被災地のタブーにまじめに挑んだ東北学院大・工藤優花さんの卒論が大反響。宮城・石巻のタクシー運転手に聞いてみると……。 タクシーの運転手が後部座席を振り返ると、乗せたはずのお客さんが消えていた。よくある怪談話のパターンだが、被災地のそれは結末がだいぶ違う。 《震災から3か月くらいかな? 記録を見ればはっきりするけど、初夏だったよ。深夜に石巻駅で待機していたら真冬のふっかふかのコートを着た女の人が乗ってきてね…》 東北学院大学4年の工藤優花さん(22)が卒業論文のテーマに選んだのは、『被災地のタクシードライバーの幽霊現象』だった。冒頭の証言は、工藤さんが約1年かけて運転手から聞き取った体験談のひとつ。タクシーに乗り込んだ30代くらいの女の人は、運転手に「南浜まで」と告げた。 「あそこはもうほとんど更地ですけど、かまいませんか? どうして南浜まで? コートは暑くないですか」 そう尋ねる