我々は元増田が何故このような日記を書いたのかという疑問を解決するため、元増田の故郷に向かった。 「まだ日本にこんなところがあったのか」 思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。 小人が住むような小さな家、ツギハギだらけの服を着る農夫たち、そして彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。 ワールドカップだの、高校野球だの、オリンピックだので浮かれていた我々は改めて農村の現状を噛み締めていた。 ボロ屑のような家に居たのは老いた母親一人 我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに「息子が申し訳ありません」と我々に何度も土下座して詫びた。 我々はこの時初めて元増田を許そうと思った。 誰が悪い訳ではない、農村の貧しさが全て悪かったのだ。 我々は元増田の母親から貰った干し柿を手に、打ちひしがれながら東京へと帰路についた