[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

「社内副業」ってそれは「副業」では無いんじゃないだろうか?

»

 先日社内副業を義務化したという企業のニュースを見た。その後NHKニュースで突然「平成30年は副業元年だ!」とかアナウンサーが叫び始めた。この「社内副業」という言葉に、ちょっと面食らってる。
 副業というのはあくまで「本来の仕事として行い主な収入を得ている本業以外に、別途副次的に仕事をやって(本業とは別のところから)収入を得る」ことだと思っていたからだ。同じ会社の仕事をやって、同じ会社から給料貰っていたら、それは副業ではなく兼務なんじゃね?というのが私の最初の感想だった。

 で、調べてみた。まず「副業とは」で検索すると以下のように出てきた。

副業(ふくぎょう)収入を得るために携わる本業以外仕事を指す。 兼業、サイドビジネスともよばれる。 副業は就労形態によって、アルバイト(常用)、日雇い派遣、在宅ビジネス、内職などに分類される。 また、収入形態によって給料収入、事業収入、雑収入に分類される。(ウィキペディアより)

わざわざ就労形態を説明しているところから推測するに、本業は正社員などの雇用契約下の仕事で、副業はあくまで別の雇用主や直接販売などで収入を得ることと定義していると思われる。
同じような言葉に「兼業」という言葉もあった。「兼業」と「副業」では本業以外の仕事にかけるウエイトが違う。本業と同程度の労力をかけて別の仕事をやる場合が兼業で、本業より低い労力であくまで片手間的にやるのが副業である。

さて、では「社内副業」という言葉はどういう形態を示しているか。
検索してみるとJBPRESSで太田薫さんという方が、会社の日々の仕事の中で空いた時間や閑散期の時間の過ごし方について、意味のない書類整理をしたり他の社員と語り合ったりして時間つぶしをするよりは、あらかじめ「副業」のテーマを登録しておいて空き時間にはそのテーマに基づいて他部署に行って別の仕事をする、ということを「社内副業」制度として提案されていた。

別のこの記事では「社内副業」を

「社内副業」とは、本業(就業時間内)ではない部分で、他部門の業務を行い相応の報酬を得ること。報酬は問わない、賃金・スキル・無償ボランティアなど。自分の意思がある働き方であれば報酬は何でも良い。

と定義していた。報酬は問わないともあるが、会社の中で仕事をしてその報酬が個人のスキルアップや無償ボランティアのみというのはありえないだろう。少なくとも、成績や評価の一部として還元されるのが当然だし、そうだとすると業務命令で他部署応援または兼務しているのと何が違うのかということになる。

多分あえて違いを言うのであれば、手伝う部署や内容を上司ではなく自分で決めるということなのだろう。でもそうなると手伝ってもらう側の部署の都合はどうなるのだろうか。そんなにたくさん手伝ってもらう仕事が用意できるのだろうか、拒否権とか用意されるのか。などなど、「社内副業」という言葉の定義以前に制度として大丈夫なのか心配になってきた。

もうずいぶん前から、会社での時間の過ごし方として予め担当として割り振られた仕事以外に、15%とか一定の割合の時間を自分の好きな仕事に当ててよいという企業はあった。3MやGoogleなどで、この15%の時間を使ってアイデアが生まれて、ポストイットだとかGoogle日本語入力などの新商品・新サービスが出来た話は有名だ。

で改めて、よくよく冒頭に出てきた丸紅のことを書いたニュースを読んでみると、

新ビジネスを検討するために勤務時間の15%を活用することを義務として社員に通知する。
(中略)
社内副業による成果は人事考課に反映させる。

と書いてあるではないか。
それ全然「副業」じゃないから!全社員に新規事業検討の業務的兼務発令が出てるだけだから!義務でしかも成果は人事考課に反映するなら、それは本業だろう!。と突っ込みたくなった。唯一、副業的なのは、本業は勤務時間の85%なのに対し新規事業検討は15%分と時間配分が限定的で、本業よりもウェイトが低いということだけではないか。

念の為に丸紅のホームページを見てみた。案の定、この新規事業検討の義務化とか副業のニュースリリースは掲載されていない。日本経済新聞(あとNHK)には、安易にバズワードをタイトルに使うのは辞めて欲しいものだ。

Comment(0)