見逃した死因 明らかに 人が亡くなった時、本当の死亡原因というのは、病気の経過や外見からでは意外とわからないものだという。診断の適否や治療の効果、死因をはっきりさせるために、遺体をCT(コンピューター断層撮影法)撮影して調べる取り組みが注目されている。遺族側にとっては、画像を基に納得のいく説明が受けられ、「医療事故か」という疑いの検証や事件の解明に役立つほか、死に至る病態の研究によって治療法の開発へつながる期待もある。(田村良彦) 愛知県の安城更生(あんじょうこうせい)病院で昨年、腎臓に針を刺して組織を採取する検査を受けた患者が、3日後の朝亡くなっていた。「検査による事故」が疑われたが、遺族の同意を得て遺体のCT検査をしたところ、腎臓には異常がなく、頭がい内に出血が見つかった。 そこで、腹部での実施を予定していた解剖検査を頭部にも行ったところ、患者は偶然、くも膜下出血を起こし亡くなっていた