ウォーレン・バフェット氏、ジョージ・ソロス氏と並び世界三大投資家と称される著名投資家のジム・ロジャーズ氏。特集『総予測2025』の本稿では、希代の勝負師に、株価暴落の危機と個人投資家の心構えについて話を聞いた。(国際ジャーナリスト 大野和基)
金融危機発生は数カ月以内!
歴史は繰り返す
――あなたは以前から「早晩、金融危機が来るだろう」と発言しています。2025年の米トランプ政権下でも、その考えは変わりませんか。
私は常に歴史を重視します。歴史を振り返れば、金融危機は数年ごとに必ず発生してきました。それは、誰が政権を取っても同じこと。かなり近いうちに、危機が来るでしょう。
最後に危機があったのは08年。もうだいぶ時間が空いていますよね。こんなにも金融危機がないのは、米国の歴史上、最長期間でしょう。従って、危機は遅くても数カ月以内に発生するのではないかと予想します。
――24年夏に日経平均株価が暴落しました。次にまた暴落するとしたら、どんな予兆があるでしょうか。
予兆の一つは、株の初心者がたくさん株式市場に入ってきて、「金もうけは簡単だ」と興奮しながら話していることです。どうです?まさに今ではないでしょうか?
最近は毎日、皆が叫びながら株を買っている状況ですが、それでもまだwild exuberance(激しい熱狂)の域までには到達していません。でも、その時がもうすぐ来ることは分かります。
だから、私は多くの現金を持っています。次に起きるsell-off(株価の急落)が、今までの人生で最悪になるかもしれないからです。
次のページでは、株価暴落が近いことを前提の上で、ジム・ロジャーズ氏が大注目する新興市場について明かします。加えて、株以外に投資する商品の魅力とは?迫りくる危機への備えを徹底的に語ります。