[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

女ひとりで競輪を見にいったら、おじさんたちと楽しい交流が生まれた話

松戸競輪場でレースにのぞむ選手たち

「けんたろー!」「けんたろー、行けっ、行けえー!」。2019年1月6日、年明け最初の日曜日、私は千葉県松戸市にある松戸競輪場にいました。

声援を送るというより、絶叫(?)しながら、決勝となる第10レースに出走した関根健太郎選手(28歳、神奈川)の下のお名前を連呼していたのです。

競輪場は天井がなく、だだっ広い陸上競技場のような作りです。抜けがあるせいか、はたまた女性が少ないせいか、私の高くもなく低くもない声は、会場中に響き渡りました。叫びすぎた、かも……。

入場無料。施設内でカジュアルなイベントも

競輪はご存知、公営ギャンブルのひとつです。数年前にボートレース(競艇)の仕事を手伝ったのをきっかけに、ボートレース場は東京都内や関東近郊を中心に数カ所行ったことがあります。

競馬もずいぶん昔ですが、一度だけ見にいきました。公営競技のなかで、競輪とオートレースはまだ見る機会がなかったんです。

今回、知人が競輪選手と知り合い、「競輪、1回見てみて。面白いよ!」と勧めてくれたおかげで、見にいこうと思い立ったのでした。

さて、JR常磐線の北松戸駅を降りて1〜2分。住宅街のなかに競輪場はありました。唐突に出てきた感じです。

入場は無料。正門で出走表を1枚もらって施設内に入ると、建物が多く、ショッピングモールのような雰囲気もあります。

この日は「松戸パンサミット」という、パン屋さんが複数出店するイベントを開催していました。食事やおやつにぴったりのパンやスープが販売され、ギャンブル感が薄れている感あり。

発見がたくさん! 選手を近い距離で見る楽しみ

食堂的な建物もありました。定食やカレーなど、学食を思い出させるような、がっつり系で美味しそうなメニューが並んでいます。

しばらく施設内を歩き回った後、レースを観戦するためにメインスタンドへ。時間は13時半前でした。13時35分に発走する第6レースを真剣に見ることに。

選手が順に入場してくる

メインスタンドの1階からは選手の姿をごく近くから眺めることができます。建物内にいてもまあまあ近い距離ではありますが、せっかくならできる限り近づいて見たい!

ということで、外に出て、正面の選手入場門から選手が入場し、スタート位置につくのをしっかり見届けます。

全員ユニフォームの色が違う・番号が付いているので、遠くを走っていても誰が誰だかわかる

スタート前、選手たちはレーサー(レースで使用する自転車)の後輪を「発走機」と呼ばれるマシンに固定するのですが、今回初めて知りました。

とても近くで見たことで、もうひとつ、発見というほどでもないかもしれませんが、気づきがありました。それは、「競輪選手はボートレースと同様、細身体型の人が多いのかな?」と思っていたら、意外とそうではなかった、ということ。お腹周りがポコッとしている選手も意外と多くいました。

ただ、脚には大注目です。太もも、ふくらはぎの発達がハンパない! プロレスと相撲が好きで、アスリート特有の発達した筋肉を日頃から見ている私は、どうしても筋肉のつき方をじっくり見てしまいます。

わずか100円の賭け金で楽しめる

そうこうするうちに、いよいよレースがスタートしました。ヨーイドンで最初から全力で走行するのかと思いきや、みんなノロノロ走っています。まずは自分にとって有利な位置取りをする時間なのだとか。

はじめは、選手たちが風圧で不利にならないよう「風除け」役となって、規定の位置まで先頭を走る「先頭員」と呼ばれる人が出てきて、一番前を走ります。これを「周回」と呼ぶそうです。

2階席に移動して撮影。一列で綺麗

その後を選手たちが一列になって周回する姿が美しい……! 出走人数が7人のときは白、黒、赤、青、黄、緑、橙という7色、9人のときはさらに桃、紫が加わるのですが、いろいろな色のユニフォームを着た選手が並ぶ様はとても綺麗です。

先頭員がいなくなると、いよいよラストスパート。後方を走っていた選手がものすごいスピードを出し始めて、前を走る選手をごぼう抜きする、という事態が普通に起こります。

最後の1周でもどんでん返しが起こります。本当にラストまで何が起きるかわからない、というのが競輪でした(稚拙なコメントですみません……)。

初めて生で見るレースに「面白い!」と感じた私は、第7レースから各レースにつき100円賭けてみることに。

私が購入した車券。400円でドキドキ、ワクワクを楽しめる

まずは、1着から3着に入る選手の組み合わせを当てる「3連複」でトライ。以前、ボートレースを見にいったとき、3連複で舟券を買ったのを覚えていたからです。

予想した車番をマークシート式の用紙に記入して、硬貨と一緒に機械に入れると、すぐに印刷された車券が出てきます。かなり簡単!

しかし、3連複以外にも車券の種類はいろいろあります(全7種類)。それがイマイチわからないし、強いと思われる選手が誰かもわからないので、周りにいたおじさんに話しかけてみました。

おじさんたちという「先輩方」とコミュニケーション

私「あのー、2枠複とか2枠単、2車複、2車単ってなんですか? どう違うんでしょうか?」

おじさんの出走表を見せてもらう。右端には、おじさんの長年蓄えてきた知識と分析による謎の数字が

おじさんは出走表を指さしながら、枠番や車番について言及した後、2枠複・2枠単・2車複・2車単の違いについて解説してくれました。

確かによく見ると、1〜7、あるいは1〜9までの車番(選手のヘルメットやユニフォームに書いてある番号)だけでなく、その横に枠番というものがあるではありませんか。

そんな基本的なことにいまごろ、気づいたのです。突然、競輪に行こうと思い立ち、ほとんど知識がないまま行ったことを後悔しました。しかし、無知すぎるからこそ、おじさんは楽しそうに教えてくれます。

普段は自分と同程度に競輪の知識が抱負な仲間と接しているからこそ、何も知らない競輪ビギナーすぎる私に、とても親切にしてくれました。

競輪場にいたおじさんが「プレゼント」してくれた車券

別のおじさんは第8レースの車券を複数種買って、私にプレゼントしてくれました(「これ持っておきな」と託してくれました。優しい)。1レースにつき100円しか賭けないと決めているケチな私とは比べ物にならないくらい、大胆な賭け方に見えます。

結局勝つことはありませんでしたが、何を見て予想するのか、どの選手が強いのかなど、日頃出会わないタイプのおじさんたちとの競輪トークは面白かったです。

「先輩っ!」「先輩っ、教えてください!」と言うと、おじさんたちもニコニコして接してくれました。ひとりで行ったからこそ生じたやりとり。

優勝選手インタビューの様子

最後に優勝選手の表彰式を見て、競輪場を後にしました。優勝選手は冒頭の関根健太郎選手。爽やかなハンサム青年です。レース中はゴーグルとヘルメットを装着していて顔が見えませんが、素顔はとびきりキュートで、質問に対する丁寧な答え方、笑顔に、私、とても癒やされていました。

他の競技のように「イケメン」とか「シブメン」みたいな切り口で打ち出せば、競輪場にもっと女性が増えるのではないかしら? そんな風に思ったりもしました。

男子競輪はS級S班を筆頭に、S級1~2班、A級1~3班の6つの級・班に分けてレースをしているそうで、今度はS級のレースを見にいくつもりです。今度は、KEIRIN GUIDEを読み込んで勉強してから。

この広い世界には、自分が見ていないものがまだまだたくさんあります。誰かと行くこともあるけれど、ひとりで行く機会も設けて、ひとりだからこそ味わえる経験、ひとりだからこそ出会えるヒト・モノ・コトとのやりとりを楽しんでいきたいです。

この記事をシェアする

「ひとり体験」の記事

DANROクラブ

DANROのオーサーやファン、サポーターが集まる
オンラインのコミュニティです。

もっと見る