一ヶ月かもっと前、とにかく大震災の前にこの映画を見て、感想文を書こうと思っていたのだが、例のごたごたがあって忘れていた。先日、アカデミー作品賞と主演男優賞、監督賞を獲得した作品である。 幾つかの脚色はあるけれども、おおむね史実をカヴァーしている。ジョージ6世が吃音症だったことは秘密でも何でもないが、それでもわざわざ声高に言うようなことでもないので、この作品を通して初めて諸事情を知ったという人も多いのではないか。 ジョージ6世が吃音症だったのは事実であり、彼が幼少期にナニー(乳母)から虐待されていたのも事実、彼の末弟が自閉症のために隔離され、いなかったかのように扱われ、夭折したというのも事実。父、ジョージ5世や兄のエドワード8世が「よかれと思って」彼に恥辱を与えることを通して吃音症を矯正しようとし、結果的に屈辱だけを与えたというのも事実。 こういう事情を踏まえずして、どうしてエリザベス王妃が