統計力学で「微視的状態とは何か」で引っかかっている人がいるように思います。この文章はそういう人のために書きます。分かってる人には役に立ちません。まず原理の話をして、次に「これだけは計算できるようになってくれ」という話をします。 混乱の原因は「$${N}$$粒子系の微視的状態」と「1粒子の微視的状態」の区別がきちんとついていないことですが、最初のうちは例題が「解ける問題」ばかりなので、そうなりがちなのもある程度しかたありません。 まずは建前というか、原理の話をします。ここを読むだけでは計算できるようにはなりません。計算はあとでやります。 さて、$${N}$$粒子系の微視的状態は$${N}$$粒子ハミルトニアンの固有状態です。これは原理的には定常状態のシュレディンガー方程式を解けば得られます。一般には解けませんが、原理的にはハミルトニアンを与えてしまえば固有状態(一般には無限個の)は必ず決まり