私は時折、切に、切に、セックスがしたくてたまらなくなる。 泣きたいほど、恋しくなる、セックスが。 触れたい、触れられたい、抱きしめられたい、繋がりたい。 けれど、この「セックスしたい」という気持ちが、性欲と言う言葉で片付けられるものなのか、それともそうじゃない、寂しいから人を求める、つまりは癒されたいのか、わからないのだ。 ただ、性器と性器を繋がらせ摩擦したいだけならば、誰でもいいわけで、そうじゃないというのは、性欲という言葉で片付けられるものじゃないのではないか。 セックスが無いと、生きていけない。 セックスにより齎されるものは、性器の充足だけではなく、もっと、もっと、心も身体をも包み込み母の手に導かれ安眠へいざなうようなもので、だから、セックスが無いと、生きていけない。 寂しいわたしは、癒される、セックスで。 いやらしい行為に、癒される。 「癒しとイヤラシ エロスの文化人類学」(田中雅