スターダムとは、以下のものを指す。
- スターとしての地位、身分を意味する英単語stardom。
- コナミのゲーム「プロ野球スピリッツシリーズ」のゲームモードの一つ。パワプロにおけるマイライフのようなモード。
- 日本の女子プロレス団体。この記事で解説する。
スターダム(株式会社スターダム)とは、2011年1月23日に旗揚げした日本の女子プロレス団体である。
概要
キャッチフレーズは「明るく、激しく、新しく、そして美しく!輝く女子プロレス団体」。
2021に旗揚げ10年を迎えた比較的新しい団体で2019年にブシロードに事業譲渡以降は女子プロレス界で急成長を遂げている。基本的に東京が主戦場となっている女子プロレス業界の中では比較的全国巡業が出来ており、東京以外の主要都市でもビッグマッチを定期的に開催している。
通常の巡業に加えて年始の6人タッグリーグ「TRIANGLE DERBY」、春のシングルトーナメント「シンデレラトーナメント」、夏のシングルリーグ戦「5★STAR GP」、秋のタッグリーグ戦「GODDESSES OF STARDOM」、年末総決算でもある両国国技館大会の「DREAM QUEENDOM」この5大ビッグマッチが現在のスターダムの恒例行事である。
沿革
第1回ゆずポン祭開催──新団体「スターダム」旗揚げへ
遡ること2010年10月31日、新木場1stRINGで開催された、愛川ゆず季プロレスデビュー戦「ゆずポン祭」に向けて、愛川ゆず季の指導として動いていた元人気女子プロレスラー・風香のもとに、プロレスラーを目指す少女達が集まり始めたのがひとつの契機となり、ゆずポン祭プロデューサーのロッシー小川(小川宏)に依頼して、新団体旗揚げへ動き出した。これがスターダムの原型である。
新団体旗揚げへのもうひとつのきっかけは「NEO女子プロレス」の解散発表があり、風香は「NEOの解散がなければスターダムの旗揚げは考えてなかった」と語っており、「NEOの後継団体」と位置づけている。
新団体の代表には女子プロレス団体運営で定評のあるロッシー小川が就任し、ゼネラルマネージャーとして風香が、またプレイングマネージャーとして「全日本女子プロレス(以下全女)最後のWWWA女王」高橋奈苗がそれぞれ就任。ここに2011年1月23日、新木場1stRINGにてスターダムが旗揚げ興行を開催、小さな産声を上げたのである。
聖地・後楽園ホール、両国国技館進出へ
旗揚げ後は新木場を拠点に活動し、半年後には「プロレス・格闘技の聖地」後楽園ホールへの初進出を果たした。
当時団体のエースであった愛川ゆず季は数々の試合を見せていき時にはDDT両国大会などでの「アイアンマンヘビーメタル級王座選手権・ロイヤルランブル」にも参戦したり、ブル中野引退興行ではメインに抜擢されるなど大活躍を繰り広げスターダムをけん引にした。
その甲斐あって2012年には年4回の後楽園大会や地方大会も行い、さらに2013年4月29日には、団体としては初の両国国技館でのビッグマッチ「STARDOM CHAMPIONS FIESTA2013〜両国シンデレラ〜」の開催が決定。両国国技館での女子プロレス興行は、2007年2月12日のLLPW(現LLPW-X)以来6年ぶりの開催となった。
奇しくもこの初の両国大会は、2012年12月28日に引退を発表した愛川ゆず季の引退興行も兼ねた大会となり、アイスリボン勢やセンダイガールズプロレスリングの里村明衣子、「全女の飛翔天女」豊田真奈美といったレジェンド女子プロレスラーの参戦に、スターダム4大タイトルマッチも行われ、熱い戦いが繰り広げられた。
全試合終了後、大会を総括したロッシー小川社長は「年に1度開催できるように、目標1年後を目指して頑張りたい」と第2回両国大会の開催に強い意欲を示していたが、その後後述するブシロードに譲渡されるまでは2回目の開催は出来なかった。
愛川引退後も後世Ⅳ虎、紫雷イオ、宝城カイリ、岩谷麻優らが中心となって戦いを繰り広げていたが、選手間での事件やトラブル、所属選手の離脱や引退なども重なり日本国内では後楽園ホール以上でのビッグマッチの開催がなかなか出来ずジレンマに陥っていた。
ブシロードに事業譲渡
2019年にブシロードグループの株式会社キックスロード(12月1日付でブシロードファイトに商号変更)にスターダムの女子プロレス運営事業を譲渡を発表。今後さらに団体を伸ばしたいロッシー小川と海外戦略の一環として女子プロレスにポテンシャルを感じたブシロードの考えが一致した為の決断であった。これにより代表取締役社長がブシロードで新日本プロレスでも社長経験のある原田克彦となり、ロッシー小川はエグゼクティブプロデューサーと言う立場になった。
また2020年1月からTV番組「We are STARDOM!!〜世界が注目!女子プロレス〜」が放送開始。ネット方面ではYouTube活動のInstagramの選手の活用の活性化など知名度向上に力を入れてる。
コロナ禍での躍進
2020年、飛躍の年になると思われた矢先に新型コロナウイルスの流行で思うような興業ができなくなったが、いち早く無観客試合の開催やその後の感染対策を徹底したおかげでコロナ以前と同じような興業推移を維持することに成功。
2021年は旗揚げ10周年と言う記念年のため日本武道館、大阪城ホール、両国国技館と大箱大会も実施され規制動員など厳しい状況であったが満員に近い動員を記録。売り上げも前年比の2.5倍になるなど新日本プロレスを含むプロレス団体が集客に苦しむ中売り上げを伸ばすことに成功した。
2022年は若手主体の興行「NEW BLOOD」、プロレスを別の切り口で行う「SHOWCASE」と別のブランドをそれぞれ開催。3月26日、27日に両国国技館2連戦を実施。コロナ対策での集客ではあるが満員動員を達成している。
2022年7月の戦略発表会では買収前の1.8億円から3年で10億円まで売上を伸ばし新日本プロレスに次ぐ業界2位の地位まで引き上げることに成功。また全日本女子プロレス以来の女子プロレスの巡業バスを手配したことを発表した。
女子プロレス界20年振りの横浜アリーナ進出と見えてきた課題点
2023年4月23日に横浜アリーナが開催され5,539人動員と旗揚げ以来最高動員を記録した。
年商も15億と順調に見えてた上半期に比べ、下半期は選手の怪我による主要選手の大量欠場、対戦カード変更、更に直前の試合開始時間の変更とトラブルに見舞われた。この事態にオーナーである木谷高明等上層部が謝罪し体制の改革を明言した。その後代表取締役を原田克彦から岡田太郎に交代となり、今まで問題になっていたフロントと選手の問題を改善するとの声明を出した。
2024年2月4日付けで小川宏(ロッシー小川)が所属選手、スタッフに対して契約違反の引き抜き行為をおこなっていたことが発覚し、エグゼクティブプロデューサーの契約を解除を発表した。
事前の情報をブシロードファイトが感知して最悪の事態は免れたが、結果として5人の所属選手が退団する事態になってしまった。こうした中で暫くは社長に就任したばかりの岡田太郎がマッチメイクを受け持つ形となり当分は団体を安定させるための経営を行う事を改めて宣言した。
新体制発足と新日本プロレスの子会社化
2024年4月より新体制発足。今まで比較的消極的だった他団体進出や海外進出を増やしていく方向性となる。また6月より新日本プロレスの完全子会社になることが発表されており株式会社スターダムに社名も変更となる。
新体制後は今までやれていなかったスターダムワールドの生配信かチケット価格の見直し、スケジュールの見直しと問題点を改善して今までの不満点や問題点を改善。
リング内はユニットの刷新や今までの序列の見直しを行い今までの体制とは異なる模様を見せている。
新日本プロレスとの関係
ブシロードグループになった事で同じ親会社の傘下である新日本プロレスとの関係にも注目が集まった。
事業譲渡すぐの報道では団体間の交流は直ちには行わないと言う方針だったが、2020年1月4日の東京ドーム大会で提供試合と言う形で参戦。以降も定期的に提供試合が行われ各々のYouTubeチャンネルやSNS、PR等でリング外のコラボレーションなどグループになったことで団体間の交流は活発に行われている。
また2022年7月の新日本プロレスの戦略発表会では今後海外で興行を行う際には女子の試合の提供を行いその際にはスターダムの選手と連携してやって行くという趣旨の発表もあり、2023年以降はNJPW STRONGの興行にて女子部門の試合でスターダムの選手が実際に派遣される事が頻発しており、両団体の距離が更に近くなる事となった。
2022年11月20日にはブシロード15周年記念大会の一環として有明アリーナで新日本プロレスとの合同興行「Historic X-over」が開催。そこでは「IWGP女子王座」の初代王座決定戦がメインを務めた。
2024年6月27日からは新日本プロレスの完全子会社となった。翌日の後楽園ホール大会に代表取締役社長の棚橋弘至が来場しグループの結束強化をアピールした。
団体の特徴や現在のレスラーの参戦状況
スターダムは交流が比較的盛んな現在の女子プロレスの業界では大規模な団体対抗戦は行わず、本体興行は所属選手と、「団体の理念に賛同した」一部フリーランスの選手をメインに行われる。所属選手の派遣にはブシロード体制後は積極的な考え方であり上記の「NEW BLOOD」開催を皮切りに他団体へ登場も果たしていた。
ロッシー小川が契約解除されてからは開国体制を強化しており所謂「遺恨」のある団体や選手とは岡田太郎体制以降は柵がなくなりつつあるのが現状である。
なお毎年行われるプロテストに合格した生え抜き選手は〇期生と言う形でデビューしている。
ユニット抗争が比較的活発的なのも特徴的で現在ユニットは岩谷麻優を中心とする正規軍の「STARS」、STARSと袂を分かった中野たむが立ち上げった「COSMIC ANGELS」、朱里が中心で立ち上げた「God's Eye」、白川未奈と舞華が合体した「E neXus V」、スターライト・キッド中心となった同年代ユニット「NEO GENESIS」、刀羅ナツコが大江戸隊を廃止して再スタートした新しいヒールユニット「H.A.T.E.」と合計で6つのユニットが存在する。
このユニット抗争は頻繁に離脱や移籍、敗者強制加入、裏切りと言った形で状況次第では立場が頻繁に入れ替わるのもスターダムの特徴と言っても過言ではない。
所属・参戦選手および所属ユニット
STARS | COSMIC ANGELS | God's Eye | E neXus V |
---|---|---|---|
|
NEO GENESIS | H.A.T.E. | 無所属・他団体ほか |
---|---|---|
|
※選手名の()は生え抜き選手で何期生かを表す。表記がないものはフリー及び他団体からの移籍選手。
※太字はユニット内のリーダー。
※他団体の【】は所属団体名。
主要スタッフ
- 岡田太郎(代表取締役社長)
- 村山大値(レフェリー)
- バーブ佐々木(レフェリー)
- デューク佐渡(レフェリー)
- 安藤頼孝(リングアナウンサー)
- 小坂井ゆりえ(リングアナウンサー)
- 渡瀬結月(リングアナウンサー)
- 立石凛(リングアナウンサー)
主な王座タイトル
- ワールド・オブ・スターダム王座
- 国内外・団体内外問わず女子プロレスの最高峰タイトルを目指して作られた王座。かつての全日本女子プロレス(全女)の至宝だった「WWWA世界シングル王座」をモチーフにしている事から「赤いベルト」とも呼ばれている。
- 2011年7月24日に高橋奈苗が初代王座を戴冠、7回防衛に成功した。
- 最多防衛記録は第7代王者・紫雷イオの14回。
- ワンダー・オブ・スターダム王座
- 団体所属及び参加選手で争われるスターダムの象徴とも言うべき王座。こちらは同じく全女の至宝「オールパシフィック王座」をモチーフにしている事から「白いベルト」とも呼ばれている。
- 2011年7月24日に愛川ゆず季が初代王者に輝き、自身の引退までに8回防衛を達成後、2013年4月2日に返上。なお、2013年4月29日両国大会で、初代ワンダー王座のベルトは愛川ゆず季が保持することになり、現在は2代目のベルトが使用されている。
- 最多防衛記録は第16代王者・上谷沙弥の15回。
- ゴッデス・オブ・スターダム王座
- スターダム初のタッグ王座。ベルトの色は黒で、星形プレートの色はシルバーとゴールド。
- 初代王者チームには愛川ゆず季と美闘陽子の「BY砲」が戴冠。通算2回の防衛に成功している。
- 最多防衛記録は第8代王者「サンダーロック」(紫雷イオ&岩谷麻優)の10回。
- アーティスト・オブ・スターダム王座
- スターダム初の6人タッグ王座で、女子プロレス界では珍しい6人タッグ王座でもある。3本のベルトの色はオレンジ、ピンク、スカイブルーとそれぞれ異なる。
- 2013年1月14日の後楽園ホール大会で初代王者決定戦が行われ、夏樹☆たいよう&鹿島沙希&安川亞斗の「川崎葛飾最強伝説プラスワン」が初代王者組として戴冠したが、安川惡斗の長期欠場により王座を返上。その後2013年6月23日の新木場大会で第2代王者決定戦が行われ、米山香織・宝城カイリ・夕陽組が第2代王者組となった。
- 最多防衛記録は第25代王者・中野たむ、白川未奈、ウナギ・サヤカ組(COSMIC ANGELS)と第26代王者・舞華、ひめか、なつぽい組(Donna del Mondo)の7回。
- フューチャー・オブ・スターダム王座
- 20歳以下、キャリア3年未満のいずれかを満たす選手を対象とした王座。2018年2月創設。同年3月28日の後楽園ホール大会で初代王者決定戦を行い、スターライト・キッドが初代王者となった。
- 最多防衛記録は第10代王者・吏南の11回。
- ハイスピード王座
- 女子プロレス界で最も速く戦う選手で争われる王座で、元々はNEO女子プロレスが管理していたが、NEOの解散に伴いスターダムにベルトの管理権が譲られ現在に至る。タイトル戦は30分一本勝負で行われ、まさに「超音速バトル」とも言うべき戦いが展開される。
- スターダムではNEO時代からの王者・夏樹☆たいよう(現・SEAdLINNNG)が防衛を重ね、ベルトの価値を高めてきた。「ハイスピードのベルトは自分が人生をかけて築き上げてきたもの(本人談)」。
- 最多防衛記録は第22代王者・AZMの11回。
- IWGP女子王座
- 新日本プロレスが管轄するチャンピオンベルト。防衛戦は主に新日本プロレスの海外興行や合同興行、また国内の新日本プロレス、スターダムのビッグマッチで使用される。
- 初代王座は2022年10月からトーナメントが行われ国内枠では岩谷麻優、林下詩美、ひめか、渡辺桃。インターナショナル枠ではアルファ・フィーメル、アーバ・ホワイト、KAIRI(シード枠)が参加。
- トーナメントの決勝戦は2022年11月20日の有明アリーナで開催した新日本プロレスとの合同興行「Historic X-over」で行い、KAIRIが初代王座となった。
- STRONG女子王座
- 新日本プロレスが管轄するチャンピオンベルト。防衛戦は主に新日本プロレスの海外興行である別ブランド「NJPW STRONG」で使用される。
- 初代王座は2023年5月22日にNJPW STRONGのアメリカロングビーチのウォルターピラミッドで1DAYトーナメントが開催され、AEWからウィロー・ナイチンゲール、CMLLからステファニー・バッケル、スターダムから向後桃、そして新日本プロレス枠でメルセデス・モネが参加しウィロー・ナイチンゲールが初代王座となった。
最多防衛記録は第2代王者・ジュリアの9回。 - NEW BLOODタッグ王座
- NEW BLOODブランドで管轄するチャンピオンベルト。防衛戦は主にNEW BLOODで使用される。
タイトルホルダー(2024年8月31日時点)
タイトル | 選手権者 | 歴代 | 防衛回数 |
---|---|---|---|
ワールド・オブ・スターダム王座 | 中野たむ | 第19代 | 戴冠 |
ワンダー・オブ・スターダム王座 | なつぽい | 第22代 | - |
ゴッデス・オブ・スターダム王座 | 渡辺桃&テクラ | 第34代 | - |
アーティスト・オブ・スターダム王座 | 中野たむ なつぽい 安納サオリ |
第33代 | - |
フューチャー・オブ・スターダム王座 | 吏南 | 第10代 | 11 |
ハイスピード王座 | 星来芽依 | 第27代 | - |
IWGP女子王座 | 岩谷麻優 | 第3代 | 6 |
STRONG女子王座 | メルセデス・モネ | 第4代 | 1 |
NEW BLOODタッグ王座 | 吏南&稲葉あずさ | 第3代 | - |
関連リンク
関連項目
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