拳銃(けんじゅう)とは、銃の一種である。ちなみに「拳」は常用漢字ではないので一般メディアでは「けん銃」と表記される。また短銃、ピストル、ハンドガン等と呼称される場合もある。
概要
銃の中でも、片手で保持・射撃できるほど小型で軽量な物全般を指す(ただし実際は両手で保持するのが理想である[1])。
逆を言えば小型軽量という要素にほとんど全振りしてしまっている。
通常ライフルなどに比べて小型の弾薬(拳銃弾)を用い、銃身が短く、銃床などを持たないため銃器としては精度・射程・威力に乏しい部類に入るが、携帯性が高いため警察の携行武器や軍隊におけるサイドアーム(予備の武器)として幅広く用いられている。小銃(ライフル)と比較し非常に小型軽量なため、戦車やヘリ、戦闘機の搭乗員などが護身用に装備している場合もある。[2]
軍隊では全員が持っているわけではない
FPSなどゲームにおいては、敵味方の兵士がもれなく持っていたり、装備できたり、弾切れの際に取り出して使用するシーンも多い…が、拳銃自体が短射程で当てにくい割に意外と高価であり十分な訓練がなければ命中は難しいため、全員に配ればコストが嵩んでしまう。
憲兵[3]・指揮官・特殊部隊でもなければ通常の兵士は小銃(現代ではアサルトライフル)以外は持ってない場合がほとんど。前線で戦う歩兵部隊などの戦闘職種などは拳銃の射撃訓練を行う場合はある。
武器自体が非常に重い、それ自体が近距離における銃撃戦に向かないなど
対戦車兵器の砲手や機関銃手、狙撃手が副武装として持っている例は珍しくない。
小型軽量を活かしたもの
近年では室内・船内・閉所などの近距離戦闘(→CQB)における取り回しのよさから、拳銃の有効性を評価する向きもある。そのため昔より任意でフラッシュライトやドットサイト・サプレッサーといった豊富なアクセサリーが装着可能な拡張性のある拳銃も多く発売されている。
ただし相手がボディーアーマーなどを着込んでいた場合、拳銃弾では効果が薄いといった問題もある。
(1997年のノースハリウッド銀行強盗事件など)
有効射程
拳銃であれば50m先の人間に当てれば、まぐれでもすごいというレベルなのだが
アサルトライフルは50mなど普通に当ててくる。(200mだと腕前でばらつきが出る)
見通しの良い広い屋外において中距離以上でライフル相手に拳銃で撃ち合うのは無謀。
形式
自動(オートマチック)式
現在主流の形式。発射時の反動エネルギー、または発射ガスの圧力を利用して発射後の空薬莢を排出し、弾倉から次弾を装填する機構を持った形式の物。
装填弾数を多く出来、撃ちつくした際の再装填も「弾倉を差し替えるだけ」と容易なため、軍用拳銃では早くからがオートへの転換が進んでいた。
射撃時にスライドが自動で引かれることにより撃鉄が起きるので常にシングルアクションで発砲できる。初弾はダブルアクションで撃つか、手動で撃鉄を起こすことでシングルアクションでも撃つことができる。撃鉄が下りている状態では引き金が重く、引く範囲も広くなっているため、大半の拳銃はセーフティを外した状態でも携行できる。
自動拳銃、自動式拳銃とも呼ばれる。
回転弾倉(リボルバー)式
レンコン状の弾倉に弾が装填され、一発撃つ度に回転させることで連射を可能にした形式の物。射撃時、引き金を引くだけで弾倉が回転し撃鉄が起こされ、撃発する物をダブルアクション(引き金により発射準備、撃発の二つの動作が行われる事から)、手動で撃鉄を起こし弾倉を回転させ、引き金を引き撃発する物をシングルアクションと呼ぶ。ちなみに自動式拳銃よりも先に発明された。
弾薬の装填数や連射速度では自動式に劣るが、部品点数が少なく安価で頑丈、動作が簡単で撃発の確実性・信頼性が非常に高いため、拳銃所持が可能な国では実用的にこちらを持ち歩く者も少なくないと言われる。護身用に置いておく場合など、万一の際に撃てなくては困るという場合にも最適。
従来警察用ではリボルバーが主流であったが、近年ではオートへの転換が進んでいる。
後述のマグナムにおいては回転式拳銃が主流。
ただし回転式拳銃=マグナムではないし、護身用の扱いやすい小口径のものもある。
その他の形式
銃身をヒンジを軸に折って直接後端に装填する中折れ式、ライフルのものと同様のボルトアクション式、手動でスライドを前後させて装填する手動装填式なども存在するが、あまりメジャーではない。
隠匿性を最も重視するような場合では上下二連銃身の中折れ式(デリンジャー)が用いられたりもする。
その他の拳銃にまつわる用語
マグナム
使う弾丸はほぼ同規格ながら、薬莢をより長いものや太いものにして装薬量を増やし強化した弾薬、およびそれを装填することを前提に設計された銃のこと。拳銃のみならずライフル弾等でも用いられる用語であり、回転弾倉式=マグナムではない。
強力な弾薬でも確実な動作が容易なことから、構造が単純で頑丈な回転式拳銃を使うものが多い。
ちなみに、同一の薬莢のまま無理やり装薬を増やしたり火薬自体を変更したものは、+P弾薬やホットロードと言うものに分類される。
拳銃の場合の主な実践的用途は、猛獣や麻薬等によって極度の興奮状態で暴れている犯罪者をサイドアームで即座に制圧しなければならないような場合程度である。
そのような特殊なケースを除けば、銃弾の直撃を受ければどの道動けなくなるほどのダメージを受けるのはどんな弾でも変わらず、拳銃弾である以上ボディアーマーに対する特性も大して変わらない為、基本的には趣味の為の(平たく言えば、週末にアメリカ人が射撃場で「HAHA!Watch my great shot,son!」「Dady,cool!」する為の)物である。
ちなみに、前述のような用途には.44 Magnumや.357 Magnum等の弾薬が適しているとされ、それ以上の物(50AEとか)は反動が強いばかりで実戦向けではないとされる。
また、その「強力な銃」というイメージからかゲームなどではライフルよりも強力な最強武器として扱われることも多いが、弾の発射エネルギーや殺傷能力はライフル弾に劣る。確実な制圧力を求めるなら素直にライフルを使うか複数発撃ち込む方が早い。
機関拳銃(マシンピストル)
拳銃にフルオートやバースト射撃の機構を組み込んだもの。またイングラムMAC10やマイクロウージー、ステアーTMP等小型の短機関銃(サブマシンガン)もこの分類とされる場合が多い。
小型で至近距離での火力が稼げるため、閉所での機動性を求められる特殊部隊や設備の警備部隊等での使用の研究が進んでいるほか、戦車や航空機等の乗組員の非常時の自衛武器などとして運用される場合がある。
しかし、拳銃であるので当然その反動の制御は難しく、フルオートやバーストでの射撃による命中率は極めて低い為、軍隊や警察などでの運用は極めて少ない。
ちなみに、ドイツ語のMaschinenpistoleは読みと元々の意味こそ機関拳銃ではあるが正しい意味は短機関銃である。
※拳銃弾を使用するが、安定して構え射撃・連射が可能なものは 短機関銃 の項目を参照。
日本での所持
ご存知の通り銃刀法により厳しく規制されている。レーザー銃等の競技射撃で好成績を収めた一定数の者(ただし現在欠員中らしい)のみ、練習・競技時以外警察に保管することを条件として所有が認められており、一般人が所持することは基本不可能である。これはライフルや散弾銃より厳しい規制で、威力云々よりも携行によるテロや犯罪の抑止のためである。
ちなみに、日本ではなくなってしまうが海外で金庫を借りたり保管代行をしてもらうことで自分の物として所有することは無論可能である。
日本で拳銃を撃ちたい!
自衛隊の場合、指揮官もしくは前線での戦闘を想定した戦闘職種でなければアサルトライフルしか使えない場合が多いので注意。(拳銃では射程が短すぎ、長距離を安定して狙えないため)
日本で拳銃の携帯・所持が許可されている職業の種類一覧 - いちらん屋(一覧屋) (ichiranya.com)
とにかく拳銃を撃ちたい!
海外においては射撃場などで体験可能な場所もある。
ただし銃自体が引き金周り鎖を通されて繋がれ、自由度が若干低い場合もある。
中には密造・既存のモデルガン等を違法改造する人も居るが…
暴発や銃自体が爆発するといった事故も多いため、絶対にやめよう。綺麗事を抜いたとしても
目の前で銃が爆発すれば、顔面や眼球を激しく損傷(失明)する…といえば危険性が分かるだろうか?
形だけならエアガンで我慢する方法もあり、比較的安価ではあるのだが
一部の格安粗悪エアガンは普通に命中精度が悪いので要注意。
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関連項目
脚注
- *正確に言うと、拳銃の両手持ちが実戦的な射撃技術として広まったのは1950年代以降の話であり、それ以前は片手で保持するのが通常であった。それを知った上でWW2を扱った戦争映画と現代が舞台のガンアクションなんかを見比べると面白いかもしれない
- *戦車においては短銃身・折曲式の銃床の小銃・短機関銃などを装備している場合もあるが、戦闘機などは狭すぎてライフルを置くスペース自体が無かったりする。
- *憲兵:軍隊内の秩序を守ったり取り締まる「警察」。自衛隊においては警務科・警務隊などが担当している。
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