「落ちこぼれの子」も「浮きこぼれの子」も個性を奪われる、アベレージ教育の功罪写真はイメージです Photo:PIXTA 

10年、20年先の社会の変化を見据えて、子どもの教育を考え始める親が増えている。幼児から高校生まで教える人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表が、教育の新潮流から、子供の学力の伸ばしかたのヒントなどを解説する。連載第8回では新しい教育に関して、具体的な予兆やそれに親がどう対峙すべきかなどを考える。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)

新しい教育で注目のテーマとは?

 この連載では中学受験に的を絞り、さまざまな受験対策のヒントをお話しすると同時に、今、意識の高い親たちが見据えている「新しい教育」についても適宜お話ししてきました。

 世界の状況がめまぐるしく変わるなかで、ひとりひとりが今ある自分の資質と個性を頼りに、これからの世の中を生き抜いていかなくてはなりません。

 今回は日本の現在の教育システムの何が問題で、今後目指すべき方向性はどこにあるのかがテーマです。

 長年の学習塾経営の知見と、もう一つの仕事として取り組んでいる欧米チームで活躍する日本のサッカー選手のサポートの経験から、ひとりひとりの個性と能力を最大限に伸ばすための教育とはどういうものか、どのようなシステムならそれが可能なのか、そして、現場で起こりつつある新しい教育の胎動などを具体的に解説します。

 新しい教育を論じるには、まず、日本の戦後教育の特徴だった「アベレージ教育」の功罪について考える必要があります。