東京・品川区は今年10月から、区立小中学校の給食の全野菜を原則、化学肥料や農薬を使わない有機農産物(オーガニック)にするという方針を決定した。 こうした試みは品川区だけではない。この「オーガニック給食」運動は、いま全国的に大きな盛り上がりを見せている。その背景を探ると、驚きの経緯が見えてきた。 「オーガニックが健康に良い」という科学的根拠はない品川区では、2023年に給食が無償化されて以降、「質が落ちた」「おいしい給食が食べたい」といった声が、生徒たちのアンケートで上がっていた。そこで、安全安心な給食を提供することで給食の質の向上を図ろうと、オーガニック野菜の導入を決めたという。だが、農業ジャーナリストで元農家の渕上桂樹氏は、今回の決定に首をひねる。 「有機食のライフスタイル自体は良いと思いますし、個人の自由です。ですが、『オーガニック給食』という政策には、非常に多くの問題があると思ってい