水に着いておらずクリアが認められた。2nd進出者はたった3人、すべてSASUKEオールスターズであった。
続く2ndステージにおいて山田は、絶対の自信を持っていたスパイダーウォークで突如滑り落ちる。突然の落下に自身も納得がいかなかったのか、呆気にとられていたのか、沼地からなかなか出ようとせず、古館に「そのたたずまいは、沼地に潜むアリゲーターのようだ!!」と比喩された。ちなみに1stステージジャンプハングのネット下部分を、腕力にものを言わせて通過する際は「まるで人間の脳を持った類人猿」といわれていたりもする。
インタビューでは納得のいかない様子ではあったものの「仕方ないです」と不本意ながらこの結果を受け止めた。
なんと仕事をリストラされてしまう。さらにトレーニングのしすぎによってコンディションは万全ではなかった。ゼッケンは完全制覇者の秋山が居たためそちらに100番を譲り、自身は99番となった。1stステージは9.35秒を残し余裕のクリア。6大会連続クリアは山田のみだった。続く2ndも4.9秒残しでクリア。
そして続く3rdステージ。オリンピック選手畠田、消防士竹田、コスギ兄弟など有力者が次々と脱落し、山田は初めて自分の前にクリア者がいない状況での挑戦となった。挑戦前に山田は「潰れてもかまわないですよ。ここでクリア出来れば、後の事は考えてないですから。そのまま寝たきりになろうが死のうがかまわないです。」と語った。
第4回に屈したクリフハンガーもクリアし、パイプスライダーまで進出。今回クリフハンガーをクリアしたのは、山田のみだった。今大会に備えて山田はあらゆるエリアを練習し、完璧とも言える対策をしていたのである。
しかし今回パイプスライダーは第5回よりさらにゴールの距離が離されていた。対策を積んでいた山田は、順手と逆手でパイプをグリップするという特徴的なフォームでパイプスライダーに挑み、跳躍部分へ。大きくジャンプをし、ゴール地点に両足が着くものの重心が右へとそれてしまう。そのまま山田は地上へと落下した。着水はしていないがステージから転落したことによって失格となってしまう。
そこへ古館がいつも通り「今話せますか」とインタビューを始める。(ちなみに古館は山田のインタビューの時だけアナウンサーがいても遮ってインタビューをしていた。)
古館「諦めるか、あるいはまだこのSASUKEチャレンジ、FINALステージ成功を目指して続けるかどっちですか、今の心境」
山田「やらせてください…。」
古館「やりたい?」
山田「はい…!」
古館「どうしてもやりたい?」
山田「はい…!」
古館「何かを犠牲にしてでも?」
山田「はい……!」
涙を流しインタビューに答えた山田。しかし最後は笑って「体の続く限りですかね、頑張ります。」と語るのだった。
前回の最優秀成績者だった実績が評価されたのかゼッケンは100。今回は妻と2人の子供を初めて連れてきていた。それは山田の絶対の自信であり、完全制覇を間近で見せたいという想いからであった。
序盤のペースは順調、鬼門のローリング丸太では「どこまでが丸太でどこからが山田かがわからない」と言われているほどしっかりしがみついてみせた。しかしジャンプハングが難易度低下によって水面とネットの距離が近くなっており、着水しないようにと慎重になってしまう。そのせいか、そり立つ壁に到達したときには残り30秒も残っていなかった。(前回は40秒残していた)
そしてそり立つ壁。いつも通り左のルートを通って登るが1回目は失敗。前回前々回も1回目は失敗していたが、今回は状況が違った。時間に余裕がない中2回目もまさかの失敗。そしてロープクライムの途中で山田勝己初の1stステージリタイアとなってしまった。
リタイアの瞬間、山田の妻は泣き崩れた。実はこの時点でも山田は無職であり、奥さんが1年半パートで家計を支えていた。そして山田はまたそり立つ壁に挑戦していた。この日の山田に涙はなかった。山田にとっては涙すら出てこない無惨な結末だったのだ。
今回もゼッケンは100。台風が接近しており雨で中断しながら行われた大会であった。そんな中山田は今大会で引退を表明していた。ちなみに仕事は鉄工所アルバイトになっている。そして今大会初めて古館がミスターSASUKEの名前を口にした。山田の前の成功者はゼッケン91のケインが最後であり、直前の山本、秋山はすでにリタイアしていた。中でも山本はそり立つ壁にて雨の影響で滑った事が原因となるリタイアだった。
子供にもらったペンダントを胸に山田の挑戦が始まる。五段飛びを誰よりも奇麗にきめ、いつも通り進んでいく。今回も30秒を残しそり立つ壁に到達。1回目の挑戦
滑った。
山田はこれまでそり立つ壁は左の方へ登って行く戦法をとっていたが明らかに滑り、2回目は中腹にすら登れない。残り10秒の警告音がなり、山田は動きを止めた。そして山田は1stステージリタイアとなったのであった。
山田はこの後、滑りを確かめ真ん中のコースを選び挑戦。すると1発で成功してしまう。滑りが原因だったとしても回避する事はできた、が時既に遅し。ロープクライムを登りゴール地点まで進んでいったが、ボタンは押さなかった。観客からは鳴り止まない拍手が贈られ、山田は礼をした。そしてペンダントを握りしめ舞台を去ったのであった…。
余談ではあるが、山田は挑戦する際入念なシミュレーションなどを行い、時間をフルに使うスタイルで挑戦している。慎重に進めるため、クリアタイムは10秒以上になったことがないが、確実にクリアをしてきた。しかし第7回のジャンプハングや第8回のそり立つ壁のようなイレギュラーがあると対応が出来なくなる事が多い。この辺から山田はプレッシャーに弱いと言われるようになってきた。
SASUKEから離れ家族との時間を増やし、セットもすべて撤去した。しかし夢を諦められず番組宛に手紙を出し、引退を撤回。プレッシャーに弱いと言われたことから不動の心を手に入れるため徳島の星谷寺の「不動の滝」に打たれた。そして出発の日には家族に置き手紙を残した。「夫として、父親としては失格かもしれないけど、やっぱり夢は捨てられません。パパより」
ゼッケンは99、今回は7kg体重を落としての挑戦。俊敏さに磨きがかかりそり立つ壁も2回目で成功、8.2秒を残し3大会ぶりに1stステージをクリアする。これには後ろで応援していた山本、竹田、長野、あとハングライダー原島も拍手を送った。
ちなみに6回大会では秋山が失敗した際、馬鹿にするような笑い声や「ヒュー!」などとはやし立てる声が聞こえる。7回大会で山田が失敗した際も、若干そうした声が無いことも無い。しかしこの9回大会、山田がひとつエリアをクリアする度に観衆からは大きな歓声や掛け声が起こり、1stステージクリア時には拍手喝采であった。山田や秋山など、本気でSASUKEに挑戦していく人々が、SASUKEをバラエティの企画から競技へと昇華させていったその瞬間だったのかもしれない。
1stステージ終了後、妻へ電話し「そりゃ余裕やわ。いや、余裕ちゃうけど」とクリア報告すると奥さんも「も〜お願いやわ〜」と安堵し、「頑張れパパ!」と激励した。
続く2ndステージ。異変が起こったのは山田のトラウマとも言えるスパイダーウォークだった。第7回にリニューアルされ下りの移動が追加されていたスパイダーウォークは今回やけに滑っていた。なかやまきんに君が犠牲となり、長野もクリアしたものの滑ると山田に報告、他の挑戦者も慎重になる中、山田は明らかに神経質になっていた。
そして山田の出番、地下足袋にテープを付け埃や水滴を回避する作戦に出たがこれが完全に裏目に出る。足着いたテープはなかなか離れず、さらに滑りを気にしてしまい入念な滑り止めの結果時間を17秒使ってしまいウォールリフティングの2枚目でリタイア。山本も「気にし過ぎだよ〜」と嘆いた結果となった。
ゼッケンは記念大会ということもあり1000。山田の前には99人目までにクリア者4人、ゼッケン979から21人連続リタイア、オールスターズも全滅という状況だった。山田は新エリアのダースブリッジで躓くもののそり立つ壁を1発でクリア。しかしこの時点で残り20秒弱、新設されたターザンロープは時間をかなり使うエリアだったため絶体絶命と思われていたが、山田は1本目を掴み後ろに勢いを付けてから挑んだ。そして4本目を掴み、4本目もすぐには離さず一旦勢いを付けるという戦法で完璧にリカバリーし、1.7秒を残しクリア。2ndも問題なく進み、逆走コンベアーの時点でガッツポーズを決め、2.3秒を残しクリア。
4大会ぶりの3rdステージでは、前回リニューアルされたエリアにも柔軟に対応。そして因縁のパイプスライダー。第8回のケインやヨブチェフのように片足を上に乗せ、挟み込んだが距離が足りず落下してしまう。またしてもクリアはならなかった。
山田はリタイア後、インタビューで「あのパイプスライダーは(やっていて)いけそうに思えるんですか?」と聞かれ、「いや、いけると思ってました。自分では…乗ったかなとか思ったんですけど」と悔しそうに答えた。というのも、腕力にもまだ余裕があったからである。
すでにこの時、山田の年齢は有力選手たちの中でも高い方だった。山田の完全制覇を狙えるタイムリミットも、どんどん近付いていた。そのためか、古館からは「今後…どうされますか?」とSASUKEを続けるかどうか尋ねられる。
すると山田は、
「あの…これだけは」
と目頭を押さえ、悔しさをこらえながら前置きをすると、
「これだけは言えることなんですけど……。
これだけ全てを賭けたのに報われなかった。
あれだけ辛く悔しい思いもした。
半年、1年、いやもっとかけて作り上げた自分の努力が数十秒の挑戦で潰えた。
そんな思いをしてきたのにも関わらず、彼はそう言ったのである。誰よりもSASUKEを愛し、誰よりもSASUKEを楽しみ、誰よりもSASUKEの厳しさを知っている山田だからこそ生まれた名言だろう。職を捨て、周囲を省みない姿に冷ややかな目を送る人も、笑い者にする人もいる中で、純粋にひたむきに頑張る姿は、長野を始めとする多くの人々に影響を与えていった。
ゼッケンは変わらず100。この大会では、盟友の秋山和彦が0.03秒残して3年半ぶりの1stクリアを果たしており、ゼッケン95から5人連続クリアという最高の流れであった。迎えた1stステージ。今回山田は初めてジャンプハングの上から登った。そり立つ壁も1発でクリアし完璧なパフォーマンスを披露。その姿に古館は「知り尽くしている!」と実況した。残りタイムは4.5秒。ちなみに挑戦前に「この前俺だけ(2nd)行ったでしょ。今回俺だけ落ちるかもしれない。」と言っていたがそんなことはなかった。これでSASUKEオールスターズ全員が1stを突破したこととなる。
2ndでは挑戦前、山本が「親分はやりますよ、変な所で。たまにやっちゃうからね、こうやって(第9回のテープの動きをしながら)」と笑いながら言っている場面があった。そして、前回クリアしたバランスタンクのゴール地点で突如右足を踏み外し落下、オールスターズで唯一2ndでの落下となった。
ゼッケンは98。プレッシャーに弱いという弱点を克服するために、大会前、山田は鹿児島県の最福寺に訪れ、「護摩行」と呼ばれる荒行を行った。前回ファイナルに進出した長野誠にゼッケン100を譲り、自身初めてのゼッケン98での登場となった。コンディションは絶頂期にあった。
1stは前回同様ミスなく進むが慎重なペースが災いし、前々回同様時間との戦いとなった。どうにか0.72秒残しての1stクリア。クリア時には「誠!」と長野に向かって叫んだ。
2ndではチェーンリアクション対策のために自前の手袋を持参し、スタッフに「手袋すぐ脱げるのかな」と問いかけたりしていた。
山田の番となり、チェーンリアクションは難なくクリアするものの、スパイダーウォークでは「チェーンリアクションで着けていた手袋を外さなければいけない」ルールがあった。しかし山田は集中のあまりスタッフの「山田さん!手袋!手袋外して!」と言う言葉を無視し、スパイダーウォークに突入してしまう。そのまま前回リタイアしたバランスタンクを突破し、3.65秒残してクリアするが、スパイダーウォークで手袋を外さなかったため、失格となってしまった。
放送ではこの後インタビューで涙を流し「あとは長野誠がやってくれると思います」と残した。長野も涙を流していた。
実は失格からこのインタビューの間には放送されなかった事実があった。
後にドキュメント番組「ZONE」で放送された内容では、まず失格になった後山田は「手袋を外さなければならないと聞いていたが失格になるとは聞いてない」と強引なクレームを付ける。スタート地点では99番ヨブチェフがスタンバイしていたものの山田の再挑戦が始まる。
2回目の挑戦では時間との戦いとなりウォールリフティングの3枚目に足を挟まれながらもボタンを押したがタイムアップの判定。これに山田は「押したんですよ!押したって!」とメカニカルトラブルを主張。 おそらく触れていたが押せてはいなかったのだろう。ヨブチェフと長野がクリアした後、山田は3回目の挑戦を迎える。
しかしもはや山田に2ndステージを攻略する体力は残っていなかった。ブリッククライムの頂上から落下、スパイダーウォークまで進むもタイムアップ。しかしスタッフの静止を振り切ってゴールまで進み、右腕一本でゴールゲートを破壊した。
無理のあるクレームと往生際の悪すぎる山田の姿。この裏にはやはり長野誠の存在が大きかったのではないだろうか。山田に憧れ、山田の背中を追っていた長野は前回大会ファイナリストになるまでに成長していた。そんな長野の願いは「山田と共にFINALまで進む事」だった。修行をし、コンディション絶頂の今回、山田には長野と共にFINALに進む自信、さらには完全制覇が出来る自信があった。それなのに結果は失格の判定、何が何でも3rdに行きたい理由があった山田には納得が出来なかった。
結果的には1回目の挑戦のリタイアとされ、今大会が山田が最後に2ndに挑戦した大会となった。
第13回大会はSASUKEトライアルで自身唯一の10秒以上残しである10.58秒残しでクリアするも欠場。家族との時間を優先させた。しかし「己の生き方に迷う必要はない」と決意し引退を撤回。
しかし復活を果たした第14回以後の戦跡は非情なほどに悪く、欠場した第25回大会以外すべて1stリタイア。結果はWikipediaを参照。
RISINGとなり復活した第28回大会。「ケジメをつける」と言い挑むも、2連そり立つ壁の1つをクリアした所でタイムアップとなり、引退を表明。後のインタビューで山田はこう語っている。
「まだまだ若い子に伝えなアカンことがいっぱいあって、もっともっとSASUKE好きになって、もっと練習して、落ちたらもっと悔しがって泣いてくれたらいいと思います。それが俺の願いというか、思う気持ちはあります」
山田は第29回前に山田軍団「黒虎」を結成し「今後は選手としてではなく、コーチとしてSASUKEに挑戦していく」とのこと。ちなみに29回に出場した黒虎メンバーは全員1stリタイアした。
ちなみに、29回にてデモンストレーターとして2002年秋、第10回以来11年ぶりとなる3rd挑戦を果たしている。
↓その動画がこちら↓
誰もが思った「今の山田は3rdステージに行ったらどこまで進めるか」が実現した。ただしあくまでデモンストレーターなので本気の挑戦ではないことを留意しておく。
最近では、同じくTBSの番組「水曜日のダウンタウン」で、SASUKEに関する説が取り上げられる度に出演し、他の挑戦者を参考にしたりアドバイスを送ったりしている。(自身も挑むも、序盤のエリアで脱落することが多い)
また同番組で、「オファーがないだけで人知れず眠っている歌うまタレント存在する説」の検証においても取り上げられた。実はやたらと歌が上手かった。
20周年記念招待選手として5年ぶりに一大会のみの復活を果たした。肩書は鉄工所社長。ゼッケンは黒虎のトリを飾る33番。挑戦前にSASUKEを一言で?という質問に対して、(こんなにダメなやつを育ててくれて)ありがとう。と語り、他の黒虎メンバーがリタイアする中挑むも、第3エリアのタイファイターでリタイア。しかしリタイアして尚堂々とした姿に観客も選手も、皆惜しみない拍手を送った。
挑戦後、「昔からの完全制覇の思いはここに置いていくので、若い奴らが必ず取り戻してくれると思う。」そう言い残し、彼は自らのSASUKEの挑戦に幕を下ろした。
余談だが、「水曜日のダウンタウン」において彼は事前に同じステージに挑んでおり、その時にもタイファイターでリタイアしている。
山田の歴史の始まりは96年に「筋肉番付」にて放送された「クイックマッスル全国大会」である。
大阪代表として出場したその大会の準決勝にて、後にSASUKE史上初の完全制覇者となる毛ガニの秋山和彦と対決。
山田が序盤から一定のペースを上げて飛ばすも、残り15秒で一気に秋山が猛追、両者298回となり、審議にもつれこんだ。結果は秋山が警告を2回受けていたため、山田に軍配が上がり、決勝進出を果たした。
決勝では伊藤忠夫にペースで追いつかず、伊藤300回、山田243回で惜しくも準優勝に終わる。しかし、準優勝という成績は彼をSASUKEに歩ませる要因ともなった。
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最終更新:2024/12/26(木) 00:00
最終更新:2024/12/25(水) 23:00
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