最近、何となく忍者関係の本をよく読んでいます。 忍者についての学術研究が本格的に始まったのはごく最近で、2010年代のことです。それは三重大学教授の山田雄司氏(歴史学)が、大学の方針により忍者の歴史学的研究に着手したことをきっかけとします。かつての私にとって、山田雄司先生とは「怪異・怨霊研究の人」という認識だったのですが、いつの間にか「忍者学の人」になっておられて少々驚いたことがあります。 それ以降山田氏は、『忍者の歴史』(2016年)などで実証的忍者史研究に先鞭をつけ、2017年からは三重大学で国際忍者研究センターが設立され、学際的な忍者研究の試みが行われています。同センターによる最近の成果としては、『忍者学大全』(2023年)という大部の論文集が刊行されています。 そうした忍者学の流れの中で刊行された本の一つに、川上仁一著『忍者の掟』(2016年、角川新書)があります。川上仁一氏(19