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第465回:文化庁による実質的にブルーレイを私的録音録画補償金の対象に追加しようとする政令改正案に関するパブコメの開始(9月21日〆切) 実質的にブルーレイディスクレコーダーとブルーレイディスクを私的録音録画補償金の対象に追加しようとする政令改正案について、9月21日〆切でパブコメにかかった。(文化庁HPの意見募集ページ、電子政府HPの意見募集ページ参照。) このパブコメについては、AV Watch(メーカー団体であるJEITAの反対意見について書いた記事も参照)やBusiness Insideなどで書かれているので、そちらをご覧いただいても十分かと思うが、この極めて唐突かつ乱暴なパブコメについては幾ら書いても書き過ぎという事はないので、ここでも取り上げる事にする。 電子政府HPの意見募集ページに掲載されている政令案の概要(pdf)は以下の様なものである。 著作権法施行令の一部を改正する政
先週5月15日に、衆議院の文部科学委員会で著作権法改正案の趣旨説明がされ、参考人招致をする事が決まったので(衆議院公報参照)、今後の審議がどうなるかまだ分からないが、早ければ今週にも衆議院でダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲の拡大を含む著作権法改正案の実質審議がされるかも知れないという状況である。 今の新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言も出されている中で、その本質的な問題に踏み込む事なく政府与党間の通り一遍の審議で可決される様な事があれば、これも火事場泥棒と言っていいものである。 今まで言って来た事の繰り返しとなるが、今回は、著作権法改正案の審議が近いと考えられる事を踏まえ、文化庁のHPで公開されている、余りにもお粗末な回答の並ぶ侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)(pdf)から、私の考えるQ&Aを私家版として作り、ダウンロード違法化・犯罪化の本質的な問題
文化庁のHPで、「侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会」における議論のまとめ(pdf)が公開ざれている。 その内容は、前回取り上げた侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会の第2回資料とほぼ変わらず、報道されていた以上の事が含まれているわけではないが、念のため、ここでその内容を見ておく。 この議論のまとめは、冒頭に、 本検討会では、別紙1(20ページ)の基本方針の下、パブリックコメントや国民アンケートの結果等を十分に踏まえつつ、「深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じること」と「国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと」という2つの要請がバランスよく並び立つ、適切な制度設計等について検討を行ってきた。その検討結果は、下記1.~4.のとおりである。 文化庁提案の3点の措置及び二次創作作品・パロディなどの除外等については全会一致で了承された一方
先週ダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲の拡大を含む著作権法改正案が今国会への提出を見送られたところで、それ自体は良いこととしても、今後、似た様な法改正案の次の国会提出に向けた動きが強まるのは間違いない。そのため、この著作権法改正問題についてもまだ要注意な状況が続くと思うが、今回は、番外として全く別の話である。 児童ポルノ規制に関する国連のガイドライン案の意見募集が3月31日〆切でかかっていて、これについては、他のブログや団体、すちゃもく雑記2nd、うぐいすリボン、AFEEなどで既に取り上げられているので、どうしようかと思っていたが、私も関心を持つ個人として意見を出したので、このブログでも念のため、書いておく事にする。 このガイドライン案は、児童の権利条約の児童ポルノ等に関する選択議定書の実施のための、国連の児童の権利委員会によるガイドライン案で、法的拘束力のあるものではないが、案の段階で
第401回:ダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲の拡大とリーチサイト規制(リンク規制)の法制化を含む文化庁・著作権分科会・法制・基本問題小委員会中間まとめに関する意見募集の開始(2019年1月6日〆切) 最後の12月7日の文化審議会・著作権分科会・法制・基本問題小委員会の資料がまだ文化庁のHPにアップされていないが、先日から報道されている通り、文化庁の法制・基本問題小委員会の中間まとめが2019年1月6日〆切でパブコメにかかった。(電子政府のHP、文化庁のHP参照。) 文化庁の今回の中間まとめはダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲の拡大とリーチサイト規制(リンク規制)の法制化を含むものであって、インターネットにおける情報・表現の自由に非常に大きな影響を及ぼす可能性のあるものであり、ここでも、その内容を見て行きたいと思う。 この中間まとめ(pdf)の章立ては、「第1章 リーチサイト等を通じた
第400回:イギリス知的財産庁の違法ネットTV機器・チューナーの問題に関する意見募集結果報告(著作権ブロッキングの検討に関する事項を含む) 先月は、知財本部で著作権ブロッキングの検討を行っていたインターネット上の海賊版対策に関する検討会議は、10月15日に第9回が開かれたが、やはり取りまとめはできず、その後、10月30日に上位の検証・評価・企画委員会の第1回が開かれて検討が止まった状況についての報告がされた状況で、それは良いとしても、その間に、静止画ダウンロードの違法化・犯罪化やリーチサイト規制(リンク規制)の検討が取沙汰され(これらの法改正を検討しているあるいは検討しようとしているのは文化庁の著作権分科会・法制・基本問題小委員会である。)、TPP11の6カ国の批准・国内手続き完了によって改正法の施行が今年の12月30日に決まり、自動的に著作権の保護期間が延長されることとなるなど(文化庁が
知財本部のインターネット上の海賊版対策に関する検討会議は9月19日に第8回が開かれ、取りまとめが一旦中断された後、次の開催案内はまだなく、今後の検討スケジュールは不明だが、この間に各国における著作権ブロッキングを巡る状況についてさらに補足を書いて行きたいと思う。 上の検討会議の第4回で明治大学の今村准教授が資料1として提出した英国におけるサイトブロッキング法制とその運用状況について(pdf)で書かれている事と多く重なるが、まず、今回はイギリスについてである。 前回も少し書いた通り、以下のイギリス著作権法第97A条を根拠に今までブロッキングを認めた判例があるというのはその通りである。 97A Injunctions against service providers (1)The High Court (in Scotland, the Court of Session) shall hav
知財本部でブロッキングに関する検討が異常なほどの急ピッチで継続されており、インターネット上の海賊版対策に関する検討会議は、8月25日に第5回、8月30日に第6回が開かれ、9月13日に第7回が開催される予定となっている(開催案内参照)。 前回、ドイツの仮処分事件について書いたが、今回はその補足として世界のブロッキングを巡る状況の概観について書いておきたい。ただし、実の所、ブロッキングについては、世界のどの国でも最近それほど大きな動きがあったということはないので、今回の記事は今までの話のまとめに近く新しい情報は含まれていないことをあらかじめお断りしておく。 ここで、ブロッキングを巡る世界の状況については、上の検討会議の第6回で弁護士の森亮二委員が資料9として提出したブロッキングの法制化に関する疑問(pdf)が、MPAAの話の受け売りで、世界各国でブロッキングが法制化されているかの様な印象操作を
報道されていた通り、先週4月13日に知的財産推進本部・犯罪対策閣僚会議の合同会合が開かれ、インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(pdf)(概要(pdf)も参照)とインターネット上の海賊版対策に関する進め方について(pdf)が決定された。この著作権ブロッキングを求める政府の緊急対策と対策の進め方は、既に様々なところで批判されているが、徹頭徹尾その理屈は良く分からず、到底まともな議論に耐え得るものではない。 まず、緊急対策の第1ページに「昨今運営管理者の特定が困難であり、侵害コンテンツの削除要請すらできない海賊版サイト」云々と書かれているが、運営管理者の特定が本当に民事救済におけるボトルネックとなっているのであれば、著作権法やプロバイダー責任制限法をどのようにすればこのような問題を解消できるかという話をすればいいだけである。また、刑事の話をするならば、名指しで挙げられているサイトはリ
先週毎日新聞の記事で、政府が著作権ブロッキングを要請するということが報道された。この記事は、月内に犯罪対策閣僚会議を開催して決定するということまで具体的に書いており、政府がこのような方針で動いていることは間違いないのだろう。 既にブロッキングの問題については、heatwave_p2p氏がP2Pとかその辺のお話Rで「滅びゆくのはマンガ文化か、出版社か、それとも表現の自由か」という長文の記事を書かれており、また、弁護士ドットコムがその記事で東大の宍戸教授の批判を取り上げており、そう追加で書くこともないのだが、ここでももう一度その問題点を指摘しておきたい。 このような動きの背景には無論権利者団体のロビー活動もあるだろうが、海賊版サイトの問題は今に始まった話ではないので、この期に及んで著作権ブロッキングが導入されようとしていることは不合理極まるとしか言いようがない。2016年と2017年の知財計画
第389回:閣議決定された著作権法改正案の条文(リバースエンジニアリング、所在検索・情報解析サービスのための権利制限の拡充他) 先月から各知財法の改正案の閣議決定がされ、その条文が公開されているので、順番に見て行きたい。まずは2月23日に文科省のHPで公開された著作権法改正案(概要(pdf)、要綱(pdf)、案文・理由(pdf)、新旧対照表(pdf)、参照条文(pdf))についてである。 このうち、概要(pdf)には、以下のような改正の概要が書かれている。 ①デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備(第30条の4、第47条の4、第47条の5等関係) ・著作物の市場に悪影響を及ぼさないビッグデータを活用したサービス等※のための著作物の利用について、許諾なく行えるようにする。 ・イノベーションの創出を促進するため、情報通信技術の進展に伴い将来新たな著作物の利用方法が生
先月にはアメリカ抜きの11カ国でのTPPの交渉妥結もあったが、この12月8日に日本と欧州連合(EU)の間で経済連携協定(EPA)も妥結されている。 この日欧EPAの内容に関してはそこまで詳細に報道されていないように思うが、政府が12月15日になってようやく外務省のHPに出したファクトシート(pdf)の第37ページに、 ●著作権及び関連する権利 著作者,実演家,レコード製作者及び放送機関の権利の保護,著作物等の保護期間の延長(著作者の死後70年等),権利の制限と例外等について規定する。 とはっきり書かれているように、この条約は日本にとって著作権の保護期間の延長を含む致命的な内容ものとなっている。 いまだに日本政府からはこのEPAの妥結条文の詳細も訳も公表されていないが、EUのHPでは妥結と同時に公表されており、その第14章知的財産(pdf)から、著作権保護期間延長に関する第13条を抜き出すと
先週11月4日にTPP協定とその関連法案が衆議院のTPP特別委員会で可決され、本会議での議決を待つ状態になっている。 衆議院委員会審議の中で10月31日には知財関係でも参考人が呼ばれ、土肥一史先生がTPPに基づく著作権法改正に賛成の立場から意見を述べ、福井健策先生が慎重な立場から意見を述べている。(衆議院インターネット中継参照。) 土肥先生は文化庁の著作権分科会・法制・基本問題小委員会の主査としてTPPに絡む著作権法改正案の検討に関わっていたので、このように保護期間延長などについて賛成の意見を述べたのは当然と言えば当然である。 また、これに対して、福井先生は、保護期間延長は著作物に関する現状の貿易赤字を増やすとともに、ビックデータ時代において実質的に権利処理不能となる著作物を莫大に増やすものであるからこのような法改正には慎重であるべきと述べ、合わせ、非親告罪化や法定賠償についても十分注意し
片方は欧州連合の立法に関する話であり、他方は司法判断に関する話なので、必ずしも直接的に結びついているということはないが、今回は、ネットにおけるハイパーリンクに関係し、情報の自由と密接に関連する欧州における最近の2つの重要な著作権に関する動きをまとめて紹介したい。 (1)デジタル単一市場における著作権に関する欧州指令リーク条文案 1つは、前々から話題になっていた欧州における著作権法改正について、その条文案が先月末にリークされたというものである(ancillarycopyright.euの記事1、2参照)。 このデジタル単一市場における著作権に関する欧州指令のリーク条文案(pdf)には、 TITLE II MEASURES TO ADAPT EXCEPTIONS AND LIMITATIONS TO THE DIGITAL AND CROSS-BORDER ENVIRONMENT Articl
日本も参加しており、現在進行形で続いている、TPPと並ぶ大規模な国際協定交渉に東アジア地域包括連携協定交渉(RCEP)がある。 外務省のHPにある通り、RCEPはアセアン・ASEAN諸国と日中韓、オーストラリア、ニュージーランドとインドで交渉されているものであり、交渉開始から3年以上経過し、今現在もベトナムで第14回の交渉会合が開催されているはずだが、TPPと同じく秘密裏に交渉が進められており、その具体的な内容についてはいまだに良く分からないという状況にある。 TPPに比べると危険性がかなり低いので後回しにしていたのだが、少し前、この4月にkeionline.orgからRCEPの2015年10月15日版知財章条文案がリークされているので、今回はざっとその内容を見ておきたい。 そのリーク条文案(docx)から各節のタイトルとともに私が気になる部分を抜き出して翻訳をつけると以下のようになる。
参院選で与党が大勝した結果、直近では秋の臨時国会でTPP審議が、数年ぐらいのスパンで改憲論議がされると、それぞれ相当ごたごたするのではないかと思うが、まだ多少の時間はあると思うので、ここでtwitterで概略だけ書いていた幾つかの国際動向について紹介して行きたいと思う。 まず最初に、少し前の話になるが、5月31日にドイツ憲法裁判所が著作権に対して表現の自由が優越し得るとする判決を出している。 この判決の概要は、ドイツ憲法裁判所のプレスリリース(ドイツ語)の最初の段落に、 Steht der kunstlerischen Entfaltungsfreiheit ein Eingriff in das Tontragerherstellerrecht gegenuber, der die Verwertungsmoglichkeiten nur geringfugig beschrankt,
6月22日公示、7月10日投開票予定の参院選が近づく中、主要政党の選挙向け公約案が以下の通り大体出そろった。 自民党・政策パンフレット(pdf) 公明党・重点政策(pdf) おおさか維新の会・政策資料(pdf) 民進党・重点政策(pdf) 生活の党・重点政策(pdf) 社民党・選挙公約 共産党・選挙政策(各分野の政策) 今回も各党とも内容はかなり薄いのだが、TPP問題を中心に関連事項を抜き出すと以下のようになる。 <自民党> ◯農業など守るべきものは守りつつ、TPPの活用などにより近隣アジアの海外市場をわが国の経済市場に取り込みます。 ◯世界最速・最高品質の審査体制の実現や地方創生と中小企業のための知財活用の促進、デジタル時代における著作権制度の整備、知財教育の充実・人材育成、官民協調による国際標準の獲得や認証基盤の整備等の知的財産・標準化戦略を推進し、世界最高の知財立国を目指します。 ◯
昨日3月8日にTPP関連法案が閣議決定され、TPP政府対策本部のHPで公開された(概要(pdf)、要綱(pdf)、法改正案(pdf)、新旧対照条文(pdf)、参照条文(pdf)参照)。内容としては審議会の資料として今まで見て来たことがほぼそのまま条文化されているが、念のため、中でも知財関連の法案がどのような条文になったかを見ておきたい。 (1)著作権法改正案 著作権法改正案の内容として含まれているのは、第357回などで書いた通り、著作権の保護期間延長、著作権侵害の非親告罪化、アクセスコントロール回避規制、配信音源の二次利用に対する使用料請求権の付与、法定損害賠償の5点だが、この内条文の問題にならない著作権保護期間延長と非常にマニアックな配信音源の二次利用に対する使用料請求権の付与については条文まで詳しく見る必要はないと思うので、その他の3点について見て行く。 まず、非親告罪化については、こ
去年と異なり、今回は何故か1月4日から1月29日までの募集となっている「知的財産推進計画2016」の策定に向けた意見募集に対し、私が提出した意見をここに載せておく。 今年は募集が1月になった所為で、知財本部の検証・評価・企画委員会の知財紛争処理システム検討委員会や次世代知財システム委員会の検討の方向性がそれぞれまだ良く見えていない中での知財計画パブコメとなっているが、これらの委員会がどうあれ、今年の知財政策上の最大のトピックは問答無用でTPP問題であり、私の提出した意見も(1)a)のTPP問題に関する部分を今の状況に合わせて書き改めている。(他の点では、知財計画2015の記載(第338回参照)に合わせてリバースエンジニアリングの話を(1)e)として追加したり、4K無料放送のコピー制御の話(phileweb.comの記事及び東洋経済の記事参照)を(2)c)につけ加えたりし、また、全体的に記載
国会は閉会中、役所も正月休みに入り、年内に何か政策的に新しいことが言い出されるということはもうないだろうと思うので、今年も最後にマイナーなことも含め国内の動向についてまとめて書いておきたいと思う。 まず、知財本部では、知的財産推進計画2016策定に向けた検討が始まっており、検証・評価・企画委員会の下の知財紛争処理システム検討委員会と次世代知財システム検討委員会でそれぞれ知財訴訟制度と自動集積されるデータベースの取り扱いなどに関する検討が進められているが、政策的にはっきりとした方向性はまだ出されていない。第338回で書いた通り、最も気になっているのは、次世代知財システム検討委員会で来年2月に検討される予定の国境を越えるインターネット上の知財侵害への対応についてだが、委員会メンバーはそこまで偏った構成になっておらず、ここでそう変な結論を出して来ることは恐らくないのではないかと踏んでいるがどうだ
11月4日と11日に文化庁で法制・基本問題小委員会が開催され(文化庁のHP1、HP2参照)、TPP協定と国内知財法の関係に関する危うい検討が始まったところで非常に不安を感じているところだが、11日の資料を見て(internet watchの記事参照)、日米TPP並行交渉にかかる書簡の内容についても大いに危惧を覚えたので、ここでも補足を書いておきたいと思う。 大体日米の並行交渉も本交渉と同じくらい秘密交渉で行われていたこと自体大問題である上、並行交渉書簡について日本政府のTPP対策本部のHPにもいまだに日本語としては概要(pdf)しか載っていないという状況に私は憤りを感じるばかりである。 その概要(pdf)の (4)知的財産権 (ア)概要 両国政府は、TPP協定の関連規定の円滑かつ効果的な実施のために必要な措置をとること、日本政府が著作権の私的使用のための複製の例外の適用範囲について、文化審
11月5日にニュージーランド政府から公表されたTPP協定知財章の条文(pdf)に対応する日本政府の概要(pdf)と法改正検討事項(pdf)の内容がお粗末極まるものなので、ここで、第347回、第348回、第349回、第350回、第351回のまとめとして、今まで書いて来たことと変わりはないが、今後の法改正検討事項一覧を以下の通り載せておく。また、ほぼテクニカルな相違に過ぎないが、リーク条文とは条文番号の違い等があるので、合わせて対応する正式公表版の条文の訳も最後にまとめて載せる。 ◯TPP協定関連事項のうち法改正済みのもの: 音の商標の導入(第18.18条) 地理的表示保護法の制定(第18.30条〜第18.36条) ◯今後の法改正検討事項(日本政府コミット済み): 発明の新規性の喪失の例外期間(グレースピリオド)の延長(第18.38条) 手続き遅延を理由とした特許の保護期間延長(第18.46条
第347回:TPP協定知財章最終条文リーク(2015年10月版条文の著作権保護期間延長、法定賠償、非親告罪化関連部分) 前回、10月5日にTPP協定の大筋合意が発表され、その概要が日本政府から発表されたことについて書いたが、各国政府に先駆けてウィキリークスが10月5日版の条文をリークした。(このリーク条文には括弧はなく、知財章の条文は完全にこのような形で固まっていると見て良いのだろう。)概要としては日本政府から発表されている通りの内容だが、念のため、また今回から、TPP協定の知財章の条文がどうなったかを見て行く。 まず、リーク条文(pdf)において、著作権保護期間延長、法定賠償、非親告罪化関連部分については最終的に以下のような形になった。 Article QQ.G.6: {Term of Protection for Copyright and Related Rights} Each P
前回に続いて、リークされたTPP協定知財章の2015年5月版条文案からインターネットサービスプロバイダー(ISP)の責任に関する部分(追補ⅩⅤ(pdf))を取り上げる。 翻訳は非常に長くなるので最後にまとめて載せるが、この部分は2014年5月版の条文案(第323回参照)と比較して見ると、法制がかなり異なる各国がそれぞれ主張を通そうとしている所為か、条文案の記載ぶりといい、条項の順序といい、全く安定していない。2015年5月の時点でも議長提案による暫定案の形であり、さらには議長提案では自分たちにとってあまり有利でないと思ったのか、アメリカとカナダが追加で独自提案をつけているほどである。 5月の時点でこれほど条文案が固まっていないとすると、7月末かあるいは現時点でもISPに関する条文案はまとまっていない可能性が高いのではないかと私は見ているが、下に載せた条文案を読む限り前と同じく比較的ニュート
第340回:TPP協定知財章第3リーク文書(2015年5月版条文案の著作権保護期間延長、法定賠償、非親告罪化関連部分) TPP交渉については7月末の閣僚会合でも大筋合意に至らず、ひとまず漂流の可能性が高まったと見ているところだが、つい先日、2015年5月11日時点のTPP協定知財章のリーク条文案がkeionline.orgのHP上で公開された。(弁護士ドットコムの記事も参照。) これはあくまで5月11日時点の条文案であり、現在ではまた変わっているだろうことに注意しておく必要があるが、ほぼ1年ぶりのリークとして、この文書は交渉の進み具合を見る上で極めて重要な資料であり、今回から順次その内容を翻訳・紹介して行きたいと思っている。 まず、最も気になる著作権関連について、リーク文書(著作権に関するG節(pdf)と、エンフォースメントに関するH節(pdf))から、著作権保護期間延長、法定賠償、非親告
先週6月19日に知的財産戦略本部会合が開かれ、知的財産推進計画2015(pdf)(概要(pdf)、工程表(pdf))が決定された。 例によって、作ることに何の意味があるのか分からない検討項目集に過ぎないが、現時点で政府が何を考えているのかを見るのには便利な資料ではあるので、ここで知財計画の文章が今年どうなったかを見ておきたい。(去年の知財計画2014の内容については第315回、今年私が出したパブコメについては第336回参照。なお、知財本部会合の資料は、まだ案がついたままの状態だが、本部会合での変更はなかっただろうし、この資料で見ても問題ないだろう。) いつも通り地道な運用改善に関する項目を飛ばして法改正に関わる部分を抜き出して行くと、まず、前回取り上げた知財訴訟制度の見直しについて、第18ページに、 (知財紛争処理システムの機能強化に向けた検討) ・我が国の知財紛争処理システムの一層の機能
現在、特許法等改正案が6月2日に衆議院本会議を通って参議院へ行き(合わせて特許法条約と商標法条約も衆議院本会議を通っている)、不正競争防止法改正案が6月5日から衆議院経産委の審議にかかっているという状況だが、この際にいくつか国内外の動きについて補足を書いておきたいと思う。(なお、個人情報保護法改正案は参議院内閣委員会の審議にかかっているが、年金機構の個人情報漏洩事件を受けて今なお揉めている。) (1)国連専門家グループのTPP交渉透明化を求める意見 既にGIGAZINEの記事になっているので、ご存知の方も多いだろうが、この6月2日に国連の専門家グループからTPP交渉の秘密性に関する懸念が表明された。これは、専門家の中にファリーダ・シャヒード氏の名前が入っていることから見ても、第333回で取り上げた国連の報告と同じ流れの中で出されたものと思われる。 国連高等弁務官事務所のリリースを訳出すると
去年、2014年12月24日に文化的権利分野における特別報告官であるファリーダ・シャヘード氏が国連人権理事会に提出した、著作権政策と科学及び文化への権利に関する報告(doc)が国連人権高等弁務官事務所のホームページで公開されている。この報告は今のところ国内外で大きな反響を呼んでいないようだが、非常に興味深い内容を含んでいるので、今回はこの報告のことを取り上げたい。 この報告(doc) の要約には、以下のように書かれている。(以下、全て翻訳は拙訳。) The Special Rapporteur in the field of cultural rights, Farida Shaheed, submits the present report in accordance with Human Rights Council resolution 19/6. In the present re
前回の最後に少し書いた通り、第320回で取り上げた電子書籍の中古販売に関するオランダの判決に対する控訴審判決がこの1月20日にアムステルダム高裁から出された。その内容はやはり興味深いものであり、またここで紹介しておきたいと思う。 まず、判決文(オランダ語)から裁判所の具体的な判断が示されている後半の部分を以下に訳出する。 3.5.1. In zijn arrest van 3 juli 2012 in de zaak van UsedSoft GmbH tegen Oracle International Corp (C-128/11, hierna: het UsedSoft arrest) heeft het Hof van Justitie EU (hierna: het Hof van Justitie) naar aanleiding van aan dat hof voorge
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