家の鉄骨に電流を流し,鉄骨の周囲に発生した電磁場を介して通信する---。金属などの導体と空中が伝送路になるというちょっと変わったこの通信技術がある。その名を「エバネセント通信」という。 導体に直接触れなくても通信できるのは,電流を流したときに導体の近傍にできる電磁場を使うためだ。この電磁場は鉄骨から離れるに従って大きく減衰するものの位相は変わらないという特徴があり,エバネセント波と呼ばれる。エバネセント波の存在は知られていたが,通信に使えるものとは考えられていなかった。 エバネセント通信の特許はココモ・エムビー・コミュニケーションズが持っている。もともと米Lockheed Missiles and Space社のエンジニアが立ち上げた米Deskin Research Groupが商用向けに開発した技術で,ココモ・エムビー・コミュニケーションズが特許を買い取った。欧米と中国では成立しているが