カイロウドウケツの網目構造内、胃腔の中にはドウケツエビ(Spongicola venusta De Haan)と呼ばれる小さなエビが棲んでいる。このエビは幼生のうちにカイロウドウケツ内に入り込み、そこで成長して網目の間隙よりも大きくなる。つまりは外に出られない状態となるのである。多くの場合、一つのカイロウドウケツの中には雌雄一対のドウケツエビが棲んでおり、2匹が海綿内で暮らす[1]。なお、編み目から入るときの2匹は雌雄が未分化の状態で、内部でやがて雌と雄とにそれぞれ分化する。ドウケツエビは、海綿の食べ残しやガラス繊維に引っかかった有機物を食べて生活している。また、カイロウドウケツの網目がドウケツエビを捕食者から守る効果もあるとされる。カイロウドウケツ側は特にメリットを享受しておらず、片利共生である。 しかし、時にはカイロウドウケツにとっても有益である。ドウケツエビはスピキュールに引っ掛かっ