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ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

祭り太鼓が聴こえる

2007-07-10 02:18:15 | その他の日本の音楽


 わが町の夏祭りもこの15&16日に迫り、各町内の祭太鼓の練習にもひときわ熱が入っているようだ。で・・・あ~もう、うっとうしいなあ。このクソ暑いのによう、やる気出してんじゃねーよ。と私は、町の辻々に響く太鼓の音に、な~んか苛立っちゃっている昨今だったりするのである。

 まあ、「祭りだ祭りだ祭りでぃっ!」とか言って盛り上がっていられる立場の者は、そりゃ楽しかろうが。

 私なんかの場合はねえ、町内の山車運行の手はずを整え、警察との連絡、弁当の手配、いやあ、あんた、すみませんが2日目の昼間、神輿のほうにも出てもらえないかな、担ぎ手が全然足りないんだよ、おいおい、そんなのは青年部のほうに頼めって、こちとらは夜昼祭りに出ている体力もうないってば、とかなんとか祭りの運行上の世話役を務めなけりゃならない身の上なんであって、もうどうでもいいからとっとと終わってくれないものか、祭りなんて。くだらない揉め事で手を煩わされることなく、な。とか、そういうことしか考えられないんだよな。

 いやもう、酔っ払ってひとの町内の山車に乗り込んで浮かれ騒いだ挙句、勝手に滑り落ちて怪我しておいて賠償金よこせとか言ってんじゃねーよ、ばかやろーめが。
 という気分なのである、当方としては。祭りなんか楽しみにしていられるもんか。その世話をする立場になってみればこれはもう、明確に”やって来た災難”なのよな。

 そりゃまあ、子供の頃は、確かに祭りが来るのが楽しみではあったんだけどね。いつの間にやら厄介ごとでしかなくなっていった。いや、根が祭り好きな奴は、そんなゴタゴタも含めての祭りであって、いくつになっても夏がやって来ると血が騒いだりするんだろうけれど。

 祭り太鼓の練習と書いたが、あのリズムのパターンというものがさっぱり覚えられない、というか、その構造が理解できない私であって、これは音楽ファン、しかもワールドもののファンとしては、かなりヤバい話ではないかと思う。

 子供の頃からめちゃくちゃ聴き馴染んでいるはずなのに、なぜ、あの音構造が理解できないんだろう。リズムを真似て叩くのは可能だが、それがどのような美意識によって成立しているのかがどうにも理解できない私なのである。
 たとえばブルースコードがどこでサブ・ドミナントへ行くのかなんてことは、ちょっと音楽をかじれば理解は可能なはずなのに、そのようなレベルで祭り太鼓の”曲”の成り立ちの根拠が理解できないのである、私は。(書いている意味がお分かりだろうか?)

 そもそもあの和太鼓の譜面というもの、これが読めない。これも情けない。
 なんだか白黒の丸が十数個並んでいて、それにあちこち”返り点”みたいなものが打ってある、それだけのものなのに、あんなものに拠るだけで、何で延々と太鼓音楽が再現できるのだろう?
 なんだかなあ。まるで、初めてロックバンドに参加したクラシック育ちの学生が、コードネーム頼りにプレイする譜面も読めない仲間たちに「どうしてそんな化学記号みたいなものを見ただけで音楽が演奏できるんだ?」と首をかしげているのと同じじゃないか、その方面に知識のない私は。

 私の町内では山車の上に乗って太鼓を叩く役割は子供たちがやる慣わしだが、その子等は太鼓の練習場に立てかけられた譜面を覗き込んで、フムフムとか頷き、ストトトスットンといつもの夏祭りのリズムを、当たり前の顔をして叩き出しているのであって。
 が、いまさら、「それ何なの?」とは訊けません。生まれてこの方、ずっとこの街に住んでいるんじゃないのか。どちらかといえば、それを教える立場だろうがと言われれば一言もないのである、私は。

 私が子供の頃は、祭りの太鼓は大人たちが叩いていた。子供らは綿飴食って山車を引っ張っていれば良かった。当時、基本的に”学習の意欲”のない私は、太鼓の叩き方なんかに興味も持った事がなかった。そのうち、我が温泉町に斜陽の色が忍び寄り、町内の人口も一気に減少して行った。大人たちは、子供たちに任せるわけには行かない山車の運行にかかりきりになり、太鼓叩きは、なし崩し的に子供たちの役割になった。

 と、時代の流れのせいにするのもいかがなものか、だな。なんとなく見ているだけでも知識を身に付ける機会は十分あったのであって。というか、まともに教えられても多分私は、太鼓を叩けるようにはならなかっただろう、という予感はある。
 要するに私に和太鼓音楽は向いていないんだろうなあ。と、間の抜けた断念を胸に抱きつつ夏の夜は更けて行くのだった。ああ、早く終わってしまわないかなあ、夏祭り。何も事故がなく、でお願いしたい。今年は。


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