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今年の「#文学」
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重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)は、SFTSウイルス(SFTSV)により引き起こされる新興ウイルス感染症である。SFTSを発症した患者には、突然の発熱、下痢や下血といった消化器症状とともに血小板減少と白血球減少がみられ、重症例は多臓器不全に陥り死亡する。日本における致命率は27%と高く1)、現在までにSFTSに対して確立した特異的治療はない。感染経路は主にはマダニ刺咬と考えられているが、ヒトからヒトへの感染例が中国や韓国からは報告されている2)。2013年に日本で初めてのSFTS患者が報告されて以来3)、わが国ではヒト−ヒト感染は認められていなかったが、今回我々は日本で初めてのヒト−ヒト感染例を確認したため報告する。 医師Aは20代男性で当院に勤務していた。2023年4月に、90代男性患者が食思不
2023年10月30日 国立感染症研究所 所長 脇田 隆字 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ウイルスゲノムの変異を繰り返しながら世界中に広がっています。日本国内でも数次に渡る流行を経験し、感染管理や行動自粛、ワクチンなど様々な対策が実施されてきました。今年5月8日に感染症法上5類に指定されましたが、現在も市民の皆様をはじめ、医療従事者や高リスク者のケア従事者、自治体など様々な人々による感染対策が行われています。 10月28日に私たちは感染研の業務やサイエンスの楽しさを知っていただくため、戸山庁舎の一般公開を実施しました。私は4年ぶりに来場者と直接お話する機会を得ました。私にとって生の声を伺うことは大変貴重であり、500人以上の来場者の方々とお話をさせていただくことができました。 その中で、私の意図とは異なる内容が、私の言葉としてSNS等で広まることとなってしまったため、ここ
更新日:2024年8月16日 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は引き続き注目すべき感染症の1つであることから、月報としてまとめております。 注意事項にも記載していますが、報告数は暫定値であり、変更の可能性があるので十分にご注意ください。 新型コロナウイルス感染症サーベイランス 月報 インフルエンザ/COVID-19定点に報告された患者数と基幹定点から報告されたCOVID-19の新規入院患者の集計、並びにゲノムサーベイランスの結果を用いて解釈を行っています。月1回の更新を予定しています。 Figures from the latest COVID-19 monthly surveillance update Fig.1 Number of cases reported per sentinel nationwide Fig.2 Number of new admissions r
掲載日:2022年12月28日 一部訂正:2023年1月13日 国立感染症研究所実地疫学研究センター 同 感染症疫学センター 新型コロナウイルス感染症に罹患し、お亡くなりになった方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。 背景・目的 厚生労働省は、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2という。)感染による重症度等の知見を集積・監視するため、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。)第15条に基づく積極的疫学調査の一環として、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査について(要請)」(令和3年2月5日付け健感発0205第4号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。令和4年2月10日一部改正。)及び「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公
国立感染症研究所 2022年 10月21日 9:00 時点 PDF 変異株の概況 現在、流行する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株は、第20報時点と同様に、B.1.1.529系統とその亜系統(オミクロン)注)が支配的な状況が世界的に継続している。世界でゲノム解析され GISAID データベースに登録されたウイルスの99.9%をオミクロンが占め、その他の系統はほとんど検出されていない(WHO, 2022a)。オミクロンの中では多くの亜系統が発生しているが、BA.5系統が76.2%、BA.4系統が7.0%、BA.2系統が3.9%(いずれも亜系統を含む)と、引き続き世界的にBA.5系統が主流となっており(WHO, 2022a)、日本国内でも2022年7月頃にBA.2系統からBA.5系統に置き換わりが進み、BA.5系統が主流がとなっている。また、国内外でオミクロンの亜系統間のさまざま
掲載日:2022年9月14日 一部追加:2022年9月15日 英語版 国立感染症研究所実地疫学研究センター 同 感染症疫学センター 新型コロナウイルス感染症に罹患し、お亡くなりになった方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。 背景・目的 厚生労働省は、新型コロナウイルス(以下、「SARS-CoV-2」という。)感染による重症度等の知見を集積・監視するため、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。)第15条に基づく積極的疫学調査の一環として、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査について(要請)」(令和3年2月5日付け健感発0205第4号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。令和4年2月10日一部改正。)及び「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚
国立感染症研究所 2022年7月8日時点 PDF BA.2系統の亜系統であるBA.2.75系統が定義された(cov-lineages.org, 2022)。該当する最初の検体は、6月2日にインドから報告されたものである(GitHub, 2022)。7月7日時点で、GISAIDに登録された64件が該当すると考えられ注)、うち48件はインドからの登録であり、マハーラーシュトラ州から最も多くの報告がある。そのほか、英国、ドイツ、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドから報告がある(covSPECTRUM, 2022)。日本ではインドに渡航歴がある者から検疫で検出された1件が該当するとみられるが(6月13日検体採取分)、国内では検出されてない。 BA.2.75系統は、BA.2系統と比較して、スパイクタンパク質にK147E、W152R、F157L、I210V、G257S、G339H、G446
国立感染症研究所 2022年7月1日9:00時点 PDF 変異株の概況 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株は、第17報時点と同様に、B.1.1.529系統の変異株(オミクロン株)が支配的な状況が世界的に継続している。世界でゲノム解析され GISAID データベースに登録されたウイルス株のほぼ全てをオミクロン株が占め、その他の変異株はほとんど検出されていない。オミクロン株の中では、BA.2系統、BA.2.12.1系統、それ以外のBA.2系統の亜系統(BA.2.x)、BA.4系統、BA.5系統がそれぞれ36%、17%、12%、9%、25%を占めた(WHO, 2022a)。国内では、令和4年2月頃に全国的にデルタ株からオミクロン株のBA.1系統に置き換わり、その後、さらにオミクロン株のBA.2系統に置き換わり、現在の感染の主流系統となっている。B.1.1.529系統については、各国
国立感染症研究所 2022年6月3日9:00時点 PDF 変異株の概況 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株は、第16報時点と同様に、B.1.1.529系統の変異株(オミクロン株)が支配的な状況が世界的に継続している。世界でゲノム解析され GISAID データベースに登録されたウイルス株のほぼ全てをオミクロン株が占め、その他の変異株はほとんど検出されていない。オミクロン株の中では、BA.2系統、BA.4系統、BA.5系統がそれぞれ94%、0.8%、1%を占めた(WHO, 2022a)。令和4年2月頃に全国的にデルタ株からオミクロン株のBA.1系統に置き換わり、その後、さらにオミクロン株のBA.2系統に置き換わり、現在の感染の主流系統となっている。B.1.1.529系統については、各国での流行拡大に伴い変異が進み、亜系統の分類が進められている。また、国内外でオミクロン株間のさまざ
令和4年5月20日改訂 国立感染症研究所 サル痘は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患である。感染症法では4類感染症に位置付けられている。主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。稀に流行地外でも、流行地からの渡航者等に発生した事例がある。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2−4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。 病原体 ポックスウイルス科は、感染細胞の細胞質で増殖する、遺伝物質として二本鎖DNAを持つ巨大なエンベロープウイルスで、脊椎動物に感染するChordopoxvirus亜科と、節足動物に感染する Entomopoxvirus 亜科に分類される。Chordopoxvirus 亜科はOrthopoxvirus(オルソポックスウイルス)、 Parapoxvirus、 Ca
(IDWR 2003年第18号) 狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極め て稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する人獣共通感染症である。狂犬病は4 類感染症全数把握疾患に定められており、診断した医師は7日以内に保健所に届け出る必要がある(註:その後、2003年11月施行の感染症法一部改正によ り、直ちに届け出ることとなった)。 疫 学 世界保健機関(WHO)によると、全世界で毎年3万5,000〜5万人が狂犬病によって死亡している(図1)。 狂犬病はアジアでの発生が大部分で、アジア、アフリカでは狂犬病のイヌから多く感染している。また、南米では、吸血コウモリによる家畜の狂犬病が経済的な 被害を及ぼしている。北米およびヨーロッパ等ではヒトの狂犬病は少ないが、アライグマ、スカン
国立感染症研究所 (掲載日:2022年3月28日) 人は、咳、くしゃみ、会話、歌、呼吸などの際に、鼻や口からさまざまな大きさや性状をもった粒子を空中に放出する[1-5]。粒子はその大きさや含まれる液体の量によって空中での振る舞いが異なる。液体を含んだ大きな粒子は、放出されてから数秒から数分以内に落下するが、小さな粒子や乾燥した粒子は、空中に数分から数時間にわたって浮遊する[2-5]。従来、これらの粒子については大きさや性状に応じて飛沫やエアロゾルと呼ばれてきた [4,5]。 SARS-CoV-2は、感染者の鼻や口から放出される感染性ウイルスを含む粒子に、感受性者が曝露されることで感染する。その経路は主に3つあり、①空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)、②ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着すること(飛沫感染)、③ウイルスを含む飛沫を直接触
実地疫学調査により得られた情報に基づいた国内のオミクロン株感染症例に関する暫定的な潜伏期間、家庭内二次感染率、感染経路に関する疫学情報(2022年1月10日現在) 国立感染症研究所実地疫学研究センター 掲載日:2022年1月13日 国立感染症研究所実地疫学研究センターでは、主に同センター内に設置されている実地疫学専門家養成コース(FETP)を中心に、自治体からの派遣要請あるいは厚生労働省からの依頼に基づき、厚生労働省クラスター対策班として、国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事例に対する自治体の実地疫学調査を支援し、現場のクラスター対策の実施及び疫学的知見を深めるための活動に従事してきた。 2021年11月より新たに世界中で拡大している新型コロナウイルスオミクロン株〔SARS-CoV-2変異株 B.1.1.529系統(以下、オミクロン株)〕については、国立感染症研究所はリスク
SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)感染による新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査(第5報): 疫学的・臨床的特徴 令和4年2月18日 国立感染症研究所 国立国際医療研究センター 国際感染症センター 【背景・目的】 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においては、B.1.1.529系統の変異株(オミクロン株)が、2021年11月末以降、我が国を含む世界各地から報告され、感染・伝播性や抗原性の変化が懸念されている (1)。 国内におけるオミクロン株の疫学的、臨床的特徴の報告は限られている(2) (3)。そのため、国内におけるオミクロン株の疫学的、臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫及び国内にて、初期に探知されたオミクロン株症例について積極的疫学調査を行った。第4報の疫学的・臨床的特徴の報告書で
2022年2月18日 はじめに 2020(令和2)年12月9日に予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律(令和2年法律第75号)が公布、施行され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は臨時接種対象疾病に位置付けられた。予防接種法に基づく接種後に副反応を疑う症状が見られた場合、医療機関の開設者又は医師等は、厚生労働大臣(送付先は医薬品医療機器総合機構)に、予防接種後副反応疑い報告(以下、副反応疑い報告)を行うことが義務づけられている[1]。 国立感染症研究所が毎月公表している「新型コロナワクチンについて」で示してきたように、先行して接種が進んだイスラエルや米国、欧州から、ファイザー製あるいはモデルナ製のmRNAワクチン接種後に心筋炎・心膜炎(以下、心筋炎関連事象)を呈した例が報告され[2]、特に若年男性の2回目接種後に頻度が高いと報告されている[3]。 我が国において、予防接種後心筋
2022年2月15日 端緒 新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発は未曾有のスピードで進み、ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で有効性(vaccine efficacy)が90%以上とされ、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン1種類も有効性が70%程度とされた1-3。国内においても、国立感染症研究所にて、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける成人(20歳以上)を対象として、症例対照研究(test-negative design)を実施している。これまでの暫定報告においては、我が国における新型コロナワクチン導入初期に流行したB.1.1.7系統(アルファ株)およびB.1.617.2系統(デルタ株)に対して、高い有効性(vaccine effectiveness)を示すことが確認された4-5。しかし、
2022年2月9日 国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター 病原体ゲノム研究センター 国立感染症研究所および地方衛生研究所等において、2022年1月17日までに登録されたゲノム情報を分析した。全ゲノム解析により確認されたB.1.1.529系統の変異株(オミクロン株)は国内2,650例(検疫を含まない)であった。 国内で流行するオミクロン株(BA.1)の系譜について国立感染症研究所で分子疫学調査を行った。2021年12月中旬から国内で顕在化したオミクロン株は少なくとも4つの種類の系譜が存在し、それぞれ独立した異なる経緯により海外から流入した可能性が示唆された(図:海外からの流入経緯を推定するため、オミクロン株と確定された国内症例のゲノム配列(complete 配列のみ)を用いて塩基変異の系譜をつなぐハプロタイプ・ネットワーク図を作成し評価)。 4つの種類の系譜のうち、1つは2021年1
SARS-CoV-2 Omicron-neutralizing memory B-cells are elicited by two doses of BNT162b2 mRNA vaccine Ryutaro Kotaki†, Yu Adachi†, Saya Moriyama†, Taishi Onodera†, Shuetsu Fukushi, Takaki Nagakura, Keisuke Tonouchi, Kazutaka Terahara, Lin Sun, Tomohiro Takano, Ayae Nishiyama, Masaharu Shinkai, Kunihiro Oba, Fukumi Nakamura-Uchiyama, Hidefumi Shimizu, Tadaki Suzuki, Takayuki Matsumura, Masanori Isogawa
2022年1月31日 国立感染症研究所 背景・目的 国立感染症研究所では、新型コロナウイルス感染症対策に資する情報を提供することを目的として、実地疫学調査のデータを用いてSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株) の発症間隔の推定を行った。その暫定結果について報告する。 発症間隔(serial interval)は、一次感染者の発症時刻から二次感染者の発症時刻の時間間隔を意味する。一次感染者の感染から二次感染者が感染するまでの期間(世代間隔: generation time)は感染症の拡がりを特徴づける重要な指標であるが、感染イベントを実際に観測することが難しいことから、発症間隔により近似されることが多い。 オミクロン株においては、従来株と比較して潜伏期間が短縮しており(1)発症間隔についても短縮されているかについて、国内のデータを用いて検討した。 方法 国内でオミ
2022年1月13日 国立感染症研究所 国立感染症研究所では、新型コロナウイルス感染症対策に資する情報を提供することを目的として、実地疫学調査および新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS) のデータを用いて、 SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株) の潜伏期間の推定を行った。その暫定結果について報告する。 方法 本報告では2つのデータを用いて、それぞれ潜伏期間を推定した。 データ1:実地疫学調査 国内でオミクロン株症例に対して実施された実地疫学調査により、リンクおよび曝露日が明らかで、かつ曝露日から14日間が経過した感染ペア(N=35)のデータを用いた。曝露日から発症日までの日数を潜伏期間として検討した。 データ2: HER-SYS データ 2022年1月7日時点に登録されたHER-SYSデータを用いて、ゲノム検査によりオミクロン株
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H * *メディア情報より オミクロン株について オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein; RBD; residues 319-541)に存在する(ECDC. Threat Assessment Brief)。 オミクロン株に共通するスパイクタンパク質の変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6における105-107欠失はアルファ株、ベ
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H 海外での流行状況と評価 2021年11月25日時点で南アフリカで77例(1)、ボツワナで4例(1)、香港で2例(4)が確認されている。 南アフリカにおいてはハウテン州においてCOVID-19患者数が増加傾向にある(5, 6)。 南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた(7)。 南アフリカハウテン州で2021年11月12 日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統であった(8)。他に100例以上の関連症例の存在が示唆されている(9)。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統
1957年以降, 日本国内では狂犬病輸入症例として1970年に1例, 2006年に2例が報告されている1-3)。14年ぶりとなる2020年に狂犬病患者が確認されたため, その臨床経過を報告する。 症例:30代, 男性 主訴:発熱, 異常行動 現病歴:フィリピンからの来日3カ月後に両足首の痛みを訴え, 発症2日後には腰痛も出現したため, 鎮痛剤の内服により経過をみた。翌日には日本にはいないはずの妻が見えるという幻覚が出現した。水が怖いという訴えはあったが, 水分補給や食事はわずかながらできていた。4日後, 夜中に妻を探し回るという異常行動が出現, その翌日には歩行が困難となり7日後に当院を受診した。介助なしでは歩けなくなり, 落ち着きがない, 会話の辻褄が合わないなどの異常行動が認められた。発熱も認められたため, 意識障害の精査・治療目的で入院となった。 既往歴:特記すべき事項なし 生活:外
(IASR Vol. 40 p43-45: 2019年3月号) はじめに 北海道のエキノコックス症は, 本来キツネとノネズミの寄生虫である多包条虫 (幼虫名は多包虫) の幼虫がヒトに寄生することで発症する寄生虫症(多包虫症)である。ヒトに感染した場合, 寄生虫が体内で無制限に増殖することと, 完全な治療に有効な薬剤がないため, 外科的切除による治療が推奨される。しかしながら, 寄生部位によっては切除が困難なこともあり, 治療せずに放置すると死亡のリスクが高い寄生虫症である。北海道では本症の住民の健康に対する脅威を鑑み, 行政が大学や医療機関と協力しながら, エキノコックス症対策を積極的に推進し現在に至っている。 北海道の流行の歴史 最初のヒト症例は1936年小樽市在住の女性で, 北海道北部の礼文島の出身者であった。感染源は1924年からの3年間に中部千島の新知島(シムシル島)から礼文島へ移
(IASR Vol. 36 p. 67-68: 2015年4月号) 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)注1)の悲惨さは、やはり当事者の体験をお話するのが一番理解いただけるのではないかと思い、少し長くなりますが、まず我が息子、洸亮についてお話したいと思います。 我が家の次男洸亮は、現在17歳、高校2年です。1997(平成9)年7月7日、元気に産まれてきました。0歳の時に突発性発疹にかかり、病院に受診した際に麻疹に罹患しました。その時は10日程で全快しましたがその後、そのことが原因でこのようなことになるとは夢にも思いませんでした。 洸亮はすくすくと育ち、幼稚園から英会話を習い始め、年長から兄について野球を始め、小2からサッカーも始めました。また同じく小2から絵画教室にも通い始め、さらに小4からは吹奏楽部に所属し、アルトサックスを担当しました。習い事が増えていっても、一つも辞めることなく、月曜から日
新型コロナワクチンを接種していない者における新型コロナウイルス感染の社会活動・行動リスクを検討した症例対照研究(暫定報告) 2021年10月6日 要約 国立感染症研究所では、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、社会活動・行動のリスクを検討するための症例対照研究を実施している。本暫定報告は、2021年6月から7月に東京都内の5ヶ所の医療機関の発熱外来等を受診した成人のうち新型コロナワクチンの接種歴がない753名(うち陽性257名(34.1%))の解析結果である。 会食・飲み会に参加しなかった者と比較して、会食・飲み会に参加した者では、感染のオッズが高かった。ただし、飲酒を伴う場合は1回でも高いオッズであった。また、レストラン・バー・居酒屋などでの飲み会・会食は感染のオッズが高いが、レストラン・バー・居酒屋などでの飲み会・会食に参加していな
2021年7月上旬, 札幌市内で2例しか確認されていなかったL452R変異を持つ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に, 札幌市職員3名を含む6名が同時期に罹患した。札幌市職員は業務上のつながりが乏しい2部署から確認されており, 発症2週間前に2部署は同じ空間で業務を行うことはなかったが, 感染した3人は同じ日に, 集団Aに対応していた。札幌市では初のL452R変異株感染が集団で確認された事例であり, 疫学調査とゲノム解析で感染経路が推測されたため, 事例を紹介する。 本事例では, 症例を2021年7月1日~8日までに札幌市内で確認されたL452R変異株によるCOVID-19感染者で, 感染可能期間に集団Aと接触したことがある人, または札幌市衛生研究所で実施したゲノム解析で1塩基違いまでのウイルス株による感染者と定義した。 症例は6名が該当し, 女性が1名(17%), 年齢は10
2021年8月31日 端緒 新型コロナウイルス感染症のワクチン開発は未曾有のスピードで進み、世界では複数のワクチンが多くの国で承認され、国内においても2021年2月14日にファイザー社製の新型コロナワクチンが製造販売承認となった1。ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で有効性(vaccine efficacy)が90%以上とされ、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン1種類も有効性が70%程度とされた2-4。しかし、免疫の減衰や変異株の出現による有効性の低下が指摘されており、国内外において、実社会におけるワクチン有効性(vaccine effectiveness)を経時的に評価していく必要性がある5。そこで、国立感染症研究所では、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、インフルエンザワクチン等
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